12月定例会 山内よし子議員の一般質問
認定こども園条例の認定基準は、保育所の現行基準に合わせるべき
【山内】 日本共産党の山内よし子です。先に通告しております何点かについて、知事ならびに関係理事者に質問します。
最初に、認定こども園の条例案について伺います。
そもそも認定こども園は、保育の市場化を促進するために出されてきたものであり、法そのものが国と自治体が責任を持つべき公的保育制度を崩すものであり、現状の保育の質や水準の低下、および地方ごとの格差を招くものであること。また、直接契約制を導入し、施設ごとに保育料が自由に設定される点など多くの問題点が指摘されているところです。よって、本府の条例については法のもつ問題点を改善することが必要であり、関係者の声や実態、京都の到達点を十分にふまえたものでなければなりません。
そこで伺います。すでに行われたパブリクコメントでは546件もの意見が出されました。少し紹介します。「保育の基準が低いほうに合わせられることはおかしいと思う」「幼稚園の基準に合わせるのは無理がある」「きめ細かな離乳食、アレルギー対応のため自園調理を行うようにしてほしい」という意見がたくさん出されています。多くの意見が認定基準が実態より低くなることを危惧した声であります。
しかし、今回の条例案にはこうした府民の意見が、まったく反映されていないのではありませんか。まずお答えください。
また、パブリックコメントの意見にもありましたが、検討協議会では、第4類型の地方裁量型についてはきびしい規制が必要だという意見が、幼稚園及び保育園関係者などから共通して出されたと伺いました。そういう点は、一体条例案のどこに反映されているのですか。お答えください。
9月議会で知事は、認定基準について「京都府として実態に即した認定基準となるよう・・協議を進めてきた」と答弁されました。しかし、職員配置の市町村の実態、また給食の外部搬入の実態について、まったく把握されないままに、検討がなされてきたことが明らかになっています。
そこで具体的にいくつか伺います。
本府の条例案では、満3歳以上の短時間利用児の職員配置が35対1です。その中には長時間利用児も含まれ、園児の1日の生活を見通して考えたときに、現行の国の保育所基準さえ下回ります。
本府はこれまで「教育・保育サービスの質が確保される」と本会議などでも答弁してきましたが、なぜこれで現行水準が確保されるといえるのですか。お答えください。
つぎに調理室について伺います。幼稚園型と幼保連携型、及び地方裁量型については3歳以上児の給食の外部搬入を認め、調理室についても必置規定が設けられていません。保育所には調理室の設置は義務付けられており、保育所保育指針にも食事については一人ひとりの子どもの発育や発達状況、健康状態に応じるように配慮することが示されています。現行水準を確保するという点でも、調理室は必置とすべきですがいかがですか。
次に、直接契約方式について伺います。
認定こども園では、利用者とこども園の直接契約方式になることで、これまで市町村が行ってきた入所の選定も、認定こども園ごとで選考を行うことになります。その選考が、公正に行われることは当然必要ですが、それらがきちんと実施されても、市町村が選考するように、保育に欠ける子どもを入所させるような担保がありません。9月議会でこども政策監は保育に欠ける子どもがこども園に入れなかった場合について「認可の保育所と同じような形で市町村の責任が発生するような仕組みにはなっていない」と答弁されました。それならば、本府の条例案には、保育に欠ける子の利用が排除されることのないよう、市町村と連携するよう明記すべきと考えますがいかがですか。
【知事】 府では、これまで幼稚園・保育所関係者や利用者等の検討する機会において、現場の視点からご意見をお聞きするとともに、府議会のご意見もいただく中で、何よりもサービスを受ける子どもの立場に立ち、施設の利用にかかる安心・安全確保がはかられるよう、また、保護者を選択に資するよう、積極的な情報の公表に配慮するなどを盛り込んだ基準案を策定した。さらに、職員の配置、資格、備えるべき施設等の基準に加え、健全な運営が確保されるよう土地建物が安定かつ継続的に使用できること。経営に必要な経済的基盤があり、財務内容が健全であることを条件として設けており、こうした基準の設定により、第4類型においても他の類型と同等の厳しい基準を満たすことが求められている。
職員配置や調理室については、現行の保育所や幼稚園の基準を考慮し、その水準が下回ることがないように設定したものであり、例えば、職員配置については、教育機能を果たす部分は学級編成を求め、現行の幼稚園基準と同様にしている。
こうした中で、今回のパブリックコメントでは、多数のご意見をいただいた。意見では、認定こども園の子育て支援活動や管理運営について、具体的にご意見を踏まえるために市町村の役割を期待する声が多かった。そのことから、新たに、市町村からの意見徴収を認定こども園の仕組みとして、条例案に反映した。これにより、市町村と十分に連携して、保育に欠ける子どもの受け入れなども含め、適切に制度の運用がはかれるようにしていきたい。
“保育の質を後退させてはならない”との関係者の思いに知事は応えよ!
【山内】 認定こども園は法律そのものが大きな欠陥なのです。幼稚園と保育所双方の基準を引き下げ、認可外施設にお墨付きを与え、また認可保育所も直接契約制度に変え、保育料も自由に設定できるなど、国と自治体が責任を持つ公的保育制度を根本から崩していくものであります。
それから、第4類型についていま知事が答弁されました。安定継続使用や必要な経済的基盤の要請も入れたということですが、そもそも、このこども園が、規制改革民間開放推進会議の要求で出てきたものであります。企業の要求で子どもをもうけの道具にしよう。そういうことで出てきたものなのです。ですから、企業にとれば、そこに経営基盤の安定ということをつけても、なんら規制にはならないわけです。ですから、保育園・幼稚園両関係者からも、そうした危惧の声が出されている。本府においても、これまで関係者の努力で積み上げられてきた保育の質が、この法律ひとつで崩されてしまう。そういう思いがあるからこそ、パブリックコメントでもたくさんの危惧の声が出されているのです。だから、条例に厳しく規定しなければならないのです。
そこで伺いますが、知事が9月議会で実態に即した認定基準にすると答弁されました。京都府内の公立、私立の幼稚園の実態は1クラス何名になっていますか。また、保育所の職員配置も実態は国の基準どおりではないはずです、どうなっていますか。お答えください。
【知事】 それぞれの実態については、いろんな状況があるのは十分に承知しているが、いちいちここで数字をあげるわけにはいかないので、私どもとしては、適切な指導を行ってきている。その中で、子どもたちの安心・安全を守るように努力しているということをこの場では申し上げたい。
【山内】 実態は、ご存じないということなのですか。幼稚園では、1クラス23名から24名が実態です。しかも3歳児の公立幼稚園の1クラスの人数は17名なのです。国の基準の半分です。保育所でも全国的には国基準の1.7倍の常勤保育士がいる。これが実態です。
実態に即した基準とするならば、出発点はこのような実態です。そこから議論を進めるべきです。
知事は、国のいっていることを聞くばかりではなく、府民目線といっておられるのですから、パブリックコメントで寄せられた声にも耳を傾けるべきです。また保育園に行かれて、どんな保育をされているのか、実際にみていただいて、実態をよりリアルに把握していただいて、条例にはきびしい基準を設けられたい。要望して次の質問に移ります。
「安心子育てテレホン相談事業」を廃止した府の責任は重大!/児童虐待防止へ体制の強化、地域連携のための市町村支援の強化を!
【山内】 次に、わが党の西脇議員の代表質問に続いて、児童虐待防止と体制強化について伺います。
長岡京の幼児虐待死事件が起こったあとに、知事は「児童福祉司の数はとくに少なかったという話ではない」「9名増員した」とおっしゃいました。しかし、日本の児童虐待防止の体制は、欧米諸国と比べても大変不十分です。児童福祉司にあたるソーシャルワーカー1人当たりの担当人口は、ニューヨーク市が4千人弱、カナダ・オンタリオ州は3千人弱です。しかし我が国では、未だに5万人に1人という状況です。そもそも、不十分だという認識に立つ必要があります。知事のご認識を改められ、実態に即して体制の強化に取り組まれるよう、まず要望いたします。
それでは質問に移ります。今議会で、知事もおっしゃいましたが、児童虐待の防止のためには地域との連携の強化が必要だということは論を待ちません。
現在、「虐待防止のためのネットワーク」は府内15市町にできているとのことですが、法的根拠を持つ「要保護児童対策地域協議会」は城陽市と京丹後市にとどまっています。さる10月31日に発表された厚生労働省の調査結果によると、未設置の自治体で「人材確保が困難」と答えた自治体が44%、また「予算確保が困難」と答えた自治体も32%に上っています。相談事業を市町村にゆだねるといっても、「金も人もない」のが市町村の実情です。
しかも本府は、明確な虐待の相談も含めて年間1000件以上の相談が寄せられていた「安心子育てテレホン相談事業」について、「市町村等の相談事業が充実した」と平成16年の9月に事業を廃止しました。平成17年度から、市町村に児童相談窓口機能が与えられましたが、交付税措置もなく、府内の12のすべての市における家庭児童相談室には非常勤の相談員しか配置できない状況ですし、町村においてはそもそも満足な体制すら出来ていない状況なのです。実態の把握もせず、受け皿もないままに事業を廃止した本府の責任は重大です。
そこで伺います。地域との連携を強化するためには、市町村に対する人的支援と財政的支援が必要です。国に対して財政措置を講じるよう要望されていますが、同時に国待ちにならずに、本府としても独自の支援を行う必要があると考えますがいかがですか。お答ください。
一時保護所は、児童相談所と一体的に整備・充実を/一時保護の急増に対応できる体制へ、早急に改善せよ!
【山内】 また、こうした地域ネットワークの構築の核となるのが児童相談所です。
ところが現在の京都児童相談所が管轄しているのは乙訓と口丹地域の4市2町です。しかし、上京区にあるために、最低でも1時間、車でも2時間以上かかることもあります。関係者からも「管内に設置してほしい」との声があがっています。知事が「地域のネットワークも十分活用する」とおっしゃるのなら、また迅速な対応が求められているという点でも、口丹地域および乙訓管内に設置するのが当然と考えますがいかがですか。
また児童相談所に併設されている一時保護所について、児童相談所と一体的に充実することが必要です。
一時保護所に入所する子どもは、2歳から18歳までの幅広い年齢層のこどもたちで、しかも非行や虐待あるいは発達障害など様々な理由で保護されています。それだけに一人ひとりの子どもの状況に応じた適切な援助が必要で、子どもが安心感や安全感を持てる家庭的な環境が必要ですし、そのためには十分な人員配置と環境整備が必要です。
例えば、現在の京都児相の一時保護所の定員は13名となっていますが、そのスタッフは児相の次長を兼務している一時保護所長と専任の児童指導員1名と週28時間の嘱託保育士が2名、そして常勤の調理師が1名の計5名で、夜間は大学生のアルバイトに頼っている状況です。施設設備の面でも、三部屋しかなく、男女別にすることや、非行と虐待できずついたこどもは同じ部屋にできないなど、子どもの特性に応じての十分なケアと部屋割り及び人員配置が必要で「単純なケースでも5名預かるのが限界」というのが現場の声です。
17年度の本府の児童相談所概要によると、一時保護状況について「処遇困難な児童が増えている」こと、また年々一時保護が増加し、16年度は過去最高で平成10年度と比較しても述べ利用日数は2倍になっていることが示され、17年度はさらに大幅に増加しているということを伺っていいます。一時保護が必要だと思っても、相談所の体制が取れないために、担当者が躊躇することがあるのも実態です。
そこで伺います。
厚生労働省の基準では、児童と寝起きを共にする職員は1人以上の児童指導員および保育士でなければならないとされています。夜間はアルバイトではなく基準に即した正規職員の配置にすべきと考えますがいかがですか。
また、施設設備についても、子どもや保護者の状況、またこれまでの経緯などを知り尽くした担当者が関われる児童相談所に併設することが必要です。また、面積についても、現在の一時保護の増加に対応した施設設備が必要と考えますがいかがですか。お答えください。
【保健福祉部長】 虐待防止にかかる市町村の支援については、虐待防止ネットワークの設置運営については、次世代育成対策交付金などにより財政措置がなされておりますが、更なる財源措置を講じるよう国に要望している。また、府独自支援として、今回の補正予算で、児童虐待防止ネットワークの整備充実を支援するため、虐待防止アドバイザーを市町村に派遣するための経費をお願いしている。
京都児童相談所の設置場所については、近年増加している児童虐待やDV、非行、いじめ問題などは、多くの場合、複雑にからみ合って発生しているため、個々の相談機関ごとの個別対応ではなく、保健所等が連携し、ワンストップで対応できる中核的組織として、児童相談所や婦人相談所等を統合して派遣支援総合センターを整備することとしている。
この場合、例えば、婦人相談所のように、京都市内を所管する機能をも有するようになること、さらには、他の専門相談機関や関係団体などとの広範なネットワークの形成や情報交流など、総合的に勘案し、京都市内に設置することは最も適当である。
一時保護所の体制については、心理学専攻の資格を有する嘱託職員の確保に努めるとともに、児童養護施設等への一時保護委託や児童相談所間での調整などにより採用している。今後とも、必要な人材の確保を含め、一時保護所の適切な運営に努めていきたい。
施設等については、総合的な派遣支援体制の検討の中で、必要な対応を行っていきたい。
【山内】 本府は安心・子育てテレホン相談の廃止も、洛東病院の廃止も、現場の声も聞かずにトップダウンでつぶしてきました。子どもの命を守らなければならない京都児童相談所の移転もトップダウンで決めるのですか。
管轄地域の関係者や自治体の声、また、第一線でがんばっている現場の声をよく聞いて、地域連携の核となるべき京都児童相談所が、迅速な対応ができるように管内に設置するよう、強く求めるものであります。
また、一時保護所の体制について、現行の基準さえ満たしていないわけで、これは早急に改善しなければなりません。現場の苦労にこたえ、現場の方々の意見もよくきいて改善していただきたい。要望して次の質問に移ります。
生活保護申請の前に「働けるから」と追い返すなど「適正化」の名による生活保護の抑制は大問題!!/必要なすべての方が申請できるよう申請用紙を窓口に設置せよ
【山内】 次に生活保護について伺います。
貧困と格差の拡大、そして不安定雇用の増大など国民生活の困難が続く中、社会保障制度の改悪も影響して,生活保護は10年連続で増加し、保護率は1.2%と、95年比で1.7倍となっています。本府においても、生活保護世帯数は、基準の引き下げや申請の抑制がある中でも、小泉改革の5年間で5377世帯から7183世帯と34%も増加しています。
しかし、生活保護制度が「出番」にふさわしくその役割を果たしているとは到底いえません。2006年度には老齢加算が全廃され、母子加算や保護基準全体の削減が強行されています。また、3月末に厚生労働省から「適正化」という名の引き締めの新たな段階ともいうべき「手引」が出され、生活保護の運用をさらに厳しくしようとしています。加えて、国の財政制度審議会が、母子加算の段階的廃止を建議するなど、生活保護制度の全面改悪が狙われています。こうした厳しい締め付けの結果、全国的にも保護申請を拒否されたことによる餓死、自殺、心中事件などがあいついでいます。
京都市でも今年2月に、認知症の母親を介護する54歳の男性が、介護で仕事をやめざるを得なくなり、家賃も払えなくなって、生活保護を受けたいと3回福祉事務所に足を運んだものの「若いから働ける」と追い返され、思い悩んで母親を殺害しました。自らもあとを追ったが死に切れず、逮捕されるという事件が起こりました。裁判官は「裁かれているのは承諾殺人だけではない。日本の介護制度や生活保護行政のあり方が問われている」と判決後に異例の説諭をしました。
本来申請権は誰にでも保障されるべきものであり、申請前に「働けるから」と追い返すようなことがあってはならないと考えますがいかがですか。
また1996年の決算総括質疑で当時の荒巻知事は、わが党の新井議員の質問に答えて、「申請用紙を窓口に置くように」と答弁されています。生活保護の申請用紙を、振興局や保健所及び市町村の窓口に置くべきと思いますが、現在の設置状況はどのようになっていますか。伺います。
最低生活とは、ただ食事をして生きているだけのものではない/知事は「生活保護基準の引き下げはやめよ!」と国に求めよ
【山内】 次に生活保護の基準引き下げに関連して伺います。
老齢加算の廃止や母子加算の削減など、生活保護基準額の引き下げで非人間的な生活を強いられる事態が起こっています。高齢の生活保護世帯では、寝たきりの夫の紙おむつを何度もベランダでほして繰り返し使っているとか、冷暖房を一切使っていない、風呂は週に2回しか入れないという状況もあります。
龍谷大学の大友教授は、老齢加算の減額について「食べるにはぎりぎり困らないとしても、近所づきあいに影響する冠婚葬祭などの費用捻出はより厳しくなる。受給者の閉じこもりや社会的な孤立の傾向が強まる恐れがある」と警告しています。
かつて、生活保護を受けていた女性は、「離婚直後、子どものことをほったらかしにして必死になって働いてきた。あるとき、今は子どもと向き合う時間が必要だと思い、働きながら生活保護を受けることにした。おかげで、参観日や運動会にも行ってあげることができた。母子加算があったから人間らしい気持ちももてた。仲間との付き合いもできるようになり、仕事も正規職員にしてもらった。その時点で、生活保護は必要なくなったが、あのとき生活保護を受けていなければ、また母子加算がなかったら今の私は存在しない。」と語ってくれました。最低生活費とはただ食事をして生きているだけのものではありません。人間の尊厳を保つものでなければなりません。
母子加算の約2万円がなくなれば、1級地の京都市内でも 43歳のお母さんと14歳の子ども2人暮らしで12万8330円。京丹後市、与謝野町、京丹波町であれば9万9450円です。これでは親子2人、食べていくだけで精一杯ではありませんか。京都府として、国に対して生活保護の基準の引き下げをやめるように意見を上げるべきと考えますが、いかがですか。
【保健福祉部長】 生活保護制度については、生活に困窮するすべての国民に国が責任をもってナショナルミニマムとしての生活を保障すべきものであり、真に必要な人が受けられないことがあってはならないと考えている。そのため、府としては、府内の福祉事務所の職員に対し、生活に困っておられる方からの相談に対しては、親切、丁寧に応じるよう常々会議や研修の場などで指導している。
さらに、生活保護申請用紙については、申請の意思のある方には、すみやかに申請していただけるよう保護の実施機関である府保健所や市福祉事務所、町村役場の相談窓口などに配置し、適切な保護を実施していただいている。
生活保護基準については、平成16年12月の国の社会保障審議会専門委員会報告をもとに、国において一般低所得世帯との均衡を考慮し、見直しが行われているところである。
府としては、生活保護制度の見直しについて、受給者の実情をふまえたきめ細やかな制度運営が可能となり、最後のセーフティーネットとして機能するよう、例えば、母子加算の見直しについては、世帯の実情を十分ふまえることなど、慎重に進められることを国に要望している。
【山内】 生活保護の申請権について、厚生労働省は「法律上認められた保護の申請権を侵害しないことは言うまでもなく、侵害していると疑われるような行為自体も現に慎むべきである」と矛盾するようですが、こんなことも言っているのです。
じゃあなぜ、申請権が侵害されるのか。それは一つには申請用紙が窓口に設置されていないからなのです。今、窓口に設置しているとおっしゃいましたが、しっかりと確認していただいて、申請権が侵害されないように、府として積極的な役割を果たしていただきたい。
もう一点、基準の問題ですが、生活保護法には第1条でその目的を、「最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することにある。」としています。では、自立とは何なのかということなのです。
社会福祉法の基本理念には、「自立支援」とは「利用者が心身共に健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するもの」と明記されています。高齢者が社会的に孤立したり、母子家庭が人間らしい気持ちになれないような生活保護の基準では、自立助長という生活保護の本来の目的も、なし得ないのであります。
生活保護世帯の実態を、これは、私は、是非知事に見ていただきたい。話も聞いていただきたい。台風などの被害の時には、とりあえずは現場にヘリコプターで行かれるのですから。今、国の施策によって、府民が生きる希望も失うような事態になっているのです。現場に行って、是非国に、引き下げをやめろということをしっかりと言っていただきたい。このことを強く求めて、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。