国土交通省の淀川水系河川整備計画の発表について
2009年4月6日
日本共産党京都府会議員団
国土交通省近畿地方整備局は3月31日、淀川水系河||整備計画を発表し、「大戸川ダムは整備計画に盛り込んだ上で、本体工事は当面実施しない(凍結する)こと。将来ダムエ事に着手する場合は知事意見を闘き、計画変更の手続きをとること」を明らかにした。
わが党議員団は、淀川水系河川整備計画策定にあたって、住民の意見を河川整備に生かすために国土交通省の諮問機関である流域委員会の意見を尊重すること、ムダな公共事業である4ダム(大戸川、川上、丹生、天ヶ瀬再開発)建設を中止することを強く求めてきた。ところが整備局は、流域委員会の審議を打ち切り、一方的に4ダム建設を含む整備案を関係知事に示す暴挙に出た。これに対し関係4府県の知事は「大戸川ダム建設を計画に盛り込むべきではない」どの意見をまとめ国士交通省に提出した。今回の大戸川ダム建設凍結は、住民の声と運動が反映した当然の結論であり、公共事業のあり方に大きな影響を与えるものである。
しかし。計画ではダム中止は明確にされておらず。京都府域に関しても大きな問題を含んでいる。わが党議員団は、住民の声を無視した計画強行に反対し、以下の点で整備計画を見直すことを求めるものである。
1 「大戸川ダム」をはじめ淀川水系4ダムの建設計画の中止を
整備局は「大戸川ダム建設」を整備計画に盛り込み、「中止」にはしていない。建設中止を明確にすべきである。また、批判が強い他の3ダムについても計画推進を明確にしているが、すべての建設計画を中止し、「ダム建設ありき」の整備計画から、洪水のエネルギーを分散させる流域治水、堤防補強等を最優先する河川行政へ転換すべきである。
2 天ヶ瀬ダム再開発の中止を
洪水時に、琵琶湖の水位を速やかに低下させるため、現在のダム左岸に最大直径26メートル、延長600メートルの放水路トンネルをつくり、ダム放流能力を増大させ、後期放流として宇治川に毎秒1、500トンを流下させる計画である。その結集、後期放流では通常の洪水時にないような大流量が長期間続くことになるが、脆弱な宇治川堤防の決壊の危険性、天ヶ瀬ダムの直下・周辺における活断層の存在についての疑義があり、詳細な調査と結果公表、計画の見直しが必要である。流域委員会も、宇治川の安全度を低下させないよう、最大放流量を含め計画の見直しが必要としている。ところが、京都府は、こうした問題があるにもかかわらず、天ヶ瀬ダム再開発に基本的に合意した。すでに琵琶湖総合開発事業(事業費1兆9千億円)の完了で、琵琶湖沿岸の浸水被害が激減している。わが党議員団は、下流住民の安全確保の観点から天ケ瀬ダム再開発には強く反対するものである。
また府は、天ヶ瀬ダム再開発により、府営水道の水利権を毎秒0.6トン(日量5万2千トン)確保するとしているが、府営水道の使用量は大幅に減少し、人口急増も考えられない。3浄水場の接続による水運用も始まる。過大な水需要計画の見直しや水利権の振り替えを行えば、天ヶ瀬ダム再開発による水利権は放棄できる。この点からも天ヶ瀬ダム再開発の必要はない。
3 桂川の改修について
整備局は桂川改修について、伏見区大下津地区の引提とその上流区間の河道掘削を実施するとしている。その中には、嵐山地区の整備、保津峡の開削など重大な内容が含まれている。堤防強化など桂川改修は急がれるが、保津川・嵐山地区の歴史的景観の保全や保津川下り等の問題もあり、住民意見の反映と専門家等による詳細な検討を強く求めるものである。
4 財敵負担等について
ダム建設費等は、直轄負担金・利水負担金として地方に押し付けられ、水道料金としても住民に転嫁される。整備計画は事業費負担額を示しておらず、「費用対効果」が適正かどうかの判断をすることもできないものであり、公共事業のあり方に逆行するもので認められものではない。