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予算・決算特別委員会

予算特別委員会 山内佳子議員 知事総括質疑

2008/03/14 更新
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府外の私立高校に通う生徒への授業料直接助成廃止を撤回せよ 【山内】日本共産党の山内よし子です。  最初に私学助成について伺います。本府はこれまで府外の私立高校に通う府民の子弟約1600名に対しても、府内の高校に通う生徒と同様に、年間48000円の授業料の直接助成を行ってきました。ところが今回の予算案で知事は府外の私立高校に通う生徒への助成制度を新入生から打ち切り、3年で廃止するとしています。昭和44年から39年間、教育の機会均等を目標として実施してきた事業です。なぜ府外の私学に通う生徒への助成を打ち切るのですか。保護者の声を聞いたのですか。伺います。

【知事】府外の私学に通学する高校生の学費軽減補助について、私どもは私学助成は二つの意味があると思っています。一つは、私学を通じて京都府全体の教育力を確保していくこと、もう一つは保護者に対する学費軽減によって通学の負担を減らしていくこと。この二つをどうやって両立させていくかということが私は大変大きな問題だと思っています。特に京都府においては他府県に比べて私学の果している役割が大変多い。ところが近年、少子化の進行により、就学人口の減少等による府内私学の募集定員に対する入学者数は8割程度にとどまるなど私学の経営環境が非常に厳しい状況にあるわけです。 このため私どもとしては、京都府内における健全な私学経営にむけた支援の充実、そして保護者の経済的負担を軽減していくことの両立を図るために今回の措置をとらせて頂いた。特に、今までは通学圏域である近畿各府県ともあいのりというか、相互に実施してきていたこの制度ですが、約三分の二をしめる大阪と滋賀も既に制度を廃止しているので、相互支援という基本も崩れているわけです。私どもとしてはこうして捻出した財源を私学の経営基盤の強化や教育指導力の向上にむけた取組みへの支援など特色教育推進補助の充実に充てるとともに、耐震診断調査補助などを創設しているところです。 いまご指摘がありましたように、私どもも約束をしているわけではありませんけども、今通学をされている方々に対しては、この制度はしっかりと残していくといなかで、激変緩和も考え、信頼関係の維持も努めながら、こうした形で新しい制度にふみ切らせていただいたところです。

【山内】今の答弁は全く理由になっていないと思います。府内であれ、府外であれ私学に通う子どもたちの教育の機会均等のためにこの事業を続けてきたわけです。事業仕分けの議論の中でも、「わざわざ府外の生徒にいるのか疑問」と外部委員が言っていますが、その意見に、担当者は「府外に通っている方も府民だ。税金を払っている」と答えておられるのです。まったく廃止の道理がないのです。打ち切られたらどのような影響があるのか、保護者の世帯の状況がどうなのか、当事者から話を聞くべきなのです。どうして保護者の声を聞かれないのですか。その質問に答えてください。

【知事】ですから、現在通っている方々については、この制度は保障していく。そしてこれからのあり方については、やはり府内の私立高校の入学定員の8割程度しか確保できていない状況ですので、できるだけ府内の私学に通って頂くことが京都府全体の教育力を高めていくことにつながりますので、そういった条件のもとでこの制度を運用させて頂きたいということでご理解頂きたい。

【山内】私は、府外の私学に通っている保護者の状況を聞くべきだと言っているのです。保護者の実態を無視していると思う。把握していないし、把握しようともしていない。 先週お話を伺ったAさんは、建築関係の仕事についておられますが収入が減り、朝3時半におきて朝刊の配達をし、その後本業についておられます。眠る時間を削り、命を削ってダブルワークで働いても、国保料を払うと手取りは30万円をきり、一時金もないんです。子どもさんが私学の高校に通っていますが、授業料や制服代などで年間123万円必要で、奥さんもパートを掛け持ち、こんな思いをしても親はせめて高校は出してやりたいと思っているのです。ですから48000円は本当に助かると言っておられるのです。今府外の私学に通っておられる方々は保障するけれども、今後は保障しないのでしょう。府内(の私学の生徒)だけしか保障しないではないですか。48000円は本当に助かると言っておられるのですから、一方的な削減はやめるべきです。府民目線と言うんだったら、補助打ち切りを撤回して、予算を復活するよう強く求めるものであります。

同和奨学金 府の返済肩代わりは道理がない。 返還求める取組みをせよ。 【山内】次に、私学助成は道理もなく切り捨てながら、一方で返済の肩代わりを続ける同和奨学金について質問します。 先に行われた京都市長選挙では、京都市が行っている同和奨学金の返済肩代わりが大きな批判をあび、選挙の大きな争点になりました。世論の広がりの中で、京都市は、今年度の返済肩代わりの執行を停止する。また、来年度の予算に事業を計上できませんでした。  ところが本府ではいまだに同和奨学金の返済を肩代わりして、来年度だけでも3億8000万、今後17年間で十数億円のお金を支出しようとしています。これは見直すべきと考えますがいかがですか。

【知事】先程とも関連してくるが、結局、信頼関係をもってしっかりと給付してきたものに対してどういうかたちで対応するかということだと思っています。ですから、私どもは別に約束をしたわけではありませんが、府外に通っている方々について、現行をこれからも保障していこうじゃないか、同じようにこの高等学校の奨学金償還対策事業ですが、これは、私どもは京都市とは制度が違っており、奨学金の返還が困難な者に対して奨学金を支給する制度である京都市に対して、京都府の方は実質給付制という形になっています。府議会でも議論される中で、手続きも適法に行なわれ運用されてきているので裁判においても京都府側の主張が認められたところです。私どもは、この制度は既に13年度末をもって新規の貸し付けを終えたわけですが、過去に貸し付けた分について、必要な償還手当、支給手当をしているものであり、仮にこの予算を計上しなければ、過去に奨学生や保護者の方々にこの制度があるので、将来の返還を心配せずに安心して勉強してほしいと説明、約束してきたにもかかわらず、そうした中で、何の落ち度もない方に急に不利益を招く、これはやっぱり行政の信頼関係というものを覆すものになるのではないかと思っており、公的約束というのは、知事が変わっても守らなければならないものではないかと考えています。

【山内】私学助成ですが、今通っている子どもたちには残すとおっしゃいましたが、新年度から削減されるのですから、それは切り捨てです。指摘しておきます。 同和奨学金の問題ですが、全員一律に返さなくてもいい、という点では、京都市の制度も京都府の制度も変わらないわけです。今、知事も言われましたが、実質給付制度だということです。この予算委員会で、「どのくらいの所得の方がどのくらいいるのか、制度運用上必要ないから、そのような集計はしていない」と「仮に所得の高い方がいたとしても、制度の元々のスタートで『返還の心配をせずに』というふうに説明をしているので、今になって返して欲しいとは言えない」と室長がお答えになっています。けれども、一体これで府民の納得が得られるのでしょうか。私は、これは京都市同様に京都府の制度は、めちゃくちゃな制度だと思っているのです。岡山県や高知県などは対象者のところを回って可能なところは返還を求めているのです。こういう努力をすべきではないですか、いかがですか。

【知事】今申し上げたように、京都市とは要綱上の制度が異なっております。そのために、地裁の段階ですが、京都市と京都府との裁判結果は異なった形になったわけです。まさに、私たちは公的な約束関係、信頼関係というものをどういうふうに保っていくのかということも考えていかなければならない問題だと思います。それはいろんなバランスの上に成り立っている話ですから、先程の私学助成の話にしても、京都府内の私学の経営力、そして定員割れの状況を放っておいてどうするんだろうかという問題も含めて、私たちはトータルに京都府全体としての信用の問題を考えて行動していかなければならないと思っています。

【山内】私は、やっぱり、どんなに所得が高くても、京都府が奨学金の返済を肩代わりするということについては、府民は納得しないと思うんです。8000万の私学助成を打ち切りながら、同和奨学金だけは聖域扱いにする、こんなやり方は通用しないと思います。私たちは、同和奨学金の返済肩代わりはやめるべきだということを求めて次の質問に移ります。

府の職場で不安定雇用・ワーキングプアが増えている! 現場を無視した職員1500人削減計画の押しつけをやめよ 【山内】次に雇用の問題について伺います。 知事は本会議でわが党の前窪議員の質問に対して「正規雇用の大切さがしっかりと認識されるよう訴えたい」と答弁されました。しかし一方で、知事の足元で不安定雇用でワーキングプアの方が増えています。 知事部局の職員はこの5年間で526名へらされ、逆に週30時間の非常勤嘱託が392人と86名も増え、また臨時職員も353名にのぼっています。DVの相談、支援に大きな役割を果たしている配偶者暴力支援センターの婦人相談員も非常勤嘱託で、収入は月に13万円から14万円で一時金はゼロ、研修も手弁当で参加しておられる実態が予算委員会の審査で明らかになりました。こうした状況を知事はどのようにお考えなのか。 また派遣労働の実態についてですが、例えば、本府で会計課の伝票審査業務や障害者支援室で障害者手帳の入力などの業務を派遣労働者が行っています。常用雇用の代替に派遣労働者を使用してはならないという、労働者派遣法の主旨に反すると思いますがいかがですか。

【知事】私は、「安心して学業を続けてください、そのためにはきちっと京都府が授業料については返済せずにけっこうです」という形でお示ししたものを、その後に少しお金が貯まったら全部返せというような形は行政としてどうなのかということを申し上げているわけであり、ご理解頂きたいと思っています。  派遣労働者等の問題については、今問題なのは、急速に増えているとか、派遣労働が今2.6倍になった。こういう全体の構造の中で特に若年者17%から30%になっているということが問題だと思っているのですが、ただ、もちろん京都府においても、これは施設管理とか試験検査、こういったものについて民間がもつ専門的知識や技術を活用する方がより効果的なものについては、外部委託を推進していますし、消費生活相談や、児童虐待対応等、専門的知識や経験が必要な業務についてはOB職員をはじめとした非常勤嘱託職員をお願いしているところです。そして臨時業務の対応や休務職員の代替として臨時職員を配置しているところであり、その給与水準についても一般的な正規の府の職員との関係でだいたい全国的に決まってくるものをそのまま使っている。それから、今年度から、会計伝票の一次審査、障害者手帳電算入力の二つの業務について、派遣契約を結び業務を実施していますが、その効果等については今検証をおこなっていますが、この会計課の業務は新しい財務システムを導入するにあたり、このシステムを活用した審査業務の効率化を図るために、派遣職員による処理がなじむ一部業務について人材派遣を活用することにしたものです。派遣職員の処理する業務はシステムの開発が進みますと機械処理にゆだねることが可能なものが中心となっており、一方、府の職員は法令との整合や支払いの妥当性等適切な予算執行を確保するうえで重要な審査指導に専念しており、派遣職員の行う職務とはおのずと異なるもので、正規職員を代替するものではなく、労働者派遣法の主旨に反するものではないと思います。今後とも十分法律の主旨をふまえながら限られた人的資源を最大限に活かして、府民のみなさまにより質の高いサービスを還元することで府民満足の向上につながる府政の推進にとりくんでいきたいと考えています。

【山内】先ほど紹介した婦人相談員ですが、毎年契約更新をしてもう10年間も本府の第一線で働いておられます。賃上げはその間一円もなく、交通費も実費が支給されていません。こうした状況を放置していてよいのかと思いますし、先日、労働組合宛にFAXがきたそうですが、「母一人子一人の生活で、私が病気になってしまえばたちまち幼い子どもを路頭に迷わすことになります。いつも子どもには我慢させてばかりです」。これが府庁の職場で働く職員からの叫びなんですね。そういう点では本当に、財政が厳しいと言われましたが、こういう時だからこそ福祉や教育に力をいれるべきだと思いますし、ワーキングプアの状態は改善をしていく必要があると思いますがいかがですか。

【知事】府庁に働く非常勤職員の処遇については、これまでから労働基準法にのっとり、民間や他府県の状況等もふまえながら給与、休暇等の制度改善に努めているところです。給与については、非常勤嘱託は一般職員の給与改定と連動しており、20年4月からは週28時間勤務の一般職員の方で月1400円のアップというかたちになります。臨時職員については、昨年4月から通勤実費が日額700円を超える方には、その額に応じて最大400円までの基本給与日額に加算する措置を講じていますが、さらに20年4月からは実質的な継続雇用が2年目以降になる職員に対し、基本給与日額の100円加算制度を導入する予定にしています。休暇制度についても、平成17年1月から、夏期休暇や忌引き休暇を有給休暇として制度化するなど充実をはかっており、今後とも勤務条件の改善にむけて常に研究検討をすすめていきたいと考えています。

【山内】少しずつ改善をされているということですが、どんどん不安定雇用が増えている中で、不安定雇用の労働条件は改善しながら、だだ、どうしてこんなに府庁で働いている人たちの労働条件が不安定なのか、非常勤の嘱託が増えて、臨時職員が増えているのか。また委託派遣がたくさん入ってきているのか。これはやはり5年間で職員を1500人減らすとした給与費プログラムを現場に押し付けていることが原因だと思っています。 安定した府民サービスを確保するためにも現場の実態を無視した職員の削減計画の押し付けをやめるべきです。このことを求めて終わります。