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予算・決算特別委員会

原田 完府議の知事総括質疑

2007/03/02 更新
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予算特別委員会

ヨドバシカメラ、ビッグカメラの相次ぐ出店計画被害予測すら調査しない、冷たい知事の姿勢を鋭く追及

【原田】  大型店の出店問題と小売商業の振興問題で、特にヨドバシ・ビックカメラの出店にかかわって、中小企業を守る立場から質問をします。大変厳しい経営環境のもとで日夜奮闘している中小零細企業の問題であり、現状をしっかり受け止め、知事の真摯な答弁を最初にお願いしておきます。

 それでは質問に入ります。一つは、既存の街の電気屋さんの出店面積を上回る二つの量販店の出店が家電業界に大打撃を与える事は必至であり、私は予算委員会や一般質問でその影響について質問し、影響調査を求めました。これに対し、商工部長は、業界から聞いているのは、「業界としては、大型店にはない、きめ細かなサービスの提供によって自分たちが、がんばっていかなければならないと言う声を、非常に多く聞かせて頂いている」と答えられました。調査については何も答えかったが、知事も同じ考えか。

【知事】  商工部長は「大型店にはない、きめこまかなサービスを提供することによって、がんばっていく」という商業者の取り組みを、府としても積極的に支援をしていきたい、ということを申し上げたわけで、まさに京都府は、出来る限り商業者の立場に立って支援策を講じていく、それは私も同じ立場である。

【原田】  今、(家電販売業者は)大型店の出店で、大変に厳しい状況にある。そういう不安の中でがんばっておられる訳だ。大型店の出店のために店がつぶれないかと悩み、不安な(業者の)気持ちを少しも理解していないひどい答弁だ。どれだけの業者が苦しみ、苦労しながら日々の経営をしているのか。また、一人一人の暮らしや高齢者の世帯の状況まで把握しながら地域の暮らしを支え、営業努力をしている、この実態を知事は知っているのでしょうか。街の電気屋さんは、従来から蛍光灯一本替えるのでも、台風でアンテナがゆがんだといったことでも、すぐに対応して、地域の暮らしを守っている。

 このように頑張ってきている業者であるにもかかわらず、この間、京都府電気商業組合の組合員さんは、1996年には934人、2001年には817人、そして現在は、681人。この10年間で比べると253人、約3割近い組合員が減少している。一方、家電量販店は、私の調査でも、10社52店舗、約10万平米となっている。寺町通りを歩けばわかるが、電気街と言われていた時代とは様変わりしている。

 大型量販店の影響が如実に現れている。知事も(部長と)同じ答弁ということは、大型店の影響を一切無視しているし、見ようともしないということではないか。高齢化社会の暮らしを守り応援する、街にとって欠くことの出来ない街の電気屋さん中小零細業者が苦しんでいる時に、知事はこの実態をどう考えるのか。

 また、市長の権限とも言われたが、府全体に(出店が)影響するのに、書面審査や一般質問での求めた調査はなぜしないのか。また、調査と政令市長の権限は関係ないし、二重行政の問題はあり得ない。京都市内であっても府民であり、府民の暮らし、営業にかかわる問題について知事が意見を言うのは当然だ。なぜ、調査をしないのか、その理由を聞く。

【知事】  言われている意味がよくわからないが、私どもは、大店立地については、政令指定都市の京都市が担っている。これは委員もご存知だと思う。それに対して、私どもが何かものを申す権利はないことは、十分ご存知だと思う。これはいいですね。そういった訳で、大店立地自身については我々は権限がない。それによって影響を受ける中小企業については、しっかり地元の商工会や商店街のみなさんと、これは一番よく知っているのは、商工会議所、地元の商店街のみなさんですよ。どっかの委託会社が評価するよりは、こういった方の生の声を聞いて、それに基づいて応援施策を、私はしっかりと講じていきたい。今回、「地域力再生」の推進枠を設けたし、まさに、現地、現場、市町村とも連携をして、その中で、商店街の活性化に向けて支援をしていく、というのが我々の立場である。

 何か、調査とか何とか言うが、立地の規制に関して言えない訳だから、そんなことを言うと、例えば、原田委員の言っている福島県が条例をつくりましたが、あれについて、国が調査をすることを認めるのですか。国が調査して介入することを認められるのか。地方自治の原則から言っておかしいと思う。福島県の条例について、国が影響調査することを認めるのだったら、そう言ってから、私に言ってください。

【原田】  私は、京都府知事として、京都の経済に大きな影響を及ぼす、このことに対して、先程も言ったように、市長の権限や二重行政について言ったのでなく、知事として、京都の経済に起きる問題に対して、しっかりと対応する。その上でも必要な調査を行うことはどうか、ということを聞いている。的外れな展開をされるのは、こちらからの方が逆に、知事はしっかり聞いていただきたいと思う。

地域支える中小家電販売業者を守る支援策を実施せよ/山田知事 まともに答えず、すり替え答弁で、無策を覆い隠す

【原田】  時間が足りないので聞く。経営努力は商売人にとっては、当たり前。これまでからやってきている話しです。量販店のチラシ攻勢や価格低下等で利益の確保すら大変になってきている。知事は今、応援すると言ったが、今回の予算案で商業関係では、中心市街地活性化総合支援事業、元気ある商店街づくり支援事業、がんばれ商店街支援事業費の提案があるが、大型店出店にともなう対策で家電業界にどんな応援があるのか教えていただけますか。

【知事】  府としては、市町村と連携、協調しながら、業界のみなさんの意見を聞く中で、商店街や小売商業の振興に努めてきたところであり、来年度においても、個々の商業者に対しては、意欲的な商業者グループが実施する「魅力的ある店舗づくり」や、集客イベントへの支援。そして、経営指導をしている、まさに地元でがんばっている商工会議所に対する支援、そして、小規模企業応援融資の拡充などの制度融資による応援、商店街に対しては施設整備や空き店舗を活用した「子育てステーション」等、ハード、ソフトの両面から支援してきた。そして、市町村を中心としたまちづくりのなかで、地域が一体となって取り組む「中心市街地にぎわいづくり」支援など、きめこまかく総合的に実施するための予算をお願いしているし、先ほど申したように、商店街が積極的に地域と連携をして取り組む事業については、地域力の再生枠についても考えていきたいと思っている。まさに商店街のみなさんが、府民のみなさんと連携して、活性化に向けて取り組み、これを応援していくということを、地域力再生の一つの大きなテーマにしていきたいと思っている。

 さらに中小小売業者を含む中小企業をしっかりと支え、その経営の安定の再生のためにも、中小企業応援条例を提案しているところで、今後とも、中小の小売業者を、精一杯応援していきたいと考えている。

【原田】  私が聞いているのは、大型店の出店に伴う対策で、家電業界等にはどんな支援があるのかと伺ったのだ。京都府としての商業政策、がんばる商業者支援事業についても、意欲的なグループ゜への支援、新規開業等への支援等、これがどうかかわるのかで見ると、直接的な支援はありえない、というのが知事の答弁ではないか。結局何も支援しない。それで、よく「応援」と言えたものだ。電気屋とその組合は、大型店出店で話し合いの機会すらない。大店立地法に基づく説明会でも、事業計画は上っ面だけが明らかになるだけで、内容については明らかにされない。出店計画についても同じ状況だ。街の電気屋の商売の不安については何も答えないという状況だ。ヨドバシカメラやビッグカメラの進出に対し電気屋さんは困っているし、怒っておられる。

 大店立地法の13条があっても、需給調整以前の問題として不安に思っておられることに対しての府の支援が必要と思う。大打撃を与える量販店の出店に対し、電気商業組合と出店者との話し合いができるように呼びかけを知事が行なってはどうか。

【知事】  まさに地方自治の原則だと、先ほど申したように、例えば福島県の条例で、福島県の隣接する都道府県にも影響があったときに、国が福島県に話し合うようにすることを原田委員は認めるのか。

【原田】  知事として、困っている府民の問題にどう答えるのかという姿勢を持っているのかと聞いている。そこをすり替えた議論をするのでは、まともな議論ができないではないか。今、府民の暮らし、営業をどう守るのか。府民の問題としてどう答えるのかと聞いているんだ。これにまともに答えようとしない。調査もしない。応援施策もない。大型店との協議も呼びかけない。これでは、中小企業基本が定めた地方自治体の責務はまったく果たされていないではないか。大店立地法の下でも意見を言えることは、福島県の条例でもあきらか。政令市への出店でも意見を言うことはできるし、ましてや、府内全体に影響があるのに意見を言わないのでは、大型店大いに結構、中小商店がつぶれても仕方ないでは、知事として失格ではないか。

 私は、右京区に住むある大学の学長を話したときに、近所のホームセンターがなくなったらどこに買い物に行ったら良いだろうと言っておられたが、これが、大型店の実態。利益が出るところには出るが、利益がでないとさっさと撤退する。そこに住んでいる消費者の暮らしもまともに考えない、こういう状況にあるのが今の実態だ。

 買い物過疎地を作るような行政を改めるべきだ。そして、本府として、あらゆる手段を講じて中小零細業者を守る対策をしっかり行うべきだ。そして、今、当面の焦点となっている家電業者を守ることによって、安定した、誰もが歩いていける範囲での日常の買い物の保証ができるし、だれもが安心して暮らせる消費社会生活を維持できるのではないか。

 中小企業基本法の精神を生かした、行政運営、中小企業分野法や小売商業調整特別措置法等あらゆる法の活用や手段を講じ、大型店の出店規制、その取り組み、商店街の振興施策を是非実施して頂くよう要望し終わる。

 (答弁は求めていない)

【知事】  私の答弁に対しまったく答えずに書いたものばかり読まれているようですが、私が今言っているように、商店街のみなさんの活性化のためにこれから府は全力をあげて応援していく、そのために中小企業応援条例も作りますし、そして、にぎわいの支援策も講じていく、そして更に、商工会や地元市町村とも連携して地域力再生の枠を作って応援していくと申し上げているのです。どこに応援施策がないとおっしゃっているのか、私の答弁を聞かずに書いた物だけを読まれても仕方ないですよ。この答弁を聞いてそれに対して、この支援策のここが問題であるとか、ここがこうだと言って頂いたら良いのですが、そういったことは全くない。じゃあ、にぎわいづくりや地域力の再生枠についての私の施策のどこが問題があるか、それはきっちりと答えて頂きたいと思います。

【原田】  家電量販店への影響の問題について私が質問したということであり、そのことに対する知事の答弁はなかったということで終わります。

【知事】  影響については商工会や商工会議所をはじめ、地元と充分意見を聞いて、これから支援策を進めていきたいと言うこと申しあげているわけですから、まさに影響については、お答えしておりますので誤解のないようにお願い申し上げます。