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本会議質問

9月定例議会 上原裕見子議員 一般質問

2007/09/27 更新
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憲法25条にのっとり 生存権を保障する生活保護行政の役割発揮を 【上原】日本共産党の上原ゆみ子です。通告に基づき、知事ならびに関係理事者に質問致します。  まず、生活保護について質問いたします。 私はこれまで日本共産党伏見区生活相談所で12年間生活相談の仕事をしてきました。伏見区だけでなく京都府下、大阪・滋賀・奈良・遠く愛媛からも相談が寄せられました。相談に来られる方たちの気持ちに寄り添い、あらゆる相談の解決のために全力を注いできました。その中で一番多かったのが生活保護に関係することです。 いろんな事情で生活が立ちいかなくなったときに、最後のセーフティネットとして生活保護制度があります。いま、構造改革による貧困の広がりが深刻になっているとき、この生活保護制度が憲法25条にのっとり、国民の生存権を保障しているのかどうかが問われているのではないでしょうか。

申請権の保障 各自治体の窓口に申請用紙を配置し、 ワンストップで受け付けよ 【上原】そうした立場から、第一に申請権の保障について質問いたします。 生活保護を受けたいと思って役所に行っても、「申請」という言葉すらわからず、相談だけに終わるケースが多くあります。京都市の17年度の保護相談件数は15,879件で、このうち申請に至ったのは3,865件、24.3%で4件に1件でした。 京都市を除く京都府下の18年度相談件数はのべ4,163件、申請件数は1,539件、36.9%で3件に1件となっています。役所に行ったら「親戚などからの援助がうけられないか聞いてまた来て下さい。」こう言われて帰らされてしまう。生活状況の分かる書類等を持ち合わせていなければ、今度それを持ってくるようにと帰されてしまう。その場ではすぐに申請用紙を渡されない、こういう状況を何度も聞かされてきました。保護の申請・受理を絞り込むようなことが行われてはいないかどうか、厳しい点検が必要です。 そもそも申請権は誰にでもあります。我が党議員団は、保護の申請権を保障するために、申請用紙を窓口に置くようこれまで繰り返し求めてきました。昨年12月議会で、私どもの山内議員の質問に対し、保健福祉部長は「申請用紙は振興局や保健所及び市町村の窓口に置くようにしている」と答弁されました。ところがある町では、障害のある息子さんを抱えた母子家庭のお母さんが、町役場に申請に行くと「ここには申請用紙は置いてない。府の振興局の保健所へ行ってくれ」と対応されました。そのお母さんは「お昼近くになって、パンを食べて時間を潰し、交通費も大変なのに電車に乗って保健所まで行った」と言っておられました。保健所は統廃合で遠くなっているのですから、身近な役場で申請できるようにすることは当然ではないでしょうか。生活と健康を守る会の調査では、調査を行った7つの町のうち、窓口に申請書を置いているのは1町だけで、あとは職員が奥から申請のときに出してくる、申請書は置いてなく府につないでいるだけという状況でした。とりあえず、すべての町村の窓口に申請用紙を置くように早急に徹底すべきですが、いかがですか。同時に、府として各自治体の窓口で申請できるよう町村と協議してその体制を整えるべきと考えますがいかがですか。申請者が、ワンストップで対応できるよう、行政が窓口を保障する、これが生存権保障の第一歩ではないでしょうか。知事の御所見をお伺いします。

府として辞退届の実態を調査し、 市町村に辞退届の強要をしないよう徹底せよ 【上原】第2に辞退届についてお伺いします。  今年7月10日に北九州市で起こった孤独死事件に衝撃が走りました。生活保護を受けていた52歳の男性が、保護を廃止され、体調が悪く、就労できずまったく収入がない中で餓死していた事件です。 北九州市によりますと、保護は本人の辞退届の提出により廃止したということです。届の提出は4月2日、北九州市は4月10日付で保護を廃止しました。男性の遺体が発見されたのは、7月10日、死後約1カ月とみられる状態でした。男性が残していた日記の最後には「人間、10日食べてなくても生きてられます。オニギリが食べたい」と書かれていたと大きく報道されましたが、保護を廃止されてからの3ヵ月、どんな状態で過ごしておられたのか、本当に今なお胸が痛む思いです。 そもそも辞退届には法的根拠はありません。仮に本人が辞退届を提出したとしても、その人が保護制度の正確な理解をしているかどうか、自立が可能なのか、廃止によって急迫した事態に陥ることがないかどうか、十分に調査検討すべきだと思います。この検討なしに辞退届が出たからといって保護を打ち切ることは絶対にあってはなりません。 京都市の17年度の保護廃止数は2,977件でこのうち辞退届数は533件17.9%です。府下の17年度の保護廃止数は1,107件だとお聞きしていますが、辞退届の件数はカウントされていません。辞退届が廃止の理由とされている件数を把握すべきではないでしょうか。 京都府下の実態もいくらか明らかになってきましたが、宇治市では病気で休職していた保護受給者が、勤務先の健康保険の休業保障を受けられました。そうしたら、早速収入があったとして保護の辞退届を出すように勧められたのです。 厚生労働省も、全国生活と健康を守る会の交渉に対し、「辞退届は法にないもの、様式もないし、書類もない、強要がされていたのなら違法行為」と述べています。そして9月6日、全国都道府県、政令市の担当者の会議を開き、受給辞退の強要禁止などを指導しました。京都府で、北九州市のような事態を絶対に生んではならない、このことをふまえ、本府としても市町村に辞退届の強要はしないということを徹底すべきだと思いますがいかがでしょうか。

過度な就労指導を是正し、丁寧な自立支援を 【上原】さらに、就労指導や自立支援も慎重におこなうべきです。八幡市では保護受給中の母子家庭のお子さんが、中学を卒業し専門学校に進学しましたが中退されました。八幡市はその後、指導しても仕事につかないからと、そのお子さんを世帯分離するという措置をとりました。事前に通知もなく、保護費が突然減っていて通知書に「世帯分離」と書かれてあり、初めてわかったと言われました。今17歳の子どもさんは、小学校のときから不登校ぎみで、会話や周りの環境に馴染むことが苦手でした。働きなさいと一律に言ってもこの子どもさんにとってそう簡単なことではありません。しかし、お母さんは、働かないことを指摘されるのは仕方がないことだと、突然に減らされた保護費で食費など切り詰めて耐えられました。この場合、将来、子どもさんが自立できるようにしていくためには、状況を観察して、メンタルケアの相談を続け、もっと長期的な視点で支えてあげるべきではなかったでしょうか。 病気やその他の理由で就労できずに生活保護を受けていた方が、健康を取り戻され、働く条件整備ができたとしても、それで直ちに生活の安定に繋がるものではありません。すぐに十分に仕事をこなすことができるのか、働きだしても実際に賃金を受け取るまで、生活が順調に軌道に乗るまで見届ける、このことが大事だと思います。そういうところまで行ってこそ自立支援と言えるのではないかと考えますがいかがでしょうか。

老齢加算・母子加算をもとにもどすよう国に求めよ 【上原】第3に老齢加算・母子加算の廃止ついてお伺いします。  山科区に住む辰井絹惠さんは、母子加算が減額をされたため最低限の人並みの生活ができなくなったと生存権裁判を闘っておられます。16歳の子どもさんは定時制高校に通っておられますが、母子加算が昨年、23,310円から15,150円に8,160円削減され、今は廃止されています。学期ごとに納める修学旅行積み立て15,000円が重くのしかかります。クラブ活動で遅くなっても、1か月10,800円の給食費を支払う余裕がなく、食べずに家に帰ります。日用品は100円ショップで買いますが、息子に服や靴も買ってやれない、小さい頃から旅行など連れて行ってやったことがないと話されています。母子加算の廃止理由の一つが、保護を受けていない母子家庭と比べると保護費が多いからとされていますが、母子世帯の収入が一般世帯の4割以下と非常に低く、そういう比較をすることが間違っているのではないでしょうか。  老齢加算で裁判をしておられる松島松太郎さんは、15年ほど前に買った傷物のジャンパーを大事に着続けて、買い物はタイムサービスを待って行かれます。高齢になって無理の利かない体になり食べ物にも注意を払う必要があります。また今年のような酷暑のなかで高齢者はクーラーなしでは過ごせません。しかし電気代を考えると付けっぱなしにはできなし、故障しても修理費が出せない、そもそもクーラーのない方も少なくありません。松島さんもクーラーはありません。これで健康で文化的な生活を保障しているといえるのでしょうか。 このように、老齢加算、母子加算の廃止により、生活保護がセーフティネットとしての役割を果たさなくなっており、生きている気力を奪い、保護受給者の人間としての尊厳が踏みにじられていることは明らかではないでしょうか。  にもかかわらず、国は生活保護予算を400億円の削減を目標にしています。生活保護法の第1条は、「日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」としています。 この立場にたつのなら、老齢加算、母子加算をもとにもどすように国に強く求めるべきと考えますがいかがですか。 【知事】生活保護の母子加算・老齢加算の廃止についてです。生活保護制度は、まさにナショナルミニマムの問題であります。生活に困窮するすべての国民に国が責任をもって生活保障をすべきものであります。国が今回、一般高齢・母子世帯の消費支出額の均衡を考慮して行っているとの説明がありましたが、しかし最近国の動きは、財政的な背景が多く、京都府としては今回の問題についても、財政的観点だけではなく、受給者の実情を踏まえたきめ細やかな制度運用が可能となるよう、地方との協議の場をもち、国民の理解を得て最後のセーフティネットとして十分機能するように配慮することを、繰り返し国に対して要請してきたところです。引き続き、住民に身近な地方自治体の立場で、強く要請をしていきたいと考えております。 【保健福祉部長】生活保護の申請についてでありますが、保護の実施機関である府保健所や市福祉事務所のほか、市町村役場の相談窓口などに申請用紙を配置し、申請の意思のあるかたは、速やかに申請していただけるよう、常々、研修の場、文書などで指導しているところであります。  生活保護制度の運用、とくに廃止にあたっては、個別事情を十分把握した上で、適正に運用するよう指導しておりますが、保護の辞退届については、一つには自らの意思に基づいて、任意に提出されるものであて、実施機関から強要することがあってはならないこと、二つには保護の辞退届のみをもって、保護を廃止すべきではなく、世帯の状態を十分に把握することに留意することなど、府として、改めて文書で徹底したところです。  また、就労により生活保護を廃止する場合には、収入が保護基準を上回ることが確実になるなど、廃止後の収入や世帯の状況を十分な把握、見通した上で、実施をされているところであります。今後とも、会議や指導監査の機会を捉えて、辞退届の取り扱いの実態把握も含め、よりいっそう適正な運用を徹底してまいりたい。 【上原】保護の申請や運用にあたっては親切そして丁寧な対応をして頂いて必要な人が保障を受けられない、こういうことがないように、また人間としての尊厳を守って頂くように要望しておきます。

伏見区西部地域のまちづくり 久我地域、神川小学校周辺の交通安全対策について 【上原】次に伏見区西部地域のまちづくりについて質問いたします。 日本共産党久我支部は、昨年秋、久我地域の各ご家庭に、アンケートを配布し、住民のみなさんの要望を伺う活動を行ってきました。この地域は神川小学校区ですぐ近くには久我の杜小学校、羽束師小学校があり、中学校は神川中学校があります。 この辺一帯は最近つぎつぎと農地が住宅地に転売され、人口が増え子どもたちが増えている地域です。中学校は生徒数1,000人を超え、もう1校作って欲しいとの声が多くだされました。 新しい住宅地はミニ開発が多く、区画整理も行われず行き止まりの道路や、隣接しあった宅地が道路で繋がっていない場合や、繋がっていても近道にして通り抜ける車の危険から、道路を封鎖する団地もあり、遠い道路を迂回するか、細い農道を通行するなど救急車も右往左往することさえ起こっています。 久我地域の中心の道路は昔のままで狭く、伏見向日線( 東土川―赤池路線)は市バスやトラックの通行が多いのに歩道がなく、子どもはもちろん大人も危なくて怖い、雨の日は傘をさして歩くことが難しく命がけで歩いている、運転する方も怖いという声も寄せられています。水垂上桂線沿いの神川小学校北門前は複雑な5差路になっています。横断歩道は離れたところにありますが、いまここに医療施設が建築中で、開業されれば患者さんの横断も増えることが予想されます。このような状況から神川小学校の通学路でもある5差路を含め、この地域の交通安全対策を求める声が出されています。同時に、7月には集合住宅で5歳の子どもへの声かけ事案が発生しています。安全対策と防犯強化がつよく求められておりますがいかがでしょうか、お答えください。 【警察本部長】久我地域、神川小学校周辺の交通安全対策について、神川小学校周辺の府道は、道路幅員が狭く交通量も多く、これまでから必要な交通規制や交通安全施設の整備を行なうなど、各種交通安全対策を講じてきた。東西の道路である府道伏見向日線については、信号機の設置をはじめ、制限速度40キロ規制、はみ出し通行禁止規制を実施している。 また、南北の通りである神川小学校西側の府道水垂上桂線については、府道の制限速度を時速30キロに、また大型車通行を南行き一方通行に規制しておりますとか、小学校通学児童等の通学安全対策として地域の要望等も踏まえ小学校の正門前に押しボタン信号を設置、小学校北門前の変則5差路では北詰、東詰に横断歩道を設置、さらには交差する3本の市道側全てに一時停止規制をそれぞれ実施するなどの対策を講じてきた。しかしながら、府道水垂上桂線の道路環境は歩行者の安全な通行空間や交差点での滞留場所が確保されていないことから、道路管理者と連携を図り、道路改良にあわせた総合的な交通安全対策を検討してまいりたいと考えている。 次に防犯対策について、ご質問の事案を含め、向日町警察署、久我交番の管内では、警察が子ども安全情報として発信した声かけ事案が本年8月末現在で3件あります。警察としては、子どもを犯罪からまもるため交番やパトロールカー等の警察官による登下校時の警戒や、危険箇所のパトロールなど街頭活動を強化するとともに、防犯情報メールの発信や子ども安全見守り隊等の防犯ボランティアと共同した合同防犯パトロール、子ども見守り活動、防犯教室の開催など自主防犯活動の支援も強化しているところです。今後、青色防犯パトロール車の導入や学校等の関係機関との連携を強化して、子どもを犯罪から守る諸対策を推進していくとしています。

河川敷公園の整備について 【上原】河川敷公園の整備についてです。京滋バイパス天王山大橋付近の大山崎町側に、ちびっ子ひろば、バーベキューサイト、野球場、サッカー場など併設した淀川河川公園を府が整備し、桂川、宇治川、木津川が合流する御幸橋付近の整備も進められ喜ばれています。桂川の活用については自然のままにとの国土交通省の考えもあるようですが、大規模な公園施設でなくても自然に親しめる散策路のような整備ができないものか、右岸の久我橋と羽束師橋間の堤防沿い道路の一部は、桜並木となっていますが、この桜並木をもっと延長してはどうでしょうか。 また、府が管理している羽束師運動公園がありますが、少年野球や地元の老人会の方がゲートボール会場として利用されています。しかしトイレがなくて困っておられます。トイレの設置について、京都市とも協議し、検討していただきたいと思いますがいかがでしょうか。  久我橋東の、鴨川・西高瀬合流点上流背割堤は府も努力していただいて、昨年春に養豚場などが撤去されました。私は昨年8月に南区上鳥羽自治会と近くのマンション・グランデュール鴨川に住む方たちと現地調査を行いました。その際、府の担当職員の方から埋設物・土壌調査をしたあと、土地利用については地元の意見を聞いて考えていくとの説明をお聞きしました。地元の方は緑地公園にして欲しいと要望をされていましたが、昨日、土壌調査の結果が出され、残土から基準値を上回る鉛や六価クロムなどが検出されたと報じられました。何が原因か、さらに詳しい調査を行って、抜本的な安全対策を講ずるべきではないでしょうか。お答えください。 【土木建築部長】散策路整備について、堤防沿いの道路は国が管理している河川管理用道路であり、また堤防本体の安全性にも関わることであり、その整備についてはまずは国により判断されるものと考えています。 また、羽束師の運動広場については、昭和56年から国の河川占用許可を受け利用頂いているが、この広場付近は頻繁に浸水をする箇所であり、また水道設備等もない状況です。このような治水面、管理面も考えてトイレの設置は困難と考えていますのでご理解を頂きたい。 次に、鴨川・西高瀬川合流点の河川敷で有害物質が検出をされた問題について、当該箇所は養豚場等として長年にわたり不法占拠されておりましたが、訴訟手続きを経て平成18年3月に明け渡しが完了したところです。この跡地の整備に先立ち土壌分析調査を実施したところ、一部の土壌から基準値を超える鉛、六価クロムなどが検出されました。現地では明け渡し完了後から立ち入り禁止措置をとっており、また周辺の河川や地下水の水質分析調査では、有害物質が検出されなかったことから、直ちに周辺への影響はないと考えておりますが、原因究明や今後の対策について早急に専門家の意見をお聞きし適正に対応していきたいと考えています。 【上原】西高瀬川背割り堤の残土の有害物質についてですが、養豚場が撤去されてから既に1年半が過ぎています。私は今朝も現地を視てまいりました。原因の徹底調査と安全対策を早急に行なって頂くよう再度強く要望して私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。