2007年12月定例議会 加味根史朗議員 議案討論
日本共産党のかみね史朗です。私は議員団を代表して、議題となっています議案34件のうち、9月議会提案の第19号議案、平成18年度京都府一般会計及特別会計歳入歳出決算を認定に付する件、第21号議案、平成18年度京都府水道事業会計決算を認定に付する件、12月議会提案の第2、第3、第4、第12、第13、第14号の京都府公立大学法人化に伴う議案6件、第11号議案、桂川右岸流域下水道幹線管渠工事請負契約変更の件の9件に反対し、その他の議案に賛成の討論を行います。
まず平成18年度一般会計及び特別会計決算であります。平成18年は、国民に痛みと犠牲を押しつけ、弱肉強食の経済を作り出してきた小泉構造改革の影響が府民生活と京都経済を直撃した年でした。 ワーキングプアと生活保護世帯の増大、京都府内での自殺者の急増など貧困と格差が拡大し、京都の中小事業所の減少が全国ワースト5位になるなど京都経済の危機が深刻化しました。知事は三位一体改革について「地方の自由度が拡大される」といってきましたが、三位一体の名のもと地方交付税が約5兆円も削減されるなど、地方財政も大きな困難に直面しました。 こうしたなかで本府が取るべき道は、府民の暮らしを守る自治体本来の役割を果たすことであり、小泉構造改革に反対し、国に地方交付税の復活・充実を求めるとともに、きびしい財政のもとでも府民の福祉や暮らし、中小企業、教育を守り、ムダな大型公共事業と不公正な財政支出を抜本的に見直すことであったと思います。ところが、本府は、小泉構造改革の路線を忠実に京都に持ちこみ、府民の暮らしと京都経済にいっそうの困難をもたらしてきたのであります。 具体的に決算に反対する理由を述べます。第一は、府民と中小企業への痛みと犠牲の押しつけです。知事は、「集中と選択による施策の見直し」で250事業、55億円の削減をおこないました。このなかで障害者生活支援センターへの運営助成やひとり暮らしの高齢者に対する日常生活用具給付助成費、府内の小学校等が府内産木材を利用した机、イス等を購入した場合に通常製品との差額を補助する事業など府民の暮らしに直結するきめ細かな多くの事業が廃止され、すべての事務事業の2割カットをおこないました。 今、福祉人材の確保が重大な困難に直面していますが、その原因は国の介護報酬や障害者自立支援法による報酬単価の低さとともに、本府が民間社会福祉施設職員の給与改善事業や研修対策費、健康診断費などを相次いで廃止し、平成18年度には、15年度に2億円あった共済会への助成を5千万円に削減したことも追い打ちをかけるものでした。 平成18年度から指定管理者制度が導入され、17億円の予算が削減されましたが、これにより低賃金、長時間労働、非正規職員への置き換えなど公的施設で働く職員の労働条件が著しく悪化しました。社会福祉事業団では職員給与や手当ての削減をよぎなくされ、月に4万円も減らされる人が出ました。総合社会福祉会館ハートピアの指定管理者は、株式会社MKになりましたが、そこで働く職員の基本給は月13万円であり、きわめて劣悪です。 土木費は88億円減額されましたが、生活道路や河川改修などが大幅に減らされる一方で、京都市内高速道路の整備促進には8億円増やすなど高速道路優先の予算執行を進めてきました。こうしたなかで中小の建設業者の倒産や地域経済が崩壊する深刻な事態がすすんでいます。 京都駅周辺への大型電気量販店や大規模商業施設の相次ぐ進出に対して、本府としていっさい意見を述べず、中小電気店や商店街の苦境を放置していることも重大です。 教育では、高校生や多くの保護者、府民が反対したにもかかわらず、山城通学圏の2つの府立高校の廃止統合計画が強行されました。これは、もともと知事が今後の府政運営に当たって道路や警察、教育も採算性を考えていかなければならないと打ち出したのをうけて具体化されたものであります。しかし子どもたちの人格の完成をめざす教育は、財政を理由に切り捨てるべきではありません。 第二に、安心安全とはほど遠い問題です。京丹後市峰山町内記の交差点では、1年の間に2人も交通事故で亡くなっています。この場所は、以前から住民のみなさんが交通事故の危険性を指摘し、信号機の設置を求めてきた場所であります。ところが、この場所をはじめ500箇所以上の信号機設置要望があるにもかかわらず、毎年20箇所程度の予算で済ませ、交通事故の危険を事実上放置してきたのであります。府民の命を守る最も大切な事業のひとつとして、信号機設置の要望には積極的にこたえるべきであります。 1昨年来から問題になっている城陽の山砂利跡地の産業廃棄物処理について、本府は産廃の撤去でなく、覆土方針を検証委員会に追認してもらおうとしています。これは、安心安全とは逆行するものであり、城陽市民の不安に背を向けるものであります。 地球温暖化防止対策では、石炭火力のCO2排出量がこの15年間に3倍になり、特に大きな否定的影響を与えていることが明らかになってきました。舞鶴石炭火力発電所は、1号機2号機あわせて年間860万トン、京都府域の換算では50万トンものCO2を排出します。京都議定書の目標達成にむけた府民の努力を一挙に吹き飛ばす排出量です。それにもかかわらず本府が地域エネルギーの構成バランスから必要であるとの立場を取っていることは重大です。2号機の操業中止を求め、自然エネルギーへの転換促進を強く働きかけるべきであります。 住宅用太陽光発電についても、新府総の計画で2010年に15000戸の目標を達成すると計画しているにもかかわらず、国の助成制度が廃止されても積極的な対応をおこなわず、住宅への普及は事実上ストップしてしまいました。今回、国に助成制度の創設を要望されていますが、府としても独自の助成制度をつくり普及すべきであります。 第三に、税金の無駄遣いと不正行為にメスが入れられていないことです。府民には犠牲を押しつけながら、京都市内高速道路や和田埠頭建設、学研都市建設、丹後海と星の見える丘公園、畑川ダムなど不要不急の事業に多額の税金を使っています。京都市内高速道路については、市長が残る3路線も計画通りすすめるとしていますが、2900億円もかかる事業です。今後は車を減らし、公共交通網を充実する方向に転換すべきであり、地球温暖化防止のためにも、ただちにやめるべきであります。 旧同和地域の子どもに対して、奨学金の返済を府民の税金を使って府が肩代わりしている問題は重大です。京都市の奨学金肩代わりについては、最高裁の判決で違法行為と断罪され、桝本市長らに2044万円の返還が命じられました。本府も、京都市と同様、事実上返済免除の制度となっており、一般家庭の子どもたちと比べ著しく不公正であります。今後17年間にわたって59億円もの税金を使い続ける不公正な事業は、ただちにやめるべきであります。以上の理由から平成18年度決算には反対であります。 第21号議案、平成18年度京都府水道事業会計決算を認定に付する件については、乙訓府営水道事業が過大な水需要にもとづいて関係市町に重い負担を押し付け、住民には高い水道料金で暮らしを圧迫しており、賛成することは出来ません。関係市町の意思を尊重し、早急な改善を図るよう強く求めるものであります。 次に、12月議会提案の第2、第3、第4、第12、第13、第14号の6件は、京都府公立大学法人化に伴うものであり、反対です。本議会で自民党は、公立大学法人化によって基礎研究がそこなわれることがないようにと注文をつけましたが、全国では交付金の削減で教育研究に重大な影響が出ているところであります。 また9月定例議会で指摘した通り、経営評議会に外部委員が過半数選任され運営方針が決められるなど、学部教授会や学生自治会など大学構成員による大学自治が形骸化される恐れが強いこと、今回の公立大学法人化については両大学の内部合意や府民合意が出来ているとは到底いえません。以上の理由で反対であります。 第11号議案、桂川右岸流域下水道幹線管渠工事請負契約変更の件については、呑龍雨水貯留トンネル計画でありますが、河川改修によってより安価に治水対策を進めることが出来るものであり、反対であります。 今年も押し詰まってまいりました。今年をあらわす漢字は偽りの偽となりました。国民を偽る政治があまりに多かったからであります。5000万件の一人残らず年金を支払うという公約が裏切られ、5兆円の軍事利権で税金が食い物にされる実態も明らかになりました。社会保障のため消費税増税という偽りも許せません。 来年こそ、偽りの政治を一掃し、住民の声が生きる新しい政治、国民の暮らしを守る当たり前の政治をつくっていかなければなりません。そのために、全力でがんばり抜く決意を申し上げて、私の討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。