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議会を終えて(談話)

2008年6月定例会を終えて

2008/07/17 更新
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2008年7月17日
日本共産党京都府会議員団
団長 新井 進

 6月24日から開かれていた定例議会が7月15日に閉会した。本議会には、一般会計補正予算をはじめ16件が提案され、追加議案として教育委員の選任に同意する議案1件および議員提案の「地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例制定」の件が提案された。
 わが党議員団は、京都府府税条例一部改正の件、京都府公立大学法人の中期目標を定める件、および、株式会社けいはんなに関わる権利放棄の件の3件に反対し、人事議案および他の議案には賛成した。

 本議会は、後期高齢者医療制度に対する府民の怒りのひろがり、原油価格や穀物価格の高騰による深刻な府民生活への影響が噴出する中で開かれた。わが党議員団は府民生活を守る立場から、緊急の原油・食料高騰対策、貧困と格差の是正、地球温暖化対策、大学法人化、教育問題など積極的に論戦した。

1、「京都府府税条例一部改正の件」は、金持ち優遇の証券税制の軽減税率について経過措置を残し、また法人事業税税率引き下げは、地方税を国税にかえ再配分するもので、税源移譲の流れに反し、しかも、消費税の増税に道を開くものであり、反対した。
 また、「京都府公立大学法人の中期目標を定める件」が提案された。これまでわが党議員団は、大学の自治と学問の自由を守る立場からいっかんして法人化に反対し、運動と結んだ議会論戦を行ってきた。
 提案された「中期目標」には、教育施設・設備の充実を図ること、授業料の減免をはじめとした学生生活の支援をおこなうこと、基礎的研究を推進すること等が明記された。
 しかし、これまでわが党議員団が指摘してきた重大な問題が含まれている。それは第一に、「理事長と学長のリーダーシップによる迅速な意思決定」とあるように、大学の自治と自主性を脅かす恐れがあること、第二に、「経費の抑制」「外部資金の導入」など、競争的資金の導入等により、基礎研究が損なわれ、学問の自由が保障されない恐れがあること、第三に、「受益者負担」「外部委託の積極的導入」とあるように、授業料や患者負担の見直し等、府民負担の増大やサービス後退の危険があること、第四に、「柔軟な雇用形態」を求めていることから、教員の任期制の導入に道を開く可能性があること、等である。このため、わが党議員団は、これまでの知事答弁にもとづく誠実な実行を求める立場から、文教常任委員会で修正案を提案し、中期目標の抜本的な見直しを求めた。
 ところが与党会派は、わが党に対し「もともと法人化に反対しているなら、修正案をだすべきでない」などと攻撃した。しかし、法人化されたもとで、今後のあり方を規定する重要な「中期目標」について、関係者等の要望を踏まえ改善を求めることは当然であり、与党会派の攻撃こそ全く道理がないものである。
 「権利放棄の件」は、本年2月議会に「株式会社けいはんな」の経営再建計画の一環として、「けいはんな」からラボ棟などの寄付行為を受け、これを10年間無償で貸し付けるという議案が提出されたことに加え、本府の有している440万円の債権放棄についての議案である。これは「けいはんな」が大阪地裁に提出している民事再生計画案で、債権を放棄する議会の同意が7月2日までに必要なため、「異例の開会日可決」となった。本来2月議会の「再生計画のフレーム」のなかで示されるべきであり、議会に対し説明を行わず放置し、さらなる府民負担の押し付けになるもので反対した。

2、本議会では、深刻となる府民生活の実態、府民要求にもとづく運動と結び、積極的に論戦するとともに、それにより重要な変化を勝ち取るものも生まれた。
 原油価格や穀物価格の高騰等により、あらゆるものの値上げが起こり、府民生活に深刻な影響を与えている。わが党議員団は、畜産・酪農・養鶏・漁業分野の緊急調査や、中小製造業、小売業、福祉・教育分野などの影響の聞き取り調査を行ってきた。さらに7月1日こ、知事と教育長(給食費高騰対策)に対し、緊急の申し入れを行い、本会議質問や各常任委員会でも連携して取り上げ、緊急対策をもとめた。
 こうした中、障害者送迎サービス原油高緊急対策として1500万円の予算が盛り込まれ、また「原油価格高騰に関する対策を求める意見書」が全会一致で可決した。さらに、すでに実施されてきた「原油価格高騰対策等特別支援制度」の周知により、1100件(6月末現在)を超える利用が広がっていることも明らかとなった。わが党議員団は「生活危機突破・原油価格高騰緊急対策プロジェクトチーム」(原田委員長、迫事務局長)をすでに立ち上げ、実態把握と対策を求め、引き続き奮闘するものである。

 自治体の制度融資を活用していた中小業者が、返済不能になった際に、経営再建ができるよう制度融資の求償権放棄のための「制度融資損失補償条例」案を提案した。「条例案も含め、様々な角度から研究する」と答弁があり、今後その実現のために力をつくすものである。

 中国四川省や岩手・宮城内陸地震の発生により、一刻も早い地震対策が求められている。今年度から緩和された耐震改修助成制度をより実効あるものとするため、すべての市町村で制度の実施を求めるとともに、低所得者や高齢者等への特別措置の実施、京都市で実施された部分・簡易改修を府としても助成制度の対象とすること、「京都の木の家づくり支援事業」の「緑の公務店」登録と同様に、地元建築業者への仕事確保につなげること、を求めた。

 後期高齢者医療制度について、京都社会保障推進協議会から提出された「後期高齢者医療制度の廃止に関する請願」が府民生活・厚生常任委員会で共産党2、民主党3の賛成多数で採択された。府議会与党の民主党が賛成して採択されたことは、これまでになかったことで、府民の強い世論と運動、国会の闘いが響きあったものである。
 ところが、自民党や公明党は、常任委員会で採択された請願を不採択とするために、本会議で採決を求めた。わが党議員団は最終本会議で、請願採択の討論を行ったが、自民党も公明党も「なぜ請願に反対するのか」について一言も討論せず、数の力で切実な願いを不採択としたことは、府民の願いに背を向ける全く道理ない態度である。8月下旬に開会が予定されている臨時国会で廃止法案を成立させるため、廃止を願うすべてのみなさんと力を合わせ奮闘するものである。

 派遣労働について、派遣労働者保護法への抜本改正を政府に求めるよう求めた。山田知事は「製造現揚における日雇い派遣について、...非常に深刻な事態になっている」とし「法改正はもとより、派遣労働者の救済措置も必要」と答弁した。
 最終本会議では、「労働者派遣制度の見直しに関する意見書」を全会一致で可決した。労働者派遣法の改正を求める意見書が可決したことは初めてであり、国会論戦や国民の闘いと呼応しながら変化をつくったものである。また、「官製ワーキングプア」についても、府職員の深刻となる労働実態を取り上げ、1500人削減と非正規雇用への置き換えの「給与費プログラム」の中止と見直しを求めるとともに、消費者生活安全センターの相談員の嘱託職員の実態を告発し、消費者行政の充実の立場から緊急改善を求めた。

 京都で開催された外相会議や洞爺湖サミットで、主要な議題のーつであった地球温暖化対策についても、わが党議員団は、代表質問で、サミットにおいて中期目標の設定や京都議定書の達成に向けた努力、白然エネルギーの利用促進などエネルギー政策の転換を求めた。また、京都府において大規模事業所への排出削減義務と排出権取引制度の実現や、最大の排出源である舞鶴石炭火力発電所の2号機建設の中止と1号機の停止を求めた。
 最終本会議で、わが党提案の「温暖化抑止の推進に関する意見書案」の対案として自民・民主・公明・創生の4会派から「地球温暖化防止対策の促進に関する意見書案」が提出された。この意見書案は、「温室効果ガスは一向に減る気配がなく」などの叙述にも示されているとおり、企業の規制に反対するアメリカなどの態度を容認し、EU各国の先進的取り組み、温暖化抑止の世界の願いにも反するものであり、産業界や、大口排出企業に対する規制について、一言も触れないなど、極めて立ち後れたもので、さらに原発依存が強調されていることなどからわが党議員団は反対した。このような意見書を4会派が賛成し成立させたことは、地球温暖化対策のための世界の努力や日本の関係者の取り組みに背を向けるものである。

 妊婦健診を受診せずに出産する「とびこみ出産」が増えているもとで、安心して出産できる条件を整備することが急がれている。妊婦検診については、昨年1月、厚生労働省が「妊婦健康診査の公費負担は14回程度が望ましい。少なくても5回程度の公費負担を実施すること」とする通知を出したことにより、健診の公費負担が増えている。しかし、自治体により格差が生まれており、国や府に対し健診の公費負担を増やす等求めた。また、低所得者が、指定医療機関で安い費用でお産ができる入院助産制度について、府立与謝の海病院等すべての自治体立病院で実施されることが明らかとなった。

 目が見えない、耳が聞こえない重複障害者への社会参加を支援する「京都府盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業」について、1ヶ月20時間の制限を撤廃するとともに、介助者の手当て(1時間1500円)の引き上げなどを求めた。これには、府内の重複障害者や介助者の傍聴もあり、翌日の新聞にも報道されるなど、大きく注目された。

3、本議会には、府民要求と運動に押される形で、与党からの提案も含め、意見書案15件、決議案2件が提案された。わが党議員団は、自民・公明・創生フォーラム提案の「拉致問題の早期解決に関する意見書」案、4会派提案の「地球温暖化防止対策の促進に関する意見書」案に反対し、他の意見書案および決議案に賛成した。
 「拉致問題の早期解決に関する意見書」案は、「経済制裁解除は行わない」、「テロ支援国家指定の解除等を見直すよう」求めている。これは、現在進んでいる北朝鮮の非核化の動きにみられる、日朝平壌宣言と6カ国協議にもとづく包括的な解決の努力に逆行し、拉致問題解決を遠ざけるものであり反対した。
 「地方における消費者行政の充実に関する意見書」案は、京都弁護士会の要請によるもので、わが党議員団は、相談員の待遇改善、消費生活安全センターの機能と権限の拡充、市町村支援の充実などのため、国が積極的な財致措置を講じることが必要と指摘し、全会一致で可決した。
 4会派提案の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のとれた社会の実現に関する」決議案については賛成した。しかし、政府が述べるワークライフバランス論は、労使が協調して生産性の向上に努めながら自主的に取り組むことが基本となっており、労働者や国民の意識改革の問題に歪めるものとなっている。ワークライフバランス社会の実現のためには、労働者派遣法の抜本改正をはじめ、長時間・過密労働の規制、保育所の整備、育児休暇の取得、家庭生活と仕事が両立できる社会基盤整備などが必要であると求め、さらに本府の「官製ワーキングプア」の是正こそ必要であると指摘した。

4、少人数学級について、今年度から小学校6年生までの30人程度学級が始まり、「授業で発言する機会が増え、子どもが意欲的になっている」等の歓迎の声が出されている。一方で、中学校での実施が見送られたことに対し、「全ての小・中学校、義務教育9年間を通じ実施できるよう早急に改善すべき」と求めた。ところが教育長は、「小学校での効果を検証した上で、改めて検討する」と答弁した。これは、昨年12月の「まなび教育推進プラン」最終報告で、「義務教育9年間を通じ、学級規模は30人程度をベースとすることが望まれる」と指摘したことと矛盾するものである。これらの根本には、京都府の財政措置がされないという問題もある。わが党議員団は、この改善を求めるとともに、教育条件の整備に力をつくすものである。

5、6月20日、国土交通省近畿地方整備局が、諮問委員会である「淀川水系流域委員会」の意見を無視し、4ダム推進を盛り込んだ「淀川水系河川整備計画案」を公表し、関係知事の意見を求めることとした。
 これに対し、わが党議員団は、6月24日の開会日、「抗議声明」を発表するとともに、知事に対し、京都府の負担額を明らかにし、議会や府民の意見を聞き、知事意見をあげること等を申し入れた。また、本会議質問でも取り上げ、知事は「議会にも報告し、市町村、学識経験者、府民の意見を聞いた上で、知事意見を上げる」と答弁した。
 また、大戸川ダム、川上ダム、天瀬ダム再開発の建設費が1920億円から2730億円に膨れ上がり、本府の負担も膨れ、水利権についても、治水面でもダムの必要性はないこと等、整備計画案の問題点を指摘した。引き続き、関係住民と連携し、計画案の撤回を求め奮闘するものである。
 
6、本会議質問で、自民党坪内議員から、乙訓府営水道の問題について、大山崎町長が基本水量の見直しを求め提訴したことに対し「特定の政党の政治遅動に利用する卑劣な行為」と非難し、知事も同調するような答弁をした。
 これは事実関係をゆがめ、道理のない反共攻撃で住民の願いを押さえ込もうとするものである。
 第一に、住民が使う実際の水量と基本水量が、大きく乖離しており、その最大の原因は、京都府が当初の広域水道と別に工業用水を建設する計画を一体化し、基本水量に工業用水分を含めたことである。ところが企業が、府営水道を計画通りに使わないもとで、京都府が、企業分も含め「協定に基づく基本水量」として住民に負担させてきたため、水道料金は大幅に値上がり、水道会計は莫大な赤字を抱えることとなつたのである。大山崎町議会では、前町長の時代にも、工業用水分の返上を求める要望書が全会一致で京都府に提出されており、今回の大山崎町長による申請も、工業用水分を除く水量への変更を求めるもので、大山崎町民の声を代表する当然のものである。
 こうした経過を無視し、「乙訓2市1町の要望を受けて建設したのだから、過大であつても負担すべき」とする京都府の主張は全く道理がない。

 総選挙ぶくみの激動の情勢のもと、日本共産党京都府会議員団は、府民生活の危機を突破し、自民党政治の転換と、そのためにも総選挙での躍進勝利のために全力をつくすとともに、知事選挙勝利に向けた運動と論戦の牽引車を自覚して力をつくすものである。

以上

声明

常任・特別委員会の正副委員長から、わが党を排除した5月臨時議会での与党
会派の暴挙に抗議する

2008年5月30日
日本共産党京都府会議員団
団長 新井 進

 5月21日から開かれていた5月臨時議会が5月23日に閉会した。
 本議会で、常任委員会。特別委員会の構成が決まった。わが党議員団は、開会前に議長と各会派に対し、「常任・特別委員会の正副委員長は、各会派の議員数に応じた配分を行うようにすること」など、議会構成の正常化を求める申し入れを行った。しかし、今回も与党会派は、七つの常任委員会と四つの特別委員会の委員長11、副委員長22、合計33のポストをすべて独占し、わが党を排除する暴挙を行った。
 そもそも、府民の声が反映する「開かれた議会」のため、公平・公正な役員選出は不可欠の前提である。にもかかわらず、24名の自民党議員団(議席占有率40%)が過半数の17ポスト、15名の民主党議員団(議席占有率25%)が10ポスト、6名の公明党議員団(議席占有率10%)が4ポスト、4名の京都創生フォーラム(議席占有率6.7%)が2ポストと、正副委員長を与党会派で独占し、11議席のわが党議員団(議席占有率18. 3 %)を排除した暴挙は、選挙で示された民意を無視したものであり、議会の民主的運営に背を向けるものである。
 わが党議員団は、この暴挙に強く抗議するとともに、府民の声が反映する「開かれ
た議会」とするため、引き続き全力をつくすものである。

以上

2008年6月定例会を終えて[PDFファイル 297KB]