府政報告 1938 2008年12月定例議会を終えて
日本共産党京都府会議員団 発行2008.11.27
もくじ
12月定例会を終えて...1
かみね史朗 意見書・決議案討論...4
山内よし子 議案討論...6
意見書・決議案...7
意見書・決議案・請願の採決結果一覧...16
2008年12月定例議会を終えて
2008年12月26日
日本共産党京都府会議員団
団長 新井 進
決算特別委員会につづき、12月1日から開かれていた12月定例議会が17日閉会した。
今府議会は、アメリカ発の金融危機による急激な景気後退の中、「派遣切り」など大企業の違法な大量解雇や、中小企業への一方的な仕事の打ち切、りなど「下請け切り」が噴出し、府民の雇用・営業・暮らしが深刻な事態に直面する中で行なわれた。わが党議員団は、雇用と営業、暮らしといのちを守る対策を講じるよう、全力をあげて奮闘した。
1、わが党議員団は、「金融危機」による実体経済への影響が現れ始めた10月以降、市町村議員団・国政事務所と連携し、延べ2000件にのぼる団体や企業との調査・懇談を重ねてきた。そこで出された急激に厳しくなる実態を議会で告発し、改善策を提案、実施を求めた。
また、12月4日には、京丹後市から緊急要請団が上京し、京都府と交渉し、さらに府民総行動等が取り組まれた。これら府民的な運動と結び攻勢的な議会論戦を行なうとともに闘いを広げるために奮闘した。
深刻な府民生活であるにもかかわらず、議会では、わが党以外から本格的な対策を求める声があがらなかった。しかし、最終本会議では、わが党の議会での論戦や運動により、派遣労働の継続を含む、京都府に対する「府民生活を守るための緊急経済・雇用対策を求める決議」が全会一致で可決することができた。この決議は、京都府に対し「総力を上げて中小企業等に対する金融・経営支援の充実、非正規労働者等の雇用の維持・確保」をすることを求めるものとなり、今後の緊急対策や当初予算で対策を行なわせる上で、一つの足場を築くものである。このように、わが党の論戦がリードしたことは明らかである。
こうした中、12月11日には、わが党議員団が求めてきた知事を本部長とした「京都府緊急経済・雇用対策本部」が設置されるなど、具体的対策がはじめられた。
2、雇用問題では、「非正規労働者緊急就業相談コーナー」の設置、「緊急経営相談ホットライン」の休日開設、失業者のための府営住宅81戸確保、述べ2500人の臨時職員の雇用、相談窓口の12月30日までの開設など、急激に悪化する事態と運動・論戦に押され、対策を取り出した。
一方、派遣切りへの対応については、今後の課題も浮き彫りとなった。わが党議員団は「企業誘致し立地補助金を出してきた企業について、雇用実態を把握するとともに、雇い止め等ないよう厳しく監督する」ことを求め、12月5日に京都府が立地補助金を出している「株式会社ジヤトコ」に申し入れた。その場で「12月20日をもって107人の派遣契約を解消する」と表明があり、契約期間中の者も含まれていることも明らかとなった。このため12月8日、京都府知事に対し「ジヤトコ八木工場における派遣労働者解雇の撤回と社会的責任を果たさせることを求める緊急申し入れ」を行ない、さらに12月11日には京都労働局にも申し入れた。こうした中、「非正規労働者緊急就業相談コーナー」設置のビラがジヤトコ派遣社員に配布され、また京都労働局長、京都府知事、京都市長連名による派遣会社に対する雇用の継続等を求める要請文が送付されたものの、ジヤトコの派遣切りについて府は要請にとどまった。今後、派遣先の雇用責任を果たさせることや、法改正も含めた闘いが必要であることも浮き彫りとなった。
中小企業支援については、今議会で金利0.1%引き下げ、返済期間10年とした「中小企業資金対策融資」の創設や、府内中小企業13万業者の過半81,000企業・業者を訪問する「緊急サポート事業」など第2次緊急経済対策が提案された。さらに「中小企業資金対策融資」の5号認定対象業種の緩和が実施され、5号認定以外の業種も活用できる「原油・原材料高騰等対策融資」の来年度への延長の方向も示された。また要望の強かった中小企業緊急雇用安定助成金の運用改善も行なわれた。
深刻となる土木建設業への対策として、地域密着型の緊急基盤整備事業、河川増水時の避難路等の整備や道路舗装等の地元密着型の小規模の修繕事業なども具体化された。わが党議員団は、本会議で京都府発注工事における下請保護等について求めたところ、知事は「元請、下請における契約書締結の普及方策や、そしてそれを発注者としてどういうふうに確認をしていくか、その監視体制について至急検討を行ない、その中で、今後、事業の適切な執行、効率的な税の執行、雇用面の確実な確保が守られるように対応していきたい」と答えた。これは公契約条例の必要性を浮き彫りにしたものである。
わが党議員団は最終本会議の議案討論で、年末・年始に向かう緊急対策を「雇用を守る」「中小零細業者の営業を守る」「暮らしを守る」の三つの角度から、さらなる具体策を提案し実施を求めた。
3、子どもへの貧困の影響が懸念される中、代表質問、本会議質問で、子どもの無保険問題、高校生への就学援助、高等学校通学費補助の拡充、大学生への独自無利子奨学金制度の創設、母子家庭支援策などを求めた。そうした中、高等学校通学費補助制度について「経済状況が厳しい状況があるので、子どもたち、生徒たちの家庭がどういう状況にあるのかということも含めてみながら、どういう工夫ができるのか、検討していきたい」と表明があり、今後の拡充の方向が示された。今後、制度の拡充とともに、子どもの貧困問題について、取り組みを強化するものである。
一方、京丹後市の中学校卒業生720名に対し、府立高校の来年度募集定員610名にとどまり、希望しても地元の高校に行けない上に、9月以降の急激な経済状況悪化の中で、遠くの学校や私立高校に経済的理由で通えない子どもが予想されている。京丹後市では、募集定員の改善を求める集いが開かれるなど取り組まれており、わが党議員団も是正を求めたが、引き続き力を尽くすものである。
京都府が示した「農林水産試験研究機関のあり方」(案)で、丹後農業研究所にある水稲部門を無くす計画が示されたものの、京丹後市議会の意見書をはじめ。多くの批判と要望をうけ、丹後農業研究所に水稲部門を残す方向が示された。
また、原爆被爆者の援護施策について原爆被爆者団体等から聞き取りを行ない、本会議で質問したが、今後の論戦を進める上で重要である。
さらに、身体障害者などに交付される駐車禁止除外指定車標章の交付基準について、制度から排除された下肢不自由「3級の2と4級」の方を京都府警が緩和する方向で見直しの検討に入ることが表明された。
4、「淀川水系河川整備計画」について、わが党議員団は、4知事が「大戸川ダム建設は整備計画に入れないこと」を求めたことは当然であるとし、さらに天ヶ瀬ダム再開発や川上ダムについても中止が当然であると主張した。淀川流域委員会も、総合的な流域対策をすすめる立場から、近畿整備局の「淀川水系河川整備計画案」は、時代遅れの「ダム建設ありき」であるとしており、「整備計画案」を撤回し、情報公開の徹底、住民参加で、ダムにたよらない総合治水対策による「河川整備計画」の再検討を国に求めるよう要求した。
一方、自民党議員からは本会議質問で、従来のダムに依存した治水対策の立場から、知事を追及する質問がされた。
5、今議会には一般会計補正予算や硫酸ピッチを規制するための緊急設置条例の期限延長など12議案、および人事案件1件、知事・副知事の期末手当の減額条例1件の計14件が提案され、「職員の給与等に関する条例及び職員の特殊勤務手当てに関する条例一部改正の件」に反対し他の13件は賛成した。
「職員の給与等に関する条例及び職員の特殊勤務手当てに関する条例一部改正の件」は、教育現場に「副校長」「主幹」「指導教諭」などの新たな職を設置し、トップダウンの学校運営を進め、さらに給与面で優遇措置を取る一方、一般教員はこれまでの手当を削減するもので、反対した、なお、国庫補助金の不適正経理及び裏金問題により、府民の信頼を揺るがす事態となった責任を明らかとするため、京都府知事および副知事の期末手当をそれぞれ10%、5%減額するための条例が提案され、賛成した。
また、関西財界が主導し、山田知事が強引に推し進めようとしている関西広域連合について、総務常任委員会で、わが党を含む多くの委員から「拙速ではないのか」「道州制は問題」等の表明がされた。また、この問題をより議会として慎重審議するため「関西広域連合(仮称)に関する特別委員会」が設置されることとなった。
6、決算特別委員会に付託された5議案は、本来、今定例会で採決に付すべきであったが、決算特別委員会審査の継続が決まった。
これは、会計検査院が平成19年度の京都府にたいする農林水産部、建設交通部にかかる国庫補助事業費の会計処理が不適切であると指摘したこと、および本府の裏金問題が明らかとなったためである。
わが党議員団は、決算特別委員会開会中に、知事に対し全容解明と再発防止等を申し入れた。とりわけ、当然必要とされる「旅費」や「需用費」など他の府の事業にも国庫補助金が「活用」されてきたとおり、京都府が現場に必要な需用費などの経費までも削減し続けてきた財政運営や府政運営のあり方にも問題があるとの立場から追及した。
知事は、決算特別委員会や本会議、全員協議会等で繰り返し陳謝することとなり、決算特別委員会で、異例の集中審査が開かれるなどした。
集中審査ではわが党の質問に会計管理者が「19年度決算にも齟齬がある」と認めたため、わが党議員団は「こうした決算議案は認定できない」と指摘し、「議会の意思を示す一番重い方法は、今議会で決算を不認定とすること」と主張したが、わが党以外の会派は「決算特別委員会の延長」を求めた。これは、本来不認定にせざるを得ない内容が明らかになったにもかかわちず、不認定の態度が取れないために、延長せざるを得なくなったものである。これは30数年ぶりの異例なもので、極めて重いものである。
7、今議会には、「消費税の大増税に反対することに関する請頴」をはじめ、103件の請願が付託された。
43,744人にのぼる「教育格差をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求めることに関する請願」について、「京都式少人数教育全体を推進すべき」(自民党)などと述べわが党以外の全ての議員が反対し否決した。また、13,458人にのぼる「障害のある子どもたちの豊かな放課後と教育の充実を求めることに関する請願」について「障害児学童は身近な市町村が実施すべき」(創生フォーラム)などとしてわが党以外の全ての議員が反対するなど、道理ない態度をとった。
しかし、請願内容を踏まえた「障害のある子どもたちの教育や生活の充実を求める意見書」が全会一致で可決したことは重要である。
「消費税の大増税に反対することに関する請願」は、これまでの枠を超えた各種団体から提出された。しかし、わが党以外が反対し否決したことは重大である。
わが党以外の4会派提案の「高速増殖炉『もんじゅ』の安全対策に関する意見書」は、運転再開を前提としたもので、わが党議員団は当然反対し、「高速増殖炉『もんじゅ』の運転再開中止を求める意見書」を提案した。
年末も押し詰まり、府民生活は正念場を迎えている。わが党議員団は、雇用・営業・暮らし・いのちを守る立場から、年末年始、一人の犠牲者も生まないため、府にいっそうの対策を求めるとともに、議員団としても年末年始の特別相談体制もとって対応するものである。
来年は総選挙の年。日本共産党の躍進で自公政治の転換を勝ち取るとともに、1年3ヶ月後に迫った京都府知事選挙の勝利にむけいっそう全力をあげるものである。
以上
府政報告 1938 2008年12月定例議会を終えて[PDFファイル 270KB]