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議会を終えて(談話)

2009年2月定例議会を終えて

2009/04/03 更新
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2009年4月3日
日本共産党京都府会議員団
団長 新井 進

 2月10日から開かれていた定例議会が3月24日閉会した。
 わが党議員団は、予算特別委員会が始まる2月23日に「開始にあたって」を発表したが、今、急激に悪化する経済状況の中。府民の暮らしと営業をいかに守るのかが京都府には問われており、その立場から、府民の暮らし・営業の実態を踏まえ、府民の運動と結んで府民生活危機突破の緊急対策等をもとめ、本会議や予算特別委員会の中で論戦し奮闘した。
 今議会には、来年に行なわれる京都府知事選挙を前にした山田府政の最後の本格予算である平成21年度一般会計予算をはじめ60議案および、人事案件2件が提案された。
 わが党議員団は、一般会計予算、雨水巨大貯留管「呑龍」建設を含む流域下水道事業特別会計予算、舞鶴和田埠頭建設を含む港湾事業特別会計予算、過大な水需要予測にもとづく高い水道料金を押し付けている水道事業会計予算など、議案7件に反対し、人事案件を含む他の55議案には賛成した。
 また、本来12月議会で採決すべき決算認定議案が30数年ぶりに決算特別委員会が延期、継続審議となり、2月定例会で採決されるという異例の事態となった。これは、国庫補助事業費の不適切経理と裏金問題が明らかとなったためであり、わが党議員団は、決算認定の前提が崩れたこと等から平成19年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算および、平成19年度水道事業会計決算認定には反対した。

1、昨年来の府民的運動の広がりとわが党の数次にわたる申し入れや議会論戦を通じ、今の府政のもとでも、一定の要求が施策として反映されるとともに、いっそうの拡充を求めて奮闘した。
 雇用・生活支援対策では、予算案に緊急雇用対策基金を活用した緊急雇用対策事業費35億円が盛り込まれ、「違法な派遣切りをやめさせるべき」とのわが党代表質問に、知事は「偽装、雇い止めについては、違法があれば労働局とも連携して対応していく」と答弁した。さらに、議会終了後の3月28日、わが党が求めてきた総合的な相談が、京都労働局、京都府、京都府労働委員会、京都社会保険労務士会による「年度末特別総合労働相談会」として実施された。また生活保護について、知事が「住所がなくても生活保護を受けられること等を徹底したい」と答弁するなど、国会論戦や府民的運動とあいまっだ論戦により、今後の雇用と暮らしを守る闘いの足場を築いてきた。
 中小企業等支援では、60億円の新たな「府民公募型公共事業」が提案された。これは、交通安全対策や災害防止対策など、住民要求に応えた身近な事業に限定され、地元業者の仕事おこしにつながるものである。また、下請の府内事業者利用や主要資材の府内調達などを評価する新たな総合評価入札制度の創設、学校や公共施設の耐震工事予算の2倍化、私立学校への耐震助成制度の創設なども実現した。制度融資を受ける際の納税要件について、「府税徴収猶予中のものは滞納扱いとせず、利用できる」との答弁を引き出した。
 医療・社会保障については、奨学金枠の3名増を含む医師確保予算に加え、医療療養病床確保策がはじめて盛り込まれた。また妊婦健診がすべての市町村で14回無料実施の予算も提案された。
 子どもの貧困対策については、京丹後市の府立高校定員が中学卒業生より110人少ないため、保護者や教職員組合等が、「これでいいのか高校入試!丹後の高校入試問題を考える」つどいの開催や、京都府教育委員会、丹後振興局、京丹後市および教育委員会への申し入れなどを行なう中、わが党代表質問に対し教育長が「急激に悪化する丹後の経済状況を踏まえ、定数以上に合格させることも含め、柔軟な対応を行なう」と答弁した。本来は定数そのものの大幅な改善が必要ではあるが、丹後通学圏全体で定数を16名も超える合格者を生み出したことは、大きな成果である。さらに、これまで繰り返し求めてきた通学費補助の拡充、保護者のリストラや企業倒産等により家計急変で就学困難になった高校生が、すでに授業料を払っている場合に臨時・緊急の奨学金を給付する高等学校緊急就学支援事業も実施されることとなった。
 これらは、府市民総行動や京建労による3日間470人にのぼる府庁前座り込み行動、派遣切引こあった労働者自身による訴え、ジヤトコの派遣労働者による京都労働局への直接雇用の申し立て、学費ゼロネットの学生の各会派への申し入れやわが党議員団との懇談など、府民の運動とわが党の議会論戦がしっかり結びついて切り開いてきたものであり、構造改革路線の立場にたつ山田知事であっても、府民要求の前に、一定応えざるをえなくなっていることを示すものである。

2、平成21年度一般会計予算については、府民要求に基づく一定の改善があるものの、相変わらずムダな公共事業を進めるなど、深刻な府民の暮らしと営業の実態に真に応えるものとなっておらず、また、山田知事が推進してきた「地方分権」の名による住民や自治体へのしわ寄せをいっそう進める施策が盛り込まれており反対した。
 その理由は第1に、雇用対策について、抜本的な対策への姿勢が極めて不十分なことである。
 年度末にむけていっそう深刻となる派遣切りなどの事態に対し、わが党議員団の調査にもとづき、内部留保を取り崩せば雇用を維持できることを示し、知事として補助金を出している企業に、実態調査と雇用維持を求めるよう迫ったが、「雇用維持へ働きかけを強めたい」とする一般論にとどまった。また、3年を超えて派遣を受け入れている企業が直接雇用の申し出をしていなかった事実を示し対応を求めたが「労働局が対応すべきもの」と述べるにとどまり、一時避難所設置についても「現状を踏まえて対応」と述べたものの、京都市内の中央保護所が満杯であることや、派遣切りにあった労働者の実態も把握しないままとなっており、明日の生活もままならない府民に心をよせない知事の冷たい姿勢が浮き彫りとなった。
 第2は、いっそう深刻となる府内中小業者への必要な支援がされていないことである。
 知事は「京都を温める」と述べながら、商工会議所・商工会への補助金約4000万円、中小企業団体中央会への補助金約1000万円を削減、さらに、中小企業技術センターで1名、織物・機械金属振興センターで4名もの人員削減など、業者を支援する現場の予算と職員を削減した。住宅改修助成制度についても、5億円の予算で100億の事業効果があることや、府内市町村の例を示し実現を迫ったが、19年度実績が2件しかない「低利融資制度により対応する」と、従来の立場を変えないままであった。
 第3に、教育費の負担軽減を求める府民の声に応えていないことである。
 私立高校の授業料滞納者が本府内でも500人を超え、また議会にも府内の大学生が、高学費の引き下げを求め、要請に来た。経済的理由で入学をあきらめたり、中途退学者を生まないための万全の対策が必要である。
 第4に、地方自治、住民自治破壊を進める施策が盛り込まれていることである。
 市町村自治の根幹をゆるがし、徴税強化を目的にした税務の共同化、究極の「構造改革」といわれる道州制への一歩である関西広域連合、国の責任と財政負担を免罪する国保の都道府県一元化検討のための予算があいついで措置されるなど、今日、破綻が明らかになっている「地方分権」の名による「構造改革」を京都から進めようとするものである。また、職員を1500人削減する給与費プログラムが行き詰まっているにもかかわらず、府民生活を支える正規職員を今後もいっそう削減し続け、非常勤や嘱託職員に置きかえるなど、国の地方交付税削減、職員数削減の方針を忠実に実行する姿勢も浮き彫りとなった。
 第5に、「財政が大変」といいながら、同和奨学金償還対策事業4億円、市内高速道路出資金3億円、畑川ダム建設費2億5千万円に加え債務負担行為35億円など、不要不急、無駄な事業が盛り込まれていることである。
 知事総括質疑では、今日の深刻な事態を招いた輸出依存型日本経済と、貧困・格差を拡大した構造改革路線の転換でこそ、「京都を温める」ことができると指摘したが、知事はそれらに背を向けた。

3、今議会では、府民の運動の高まりの中で、与党会派からも、山田府政に対する不満や批判が噴出し、構造改革路線の推進による矛盾がいっそう明らかとなった。
 自民党議員は、京都市に編入合併した京北町の例をあげ、「市町村合併で住民自治が後退している。どう総括しているのか」と発言し、また、「12の振興局が4つに統合されて、府民に不便になっている。」と述べた。
 さらに、知事がトップダウンで府政運営を進めることに対し、自民党議員は、税務共同化について「数字ばかりが先行している」とのべ。国保一元化の提案に対し、民主党議員は「議会への報告もなしにすすめることはいかがか」との苦言を述べざるを得なくなっている。

4、今議会には、「高等技術専門校条例全部改正」が提案された。これは、失業者等への職業訓練の役割が非常に大きくなっているにもかかわらず、これまで無料だった授業料を有料化するもので、景気回復まで、値上げの一部凍結が盛り込まれているものの、本来無料であるべきであり、反対した。
 「与謝の海病院の使用料、手数料等に関する条例一部改正」は、府北部地域の中核病院として地域医療を守る重要な役割を果たしている与謝の海病院に、急性期を過ぎた患者が、他の医療機関に転院することで、医療費を抑えることができる診断群分類包括評価制度を導入するものである。高齢化が進み、医療資源が乏しい中で、この制度を導入することは、患者や他医療機関、介護保険施設等に負担をかける可能性があり、反対した。
 「動物の飼育管理と愛護に関する条例一部改正」は、これまで無料であった犬猫の引き取りを有料化するもので、反対した。今、動物愛護にとって必要なことは、やむなく飼育できなくなったペットの引取り施設や仲介する機関を充実させることである。
 なお、「京都府文化財保護条例および京都府教育委員会の事務処理の特例に関する条例一部改正」は、笠置町、和束町、南山城村の教育委員会を解散し、相楽東部広域連合に教育委員会を統合したことにともなって、関係条例を改正する手続き条例のため賛成したが、本来、教育委員会の統合は、市町村自治にとっては後退であり、京都府は小さな自治体への支援策をいっそう充実させることが求められている。

5、今議会には、学費ゼロネットによる「大学における高学費問題の改善に関する請願」をけじめ73件の請願が付託された。また、保険医協会から「細菌性髄膜炎から子どもたちを守るワクチン」の陳情、在日本大韓民国民団から「京都府の定住外国人に対する国籍条項撤廃を求める」陳情が提出され、わが党議員団は、常任委員会でその実現を求めた。
 18件の意見書のうち、わが党議員団以外の会派による「北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を求める意見書」に反対し、他の17意見書には賛成した。
 京建労から提出された「地元建設業者の健全育成および、雇用促進を求めることに関する請願」は、わが党議員以外が反対し不採択としたものの、同じ主旨の京都府建設業協会による「地域の建設産業の健全な発展および地域の活性化に関する請願」が全会一致で採択されたことは重要である。
 また、可決した「派遣労働者等非正規労働者の雇用・就業対策の強化を求める意見書」は、不十分さを含みっつも、派遣切りなどの事態に対し派遣元や派遣先に労働者派遣法遵守を求めるとともに、ハローワークの相談体制の充実・強化などを求めており、賛成した。
 「医師臨床研修制度改革に関する意見書」も全会一致で可決された。鶏床研修制度の見直しにあたり、厚生労働省は、現行7必修診療科を内科・救急にとどめ、研修期間を2年から原則1年に短縮し、さらに都道府県ごとに研修医募集定員の上限を導入しようとしている。これにより、京都府では、現在より84人も研修医数の削減となり、3月をもって府立与謝の海病院の脳外科医が不在となる中、いっそう深刻な医師不足が進み、府民の安心・安全にさらなる重大な影響をあたえることは明らかである。
 可決された「肝炎対策のための基本法の制定を求める意見書」は、患者団体から、国と地方公共団体の責任を明確にした「肝炎対策基本法」の早期制定を求める声が高まり、京都府議会にも繰り返し要望が寄せられ、わが党議員団も強く求めてきたもので全国的にも意義があるものである。

6、今議会中の3月3日、山田知事は河川法第16条の2第5項の規定に基づき、4府県知事合意と市町村等の意見に基づく「意見書」を近畿整備局に提出した。大戸川ダムについて「河川整備計画に位置づける必要はない」とする意見は当然であるが、天ヶ瀬再ダム再開発や川上ダム建設の基本的合意、水利権についての言及がないなど、問題をはらんでいる。
 わが党議員団は、整備局が自ら諮問した流域委員会の「意見書」を尊重し、「ダム建設ありき」を改め、洪水のエネルギーを分散させる流域治水、堤防補強等を最優先する河川行政への転換を求める立場から、引き続き追及するものである。

7、3月18日に開催された文教常任委員会において、自民党・渡辺邦子議員が、学校長の人事異動について、すでに情報を入手していることを示す発言をおこなった。
 これは、公表前の人事異動の情報が特定の議員のみに知らされていたものであり、本人も不適切な発言と認め、議事録削除となった。わが党議員団は、府教育委員会に真相を明らかにするよう申し入れた。

 年度末、年度初めを迎え、府民生活にいっそう厳しい事態が広がる中、わが党議員団は、府民生活防衛の闘いに全力をあげるとともに、来るべき総選挙で日本共産党の躍進・勝利のために力を尽くすものである。
 また、来春に迫った京都府知事選挙で、破綻した構造改革路線にしがみつき、「地方分権」の名で、京都府の自治体としての役割を投げ捨て、地方切り捨てと地域経済をいっそう深対化させる山田府政の転換のため、先頭にたって奮闘するものである。

以上

2009年2月定例議会を終えて[PDFファイル 277KB]