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討論

2007年9月定例会 原田完議員 議案討論

2007/10/05 更新
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 日本共産党の原田完です。私は、日本共産党京都府会議員団を代表して、ただ今議題となっています議案18件のうち、第3号議案、第8号議案、及び第18号議案の3件に反対し、他の15件については賛成の立場から討論を行ないます。

 第3号議案、京都府公立大学法人評価委員会条例制定の件、ならびに18号議案、京都府公立大学法人の定款を定める件については、府立大学と府立医科大学を独立行政法人化するものであり反対です。  反対理由の第1は、経営効率優先で教育や研究に支障をきたす危険性があることです。 今議会で、私どもは先行する国立大学法人で運営交付金が年々削減され、外部資金の獲得が困難な教育や基礎的な研究に支障をきたしている実態を明らかにしてきました。  知事はわが党議員の一般質問に答えて、「大学運営を支えるために、運営交付金により支援を行う」、「府民サービスを向上するためにがんばっている」と述べられましたが、「地域貢献度や外部評価によって交付金の重点配分が行われるのではないか」との質問には答えませんでした。その後の委員会審議では「法人化により、経営合理化や人件費削減が進められるのではないか」との質問に対して、それを否定しませんでした。このことは、公立大学への充実・発展に力を尽くすべき京都府の財政的責任を放棄するもので重大です。  第2の理由は、大学の自治と学問の自由が侵害されることです。  わが党は、先行する国公立の大学法人において、すでに大学自治を侵害する事例が相次いることをあげて、どのようにして大学の自治と学問の自由が保障されるのか、どこに教職員と教授会の意見が反映されるのか、質問しました。委員会審議では「悪しき先行事例のようにはしない」「学内の意見を尊重して進めていく」との答弁がありましたが、「経営審議会の委員を2分の1以上外部委員とする」ことについては外部意見を反映するために「国立大学と同様にした」と答弁しました。これでは学内の意見よりも外部の意見で大学運営が行われることになりかねず、大学の自主性を損ね、大学自治と学問の自由を侵害する危険が明らかになりました。  反対理由の第3に、今回の独立行政法人化には府民合意も大学教職員の合意もないことです。  法人化に向けて「教授会の了解を得た」との総務部長の答弁がありましたが、両大学では教授会として議決を行っていません。さらに府職労府立医科大学支部が9月に行った教職員へのアンケートでは、法人化に賛成する人はわずか19人で反対が143人、240人以上はどちらでもない、わからないという回答でした。これは、法人化について議論が十分に尽くされていないことを示しています。  府立の2大学はそれぞれに100年以上の歴史を持ち、府民の大学として発展してきた伝統のある大学です。府民の合意も教職員の合意もない、独立行政法人化は2大学の歴史に大きな汚点を残し、大学の自治と学問の自由を踏みにじるものであり反対です。  次に、第8号議案京都府立学校授業料等徴収条例一部改正についてです。 この改正案が、中越沖地震で被災した生徒の授業料を減免するとしていることは当然です。しかし他方で、府民生活がきびしいなか、府立高校、府立看護学校の授業料を値上げして府民に負担増を押しつけることは、到底許されません。  府教育委員会は、授業料値上げの理由の一つとして、学校経費の中で授業収入が減少していることを上げていますが、その減少はわずかのものであり、値上げの理由にすべきことではありません。考慮すべきは、府民生活の現状であります。鳥取県では、国の地方財政計画を大きく下回る全国最低の高校授業料となっていますが、授業料の最大の判断基準を「県民の賃金がどうなっているか」という点においています。  府教育委員会は、府民生活の現状について、「3年前と比べ賃金水準は上昇している」としていますが、わが党議員団が代表質問で明らかにしたように、本府の勤労統計でも今年4月時点で5人以上の事業所の平均賃金は、5年前と比べて5万4千円も減少しています。ましてや不安定雇用が増大し、ワーキングプアといわれる貧困層が大きく増大しています。このように依然厳しい府民生活のなかで、どうして授業料の値上げを認めることができるでしょうか。  今回の授業料値上げ提案は、まさに国いいなりであり、住民福祉と地方自治に反し、地方分権の流れにも逆行するものであります。よって、府立学校授業料等徴収条例一部改正の件には反対です。 次に、第1号議案、平成19年度京都府一般会計補正予算については、賛成するものですが、いくつかの点について指摘し、要望します。  第1に、医師確保対策についてです。 わが会派は、奨学金の充実をはじめとした医師確保対策を一貫して求めてきましたが、北部地域の深刻な医師不足の解消のため、いっそうの充実を求めます。さらに現在、府南部地域でも産科、小児科をはじめとした医師確保対策が求められていることをうけて、この点で早急に検討を開始し、対策を講じることを求めるものです。  第2は、京都産業立地戦略21特別対策事業費補助金等の企業誘致予算についてです。一方で企業誘致には13億円の支援を行って、進出企業に補助金及び金融面で支援をしていますが、他方、現在厳しい経営環境のもとで頑張っている中小零細企業、特に和装伝統産業等への支援は、まったく不十分です。現在の原油価格高騰の影響を受け、価格転嫁もままならず、多くの中小企業の営業が、厳しい実態に置かれています。中小企業への支援を抜本的に強化するとともに、緊急に原油価格高騰の影響、営業実態の全事業所調査を行うことを求めるものです。  第3に「京の稲作担い手緊急支援事業」ついては、農業機械の導入補助2600万円ですが、受託組織などの強い要望に応えるものであり賛成です。しかし、その目的が品目横断的経営安定対策への加入促進とされている点は問題です。この政策が今日の農業の実態、農家の要求から大きくかけ離れたものであることは、加入申請状況をみても明らかです。京都ではコメ農家の加入申請が、作付面積のわずかに5%であることに示されるように、ほとんどの農家がこの対策の対象外であり、京都の農業全体が切り捨ての対象となっているといっても過言ではありません。  そのうえに今年は米価の暴落が強く懸念されており、京都の農業、農家は新たな困難に直面しています。いま必要なことは、米価の下支えなど、本当に役立つ農業振興策を講じることです。全国的にも品目横断経営安定対策の見直しを求める声が強まっています。知事が言われたとおり、「京都になじまない事態」が現に起こっているのですから、京都府として政策の見直しを強く国に求めていただきたいと考えます。  第4にサミット外相京都会議についてですが、ブッシュ米大統領が入洛したときに市民社会生活に支障をきたすような過剰警備が問題となりました。今回の京都サミット外相会議での警備については、各国外相の安全確保は当然のことではありますが、極力市民生活に支障のないように、過剰にならない警備を求めておきます。  次に第4号議案、京都府自転車の安全な利用の促進に関する条例制定についてです。 自転車の安全利用を図る上で、自転車走行環境の整備促進を図ることが重要であります。知事の作成する「安全利用促進計画」で、自転車専用道路の整備や駐輪場の整備など市町村、警察道路管理者との間で協議し、数値目標を明確にするなど積極的で具体的な計画となるよう求めておきます。  次に第5号議案、京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例の制定についてです。 野生生物の保全に関する条例の運用に当たっては、保全地区の保全を厳正に行うことが重要です。また、公共、民間を問わず、開発行為については事前に十分な調査を行う体制をつくることが必要です。 かつて丹波広域基幹林道建設の際、片波川源流域において、府が当時、貴重昆虫類に指定していた蝶の"ヒサマツミドリシジミ"がアセスメントからはずされたり、全国にも例を見ないホンシャクナゲ大群落を縦断するルート計画がなかなか変更されなかった、などの苦い経験があります。その後、北山の自然を守る会など、市民の運動の力で蝶も本シャクナゲも守られ、京都府自然環境保全地域指定第1号に指定されました。これらを教訓として生かし、条例運用に当たっては、生息域等の保全に万全を期すよう強く求めておきます。  以上で私の討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。