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本会議質問

2007年12月定例議会 松尾孝議員 一般質問

2007/12/10 更新
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地球温暖化防止について C0P13・バリ会議成功へ、政府に対して要請を

【松尾】 日本共産党の松尾孝です。通告に基づき知事ならびに関係理事者に質問いたします。 先ず、地球温暖化防止についてです。 いま、C0P13・バリ会議が開催中です。京都議定書締約国C0P/MOP3も並行して開かれております。温暖化防止はいまや待ったなしの課題、全世界の注目を集めています。

 会議の成否は13年以降のロードマップが決められるかどうかです。8日には共同議長の草案が示されましたが、20年までに温室効果ガスの排出を25~40%削減する必要性が明示され、国別削減目標の設定と一層の削減努力強化を求めるものとなっています。日本はC0P 3議長国として、この草案を積極的に受け止め、会議成功に大きい役割を果たさねばなりません。しかし、残念ながら、いま、その立場に立っていません。自らの数値目標は持たず、義務付けも棚上げです。先進国の大幅な削減を強調、自ら厳しい削減目標を明言しているEUとは際立った対照です。  いま日本政府に求められていることは、このような間違った態度を改め、破滅的事態を避けるために、先進各国をはじめ参加国と力を合わせ、会議成功に全力をあげることではないでしょうか。  そこで伺います。C0P3開催地の知事として山田知事にも特別の努力が求められていると考えます。 政府に対して、削減目標や義務付け問題で明確な態度を表明し、会議成功に貢献するよう強く要請すべきです。同時に、知事として各国政府にも強く要請すべきと考えますがいかがですか。  C0P13は人類にとってかけがえのない、この地球を守るかどうかの瀬戸際の会議です。会議が大詰めを迎えている今、地球の"いのち"に関わる温暖化防止対策について、京都議定書採択の地、京都府の知事として勇気と良識ある答弁を期待します。

本府の温室効果ガス削減目標達成へ、大規模事業所への指導強化を 【松尾】 つぎに本府の取り組みについてです。  本府の温室効果ガス削減目標は2010年度の排出量を90年度比10%削減することです。現状は増加傾向にあり、このままでは達成は難しいとのことです。  府はその要因として民生部門の遅れを指摘し、この部門の取り組み強化を強調しています。発表されている数字では、04年は前年度比8.7%122万トン増え1519万トンになった、民生部門で約1.2倍に増えているというのですが、家庭、事務所などで電力使用量が急に増えたわけではありません。増えたのは美浜原発事故により、火力発電への依存度が高まったことによるものです。私どもはかねてから電力をC02に換算する係数に原発の割合が高い関電係数を用いることの問題点を指摘してきましたがその通りのことが起こっているわけです。係数が大きくなればC02排出量の電力依存度の高い家庭系、事業系で増えるのは当然で、民生部門だけが特別に問題ということではありません。  C02排出量の3分の2以上を占める産業、運輸部門などでの引き続く取り組み強化が重要なことは当然です。大規模事業所には排出量削減計画書の作成と報告義務が課せられていますが、内容はあくまで自主計画です。10%削減目標は達成出来るからよしとするのでなく、条例に基づく削減計画書の内容について指導を強め、いっそうの努力を求める必要があります。いかがですか。また、事務所など業務系についても積極的なとりくみ強化が必要です。屋上緑化、壁面緑化など可能な対策についても取り組み強化を求めるべきと考えます。お答えください。

自然エネルギーの利用促進へ府独自の補助制度を創設せよ 【松尾】 C02排出削減のためには、省エネと併せ再生可能な自然エネルギーの利用促進にもっとしっかり取り組む必要があるのではないかと考えます。風のプロジェクトは導入以来3年で36基、太陽光発電も全部で約6200件です。国の補助がなくなって積極的に推進できなくなっているのですが、府独自の補助を行うべきと考えますいかがですか。また、この対策ではRPS法の問題があります。関電の買い上げ価格が低いこと、買い上げ量が絶対的に少ないこと等です。政府に、温暖化対策の重要な問題として法改正を強く求めるとともに、知事として直接、関電に要請し、太陽光発電の積極的推進をはかるべきと考えます。お答え下さい。

地球温暖化防止に逆行 舞鶴石炭火力発電所2号機の稼働は中止せよ 【松尾】 最後に舞鶴石炭火力発電所2号機の問題についてお聞きします。  いま、わが国の京都議定書削減目標6%の達成めどはたっていません。それは、排出量の8割をしめる産業界の削減が経団連の「自主」行動計画任せになっているからです。気候ネットの調査では、わずか180の大口事業所が国全体の排出量の実に51%を占めています。電力、鉄鋼、セメントなどが中心ですが、28%を占める電力、特に石炭火力発電所が問題です。ここにパネルをもってまいりましたが、基準年90年と比較し、この15年間に石炭火力が全体として3倍になっております。4.8%から15%。電力会社が燃料費を少しでも安くし発電コストを下げるために石炭火電を増やしてきた結果です。C02を削減し温暖化を防止するためには、この状況を改めることが必要です。  この観点から舞鶴石炭火力発電所について知事にうかがいます。2号機はいま急ピッチで建設中、平成22年稼動予定です。私どもは繰り返し中止を求めてきましたが、京都府は燃料効率を高め、C02排出を極力抑える、との答弁を繰りかえしてきました。排出量は一体どれだけ抑えられるのか、お示しください。温暖化防止に全く逆行する2号機の稼動はストップさせ、凍結すべきと考えますが、知事の見解をお聞かせください。

【知事】 地球温暖化対策について、京都議定書がつくられC0P3から10年。現在インドネシアでC0P13が開催されており、京都議定書の枠組みづくりを目指した協議がされているところですが、日本政府としましても世界全体で2050年までに温室効果ガス50%削減を目標とすべき提案を行ない新に作業部会の設置を訴えたときいています。京都府としても、私どもも一貫して、各国政府を含めて、地球温暖化防止のための京都議定書の枠組みづくりについては要請をしてきたところです。平成15年には批准をしていませんでしたオーストラリアの上院議長一向に対して要請するとともに、平成16年にもロシアの政府首脳に私が直接要請をしてまいりました。また、アメリカ大使等についても関西の方から要請しましたし、さらに米国の各州知事宛に対しても書簡を送るなど、世界に対しても精力的に地球温暖化防止の働きかけを行なってまいりました。  C0P13におきましては、今、行程表など具体的な話が行なわれているところですので、その行方を見守りながら京都としてできることをしっかりと考えていきたいと思っています。今後もこうした京都議定書の動きを把握しながら、中期目標策定など、具体的な提案を国に対して働きかけていきますとともに、特に来年のE8、ここが大きなポイントになってまいりますので、京都でも外相会議が行なわれますが、各国の首脳に対しまして京都議定書の意義とC02の削減に世界中で取組むことの大切さをアピールしていきたいと考えています。  また、大規模事業所の排出削減対策については、条例に基づき264社の対象となる事業所全てから、計画と実績が提出されまして、府のホームページで公表しています。府政全体として平成17年度に比べ2.3%削減が図られるなど成果がでてきているので、引き続きその状況をふまえ、省エネアドバイザーの派遣制度の活用等、取組みの強化を図っていきたいと考えています。さらに、本年4月からは条例に基づき、一定規模以上の敷地に新改築をする建築物に緑化を義務づける制度を開始したところであり、これまでに地上部及び屋上部で約31000㎡の緑化がなされたところです。また、この制度の着実な実施にむけ、屋上緑化の普及を担う屋上緑化マイスターの育成もすすめてきたが、府民の関心も高く455名ものマイスターが誕生した。これらの方々の協力も得て今後とも既存の事業所や一般家屋も含め、屋上や壁面の緑化を積極的に推進していきたいと考えています。 【企画環境部長】 地球温暖化対策について、オフィス等の業務部門とならんで家庭部門におけるC02の排出量が増加しているところから、先日大野議員のご質問に知事からお答えしたとおり、太陽光等の自然エネルギーの導入等、府民のみなさんの省エネの取組みを支援するシステムを検討しており、電気事業者による買い取り等も含めて、現在、国に対し提案・要望を行なっているところです。舞鶴の火力発電所の発電にともなう二酸化炭素排出量については、関西電力によると2号機は1号機と同様の430万トンとされていますが、このうち府の条例にカウントされる自家消費分は、約25万トンと見込んでいるところです。なお、現在、1号機においては、木質ペレットを石炭に混合して燃焼をさせる国内最大級の施設整備がすすめられており、これにより9.2万トンのC02削減効果があるとされております。2号機においても同様の整備を行なうものと聞いています。石炭火力発電については、国の石油代替エネルギー政策の一貫として原子力発電所の運転停止等による安定的電力供給ができなくなることがないよう、地域エネルギーの構成バランス、デストミックスも考慮して導入されたのであると理解しています。関西電力に対しては、これまでから発電効率の向上委等C02の排出削減の努力を求めてきており、今後とも引き続きC02の排出削減の取組みの強化を要請していきたい。

【松尾】 ご答弁を頂きましたが、C0P13の重要性については、知事も述べられたとおり、これを否定する者は誰もいないと思います。それだけ今、温暖化防止は人の命に関わる課題、世界あげて取組まなければならないという時点に我々は立たされている。知事は先程、日本も2050年50%目標を提起しているとおっしゃられたが、これは全く内容が違うと申し上げざるを得ないわけです。いわゆる自主目標に近いものであり、義務づけ等については全くその裏付けがないとのことです。アメリカが同様の目標を掲げているわけです。従来から日本とアメリカ、或はカナダがブレーキをかけている。オーストラリアも加わっていたわけですが、政権の交代の中で明確に態度を新政権は変えていくもようです。大変歓迎されている。今必要なことは、数値目標を明確に示し義務化を伴う取組みをやっていく。これが絶対欠かせない。こういう世界の大多数の国の一致した認識になっているわけです。日本の態度に対してNGO等から「日本は京都を捨てたのか」という厳しい批判が出ているのは日本政府の曖昧な態度に対して向けられているわけです。知事が京都として出来ることは積極的にやるとおっしゃられたわけで、ぜひとも政府に対してこういう曖昧な態度を改めて積極的に会議成功に貢献するよう強く求めて頂きたいということを繰り返し求めておきたいと思います。  舞鶴石炭火力発電ですが、国策として設けられたものだという主旨のご答弁でしたが、これは、正に電力調整審議会への関電の駆け込み申請でかろうじて今日に至っているものです。1・2号機合わせて部長から860万トンの排出量だと、そのうち京都には1機で25万トン、合わせて50万トンという事だと思いますが、ご答弁がありました。しかしそれは、京都がこの間C0P3の目標を達成するために府民あげて頑張って、そしてようやくその目処を立てようとしている、こういう努力を一挙に吹き飛ばすと言っていいものですから、何としてもこれはストップして頂く必要があります。今、2号機がなくって、関電の電力供給を受けているところで、電力不足が起こって困っている事情は全くありません。もし緊急に必要だというところがあれば、新宮津火力発電所もその機能はちゃんと保持しているわけです。そういう点からも2号機は必要ないということを私は明確に申し上げたい。また、府がそういう態度を関電にきちっと示すべきだ。それが知事としての温暖化防止のきちっとした姿勢を示すことになるのではないかと思います。改めて指摘しておきます。  太陽光発電の重視について、太陽光発電、再生可能なクリーンエネルギーが温暖化防止に大変大きな役割を果すということは当然であり、これを積極的にすすめる。府民がそれぞれ努力するということ、けちけち運動等という揶揄もありましたが、私は決してそのように認識しているわけでもなく、否定するものではない、当然必要なことです。しかし、同時に積極的にクリーンエネルギーに転換していくという努力が必要だ。そのために京都府はもっとしっかり取組みをすすめていく、少なくとも府内の太陽光発電の実態がどうなっているのか、これくらいは正確につかむ必要があるのではないかと思います。この事を強く求め次の質問にうつります。

農業問題 米価下落対策、農家の所得補償となる制度を創設せよ 【松尾】 次に、農業問題です。  代表質問でも述べましたとおり、今年の米価の暴落は本当に大変です。私どもも府内各地を回り、懇談などやってまいりましたが、多くの農家から悲鳴が上がっています。どこでも一様に「農地の荒廃が一挙に進むのではないか」との不安の声が出ています。水田農業の基盤が崩れつつあることを実感します。  米価下落の原因はどこにあるのか。政府は生産調整がしっかり行われない過剰作付けによって供給過剰がおこっているのだと言いますが、これは政府の責任を農家に転嫁する無責任な言い分ではないかと言わざるをえません。  この間、20年来、米価は下がり続けてきました。20年前は60キロ2万円を超えていた米価は、ついに昨年12000円米価、そして今年は10000円米価が大変心配されているわけです。 政府はこれに拍車をかけて備蓄米の放出や、くず米の食用混入販売、さらに全農は仮渡金基本額を7000円に設定し、このような中で、一挙に1万円米価に進んでいった。  まさに、「農政改革」、「米改革」のなかで政策的に作られてきた米価下落ではないか。責任は上げて政府にあり、農家の怒りは当然であります。  今年から品目横断的経営安定対策が導入されましたが、この対策にも米価の下支えなどその他役に立つものはございません。麦なども昨年を上回る増収を得ているのに昨年より実入りが少ない。大変な怒りが出ているわけです。  米は品目横断対策の対象ではない、ナラシ対策というものがあるわけですが、価格が下がった分の9割まで補填をする建前になっていますが、とても9割はいかない。6割止まりじゃないか。しかも、加入者がほんのわずかですから、全体にとっては全く何の対策にもなっていないということです。抜本的な見直し、中止を求める声が巻き起こっているのは当然であります。  参議院選挙の厳しい審判をうけ、政府・与党が一定の手直しを進めておりますが、くず米の食料混入や、あるいは備蓄米は100万トンに戻し、市場流通から44万トンを隔離するという対策です。また、品目横断的対策も新加入要件の緩和や米の扱いなどについても一定の検討が始まっていますが基本は変わりませんから、これが今後の対策強化につながるということは期待できない。  今求められている問題は、間違った「改革路線」を改めて、日本の農業をどうするのか、地域の農業、農村、農家をどう守るのか、そのために農政の抜本的な転換を図ることです。 そこで伺います。知事も品目横断的対策については、これは京都にはもうなじまない、役に立たないとおっしゃってこられたわけで、強く廃止を求めて頂きたい。  また、米価についても、代表質問でも申し上げたが、「売れる米作り」、「地産池消の推進」という答弁を頂いておりますが、これでは米価の対策としては誠に不十分だ。今必要なことは、直接農家の所得を増やすような対策です。つまり、生産者に対して例えば特産米奨励や流通経費の一定の助成を行う、また一般消費者に対しても、特に学校、病院、施設などの京都産米利用にたいし一定の奨励助成を行う、これが事実上米価の上積みとなって農家の所得補償となる、こういうシステム、制度を是非作っていただきたいということです。

農地の荒廃対策 府が実施していた「中山間地域規模拡大支援事業」を復活せよ 【松尾】 農地の荒廃については、先程求めたとおりであり、そのために「中山間地域規模拡大支援事業」をかつて府がやっていましたが、ぜひとも復活させて頂く必要があるのではないかと思います。お答え頂きたい。  生産調整については、政府は今考えておりますことは、ペナルティをかけて、行政関与も強めて一層しっかりやらせようということですが、これでは本当の対策にならない。 飼料用稲については、一定検討が進んでいるが、これについて本府独自にも積極的に取り組む必要があると思います。  特産振興、黒大豆、小豆、伝統野菜などそれぞれの地域にあった特産物の振興を図ることは、当然、地域農業を守る力になるので、ぜひこれも進めて頂きたい。そのために地域農場作りをすすめてきたわけですが、これがしっかり今働いていないわけです。機械の更新、作業の効率化など問題点を改善し、価格補償対策の拡充もあわせて抜本的強化を図るべきと考えますがいかがですか、お答え下さい。

【農林水産部長】 農業問題について、品目横断的経営安定対策については、これまでから国に対し、地域の実態をふまえた農業施策を講じるよう要請をしてきました。去る11月にも農作業受託組織も対象とすることや、対象品目の拡大等、制度の見直しを要望したところです。また、特別栽培米等、品質の高い京都米の生産や少しでも有利な価格での販売をすすめるとともに、学校給食での地元産米の利用助成や、京都産の米と野菜を利用する病院、福祉施設の認定とそのPRを通じて京都米の利用促進をはかっており、こうした取組みを一層進めることにより、農家所得の向上につなげてまいりたいと考えています。  荒廃農地については、市町村、農業委員会、普及センター等の職員が常日頃から現地に赴き実態を把握しているところです。また、「中山間地域規模拡大支援事業」については、国に制度化を強く働きかけた結果、現在の「中山間地域等直接支払い制度」として創設されたものです。現在の制度は農地の荒廃防止に効果があると市町村や集落から評価を得ておりますし、また、新たな受託組織の設立や景観形成作物の作付けなど、地域の創意工夫を生かした取組みも生まれてきています。 新に就農しようとする方への就農研修資金については、2年間の研修期間でほとんど全ての方が就農し、担い手として活躍しておられます。 米の生産調整対策については、現在国において実効有る仕組みとなるよう検討中であると聞いており、府としては逐次情報収集をしているところです。 水田農業については、農家の経営安定を最優先に京野菜や小豆、黒大豆など特産物の振興を図るとともに、耕畜連携で取組まれる飼料稲生産も含め機械の導入や価格安定対策など、府独自の施策を活用し、積極的に支援しているところです。今後とも米を始め収益性の高い特産物の産地づくり等を通じて、総合的に農家所得を確保し、地域農業の発展につなげていきたいと考えています。

【松尾】 米については、何と言っても米価が一番の問題なんです。京都新聞に、口丹地域の農地の荒廃問題が出ておりますが、その中でいわれているのは、やっぱり米価がこういう状況になって生産意欲がなえている、それが農地の荒廃を広げるということですから、生産者にとっても、消費者にとっても、おいしい京都の米を利用して両方がプラスになるような思い切った対策を講ずる必要があるのではないか。そういう意味で、おいしい米づくりの奨励金、あるいは、消費拡大、積極的利用について一定の助成措置、これを全体ひっくるめてJA、市町村と一緒になって協力してそういうシステムを作って頂きたいということを提起しているわけです。ぜひこれは実現をして頂きたい。  荒廃防止にとって必要なことは、担い手がしっかりしていない、どんどん手放すから荒廃が広がって2005年の国勢調査でも耕作放棄地は1600ヘクタールを超えて、前回の調査と比べると26%増えているわけですから、何としても抜本的な対策、かつての支援制度を復活させて頂きたい。強く求めておきます。