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議会を終えて(談話)

2009年6月定例議会を終えて

2009/07/15 更新
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2009年7月15日
日本共産党京都府会議員団
団長 新井 進

 6月24日から開かれていた6月定例議会が7月10日閉会した。
 本議会は、解散・総選挙含みの政局が流動化しているもとで、いっそう悪化する府民生活と京都経済の落
ち込みに対し、国の補正予算を踏まえ、府民の切実な願いにこたえる施策の具体化が求められた。
 わが党議員団は6月10日、府民の営業と暮らしの実態調査をもとに、知事に対し「6月補正予算案に対
する緊急要望」を申し入れるなど、府民の営業と生活を守るため、関係者の運動と結んで積極的に論戦した。

1、本議会には、一般会計補正予算をはじめ16議案、および人事案件2件が提案された。わが党議員団は第11号議案「京都府立高等学校等設置条例一部改正の件」、第12号議案「京都府立婦人教育会館条例廃止の件」、および第16号議案「京都地方税機構設置に関する協議の件」の3件に反対し、人事案件も含め他の議案には賛成した。
 第1号議案、「平成21年度京都府一般会計補正予算」には、わが党議員団がこれまで求めてきた離職者への緊急一時宿泊施設設置、緊急小口資金創設や介護職員処遇改善等、一定の施策が具体化された。今後、①雇用の安定を図ること、②貸し工場の家賃や機械リース代など固定費への補助等、中小企業を守る施策を実施をすること、③住宅改修助成制度の創設、耐震改修助成制度の拡充、小規模工事希望者登録制度実施など、大幅な仕事の減少で苦境にある建設業者や工務店などへの支援策を講じること、④私立高校授業料助成の拡充、就修学援助制度の充実、子どもの医療費助成制度の拡充など子どもの貧困対策を行うこと、⑤医師確保対策等、を基金等の活用で実施することを求めた。今後、9月議会の補正予算も含め、その実現めざし引き続き奮闘するものである。
 第11号議案「京都府立高等学校等設置条例一部改正の件」は、関係者の運動により、八幡市および宇治市に特別支援学校を新設するものであるが、関係者から存続を求める要望が強い桃山養護学校の廃止を含んでおり、反対した。
 第12号議案「京都府立婦人教育会館条例廃止の件」は、女|生の社会参加をすすめる施策のいっそうの充実に逆行することになるため反対した。
 第16号議案「京都地方税機構設置に関する協議の件」は、税務共同化を進めるための機構設置について府議会の同意を得る案件である。わが党議員団は6月2日に「強権的な徴税強化をすすめる『税務共同化』の強行はやめ、住民の暮らしに寄り添った税務行政を」とする見解を発表し、府民的な闘いをよびかけてきた。税務共同化の拙速な導入に対し、急速に危惧や反対の声が高まる中、市町村議会での意見書採択や、府議会でもわが党の追及に、理事者は「あくまで、憲法、法律、条例にもとづいて行う。」「徴収猶予の規定など、これまでどおりの対応をきちっとしていく」など答えざるを得なかった。わが党議員団は、①府民への説明責任が全く果たされないまま、府民生活に直結する問題を強行することは認められないこと、②徴収率98%を目標に、徴収率を向上させるため、「断固たる滞納処分を行う」など、徴税強化が行われる危険性があること、③社会保障としての国民健康保険税(料)を対象としたこと、④市町村に新たな負担が生じたり。連合長に選挙を経ない者を選出できる規約となっているなど、問題点を指摘し反対した。
 この問題では、6月8日付「京都新聞」に掲載した税務共同化についてのわが党議員団の見解に対し、京都府税務課に事務局をおく税務共同化組織設立準備委員会が、わが党議員団に「抗議文」なる文書を届けてきた。わが党議員団は当然受け取りを拒否したが、これは議会・議員活動への干渉、議員活動の自由および議会制民主主義をふみにじる極めて異常なものであり、厳しく抗議した。
 今後、府民の暮らしをおびやかすような税務行政とならないよう、この間の運動の成果の上に引き続き全力を挙げるものである。
 なお第15号議案「京都府森林利用保全指針を定める件」には賛成したが、利用保全区分の決定について現状をよく調査の上、所有者の納得の上で行うこと。また森林組合・担い手の育成と支援を行うこと、林道・作業道の整備や木材加工・流通対策を行うこと、さらに獣害対策などしっかり講じること、を求めた。

2、府議会前に取り組まれた、府庁東門前宣伝や昼休みデモ行進、府要請行動など「6・18府民総行動」の闘いと連携し、府民的要求を積極的に取り上げ、一定の変化を勝ち取ることができた。
 京都府立与謝の海病院の脳神経外科が休止となり、短期間で集まった8500筆の署名を携えて6月18日に京都府と府立医科大学付属病院に申し入れが行われるなど、丹後、宮津・与謝地域の脳神経外科再開を求める大きな運動が沸き起こる中、本会議質問に答え「7月14日から外来を再開する」ことが示された。今後、緊急対応や入院ができる体制整備が強く求められている。
 視力障害と聴覚障害を併せ持つ盲ろう者の移動やコミュニケーションを支援する「盲ろう者向け通訳・介助者派遣制度」は「月延べ20時間を目安」と利用上限が設けられている。利用者のみなさんが繰り返しこの撤廃を求め、わが党議員団も議会質問で追求してきた。今回、知事が利用制限の見直しと通訳・介助者養成研修の充実等を表明したことは関係者の運動が実ったものである。
 また、府民公募型公共事業について。850件(6月30日現在)の要望が寄せられ、地元要望が強くわが党も調査し求めていた右京区JR嵐山駅北口と井手町内府道多賀バイパスの信号設置等が実現した。さらに、食の安全確保に重要な冷凍食品の原材料原産地表示について、今後検討することが表明された。
 また、切実な要求を取り上げ積極的に論戦した。
 京都市内や府南部の機械金属加工など中小零細業者・自営業者の方々から聞き取りを行い、緊急支援策を提案した。とりわけ、中小企業庁との交渉で「地域活性化経済危機対策臨時交付金を活用して貸工場の家賃など固定費への補助は自治体の判断で実施できる」との回答を踏まえ、固定費への補助制度等実現を迫った。新型インフルエンザの影響で大打撃をうけた保津川遊船や旅館など観光関連業に調査に入り、損失補てんを強くもとめた。
 また極めて深刻となる有害鳥獣対策について、関係者から聞き取りを行い、対策はまったなしとして、府「特定鳥獣管理計画」の見直しや鳥獣駆除のため専任捕獲班をつくり、処理費用への補助の実施を求めた。これには他会派からも対策を求める声があがったほどである。
 また、子どもの貧困への緊急対策、西陣織と西陣再生の提案、新認定方式の撤回等介護保険制度の改善や、障害者自立支援法の応益負担の廃止、抜本的見直しなども求めた。

3、知事の政治姿勢の本質が浮き彫りとなった議会であった。
 京都府が「雇用の安定と確保のための補助金」を出す(株)ジヤトコで働いてきた11名の派遣労働者について、京都労働局が「労働者派遣法に違反している」と認定し、「11名の雇用安定を図る」よう是正を求めた。代表質問でこのことを取り上げ「3億6000万円も補助金を出しているジヤトコに対し、京都府が法を守るよう求めるべき」と迫った。山田知事は「指導に対し、適正に対処された」と答えたが、これは派遣切りにあった労働者を雇用すべきと求めず、違法行為を容認するものであり、山田知事が、労働者の雇用を守ることより、企業の立場を擁護していることを示すものである。補助金をだしている以上、違法行為を許さず、雇用がまもられるよう全力を尽くすべきであるとともに、「雇用を守るルールと京都府の権限」を補助要綱に盛り込むべきである。
 地球温暖化対策について、日本政府が温室効果ガス削減中期目標として、05年比15%削減を決定したが、これは「先進国は、2020年までに90年比25%から40%削減する必要がある」としたIPCCの警告を全く無視したものである。「京都議定書」締結の地、京都の知事として、その見直しを求めることが必要であるにもかかわらず、山田知事は「数字競争ではダメだ」と答弁し、政府の偽装目標を容認する態度をとった。さらに、860万トンものC02を排出する舞鶴火力発電所建設について、「電源構成の多様化を考慮して導入された」と答えたが、これは府民の温室効果ガス削減の努力を踏みにじるものである。
 温暖化対策でも知事は、政府と同様に産業界に対しものが言えないことを示した。

4、「関西広域連合」について、厳しい論議がされた議会となった。「関西広域連合(仮称)」特別委員会で、現在の進捗状況が報告され議論したが、わが党議員団だけでなく、自民党からは「まず広域連合をつくるという形ありきだ。財界主導だ。」、民主党からも「このままでは反対だ」など他会派からも厳しい批判が噴出した。
 これらは、もともと関西財界=関経連が、落ち込む関西経済の立て直しのため、早く道州制にして各府県の財政や国の資金を集中し「大阪湾ベイエリア構想」など財界の新たな投資を進めようとしているものである。あまりにも大阪中心、財界中心で拙速すぎるため、これに対し厳しい批判の声が出されたものである。
 しかも、財界の意図が明らかであるにもかかわらず、「中央集権型国家を打破し、地方分権型社会をつくる」「地方分権のため」とのべ、あたかも地方自治を充実するかのようなポーズをとっているものの、「ドクターヘリなど広域連携で十分ではないか。」「政令市が参加しない中で広域消防はできないではないか。」などの質問に「なぜ広域連合か」について説明できなくなった。8月にも山田知事が関西広域連合に参加するかどうかの態度表明をするとされているが、議会無視、住民不在は許されるものではなく、知事はその表明をすべきでない。

5、本議会には、6件の請願と4件の陳情・要望が提出された。また、わが党提案の「社会保障予算抑制の抜本的見直しを求める意見書案」をはじめとした9件を含め、14件の意見書案が提案され、すべてに賛成した。
 7月1日、京都の大学で学ぶ「学費ゼロネット」のみなさんが「学費の負担軽減、高等教育予算増額をもとめる陳情」をもとに、各会派と懇談された。その中では、『親に学費で苦労をかけているが自分にそんな価値があるのだろうか』「ダブルワークのバイトで睡眠時間がとれず、授業に集中できない」「自宅通学で片道2時間、定期代は3ヵ月で7万円」など深刻な実態が語られた。それを受け、わが党議員団は「大学の高学費を解消し、高等教育予算の増額を求める意見書」案を提案した。
 ところが、国会では、わが党とともに、民主党、社民党の議員も請願の紹介議員となったにもかかわらず、府議会では民主党も含め意見書案に背を向けたことは重大である。
 金権腐敗疑惑が噴出する中、わが党議員団が提案した「企業・団体の政治献金をただちに禁止することを求める意見書」案は、金権腐敗政治の根を断つために国民的に求められているものであり、また「政党助成金の廃止を求める意見書」案は、「企業献金を無くすため」として導入されたものの、企業・団体献金を受け取り続けながら政党助成金もわが党以外で配分しあうことは、政党のあり方として不正常であり、その廃止が求められた。ところがわが党以外のすべての会派が反対したことは、金権腐敗政治を根絶してほしいとする府民の願いに背を向けるものである。
 「胆道閉鎖症」への対策を求める「難病対策の充実等に関する意見書」が全会一致で可決した。これは、昨年9月議会にわが党が質問し対策を求めてきたもので、関係者を大いにはげますものである。今後、国において医療費助成がうけられる特定疾患治療研究事業指定や、障害者手帳の交付対象となるよう引き続き求めるものである。
 民主党提案の「生活保護に係る母子加算の復活を求める意見書」案は、自民・公明・創生(一部)の反対により否決されたものの、参議院で「生活保護の母子加算を復活させる法案」が通過したこと、その背景にある国民的な世論と運動により、府議会民主党として初めて母子加算復活を求める態度を表明することとなった。

 いよいよ総選挙である。わが党議員団は、総力をあげて前進勝利のために力をつくすものである。また、門祐輔氏が「ひと・いのちが大切にされる府政へ」として、来春の京都府知事選挙に立候補の表明をされた。わが党議員団は、門祐輔氏を先頭に府政転換に全力をあげるものである。

以上

2009年6月定例議会を終えて[PDFファイル 230KB]