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2008年2月定例議会 迫祐仁議員 意見書・決議案討論

2008/03/21 更新
[ 討論 ]
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日本共産党のさこ祐仁です。 ただいま議題になっています、意見書案など15件について、自民党、公明党提案の「道路特定財源の堅持による地方財源の確立を求める意見書(案)」、民主党提案の「道路特定財源改革をはじめとする地方分権改革の推進と地方財源の確保を求める意見書(案)」、自民党、民主党、公明党提案の「2016年オリンピック・パラリンピック競技大会の日本招致に関する決議(案)」に反対し、他の12件に賛成の立場で討論します。

「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書案」について 最初にわが党提案の「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書案」および民主党提案の「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書案」についてです。  わが党は、これまで後期高齢者医療制度の中止・撤回を一貫して求めてきましたが、実施直前となり、いよいよ全国的にも京都府でも「実施の中止・撤回」を求める声が大きな怒りとなっています。  75歳で一律に線を引き、別立ての保険へとひきはがし、受ける医療の内容まで差別し、積極的に治療を行わない「看取りの医療」へと、そのあり方の大本をゆがめてしまうものです。 政府は、後期高齢者について、治療が長期化する、複数疾患がある、認知症がある、いずれ死が避けられない、など「心身の特性がある」として一律に線を引く理由を述べています。しかし、お元気な方も、活躍されている方もおられ、なによりも人生の達人で知恵も工夫も学ぶことは大変多いわけで、一律にしかも別立ての制度へと差別する理由はどこにもありません。  現在、私ども日本共産党、民主党、社民党、国民新党の野党4党で、「後期高齢者医療制度の廃止を求める法律案」を提出しています。この法律案の徹底審議を求めるとともに、成立をはかり、後期高齢者医療制度の廃止を求めることこそ府民の怒りと願いに応えることであり、府議会の役割だと考えます。みなさんのご賛同をお願いいたします。民主党提案も同様の趣旨で賛成です。

道路特定財源にかかわる意見書(案)について 次に、現在開かれている国会で大問題になっている道路特定財源にかかわる意見書(案)についてです。年金、医療、介護、福祉、教育、子育て、どれをとっても、国民は、現在の政治に対する不満と怒りに満ちあふれています。国会では、揮発油税など道路特定財源が、いかに無駄に使われ続けているかその実態が次々に明らかになり、どの世論調査をとっても、道路特定財源の一般財源化および暫定税率の廃止を求める世論は6割を超えており、国民の圧倒的多数の声です。   マスコミがこぞって「ムダづかいのオンパレード」と指摘するように、道路特定財源がムダづかいの温床となっている根本問題は、10年間に59兆円もの巨額の税金を道路整備に投入する「道路整備中期計画」にあります。国民にとって必要な道路整備予算を積み上げるのではなく、まず59兆円の総額を確保し、それを使い切るという仕組みがムダづかいの温床になっているのです。 政府および自民、公明与党は、あかずの踏み切りの解消やバリアフリー化など生活道路の整備の必要性を前面に掲げていますが、それらの予算は全部あわせても中期計画の1割に過ぎず、東京湾口道路や紀淡連絡道路、京都市内高速道路の残り3路線など、不要・不急の大型道路計画が4割を占めています。一般財源化し、地方の自主財源を保障した上で、住民の暮らしのために予算をまわせるように改革すべきです。 道路特定財源の堅持を求める自民党、公明党案は、国民多数の声を理解しない、まったく時代遅れの意見書案であり、反対です。民主党案は、焦眉の課題となっている道路特定財源のムダづかいには一切触れず、地方分権と地方財源の問題に論点をそらせた提案であり、暫定税率の廃止も求めてはいません。国会での民主党の態度とは矛盾し、府民の期待に答えられるものではありません。よって、反対するものです。

「中小企業を支援する緊急対策を求める意見書(案)」について 次に、わが党提案の「中小企業を支援する緊急対策を求める意見書(案)」についてです。 昨年来、原油価格と資材価格が高騰し続けており、中小企業は、「構造改革」不況のうえに追い討ちをかけられて、まさに危機的状況です。 たとえばこの京都でも、ある建築関連の中小業者は、元請会社から「今までの単価で請け負ってくれ」と言われ、材料の値上がり分を払ってもらえずに自分の労賃を削っている状況です。これまで多くの中小企業が身を削って耐えてきたけれども、いよいよ耐え切れない業者が苦しみを重ねて倒産しており、実効ある緊急支援策が求められています。 自民党など提案の「中小企業底上げ対策の一層強化を求める意見書(案)」については賛同するものですが、外需頼み、輸出頼み、とくに国民の家計と消費をないがしろにしてきた、大企業中心の経済政策の見直しについては、まったく触れられていません。 2月19日の「日本経済新聞」は、「大企業から家計へ経済政策の軸足を移せ」と述べて経済政策の「改革」を訴えましたが、まさに今こそ、国民のふところを温め、内需を拡大する経済政策への大転換が求められています。わが党提案の意見書案は、今や国民全体の要求である「大企業中心から、国民と中小企業中心へ」の経済政策の転換を求めるものであり、賛同を呼びかけるものです。

消費税増税に反対する意見書案」について 次にわが党提案の「消費税増税に反対する意見書案」についてです。 政府・与党は庶民増税と社会保障削減を継続した「08年度政府予算案」の採決を、衆議院で強行しました。43.3%だった最高税率を30%まで引き下げてきた法人税率や、70%を40%まで引き下げてきた所得税の最高税率をはじめ、大企業・大資産家への優遇税制を続けています。その結果大企業は、97年当時と比べ2006年には経常利益を15.1兆円から32.8兆円に倍増させているのに、払った税金は12.1兆円から13.7兆円へと横ばいでしかありません。その上、日本経団連はあつかましく政府に秋の通常国会で消費税の増税、法人税の一層の減税を迫っています。そもそも消費税は導入のときから、「社会保障のため」「高齢化社会のため」と言われながら、社会保障は改悪の連続でした。貧困が拡大し、府民の暮らしや京都経済が深刻なとき、いま必要なことは、軍事費のムダにしっかりメスを入れ、国民への増税をやめ、行き過ぎた大企業・大資産家優遇の減税を見直すなど、税金のとり方・使い方を抜本的に改め、応能負担の原則に基づく国民本位の民主的税制に転換し、消費税の増税なしに社会保障の財源をつくるべきです。 みなさんの賛同をお願いするものです。

「労働者派遣法の抜本改正を求める意見書案」について 次に、わが党提案の「労働者派遣法の抜本改正を求める意見書案」についてです。 いまや派遣労働者は321万人、その7割以上が、細切れの雇用を繰り返し、労働者を人間扱いしない登録型派遣や日雇い派遣です。こうした事態がはびこる原因となった1999年の労働者派遣法の改悪に反対したのは、日本共産党だけでしたが、いまや派遣労働者法の改正は国民的課題です。 わが党の志位委員長の質問に対して福田首相は「中長期的に見た場合、そういう雇用の形は決して好ましくない」と答弁せざるを得ませんでした。派遣問題をめぐって、いま与野党を超えて多くの党が改正を求めることで一致しています。安定した雇用で未来を開くためにも、働く者を守る「派遣労働者保護法」への抜本改正は緊急の課題であり、賛同を呼びかけるものです。なお自民党など提案の「労働者派遣制度を見直し地域における雇用・就業対策の拡充強化を求める意見書(案)」については賛同するものですが、これまでの一連の労働法制の規制緩和に賛成したことに対して、反省を促すものです。

自民党など提案の「難病対策の充実に関する意見書」(案)について 次に自民党など提案の「難病対策の充実に関する意見書」(案)についてです。  患者さんや患者団体の皆さんの願いは、すべての難病を難治性疾患克服研究事業の対象とし、医療費の自己負担を軽減するための特定疾患治療研究事業の拡充と追加指定です。 ところが、現在、政府が研究対象にしているのは2007年度で123疾患にすぎず、しかも2008年度政府予算案は、この研究事業の予算を24億4千万円とし、前年度予算比で約1億3千万円減らしました。また、対象は2007年度で45疾患ですが、2008年度政府予算案は、前年度比約36億円増やしたものの、国の予算が追い付かないため、都道府県が超過負担している分の一部を解消する程度でしかありません。  この抜本的改善と対策こそが、難病に苦しむ患者と家族のみなさんの願いです。 自民党など提案の「肝炎対策の推進に関する意見書(案)」について 次に、自民党など提案の「肝炎対策の推進に関する意見書(案)」についてですが、この数年来一貫して肝炎対策を要求してきたわが党として勿論賛成です。国会でも去る18日参議院厚労委員会理事会で中断している法案審議の再開を提起し、与野党をこえて取り組むよう強く求めているところであります。同時に特措法に基づく救済についても、薬害立証が被害者の責任とされているもと、一律救済の理念とは程遠い状況となっている現状を打開するため、府議会としての一致した取り組みを提起するものであります。

自民党など提案の「食の安心・安全の確保に関する意見書(案)」について 次に、自民党など提案の「食の安心・安全の確保に関する意見書(案)」についてです。 今日、食の不安が広がったのは、なぜでしょうか。それは、食料は外国から安く輸入すれば良いとして、歯止めなく輸入自由化を進め、日本農業を破壊し、食料自給率を39%、食料の6割以上を輸入に依存し続けてきたためであり、その責任は、政府・与党にあります。 わが党は、国の検査体制が貧弱で、いま食の安心・安全に対する信頼を回復するには輸入食品検査体制の抜本的強化、自治体においても食品の情報の共有、保健所等関係機関の連携、食品衛生指導体制の充実・強化などとあわせ、京都府にも食品衛生監視員の専任化など一貫して要求してきたところであり、賛同します。

自民党など提案の「2016年オリンピック・パラリンピック競技大会の日本招致に関する決議(案)」について 最後に、自民党など提案の「2016年オリンピック・パラリンピック競技大会の日本招致に関する決議(案)」についてです。 わが党はもちろん、オリンピックそのものに反対ではありませんが、東京招致をめぐっては、五輪をてこにした3環状道路建設など、インフラ整備もあわせ8兆5千億円もの無駄な投資の問題や、新たな環境悪化が懸念されています。オリンピック招致を「錦の御旗」に、懸案の大規模開発を加速しようという狙いは明らかで、東京一極集中を更に進めるものです。  この東京大会招致をあえて「日本招致」と言い換え、「京都府にとっても‥‥絶好の機会」などとする決議案の内容にも、奇異の念を禁じえません。オリンピックの東京招致は、京都府民の役に立たないことはもちろん、東京都民にとっても福祉切り捨て、犠牲押し付けにつながるものであり、この決議案には反対です。

以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。