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2006年12月定例会 梅木のりひで議員 議案討論

2006/12/15 更新
[ 討論 ]
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 日本共産党の梅木のりひでです。ただいま議題となっております議案21件について、9月議会提出の第15号議案「一般会計及び特別会計決算認定の件」と第17号議案「水道事業会計決算認定の件」、及び今議会提出の第3号議案「認定こども園の認定基準に関する条例案」の3件に反対、他の議案18件については賛成する立場から討論を行います。

 まず、決算認定議案についてです。

 第15号議案「平成17年度一般会計及び特別会計決算」についてです。平成17年度予算案の提案にあたって知事は、三位一体の改革のもと、国庫支出金63億円減、地方交付税と臨時財政対策債は、前年の306億円の減額に続き、71億円の減額になる、府税収入も伸び悩み、財政が大変だから、「事業のいっそうの集中と選択をおこない、総額250億円にのぼる経営改革を断行した」と強調しました。そもそも、知事は「地方の自由度を高める」と三位一体の改革に期待を寄せていましたが、それが、地方交付税の大幅な削減等、逆に「地方の自由度」を奪い、地方を切り捨てるものであったことは今や明らかです。

 また、小泉構造改革によって、府民の暮らしと地域経済が大変になっているこのようなときにこそ、住民の暮らしを守る地方自治体の役割の発揮が求められているにもかかわらず、知事は、逆に市町村合併のおしつけ、洛東病院の廃止、284人の職員減など、地方自治と住民サービスの切り捨てをおしすすめたのであります。

 以下具体的に、反対理由を述べます。

 反対理由の第一は、府税収入が予算に比べて伸びているにもかかわらず、府民サービスの切捨てをすすめたことです。府税収入は予算に比べて決算では383億円増、地方交付税は124億円も増えています。結果として、約500億円歳入は増えたにもかかわらず、住民サービスの切り捨ては、予定通り実行しました。

 予算特別委員会の知事総括質疑で、私は、健康保険料や介護保険料、定率減税の縮小・廃止など府民の負担が雪だるま式に増えるという実態をパネルで示して、府民の暮らし応援に積極的に取り組むよう求めましたが、税収増は府民の暮らし応援のためには使われませんでした。政府が緊急雇用創出基金も、繊維活性化基金も廃止したもとで、府独自に不況で苦しむ中小業者・伝統地場産業への支援や緊急雇用対策の強化が求められていましたが、十分な支援はありませんでした。また、福祉分野でも生活保護世帯等への夏季・年末見舞金2億6千万円が削減され、敬老祝い品の縮小などもそのまま実行されました。また、子育て世代を中心に、要望の強い子どもの医療費助成の拡充や、景気対策としても有効である、耐震改修はじめ住宅改修助成制度の創設も、その気になれば実施できたにもかかわらず、実施しようとはしませんでした。

 その中にあって、企業誘致補助金は、最高5億円を20億円に増額し、府内で工場を拡張する場合も対象に追加し、補正予算で8億円も積み増しました。リストラと不安定雇用の拡大、長時間労働と賃金切り下げなど、勤労者世帯の生活は苦しくなる一方で、大企業は、人件費コストを減らすことによって収益を上げているのであります。「業績が良い」から、工場を拡大する「勝ち組」の企業に補助金を出し、応援をすることは、府民の目線からすれば、応援をする相手が違うのではないかという疑問が出て当然であります。わが党は、「雇用のための誘致補助金というならば、正規雇用の拡大こそ重視すべき」であり、「不安定雇用を拡大することでいいのか」「雇用実態の調査を」と要求しましたが、理事者は当初、「そんなことをしたら、京都から企業が逃げ出す」などと答弁しました。企業誘致そのものに反対するものではありません。企業誘致は、府民の雇用を拡大し生活を豊かにすること、京都の地域経済を発展させることが目的なのですから、その目的を見定めて、その達成状況は、しっかりと検証されなければならないということを、あらためて指摘しておきます。

 反対理由の第2は、「財政が厳しい」と府民サービスの切捨てを行う一方で、不要不急の事業に、相変わらす貴重な府民の税金が投入されていることです。和田埠頭建設費27億5千万円、京都市内高速道路出資金11億6千万円、丹後リゾート公園に6億2千万円、畑川ダムに3億5千万円、木津川右岸運動公園に3億1千万円、学研都市建設費7400万円、関西空港2期工事出資金5600万円などです。また、平安建都1200年協会に3934万円、世界人権センター運営助成4300万円の支出は中止すべきであります。さらに、同和奨学金償還対策事業に17年度だけで3億4500万円支出しています。今後なお64億円、京都府の負担が21億円ということですが、同和特別扱いは直ちに中止すべきであります。

 そのほか、17年度の新規事業について、高校の教師が塾の講師から指導を受ける「授業の達人」や「心の教科書」、1000名の低賃金非常勤講師を前提にした「京都式少人数教育」、京都南部での高校の廃止・統合など多くの問題をもつ決算となっています。また、増額の要望が強い私学助成についても、高校生の授業料直接助成が、知事選挙を前に8年ぶりに4千円増額されましたが、8年前、平成9年度決算では、直接助成総額は13億4千万円でしたが、17年度決算では7億7千万円で4割以上の減になっています。格差と貧困が拡大しているときだけに、私学助成の充実が強く求められています。

 以上の理由から、第15号議案に反対します。

 次に、第17号議案「水道事業会計決算」についてです。府営水道の問題が、大山崎町の町長・町会議員選挙で大きな争点となりました。さらに、長岡京市長選挙でも、大きな争点になろうとしています。乙訓2市1町住民の高すぎる水道料金を値下げしてほしいという願いは切実であります。過大な水需要予測に基づく施設建設のつけをおしつけられ、使ってもいない水の料金を負担させられている住民の不満は当然であります。給水実績の2倍近くの受水協定は見直すべきであり、反対です。本府の責任で、企業による水道水利用を拡大することや、一般会計からの繰り出しを含め検討すべきであります。

 なお、第16号議案「電気事業会計決算」についてですが、賛成はしますが、電気事業開始以来はじめて純損失を計上する事態となっています。落雷等により太鼓山の風車が故障したためとの説明でした。企業局の書面審査で指摘しましたが、静岡県東伊豆町では、600kw3機、計1800kwの能力で年間5100万円の売電収入がありますが、太鼓山はその2.5倍、4500kwの能力で、売電収入は5900万円と差がありません。東伊豆町の担当者は、「風力発電に雷は大敵、雷が多いから太鼓山と言うんでしょ」と首を傾げていました。自然エネルギーの活用は大いにすすめなければならない課題であるだけに、導入時の検討がコンサルまかせで、ずさんであったとしか思えません。計画時に、主体的かつ十分な調査・検討が必要であったことを強く指摘しておきます。

 次に、今議会提案の議案についてです。

 第3号議案の反対理由については、光永議員が述べたとおりです。

 他の議案については賛成するものですが、数点、指摘・要望します。

 長岡京市で児童虐待死事件が発生し、決算特別委員会でも今議会でも、児童虐待への本府の体制強化が大きな課題となりました。補正予算で児童虐待への緊急対応予算を組み、検証委員会で現在検討されていますが、検証を待つまでもなく、児童福祉司の変則勤務体制の中止、京都児相・福知山児相の虐待対応専門チームの専任化は、直ちに行うよう強く求めるものです。また、今回の事件を通じて、現地現場での機敏な対応と市町村や住民との連携強化が課題であることが明らかになり、乙訓・南丹地域を担当する京都児童相談所の所在地が上京区でよいのか、という疑問が出されました。にもかかわらず、本府は、東山区の洛東病院跡地に計画されている家庭支援総合センターに統合する方針を変えようとしていません。乙訓あるいは南丹地域に移転すべきです。再検討を強く求めるものです。

 また、呉服販売大手の「たけうち」の倒産対策で、「匠の公共事業」2千万円が前倒し発注されますが、西陣・友禅など伝統和装産業の実態は深刻です。さらに特別の支援強化を強く求めておきます。

 次に、第7号議案、「交通巡視員の警察官への身分替えに伴う警察職員の定員に関する条例の一部改正」についてです。知事の提案説明では、「女性警察官が増えることで、児童虐待やドメスティック・バイオレンス対策などが充実する」ということですが、身分替えだけで、増員されるわけではありません。これまで交通巡視員のみなさんが専門職として果たしてきた、子どもや高齢者などの安全を守る仕事、交通安全教室や広報啓発活動などが、後退することのないよう、念のため警察本部に求めておきます。また、身分替えにあたっては、これまでの勤務条件や職務内容が大幅に変わるわけですから、団結権や団体交渉権がない職場だけに、十分な説明と同時に、一人ひとりの希望を十分に聴取するよう求め、賛成するものです。

 最後に、昨日、自民党と公明党は、参院特別委員会で、教育基本法の改悪案を強行採決し、本日本会議で強行成立させようとしています。これは、圧倒的多数の国民の「子どもの未来にかかわる問題であり、慎重な審議をつくすべき」という世論を無視する暴挙です。このような勢力に、子どもの未来は託せません。強く抗議し、廃案にするよう求め、私の討論を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。