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討論

みつなが敦彦議員の、認定こども園条例修正案討論

2006/12/15 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の光永敦彦です。私は議員団を代表いたしまして、ただいま議題となっております第三号議案に対する我が会派提案の修正案に賛成する立場で討論します。

 そもそも認定こども園は、「骨太方針2003」に、2006年度までに設置することが急遽盛り込まれたように、「まずこども園ありき」で進められてきました。

 そのねらいは明白です。ちょうど同じ2003年に、日本経済団体連合会は「保育サービス提供者の間の競争を阻害している要因を除去し、競争メカニズムを機能させることが不可欠」であるとして、「現在の認可保育所制度をゼロベースで見直し」「利用者が保育施設を自由に選択し契約を結ぶことのできる『直接契約方式』を導入すべきである」とのべました。また、「規制改革・民間開放推進会議」は、現行の保育制度について、「特定の『保育に欠ける子』を対象として政府から与えられる『福祉』であり、・・・保育サービスが提供される市場とはほど遠い」と、「保育に欠ける子」への「福祉」から、「ニーズに応じて自由に選択できる環境」作りへの転換こそ必要とのべています。

 その上、幼稚園と保育園を「総合施設」として一体化する際の施設設置基準について、「現行の幼稚園と保育所に関する規制にとらわれることなく、どちらか緩い方の水準以下とすることを原則とする」と述べたように、保育園や幼稚園の基準そのものの切り下げまで露骨に求めています。まさに、大幅な規制緩和や市場原理主義を特徴とする新自由主義にもとづき、社会福祉としての公的保育の分野に、企業の参入ができる制度として変質させ、保育に欠ける子に対する保育を、儲けの対象にし、長年、関係者や保護者の努力で築いてきた保育制度の根幹をゆがめるものではないでしょうか。

 さらに、本年3月に閣議決定された「規制改革・民間開放推進三カ年計画(再改訂)」で、「認定こども園の実施状況を見ながら」認可保育所への直接契約制や保育料の自由設定を導入するとしています。これは、「多様なニーズにこたえる」ことを口実に、「認定こども園」を足がかりにして、財界の要求にこたえる仕組みを、一気につくりあげようとしているものです。

 すでに規制緩和により、2000年度より、民間企業等にも認可保育所の設置が認められ、実施されていますが、私が九月議会の本会議質問でも示したとおり、各地で保育の質の低下や、ひどい場合は撤退などの事態が起こっているのです。また、圧倒的に企業か非営利法人が運営しているアメリカでは、最低基準は州ごと、入所は保育所と保護者との直接契約、保育料はサービスに応じた自由設定となっており、その結果、高い保育料を払えば質の高い保育、保育料が低ければ質の低い保育しか受けられない状況になるなど、子どもたちが受ける保育の質が保護者の収入によって違ってくる格差がうまれているのです。

 我が会派が常任委員会に提出した修正案を審議した際、民主党委員から「利用者によって選別をされていく中で、悪質なものは排除されていく、いいものはしっかりのこっていく」との発言がありましたが、これは、福祉に競争を持ち込み、格差を生み出すことを当然とする、まさに新自由主義そのものの論理であるといわざるをえません。

 本府が条例をつくる限りは、少なくとも、児童福祉法第二条「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」の立場にたち、これまで、現場の努力で作り上げてきた現行の保育園や幼稚園水準を下回らないとともに、同第24条「保育における公的責任」に立脚した基準や仕組みこそ必要です。

 ところが、第三号議案では、一部を除いて、そのほとんどが、国の指針をそのまま適用し、基準の引き下げ、直接入所方式、保育料の自由設定方式、公的責任の後退などに道を開くものとなっています。一方、我が党の修正案は、提案理由の説明で加味根議員がのべたとおり、この中心問題を抜本的に改善する提案となっています。

 よって第三号議案には反対し、第三号議案に対する修正案に賛成するものです。

 以上で討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。