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予算・決算特別委員会

予算特別委員会 光永敦彦議員 知事総括質疑

2008/03/14 更新
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後期高齢者医療制度について 【光永】後期高齢者医療制度について伺います。今年4月からの実施を目前にして、今、全国的にその内容が明らかになるにつれて怒りの声が拡がっています。 私は先日、京都府後期高齢者医療広域連合議会を傍聴しましたが、「74歳と75歳と、一体どこが違うのか」という意見や、「姥捨て山になる」など、厳しい声が出されていました。ここには、私は理由があると思う。まさに今回の制度が医療に差別を持ち込むものだからだと思うのです。

先日診療報酬が示されましたが、私、病院に勤めていたものですからこれを見まして本当にあきれました。中身をみますと、75歳以上の高齢者は、診療や検査の上限を決め、受診できる医療機関も制限するなど、いわゆる「まるめ方式」が持ち込まれました。さらに、退院が難しい患者さんに限り、退院計画を作り、退院させたら報酬が出るという仕組み、更に、究極は回復が見込めないと判断された患者さんについて、終末期の治療計画をたてた場合に診療報酬が出るという、こんなひどい仕組みが今、出されているのです。 私は、これまで長年社会を支えてこられた方が高齢におなりになって、体の具合が悪いところが出てきた時に安心して医療にかかれるようになるのは政治の責任、社会の責任だと考えています。ところが今回、75歳になったとたん、「もう積極的な治療をあなたには行いませんよ」と最後通知をするような、こんな差別の仕組みになっていると私は考えますが、知事はこの制度が差別医療になるとお考えになりませんか。まずお答え下さい。

【知事】私もこの制度が、全て正しい制度だとは思っていない。ですから、後期高齢者医療制度の創設によってまず、高齢者の負担が過度にならないように従来から国に対し提案と要望をしてきましたし、知事会においても、この制度がそういった負担をもたらさないようにとの提案をしてきた。その結果、所得に応じた保険料の軽減、被用者保険の被扶養者に対する経過措置、年金天引きの額が過大とならないような取り扱い、地域の医療の実情に応じた不均一保険料の設定等が制度化されたけれど、私どもはその中で更に、特に被用者保険の被扶養者からの保険料の問題を知事会を通じ提起してきて、これも一年間凍結、軽減をすることになった。私どもとしては、こうした暫定的、経過的な措置のみだけでなく本当に高齢者の生活実態を踏まえた制度となるように引き続き提案、要請をしていくというのが私どもの基本的な考え方です。 今回示されました新たな診療報酬体系については、国の説明では、治療の長期化、複数疾患の罹患といった後期高齢者の心身の特性に応じた医療を提供する観点を重視し、新設されたものであるという形で、フリーアクセスを制限する仕組みではないのだからと言う形で説明をされている。 京都府としては4月から開始される新しい制度ですので、この中央社会保険医療協議会の答申でも高齢者の心身の特性に応じた医療提供に資するものになっているかという観点から実施後の状況について検証を行うことが附帯意見で出されている訳であり、関係者のご意見をお聞きする中で状況を十分に見極めるとともに、高齢者の方が真に必要な医療が受けられるよう、引き続き国に提案・要請をしたいと考えている。

【光永】生活実態を踏まえた制度になるようというご答弁だと思うが、そもそも厚生労働省が高齢者の生活実態を踏まえていないということが全国的にも意見として出ているのです。だから国民が今、怒っているのです。国民が願っているのは、制度の改善ではないのです。制度の中止と撤回なんですよ。 国会では、私ども日本共産党も、民主党も、そして社民党・国民新党、野党4党が廃止法案を提案しています。さらに、岐阜県大垣市では自民党から制度の凍結を求める意見書が提案されまして、公明党以外の全体の賛成で可決するということも起こっている。京都府内でも15の自治体で、反対、中止・撤回を含め意見が上がっているのですよ。知事はいつも、「府民目線」だ、「府民発」だと言われるが、これが国民の声なんですよ。だったらこの声に応えて、国に対して今、この時期にこそ、この制度の中止、撤回を求めるべきではありませんか。お答え下さい。

【知事】私たちには2つの立場がある。一つは法律に則って業務を執行しなければならない立場と、もう一つは、おっしゃったように、国に対し意見を言っていかなければならない立場。その中で、後期高齢者医療制度についても提案・要望をしてきているので、これからもその実施状況を見極めながら、しっかりと提案・要望していきたいと考えている。

【光永】提案・要望をするのはあたり前。しかし、実施の直前で、国会でも先程言った状況もある。そして国民的にもこれは実施しないで欲しいというのが、大勢なんですよ。だから、この国民、ましてや、府民の声に応えるのが知事の役割なんですから、その声に応えて中止・撤回を国に求めて頂きたい。 知事、ご存知でしょうか。この間、高齢者のみなさんに後期高齢者医療保険証が送付されてきている。見られたでしょうか。見られますと、その裏に、75歳以上の方、1年間以上保険料を滞納したらこれは返納して頂きますと、送ったその場で書かれているのですよ。一番最初に述べたように、今回診療報酬が示されて、中身も差別です。同時にこれまで保険証取り上げという制度がなかったのに、今度は75歳で一律に切って、保険証の取り上げまで通告するという制度ですから、やっぱりこれは、府民の声に応えて中止・撤回を今求めるべきだと、このことを強く訴えて次の質問に移ります。

療養ベッドの廃止・削減について 【光永】次に療養ベッドの廃止・削減について伺います。 資料を準備してきました。ご覧いただきたい。これは、今年1月から2月にかけて、療養ベッドの今後の数字を考える上で、それぞれの医療機関等から意見交換をした際に、京都府が昨年12月27日に国と協議した内容を京都府の責任でまとめたものです。こちらが現物です。これは、「厚生労働省が説明したものを京都府がまとめた資料」と書かれています。 私は中身が問題だと思います。ここに書いてあるが「療養病床の目標を考えるときは実態から出すのではない。計算式によって出しなさい」と言っている訳です。また、「医療・療養の診療報酬は今後上昇させない」と言っている。これもおかしいですね。診療報酬は2年ごとに改正されることが決まっているのに、今の時点で、診療報酬は上昇させないと言う権限が一体どこにあるのかと私は思いますが、こういうことが言われています。さらに、「助成金を希望しても対応できない」ということを「医療機関によく説明しておくように」と、これ、京都府がまとめたものなんですね。 私、伺いますが、この文書はまさに、削減は国の言う通りにしなさい、転換・削減しなければあとは知りませんよと言うことを述べているものだと思いますし、とんでもない中身ですね。 ですから、一つには、こんな中身を言うことを黙っていてはいけない、やはり国に抗議して発言の撤回を求めるべきだということ。もう一つは、ましてや知事はこれまで、医療難民、介護難民を出さないと言ってこられたのです、ところが、国の悪い言い分そのままに京都府が文書にして懇談の時に配る、結局、国と一緒になってこういう悪い発言を徹底しようということになっているのではありませんか。お答え下さい。

【知事】配られた文書を見て頂ければわかるが、厚生労働省の考え方としており、私たち地方公共団体として勿論意見を言っていかねばならないが、同時に、国の考え方を正確に伝えなければならないことも事実です。私どもがそれを歪める訳にはいかないので、わざわざこういう文書にして配布をさせて頂いた。京都府としては、国の示す一律・機械的な病床削減でなく、府内の実状を踏まえて必要な療養病床の維持を図るとともに、老人保健施設をはじめとする転換見通しの全体像を明らかにして、何よりも府民の医療・介護サービスの道筋を示すことが必要との立場から「京都府地域ケア確保推進指針」の最終案をとりまとめたところであり、今後とも市町村、関係団体と連携共同し必要な医療・介護サービスの確保に全力をあげるとともに、国に対して患者や家族の不安を解消し安定的で持続可能な医療制度の構築をめざす観点から、サービス利用者の受け皿確保や十分な財政支援など必要な措置を講じるよう求めていきたいと考えています。

【光永】今のような言い訳は、御免被りたいと思うのですよ。国が権限もないのに、今後診療報酬の見直しだって決まっているのですよ。だけれども、今の時点で今後診療報酬を上げないなんて権限はどこにもないのですよ。これ、制度論から言っても知事、そんなこと、わかるでしょ。わかるのに、そんなことを言ったとそれを文書にまでして徹底する。いつから京都府が国の下請機関になったのかと思いますよ。 問題は、こんな文書を配ったから現場でどんなふうに受け取っているのか、知事、絶対知っておいて欲しい。私この間、京都府が面談された医療機関などからいくつかお話しを聞いた。こんな風に言われていた。 「患者さんのため、今後の施設のあり方を真剣に考え、ぎりぎりでがんばっている時に、その思いを国も京都府も一体わかっているのか」と言われていました。また、「そもそも、何の権限で言っているのか。これは脅しではないか」、こういう声も上がっているのです。 この文書が現場のぎりぎりの努力や、そこでがんばるみなさんの思いを踏みにじることになっているのです。国と一緒になって廃止や削減を押しつける、その知事の態度こそ改めるべきだと言うことを厳しく指摘し次の質問に移る。

難病患者療養見舞金と小児慢性疾患患者療養見舞金削減について 【光永】質問の最後になるが、難病患者療養見舞金と小児慢性特定疾患患者療養見舞金について伺う。この制度は、難病の在宅患者さん約13000人に毎年1万円、小児慢性特定疾患の患者さん2200人に年間6500円を見舞金として支給してきたもので、これは本当に大切な制度となってきました。 予算特別委員会で私は質問しましたが、これに対し保健福祉部は、「この制度は患者さんの精神的な負担に応えるために実施をしてきました。」と言われました。この「精神的な負担に応える」という答弁は非常に大事だと私は思うのです。ところが、予算審議でそう言っておきながら、一方で予算の中身では、事業を廃止する。廃止提案の理由、まずお答え頂けるでしょうか。

【知事】先程申したが、私は押しつける気はなく、逆に国とは違う方針で今回の指針を作っているということをはっきりこの場で述べさせて頂きたい。(注・療養病床削減問題のこと) 難病及び小児慢性特定疾患患者に対する見舞金ですが、これは従来から難病患者等に対する取り組みとして、医療費助成に加えまして、難病相談支援センターや保健所における専門相談、保健婦の家庭訪問による療養指導を実施してきた。 こうした中で、患者や家族の方々からも、また、専門医からも意見を伺ってきたが、病変時に専門医や熟知したスタッフのいる医療機関の必要性や、小児から高齢者にいたるまでの多角的な相談窓口、同じ疾患を持つ子の保護者間の交流や相談の場の設置等について要望をいただいている所です。 私どもとしては、こうした、よりさし迫った要望を踏まえ、在宅療養支援を一層きめ細かく展開をしていきたいと考えており、府内13か所の難病協力病院において、病状悪化時や介護者が不在になる場合などに円滑に入院できる受け入れ体制を確保し、安心して在宅療養ができる環境の整備を進めることとしています。 更に、療養生活用機器の貸し出しや、日常生活用具や医療用具の購入助成なども今回盛り込んでいますし、保護者同士の交流相談体制の充実も取り組むこととしており、こうした観点から、今回施策の転換を行った。

【光永】さし迫ったものに事業を切り替えたとおっしゃったが、今回新規事業として提案されている事業は、私は必要だと思うのです。だけど、これまであった見舞金を廃止して集約して実施する性格のものではないです。新しい事業はやったら良い。だけどこれまでの療養見舞金も続けたら良いのですよ。 私は、伺いたいのですが、先程、知事の答弁で専門の医師から色々意見を聞いていったと言われたが、専門の医師から意見を聞いたというのは、おそらく予算審議の中で部長からも答弁があったように、難病医療協議会のことだと思うのですね。ただ、この難病医療協議会というのは、議事録を調べますと、平成18年度も19年度もこの問題では、この対策協議会開かれていませんよ。開かれた平成16年・17年は一回づつなんです。その一回きりの開かれたところで、今回の新しい事業については話しがあったが、療養見舞金の廃止について、意見は一度もないですよ。この4年間、一度もその事について出ていないということじゃないですか。 しかも、廃止の決定の経過を、私、たどりましたよ。すると、昨年7月頃に行った外部委員による事業仕分け。ここで、20~30分の議論で継続するかどうか検討せよと言う意見が出されて、それで今回廃止提案になったのですよ。 難病患者さんの全国組織の、京都難病連がおられますね。その方々と一度もお会いになっていませんよ。会ったのは2月の当初に廃止決定をしてから、会って、廃止しますということを最後に通告しただけじゃないですか。 知事は、「府民目線」と良く言われますけれどね、この述べた一連の経過の中のどこに府民目線があるのですか。当事者の声、何故聞かなかったのですか。再度お答え下さい。

【知事】先程もお話ししたように、難病の医療連絡協議会等でもご意見を伺ってきたところであり、ご指摘のあった府民サービス等の改革検討委員会からもそうした指摘を受けているところです。 もちろん、各府県の状況も踏まえた中で、見舞金ということから、さし迫った、具体的な施策への転換ということが、やはりこれからの本当に困っている人たちに対してしっかりと施策を講じる観点ということで、今回、こういった意見を踏まえながら今回施策の転換を行ったところです。

【光永】結局は、当事者から意見を聞いたのかと私質問しても、それには、まったく答えられないんですよ。やっぱり会ってないからなんですね。一連の経過を見ても、当事者、一番困っておられる難病の方の気持ちや、思いや実態は、この一連の経過の中ですっぽり抜け落ちているのですよ。やっぱり、意見を聞かずに頭ごなしに廃止するというのは、やり方も中身も私は大問題だと、改めて厳しく指摘しておきたいと思います。 そこで、もう一度伺うが、この事業がやられてきた中で、今回廃止提案を受けて、これまで受けてこられた難病の方々がどのようの言っておられているのか、このことを肝に銘じて欲しいのですよ。 私、この間、難病団体の方々とお話ししました。少し述べますね。 「特定疾患医療受給者証の更新に1万円近く毎年いる。そのためにと思って受け取っていたのに、なくなるとは」と絶句された方がおられるのですよ。また、「府南部から府立医科大学附属病院まで通院し、毎月治療費だけで1万円近くかかる。負担が増え続ける中、またかと思う。その精神的ダメージが大きい」のだと言われているのです。さらに、「これまで、年1万円とは言え、私たち難病患者の気持ちを京都府が受け止めて頂いていると思っていた。その思いまで断ち切られたようだ。」知事、そのように言っておられるのですよ。この悲痛な声、知事はしっかりと受け止めて頂きたいと思うのです。 そこで、私はそういう声に応えるというのであれば、廃止の撤回と予算の復活を求めるものですが、知事お答え下さい。

【知事】私はこれからも、まさに、そういった具体的な要望をお聞きする中で、施策として行うべきであると思っており、見舞金事業という曖昧な形でやっていくことが本当に良いのかどうかと思っている。そうした中で、サービスの改革検討委員会の方からもやはり明確化をすべきだというご意見をいただいているし、各府県の状況を見ても、明確化をしていくなかで、これからも私は努力をしていきたいと思う。 患者さん等の意見については具体的な場にあたっている保健福祉部長からお答えします。 【保険福祉部長】難病患者さんからのご意見を聞くということは、私ども平素の保健所活動、或いは、難病相談・支援センターの活動を通じてご意見を聞いているところです。

【光永】一般施策の話しをしているのではない。この見舞金の廃止については聞いていないからです。まして知事、先程、「曖昧な施策」と言われました。受けておられる当事者からの意見も聞かず「曖昧」だなんて、そんな失礼なことありますか。その発言撤回してください。再度答弁して下さいよ。

【知事】今まで申し上げてきたように、現場における声や難病医療連絡協議会等におきまして専門医からの意見も伺ってきて、今回の施策を行なってきたものです。

【光永】結局知事、よくわかりましたよ。「府民目線」、「府民目線」と言われますけれどね、実際に一番お困りの方の府民目線ではないということが、今のお話しで良くわかりましたよ。 今日、お昼、難病患者さんらが京都府下一円から集まって、各会派も回られたし、保健福祉部にもいかれましたでしょ。重い体や、痛い体、しんどい体をおして、しかも、雨の中、京都府庁までやってこられて、「この施策はどうしてもやめないでほしい」と言われているのですよ。 先程知事は新しい施策で具体的に応えると言われたが、これは当然です、やって頂きたいと思います。しかし、患者さんの声も聞かずに、バッサリ頭ごなしに廃止する、このやり方と知事の姿勢こそ問題だと、このことを私は厳しく指摘し、私の質問を終わります。