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本会議質問

6月定例会 梅木紀秀議員 代表質問

2007/06/22 更新
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【梅木】日本共産党の梅木紀秀です。日本共産党府会議員団を代表して、知事ならびに関係理事者に質問します。  質問に入る前に、先に行われました統一地方選挙について、一言申し上げます。日本共産党は、府会選挙で右京区、山科区で残念な結果もありましたが、自民か、民主か、という二大政党づくりが地方政治にも持ち込まれるもとでも、下京区、上京区の2名区で議席を確保し、後半戦でも2名区の福知山3選挙区での勝利や宇治市や八幡市など定数削減のもとでの全員当選など大きく前進することができました。また、私の地元左京区では、府会2名、市会3名全員当選させていただき、府市会とも議席・得票とも第一党を堅持させていただきました。京都の地方議員のうち5人に一人が日本共産党の議員です。ご支援をいただきました多くの府民のみなさんに心からお礼を申し上げますとともに、この力を生かし、草の根から住民のみなさんと力を合わせ、命と暮らし、地域とふるさとを守るために全力を挙げて奮闘します。 また、自民・公明政権のもとで「貧困と格差」が拡大され、医療難民や介護難民、ネットカフェ難民を生み出す「弱者切捨ての政治」がすすめられ、憲法9条をかえて、「海外で戦争できる国づくり」がすすめられようとしています。国民の命と暮らし、平和を守るために、7月の参議院選挙では、比例区での日本共産党の躍進、京都選挙区では、いのちと憲法を守る議席を取り戻すため、全力を挙げて奮闘する決意を表明し、質問に入ります。

「消えた年金」問題、国の責任で早急に解決するよう求めよ 【梅木】まず、いま大問題となっております「消えた年金」の問題についてです。   5000万件以上もの年金記録が、宙に浮き、保険料を払ったのに、年金が受け取れない。こんな、驚くべき事態が発生しています。なぜこんなことが起きたのか、責任は誰にあるのでしょうか。自民党は、基礎年金番号を導入した当時の厚生大臣、現在の民主党代表代行、菅直人氏にあると言い、菅氏は、「自分は制度を決めただけで、統合したそれ以降の大臣(つまり自民党の小泉純一郎氏や公明党の坂口力氏)に責任がある」と弁明しました。このような責任のなすりあいをおこないましたが、責任はこれらのすべての厚生労働大臣と歴代の政府にあるのです。年金番号の統合で、膨大な数の年金記録が「宙に浮く」ことを承知の上で制度を導入し、現に浮いた年金記録が発生している事実を知りながら、歴代厚生労働大臣は、国民には知らせず10年間も放置し、抜本的対策を怠ってきたのです。 国民には一切責任はありません。ですから、国の責任で、「被害者を一人も出さない」「一日も早く」という立場で、あらゆる手段を尽くして、早急に問題を解決すべきです。わが党は、政府に対し、緊急対策として、①年金保険料の納付記録を、ただちにすべての受給者、加入者に送ること。②「宙に浮いた」年金記録の調査を限定せず、可能性のあるすべての人に情報を知らせること。③物証がなくても、申し立てや証言なども尊重して支給すること。④コンピューターの誤った記録を、すべての手書き記録と突き合わせて修正すること。⑤社会保険庁解体は国の責任逃れであり、解体ではなく、年金保険料の流用をやめ、天下り禁止などの抜本改革をおこなうこと、の5点を提案しています。  そこで、知事におうかがいします、年金業務は、かつては府の業務でした。それだけに、府民に損害を与えることのないよう国の責任で早急に解決すること、そして国の責任を放棄する社会保険庁の解体は、やめるよう国に申し入れるべきではありませんか。いかがですか。 【知事】年金問題についてですが、年金制度は国民の生活を支える社会保障制度の根幹をなすものであり、今般の納付記録の管理問題について、これは、私は国が責任をもって国民の不安の解消と実効性のある対応を図るべきであると考えています。京都府では公的年金について、国民生活の基本的なセーフティネットとして、持続可能で安定的な制度の構築を図るよう、従来から国に対し繰り返し要望をしてきたところであり、年金制度に関する組織の在り方については、まさに今、国民の代表である国会が、その場において議論なされているというところですが、私はやはり、社会保険庁の解体的出直しは、これは避けられないというふうに思っており、国がその責任をしっかり果されるよう期待をしている。今後とも、府民の安心安全をしっかりと支えうる信頼に至る制度として運営をされるよう、また、年金に関する国民の不安が一刻も早く解消され、府民に不利益を生じさせないよう実行ある措置が迅速に講じられるよう、引き続き国に対して要望していくものです。 【梅木】年金の問題について、国の責任を果すために社会保険庁の解体をというふうな答弁のように聞こえましたが、確かに抜本的な改革は必要だと思うんです。年金保険料の流用だとか、天下りの禁止だとか、そういうことは必要だ。だけども、解体して民営化が必要だということになれば、民営化すれば何でも良くなるというふうな風潮があるが、実際にコムスンの事件があった、そして保険会社が支払いをしていなかったという問題もあった。これを民営化しますと、日本年金機構の役員が今度は国会に出てくる義務が無くなるのです。参考人招致ということになる。これで実際に国民に国が責任を持つということができるかということで、私どもは解体するのではなく、まさに直接国が、長い間かけて信頼関係の上に成り立つ制度ですから、これは「解体的出直し」と言われたが、絶対解体してはならないと私は思います。

住民税の増税について 市町村と協議し生活困窮者への救済措置の検討を 【梅木】次に、住民税の増税についてです。   6月に入って、各自治体から住民税の納税通知書、続いて国保料の納付通知書が届いて、「去年も上がったのに、また住民税が2倍になった」と驚いた人たちが怒りの声を上げています。今年も市役所には大勢のみなさんが押しかけています。総務省は「増減税いっしょ」と盛んに宣伝しましたが、定率減税の廃止分は、総額1兆7千億円も増税されているのです。そもそも、このとんでもない増税と負担増を住民に押し付ける提案をしたのは、公明党です。2003年の総選挙の時、公明党は「100年安心年金プラン」と大宣伝しましたが、年金財源として定率減税の廃止と高齢者への年金課税の強化を提案したのです。消えた年金問題と合わせて、「何が100年安心だ」と国民の怒りは収まらないのです。しかも、定率減税の廃止で国民には1兆7千億円も増税しておいて、大企業と大資産家には1兆7千億円そっくり減税しているのですから、国民が怒るのは当然です。京都府の場合、定率減税の廃止で府民税の負担は40億円も増えました。一方、企業への法人事業税減税は100億円、資産家の株取引などへの減税は35億円です。結局、府民が大変な思いで負担増に耐えても、それは京都府財政のためではなく、大企業や資産家のための減税に消えているということです。 知事は、こうした儲けを上げている企業や大資産家には減税、庶民には増税というやり方は、「所得の再配分」という税制度の本来のあり方とは逆行していると思われませんか。また、収入が増えていないのに負担が増やされている府民の暮らしの実態、声をどのように受け止めておられますか、まず、率直な思いをお聞かせください。 同時に、本府として、負担能力を超えるような税負担をどう軽減するか、生活困窮者への救済措置を講じて、府民の暮らしを支えることが求められているのではないでしょうか。  神奈川県の川崎市では、地方税法にもとづいて市税条例で、「少額所得者減免制度」を設けています。川崎市の基準では、年金収入が月額19万3966円以下の65歳以上の高齢者、給与所得者の場合は月収15万6000円以下の人を「少額所得者」とし、申請をすれば、住民税が免除されています。これに連動して国保料も、介護保険料も大幅に軽減され、低所得者の生活を支援する制度として、他都市にも広がっています。このような制度が求められていると思うのです。 ところで、税の滞納処分について、地方税法では、「生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき」は、滞納処分の執行を停止することができ、「その執行の停止が3年間継続したときは、(納税義務は)消滅する」と定めています。これは憲法25条にもとづく「生存権を保障するため」の措置です。本府の場合、滞納処分停止の基準を、生活保護基準のおよそ1.2倍と定めています。 この考え方からすれば、生活保護の基準をもとに一定の収入以下の人たちに対しては、住民税を免除する制度を実施できるのではないでしょうか。府民税の減免は、地方税法によれば、府単独では実施できず、市町村民税の減免制度が適用されることになりますから、市町村との協議が必要です。ぜひ、生活困窮者への救済措置の検討をお願いします。知事の考えをお聞かせください。 ところで、総務省も京都府も、税源移譲分は「増減税いっしょ」と宣伝してきましたが、税源移譲で数百万人規模の人が増税になることが明らかになりました。失業などで所得が大幅に減少した人は、所得税減税の利益は受けられず、前年度の所得にたいする住民税は、税源移譲分が増税になります。総務省の官房審議官も「最大9万7500円の増税になる」ことを認め、「救済措置がある」と言い訳をしましたが、「所得がかからなくなった場合」のみで、しかも本人の申告が必要です。府民への周知を徹底するとともに、増税になる全ての人を救済すべきです。いかがですか。 【知事】定率減税廃止の話ですが、ここでの問題は、梅木議員の話にもありましたがトータルに考えるべきなので、一概には言いにくいものがあるが、所得税から住民税への税源移譲については、府として国や市町村など関係機関とも連携し、あらゆる機会や広報媒体を活用して府民のみなさまへの周知を図ってきたところです。同時に、私どもは府民のみなさまの暮らしの実態をふまえ、府民のみなさまが安心して生活できるよう、平成19年予算においても、全国トップクラスになる子育て医療助成制度の拡充や、全国をリードした障害者自立支援の独自措置や中小企業金融制度の充実を始め、様々な分野で可能な限りきめ細かなセーフティネットの構築に取組んできたことは梅木議員もご存知だと思います。また、住民税の減税については、各市町村において個別具体の事情に即しこれは判断されるべきものでありますが、生活が著しく困難になった方に対してはその状況に応じて適時減免措置を講じることが適当であり、これは従来から取り扱い主旨の中で助言をしてきているところであります。所得変動に伴う住民税の減額措置については、これまで府民だよりの6月号で特集を組む中でもお知らせをするとともに、市町村も広報誌等で周知につとめてきているところです。今後も、来年7月の申告時期にむけ、さらに効果的な周知広報を実行するとともに、市町村とも連携し府民生活の安心安全を守る立場から今後とも対応していきたいと考えています。 【梅木】住民税の問題ですが、私は本当に、この6月、今日この放送を観ておられる方も大変だというふうに思っておられると思うんです。本当に苦しい。その中でどうやって助けるのか、色んな施策があると知事はおっしゃいましたが、その中でも生活困窮の方に、川崎市のように支援をする、そういう措置が必要であると思います。私はこの制度を府民税で出来ないかと思ったが、これは地方税法で府の場合はできないというふうに書いてある。それがどういうことになっているかというと、府の方に減税について考えるという担当が無いということにもなっているわけですね。市町村が実状を考えてというふうになりますが、本当にそういう意味では、市町村にさらに協議をして、暮らしを守るために府民税の減税にもつながるようなかたちで、市町村と協議をして、何よりも本当にこれ以上の負担は生活が大変だというふうに思っておられるみなさんを支援するということを何よりも自治体の仕事として頑張ってお願いをしたいと思います。

国保料を引き下げ、生活困窮者から保険証を取り上げぬよう、市町村に「通知」し、適正な運用について市町村に助言せよ 【梅木】次に国保料の問題です。    いま、国保料もとんでもない負担になっています。京都市の国保料滞納世帯が、昨年度過去最高の5万2千世帯、加入世帯の18%に達しているという報道がつい先日ありました。京都新聞は「過去最高、格差拡大まざまざ」「医療機関に行けない懸念も」との見出しでした。 国民健康保険制度は、もともと自営業者や農林漁業者など有職者が多数を占めていました。ところがいまは失業者や年金生活者など無職者が6割近くを占め、収入が少なく病気にかかる率が高い人たちで構成されています。ところが、国が国庫支出金を49.8%から34.5%へと引き下げたために、国保会計が大変になり、支払い能力を超える負担を被保険者に求めることになっているのです。滞納世帯が増えるのは当たり前です。それを保険証のとりあげなど制裁措置をとって納入させようとしても解決しないことは、この制度ができた平成13年度以降も滞納世帯は増え、現に京都市では過去最高になっていることからも明らかです。 いま必要なことは、払える国保料へと引き下げることです。国がこの間、削減してきた国保への国庫支出金は1兆6000億円です。4000億円で1世帯当1万円の引き下げができるのです。国に国庫負担を引き上げるよう求めるべきだと考えますが、いかがですか。 また、滞納者に対する国保証の取り上げはやめるべきです。資格証や短期証を発行するなど制裁措置を加えれば納入率が上がるとして、この制度が導入されましたが、先ほど述べたとおり滞納は減らない。それどころか払いたくても払えない人から保険証を取り上げ、皆保険制度を壊すものとなり、深刻な事態が起こっているのです。 これはあるお母さんの話ですが、「中学1年生を頭に3人の子どもがいるが、主人の仕事が減り、国保料が払えなくなった。子どもが風邪を引いて熱が出たときは生姜をすって飲ませることしかできない」と涙ながらのお話でした。 知事は予算特別委員会の総括質疑で、わが党の新井議員の質問に対し、「京都府としては従来から被保険者の個別事情を十分勘案して、さらに実態を踏まえて適切な運用がされるよう、これからも市町村に対し、助言してまいりたい」と答え、子どもの医療費助成対象の家庭についても、「適切な対応ができるように努力していきたいし、市町村にもお話をしていきたい」と答弁されましたが、いま紹介したような事例があるのです。知事が答弁されたとおり、生活困窮者からは保険証を取り上げないこと、医療費助成対象の子どものいる世帯からの保険証の取り上げをしないよう、あらためて市町村に「通知」を出し、適正な運用について市町村に助言すべきだと考えますが、いかがですか。 【知事】国民健康保険制度についてですが、そもそもこの制度は被保険者に高齢者や無職の方が多いという、このために医療費が高く、それに関して保険料負担能力が弱いという構造的な問題を抱えています。保険者である市町村は今、懸命な運営努力をその中で行なっているところであります。京都府としては、従来からこの制度設計にあたっている国に対し、将来に渡り安定して運営できる制度にするよう、抜本的な制度改革を求めてまいりました。先般の政府の予算政策提案活動に対しても改めて国による財源の保障について強く要請をしてきたところです。また、府としても厳しい財政状況の中で、府民の健康を守る観点から保険料軽減制度に対する府負担金を始めとして、年間約190億円を超える負担を行ない、全力をあげてこの制度を支えているところです。 次に、資格証明書については、特別な事情もないまま1年以上保険料を滞納している世帯に対して、法の規程に基づく保険証に変わるものとして市町村が交付しています。その運用にあたっては、納付相談に全く応じない、或は保険料を支払う能力があるにもかかわらず資力にあった納付計画が示されていないなど、真にやむを得ない場合の手だてとして実施すべきであると考えています。そこで従来から、子育て支援医療費支給世帯のみならず、全ての世帯について被保険者の個別事情をよくふまえ、実態に見合った適切な運用がなされるよう、市町村会議等の場において繰り返し要請をしているところです。今年度は、市町村における運用状況について、個別に点検確認を行なうこととしており、こうした中で適切な対応が図られるよう引き続き助言をしてまいりたいと考えています。 【梅木】国保については取り上げないようにということで色々助言をしているということですが、実態はそうでもない。まだ大変なところがあるというのがあります。先程紹介をした京都市の場合も取り上げの件数は少なくなってきているということではありますが、まだある。ですからしっかりと調べて頂いて、十分な助言をお願いしたいと思います。

軍事費を削って、いのち・くらし・地域を守る予算へまわせ 【梅木】さて、新聞に「6月は嫌な月だ」というお年寄りの投書がありました。住民税や国保料の負担増に加えて、医療や介護の負担も大変です。「もうこれ以上の負担増、社会保障の切捨てには耐えられない」というのが国民の声です。ところが、大変な税金のムダ遣いがされている。国会議員の「政治とカネの問題」、「官製談合と官僚の天下り問題」など、怒りは頂点に達しています。わが党は、不正と税金のムダ遣いを徹底して追及し、「住民の暮らし第一」の政治をめざしてきましたが、軍事費にも、大きな問題があります。 日本の軍事費は、第1位のアメリカは別格として、英仏中と並んで世界の2位~5位グループに入っています。一切の戦力保持を禁止した憲法があるにもかかわらずです。年間5兆円の軍事費の中でも、たとえば「90式戦車」は、1両の重量が50トンもあり、日本の橋の重量制限は20トンですから、この戦車が走れば、道路も橋もみな壊れてしまいます。「ソ連の攻撃に備えるために」と90年に導入が決まりましたが、91年にソ連がなくなったにもかかわらず、91年以降に、三菱重工を中心とした軍需産業から合計324両、総額3千億円もかけて購入されています。今年も9両購入しています。ほかにも、1隻1400億円のイージス艦、1発20億円のミサイル、1兆円はかかる「ミサイル防衛」計画も、大変なムダづかいです。 憲法9条を守り、平和外交をすすめることで、軍事費を国民の暮らしにまわすことができます。90式戦車6両分48億円で、今年度削減された私学助成費を復活できます。グアムへの米軍基地移転費7000億円をやめれば、今年度削減された地方交付税7000億円が地方自治体に交付できます。ヘリ搭載護衛艦2隻分2200億円をやめれば、子どもの医療費を国の責任で無料化できます。補給艦1隻分430億円で、生活保護の母子加算は廃止しなくてすむのです。 日本の向かうべき道は、憲法9条を守り、軍事費を削って、国民の命や暮らし、地域やふるさとを守る道ではないでしょうか。府民の暮らしを守るために、無駄な軍事費を削減すべきだと思いますが、知事の考えをお聞かせください。 【知事】防衛関係経費についてですが、自衛隊に関しては京都府においても、鳥インフルエンザ対策や台風23号災害など、災害時の救援など、国民のいのちや暮らし、地域やふるさとを守ることで非常に大きな力を発揮して頂いていると考えています。今後とも、私は国におきまして防衛費の問題は、まさに防衛の問題ですから十分に国民に説明をして頂く必要があると思いますが、その中で国民の安心安全の確保に取組んで頂きたいと考えています。

青年の労働実態を本格的に調査し、最低賃金引上げを関係機関へ働きかけよ 【梅木】次に、青年の労働実態調査と最低賃金の問題についてうかがいます。   先日NHKのクローズアップ現代で、「街をさまよう若者たち」というテーマで、「ネットカフェ難民」と呼ばれる青年たちの姿が報道されていました。高校を卒業して、地元では就職先が見つからない青年が、職探しに東京に出ました。1番安い月3万円のアパートを借りるために頭金が20万円必要で、日雇い派遣の仕事を探し、1晩1000円のインターネットカフェに寝泊りして、20万円の頭金を貯めようとしますが、派遣会社が、社会保険料の会社負担を避けるために「月14日制」という決まりをつくって、月14日しか雇わないのです。アパートの頭金を貯めるどころか、毎日の食費も大変です。番組では、派遣会社は運送会社から13000円もらって、若者には5752円しか払わないという実態も紹介されていました。このような青年の労働実態が全国に広がっています。 5月20日、日本全国から東京の明治公園に3300人の若者が集まり「全国青年大集会」が開かれました。テレビや新聞でも報道されましたが、「時間給1000円以上に」、「サービス残業や偽装請負をなくせ」「ネットカフェ難民を生む社会でいいのか」、「まともに生活できる仕事を!人間らしく働きたい!」などのプラカードが掲げられていました。 京都の若者の労働実態はどうなっているのでしょうか。今年3月に府民労働部が発行した「京都の労働情報」に、派遣労働者についての「事業所調査」の結果が報告されていますが、賃金や労働時間など、労働実態や生活実態は把握できていません。京都の将来を担う青年の労働実態を本格的に調査し、行政としての課題を明確にするべきではないでしょうか。知事の考えをお聞かせください。 また、京都の最低賃金は時間給で686円ですが、1日8時間、週5日働いて、月12万円弱です。貧困ラインを下回るのです。これでは、生活できません。フランスでは時間給1300円です。日本でも、せめて1000円以上にとの声が高まっています。最低賃金を引き上げるよう、関係機関に働きかけるべきだと考えますが、知事の考えをお聞かせください。 【知事】青年の労働問題について、若年者の雇用についてや、失業率や有効求人倍率について改善はみられるものの、パートや派遣労働など非正規雇用が多く、依然として大きな課題が残っているところです。このため、京都府では昨年度、パートタイム労働者の就業実態だけではなく、派遣労働者の就業状況についてもあわせて実態調査を行なったところです。とりわけ、今回の派遣労働に係る調査では、従業員の規模10人以上の府内の事業所では全体の約16%が派遣労働者を受け入れていること、通算派遣期間の内訳をみると1年未満のものが約36%、1年以上3年未満のものが約47%となっていること、今後の派遣の見込みについては「増加する」と回答した事業所が「減少する」と回答した事業所よりも多かったこと等が明らかになってきました。こうした派遣労働者の就業状況とあわせ、国等の派遣労働者の賃金や労働時間等の実態調査結果等をふまえ、京都府としては、京都労働局との情報交換を一層密にし、しっかりと連携を図りつつ、青年労働者をとりまく雇用環境の改善に取組んでいるところであり、中小企業労働相談室において、派遣に係る労働相談をきめ細かく実施するとともに、京都ジョブパークのセミナーにおいて、青年等への労働関係法令の周知啓発に努めます。また、偽装請負への対応を始めとする労働者派遣法に基づく指導監督の充実強化を京都労働局に対しても引き続き強く要請をしているところです。  次に、最低賃金の引き上げについてですが、地域別最低賃金については、法に基づき京都労働局において、公益、労、使の各代表委員からなる京都地方最低賃金審議会の答申を経て決定されることとなっています。最低賃金の在り方をめぐっては、現在国会においても与野党ともに賃金引上げ等の改善を求め検討が行なわれており、最近の発表されているマニフェストの各党の案においてもこの事は検討なされているところです。私も全ての労働者が安心して暮らせるセーフティネットとして機能するよう期待をしているところです。 【梅木】私は青年と地域の実態調査をしたが、青年の調査は先程も紹介したように、労働調査がパート問題と含めて行なわれたということは解ります。だけども、実際にはその中で派遣労働者については、会社に対して調査をしている、事業所調査だけになっているわけですから、私どもは青年のみなさんに直接お聞きをし、また、働いている派遣会社等々にも調べるということで、政務調査費を使ってやったわけですが、こういうふうな実態調査、青年の声を聞く、青年の実際の労働時間、収入を調べるというところについて、取組んで頂きたいと思います。

乙訓2市1町の府営水道問題について 【梅木】次に、乙訓府営水道問題についてお伺いします。  条例に基づいて、大山崎町長が提出している今年度の受水量の申請書を、府が受理せず、大山崎町に対して4月、5月の水道料金が請求されていないという異常な事態が発生しています。なぜこんな事態になっているのでしょうか。 府営水道には、宇治浄水場系と木津浄水場系、乙訓浄水場系の3つの系統がありますが、乙訓浄水場系の3市町の水道料金は、他の浄水場系の2倍近くになっています。乙訓2市1町では、経営改善の努力を重ね、一般会計から多額の繰り入れを行っていますが、それでも平成16年度で、向日市4千万円、長岡京市4300万円、大山崎町6100万円の純損益で、大山崎町の累積欠損は6億4千万円にも達しています。住民の負担も、一般会計からの繰り入れも限度に達しています。 乙訓2市1町の水道会計が赤字に転落したのは、平成12年に府営水道を導入してからです。1日2万3400㎥しか実際には使っていないにもかかわらず、「給水協定」に基づいて4万6000㎥の基本料金、およそ15億円を支払わなければならないことが大きな負担になっています。 そこで、2市1町の市長、町長さんから京都府に、「受水量等の弾力化について特段の配慮を願いたい」との要望が繰り返し提出されてきました。ところが、京都府は、水道料金については、一定下げる努力をしてきましたが、基本水量については「変更できない」と一切拒否しつづけてきました。  全国の県営水道でも、共通して過大な水需要予測に加えて、節水意識の向上、企業の経費節減などから水需要が伸びないために、同様の事態が起こっています。そこで、全国で見直しが始まり、群馬県では、責任水量、基本水量の見直しが行われています。愛知県でも、制度の見直しが行なわれています。 2市1町では、自治体としての努力も住民の負担も限界に達するもとで、基本水量の見直しを切実に京都府に求めているのです。自治体が施策を行う場合、「住民の暮らしを守る立場から考える」、これが第一でなければなりません。とりわけ水道事業は、安定的に水を供給することとともに、その料金が住民に過大な負担とならないように努力するのは当然のことです。  府営水道条例第2条では、毎年、受水市町は、1日最大の受水量を定めて知事に申し込み、知事は当該市町と協議のうえ、「基本水量」を決定し、通知するとなっています。にもかかわらず、京都府は「協定」が絶対とし、受け取りを拒否しているのですが、条例よりも「協定」が優先するとした根拠は、どこにあるのですか。お答えください。 乙訓府営水道は、当初、企業も使用することを前提に建設したものですが、高すぎる水道水を企業が買わないために、企業の分も含めた基本水量を、受水市町が負担することになっているのです。企業が水道水を使用することを前提に制度設計したのは、京都府ではありませんか。その見通しの甘さの責任をすべて地元市町、住民に押し付けていいのですか。京都府には何の責任もないのですか。住民の暮らしと市町の財政状況も勘案して、基本水量の見直しをこの際、検討すべきではありませんか。本来、条例に基づくならば、基本水量の変更も協議の上可能だと考えますが、いかがですか。  あわせてお伺いします。5月25日付けの京都新聞1面に「乙訓水道料、値下げ方針」との見出しで、京都府・長岡京市・向日市の検討会で、浄水場を集約し、府営水の比率をあげることで10%水道料金を値下げする方針を固めたと報道されました。地元にコスト削減を求めただけの方針だと、地元では大問題になりました。長岡京市長は議会で問われて、「市の認識と必ずしも一致していない、直ちに京都府に報道機関への適切な対応を求めた」と答弁されています。府としても、値下げ方針を固めたという報道は不適切だと認識されておられるかどうか、あらためておうかがいします。 【知事】乙訓地域の府営水道について、京都府営水道の供給料金等に関する条例では、受水市町が基本水量を知事に申し込み、府と当該市町は協議の上、知事が基本水量を決定するとされています。協定書は、府と2市1町がこの条例に基づき協議を行い申し込み決定する水量を定めたものであり、条例の内容を協定で具体的に明らかにしたものであります。このように協議を経て決められた内容、現行水量については既に今まで建設に要した費用をどういうように考えるか、また、府民、住民の負担などについてもどういうように考えていくのか真摯な協議を行うことが必要であり、大山崎町が自らの主張について一方的で郵送で送付されるという型になっていることは、非常に私は残念だというふうに思っています。府が向日市、長岡京市ともった話し合いにも大山崎町の参加は拒否されておりまして、自分の考えを述べないというのは、私は、府民に対する説明責任も果していないというふうに思います。 乙訓地域の配分水量については、地元市町の要望に基づき、昭和57年にご指摘のように当初計画が定められ、それに従って整備が進められました。したがって、その水量についても、本来要望された市町の責任が明らかにされなければ、他の市町村も納得はしないのではないかというふうに考えておりますが、京都府としては、その後、企業の水需要が当初計画を下回る見込みだった事情を考慮して市町の状況も勘案するなかで、当初計画を大幅に見直し、平成10年に府営水道の、これは責任において配分水量全体を約3分の2の規模に縮小して、平成10年の給水開始後もまた府営水道料金の引き下げを行なうなど配慮してきているところです。同時に、この間、府と2市1町は、お互いに協力して企業等への需要拡大に向けた努力も行なっております。先日も、水道事業会計が非常に厳しい状況でありますけども、そこで私どもは、向日市及び長岡京市の要望にそって、経営のための、健全化を図るための協議会、検討会を立ち上げ、今検討をすすめているところです。検討会では、府及び両市が、この水道の健全化のために役立つと思われる手段に全力を尽くすという立場で今検討をすすめているところであり、その中で供給コストの引き下げを検討するなどあらゆる方策を講じようとしているところです。  なお、先日の報道については、検討会において水道料金の値下げの方針が固まったという内容でありましたので、これは、そういう色々な取り組みを協議している最中なので、そこまでは固まってませんよという、そういうことの確認が長岡京市長さんからありましたので、全くそのとおりだということで私どもは報道機関にも申し入れてきているところです。  まあ、いろいろと府と市町の見解・主張はありますので、そういった場を、これは話し合いでのりきることが一番大切でありまして、6月18日に開催した第二会合におきましても今検討したところでありますが、今後秋口を目途に両市と水道健全化のための最終案の取りまとめに向けて検討を進めていきたいと考えています。 【梅木】乙訓の水道問題についてお聞きします。知事は答弁で、郵送で送付しただけ、出席も拒否しているというように答えられましたが、しっかりと事実を確認して頂きたい。議場からもけしからんという声が出ましたが、何も知らない人たちがそれを聞いたら、大変なことを町長がしているということになりますけども、実際には町長が申請書を手で持っていった、ところが、持っていったものを受け取り拒否で送り返されてきた。だからもう一回送り返したのです。2回目の行為をとって郵送で送りつけるとはけしからん、こんな事をいったら話にならない。これは調べて下さい、知事。 それから、出席を拒否したということですが、町長に対して出席の案内がちゃんとされていないのですよ。町長はいつでも出るというふうに言っています。そういうように、知事の認識と事実が違いますから、しっかり調べて頂きたい。私は事を荒立てるというのではなしに、しっかりと大山崎町と京都府との間で協議をして頂きたいと思うのです。協定では、毎年協議をして決めるということになっているのですね。協定書があるからもう協議しなくていいということになっていない。だから条例に基づき検討して、その申請に基づいて協議をするという条例の段取りに立てば、これは混乱することはない。十分協議して頂きたいということです。何よりも、この水道問題は先程も申しましたように、大変重大な問題です。住民のみなさんにとったら暮らしが関わっている、だからそれをどうやって水道料金を、よそよりも2倍高いのを下げるのか、その努力を地元の市町村も京都府もしなければだめだと、そこで水需要予測を高めにしたために、基本水量が高い、そのままになっている。どうにかならないのか、これを抜いて地元の市町の水道事業のコスト削減で10%値下げすることができるというふうな事だけでことが進むのか、ここは十分に議論をして頂きたいし、私どもも、これは、しっかりと府民の暮らしを守るという観点から注視してまいりたいと思います。 【知事】乙訓の府営水道の問題ですが、私が申し上げたいのは、郵送したか手で持ってきたかという事ではなくて、要するに話し合いましょう、この問題は今まで経緯があり、私の前任の荒巻知事も大山崎町長も判を押した責任があるわけですから、お互いの主張を話し合いでのりこえていきましょうと言っているわけです。ところが、残念ながら大山崎町長さんは、ともかく基本水量の通知書を出さないといけないといって出されて、私どもは、実は6月15日にも企業局長から、とにかく話し合いを白紙に戻しましょうということを申し上げたのですけども、「いや、私はその気もないし、参加する気もない」ということを言っているのであって、これはやっぱり梅木議員も、私どもにいうのも良いが、大山崎町長にも十分話をお聞き頂きたいと思います。(議場から「嘘ついたらいかんて、議会で」の声)  それから、私が言いたい主旨をきちっと説明したのであってですね、私は全く嘘もついておりません。先程申しましたように、一方的で郵送で送りつけられたのは事実であります。それは全くの嘘でもありません。これはみなさんの前で申し上げておきます。 【梅木】乙訓の水問題ですが、3つの行為があるわけですね、さっき知事がおっしゃった郵送について言えば。7300㎥の申込み書しか受け取らないという府の立場がある。それ以外の少ない基本水量にしてほしいということで、申込みのところにそれ以外の数量、低い数量を書いて持っていった。受け取れないということで拒否されているわけですね。それで返送されているわけです。返送したという2つめの行為、そして、返送した後、郵送で送るという3つ目の行為がある。この3つ目の行為だけを取り上げて知事は郵送してきたことは確かだと、こういう事を言っていたら、本当に話し合いできるものもできないと。 それから、協議に呼んでいないんです、府が。協議会にご出席して下さいということで案内していない。それを拒否しているとし、郵送で送ってきたというふうに言ったら、後は進まない。事実経過をしっかりと調べてくださいといっているのです。それを調べずにここで一生懸命答えるから余計言わなければならないのです。ちゃんと、間違った場合には調べて訂正して下さい。本当にそう思います。

農業、農村の問題 市町村や農業団体等と相談し、農家を守る対策をとれ 【梅木】次に、農業、農村の問題についてお伺いします。    農山村では、いま「限界集落」という言葉があるように、集落が崩壊する事態に直面しています。2月議会で、私は京都府内の「限界集落」についてお聞きしました。限界集落の数について、知事は「農業センサス」の65歳以上の農業人口を使って答弁されましたが、正確な調査が必要です。担当窓口を明確にして、過疎地域の実態調査に取り組み、行政の課題を明確にすること、また過疎地域への支援は、保健・福祉・医療・教育・産業など多岐にわたることから、「部局横断的なプロジェクトチーム」をつくるよう求めました。その後の検討状況についてお聞かせください。 知事は「地域力の再生」とさかんに言っておられますが、農山村の「地域力」を奪ってきたのが、木材や農産物の輸入自由化を推し進め、農業や林業を成り立たなくさせてきた国の政策によるものです。農山村の地域力を再生するためには、農林業を再生させることが根幹となります。ところが、今年度から始まる「品目横断的経営安定対策」は、大規模農家以外は切り捨てようというのですから、まさに、農山村の「地域力」をさらに奪うものとなります。それだけに、知事が「地域力の再生」と言われるのなら、こうした京都の農家のほとんどを切り捨て、京都の農業と農村を危機に陥れるような農政にきっぱり反対し、京都の農業を守る抜本的な対策を講じるべきです。  そこでお伺いします。今年度の品目横断的経営安定対策への加入申請は6月末が締め切りです。現在の申請状況はどうなっていますか。認定農業者数、集落営農組織数、対象面積の実数と構成割合についてお答えください。今後の見通しについても併せてお答えください。 いま大切なのは、国が対象としない農家に対しても、価格・所得保障をどう行うかです。宮城県登米市では、米が値下がりし農家の収入が減少した場合、「担い手農家」以外にも減収分の六割を補填する制度をスタートさせました。財源は、今年度国がつくった「稲作構造改革促進交付金」を使うという工夫をしています。また、新潟県田上町は、この交付金を価格下落対策に使い、減収分の9割を補填する制度をつくりました。政府の対策の抜本的転換を求めつつも、市町村や農業団体等と相談して、このような農家を守る対策をとるべきと考えますが、いかがですか。 【知事】農業・農村問題について、府域全体において府民のみなさんと共同しながら農業・農村の重要な役割をしっかりと認識して支えていくために、私どもも農と環境を守る地域協同活動支援事業などに積極的に取組むとともに、地域力の再生のための部局横断的な地域力再生プロジェクト推進本部を設置し、その推進にあたる事としています。さらに平成16年に策定したアクションプラン、農のあるライフスタイル実現プロジェクトを本年度改定するにあたって、既に地域のみなさんの声を聞いているところであり、今後とも過疎地域をはじめとした地域力の再生に、私どもも全力をあげていきたいと考えています。  品目横断的経営安定対策については、何度もくり返しておりますけども、京都府の農業の実態に本当にあっているのか、中山間地域を抱え零細な農家が多いところに大規模農家の経営を優先的にしていくこうした対策があっているか、もっと地域の実情を考えて農業施策を講じるようにということは、これは私ども繰り返し国に対して要請をしているところです。現在、国で加入受付中だが、5月末の加入状況では、認定農業者が24人、集落営農組織が22組織、加入面積のうち半分の約80ヘクタールが稲作となっています。米対策については、産地間競争の激化や価格の下落傾向が続く中、農家所得の確保を図るためには、京都米を確実・有利に販売していくことが重要であり、科学肥料や農薬を減らした栽培に必要な農業用機械の導入支援等、安心・安全でおいしい京都米づくりを推進するとともに、大消費地を抱える京都の立地条件を活かし、企業の社員食堂や量販店の販路開拓をすすめています。また、国に対しても小規模稲作農家も安心して米の生産に取り組めるよう米価下落に歯止めがかかる実効性ある仕組みづくり等を広く要望しているところです。 【梅木】「限界集落」については、担当窓口をしっかり作ってほしいということで、実は質問をする前に農村振興課に問い合わせたら、「福祉がとか保健所のこととかありますから、うちが窓口になるのか、やっぱり農業の窓口ですからね」ということになる。それでは自治振興課に聞くと「これは一応、農村振興課の方へ」ということになっているわけですね。ですからそこはしっかりと、過疎地域がそのまま放っておいたら、地域力の再生といいながらどんどん衰退しているという現状にあるのですから、どこが担当するのかをまず決めること、実態調査を行なうこと、何が課題かを明確にして部局横断的なプロジェクトチームをつくってしっかりと対応することをやらなければ駄目だ。そういう地域力の再生、過疎地域、「限界集落」に対する支援をぜひともお願いしたいと思います。

中川泰宏衆院議員が会長を務める京都農協にかかわる 問題について 【梅木】農業問題に関連して、中川泰宏衆議院議員が会長を務める京都農協にかかわる問題についてお伺いします。 昨年7月公正取引委員会は、京都農協に対し、生産資材の購入やJA京都を通じての米の出荷の強要は、独占禁止法第19条の規定に違反する恐れがあるとして警告を行いました。 これまでから、わが党議員団は、国や府の補助金をもとに導入された育苗センターやライスセンターなどの利用を、生産資材の購入をしていないことやJA京都を通じての出荷がないことを理由に拒否していることを是正するよう求めてきました。残念ながら府は、適正な指導を行いませんでしたが、公取委が警告を行なったのであります。その後、こうした事態は改善されているのですか。府としてのどう対応されているのかお聞かせください。 また、本年4月18日に、京都府労働委員会は、京都農協に対し、不当労働行為を断罪する命令書を出しました。この命令書では、①京都農協に対し、京都農協労組及び京都府農協労連との団体交渉に応じること。②労働組合事務所を貸与すること。③会長の中川氏の労働組合敵視発言や、組合事務所を退去させたことなどは不当労働行為であり、今後このような行為を繰り返さない誓約書を労働組合に手渡すこと、を命令しています。  ところが、京都農協は、この命令に従わないばかりか新たな不当労働行為を行なっています。労働組合側が、京都府労働委員会命令を遵守し交渉に応じることを求めたのに対し、「中央労働委員会に再審査手続きを行なった」ことを理由に、「要求の受け取りも交渉も拒否する」という対応に出ているのです。中央労働委員会の審査中も、初審命令の効力は消えません。京都農協の姿勢は、京都府労働委員会の救済命令を蹂躙するものであり、許されません。 京都農協に関わって、わが党議員団は、2000年の船井・北桑の農協合併、その後の福知山農協の吸収合併、さらに亀岡市農協や京都丹後農協との合併の際、農協法に基づく「包括継承」が守られていない問題、労働組合つぶしなどの不当労働行為、また、農家の意思を無視した合併手続など、具体的事例を示して、是正を求めてきましたが、府は「法に基づいて適正に処理されている」として、指導を行いませんでした。 今日、公取委からの警告、労働委員会からの是正命令が出され、「法に基づいた適正な対処」どころか、法令違反が行われていたことが明らかとなりました。指導監督する責務をもつ知事として、今後どう対処されるのか、お聞かせください。 【知事】京都農協の問題についてですが、公正取引委員会の警告については、既に公正取引委員会の指導をふまえ改めており、府としても指導を行なう中で改善の状況を確認しています。京都府労働委員会から命令が出されたことについては、現在、中央労働委員会において再審査が行なわれているところであり、その結果をふまえて府としても対応していきたいと考えています。

日本青年会議所が作製したアニメーションDVD「誇り」 について 【梅木】次に、教育問題についてお伺いします。 日本青年会議所が作製した「誇り」というアニメーションDVDについてです。このアニメは日本の戦争は「自衛のための戦争」「アジアの人々を白人から解放」するための戦争だったと描き、加害の事実や従軍慰安婦問題などには触れず、日本人の戦争への反省は「GHQによる洗脳」の結果と説明されています。アニメをつかって、靖国神社の特異な戦争観を子どもたちに教え込もうとするものです。教員以外の地域の市民が講師となる「新教育システム開発プログラム」の委託事業に、文部科学省が採用し、総合学習の時間などで、このアニメを使った授業が、中学校などで行われようとしていました。 日本やドイツがおこした戦争は「不正義の侵略戦争であった」、この認識は戦後の国際社会の出発点です。そして日本もそのことを認め、その反省にたって国際社会に仲間入りしてきました。戦後50年の節目の年に、いわゆる村山談話は、「植民地支配と侵略」によるアジアヘの「多大な損害と苦痛」への「痛切な反省」を表明しているのです。教育についても、1982年の官房長官談話は「アジアの国々の国民に多大な苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意」が「学校教育にあたって当然、尊重されるべき」だと述べています。こうした政府見解にも反し、戦後の国際社会の出発点から逸脱するこのようなアニメが公教育で使われることはあってはならないことです。伊吹文部科学大臣も「私が校長なら使わない」と答弁し、青年会議所の会員の中からも「問題あり」という意見がおこっているとのことです。知事、ならびに教育長はどうお考えか見解をお聞かせください。 【知事】DVDについてですが、これは、公教育におきましては、教材の対応というものは、ご存知のように、教育委員会の、地方教育行政法組織及び運営に関する法律で、教育委員会の権限に決まっている。それは、知事という極めて政治的立場にある人間が、教育の中立性について、具体的な教材の対応まで言うのはまずいんじゃないかということで、この法律が決まっているわけですから、それについて意見を公的な場で言うというのは、私は個人的意見はありますが、公的な場でいうというのは、質問としておかしいと私は思う。 【教育長】日本青年会議所のDVDについてですが、現在、府内の中学校において、このDVDを使用した授業が行なわれた事例は聞いておりませんが、一般にこうした補助教材を授業等において使用するかどうかについては、第一義的には校長に権限があり、各学校において適切に判断されるものと考えております。いずれにしても、このような外部の教材の取り扱いについては、学習指導要領に照らして慎重に判断されるべきものと考えています。

山城通学圏の「通学圏の拡大と単独選抜」の結果と 京都市・乙訓地域の公立高校入学者選抜制度の在り方について、保護者や教師、広範な府民参加で議論せよ   【梅木】次に、府立高校の通学圏・入試制度についてです。  京都市・乙訓地域の通学圏の再編について「懇談会」が開かれ、近くまとめが発表されるとのことですが、この懇談会での意見をお聞きして、あらためて3年前に導入された山城通学圏での「通学圏の広域化と単独選抜制」についての総括が必要だと感じました。 このグラフをご覧ください。青色は山城通学圏の高校別大学進学率です。黄色は授業料減免を受けている生徒の比率です。赤色は、中途退学者の数です。大学進学率で2.3倍の差、授業料減免で6.3倍の差になっています。中途退学者の数でも、他の通学圏と比べて、学校間の差が広がっているのです。 2月議会で、わが党の前窪議員が、「通学圏の拡大と単独選抜」の実施によって山城通学圏の高校間格差と序列化がすすんでいるということを指摘しましたが、教育長は「序列化という見方は一面的ではないか」と反論されました。しかし、京都市・乙訓地域の「懇談会」でも、「単独選抜制にすれば学校の序列化が進む。定員割れもできる。」など、単独選抜が学校の序列化を生み出すという危惧や不安の声が多く出されました。また、府教委は「子どもたちが行きたい学校を選べる」といいますが、懇談会では、「学力が高くて、どこへでも行ける子どもは限られる。ほとんどの生徒はそうではない。」と進路指導に責任をもつ中学の校長先生からの厳しい指摘がありました。別の中学校の校長先生からは、生徒を成績で輪切りにする教育はしたくない。高校は成績のいい生徒を集めたいと思うかもしれないが、中学の立場では、どこの高校へ行っても同じように学べるのがよい。そこが京都のいいところだと思う、と述べられ、高校の校長先生も、多様な子が同じ学校にいる中で、仲良く和を持って学んでいける。多様な子の中で学ぶ意義を強調したい、と「通学圏の拡大や単独選抜」への疑問、総合選抜の堅持を求める意見が出されました。 教育長は、グラフで示したこういう傾向について、どう分析し評価をしておられるのでしょうか。また、懇談会での「単独選抜制にすれば学校の序列化がすすむ」、「学校を選べるのは、一部の生徒だ」という現場からの指摘に、どう答えられますか。お答えください。 通学区域や入試の方法、高校の多様化についてはさまざまな意見があります。親も生徒も「選べる」というより「どこに入れるか」の選択になり、単独選抜では、中学校の生徒指導の先生に重圧がかかっています。府教委は、高校教育へのニーズが多様化し、選択の巾を広げるといいますが、特色をうたった受験専門学科では定員割れが起こっていますし、多くの生徒や保護者は、地域の高校に行きたいと望んでいます。普通科を増やしてほしいという声も多くあります。  京都市・乙訓地域の通学圏の再編について、懇談会ではさまざまな意見が出されましたが、その議論の様子は府民には知られていません。そして1ヶ月半の間に5回の会合を開いて、懇談会のまとめを出すということでいいのでしょうか。京都市・乙訓地域の公立高校入学者選抜制度の在り方については、保護者や教師、広範な府民の参加を得て、京都の高校教育のあり方について議論を進めた上で決めるべきです。そのためにも、山城通学圏の「通学圏の拡大と単独選抜」の結果について、必要な基本的な数値や資料、情報を公開・提供し、府民的な議論を行い、総括をすべきです。教育長の答弁をお願いします。 【教育長】高校の入学者選抜について、生徒が主体的に高校を選び、意欲をもって進学することが極めて重要であり、逆に高校を選べないことへの不満や、高校進学に対する目的意識の欠如が、意欲の低下を招いていることは否定できないところであります。  山城通学圏では、ほとんどの受験生が居住地域によって、機械的かつ一方的に入学校を決められていたものが、制度改善によって生徒が自ら高校の特色を理解して志願先を決めるようになり、結果的に志願者数の多寡、多い少ないが各高校の難易度としてあらわれてきております。しかし、中学校からは、生徒が早い段階から目標をもって学習や部活動に取り組むようになったという評価を頂いておりますし、生徒の約95%が第一志望の高校に入学して、学習活動だけでなく、部活動や学校行事、地域貢献など様々な分野で積極的にいきいきと取組んでいるところであります。 そういったことからも、例えば学力の面だけで学校の序列化を論じるのはやはり一面的な見方であり、教育的見地では無いというふうに考えております。また、議員ご指摘の大学進学率や中途退学者数等の数値は、様々な要因によって変化するもので、選抜制度と直接結びつくものではないと考えています。      更に、学校ごとの授業料減免率に大きな変化というものは見られませんが、むしろ経済的、社会的要因との関係で分析すべきであると考えています。 今後とも各高校が魅力ある教育をすすめ、生徒や保護者のニーズや進路希望に応えられるよう支援してまいりたいと考えています。 次に、京都市・乙訓地域における高等学校入学者選抜についてでありますが、懇談会では、保護者や中学校、高校の関係者をメンバーとして公開によって議論いただき、議員ご紹介のような意見も一部にはありましたが、選択の巾を広げて欲しいという意見が大勢を占めており、近くそれらの意見をふまえ、懇談会からまとめを頂く予定となっております。今後は、そのまとめをふまえ、京都市教育委員会を始め関係市町、教育委員会とも十分、連携協議し、これまでと同様に必要な数値や資料を公開して、府議会や広く府民のご意見もお聞きしながら通学区域や選抜方法の改善にむけた検討を進めてまいります。 【梅木】教育長がお答えになりましたが、一部の意見と大勢の意見というのを恣意的に教育長の考えで分けてしまうということは良くない。私は十分に府民の意見を聞いて頂きたいということを言っておきます。  DVDについては、今日の新聞報道でありましたが、青年会議所が文科省の委託事業を辞退するということになりました。これは世論が追いつめたと私は思っております。ですから私は使われようとしていたと質問で言いましたが、この問題としては、文科省が委託事業にしたという事自体が大変な問題なんですね。ですから、これは教育上の問題として今後もしっかりと考えていかねばならないと思います。

憲法9条守り、安倍首相の集団的自衛権の行使についての解釈変更を許すな【梅木】最後に、憲法問題について質問いたします。 安倍首相は、自分の任期中に憲法を変えるということを繰り返し発言し、4月には国民投票法、すなわち改憲手続法を強行可決しました。安倍首相と自民党が、アメリカの要求に応えて、憲法9条を変え、日本が海外で武力行使できるようにしようとしています。 そこで、このグラフをご覧ください。読売新聞の世論調査の例ですが、「9条を改定する」の意見は3年間に、43.6%から39.3%、今年は35.7%へと年々少なくなり、一方「改定しない」は、45.7%から53.5%、55.8%と3年間に10%増えています。改憲問題が現実の問題となる中で、どの世論調査でも「憲法9条は守るべき」が増えています。この声が多数であれば、憲法改悪をストップさせることができます。私ども日本共産党は、草の根から憲法9条を守る世論を、さらに広げるために奮闘するものです。 そこで知事にお伺いします。「憲法9条は改訂すべきでない」という世論が高まってきている、この動きを、どのように受け止めておられますか。お答えください。 また、昨年12月議会で西脇議員が、集団的自衛権の行使についての知事の考えを聞いたのに対し、知事は、「自衛権について発動の3原則をしっかり守ってきたという歴史を踏まえて、国民の疑念が生じないように議論していただきたい」と述べられました。いま安倍首相は集団的自衛権の憲法解釈について、①公海上で行動を共にする米艦船への攻撃に対する反撃 ②米国に向かう弾道ミサイルの迎撃 ③国際平和活動を共にする他国部隊への攻撃に対する駆けつけ警護 ④国際平和活動に参加する他国への後方支援の4点について、現行憲法の下でも許されるかどうか検討を始めています。これらは、12月議会で知事が述べられた「自衛権発動の3原則」つまり、①わが国に対する急迫不正の侵害があること ②これを排除するために他の適当な手段がないこと ③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、にはまったく当てはまらないことは誰が見ても明白です。内閣法制局におられた知事として、安倍首相の集団的自衛権の行使についての解釈変更が、この3原則に照らして許されると考えられるのか、それとも許されないと考えられるのか、お聞かせください。 以上、答弁をお願いします。 【知事】憲法問題についてですが、今国会において国民投票に関する法律が成立したところですが、これまでからお答えさせて頂いているように、私はこの問題を議論するにあたっては、憲法9条の理念を堅持し、真に各国の人々が国境を越えて協調し、世界の恒久平和、人類の共存と未来を守ろうとする憲法の主旨を十分にふまえたかたちで議論をされるべきだと考えています。 集団自衛権については、今後も国会において十分に議論されるべきとかんがえているが、やはり日本の場合、自衛権、そして自衛権の発動について3要件をしっかり守ってきた、こういう歴史をふまえて国民の疑念が生じないように議論を尽くしていただきたいと考えています。 【梅木】憲法問題については、いよいよ憲法を守るのか、改憲を許すのかが大問題になっています。特にその中で自衛隊の「情報保全隊」が、自衛隊でなく国民を「違法に監視」していたという事実も発覚してきた。先日の府庁開庁記念式典で知事が「特別感謝状」を贈られた梅原猛氏も「9条の会」の呼びかけ人になっておりますけれども、今日の京都新聞を読みましたら、「9条の会」のもう一人の呼びかけ人であります小田実さんが、ガンとの闘病生活の中で、今の「安倍政権がナチスとの二重写しになる」ということで今の動きに警告を発しておられます。私どもは平和を守れ、憲法を変えるなという世論をさらに広げるために全力をあげて頑張ってまいります。  最後に、安倍内閣は、参議院選挙を前に、国会の会期延長をいたしました。年金問題、政治とカネの問題、増税・負担増でも国民の怒りは本当に頂点に達しています。私ども日本共産党は、7月の参議院選挙はいのちと暮らし、平和を守る大切な選挙だというふうに思っています。今、危機とも言われる、日本のこの危機的状況を打開するために、国民のみなさんと力をあわせて、私ども日本共産党は全力をあげて地域を守り、暮らしを守り、そして平和を守るために全力をあげる決意を申し上げまして私の質問を終わらせて頂きます。