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本会議質問

2月定例会 梅木紀秀府議の一般質問

2007/02/14 更新
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過疎地域住民への生活支援の問題について

【梅木】  日本共産党の梅木紀秀です。通告しております数点について、知事ならびに関係理事者に質問します。

 まず、過疎地域住民への生活支援の問題についてです。

 私の地元左京区には、花背峠を越えて、花背、広河原、久多、また大原百井町など高齢化が進む過疎地域があります。昨年8月、左京区広河原の松上げの日に、松上げ保存会のみなさんと知事とのわいわいミーティングが開かれ、参加されたみなさんはずいぶん喜んでおられました。その広河原も、私が議員になった12年前には元気だった方々が年を重ねて、高齢化がすすみ、一人住まいの女性も増えています。

 年末に、雪が降り積もるこの地域で「あと10年後、この集落はどうなるのだろうか」と言う古老の悲痛な声をお聞きしました。日本全国、京都府内で、同様の声が広がっています。

 国による、市町村合併の押し付け、地方交付税の削減、農協・郵便局の廃止・統合、品目横断対策による農業と農村の切り捨て、さらに通院・通学のバス路線の廃止・縮小、医師不足などが、容赦なく過疎地域を襲っています。抜本的な政策転換が必要ですが、喫緊の課題として、京都府が過疎地域に暮らす人々の生活をどう支援するのかという課題について、提案を含めて質問します。

 65歳以上の人口が50%をこえる集落を「限界集落」と呼ぶそうですが、京都府には、いくつあるのでしょうか。京都府として、存続の危ぶまれる農村地域の実態をどう把握しておられるか、まず、お聞きします。

 埼玉県では「農村魅力づくり室」という担当課が「集落単位の高齢化率」を調べています。その調査によると埼玉県では、平成10年度「限界集落」が13であったものが、平成16年度には27に倍増していること、予備軍である「高齢化率40%以上の集落」も34から62に増えているなど実態を把握しています。

 また、鳥取県では、19ある「限界集落」について県と関係市町が共同で、昨年、集落の生活実態調査に着手しています。このような、実態の調査、把握が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

 綾部市では、昨年12月議会で、「水源の里条例」を制定しました。世帯数20戸未満、高齢化率60%以上の水源の集落を対象に、定住対策、特産物の開発・販売、都市との交流、通信・保健・医療などの基盤整備を市が支援します。今後の展開が注目されますが、京都府として、このような取り組みを支援することが必要だと考えます。

 そこで、来年度予算で市町村未来づくり交付金に「地域力再生推進枠」3億円が提案されていますが、過疎地域への支援については、どのように考えられておられるのでしょうか。

 また、地域力の再生をはかるためには、地域力が衰退した原因の分析が必要ですが、そもそも「過疎地域の」地域力が衰退した原因について、知事はどのように分析しておられるか、考えをお聞かせください。

 過疎地域に行きまして、住民のみなさんの要望をお聞きしますと、農林業の振興、有害鳥獣対策の強化、生活道路の整備、福祉や医療、通院の足の確保など多様かつ切実であります。ところが、これに対応する行政が縦割で、横断的に対応できていないという問題があります。たとえば、携帯電話の要望は、広河原のわいわいミーティングでも出されましたが、切実な要望です。

 「携帯電話が通じないから電話を貸してほしい」と町から来た人に頼まれれば、断れない。ところが、家の中に上げるわけですから、一人暮らしの女性などは、怖くてたまらないのです。孫たちも「携帯が通じない。メールが通じない」と不便がるのです。

 このような農村に暮らす住民の視点から関係企業に働きかける行政の担当窓口はといえば、残念ながら明確ではありません。

 また、一昨年は12月から大雪が降りました。高齢化した集落では雪かきが大変でした。

 京丹後市弥栄町では、合併前には消防団や町の職員が心配してくれて、雪かきの援助もあったそうですが、合併後、京丹後市役所に電話したら、「屋根屋さんを紹介しましょうか」とのことだったそうです。

 わずかな年金で、何万円もの雪かきの費用負担は大変です。そこで、丹後広域振興局に、「台風23号被害の際、京都市内からボランティアが支援に駆けつけた実績があるが、雪かきボランティアを組織できないか」と聞いてみました。返事は「雪かきは危険で、ボランティアというわけにはいかない。」「申し出があったが、お断りした」とのことでした。

 私の地元左京区では、「スノーバスターズ」という名称で雪かきボランティアが組織されています。課題はあるでしょうが、できない話ではありません。

 過疎地域に暮らす府民の視点から出発して、生活を支援する担当窓口が市町や府に必要なのではないでしょうか。鳥取県では、「地域自立戦略課」に「中山間地域振興担当者」を配置し、先ほど紹介した生活事態調査を行うとともに、部局横断的な「ワーキンググループ」を作って政策検討を行っています。

 「あと10年後、この集落はどうなっているのだろうか」との不安にこたえるために、担当窓口と部局横断的なプロジェクト体制が必要です。いかがですか。以上、知事の答弁をお願いします。

【知事】  梅木議員のご質問にお答えいたします。

 65歳以上の人口が過半数を占める、いわゆる限界集落につきましては、センサスでは、京都府内に96集落あったところでありまして、そこに生活する人々は、約4800人位でございます。こうした限界集落を含めまして、過疎化高齢化の著しい地域では、医療施設や高齢者の福祉施設が少ない。集会施設等のコミュニティー施設が少ない。道路情報、社会的インフラの整備が遅れているなど、多くの課題が指摘されておりまして、また、過疎市町村の集落を対象としましたアンケート調査では、対象となりました府内577の集落の内、55の集落で集落機能の維持が難しい、あるいは低下しているという回答があった所であります。

 こうした中、集落の状況を熟知している市町村におきましては、地域の実態を踏まえながら、過疎地域自立促進計画や山村振興計画を作成いたしまして、集落排水や集落道などの生活基盤整備、野菜など収益性の高い農業の導入、多様な地域資源を活かした農林産物の加工や販売など2次化、3次化の努力、そして、都市と農村の交流事業などの取り組みが展開されているところであり、京都府といたしましても、こうした市町村の施策を積極的に支援して参ったところです。

 しかし、東京への一極集中が再び進むなど、大きな地域間格差が進む中で都市部への人口集中がまた進行をし始めています。それに対し過疎小規模市町村では、福祉施策や社会性整備に対応する行財政基盤が弱く、さらにかっての基幹産業であった農林水産業の停滞など、雇用の場も厳しさを増しており、こうした中で過疎の流れが依然としてとまらない事が大きな課題になっております。このため京都府といたしましても、それぞれの地域の特性を活かし、地域の主体的な力を高めながら地域の均衡ある発展を図るため、情報交通基盤整備など、地域間の格差を縮小させる取り組みを進めるとともに、広域振興局が市町村と連携し幅広い地域の人たちからなる委員会により実情を十分お聞きする中で、地域振興計画を策定し、さらに地域戦略予算により積極的な対策を講じてまいりました。あわせて国に対しましても、一極集中の是正に向けた取り組みの一層の強化を強く働きかけている所であります。

 19年度予算編成の基本方針で掲げた地域力の再生は、まさにこうした観点を踏まえたものであり、市町村未来作り交付金を拡充し、新たに設けました地域力再生推進枠につきましても、地域団体等が行う地域の活性化、地域福祉の向上、安心安全な地域づくりなどを地域社会に貢献する地域の住民の皆様の活動を支えて行こうというものであります。また、これらの施策の推進にあたりましては、部局を超え迅速かつ積極的に地域の課題に対応出来るよう、広域振興局に権限を集中し再編したところでありますが、今後とも振興局を核に支庁各部が連携し、さらに市町村との協調のもと、過疎地域を含めた地域活力の強化と府民生活の向上に向けて積極的に取り組んでいるところであります。

【梅木】  知事から限界について96集落4800人が住んでおられるということをおききしました。実はこの質問を準備する前に、農村振興課の方にお聞きをしましたら、直ちにはこの数字が出てこないということで、先ほどお答えになりました96集落というのは、2000年農業政策から、集落内の農家人口において65歳以上の人口割合が50%以上の集落を抽出したものということで私は報告を受けました。その数字だというふうに思いますけど、私はまず実際に過疎地域に暮らす皆さん方がどういう生活実態であるのかということを調査するべきだ。その点で鳥取県がすでにやっている訳ですから、これを参考にして是非とも着手をして頂きたいというふうに思います。それでとくに先ほど申したように部局横断的なプロジェクトチームを作っていくということが、今の重要な課題に応えていく道ではないかというふうに思います。そこで私は、私の地元の広河原まで知事に来ていただいていろいろお話をされた、本当に地元の皆さん方も喜んでおられるわけですけども、その広河原に行ったときに、どういう事を感じられたのか、また、普段そのほかの地域にも行っておられると思いますけれども、率直なところで、そういう過疎地域、高齢化が進む地域で知事がどういう感想を持っておられるのか、そのあたりを再度お聞かせいただきたいというふうに思います。

【知事】  広河原に参りましたときの、私のお話を聞いたときの私の思いですけども、まさに非常に厳しい条件の中で集落を維持するとともに地域の連帯感をさらに高めるために、あの松上げを中心として頑張っておられる。こうした人々を私たちは少しでも支えて生きたいという思いが私はありました。そこで今回、地域力の再生枠と言う形で、そうした地域において積極的に絆を高めながら、地域の活性を頑張っている方々を応援できる仕組みを作るということは、これはあの広河原に行った私のひとつの結論でございます。それだけに今回の思いにつきましては京都市内も対象にすることにしているわけでありまして、これからも私は、地域の本当に絆と信頼関係を保つためにやっていかなければならないことについては積極的に応援をしていく、そういう思いで今議会にも予算をお願いした所であります。

【梅木】  どうもありがとうございました。

 私はやっぱり、過疎地域に行きますと一人暮らしの女性が台風の夜に、本当に心細い思いをしている、大雪が降ったらその降り積もった雪の重みで家がミシミシという音を聞く。その孤独感というのは大変だと思います。それが、息子さんたちがなかなか帰る訳にはいかない。出てこいというわけにもいかないわけですから、大変重要な課題だというふうに思います。是非ともこれは府のほうで市町村とも協力して取り組んでいただきたいというふうに思います。

私学助成について

【梅木】  次に、私学助成について、うかがいます。

 私学助成をすすめる会から昨年末に私学助成の充実を求めて、約48万人の要請署名が知事宛に提出されました。その第一項目で、授業料直接補助について、①所得の少ない世帯に大幅に上積みすること、②所得制限をなくすこと、を求めています。

 全国私立学校教職員組合の「学費滞納調査」によれば、昨年9月末時点で私立高校生の学費の滞納と経済的理由での中途退学者は、1999年の調査開始以来2番目の多さになっているとのことです。京都府内の私学でも昨年、経済的理由による退学者は、35名にのぼっています。

 そこでまず、所得の少ない世帯への支援の問題についてです。公立高校の場合は授業料減免制度があります。昨年末、京都新聞は「京都府内の公立高校の、授業料の減免を受ける生徒の割合が過去最高」になったと報道しました。貧困と格差の拡大の影響です。府立高校の生徒の13・6%、5234人が減免を受けています。

 一方、私学の場合、授業料減免は、学校が減免する場合に府が補助するという制度になっており、昨年度は、減免を受けた生徒は1・7%、395人です。減免を受けた生徒が、府立高校では7人に1人に対して、私学では60人に1人で、極端に少ないのです。

 私学に通う生徒の家庭がすべて裕福なわけではありません。制度に問題があるのです。以前から私も提案して来ましたが、京都府が直接、所得の少ない世帯を支援する制度が必要なのではないでしょうか。

 大阪府の場合、生活保護世帯で最高35万円など、所得の少ない世帯には上積みして、府が直接授業料補助をおこなっています。「授業料直接補助を所得の少ない世帯に大幅に上積みしてほしい」という48万人の声にこたえるべきです。いかがですか。

 次に所得制限をなくす問題です。京都府の授業料直接補助は、制度創設以来、全生徒に補助されていましたが、1999年度から所得制限が導入されました。

 その結果、所得証明書類を添付して申請しなければならなくなり、現在では、全生徒の6割から7割しか授業料直接補助を受けていません。

 助成を受けていない世帯が、すべて所得1200万円以上とは思えません。申請主義になったために、補助を受けていない生徒が出ているのです。所得制限をなくすべきです。授業料直接補助の総額は、所得制限を設ける以前の平成5年度、14億6千万円でしたが、平成17年度は7億7千万円で、半額になっています。所得制限をはずして、全員に補助するための所要額は、文教課によれば11億2千万円です。

 48万人の署名にあるように所得制限をはずして、全員に補助する制度に戻すべきです。いかがですか。以上、お答えください。

【総務部長】  私立学校が授業料減免等の就学支援を行うにあたりましては、設置者である私学の責任と判断に基づき、私学に対する就学相談、指導とあいまってすすめられることが適当であり、京都府といたしましては、こうした学校の取り組みを支援するというのが、基本であるというふうに考えております。

 このような考え方に立ち、府としては、国に先駆けて、授業料減免補助制度を創設し、これまでから、補助対象、補助率、補助限度額の拡充、改善につとめてきたところでありまして、現在、補助率については、低所得者世帯で実質6分の5、失職、倒産等で実質8分の7、補助限度額については、最高で50万円と、大変手厚い制度となっております。この結果、現在、すべての私立学校において減免制度が設けられているところでありまして、今後とも、ひきつづき、その活用について周知徹底をはかりたいと考えております。

 次に、学費軽減補助についてでありますが、平成11年度から、所得に応じた実質的な公平性を確保する観点から、所得基準を導入いたしましたが、その内容は、学費負担者の年収が1200万円以下の人を補助対象とする、きわめてゆるやかな要件に該当する補助を行っております。

 このように私学助成につきましては、学費軽減補助、授業料減免補助のほか、平成17年度に創設した、全国的にも高い水準にある、高校生等修学支援事業を活用していただければ、年間納付金全額をほぼ確保できる額になりまして、全国的にみて、高い水準の修学支援を行っていると考えております。

【梅木】  今の総務部長の答弁では、設置者の学校に対する支援を行っている、ということでした。私は、その制度をということではなしに、いま隘路になっているところを指摘したわけです。ワーキングプアの番組がNHKでも放送されました。そのなかで母子家庭の実態が放送されましたが、本当に大変な状況になっているわけです。そのなかで、35人が経済的理由で退学をしている、そういう生徒がいるわけです。そこのところはどういうふうに援助するのか、いうことが問題になっているということです。

 確かに、修学資金、支度金も含めまして、来年度の予算でも15億円、組まれています。これは基本的にローンになるわけです。奨学金の貸付ということで、17年度は12億円の実績があるわけですけれども、それは卒業と同時に返済しなければならないわけです。社会人になると同時に、借金を背負っていく、というだけでは不十分だと思います。全体で私学助成の充実、負担の軽減ということが大きな課題なわけでありますけれども、せめて中途退学しなくてもいいように、直接、生徒に補助する制度が必要だ、ということを改めて指摘しておきたいと思います。ぜひとも検討をしていただきたいということで、次の質問に移ります。

府営住宅の問題について

【梅木】  次に、府営住宅の問題について質問します。  昨年9月議会で、わが党の久守議員が府営住宅の新規建設を求めたのに対して、知事は、府営住宅の「新規建設は必要ない」と答弁されました。

 11月の決算特別委員会で、平成17年度の府営住宅への入居申し込み状況を聞いたところ、住宅課長は、604戸の入居募集に対して、5142世帯の応募があったと答弁しました。実に、8.5倍の倍率で、申込者の9割、4538世帯は入居できなかったのです。府営住宅が足りないことは明らかです。

 貧困と格差の拡大の中で、安くて良質な公営住宅の供給が求められているのです。ところが、知事は府営住宅を建てようとしない。これは、府民の願いに反するものです。

 逆に、知事は、府営住宅を建てるのではなく、入居世帯の収入基準を厳しくすることで、入居者に府営住宅からの退去を求めてきたのです。平成8年の公営住宅法の改悪で、一定収入のある働き盛りの世代が、府営住宅から退去させられました。

 その結果、私の地元の府営岩倉団地では、年々、お年寄りや障害者の比率が高くなり、入居世帯の40%、ほぼ2軒に1軒が65歳以上の方のひとり住まいになっています。

 決算特別委員会で、「火災や地震の時に、お年寄りの命を守れるのか」と質問したところ、住宅課長は、「自治会を中心にやっていただけるものと承知している。」と答えましたが、国と府の政策によって、自治会の担い手がいなくなっているのです。

 いざと言うときに誰がお年寄りを助けるのですか。知事は「安心、安全」と言うことを強調されますが、万が一のとき、誰が府営住宅のお年寄りを守るのか、府の責任について、あらためて知事の認識をうかがいます。

 国土交通省は、公営住宅法施行令を改定し、入居世帯の収入基準を現在の政令月収20万から15万8千円に引き下げて、働き盛りの世帯をさらに追い出そうとしています。

 標準家賃も、政令月収15万8千円の世帯で月4万5千円から5万1200円に、17%も大幅に引き上げようとしています。収入の3分の1もの家賃負担になります。

 これではますます、自治会活動を担う世帯はいなくなり、府営住宅のコミュニティーが破壊されるではありませんか。これでは来年度予算で知事がかかげている「地域力の再生」どころか、「地域力のさらなる破壊」ではありませんか。このような収入基準の引き下げと家賃値上げは撤回するよう国に求めるべきです。

 また、先ほど指摘したように、現に高齢化が進み、火災や地震のときの安心安全だけでなく、毎月の清掃活動などにも支障をきたしています。

 住民からは、清掃活動について、府の責任範囲を拡大してほしいという要望や、エレベーター設置など、強い要望が出されています。府営住宅の「地域力の再生」については、知事はどのように考えておられるのか、考えをお聞かせください。

 また、府営住宅の高齢化率について、住宅課は「全体では20%で、一般と変わらない」とこたえましたが、個別具体的な府営住宅の実態は十分に把握されていません。

 必要な実態把握を行なうとともに、団地住民、および自治会の役員さんから積極的に要望を聴き、「地域力の再生」を図るべきです。

 そして、何よりも、府営住宅の新規建設をすすめるべきです。10年前の住宅建設費は115億円でしたが、昨年度はその5分の1以下で、20億円にまで削減されているのです。

 山田知事になって4年間の合計でも、住宅建設費は102億円で、10年前1年間の額にも足りません。

 府営住宅の新規建設をすすめることで、入居希望者の要望にこたえるとともに、「地域コミュニティーの再生」を図るべきです。以上、答弁を求めます。

【土木建築部長】  府営住宅の管理の問題ですが、府営住宅は日常生活の場であり自治会の果たされている役割は大きなものと認識しています。自助、共助、公助の関係によりそれぞれの果たすべき役割にもとづき京都府といたしましても引き続き努力していきたいと考えております。

 なお、入居者の募集にあたりましては公募を原則としておりますので、入居者を特定することは困難でありますけれども、新婚世帯や子どもの多い世帯に対する優先入居に取り組むと共に、小学校就学前の子どもさんのいる世帯の入居収入基準の緩和などにより高齢者だけでなく若い世帯の入居をはかり地域コミュニティーの形成に一定寄与しているところであります。

 また、府営住宅の高齢化の実態について地域ごと団地ごとに差異があることについて承知しておりまして、既存住宅へのエレベーターの設置、一定条件に該当する方には申し出により低層階へお移り頂くなどの対応をすすめているところであります。

 昨年八月に、国土交通省から示されまして公営住宅の管理制度の見直し案につきましては、世帯収入や民間賃貸住宅の家賃水準の変化に伴い最低居住水準の住宅を市場マーケットにおいて自力で確保できる者も対象となる水準となっており、その結果真に住宅に困窮する多くの入居希望者が入居できない状況にあるためとうかがっておりますけれど、見直し内容につきまして国において更に検討することとされております。

 府営住宅の新規建設についてでありますが、住宅ストックが量的には充足する中で、公営住宅の役割は、マーケット、市場をメインとする視点から、住宅市場の適正な形成を誘導しながら、民間では十分に対応できない低額所得者に対する住宅供給を担うことと認識しています。従いまして、京都府といたしましては、空家募集等の既存ストックを活用することなどを基本に、今後とも真に住宅に困窮されている方に適格に対応していきたいと考えている所であります。

【梅木】  部長が答えられたが、府営住宅の役割をいわゆるセーフティーネットということで、真に困窮する世帯に対してと方向転回してから、コミュニティーとしてのまとまりがどんどん破壊されてきている。そういう中で、どう地域力を再生するかが課題となって来ていると言うことを私は申し上げている訳です。これは、根本的な政策の転換が必要な訳でありますけれど、その中で、十分に住民のみなさんの声を聞いていただきたいということ、これはできることですから、ぜひともお願い致します。ぜひとも府営住宅の役員さんとの、わいわいミーティングを開いて頂きたいということを要望しておきます。

公明党の、子どもの医療費での発言への反論

【梅木】  最後に、8日の本会議での公明党佐藤議員の、子どもの医療費に関わるわが党へのいわれなき発言について、一言申し上げます。  まず、「蜷川時代になぜ制度化できなかったのか」という発言についてですが、議事録を精査していただきたい。1972年9月議会で、日本共産党の浅川亨議員が、京都府議会で初めて、乳幼児医療費助成を要求し、翌12月議会で、蜷川知事が「十分研究してみたい」と答弁し、制度化に向けて医師会との調整に入るのです。

 制度化を前にした1978年に自民党府政に変わります。ところが、自民党府政になって、制度化されたのは1993年で、15年もかかりました。この間、わが党は一貫して制度化を求めてきましたが、公明党は何をしてきたのか。このことこそ問われます。  もう一つ、「予算案に反対したから実績とは言えない」という発言についてです。ご承知のとおり、予算案は一括採決です。

 予算案には府民の暮らしの視点から、賛成する部分と、賛成できない部分があって当然です。わが党は何でも賛成でも、何でも反対でもありません。だから、議案討論で、賛成、反対を明確にした上で、予算案全体についての態度を表明しているのです。

 これは、議会の常識です。かつて公明党も、国会で野党だった時代、予算案に反対していましたが、この間は実績がなかったのでしょうか。このことを指摘して、私の質問を終わります。