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本会議質問

2月定例会 前窪義由紀府議の代表質問

2007/02/07 更新
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【前窪】  障害者福祉、介護、医療について伺います。  日本共産党の前窪義由紀です。議員団を代表して通告している数点について、知事並びに関係理事者に質問します。

 「このままでは生きていけない」、「人間らしい暮らしが出来ない」。いま、暮らしの叫びが胸を打ちます。規制緩和や減税などで大企業を応援し、庶民には、増税や社会保障・労働法制の改悪で、痛みを押し付ける今の政治で、国民のあいだに貧困と格差がかつてなく広がっている結果です。その上、柳沢厚労大臣の「女性は子供を生む機械」発言や政治家と金をめぐる問題に対し、国民の怒りがわきおこっています。

 暮らしが大変ないまこそ、自治体が「住民の福祉の機関」の役割を発揮し、住民の福祉と暮らしを守るべきなのに、多くの自治体は、総務省の「新地方行革指針」にもとづいて、「集中改革プラン」を策定し、住民サービスの切り下げや負担増、学校や病院など公共施設の統廃合、民営化をすすめ、暮らし破壊に追い討ちをかけています

 本府も、「経営の視点」、「経営効率化」の名のもとに、介護激励金や生活保護費の夏冬の見舞金の廃止など、福祉と暮らしの独自施策を削減、洛東病院の廃止、府立高校、保健所、土木事務所などの再編・統廃合を強行し、住民との激しい矛盾を生み広げてきました。こういう府政を後押ししているのが、自民、公明、民主などの「オール与党」です。

 毎日新聞は、01年以降の調査で、知事提出の議案が、すべて原案通り可決した「フリーパス議会」が、本府を含め24府県にのぼっていること、議会本来の役割である「チェック機能」が働いていないのは「オール与党化」の進行、と報じました。いま、まさに「住民福祉の機関」としての自治体の役割を発揮するのか、後退させるのかが問われています。

 日本共産党府会議員団は、人々の苦難を解決するという党の精神を発揮し、住民に犠牲を押し付ける府政から、貧困と格差を是正し、府民の暮らしを応援する府政の実現に、全力で奮闘する決意を表明し、質問に入ります。

 まず、障害者福祉、介護、医療について伺います。

 自民・公明が障害者の願いをふみにじって強行した障害者自立支援法で、今まで無料だった利用料が、原則1割の応益負担で、利用者に耐えがたい負担が押し付けられました。また、施設の運営費も大幅に減らされ、障害者・家族、施設関係者をはじめ、多くの国民の怒りがまきおこりました。障害者をはじめ関係者の大きな運動で、政府は、ようやく昨年暮れ、利用者負担の軽減や事業者への激減緩和など、「特別対策」を発表しました。政府自身が法施行後すぐに、こうした見直しをせざるを得なくなったことは、この自立支援法が「欠陥法」であることを示すものです。知事は、12月議会で「府として低所得者に対して応能負担を講じ、国にも同様の措置を要請している」と答弁されました。しかし、政府の対策は、応益負担には手をつけず、今回の軽減策も負担総額の24%程度で、しかも、08年度までの経過措置に過ぎません。抜本的見直し・改善が喫緊の課題です。「支援法」の最大の欠陥である「応益負担」の仕組みそのものの撤回を強力に求めるべきです。いかがですか。

 厚労省は2月6日、全国で1600人が、施設の利用を中止したと発表しました。府内で19人だとしたこれまでの利用中止人数を、大幅に上回ると思われます。今回の対策が実施されても、食費を含め大きな負担が残ります。いま作業所でも、利用料・給食費の滞納が相次いでいることから、事態を放置すれば、今後大量の利用中止につながり、再び障害者を家に閉じこめてしまいかねません。負担軽減のため、府の措置を一層強化すべきではありませんか。お答え下さい。

 施設への報酬の切り下げ、日割り計算の導入は、施設の収入を激減させています。私も宇治市・久御山町内の作業所、授産施設の実態を直接お聞きしましたが、すべての施設で、年間1000万円を超える減収となり、支援費制度から移行をしていない、小規模作業所も支援費の報酬単価が切り下げられています。それぞれの施設は、これまでの積み立ての切り崩しや、職員の賃金カットや非常勤化などで、今年度は何とかしのいでいますが、いまの報酬制度が継続すれば、来年度はもう持たなくなると、関係者は悲鳴をあげておられます。国の制度と併せ、自立支援法導入前の報酬基準を、10割補償する独自措置を実施すべきです。いかがですか。

 こうした労働条件の悪化で、福祉分野でのマンパワー不足が深刻になっています。こんな時こそ、雇用確保のため府としても、民間福祉施設職員の処遇改善を手厚く支援すべきなのに、本府は、来年度予算で、民間福祉施設職員の共済会補助事業費5千万円を廃止し、産休病休代替職員への支援を約5千万円から1,800万円に削減しているのです。このような事業の廃止・削減を直ちに撤回し、懸命に現場を支えている職員の処遇改善こそ必要でありませんか。いかがですか。

 続いて、視覚障害者の移動を支援する問題です。視覚障害者に対するガイドヘルパーの派遣への支援は、支援費制度が出来るまでには、一時間あたり3,740円でしたが、地域支援事業とされた今、多くが1,500円となっています。そのため、片道利用や自宅近所での短時間利用の場合、報酬を事業所が持ちださざるを得ない事態が起こっています。この事業を支えてこられた京都府視覚障害者協会等の団体は、大幅な赤字を抱え、このままでは、事業の継続ができず、ガイドヘルパーの空白地域が発生しかねません。

 ガイドヘルパーに対する報酬は、国2分の1、府4分の1ですが、他の地域生活支援事業との統合補助金になっているため、市町村が事業を充実すればするほどその負担が膨らむことから、単独での制度拡充には限界があります。府として、ガイドヘルパー派遣の事務費相当分、少なくとも協会等が要望している1時間あたり、2,200円から2,300円の報酬が実質的に確保できるように、市町村と協力し支援を行なうべきではありませんか。いかがですか。

 ヘルパーの養成も不足しています。本府はヘルパーの養成講座を、この3年間開催していません。京都府視覚障害者協会への登録数はピーク時の6割で、このままでは、宇治、城陽などで、事業が継続できなくなると心配しておられます。府北部も同様です。早急に府として、養成講座を再開するとともに、新規受講者を含めた有資格者の登録促進と活動への参加要請を行うなどなど積極的な取り組みを進めるべきと考えますが、いかがですか。

 関連してお聞きします。介護保険制度の改悪による、介護用ベッド、電動車いす等の取り上げの問題です。知事は、先の議会でようやく「国に対し、改善を要請している」と答弁されました。しかし、厚労省はいまだ制度の改善を行なっておりません。

 滋賀県は、市町村と協力し、ケアマネジメント等で、用具の利用が必要と判断された人の内、低所得者へのレンタル料の半額を、補助する制度を既にスタートさせました。

 本府は、用具を取り上げられた人の内、継続利用により効果があると思われる事例が28件あったとしていますが、全事業所を対象とした実態調査はしていません。知事は、昨年の12月議会で、「国の改定の動向を見て対応する」と答えられましたが、現場の実態を詳細につかみ、制度の対象外とされた方々の、福祉用具の利用を補償する制度を、今こそ実施すべきではありませんか。いかがですか。

 次に、子どもの医療費助成制度についてです。今議会に、拡充のための予算が盛り込まれ、入院医療費は、小学校卒業まで無料とし、通院は、従来の3歳以上の自己負担8千円を3千円に引き下げ、9月から実施することになりました。これは、この4年余りの間に8回、4万人に及ぶ署名を添えた請願運動などを、すすめてこられた多くの人々の願いに応えるものであり、毎議会、拡充を求め続けてきたわが議員団として、歓迎するものです。

 そこで、伺います。今回の拡充で、これまでと比較して、対象者はどの程度になるのか。まずお答えください。

 また、改善されるとはいえ、通院は、3千円までの自己負担、「償還払い」が残されており、医療費はいったん窓口で支払わなければなりません。自己負担の軽減、窓口負担をなくすことなど、引き続きの拡充を強く求めるものです。いかがですか。また、入院が集中する夏休み時期を対象としてほしいとの声もあります。7月から前倒し実施を求めますが、いかがですか。

 次に、医師の確保対策の問題です。今議会に提案された予算は、病院助手の新設などによる医師の直接確保、地域医療に従事した場合、返済を免除させる新たな奨学金制度の創設、女性医師等の復職支援対策などが提案されています。これらは、地域医療の崩壊を憂う、多くの医療関係者が求めてきたものであり、わが議員団が、「医師確保と地域医療を守るために、5つの提言」で求めた内容も反映されており、歓迎するものです。

 同時に、福知山と綾部への産婦人科医派遣の集約化のうごきや、関西医大付属男山病院の産科閉鎖、城陽市の産科医院がなくなるなど、問題は一層深刻となっており、これらに対しても医師確保を図ることが必要です。また、医師だけでなく、7:1の看護士配置基準の導入で深刻な看護師の囲い込みがすすみ、美山診療所では病棟閉鎖の事態になるなど、医師の確保と共に、看護師不足が地域医療に大きな影響を与えています。

 今後、医師確保対策を府北部に限定せず、府内全域での対策とすること、同時に、看護師の確保対策のため、政府に診療報酬の改善など、積極的に働きかけるよう求めるものです。いかがですか。

【知事】  障害者自立支援法について、法施行前から、利用者に急激な負担増が強いられ自立を妨げることはないかという点を懸念し、何度も国に赴き、障害者やサービス事業者が安心できるよう低所得者等の実態を充分に勘案し、利用者負担を見直すことなどの制度改善を強く要請をしてきた。さらに、法の施行に際して障害者の皆様の自立が現に妨げられることがあってはならない、少しでもそうした負担を緩和しなければならない、そういう観点から緊急対策として市町村と協調し、利用者負担の軽減策を全国に先駆けて、まさに京都発で行なった。今回の国の補正においても、国会の議論を見てもらったらわかるように、こうした自治体の支援措置というものがまさに後押しになったのは、事実が証明するところでありまして、こうした予算案を可決いただきました自民、民主、公明、新政の各会派の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。この京都府の支援措置はまさに全国に広がったところですが、この措置を受けて国においては、所得階層に応じ福祉サービスの上限額を現行の4分の1に引き下げ、ケアホームの開設等に向けた改修費用の助成、授産施設など就労支援を行なう通所サービスの送迎費用助成、従前の事業者報酬の9割を補償するなどの軽減措置の拡充、事業者経営の支援や激変緩和策などの見直しを講じることとなり、平成20年度までに総額1200億円を投じる予算案を決定した。京都府としては、こうした、政府の補正予算案を踏まえた支援措置を盛り込むとともに、府が京都市を始め各市町村と協調して行なっている府独自の利用者負担軽減については重度障害者の福祉サービス利用に関する負担上限額の引き下げや、軽減対象世帯の拡大などさらに充実を行い引き続き実施を行なうとともに、施設経営についても事業者への無利子貸付制度等の実施に必要な予算を今議会でお願いをしているところである。応益負担により低所得の方や重度の障害のある皆さんにとって、必要なサービスが利用できなくなることのないよう国に対し強く要望を行なってきているが、今後とも平成20年度の障害者自立支援法の抜本的見直し議論に向けて、法施行の状況や現場の状況を充分に踏まえて引き続き提言要請を行なっていきたいと考えている。なお民間社会福祉施設に対する産休病休代替職員助成制度については、19年度においても引き続き実施することとしている。また、財団法人京都府民間社会福祉施設職員共済会に対しては創設以来35億円を超える補助金を投入してきており、民間社会福祉施設で働く職員の共済制度の安定的な運営に必要な財政基盤が確立したところである。

 視覚障害者の移動支援について、全ての市町村において無料化、または負担軽減措置が講じられるなどご尽力いただいているが、こうした取り組みを支援する観点から地域生活支援事業に必要な補助額の確保について国に引き続き要請を行なっていきたいと考えている。さらにガイドヘルパーについては、これまでに約1200名という数的には充分な数を要請したところだが、今後も関係団体と協力しながらサービス提供が円滑にできる体制の確保に向け適切に対応していきたい。

 介護保険制度について、軽度者への福祉用具の貸与については、府独自に市町村を通じ実施した実態調査結果に基づき、近畿府県に呼びかけ国に対して制度改善を強く提言しました。国においてもこうした動きを受けて全国の実態把握を行い、その結果を踏まえて専門家による意見聴取を行なうなど制度の見直しに向けて現に検討されており、京都府としては国に対し引き続き早期の制度改正を働きかけていきたいと考えている。

 子どもの乳幼児医療費助成制度について、実際の実施状況を見なければ正確な数字というのは推測できないが、入院については現在、年間約1万8000件あるが、5~6千件程度増加していくのではないか、通院についても現行の3~4倍になるんではないかとそれぞれ見込んでいる。自己負担の更なる軽減と現物支給方式の制度見直しということだが、今回の拡充案は所得制限なしに入院の対象年齢を小学校卒業までに拡大するという点では全国トップで、通院についても負担限度額を大幅に引き下げるなど、まさに全体としても全国トップクラスとなっている。実施時期については、市町村において準備が必要なので前回の制度拡充の際と同時期である9月実施とした。

 医師確保対策について、京都府においては、府立医科大学による医師の養成等により、これまでから積極的に府域全体の医師確保に努めてきた。しかし、若手医師の意識の変化や新たな医師臨床研修制度の導入、科目ごとの医師の養成の問題などが加わり、現在、府域においても地域の診療科偏在が深刻化している。こうした課題に対応するとともに、府域において地域の医療の確保をはかるため総額6億円を超える来年度予算を今議会でお願いしているところであり、市町村と連携し総合的な医師確保対策を推進していきたいと考えている。看護師確保対策についてはこれまでから看護師養成等に取り組んできたところだが、看護基準の見直し、院内感染対策への取り組みなど、看護の高度化や介護従業等の介護職員の職域の広がりなど状況が変化する中で看護士確保が切実な課題になっている。来年度は従来の取り組みに加え、若手看護士の離職防止等を図るため新たに看護士離職防止対策事業を実施するが、国に対する必要な要望も含めて看護士確保に積極的に努めていきたいと考えている。

【前窪】  障害者自立支援法による利用料の増大、施設運営の困窮の問題については、与党だけではなく日本共産党も府民の皆さんと力を合わせ大いに改善を求めてきた。知事は今回の答弁でも応益負担の撤回を表明されませんでした。これは明確にしていただきたい。国の特別対策の実施により、本府の財政支援は軽くなると思う。その分、利用者負担軽減のために思い切った措置を行なうべきではないか、直ちに検討に着手すべきではないかと考えますが、再度答弁をお願いします。民間福祉職員の予算が削減されていると指摘したが、しかし、知事は実施をしていくと答えられた。予算削減と実施との関係はどうなるのか明らかにしてほしい。

 視覚障害者の移動支援について、視覚障害者協会では、自立支援法になってからガイドヘルパーの事業だけでも年間1000万円もの赤字を抱える事態になっていると言います。京都市や長岡京、向日市などで補填事業が実施され、あるいは城陽市でも単価アップが実施されている。市町村の実施状況を見ながら府の支援が必要だと思うが、この点について再度伺います。また、ヘルパー養成講座の問題では、これは京都市任せにすることではなく、府内のヘルパー不足が深刻だということであるので、府の努力が今求められていると思う。この問題ではそんなに多くの費用がかかるという問題ではなく、これはやる気の問題だと思う。知事の言う現場主義。まさにこういうところに光を当てるのが現場主義の中身ではないか。府としても、委託事業の再開、指定事業者の登録などぜひこの際実施すべきだと思うが、再度答弁をお願いします。

 子どもの医療費助成問題については、すでにこれまで府の制度を上回っている自治体が20を数えており、窓口負担なしでやっている自治体もすでに20を数えている状況です。したがって私どもの提案は、窓口負担をなくすということや、3000円の負担の軽減というのを求めているわけで、多くの自治体がすでに実施している状況を見れば、今後の課題として真剣に検討してほしいということを強く要望しておきたい。

 看護士確保対策については、昨年策定された看護士需給計画が実態と相当かけ離れたものとなっている。計画を見直す必要があるのではないか。そのためには京都府として今の看護士の実態を改めて調査することが必要だと思うので、強く要望しておく。

【知事】  応益負担について一番の問題点は、応益負担により低所得者の方や重度の障害のある方が適切な療育を受けられないことが問題になるので、上限を決めることによって応益負担ではなくて基本的に応益負担にしていくという制度にしたわけです。それをちゃんと国に要望しているのだから、その点はご理解していただきたいと思う。民間福祉職員に対する産休病休代替職員については私どもの助成制度がしっかりと残っているので、そこはご理解いただきたい。

 視覚障害者の移動支援について、必要な補助額の確保について国に引き続き要請を行なっていきたいと思っている。ガイドヘルパーについては、数は確かにあるがそれがうまく動くようにこれから努力していきたい。

 看護士不足対策はしっかりとした形で取り組んでいるところなので、そうした点を通じて、府民の皆様の安心安全を実現するために今後とも努力していきたい。

【前窪】  応益負担の撤回こそ必要だということを強調しておきます。知事はその立場にはっきりと立っていただきたいということを求めておきます。民間社会福祉施設職員の処遇改善の問題は削減リストに載っている。その点について質問しているのだから、それに対する答弁をはっきりしてほしい。削減するのかしないのか。

 次に、雇用対策と地域経済について伺います。

 昨年、NHKテレビが2回にわたって特集した「ワーキングプア」の問題は、日本の現在と未来に、深刻な影を落としていることを浮き彫りにしました。まじめに働いても働いても、生活保護基準以下の収入しかない貧困層が激増し、10世帯に1世帯、400万世帯を超え広がっています。

 そもそも、ワーキングプアは自然に発生したのではありません。財界・大企業の求めに応じて、自民・公明の小泉内閣がすすめてきた労働法制の規制緩和によって発生した問題です。原則禁止だった派遣労働を原則自由にする「労働者派遣法」の改悪で、正規社員がどんどん減らされる一方で、派遣・パート労働者等が1,600万人にも膨れ上がり、その半数が年収200万円以下という貧困状態に置かれたのです。その結果として、大企業が空前の儲けをあげているのです。これら労働法制の改悪に、民主党も賛成してきました。府議会では民主党議員から「正規雇用の要求は時代遅れの考え」という発言も飛び出しました。自民・公明に民主も加わって加速した、貧困と格差の拡大は、直ちに是正しなければなりません。

 いま、働くルールの破壊に、批判が高まっているときに、さらに問題を深刻化させる法案を、政府・与党が検討していることは、本当に許せません。それが、「ホワイトカラー・エグゼンプション」法案、つまり「残業代ゼロ」法案であります。

 この問題では、世論の批判のあまりの強さに、安部首相が、「現段階で国民の理解が得られていない」と述べ、法案提出が困難視されていましたが、政府・与党は、一昨日、今国会への提出を見送りました。しかし、完全に断念したわけでなく、参議院選後にも導入をねらっています。時期がいつであれ、絶対に導入すべきではありません。

 そこで伺います。本府は、中期ビジョンで「誰もが働き方を選べる社会をめざす」と掲げています。しかし、今回の「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、大企業などのサービス残業の自由を拡大するものであっても、決して労働者が働き方を選べるものではありません。いま不安の中にある府民を、さらに困難な状況に追い込むような、「ホワイトカラー・エグゼンプション」法案に対して、きっぱりと反対の意思表示をすべきだと考えます。いかがですか。

 わが議員団は、これまで雇用問題を繰り返し取り上げ、本府としても正規雇用の拡大に全力をあげること、サービス残業など違法労働の根絶を求めてきました。知事は、当初「正規雇用を求めるようなことをすれば、企業は京都に来てくれない」と述べていましたが、昨年の12月議会で、わが党西脇議員の質問に対し、企業立地促進の条例改正に際して「正規雇用の促進を盛り込む」と約束され、今議会に改正案が提案されました。そのことは一歩前進ですが、さらに、実効ある対策を求めるものです。

 私は先日、本府から10億円に及ぶとも言われる企業立地補助金を受けるジャトコ八木工場の幹部社員から、お話を聞く機会がありました。現在、社員は471人、他に派遣労働者は製造で134人、事務で4人の合計609人という報告を受けました。また、正規雇用は、06年度は15人で、07年度は5人を予定していること、地元南丹市からの正規雇用の枠は、特に設定していないことなど、明らかにされました。知事も同席した記者発表で、工場拡張に伴う従業員の体制は、07年度850人体制と公表されていますが、その実現の見通しは未定とのことでした。

 そこで伺います。工場拡張に伴う、本府とジャトコとの約束は、従業員体制で、総数何人なのか、そのうち正規雇用は何人の予定なのか、明らかにしていただきたい。

 また、ジャトコ八木工場の例では、850人体制への実行計画が示されておらず、見通しも不透明であること、正規雇用の実績が極めて少ないことなど、これでは「雇用の安定・創出と地域経済の活性化を図る」という条例本来の目的を達成できるのか、危惧を持つものです。補助金を受ける企業に対し、工場全体の「雇用計画書」の提出を求め、真に雇用の安定・創出と地域経済の活性化に結びつくよう審査する必要があると考えますが、いかがですか。

 次に、和装産業振興についてです。

 昨年の京都府内の倒産件数は、過去最多の573件、負債総額は一昨年の5倍を超える3千億円にも達しています。地元新聞は、「好況、中小には波及せず」の見出しで、「破産が449件になるなど増加が目立ち、事業継続を目指さず破産を選択する傾向が顕著」と報じています。ごく一部の大企業が過去最高の収益をあげている一方で、府内の多くの中小企業が、将来の見通しを持てずに、やむなく破産に追い込まれています。

 昨年の「たけうちグループ」の倒産は、室町問屋をはじめ西陣や友禅、丹後など産地への直接的な影響や連鎖倒産、雇用不安など地域経済にも大きな打撃を与えています。「たけうち」と取り引きをしていた右京区の男性が、不渡り手形を握りしめ、無念の自殺に追い込まれました。また、小物会社の元役職者や丹後の白生地屋さんも、同じように犠牲になりました。私ども議員団は、このような事態を出さないため、緊急の実態調査と対策を求めてきましたが、知事は、このような実態をつかんでおられますか。これ以上の犠牲者を出さないためにも、実態の調査を緊急にすべきでありませんか。いかがですか。

 府は、「たけうち」の倒産による和装関連業種の緊急対策に、3,500万円の補正予算を組みました。緊急対策を打つことは、当然のことでありますが、一方で、儲けを増やしているジヤトコ1社の工場拡張に出す補助金は、10億円といわれるだけに、あまりにも大きな格差に、「これでよいのか」と感じるのは、私一人ではありません。10億円をだして誘致する企業1社で生まれる雇用が200人と言われていますが、数万人が働く和装関連産業の振興には、緊急対策とはいうものの、わずか3500万円、そして、今回の予算でも1億円余というのは、あまりにも少なすぎると思われませんか。「伝統産業振興条例」に「伝統産業の振興に京都府は責任を負う」と謳っている立場からも、これで府が十分にその責任を果たしていると考えているのかどうか、お答え下さい。

 次に、大型店の出店規制についてです。

 京都市内では昨年、大型店の新設届け出が8件で、大店立地法施行後最も多くなっています。3月に閉鎖する近鉄百貨店、売り場面積は4万2千平方メートルですが、そこに「ヨドバシカメラ」が出店します。伊勢丹の西側には8千平方メートルの「ビックカメラ」が出店、すでに建築工事が始まっています。さらに、京都駅南に松下興産が超大型ショッピングセンターをシネコン併設でつくる計画が進んでおり、京都駅周辺に大型店の出店ラッシュが起きています。京都駅を中心に広大な商圏を持つ大型店の出店ラッシュは、府内の商業環境を一変させるものです。

 2つの店舗で、5万平方メートル以上になる家電量販店の出店は、府内の約1,100軒の電気屋さんのすべての売り場面積を上回るものです。その影響は広範囲に及ぶもので、身近な電気屋さんを廃業に追い込むことになり、暮らしや地域社会そのものが、壊される事態を招きかねません。しかも、「ヨドバシカメラ」の場合、改装だけであれば、大店立地法にもかけずオープンができることになります。

 ヨドバシカメラ、ビッグカメラが、地元電機商業者との話し合いを拒否し、一方的に出店準備をすすめているなかで、京都電機商業組合は、出店者との協議の場をつくるために、大変な努力をされています。  知事は昨年12月定例会で、わが党の西脇議員の質問に対して、「京都市内の問題は、京都市が判断されている」、「市長が厳しく指導すると答えている」と述べられましたが、商圏が広く京都南部や中北部にも大きな影響を及ぼすことから、京都市の問題として、冷たく突き放すわけにいかないと考えます。出店する大型店が、地元電気商業者との協議の場をもうけ、地元の声をよく聞くよう、適切な指導をすべきでありませんか。いかがですか。

 また、相次ぐ大型店の出店によって、地域の小売業者がどのような影響を受けるのか、その調査をすることは、知事の果たすべき最低限の責任だと考えますが、なぜ、調査もしないのか、お答え下さい。

【知事】  自己管理型労働制についてだが、この制度は、一定の要件を満たすホワイトカラーを対象に、労働時間に関する一律的な規制を除外し、労働者の自己管理にするものとなっています。国の労働政策審議会の場において、さまざまな立場から、幅広く議論がなされまして、また、社会的にも大きな反響を呼んでいる問題であります。私も、今後とも、あらゆる角度から、問題点を踏まえた慎重な検討が必要であると考えております。京都府といたしましては、賃金の未払いや違法な派遣労働などに対し、労働関係法令の遵守や徹底をはかる観点から、去る1月29日にも、京都労働局に対し、要請したところでありますけれども、今後とも、労働者保護の観点から、府内の労働者が安心安全に働ける労働環境の確立に向け、関係機関とともに取り組んでまいりたいと考えております。

 ジャトコの工場増設に伴う地元雇用についてでありますが、今回の八木工場の増設にあたりましては、府の誘致の趣旨も十分ご理解いただきまして、雇用情勢が変化し、人材確保が非常に今、難しくなっているなかで、簡単に地元雇用ができないという状況のなかで、雇用関係機関及び教育機関とも連携し、きちんと地元雇用に精力的に取り組んでいただいているところであります。大変大きな工場でありますので、熟練工が必要なところですので、他府県からの転勤者も大変多くなっておりまして、平成18年度の常用雇用者の増加は167名で、すべて正規雇用であります。雇用の場の創出はもとより、地域の人口増など、活性化に大きく貢献していることは、まちがいないというふうに思います。

 なお、ジャトコの工場の増設に伴います従業員総数についてでありますが、850名と公表、発表されているところでありまして、このうち常用雇用者は当面650名の計画となっているということでございます。  府といたしましては、誘致企業における地元雇用の促進について、機会あるごとに申請しておりますし、これに関する補助金はこれによってはじめて支払われる形になりますので、そういった点もご理解いただきたいと思います。5年間の雇用計画書も提出していただいておりますし、今後さらに、条例改正の主旨に基づき、「正規雇用」等のより安定した雇用や障害者雇用の促進についても、働きかけてまいりたいというふうに考えております。

 和装産業振興について、和装産業というのは、京都を代表する重要な基幹産業でありまして、それが現在、大変厳しい状況におかれているところであります。この点は、私も十分に認識をしております。きょうもこうして、「着物議会」ということで、理事者もみんな、着物を着ているところでございまして、前窪先生も着物を着て質問していただければよかったな、というふうに思っているところでありますが、そういった状況については、私も業界のみなさまのご意見を聞くなかで、把握に努めているところでありますが、昨年の「タケウチグループ」の倒産につきましても、いち早く関係機関との緊急会議を開催し、厳しい状況をお聞きするなかで、セーフティーネット補助1号の早期指定を国に要望、金融機関等へ資金調達の配慮を要請しました。京都市とともに、金融経営相談窓口を開設いたしました。また、9月補正予算で、「京の着物元気づくり事業費」を計上いたしました。さらに、12月補正予算で、匠の公共事業の前倒し発注という形で、二度にわたり、補正予算を講じるなど、異例の緊急対策を決めてきたところであります。

 京都府としては、単に伝統産業ということだけでなく、まさに中小企業という観点からも、いままで、「安心安全借換融資」や「小規模企業応援融資」などの金融対策のために、大変多額の資金を投入してきたところでありまして、そのなかで、和装産業振興についても、雇用創出事業について、例えば、平成11年度から6年間で総額8億円、延べ4万7千人を超える仕事創出のために努力したところでありまして、また、匠の公共事業につきましても、毎年1億円を超える、全国に例のない職人さんへの支援をすすめているところであります。

 今後とも、和装産業の振興を総合に推進するとともに、「伝統と文化のものづくり産業振興条例」や、今議会にお願いしております「中小企業応援条例」、この中にも多くの予算が入っているわけでございますので、こういった観点から、地域経済の活性に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 大型店出店規制-京都駅周辺への家電量販店の出店についての考え、調査についてだが、これはやはり、京都市内につきましては、政令指定都市ということで、きちんと法定されておりまして、大店立地法に基づきまして、役割が明確化されているなかで、二重の行政ということは非常に難しいと思います。京都市の「まちづくり条例」や「商業集積ガイドプラン」によりまして、京都市が判断をされていく、そのなかで、京都市長さんが市議会におきましても「周辺環境との調和や良好な土地環境が確保されるよう、事業者に対して厳しく指導していく」というふうに答弁されているわけですから、これからも、商店街の活性化対策、そういった計画づくり、ハード、ソフト事業につきまして、京都市さん、周辺市町村ともしっかり連携しながら、支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

【前窪】  雇用対策について、今議会に提案されている条例改正案では、雇用の安定創出について、「基本指針を定める」となっています。実効ある指針とするためには、どうしても、雇用計画書の作成とこれを検証する審査、この仕組みが必要だと考えます。これについて、お答えください。  また、大型店の出店規制についてだが、福島県では、条例をつくって広域調整をおこなっておりますし、熊本県はガイドラインをつくって大型店の地域貢献を義務づけています。こういう積極的なことをやっているわけです。本府はどうして、このような立場にたたれないのか。「政令指定都市だから京都市におまかせ」ということではだめだと思います。今度のような巨大な店舗が、京都駅周辺にできるということですから、府内各所に大きな影響を及ぼします。それを調整することが必要だと思います。しかし、「ビッグカメラ」、「ヨドバシカメラ」は、電気商業組合さんなどとの協議を拒否している。こういうことなんです。これを協議の場につかせる、これぐらいの指導は、京都市が行うべきだと思うし、京都市がやっていないのであれば、府が京都市と十分協議して、そういう立場に立っていただく、このことが必要だと思うし、しかも、その影響調査は府としてやるべきことだと思います。調査もしないのですか。この点について答弁をお願いします。

【知事】  雇用の企業誘致の関係でありますが、これからの正規雇用の促進とか、障害者のみなさんの雇用促進ということで、具体的に規則、指針のなかで条件を決めてまいります。その条件が守られた場合に補助金が交付されるわけですから、そしてその補助金については、府として審査しなければいけない、そういう立場であります。

 それから、政令市との関係につきましては、法的な権限の問題でありまして、まさに、そういうことですと、大阪府に対しても、滋賀県に対しても、私ども何か・・ということになりますので、これはなんとか京都市との連携のなかで問題が起こる場合には、われわれも動かなければならないと思いますけれども、このところ、そういう協調関係をしっかり見据えた形での政策を講じてまいる、これが地方自治の筋だと思います。

【前窪】  大型店の出店問題でありますが、もう多くは言いませんけれども、福島県や熊本県の事例もあげました。政令市というが、政令市との協議でどういう立場で臨むのか、そのことを求めているのだ。府内の中小業者を守る、という姿勢が、今の知事の答弁ではまったく見られない、非常に消極的である。この立場を転換していただきたいと思います。

 次に、地震対策について伺います。

 中央防災会議の専門調査会は昨年12月、近畿・中部で活断層などが原因で起こる可能性のある直下型の大地震について、震度予測を公表しました。公表された震度予測では、京都に直接的に被害を及ぼすとされる花折断層帯、奈良盆地東縁断層帯、京都西山断層帯で、いずれも震度6強から震度7と予測され、阪神大震災級の大きな地震と予測されています。

 本府は現在、地震被害想定調査を本年度中に終了し、地域防災計画の見直しに着手するとしていますが、震度予測は、被害想定や防災計画策定の前提となるデータであるだけに、中央防災会議が公表した震度分布も含め、十分な検討が必要です。

 そこで、伺います。過去の内陸型の大地震は、海溝型の東南海・南海地震の前後に起きているケースが多く、内陸型地震と海溝型の関連も指摘されていることから、当然これらを想定し、本府の地域防災計画の見直しに、こうした指摘を反映すべきと考えますが。いかがですか。

 また、中央防災会議は、香川県知事の意見もふまえ、東南海・南海地震防災対策推進地域に10市町を追加し、香川県の全域を指定しました。そこで、これまで繰り返し求めてきた、京都南部の防災対策推進地域の指定について、改めて伺います。

 京都南部を囲む滋賀県、三重県、奈良県、大阪府側の自治体は当初から、あるいはその後の追加申請により、すべて防災対策推進地域に指定されています。ところが本府の指定自治体は依然として京都市だけであります。

 中央防災会議は、防災対策推進地域の指定要件として、知事の意見など多岐にわたって考慮するとしています。関係都府県等が実施した被害想定などの結果、震度6弱以上となる場合、防災訓練や防災関係に関する事務を一体的に遂行している場合、周囲を指定市町村に囲まれている場合などであります。

 そこで、これらの条件に合致している京都南部が、速やかに防災対策推進地域に指定されるよう国に要望し、地震対策を強化すべきです。併せて、東海地震並みの手厚い財政措置を求めるべきと考えます。積極的な答弁を求めます。

 次に、山城通学圏の高校制度改革について伺います。

 昨年末の臨時国会で、戦後の教育史上に最悪の汚点を刻み込んだ教育基本法改悪が強行され、「全国いっせい学力テスト」や学区自由化、学校選択制、いじめ対策の「数値目標」化など、学校や子どもたちの競争をいっそう激化させ、「勝ち組」「負け組」にふるいわける教育が地方に押し付けられようとしています。わが議員団は、憲法をよりどころに、改悪基本法の具体化に反対し、子どもたちの未来を守る取り組みに全力を尽くします。 

 そこで、子どもたちの未来にとってきわめて重要な高校入試と、希望する子どもたちに高校教育の機会を保障する立場から、山城通学圏における高校制度改革についてお聞きします。山城地域では「高校入試制度」の改変により、通学圏が拡大され、高校ごとの単独選抜の実施や特色選抜制度などが導入されて3年が経過しました。 昨年12月に、「山城地域の高校統廃合問題を考える会」のみなさんが、この3年間、山城通学圏における入試選抜制度の改変や高校再編によって、生徒や父母、地域、教職員、学校教育にどのような影響を与えているかを検証され、「山城地域の高校入試黒書」を発行されました。

 そこでは、府教育委員会がすすめる「特色ある高校づくり」と単独選抜によって高校の格差と序列化がすすみ、生徒の夢をつぶすという深刻な実態が明らかにされています。

 あるお母さんは、「子どもが、近くて、よく知っている高校を選択したが、やる気がない生徒が多いとこぼしている」という声や、先生からは、「本当は別の高校に行きたかったけど」という生徒の声を聞き、「そんな気持ちを持ちながら学校に通っていると思うといたたまれなくなる」との声が寄せられています。

 その結果、ある高校では制度改変の1年目、平成16年度入学の1年生245人の内、16%にも及ぶ39人が退学、転学しています。2年目の17年度には、1年生209人の内14%の29人が、一年経った時点で、退学、転学しています。調べてみますと、山城通学圏の12校のうち4校で、1年に20人以上の生徒が中途で退学をしています。

 そこで伺います。他の通学圏と比較して中途退学者が突出している原因は、何だとお考えですか、山城通学圏だけの完全単独選抜の入試制度に原因があるのではありませんか、いかがですか。昨年12月議会文教常任委員会で、わが党の本庄議員が「希望する高校を選べるシステムとしてきたが、現実は、競争が激化するもとで本人の意思とは関係なく、子どもたちは高校を選ばされている」と指摘し、入試制度の改善を求めたのに対して、府教委は、「競争率が3倍、4倍と人気が高い。非常に好評ということが倍率になって現れている」と答弁されました。しかし、推薦と特色選抜の不合格者は、16年度1190人、17年度891人、18年度720人と、従来とは比べものにならない不合格者を生み出しています。この不合格の経験が、その後の一般選抜にも影響し、希望校を変更させるなど、多くの受験生を悩ませているのです。その結果、競争率が4倍・5倍の「難関4年生大学」への進学を最大の特色とする高校ができる一方で、不本意な入学生が多く、目的を持って高校生活を送ることが困難な生徒が多い高校がつくられるなど、高校の「序列化」を加速させています。そこで伺います。教育委員会はこのような高校の「序列化」は当然だとお考えですか。また、高校生の夢や希望の芽を摘んでいる高校教育のひずみをどう是正されるのですか。また、教育委員会は「特色ある学校」づくりのもとで、中高一貫校や「受験専門学科」を持つ高校などには平均以上の加配教員を配置するなど、教員配置数においても高校間に格差をつけています。山城通学圏でも同じ傾向がみられますが、全ての子供たちが等しく学ぶことができるようにするための、教育条件整備における格差こそ是正すべきではありませんか、いかがですか。

 最後に、憲法改定問題について伺います。

 安部首相は、この国会で改憲手続き法を成立させ、参院選挙で改憲を争点にすえると宣言しました。また、自分の任期中に憲法改定を実現すると公言し、NATO北太平洋条約機構理事会の演説でも、「自衛隊が海外で活動することはためらいません」と述べました。改憲の狙いはもはや明らかです。アメリカの言いなりになり、日本を「海外で戦争する国」にするということです。

 そのための準備も始まっています。昨年末の国会で、海外派兵を自衛隊の「本来任務」にすることを、防衛省への格上げとセットで強行し、今国会では、改憲手続き法案を、こともあろうに5月3日の憲法記念日までに、自民・公明と民主党の合作で成立させようとしています。この法案は、憲法を改悪しやすい仕組みにしています。第一に、最低投票率規定なく、国民の2割台という少数の賛成でも、改定できること。第二に、すべての国民に自由な運動が保障されるべきなのに、公務員、教育者への規制を設けていること。第三に、有料のテレビ、ラジオ、新聞などの広告が、資金力のある財界や改憲推進勢力によって独占される恐れがあること。第四に、改憲案の国民への周知、広報を、改憲推進政党主導で行う仕組みが盛り込まれていることなど、であります。こんな悪法は、廃案以外にありません。一方、改憲勢力と平和を求める国民との矛盾も広がっています。草の根の「9条の会」の数は、昨年一年間で、4千から、毎月約2百の新たな結成が続き、現在では6000を超え、経済界、文化人、宗教者など、幅広い層を結集して前進しています。京都仏教会の理事長であり、金閣寺・銀閣寺の住職の有馬頼底さんや鞍馬寺管長の信楽香仁さん、作家の瀬戸内寂聴さんをはじめ、多くの人たちが「憲法9条を守ろう」と呼びかけられ、草の根の運動が広がっています。読売新聞の世論調査でも、「優先的に取り組んでほしい」こととして、改憲を挙げたのは、わずか7%です。

 今年は、憲法施行60周年の記念すべき年です。日本共産党は、改憲の動きが加速している今こそ、憲法改悪反対の一点での共同をすすめ、9条を守り、平和擁護の取り組みを、大きく発展させることが大切だと考えています。

 そこで伺います。

 憲法99条では、「公務員は、憲法を尊重し擁護する義務を負う」とされています。知事として、憲法9条の改悪とそのための手続き法である国民投票法案にきっぱり反対し、先駆的で平和的な内容を、広く府民に普及する立場に立つことは、当然ではありませんか。知事は、私どもが繰り返し9条改定について質問してきたことに対し、一度もはっきりした答弁をしてきませんでした。そこで改めて、9条を守る立場に立たつのか、立たたないのか、どちらなのか、はっきりとした答弁を求めるものです。

【知事】  地震対策だが、内陸型地震と海溝型地震の関連につきましては、中央防災会議の専門家調査会の報告では次の東南海、南海地震の発生に向けて近畿圏を含む広い範囲で内陸型地震の活動が可発化する活動期に入ったと考えられると指摘されている。そこで、京都府では、東南海、南海地震の被害に比べまして、内陸型地震の被害がより大きくなることを校了して、国の調査における諸データも十分に活用しながら、より精緻な地震被害の想定調査を実施しておりまして、今年度末までには調査結果をとりまとめることとしている。今後、調査結果を踏まえまして、地域防災計画の見直しを実施したいと考えている。

 次に東南海南海地震防災対策の推進地域ですが、平成15年当時の推進地域の指定については、国が震度6弱以上が予想される地点等を基準に推進地域の指定をしたもので、府内では、京都市のみが対象となった上、他の市町村からは地域指定の要望もなかったところである。今後の対応としては、近畿の各府県や市町村の連携を強化し、地震防災対策を充実することが必要であるという観点から、精緻な地震被害想定調査の結果を踏まえて、防災対策の一層の強化を進めていきたいと考えている。その中で、地域指定についても国に対し必要な措置を要請することになると考えている。

 憲法だが、九条の問題については、私は前文にも書いてあるが平和主義というものにつきましては、この理念を堅持すべきと言う基本的な考え方、私は、これは人類普遍のものと思っておりまして、真に各国の人々が国境を越えて協調し、世界の恒久平和、人類の共存と未来を守ろうとするこういう憲法の趣旨を踏まえた上で議論が進むことを願っている。

 まるで、あの、マルバツ教育みたいに○か×かと言うことではないと思います。そういうしっかりとした平和主義を守りながら、憲法でも考えていくべきだと言うことを申し上げている。

 それから、99条の憲法尊重義務と、96条改正の話しだが、96条憲法第九項は、改定を規定していますから、今の国民投票法案のその中身という意味ではなくて、手続き法自身はなければ憲法が死文化してしまう、憲法が死文化してしまうということになるのですが、そういうことを踏まえた形で尊重義務について質問して頂ければ、私も明快に回答できると思う。

【教育長】  山城地域の選抜制度でありますが、中学生が自分の能力、適正、進路希望に応じて、今まで以上に希望する高校を主体的に選抜できるよう平成16年度選抜から改善を図った。制度改善以降すでに三年が経過しているが、ご指摘の様な声とは反対に、中学校からは、目標をもって学習をする生徒が多くなった。また、高校からも目的意識の明確な生徒が多く入学し学校全体が活性化してきたという声をいただいています。

 また、それまで、毎年のようにあった、入学校を一方的に決められたことに対する生徒や保護者からの不満の声がなくなるなど、新しい選抜制度の成果が着実に現れてきていると考えている。

 山城通学圏における中途退学者は、入試制度改善後も大きな変化はなく1%台で推移しており他の通学圏と比較しても大きな差はない状況であるが、中途退学の要因は個々の学校により様々であることから、今後とも生徒の実態を十分踏まえたきめ細やかな対応に努めたいと考えている。

 高校が序列化しているとの指摘だが、山城通学圏の各高校におきましては、進路実現に向けて学力を伸すだけでなく、城陽高校のサッカー部や、久御山高校の剣道部など部活動を特色としている学校や、先進的に環境問題に取り組む高校、介護福祉士の資格取得をめざす高校等、様々な分野で学校の特色化が進んでいるところであり、学力というひとつの尺度を基準にした序列化という見方は一面的な見方ではないかと考えている。

 教員配置数については、各高校に標準校に基づく基準の配置を行ない必要な定数を確保した上で、各学校の特色や専門学科の教育内容の充実、不登校生徒への対応や基礎学力の向上等、学校の実状に応じた教員配置を適切に行なっている。

 府教育委員会としては、今後とも、各高校が幅広い教育内容を準備し、生徒や保護者の様々な学習や進路希望に答えられるよう支援して参りたいと考えている。

【前窪】  地震対策だが、知事ははじめて地震防災対策推進地域の国への要望も含めて検討していくと答えられました。実行に移されるように期待しておきたい。

 教育の問題だが、私は、地元の学校に入りたいという、この生徒の希望も切実な希望であると思います。この希望にどう答えるのか。確かに、遠くの学校を希望する生徒もおられます。だから、今起こっている弊害をどう克服していくのか、この点を私は指摘している訳です。中退者は大差ないと言われたが、京都市内19校で129人の中退者ですね。南部の特定の4校では、104人、26・8%にのぼっています。これ、多くないですか。多くないという教育長の認識が全くわかりません。

 さて、まだまだあるんですね。生徒指導の実態も深刻です。年間100人を越える生徒指導をしていると言うのが、特定の高校に集中している。また、授業料免除を受けている率が高いのも特定の学校に集中している。つまり、経済的な問題が学校選択の幅を狭めていると言うことも言えると思う。その上、先ほど指摘した加配教員総数ですが、府立高校全体で322人です。これを48校に割ると平均6・7人になりますね。中高一貫校、特色校、いわゆる進学校では10人を越えているということですね。ですからほとんどは5人前後ですから、格差は歴然としているのではありませんか。結局進学校でないと言われる学校に、中退、転学、授業料減免、生徒指導、いずれも集中している。これを格差と言わずしてどういうのですか。序列化と言わずしてどういうのですか。私は現状を直視して、格差や序列化の是正こそ今急ぐべきだと、このことを改めて指摘し再度答弁を求めます。

 憲法問題では、私は、憲法九条について知事は守る立場に立つのか、変える立場に立つのか、わかりやすい質問をしているのです。これに対してはっきりと答えて頂きたい。二つに一つしかないのですよ。どういう立場に立たれるのですか。改めてお伺いします。

【知事】  何度もお答えしているように、憲法前文と第九条に現されている平和主義、これを守るべきだというふうに思っております。

【教育長】  地域の学校に入りたいと、いうことが実現しないと言うことですが、私は、高等学校段階に入りますと、私立学校もありますので、地域というものの概念を広くとらえるべきだと考えております。従って、通学圏全体で子どもたちの保障をどうするかという視点で見ることが大事だと思います。生徒指導の大変な学校、教育条件上の問題、こういうものを全て含んで同列に学力の問題と含めて議論するというのは、議論の視点が少し違うのではないかという気がします。今の時代は、生徒の様々な個性や能力を伸ばしていくという多元的な視点が重要でありまして、そういう中で生徒が自分の力を信じて学校を選択していくものであると考えております。序列化と言うものの見方そのものが子どもたちの意欲を失わせるのでないかと私は考えるものです。

【前窪】  私は、南部の高等学校の格差序列化の問題についていくつか指摘させて頂きました。一面的すぎるとの答弁でしたが、私は、教育長が通学圏を一本にしたことで色々選べることができたんだと並べ立てました。これも一面的じゃないですか。どう思いますか。その中で生まれている格差とか序列化とか、子どもにとって将来の眼を摘むような現象が出てきているのではないか。それを是正するためにどうするのですかと、私は具体的な答弁を求めている訳であります。教育長の言っている、私たちがやっていることは良いことだと推奨する気持ちはわからないではないが、その結果、色々問題が出てきている。これは真摯に受け止めて頂きたい。このことを強く求めておきます。

 最後になるが、今年はいっせい地方選挙や参議院選挙が十二年に一回行なわれる年であります。憲法問題では知事ははっきり態度を表明しませんでした。障害者自立支援法では、この悪法を通した自民や公明の与党のみなさんを誉めあげました。私は、これでは府政は良くならないと思う。私たち日本共産党は、憲法9条の改悪を許さない1点での共同を広く展開しながら、九条改悪にしっかりと歯止めをかけていきたい。そして、住民の苦悩あるところに日本共産党あり、この精神を大いに発揮して府民の暮らしを応援し、貧困や格差を是正する、それに立ち向かう政治実現に全力で奮闘する。その事をみなさんに決意として表明し私の質問を終わらせて頂きます。ご静聴ありがとうございました。