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議会を終えて(談話)

2008年9月定例会を終えて

2008/10/17 更新
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2008年10月17日
日本共産党京都府会議員団
団長 新井 進

 9月24日から開かれていた9月定例議会が10月10日に閉会した。
 今議会は、安倍首相につづく福田首相の政権投げ出し、そして麻生内閣の誕生と解散・総選挙をはらんだ激動する情勢の中で開かれた。わが党議員団は、自民党政治のアメリカいいなり、大企業中心の政治の大もとをただす論戦を行うとともに、府民の切実な要求実現のために積極的に奮闘した。

1、今議会には、一般会計補正予算をはじめ、18議案が提案された。わが党議員団は、第6号議案「建築基準法施行条例一部改正の件」に反対し、他の17件に賛成した。
 1号議案「一般会計補正予算」には、原油価格等高騰緊急対策として、わが党が求めてきた障害者施設への冷暖房費など、支援策が盛り込まれた。一方、わが党の代表質問に対し、知事は「府民生活を守るために全力をあげたい」と述べたにもかかわらず、多くの関係者が求めている直接補填策等がもりこまれず、改善を強く求めた。また、京丹後市の国営開発農地に参入する農業生産法人「かね正アグリシステム」への農業経営構造対策事業費2億5842万円は、販売業者が直接集出荷事業を行う営利活動に二ヵ年で3億円も助成するもので、丹後地域の農業振興策とはいえず反対した。
 第6号議案「建築基準法施行条例一部改正の件」は、「民間とのバランス」を理由に建築確認申請手数料を3~4倍に引き上げるもので、不況で苦しむ建築業者にさらなる負担を強いるもので反対した。

2、本議会の特徴は、原油・穀物高騰や汚染米問題など府民生活に重大な問題が発生する中、わが党議員団が追求と解明の先頭にたったことであった。
 9月11日に、汚染米が高齢者施設や保育園などに給食食材として納入され、すでにほとんどが加工・消費されていたことから、議員団として翌9月12日に「『汚染米』の流通事件の全容解明と安全確保、再発防止についての緊急申し入れ」を行い、その後相談窓口が開設された。また、議会開会日の9月24日には、「事故米の不正規流通事件に伴う食の安心・安全の確保に関する意見書」が可決するなど、この問題でも解決のために全力を挙げてきた。
 また、原油高・生活物資高騰等により、府民生活に深刻な影響が出ているもとで、府内一円を訪問し、その実態の把握とそれにもとづく申し入れ、緊急懇談会の開催などを行うとともに、本議会では、各常任委員会で、生活危機突破のための緊急対策の具体化を求め全力を挙げた。
 こうした中、知事は原油高・生活物資の高騰等への緊急対策について、「国会において速やかに議論が行われ、効果的な経済対策が実行されることを求めていきたい」と答弁。また、後期高齢者医療制度についても、「見直しの中には経過措置、暫定措置があるなど、将来の不安を必ずしも払拭できていない点もある。」と答え、障害者自立支援法の応益負担撤廃の質問に対し、これまでの見直しでも「なお不十分な点がある」として、「地域の実情に見合い、何よりも僅かな年金しかもらえないような方々が、必要なサービスを受けられない、こういった事態が絶対に起きないように改善を求めてまいりたい」と答弁するなど、府民の声と運動に一定応えざるを得なくなった。
 また、今議会では、障害者自立支援法や後期高齢者医療制度導入の大もとにある社会保障費2200億円削減方針の見直しを求める意見書が全会一致で可決した。これは、京都府医師会から提出された「2200億円削減撤廃を求める請願」が、全会一致で採択されたことをふまえて可決されたものである。あまりに深刻な地域医療崩壊という事態に対し、与党も声を上げざるを得なくなっていることを示したもので、京都市議会で「後期高齢者医療制度廃止を求める意見書」の採択に続き、重要な変化である。

3、わが党議員団は、府民的焦点となっている澗題を取り上げ、一定の改善の方向も示された。
 深刻となる雇用問題について、代表質問で府職員の具体例をあげた追及に、知事は「非常勤職員の勤務の条件の改善に向けて引き続き検討を進めていきたい。」と述べ、教育長も「講師等の給与や休暇などの勤務条件については、引き続きよく検討してまいりたい」と答弁した。また、社会保険京都病院の存続について「京都市北部地域の中核病院として長年にわたり救急医療をはじめ、地域医療の推進に多大な貢献をしてきたことを踏まえ、引き続き国等に対し存続を要請していきたい」と答えた。これらは今後の闘いにつながるものである。
 また、10月10日に、京都府労働委員会第41期委員の任命が発表されたが、労働者委員に京都総評推薦委員が任命されることとなった。これは1989年以来、連続して「京都総評排除、連合独占」というきわめて不公正、不公平な委員の任命が続けられてきた。この間、京都総評など労働者、労働組合が裁判で争うなど、その是正を求め、わが党議員団も議会で繰り返し求めてきた。今回、こうした不公正が是正されたことは、非常に重要な前進である。

4、今議会では、各会派から関西広域連合について質問か行われた。わが党は代表質間で、道州制と、その第一歩である関西広域連合について全面的に批判した。そもそも、道州制の導入の狙いは、財界の求めに応じ、空港や港湾、道路などのインフラ整備をすすめ、多国籍企業に選ばれる地域づくりを道州単位で進めようとするものである。さらに、道州制の導入により、国の役割を外交・防衛などに限定し、福祉や教育をけじめとした国の責任を放棄するものである。これらに住民自治や住民の暮らしの視点はまったくなく、地方自治とは無縁の議論である。ところが、山田知事が、関西広域連合に、議会でも府民的にもなんら論議されないまま、突き進んでいる態度を改めるよう厳しく求め、また自民党議員からも「拙速だ」「連携でできる」など批判的意見が相次いだ。山田知事は、ドクターヘリや広域防災などの例をあげ、「広域連合の効果を検証する必要がある」と推進の姿勢を示したが、これらは府県間連携で取り組めるものである。
 また「京都府・市町村税務共同化」については、市町村の本来の役割である行政の総合性をないがしろにするものであり、党議員団は実施に反対してきたが。市町村からの異論の中、与党議員からも拙速な実施を疑問視する声が出され、当面の実施を先送りせざるをえなくなった。
 「地方分権改革」の名のもと、府が強引な権限委譲を進める「京都府・市町村権限移譲推進会議」についても、府が責任を放棄し、市町村に過大な負担をおしつける拙速なトップダウウンの進め方に対し、市町村からの批判的意見も多く、与党議員からも拙速にならないよう求める意見が出された。この問題でも、京都府が市町村自治を守り、市町村支援など本来の役割を果たすことが求められている。

5、知事が国土交通省から意見を求められている淀川水系河川整備計画について、今議会に府検討委員会の中間報告が行われた。
 この計画は、河川法にもとづき今後20年から30年間にわたる淀川流域の治水・利水・環境整備の基本とするもので、中でも4ダム建設の是非を含め全国の注目を集め、府域では、18自治体に影響を及ぼす重要なものである。
 このため、住民の意見の反映を定めた河川法にもとづく「流域委員会」が検討してきたにもかかわらず、国土交通省は流域委員会の最終意見も住民の声も無視し「ダムありき」の計画案決定を強行した。その後行われた「流域委員会」では「4ダム建設は不要」「利水面からも天ヶ瀬ダム再開発は不要」とする見解を明らかにした。こうした中、京都府は独白に「技術検討会」を立ち上げ「中間報告」を示したが、「技術検討会」自身が「すべての問題を独自に取り上げるのは時間的にも能力的にも不可能」としているとおり、限定的なものである。わが党はこれまでから、計画の基本となる淀川の計画高水流量を17500●(立方メートル)と過大に設定していること、「天ヶ瀬ダム再開発」の断層帯による危険性や1500トン放流、宇治川、桂川の堤防の危険性、宇治塔の島、嵐山の自然と景観破壊の危険性、府営水道の過大な水需要予測など、問題点を指摘してきたが、知事が意見を出すにあたり、こうした未解明の問題が山積している中、拙速な結論を出さず、府民的意見を汲みつくし、全面的な検討を行うよう強く求めた。

6、本議会に「農林水産試験研究機関のおり方について(案)」として、現在の7機関9箇所に配置されている試験研究機関を再編し、新たに「農林水産技術センター(仮称)」を設置することが報告された。審議の中では、与党議員も含め、林業試験場や丹後農業研究所の水稲部門の再編について、地域の農林業振興を困難にするとした異論が出された。
 また、「職業能力開発総合センター(仮称)の開設(中間まとめ)」が報告された。これは、現在4校ある高等技術専門校を再編一統廃合し新たに職業能力開発センター(仮称)を設置するもので、福知山高等技術専門校の土木施工管理科と家具工芸科の廃止や、授業料の有料化が検討されており、今後の運動と論戦が大いに必要である。
 策定中の「農業ビジネスアクションプラン」についても報告されたが、わが党議員団は、農業への企業参入を積極的に進めるものであり、安易に行うべきでないことを厳しく指摘した。他会派の議員からも、企業参入について否定的な意見か出された。
 また、教育委員会は、「主幹教諭」「指導教諭」を導入することを明らかにした。これは既に導入した東京都の例でも明らかのとおり、学校現場に新たな管理職を配置し、管理統制を進めるものである。わが党議員団は、教育現場の管理統制を強めるための主幹教諭などの導入ではなく、子どもと向き合う教員の確保を強く求めた。

7、わが党提案の「原油価格高騰への抜本対策を求める意見書案」「食の安全と食料自給率に関する意見書案」「生活保護の老齢加算、母子加算の復活を求める意見書案」「福祉・教育・暮らし充実のため、地方財源の保障を求める意見書案」「新テロ特措法の延長に反対する意見書案」の4意見書案をはじめ、計14意見書案について、4会派提案の「地方財政の充実・強化を求める意見書案」に反対し、他の意見書案には賛成した。
 4会派提案の「地方財攻の充実・強化を求める意見書案」には。「自治体間の財政力格差の是正」として、「税体系の抜本的な改革」を求めており、これは地方消費税の拡充により消費税増税に道を開くものであると、厳しく指摘し反対した。
 本議会に付託された「原油高騰被害に対する中小企業等への抜本的支援策を求めることに関する請願」審査の際、民主党議員が「投機マネーの規制はできない」などと発言したことは、中小企業等深刻な影響をうけている府民から、多数出されている投機マネーへの規制強化を求める声に背を向けるものである。また、「新テロ特措法の延長に反対することに関する請願」も「延長に反対」とする民主党がこの採択に反対したことは、国会での「徹底審議なしの議決合意」とあわせ、府民の願いに背を向けるものである。

8、今議会中に「議会の活性化に向けた検討分科会」で毎月常任委員会を開催することが合意され、議会運営委員会に提案された。わが党は府民に開かれ、より活発な審議ができるよう、これまで求めてきたか、引き続き、審議時間の延長などを求めるものである。
 また、これまで、各委員会に付託された請願は、閉会本会議では各常任委員会委員長からの審査結果報告・承認のみであったものが、今議会から、委員会で賛否が分かれたものについては、改めて閉会本会議で審議することとなった。
 今議会で決算特別委員会(定数29人)が設置された。本来、議会のルールに基づき、議席数に応じた比例配分をすれば、わが党が副委員長に就くべきである。ところが、今回は、6議席のというわが党より議席の少ない公明党が委員長、さらに4議席の創生フォーラムが副委員長となるなど、オール与党によるわが党排除が継続されたことは、議会制民主主義を踏みにじるものである。
 現在開かれている臨時国会では、民主党が新テロ特措法延長案の徹底審議を避け、採決を自民党と合意するなど、総選挙のために「解散を請い願う」姿勢に、国民的な批判が広がっている。
 株価の世界的乱高下など、カジノ資本主義の破綻が明白になり、そのことが府民生活に大きな影響を与えているだけに、わが党議員団は、その実態を把握し、府民生活の危機を突破するために全力を挙げるとともに、きたるべき総選挙では、日本共産党の躍進で。アメリカいいなり、大企業中心のゆがんだ政治をただすため力を尽くすものである。

以上

2008年9月定例会を終えて[PDFファイル 224KB]