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本会議質問

9月定例会 加味根史朗議員 代表質問

2007/09/25 更新
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【かみね】日本共産党のかみね史朗です。私は、議員団を代表して、通告しております諸点について、知事並びに関係理事者に質問いたします。

「格差と貧困」ただし、福祉・暮らしを守る府政運営に転換せよ 参院選挙で示された「構造改革」路線ノーの審判 【かみね】先の参議院選挙は、国民が自民党・公明党の政治にノーの審判を下す歴史的な結果となりました。そして、安倍首相が突然政権を投げ出しました。これらは、自民・公明の政治全体が末期的状況に陥っていることを示すものであり、新しい政治へのプロセスの始まりであります。まさに貧困と格差を広げた負担増と弱肉強食の「構造改革」路線の破たんであり、「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げて憲法改定を押しつけようとする路線の破たん、アメリカいいなりに海外での報復戦争を支援してきたことの破たんであると思います。 安倍さんにかわって福田さんが新しい総理大臣となる見通しですが、今、日本の政治に求められていることは、これまでの自公政治の大本からの転換であり、日本共産党は府民のみなさと力を合わせて新しい政治の実現に向けて全力をあげる決意であります。  さて、今後の府政のあり方を考える上で、こうした参議院選挙で示された民意にこたえていくことが大切であります。そこで第一の質問は、貧困をただし府民生活と中小企業を守る問題です。小泉内閣以来の「構造改革」路線によって、府民生活と京都経済はどうなってきたのか。 京都府内の正社員と正職員は、2002年の就業構造基本調査によると、5年前と比べ8万3000人減少し、パートや派遣社員など非正規の雇用者は6万3200人も増えています。不安定雇用が増える中、労働者の平均給与は、今年4月の時点で5年前と比べ5万5441円も減っています。 貧困も拡大しています。府内で生活保護を受けている世帯は、今年6月現在3万3772世帯に達し、5年前と比べ1.2倍になっています。就学援助を受けている子どもは、生徒の中で6人に1人以上にものぼっています。国民健康保険料が高すぎて払えず、滞納している世帯は年々増えて2006年で9万485世帯にのぼり、国保世帯の18%に達しています。 京都経済も深刻な状況です。京都は、事業所の落ち込みが大阪府、愛媛県についでもっとも大きい府県の一つになっています。2006年10月現在で5年前と比べ1万3455事業所、9.5%も減っています。地域的には、北部の落ち込みが際だっており、丹後では、製造業で2004年度の総生産額が6年前と比べ74%に落ち込み、企業所得も76%に、労働者の賃金も87%に落ち込んでいます。 このように貧困が拡大し、府民生活と京都経済の状況は深刻さを増しているのであります。こうした事態は、小泉内閣以来の「構造改革」路線によってつくり出されたものであります。同時に、本府は、「構造改革」路線を京都に持ち込み、生活保護世帯への見舞金の廃止や高校・大学授業料の値上げなど負担増を推し進め、指定管理者への移行などを通じて不安定雇用を拡大してきました。さらに、ベンチャー企業や大企業の設備投資に多額の補助金をだして育成しながら、伝統・地場産業の振興予算を削減するなど、偏った経済政策を推し進めてきました。こうした府政のあり方にも、今日の事態の責任があるといわなければなりません。こうした「構造改革」路線に「ノー」の審判が示されたのが参議院選挙の結果だったのであります。 そこで知事におたずねしますが、今後の府政運営に当たっては、「構造改革」路線を根本から見直し、貧困をただし福祉と暮らしを守ること、不安定雇用でなく正社員など安定雇用を増やすために力をつくすこと、すべての中小企業と伝統産業を育成する政策に転換することなど、抜本的な改革を進めるべきであると考えますが、いかがですか、お答えください。 さらに、いま消費税の増税が検討されはじめていることは重大です。今、必要なことは、国民への増税をやめ、行き過ぎた大企業への減税を見直すことであります。貧困が拡大し、府民の暮らしや京都経済が深刻なとき、もっとも弱いものいじめの消費税の増税を検討すること自体、あってはならないことであると考えますが、知事はいかがお考えですか、お答えください。 【知事】府政運営については、中央集権構造が生んだ東京一極集中にともない、地方の活力低下をまねき地域間格差が生じたことから、私は地方分権なくしては地域の個性や資源を生かした地域の活性化は不可能と考え、全国知事会でも積極的に意見をとりまとめてきた。 また、府政においても、府民の安全・安心な生活を確保し、地域産業の振興をはかるため、福祉においては、今年度、乳幼児医療費助成の対象者を小学生まで大幅に拡大するとともに、昨年度来、全国に先駆けて障害者自立支援促進法の施行にともない障害者の福祉サービスにかかる負担軽減措置を講じてきた。また、雇用についても、アクションプランにおいて、常用雇用の推進を積極的に行うこととし、企業誘致条例の改正を行うとともに今年4月に開設した公労使が一体となって展開する京都ジョブパークにおけるワンストップの総合就業支援体制を設立してきた。さらに、中小企業・伝統産業対策においても、これも全国に先駆けて「あんしん借換融資」を実施するとともに、匠の公共事業等による中小企業や伝統産業の支援など、府独自の施策を府民の目線にたって展開してきた。 さらに、今年度を「地域力再生元年」に位置づけ、地域の人々の絆を確立し、その中で地域の力を総合的に引き出すようにつとめ、医師確保対策などに全力をあげてきた。今後とも、地域の持てる力を最大限に発揮し、だれもが明日に希望のもてる安心・安全・希望の京都の実現にむけ全力をあげる。 消費税については、公的サービスをまかなう租税の負担水準の議論は、公的サービスの水準のあり方と表裏一体のもので、負担の嵩だけを議論するのは一面的と思う。とくに私は、福祉先進国のデンマークを訪れてから、その感を強くもっている。急速に進む少子高齢化、企業活動や個々の人のライフスタイルの多様化といった社会経済の構造変化をふまえ、持続可能な社会をつくるために税と負担の両方のあり方を、国において総合的に議論すべきものと考えている。 【かみね・再質問】答弁頂いたが、参議院選挙で問題になったのは、国民への痛みの押しつけをすすめながら、一方で大企業に減税をすすめる。こういう政治でいいのか。「構造改革」路線そのものが問われた。これに対する審判が下った。知事は、私も予・決算委員会等で質問もしたが、例えば高齢者の雪だるま式の負担増に対して、その痛みに心を寄せるという答弁をされてこられなかった。「構造改革路線」に反対してこられなかった。そして、その国の路線に沿って府政を進めてきた。これは事実だと思う。そういう姿勢だから、消費税の増税でも、先ほどの答弁で、「持続可能な社会のためには消費税の増税も含めて検討は必要」という趣旨の答弁をされたのは、非常に重大だ。府民の暮らしを省みない政治に対し、厳しい審判が下った参院選挙の結果をぜひ受け止めて頂きたい。 【知事】消費税については、私は負担とサービスの水準を考えるべきと申し上げているのであって、これは前に梅木議員もおっしゃったように、どこに使われるかという問題があって、それで初めて検討されるべきという風におっしゃられたことと一緒だ。だから、言わないことまで言ったというような形で言われるのは、私はあんまりだと思う。この点、答弁をよく聞いて頂いて、その中で質問頂きたい。

高齢者医療制度の大改悪は許されない 【かみね】次に、高齢者に新たな医療制度の大改悪がすすめられようとしている問題です。高齢者の生活は、年金課税の強化や住民税の増税、国民健康保険料と介護保険料の値上げなど雪だるま式の負担増によって、きわめて深刻です。ところが、それに追い打ちをかけるように、来年4月から70歳から74歳までの高齢者の医療費が2割になる。さらに後期高齢者医療制度がはじまろうとしています。これまで扶養家族で保険料負担がなかった高齢者をはじめ、75歳以上のすべての高齢者が加入を義務づけられ、介護保険料とあわせて、後期高齢者医療保険料を年金から天引きされる。その額は、全国平均で月額6200円と見込まれ、介護保険料とあわせれば毎月1万円も天引きされる。保険料を滞納した場合は、保険証を取り上げられる。さらに、高齢者の受けられる医療を制限する計画まで具体化されようとしています。今、高齢者のみなさんから「とてもそんな保険料は払えない」「どうしてそんなに年寄りをいじめるのか」と憤りの声が広がっています。  このような新たな高齢者いじめの医療大改悪は、断じて実施すべきではありません。この際、知事は、この制度の実施を凍結するよう政府に求めるとともに、国庫負担を大幅に引き上げ、高齢者の生活実態に配慮した保険料の設定や低所得者への減免制度の制度化、さらに保険証とりあげ規定の削除など高齢者の人権に配慮した全面的な見直しをおこなうよう求めるべきであります。いかがですか。  同時に、京都府後期高齢者医療広域連合においては、この11月にも条例を制定し、保険料率などを決めることとされています。そうしたなかで、知事として、広域連合に対して、できるだけ保険料を低く抑え、低所得の高齢者のための減免制度をつくり、保険証のとりあげが行われないように助言すべきです。また、そのことが可能となるよう広域連合に対して府として特別の補助金を出してはいかがでしょうか、お答えください。 次に、本府が独自に行なっている老人医療助成制度を見直そうとしている問題です。現在、65歳から69歳までの低所得の高齢者3万7千人が、この制度の下で医療費の自己負担が1割に下げられています。この福祉制度は、高齢者の生活と健康を支える重要な役割を果たしてきたのです。ところが、自己負担を2割に引き上げ、所得制限の強化で受けられる人も大幅に減らそうというのです。その理由は、国の医療改悪で来年4月より70歳から74歳までの自己負担が2割に引き上げられるのにあわせなければならないというものですが、こんなことが実施されれば、高齢者をますます苦しめ、いっそう医療が受けにくくなることは明らかではありませんか。 9月4日に開かれた府内市町村会議でも、精華町や大山崎町からは「所得制限を変えると認定者数が3分の1に減る」、宇治市や城陽市からは、「70歳から74歳までの自己負担を1割に引き下げることも検討してはどうか」との意見が出されたといわれています。  そこでおたずねします。高齢者の負担は限界をこえており、現行制度を維持すると共に、70歳から74歳までの低所得者の高齢者についても、この際1割の負担とするよう制度の拡充をはかるべきであります。知事の答弁を求めます。  次に、国民健康保険料と資格証明書の問題です。昨年12月のNHKスペシャルで「もう医者にかかれないーゆきづまる国民健康保険」という報道がおこなわれるなど、今マスコミが注目する社会問題となっています。わが議員団は、京都府内で死亡者まで出ていることを取り上げ、高すぎる国民健康保険料の値下げをおこない、保険証のとりあげはただちにやめるよういっかんして求めてきました。 私は、この問題であらためて調査し、49歳のある男性からお話をうかがうことができました。2年前に京都に来て、宅配業の下請け会社で、毎日、朝7時半から夜10時半まで働き詰めに働き、それで手取り収入が12万円から14万円という低賃金だったそうです。男性は、「国保の納付請求書が届いていたのは知っていたが、支払う余裕がなかった」といいます。結局、保険料を33万円滞納し、国民健康保険の短期保険証は今年1月に切れたままになっていました。体の調子が悪くなっても、病院にいけず、ついに6月に下腹部が痛く我慢できなくなって駆けつけましたが、すぐに入院しなければならないほど重病化していました。保険料が高すぎて払えない、保険証が取り上げられたら、体が悪くても病院にもかかれない。この方の例でも明らかであります。こういう事態を放置するわけにいきません。知事は、「セーフティーネットを働かせる」といつも答えておられますが、セーフティーネットの網はやぶれ、逆にその制度が医療難民を増やし、命と健康を損なう深刻な事態をまねいているのであります。知事はその痛みを感じられないのですか。いかがですか。 私が紹介した例は、氷山の一角です。不安定な雇用に置かれるなど収入が落ち込めば、誰でも起こりうる事態です。現に、医療費を全額払わなければならない資格証明書の発行世帯が、4739世帯と急増しています。10年前の12倍です。これは、近畿で唯一つ本府が文書まで出して市町村に保険証とりあげの要項を定めるよう指導してきた結果です。そこで質問しますが、知事も資格証明書の発行は「真にやむを得ない場合の手だてとして実施すべき」と答えておられるのですから、生活困窮者や子どもをもつ家庭からの保険証のとりあげは、ただちにやめるよう市町村に助言をおこなう通知文書を送るべきであります。いかがですか、お答えください。 同時に、国民健康保険料は、払える金額に引き下げる必要があります。京都市はとりわけ高すぎます。年収200万円、月収16万円の2人世帯の保険料が月2万8千円、年間33万8千円です。とても払えません。 そこでおたずねいたします。知事は6月府議会でわが議員団の保険料引き下げについての質問に対して、「保険料軽減制度に対して府の負担を行っている」と答えました。その保険料軽減制度とは、法律で定められた減免への負担であって当然であります。しかし、その制度のもとで、滞納世帯や資格証明書の発行世帯、いわゆる医療難民が増え続けているのです。この事態を打開するためには、市町村が保険料そのものを値下げすることができるように支援する府独自の助成制度をつくることが必要であります。いかがですか、お答えください。 【知事】高齢者医療制度については、高齢者の有する心身の特性や生活実態をふまえて、必要な医療サービスを安心して受けられるよう安定的な医療保険制度を構築することが重要。府としては、国の医療制度改革にともなって新たに創設される後期高齢者医療制度において、高齢者の負担が過度なものとならないよう従来から国に対し提案・要望してきた。その結果、所得に応じた保険料の軽減措置、被用者保険の被扶養者に対する経過措置、年金天引きの額が過大とならないような措置、地域の医療の実情に応じた保険料の設定等が制度化された。  しかしながら、新たに保険料が加算されることとなる被用者保険の被扶養者への十分な配慮など、まだまだ不十分な面が多く見受けられることから、新たな制度が高齢者にとって負担にならないように、重ねて生活実態をふまえた個人負担のあり方の点検等について提案・要望をしてきた。今の政府において、負担が増えるという現実をふまえ、そのあり方について、ご承知のように検討されているところで、その行方をしっかりと見守りながら、引き続き提案・要望していきたい。  また、府後期高齢者医療広域連合に対しては、事務局への府職員の派遣や電算システム構築等に必要な単独助成を全国に先駆けて実施する等、人的・財政的に積極的に支援している。制度の運営については、現在、広域連合において検討が進められているところであり、今後、被保険者や医療関係者等で構成される新たに設置された協議会において幅広い意見を聴取された上で、広域連合議会において意思決定がされることになるが、本府としても引き続き健全・円滑な運営が行われるよう助言・支援を行う。  府独自の高齢者医療制度については、多くの府県で制度が廃止される中で、京都府は厳しい財政状況の中で、現在に至るまで制度を存続させてきた。平成20年4月から、国の制度が見直される予定となっているが、実施主体である市町村においては国制度との整合を図りつつ制度存続をしたいとの意向。府としても、市町村の意向を尊重し、何とか存続させたいとの思いで検討を進めているところであるが、今後まず国の動向をしっかり見極めることが必要であり、その上で共同している市町村の意向をふまえ、府議会の意見を伺いながら対応案を決定していきたい。  国民健康保険については、資格証明書は特別の事情もなく1年以上保険料を滞納している世帯に対して、法の規定に基づき保険証に代わるものとして市町村が交付するもの。その運用にあたっては、納付相談に応じない、あるいは保険料を支払う能力があるにもかかわらず資力に見合った納付計画が示されていないなど、真にやむを得ない場合の手だてとして実施すべきと考えている。府としては、こうした考えに基づき、被保険者の個別事情をふまえ、実態に見合った適切な運用がなされるよう市町村会議等で繰り返し要請してきた。今年度は、その運用状況について、9月上旬からすべての市町村を対象に、現地に出向いて確認しているところで、運用状況の確認結果もふまえ、引き続き制度の適切な運用がなされるよう市町村に対して助言・要請をしたい。 【かみね・再質問】高齢者の負担増の問題は、今、大きな政治問題になってきている。政府・与党が選挙結果を受けて、高齢者の負担増を凍結することをいわざるをえなくなっています。凍結対象とされているのが、70~74歳の高齢者の医療費負担の2割への引き上げ、後期高齢者医療制度の創設に伴う新たな保険料負担、児童扶養手当の一部削減などです。知事は先ほど「推移を見守る」ということでしたが、こういうことを言わざるをえなくなってきている情勢の変化があるわけですから、とくに後期高齢者医療制度については、一時的な凍結で終わりでなく、この際抜本的な見直しを強く求めるべき。この点、再度質問したい。  また、こういう中で、京都府が「国の動きを見ながら」と言いながら老人医療の府独自の助成制度を見直していこうという姿勢をまだもっておられる。これは非常に重大だ。高齢者の負担が限界にきているという認識はないのか、私は本当に疑問に思う。再度、府独自の老人医療助成制度の見直しはやめて、維持・充実させるべきだと考えるが、再度知事の答弁を求めたい。 【知事】後期高齢者医療制度は、まさに私どもはその負担が過重にならないように求めてきたところで、そうしたものを受けて現在、政府与党において、今日の自民党と公明党の政策会議の中でもこういう風なものが出てきている。この点をしっかりとふまえて、今後とも老人医療がきちんと老人の皆様に提供できるように要望していきたい。  府独自の制度については、まさに今この制度を維持している都道府県は少数派になっているが、京都府としては厳しい財政状況の中で、何としても市町村と連携をして維持をしていきたいと思っているが、もともとこれは国制度を補完する制度であるので、この制度の移行によってやはりあり方を考える必要があるので、先ほど申し上げたように国の今後の推移を見守った上で市町村を含めて一緒になって考えていきたい。

「応益負担」の撤回など、障害者・施設の負担軽減を 【かみね】次に、障害者自立支援法の下で苦しめられている障害者の問題です。わが議員団は、一貫して障害者自立支援法の応益負担の撤回を求めつつ、負担軽減の充実と事業者への経営支援の強化を求めてきましたが、今後の課題について、二つに絞って質問いたします。  第一に、障害者の負担の問題です。京都市内の通所施設の関係者にお聞きしますと、確かに国の施策で負担が4分の1に軽減されましたが、給食費が全額自己負担となったため、一日500円の給食費と負担限度3750円をあわせると、今でも月1万4750円の負担になります。授産施設で働く平均的賃金は1万円余りですから、負担の方が上回ります。当然ながら障害者や家族のみなさんから「まだまだ負担がしんどい」という声がでています。このため障害者や家族、関係者のみなさんは、この10月にも京都で応益負担の撤回をもとめる大きな集会を計画され、参議院で与野党逆転となった国会にむけた要請行動を強めようとしておられます。 そこでおたずねいたします。知事は2月府議会でわが議員団の質問に対し、「応益負担により低所得の方や重度の障害のある皆さんにとって、必要なサービスが利用できなくなることのないよう国に対し引き続き提言要請を行なっていきたい」と答えられました。応益負担の制度をなくしていく可能性が生まれてきているもとで、知事も応益負担反対の立場に立ち、制度の撤回を国に求めるべきではありませんか。いかがですか。お答えください。 同時に、国の制度が改善されるまでは本府として負担軽減の制度をいっそう充実させるべきであります。特に給食費の負担が重くなっています。お聞きしますと、京丹後市が給食費に100円補助する制度をつくっておられます。本府としても、こうした市町村を激励し、給食費への助成を促進してはいかがでしょうか。お答えください。 第二に、障害者自立支援法で定められている施設体系への移行をめぐる問題です。京都市内の社会福祉法人の授産施設の関係者に聞くと、法律に基づく施設体系の移行を目指して検討中ですが、認定区分の見通しから、大半の障害者が区分3となるため、就労継続Bという施設にたくさんの障害者が入所することになるそうです。しかし、その施設の報酬単価が一日4600円で、現在の授産施設としての一日の報酬単価6000円より1400円も下がる。施設全体として減収にならざるを得ないと話されていました。 日割り計算方式で施設は減収となり、新しい施設体系への移行でも減収を余儀なくされる。こんな馬鹿な話はないと痛感しました。施設関係者がいま、安心して施設の移行をはかれるよう報酬単価の引き上げなど抜本的な経営支援の強化を求めておられますが、当然のことであります。 そこでおたずねいたします。国に対して報酬単価を引き上げ、日割り計算の支払い方式を、月額支払い方式にあらためるよう強く求めるべきであります。 また、本府は施設等の新体系におけるサービス基盤の整備をはかるために、国の制度を活用し、施設の改修等の経費に対して助成を行う「障害者自立支援基盤整備事業」を実施しようとしています。国の制度では、補助単価は1施設あたり2000万円以内とされ、国の財源を利用して本府が10分の10の補助率で負担することになっています。本府は、今年3月の時点で、この制度を施設関係者に説明し、利用希望を求めたところ、50件の申請が寄せられたそうです。ところが制度利用を予定している施設関係者に対して、本府は、夏頃になって突然、補助単価を1施設あたり1千万円に引き下げると言い始めたと聞きました。こんなバカな話はありません。補助申請が多ければ、予算を追加すればいいではありませんか。予算を増やし、当初の計画通り事業をすすめられるようにすべきであります。以上の諸点についてまず答弁を求めます。 【知事】障害者のある方が必要なサービスを受けることができない状況が生じ、自立した生活を阻むことがあってはならないとの考えから、利用者負担の見直しを行うよう法施行前から何度も国に赴き強く要請を行い、全国知事会においても積極的な提言を行ってきた。一方で、福祉サービス利用料や食費・医療費といった様々な負担をトータルとして軽減するために、府独自で全国に先駆けて利用者負担の軽減措置を実施した。こうした動きを受け、19年度からは国においても福祉サービスの利用料上限額を従来の4分の1に引き下げるなどの軽減措置を新たに導入した。それでもなお不十分な点があることから、府においては、重度障害者の負担上限額の引き下げや軽減対象世帯の拡大など独自措置を継続して実施するとともに、国に対してもさらなる軽減措置を要望してきた。 施設の運営に対しては、日割り計算の導入等により多くの施設で減収となるため、極めて厳しい状況のため、府においては施設に対する独自の貸付制度や利子補給、経営相談等の支援を実施してきた。同時に国に対しては、安心して運営ができるような制度改善を強く要請してきた。その結果、昨年12月の国の補正予算に、従前の収入の9割保障や送迎サービスにかかる費用の補助など、施設の運営を支援する仕組みを設けたところ。 しかしながら、施設関係者からは依然として厳しい状況が指摘されていることから、府においては、無利子貸付等を継続し、国制度とあわせて運営の支援を着実に実施したい。その上で、引き続き安定したサービスを提供できる報酬体系にする意向を強く国に要望したい。 基盤整備の補助制度は、障害福祉施設の自立支援法に基づく新しいサービス体系に移行するにあたり、必要な施設改修等の経費を助成するものであり、昨年12月の国の補正予算により各府県に造成された基金がその財源になる。府においては、基金の額が定められている中で、標準的な施設整備については対応可能で、かつ、できるだけ多くの施設に活用していただける額として1000万円を基準としたところで、今年度当初ただちに関係する事業者にも周知したところであり、すでに多くの事業者に積極的に活用を図って頂いている。 【かみね・再質問】引き続き重い負担があるということで、福田総裁も「見直しが必要だ」と言わざるをえないわけです。その中で、その最大の根源である応益負担の問題、これに踏み込んで、この際撤回を求める取り組みが必要ではないか。この点、思い切った立場がとれないのかどうか、再度知事の考えをお聞きしておきたい。 【知事】障害者自立支援法については、まさに私はこの席上で、法の仕組み自身が障害者の自立を阻害するものではないかということについて、国に対して要請してきたし、その中にあって、低所得の方々がこれが応益負担ということではなくて、まさに所得に応じた形で応能負担に切り換えるよう、私どもの府の制度を行ってきた。そうした成果を受けて、国の方でも補正予算を組まれたということがありますので、私どもは引き続きしっかりと低所得者も含めて障害者の皆様がサービスが受けることのできるような体制について、国に求めていきたい。 【かみね】情勢が大きく変化してきているので、後期高齢者医療制度、また、障害者自立支援法など、国民への負担増を見直す、その方向で知事がキッパリと国に向かって要望すべき。

府北・中部地域の中小企業支援について 【かみね】次に、きびしい状況におかれている府北・中部における中小企業支援について伺います。私は、この間、京都の中部地域を歩き、中堅企業の方々、下請企業の皆さんと懇談を重ねてまいりました。ある中堅企業の社長さんは、「これまでは大手の下請として親企業に依存するだけだった。しかし、自前で高額の検査機器もいれ、自社のスキルアップに力を入れてきた。ようやく単価に合わない仕事は断り、新たな取引先も開拓できるようになった」と話され、今後さらに前進していく上で、京都府の北部産業技術支援センターへの期待を述べられました。このように、わが党が長年要求してきた府北部産業の活性化拠点がいよいよ整備されるに至り、地元企業の期待が高まっていることを実感しました。 そこで、質問いたします。第一に、府北・中部における中小企業に対する府の姿勢です。厳しい競争の中で生き残ってきた下請中小企業には、「基盤となる確かな技術力」があります。同時に、一つひとつの企業にとっては、スキルアップのための要望は多様です。こうした要望を汲みつくす行政の姿勢がいま求められています。 綾部市では、地域経済対策本部が「事業所実態調査」を開始し、18年度は217事業所中106事業所の実状をつかんでおられます。府としても、市町村と協力して全ての中小企業を対象とした「実態調査」を行い、これをデータベース化して繰り返し相談・支援する体制を構築すべきではありませんか。いかがですか。 すでに、北部産業技術支援センターでは8月末までに80以上の事業所を、案内をかねて訪問し、その際にえた情報をデータベース化しようと、意欲的な努力を始めておられます。初動が大事です。当面、こうした活動を全事業所規模に広げるため、支援センターの体制を強化する考えはありませんか、いかがですか。 さらに、技術支援センターには、すでに多くの検査機器が入っていますが、現地で「依頼試験」を行う体制はありません。利用者が機器を使って検査するだけでは「試験」の範囲は限定されます。ある経営者が私に、「依頼試験もできないようでは、姿勢が問われるわな」と言われましたが、技術者の配置など、ただちに改善すべきではありませんか。あわせてお答え下さい。 第二に、長田野工業団地や綾部工業団地などへの企業集積を地場製造業への発注増につなげる問題です。例えば、綾部工業団地との関係で、仕入れ取引をする地場の既存企業はわずか2・5%、出荷取引では4・7%です。綾部の製造品出荷額は1030億円ですが、府営工業団地に進出した18社だけでその半分を超えています。一方で、綾部全体の出荷額は横ばいで、市内の既存事業所は落ち込んでいるわけです。地元関係者やわが議員団は、この問題をこれまでから指摘し、市内の既存事業所と府営工業団地の進出企業とを結びつける努力を行なうべきだと求めてきましたが、その点があまりにも弱かったことがこの数字に表れているのではありませんか。この打開は地域全体の活性化を図る上で非常に重要な課題であり、府営工業団地を誘導した京都府のイニシアティブの発揮が求められます。いかが対応されますか。お答えください。 第三に、技術者ならびに後継者の養成についてです。例えば、綾部の事業所実態調査では、「技術者の確保」を42%の企業が、「若年労働者の確保」を43%の企業が上げ、技術者と後継者の養成にたいし高い意識を持っています。反面、財務面では3割の企業が「人件費の抑制」を課題として上げ、パート化や派遣への置き換えをすすめようとしています。このことが技術力の継承や後継者の養成と矛盾することはハッキリしています。この矛盾を解決する道は、正社員化の促進しかありません。厚生労働省も来年度から中小企業の正社員化を奨励金で後押しする制度を発足させると聞きますが、これも活用し、府として、中小企業が後継者・技術者養成をはかる場合、その職業訓練や正社員化を対象に助成する制度を研究・創設すべきと考えますが、いかがですか。知事のご所見を伺います。 【知事】府北部の中小企業支援について、実態把握は、事業所企業統計調査結果もふまえ、業界の方々と意見交換や中小企業技術センターによる企業訪問・巡回指導などを通じ、企業データを蓄積し、効果的に支援・活用している。また、本年6月に、北部産業技術支援センター綾部を開設したことから、これまでに比べ府北部の利便性が飛躍的に向上したことから、地元にも大いに歓迎されている。 このセンターの運営は、専門技術職員2名に加え、綾部市からの派遣職員や技術支援の経験をもつ嘱託職員で行い、地域でこれまでなかった巡回指導や研修事業に加え、機器の貸付等を実施している。機器貸付は、企業自らが試験検査を容易に実施できるようサポートするとともに、さらに依頼試験については、今後地元と協議しながら、必要な分野についての現地の職員によるものやテレビ会議システムなどのIT技術も活用しながら、中小企業技術センターや織物機械金属振興センターと連携して、積極的に企業ニーズに対応していきたい。 長田野・綾部両工業団地の立地企業から北中部企業への下請発注の状況については、過去5年間の平均は長田野で約56億円、綾部では約17億円になっている。この額をさらに増やすため、これまでから長田野工業センター、綾部工業団地振興センターに対して、地元発注の拡大を要請し、両センターから立地企業に周知してもらっている。とくに福知山市域では、工業団地立地企業と市内既存企業による福知山企業交流会が結成されて、交流、情報交換、受発注に努力されている。両工業団地は、雇用、税収を含め地域の活性化に大きく貢献しているが、地元への受発注のさらなる拡大のためには、単なる要請だけでなく、同時に地元企業の受注能力や技術力の向上も図っていく必要があり、その中で新しい企業としての活力の道も造り出していきたいと考えており、このため府としては、北部産業技術支援センター綾部を設置するなど、北部地域の中小企業のニーズ支援に応えているところで、両面から受発注の拡大につなげていきたい。 中小企業の人材育成と正社員化については、新京都府雇用創出就業支援計画を策定し、3万人の常用雇用をめざし、企業誘致条例の改定、京都ジョブパークの就業支援をはじめ様々な事業を展開している。北中部における中小企業等の人材育成や技術支援にあたっては、織物機械金属振興センターや北部産業技術支援センター綾部において取り組んでおり、さらに今年度、北部産業活性化拠点京丹後の整備にむけての検討を進めるなど、中北部の企業と一体となって人材育成に抜本的に努めていくこととしており、また、府立高等技術専門学校などにおいても京都産業の人材ニーズの変化に柔軟かつ機動的に対応するため科目の再編や施設整備の地域企業への開放などを進め、地元業界等のニーズに応じた職業訓練をしっかりと実施することによって、人材の確保に努めたいと思っている。 今後とも、国においていま検討されている新たな奨励金制度等の活用も含め、中小企業の人材育成や正社員化・常用雇用化にむけた取り組みを積極的に推進していきたい。 【かみね】経済情勢が本当に深刻になっているもとで、府が作った技術支援センターが重要な役割をもっていると実感する。発足したばかりだが、すべての中小企業を訪問しながら、しっかりと要望も聞いて、最大限の支援を行うような抜本的な体制の強化を強く求めておく。 原発の地震防災対策について 【かみね】次に、原子力防災について伺います。新潟県中越沖地震が、東京電力柏崎刈羽原発を襲ってから二ヵ月余がたちました。「およそ起こりえない」とされる限界地震を想定した「耐震設計」の3.6倍にも達する激しい揺れに襲われ、「原発は地震に強い」という安全神話が崩れ、国民の不安が現実のものとなりました。  高浜原発など福井県の原発群に隣接する京都府にとって、これは他人事ではありません。  まず、原発施設の耐震安全設計の問題です。現在、電力会社や国は、原発の耐震設計や安全審査の際に、地表や海底表面に現れている活断層の長さを重視して、地震の規模を推定しています。しかし問題は、内陸直下型の地震を引き起こす断層活動が、地下十数キロメートルで起こることです。  また、2001年の国土地理院の発表では、「新潟―神戸」間に「ひずみ帯」が集中していることが判明しました。この「新潟―神戸ひずみ集中帯」では、周囲より数倍から10倍程度の大きなゆがみがたまっていることが明らかになっています。研究者は、「ひずみの集中と、M7前後クラスの地震発生が深いつながりがある」と指摘し、大規模災害への警鐘をならしています。実は、福井県の原発11基は、すべてこの「ひずみ集中帯」に立地しています。 そこで伺います。知事は、経済産業省への「要望書」で原発の耐震安全評価を厳正にされるよう求められましたが、昨年改定された国の新耐震指針については不十分との専門家の意見が出されています。実際、検討に参加された耐震指針検討分科会委員の石橋克彦神戸大教授は、「既存原発が一基も不適格にならないような新指針をめざす議論では責任が持てない」と、最終段階で委員を辞任して抗議されました。原発の安全神話にもとづく耐震設計のあり方そのものを、根本的に改めるよう求めるべきではありませんか。まず、お答え下さい。  私は先日、高浜原発に伺って関連施設の調査を行いましたが、1号機は74年、2号機は75年、3―4号機は85年に運転開始されたものです。設計値をはるかに上回る地震動が今回記録されたことを重くうけとめ、発電施設を一旦停止させて、原子力施設全体の耐震基準見直しを含めた耐震性総点検をおこない、必要な耐震補強を直ちに実施するよう求めるべきではありませんか。いかがですか。  次に、原発災害が起こった場合の対応問題です。柏崎刈羽原発の事故で多くの国民が驚いたのは、原発にまともな消火能力も、地震時の火災マニュアルもなかったことです。こうした事態は、柏崎だけの話ではありません。私たちは、昨年3月22日に発生した大飯原発の廃棄物処理建屋での火災の対応について調査しました。18時40分に火災報知器が鳴ってから、実際に消火栓を使用して消化活動を始めたのは、なんと3時間40分後の22時20分でした。この件について、若狭消防組合本部で経過を聞くと、「関電職員から『できるだけ水は使わないでほしい』との意見があり、放水判断ができなかった。最終的に放水しても大丈夫と関電職員が判断したのが22時20分になった」とのことです。この話を聞いて私は、いまの原発には、管理区域で火災が起きたときに、自主消防の体制がまったく機能しないばかりか、火災を想定した消防マニュアルすらない現実を知ったわけであります。  知事、この現実をどのように考えられますか。原発施設は大規模地震など広域同時多発火災が起こっても、自治体消防に頼ることなく自力でただちに対応できる消防防災体制を確立すべきであります。府として、国及び関電に設備・資機材と人員の整備を強く求めるべきではありませんか。また、関電が多数の放水禁止場所をもうけているのであれば、関電の責任で「窒素ガスなどによる密閉消火」など消防防火システムを整備させるようにすべきです。さらに、高浜原発には化学消防車が配置されていません。改善を求めるべきです。いかがですか。  最後に、緊急被ばく医療の問題です。昨年12月、この問題を調査した国の原子力安全委員会が、京都府について、舞鶴市が高浜原発から10キロ圏内に位置するにもかかわらず、「地元に二次被ばく医療体制が存在しない」「体制の構築が必要」と指摘しました。医師の確保をはじめ二次被ばく医療体制を早急に整備することは、本府の責任であります。いかが対応されますか、お答え下さい。 【知事】原子力防災対策については、国本議員にも答えたとおり、原子力発電所の安全の確保については、何よりも立地県である福井県や隣接県の滋賀県と連携をして強力に対応することが重要であると考えている。その観点から、原子力災害対策特別措置法の制定にあたっては、高浜原発に対し立地県と同等の権限を法律に明記させ、福井県や滋賀県と連携をはかってきたところで、京都府原子力防災専門委員の設置や隣接県では全国で初めてとなる安全確保にかかる通報連絡協定など、安全対策の充実・強化を図ってきた。 原子力発電所の安全性の確保については、今回の教訓もふまえ、しっかりと見直しを加えて対応していくことが重要であるが、今回、柏崎刈羽原子力発電所において想定を超える地震動を観測したことは、原子力発電所の耐震設計指針の信頼を揺るがすものであり、国に対し、最新の知見を反映して耐震安全性の確保が図られるよう、地震発生後速やかに滋賀県と共同で、原子力発電所の安全規制の強化、安全管理のいっそうの徹底を要請した。今後とも必要な耐震対策が実施されるよう、福井県と連携して、引き続き積極的に対応したい。 大飯発電の火災に対しては、事業者の対応が遅れたことはたいへん重大な問題と考え、発生後ただちに福井県と連携して情報収集や事実確認を行うと同時に、関西電力に出席を求め、原因究明と再発防止にむけて万全を期すよう求めたところで、原子力災害特別措置法では、高浜原子力発電所が対象となっているが、大飯の発電所についても速やかに要請を行ってきている。この結果、事業者として、消防設備、機材の整備や夜間の自衛消防体制の確立などに計画的に取り組むこととなったほか、密閉式の消火システムについても整備したところ。高浜発電所の化学消防車については、国に対して、消防体制の強化にむけて要請を行った結果、事業者から国に実施計画書が提出されており、年度内に配備される予定となっている。いずれにしても、府民の安全安心の確保に万全を期すとともに、原子力防災専門委員の意見も伺いながら、事業者の報告や国の点検内容等を検証し、必要な対策に取り組む。 緊急被ばく医療については、府では、平成17年に主に救急措置や治療の必要性等を判断する初期被ばく医療機関5病院と、二次被ばく医療機関として、主に除線除去や検査をになう緊急時放射線検査施設を併設する舞鶴市民病院と入院医療をになうために無菌室を備えた京都医療センターを指定してきた。さらに国において、高度専門的な入院治療をになう三次被ばく医療機関として広島大学が指定され、緊急時の被ばく医療体制を確保している。また、指定病院については、毎年、原子力安全研究協会が実施する研修や実地訓練に参加を求め、不測の事態が生じた際に連携して対処できるようにしてきた。このうち、舞鶴市民病院では、先ほどからも色々と出ているように、医師の色んな問題が生じた中で、検査等が困難な状態になったことから、発災時に速やかに医師確保できることができるよう、近接する舞鶴医療センターと覚書を締結し、医師等の派遣を受けることにより従前と同様の機能を確保しているが、今後とも地元と連携し、しっかりとした体制が維持できるよう努める。 【かみね・再質問】原発の問題だが、福井県・滋賀県の知事と連携して取り組むのは当然だが、いっそう踏み込んで要望していただきたい。柏崎市の会田市長は、原発の停止命令をだしたが、あわせて国の責任による活断層の調査を求めておられる。そして、昨年改定された新耐震設計審査指針についても、再検討することが必要性だと主張され、その調査結果の公表も求めておれる。そういう踏み込んだ対応が必要ではないか。知事としても、昨年改定された新耐震設計審査指針の再検討を求めるとともに、高浜原発について、いま断層等の調査を行っているが、国の責任で徹底した活断層調査をおこなうよう求める必要があるのではないか。さらに、耐震性についても、耐震指針の改定にあたって、審議の中で、マグニチュード7の直下型地震を想定した、そういう耐震性の強化が必要だという意見がたくさん出されており、そこまで踏み込んで、知事として国や関電に対して求めるべきではないか。この点について、再度答弁を求めたい。 原発の火災対策で重要なのは、やはり自主消防体制だ。大飯原発のあの対応、この3月に起こった火災でもこういう状況だった。私たちは8月末に調査に伺い、関西電力の副所長からも話を聞いたが、なぜそんなに遅れたのかと聞くと、「煙がたちこめていたから」と、理由にならない理由をおっしゃる。消火マニュアルは十分にできていない、自主消防の体制ができていないと改めて痛感したので、これがどうできたのか、しっかりと見届けるのが大切なので、その点きびしくチェックして頂きたい。強く求めておく。 そして、万が一のことだけれども、放射能漏れなどがあったとき、住民に被害が起きないよう二次被ばく医療体制についても一日も早く整備をすすめるよう求めておく。 【知事】原子力発電所の安全対策だが、まさに一つには、今の耐震指針に基づく評価をしっかりとしなければならないし、その上で、今回の刈羽原子力発電所でえられた最新の知見を元にした耐震指針の評価をやっていかなければならない。この両面について、私どもは要請しているし、また、断層についても耐震指針の中では従来よりも範囲を広げて調査するとなっているので、この評価結果をしっかりとふまえて、原子力防災専門委員の意見を聞きながら引き続き対処したい。

入試制度改革など、高校教育制度のあり方について 【かみね】最後に、高校教育について質問いたします。いま京都府の高校教育制度のあり方が問われています。 公教育は、本来どうあるべきなのか。改悪された教育基本法のもとでも、「教育は、人格の完成をめざし、平和および民主的な国家及び社会の形成者を育成することを期して行なわれなければならない」と定めています。これは、すべての子どもたちを対象にしたものであり、すべての子どもたちに保障されなければならないことであります。これが本来の公教育のあり方であります。 ところが、京都府の高校教育の現状はどうか。国公立大学や有名私学にどれだけ合格したかが、府立高校の最大の売りとなって、高校教育が大学合格を目的としたものに大きく変質してきています。たとえば、ある府立高校のパンフを見ますと、「国公立大に府内公立高校最多の188名が合格」と書き、私立大学545名などとあわせ合格者数が多いことを宣伝しています。卒業者数は327名ですから、実数の進路状況を書けばいいではありませんか。こうして府立高校の各校は、いかに成績のいい子を集めるかの競争をますますエスカレートさせています。高校のランク付けと格差がひどくなり、子どもたちのなかで受験競争が年々激しくなっています。その結果、本来の公教育の姿が、大きく後景に追いやられています。そういう競争主義教育で子どもたちを追い立て、教育をゆがめてきたのが、府の教育委員会であります。 実際、山城通学圏の実態をみれば、明らかです。山城地域の高校統廃合問題を考える会のみなさんが、山城通学圏が一つになり、単独選抜になった4年間の総括をされ、問題点を告発されています。一つには、通常の入学試験の前に、普通科定員の10%を面接・作文等で選抜する特色選抜試験が導入された結果、競争が激化し、この試験だけで年平均530人という大勢の不合格者を生みだし、子どもたちの心を傷つけています。 二つには、高校のランク付けと格差がひどくなってきたため、「希望する高校を選べるシステム」とはかけ離れ、「行ける高校さがし」となっています。出願のしかたによって「当たりはずれ」が受験生の合否を左右しています。 三つには、高校間の格差がひどくなって、「不本意な入学生が多く、目的を持って高校生活を送ることが困難な生徒が多い高校」がつくりだされています。 四つには、「地域の高校」という性格が失われてきています。ある高校は、2003年には入学者の約65%が地元市の出身でしたが、新制度導入後は減って、2006年の入学者は約35%となりました。「自転車で通える高校」を希望しても行けない生徒が増えました。 五つには、「部活動における高校の特色化」が進行した結果、数十人の部員を誇る高校がある一方、仲間がいないため部活動をあきらめざるを得ない高校ができ、どの高校に進学しても部活動ができるという保障がなくなりました。 そこでおたずねします。山城通学圏の実態は、すべての子どもの教育保障という公教育からみて、ゆがんでいると思いますが、教育長は、このような事実を当然なことと考えておられるのですか、お答えください。6月議会でわが党議員団が山城通学圏の結果について検証し、総括すべきと求めましたが、教育長は答えられませんでした。府教育委員会は、公教育の目的にたって山城通学圏の総括をおこない、入試制度と高校教育のあり方を改善していくべきではありませんか。お答えください。 次に、京都市・乙訓地域の高校入試制度改革についてです。府・市両教育委員会は、7月12日に「改善の基本的考え方」を発表しました。その内容は、通学区域を現行4通学圏から2通学圏に拡大する。1類の総合選抜制は継続するが、部活動・特別活動などの希望があれば、20%以上の枠で京都市・乙訓地域のどの高校でも受験できる。2類も、通学圏をこえてどこでも受けられる枠をつくる。また山城通学圏のように競争を激化させる特色選抜試験を設けるなどいうものです。 この制度は、結局、高校側から言えば、成績のいい子を集めて、国公立の大学合格をふやしたいということです。高校を受験する子どもの側から言えば、京都市・乙訓地域の高校すべてが上から下までランク付けがされ、受験競争がますます激しくなって、追い立てられる結果になり、15の春を泣く子どもが増えるということであります。こういうやり方が、すべての子どもの教育を保障していく公教育のあり方から見て、おかしいのではありませんか。教育長は、そういう問題意識をもっておられないのですか。お答えください。 あわせて、京都市・乙訓地域の高校入試制度改革は拙速な決め方をせず、山城地域の総括を十分に行い、府民へ説明し、府民的議論を十二分に重ねた上で計画を策定すべきです。いかがですか。お答えください。 私は、この際、希望する全ての子どもたちに豊かな高校教育を保障し、どの高校へ行っても、どの子にも確かな学力と発達を保障するという公立高校の本来の在り方を歪めるような高校の特色づくり、選抜制度を改善すべきであると考えますが、いかがですか、お答えください。 【教育長】公立高校の入学者選抜は、各府立高校では生徒の興味関心、能力適正に応じて、幅広い教育内容を特色として設定し、生徒一人ひとりの能力や個性を最大限に伸ばし、希望進路の実現に向けた教育に全力で取り組んでおり、生徒自身がこれまで以上に主体的に希望する高校を選び、意欲を持って進学することが極めて重要。  山城地域においては、平成16年度の制度改善によって、自ら高校の特色を理解し選べるようになり、各高校では自らの希望で入学した生徒が学習活動だけでなく部活動や学校行事、地域貢献等、様々な分野で生き生きと取り組んでいることは改善の大きな成果。ご指摘の、大学進学でランク付けされているというのはあまりにも一面的な見方であり、公立高校としてのあり方が歪んでいるという指摘はあたらない。  また、京都市・乙訓地域についても、中学生がより多くの学校・学科の中から進路を選択できるよう、保護者や学校関係者などからなる懇談会を設置し、望ましい選抜制度のあり方について十分な議論を重ねて頂いた。そのまとめをふまえ、7月に改善の基本的な考え方を府民のみなさんにお示しし、HPや広報紙等で広く意見募集をするとともに、3回にわたり府民説明会も実施した。その中で、「通学区域を拡大して欲しい」という意見や「部活動でもっと多くの学校を選べるようにして欲しい」との意見など、主として高校選択の幅が頼広がることを期待する多くのご意見をいただいた。  今後これらのご意見を参考にし、京都市教育委員会をはじめ、関係市・町教育委員会と十分に連携し、山城通学圏における成果もふまえ、改善の具体化にむけて検討を進め、これまで以上に府民の期待に応える選抜制度の構築に努める。 【かみね・再質問】高校教育制度についてだが、山城通学圏でどんな教育がされているのか、高校紹介のパンフを見ると大学合格の多いところは、月・火・木・金曜日の7時間授業は当たり前、土曜日の午前中も土曜学習ということで勉強する。そして、夏も春も冬も合宿をやって合格に向けて勉強する。生徒は一生懸命に頑張っているが、それでは十分にクラブ活動もできないのではないか。本当に、高校が大学受験の予備校のような状況になってきているのではないかという危惧を私はもった。それで果たして子どもたちの教育保障という点で十分なのか、問題点を感じている。教育長は、山城通学圏の私のあげた問題点について、問題点としての認識を感じておられないが、あらためて山城通学圏でどんな問題が起こっているのか、府民のみなさんの意見を聞きながら総括を行なうよう求めておきたい。 京都市・乙訓地域の入学選抜制度の改革について、私も中学校の校長先生に話を聞いてまわったが、ある校長は「希望していける子どもは一部の生徒。大多数の子どもは、やはり入れる高校を探さざるをえないというのが実態ではないか」「今回のような改革が行われたら、今の府立高校にはそんなに差はないが、高校のランク付けが進んで、子どもたちが自分の高校の名前を自信を持って、誇りを持って語れなくなるのではないか。そんな心配もしている」とおっしゃられた。府教育委員会が開催した説明会でも、そういう疑問や意見が相次いだという状況なので、強引に今回の京都市・乙訓地域の改革案を進めるべきではない。この点、あらためて質問したい。 【教育長】行きたい学校を選ぶというのは、必ずしも学力だけとは限らない。学校の特色化の中で、それぞれの生徒たちは生き生きと学校生活を送っているわけで、例えばこの夏の高校野球で公立高校の生徒が大活躍をしたのは記憶に新しいところ。したがって、私どもはそれらの子どもたちにしっかりと教育を保障するために、説明会等でのご意見をふまえ、京都市教育委員会などともよく連携し、検討を進めて行きたい。 【かみね】参院選をうけて、やはり民意が政治を動かす時代に入ったと思っている。知事や教育長が、府民の民意にしっかりと耳をかたむけて、府民の声にこたえるよう強く求め、私の質問を終わりたい。