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本会議質問

府政報告 1963 10年2月定例会 かみね代表質問

2010/02/15 更新
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●2010年2月定例議会が2月4日に開会しました。2月9日にかみね史朗議員が行なった代表質問の大要と、他会派議員の代表質問項目を紹介します。
もくじ
かみね史朗代表質問・・・・ 1
他会派議員代表質問項目・・12

2月定例会 代表質問

かみね史朗(日本共産党、京都市右京区) 2010年2月9日

構造改革路線を積極的に進め、
貧困と格差、生活困難を増大させた山田知事の8年間

【かみね】日本共産党のかみね史朗です。私は議員団を代表して、通告の諸点について知事並びに関係理事者に質問いたします。
今年2010年は知事選挙の年です。山田知事がすすめてきた8年間の府政が問われるとともに、自公政治を退場させた府民のみなさんの熱い願いに応え、府民生活第一の政治をこの京都府政の中でどのようにすすめていくのかが問われています。
 貧困と格差を広げ、地方切り捨てをすすめた構造改革路線は、去年の総選挙でノーの審判が下りました。しかし知事は、2008年の関西財界セミナーで「規制緩和によって強いものが勝つ。その中で税収をしっかり確保していく、これは非常に成功した」と発言しました。強い者が勝つことを当然と考え、多くの労働者と中小企業が苦しめられていることに全く心をよせない態度といわなければなりません。
知事は、この考え方のもとに、8年間、構造改革路線を京都で積極的に推し進め、府民生活の予算と事業をばっさり切り捨ててきました。リハビリ専門病院であった府立洛東病院を廃止し、難病患者の見舞金や他府県に通う私学高校生の私学助成などを一方的に廃止し、老人や母子家庭、障害者などの福祉医療も廃止縮小の方向を打ち出してきました。また2009年度当初予算で商工業振興費を4億円削減するなど中小企業や伝統産業予算を削減してきました。
その一方で、大企業を手厚く支援してきました。雇用を名目にした企業立地補助に71億円も出しながら、補助を受けた村田製作所やジヤトコなど大企業が次々と大量の派遣切りを行おうとした時、「個々の企業のことはとやかく言えない」と放置しました。労働者派遣法違反に伴う労働局の指導に従わなかったジヤトコに対しては「適正に対処した」とかばう始末でした。このように山田知事の8年の府政は、自民公明政権とともに、府民に貧困と格差、生活困難を増大させる8年でありました。
地方自治体の役割は、地方自治法で明記されているように住民福祉の増進をはかることです。私は、今こそ構造改革路線ときっぱり決別し、地方自治体の原点に立ち返り、人、いのちが大切にされる府政をつくらなければならないと考えます。そのために次の3つの政策転換を提案し、知事に質問いたします。

構造改革路線と決別し、人、いのちが大切にされる府政へ
今こそ、3つの転換を

【かみね】第一に、経済雇用政策の転換です。昨年の京都府内では、小規模企業の倒産が多発し、過去最多の496件となりました。京都の労働者の昨年の賃金は、10年前と比べて、年間18万円も減少しました。12月の有効求職者数は56,091人にのぼり、前年同月比で21%も増加しました。大学生や高校生の就職はバブル崩壊時を上回る深刻さです。全国的にも、現金給与総額は前年に比べ3.9%減、過去最大の落ち込みとなっており、2009年平均の完全失業率の増加幅も過去最大、平均有効求人倍率も過去最悪となりました。リーマンショック以来これほど経済の落ち込みが激しく、首都に派遣村が生まれた国は日本だけであります。
その原因は、この10年、構造改革路線によって貧困と格差、地方切り捨てが広がったうえに、大企業が大規模な派遣切り、下請け切りを行ったためであります。この結果、雇用者報酬は10年前より27兆円も減りました。しかし企業の内部留保は、200兆円から400兆円へ2倍に増えたのです。その半分近くは、資本金10億円以上の大企業が労働者と下請けをいじめてため込んだ内部留保です。強い者が勝ち、国民が貧しくなる。この構造を変えなければ、深刻な景気も立て直せないし、明るい未来も切り開けないのではないでしょうか。
いま政治が取り組まなければならないことは、大企業がため込んだ内部留保金の一部を社会に還元し、正社員が当たり前の社会に変えること、中小企業支援で時給千円以上の最低賃金を実現するなどルールある経済社会をつくること、そして国民負担軽減と社会保障の充実で安心して暮らせる社会をつくることであります。
京都府政に求められることは、大企業・ベンチャー中心の経済政策ではなく、すべての中小企業を応援する経済政策に転換し、大企業が雇用と地域経済を守る社会的責任を果たすルールを確立することではないでしょうか。

経済・雇用政策の転換

中小企業応援

町工場、中小企業の固定費への支援を

【かみね】そこで1点目は、中小企業応援の問題です。まず緊急対策として町工場の固定経費を支援する対策が望まれています。昨年の府内の企業倒産の原因は、「不況型倒産」が約9割に上りました。金属関係でも負債総額1000万円以上の倒産は、昨年の11月までで一昨年をこえる41件となっています。「家賃が払えなくて自己破産した」という機械金属業者も増えてきています。今手を打たないと京都経済の土台を支える町工場と優れた技術が失われる危機に直面しているのであります。
このため町工場を経営される皆さんから、家賃や機械の電気代、リース代などの固定費を支援してほしいという強い要望が出されています。中小企業庁も、自治体の判断で地域活性化経済危機対策臨時交付金を使って固定費を助成することは可能とのべています。私たちの再三にわたる質問に対して、知事はようやく「新製品の開発などの固定費には助成する」と答えましたが、町工場からは「肝心要の家賃や機械の電気代、リース代が対象にならず冷たいではないか」ときびしい批判の声が上がっています。
ある協同組合が町工場の動力料金の緊急アンケートをおこないました。溶接機、切断器など29キロワットの基本料金が月額2万9841円、成形機など55キロワットの基本料金が7万2765円。知事、こうした固定費が払えなくて倒産廃業の淵に立っている町工場を見捨てるのですか。知事は年頭のあいさつで「未来に残さなければならない一番大切なものは『人』であると信じている」と述べましたが、京都経済を支える技術を持っている人は大切にされないのですか。電気代、家賃、機械のリース代などを固定費助成の対象に加えることを決断すべきです。お答えください。
また、工場や店舗、生産設備などの固定資産税が、比較的広い工場や作業場を有する西陣織や友禅などの伝統産業や中小零細企業を苦しめています。城陽市では、誘致企業だけでなく地域経済と雇用の増進に効果が大きい製造業の事業所などに対して固定資産税相当額への助成が行われていますが、緊急の経営支援策として市町村と協力して固定資産税の減免を実施してはいかがですか、お答えください。
【知事】私の発言はいつも、明るい部分もあれば暗い分もある。行政の役割というのは、明るい部分をしっかり見つめながらも、暗い部分を補うのが役割だとはっきり申している訳で、財界セミナーでもそういう趣旨の発言をしておりますので、私の発言を切り捨てるのは、やめていただきたい。
中小企業の応援だが、京都の経済や雇用の中心的担い手である中小企業が元気になることは、京都経済の活性化のために欠かせないものとして、私どもは京都府中小企業応援条例を制定し経営の安定と成長発展のために全力をあげて総合的な対策を講じてきた。
指摘のあった企業誘致も大半が中小企業に行っていることも指摘をさせていただく。
固定費についても、新たな事業に取り組む企業を対象とする「きょうと元気な地域づくり応援ファンド」では既に機械のリース料、光熱水費、店舗の賃借料が助成対象となっていますし、11月議会でお認めいただいた小規模事業者等活性化支援事業でも必要な固定費を含んでおり、更に今議会に提案の小規模企業等下支え緊急支援事業では一層使いやすく経営改善につながる取り組みを支援する等、厳しい状況にある中小企業に対しまして、切れ目のない支援を行うこととしています。
固定資産税の減免についてですが、課税権問題は、住民のみなさんの意向を受けて市町村が自ら判断されるべきものであり、減免要請というのは、私はちょっと筋が違うなと思う。
【かみね】ご答弁があったが、「構造改革路線で府民にとって明るい部分は何もなかった」、これが事実ではないでしょうか。
知事と同じ自治省出身の西川福井県知事が「ふるさとの発想」という本のなかで、構造改革で地方は切り捨てられたと明確に批判しているんです。同じ自治省出身でもこんなに違うものかと思い知らされました。
それから、支える、守ると先ほどから言っておられますが、町工場のみなさんへの固定費の助成、機械のリース代、電気代、家賃、これは助成されるということですか。お答えください。
【知事】今議会で提案の小規模企業等下支え緊急支援事業については、経営改善につながる取り組みを一層使いやすくして幅広く固定経費を含めて助成する仕組みとしているところです。

金融機関丸投げやめ、制度融資は府が責任を持て

【かみね】ふたつには、融資の改善の問題です。かつて本府は、中小企業総合指導所をつくって中小企業の経営支援、融資、技術支援の3つを総合的一体的にすすめてきましたが、山田府政のもと経営支援は財団法人の産業21、技術支援は京都府の中小企業技術支援センター、融資は金融機関に丸投げというようにバラバラにしてしまいました。
特に融資は、かつての蜷川府政が信用力の弱い中小企業をいかに支えるかということに心を砕き、全国に先駆けて無担保無保証人融資制度を実現し、京都府と商工会・中小企業団体の融資窓口のもとにきめ細かな融資を行いました。
ところが、山田府政は、融資は中小企業と金融機関の契約という発想で、府などの融資あっせんを廃止し、完全に金融機関任せにしてしまいました。その結果、制度融資の返済猶予が2年に延長されても金融機関の現場では6カ月しか認められないなど、制度融資が制度通り機能しない事態すら起こっています。
こうした状況を改善し、中小企業の立場に立った制度融資を実現するためには、金融機関への丸投げをやめ、再び京都府が責任を持ち、商工会、中小企業団体とともに融資のあっせん窓口になることがどうしても必要であります。いかがですか、お答えください。
【知事】融資の受付窓口については、金融機関とする事によって専門的見地に立って迅速化、利便性の向上が図られたと評価されているところであり、多分、今現在、史上最高の大きな融資枠となっているのではないかと思います。その融資によって、京都市との協調の下、中小企業を支えているところであります。
同時に商工会議所が継続して経営指導を行います、いきいき経営改革サポート制度については、今年度12月末までに800件もご利用いただくなど、経営支援を協調してしっかり対応しているところであります。今後とも京都府と京都市、保証協会、金融機関、関係支援機関の連携により的確な支援を実施したいと思っています。
【かみね】中小企業応援の問題ですが、返済猶予の2年間制度はまったく機能していない、この点についてまったく答えていない答弁でありました。

緊急経済対策として住宅改修助成制度の実施を

【かみね】3つには、中小業者の仕事おこしに関連して、住宅改修助成制度の問題です。不況対策の仕事おこしと住環境改善などに絶大な効果を持つ住宅改修制度は全国的に広がっています。秋田県は都道府県段階では初めて、緊急経済対策として3月から12億6千万円の予算で住宅の増改築・リフォーム工事に助成する「住宅リフォーム緊急支援事業」を実施します。緊急経済対策として、住宅改修助成制度を実施すべきであります。いかがですか。お答えください。
【知事】住宅改修助成制度については、京都府としては、広域的な行政を担う観点から、耐震改修や太陽光発電15000戸達成事業のための太陽光発電のための改修、府営住宅のバリアフリー化とか高齢者の皆様の介護予防のあんしん住まい推進事業等、行政目的に沿った改修助成を制度化する中で、地元業者への発注につながる事業をしており、こうしたきめ細やかな事業をこれからもしっかりと展開したいと考えております。
【かみね】住宅改修助成制度ですが、本府は地域活性化経済危機対策臨時交付金を地方税務機構のために使いましたが、これは筋が通らないと思います。住宅改修助成にこそ使うべきではないでしょうか。再度お答えください。
【知事】税務機構については、私ども、これからの町村行政協調の中で、しっかりと地域の活性化の基盤をつくるという面も含めておりますし、住宅改修助成制度につきましては、今回も介護予防のあんしん住まい推進事業等も範囲を充実いたしまして積極的に助成制度の拡充に努めているところであります。
【かみね】町工場の救済や仕事おこし、こういう、府民のみなさんが求める緊急の対策に応える答弁になっていないのじゃないかと、私は受け止めざるを得なかった。これでは京都経済の危機は打開できないのではないかと思います。次に移ります。

トステム問題 違法な退職・転籍強要許さず
工場と全員の雇用継続を粘り強く求めよ

【かみね】2点目は、雇用を守り、正社員が当たり前のルールを作る問題です。今、雇用情勢をますます悪化させているのが一部の大企業です。京都府が綾部工業団地に誘致したトステムは、今年3月末で工場を閉鎖し、171人の正社員を含む377人の労働者を解雇に追い込もうとしています。こんなことが行われたら、綾部と福知山、舞鶴の地域経済にどれだけ大きな打撃となるかはかりしれません。
私は、こくた衆院議員らとともに、昨年12月17日に東京の本社を訪問し、責任者の執行役員に対し、体力をもつ大企業として社会的責任を果たし、工場閉鎖の撤回、全員の雇用継続をはかるよう強く要請しました。トステムは企業論理しか述べられず、身勝手な工場閉鎖であることが明らかになりました。
トステムは、正社員の大半が退職を希望している、非正規の人は全員契約切れになると説明しています。しかしそれは、アンケートなどで、転籍するか、退職するかの二者択一を迫った結果であり、重大な間違いです。私たちが厚生労働省に問い合わせをしたところ、転籍には労働者の同意が必要であり、同意できない場合は今の職場で働く権利がある。転籍や退職を強制することは違法行為になる。転籍の同意は、正社員だけでなく、期間の定めのない働き方をしていたすべての非正規労働者も対象になると明確に述べています。トステムのやり方は、転籍と退職を強要するものであり、違法行為の疑いは濃厚ではありませんか。アンケートの結果は無効というべきであります。しかも、いまトステムは、退職願を出さなければ就職のあっせんをしないといって退職を強要しているのです。こんなやり方を許していいのですか。
知事、このような重大な事実を認識されていますか。いかがですか。違法行為の疑いがある転籍、退職の強要をただちにやめさせるべきです。そして、転籍も退職も同意できない労働者には、綾部工場で雇用を確保するようトステムに求めるべきです。いかがですか、明確にお答えください。
もう一点は、最高裁の判決にもなっている整理解雇の4要件に反しているのではないかという疑いがあります。トステムのグループ会社の住生活グループは、2013年に1兆2000億円の売り上げ、10%の利益率をめざすと発表しています。この3月末のグループ全体の経常利益の見通しでも3.7%増の230億円を予想しています。解雇しなければ会社が維持できない状況ではまったくありません。整理解雇の4要件は、正社員だけでなく、期間の定めなく働くすべての非正規労働者にも適用されます。工場閉鎖と労働者の大量解雇は法的にも重大な疑義があるのではないでしょうか。知事は、整理解雇の4要件に照らしてどう考えられますか、お答えください。
トステムは、1月中には工場のラインをほとんど撤去してしまいました。労働者のみなさんの不安はますます高まっています。知事は、トステム本社に対し、どんなことでもやるので工場を継続し雇用を確保してほしいと要請されましたが、工場と全員の雇用の継続について、トステムと協議する場を設け、粘り強く交渉すべきであります。いかがですか、お答えください。
大企業の身勝手な行動を規制しなければ、雇用を守れないことがはっきりしてきました。提案してきましたが、この際、雇用のための企業立地補助をおこなう条例に、雇用と地域経済を守る企業の社会的責任を明記し、大量解雇や工場閉鎖などの計画を事前に報告協議する規定を設け、法令に違反したり、解雇を強行した時には補助金の返還を命じる規定を加えるべきであります。いかがですか、お答えください。
【知事】雇用問題だが、議員指摘の転籍等の問題は、これまでから再三再四、コンプライアンスの徹底を強く要請してきたところです。私自身もトステムを訪問するとともに、綾部市長さんや府の関係者も何度も訪問を行い、事業の再構築、徹底した雇用対策の推進、また、京都舞鶴港の活用について申し入れ、数回にわたり協議の場を設定して参りましたけれど、これからも引き続き粘り強く取り組んでいきたいと考えている。
京都府といたしましても、雇用対策を強化するために、綾部市、舞鶴市、福知山市や労働基準監督署、ハローワーク、商工会議所の連絡会議を開催して対策を協議すると共に、地域ジョブパーク事業として生活就労支援に関する制度の説明会、相談会を開催し、従業員の方々の相談にお答えしているところ。
トステム自身も従業員の再就職支援に努力される中で、地元企業による受け入れ等も始まっているが、トステムに対しましては、今後、綾部工場の活用も含め、しっかりと対応するよう引き続き強く要請して参りたいと考えている。
企業立地促進条例につきましては立地企業にコンプライアンスや社会的責任を重視していただくのは当然のことでありますが、企業立地にかかる補助金の制度については既に19年度に正規雇用等雇用重視の制度に改定をしています。これにより、昨年10月末までに操業した誘致企業は150、府内経済波及効果は4900億円、間接雇用も含め雇用効果は約22000人を見込むなど大きな経済効果を生んでおり、他の府県との厳しい競争の中での誘致ということをできるだけ慎重に考えていきながら、これからも取り組んで参ることだと考えています。
なお、トステムに関しましては、企業誘致にかかる補助金は交付をしていません。
【かみね】トステム問題ですが、退職願を出さなければ就職あっせんをしない。このやり方は明確な退職強要ではありませんか。この事実をどう考えるのですか。そして、直ちに是正すべきではありませんか。その答えがなかったので再度答弁を求めます。
【知事】個々の具体的事案についての法令違反があるかどうかは、これは権限を持った機関がしかるべき手続きを経て判断すべきものであり、京都府議会の場でしかるべき権限を持たない京都府において、はっきりとしたことを申すのは差し控えるべきだと思っている。京都府としては、コンプライアンスの重視をこれからも強く要請したいと考えています。
【かみね】私は、明確な事実を申し上げて知事の見解を求めている訳でして、労働者を守る姿勢がなさすぎると言わざるを得ません。不当な退職強要については、ただちに是正をするために力を尽くし、綾部工場の存続と全労働者の雇用確保に力を尽くされるよう改めて強く求めます。

労働者派遣法の早期抜本改正、
製造分野の派遣労働禁止を強く国に求めよ

【かみね】大企業の社会的責任を果たさせるルールを作る点では、労働者派遣法の抜本改正が急務です。鳩山内閣は、この通常国会に労働者派遣法案を提出するとしていますが、財界の圧力の中で実施時期を3年あるいは5年後に先送りしようとしており、重大です。内容的にも、製造業の派遣労働を原則禁止するとしていますが、常用雇用を禁止の対象から外そうとしています。これでは、常用雇用の派遣労働者も派遣企業から切られれば、いつでも派遣会社は首を切る抜け穴ができることになります。登録型派遣の「原則禁止」についても、約100万人もの派遣労働者が働く「専門26業務」を「例外」扱いにしています。名ばかりの専門職の実態も指摘されており、このような抜け穴をなくすことが大切ですが、知事はどのようにお考えですか、伺います。この際、労働者派遣法の抜本改正を早期に実施し、製造分野の派遣労働を全面禁止するよう強く求めるべきです。お答えください。
【知事】労働者派遣法については、社会保障国民会議等の委員として私は、現場を踏まえた法改正、派遣労働者への救済措置等を強く訴えてきました。この答申は、社会保障国民会議の中でも盛り込まれていますけれども、改正法案は今国会にも提出されていると聞いています。
今後とも改正法の早期成立や、厳格な指導監督、労働者のみなさんが安心して働けるよう環境の確保、雇用対策の充実等を国に対し働きかけていきたいと考えています。

社会保障と教育の転換

活用される「無料低額診療事業」
府立の病院でも無料・低額で診療が受けられるように

【かみね】次の質問に移ります。第2は、社会保障と教育政策の転換です。1点目は、医療制度の改善です。貧困と格差が広がる中で、生活苦で体が悪くても医療が受けられない人が増えています。中京区のある民医連の診療所で国の制度である無料低額診療の適用を受けた治療件数が一昨年1万6774件もありました。この制度を利用しなければ医療が受けられない人が、1日平均45人も来ているということです。
46歳のご主人の場合、精神疾患と糖尿病があり無職です。奥さんが乳がんをわずらい、パートでやっと月8万7千円稼いでいます。子どもさんは16歳と15歳の高校生、14歳の中学生、8歳の小学生がおられます。生活がとても苦しく、医者にかかれませんでした。噂を聞きつけて診療所に相談に行き、ようやく無料で治療を受けることができました。
生活苦で医者にかかれない人に、無料低額診療制度は、救いの神となっています。私たちはこの制度を府立病院でこそ実施すべきだと求めてきました。昨年9月の議会で健康福祉部長は「減免規定に基づく申請で減免できる」と答えましたが、調べますと、減免された人はだれ一人いません。生活保護を受けられる人は生活保護を受けろ、それ以外は対象にしないという姿勢をとっているからです。民間病院ですら生活保護基準の1.5倍や2倍の低所得の人を対象としているのですから、府立病院でも低所得の人に減免対象を広げ実施すべきです。減免規定では知事が認める場合はできることになっているのですから、決断すべきです。いかがですか、お答えください。
【知事】府立病院の医療費減免につきましては、支払いが困難な場合などに、全額免除をする減免規定を設けており、制度としてはできあがっています。今後とも、患者や家族からの相談に親切丁寧に対応して参りたいと考えています。
【かみね】低所得者の方の医療について、府立病院で、減免する姿勢も示されませんでした。生活苦で医者にもかかれないという深刻な現実は、まだ広く存在します。知事は、こういう事態を放置するのではないか。そういう心配もいたしました。

子どもの医療費 入院も通院も小学校卒業まで無料化を!

【かみね】いま「子どもの医療費を無料に。高齢者の医療費の軽減を」と知事に対する署名運動が全府的に広がっています。先日、子育て真っ最中の若いお母さんたちと懇談いたしました。喘息の3歳の子をもつお母さんは、「夜遅くから喘息が止まらなくなることが多く、生死にかかわるので月に2~3度救急に行く。救急を利用すると1回3000円、薬代も月に3000円かかる。お金に心配なく安心して医療が受けられるようにしてほしい」。
最近増加している喘息やアトピーの子をもつ親はもちろん、子どもが病気をしたときにお金の心配なく医療が受けられるようにしてほしいとの願いは切実です。
知事は、子どもの医療費助成の拡充を求める府民の声に対して、「京都府の制度は全国でトップクラスだ」と言ってきました。しかし、群馬県は昨年10月から所得制限なし、自己負担なしで、入院通院とも中学卒業まで医療費を無料化する制度をスタートさせました。トップクラスというなら、群馬県に学ぶべきではないでしょうか。すでに府内では、子どもの医療費窓口負担を入院も通院も小学校卒業まで助成している自治体が、26自治体中9つに増えています。さらに、日本医師会は、義務教育の外来患者一部負担を無料にするとの提言を政府に申し入れています。こうした変化を受け、少なくとも本府の制度として、子どもの医療費窓口負担を入院も通院も、小学校卒業まで無料化すべきではありませんか。お答えください。
【知事】子どもの医療費助成につきましては、市町村との共同事業として平成15年9月、更に平成19年9月に大幅な制度の拡充を行い、全国でも所得制限を設けていない県におきましてはトップクラスの制度。今、あげた県以外は皆、我々よりは下という所ですから、トップクラスであることは間違いないと思っています。
所得制限を設けている府県を入れても高い水準にありますが、これからも市町村と充分連携協議する中で引き続き検討を続けて参りたいと思います。
【かみね】子どもの医療費助成についても、拡充する姿勢を示されませんでした。私は、喘息の子を持つお母さんと懇談して、お金に心配なく医療が受けられることがいかに安心なことなのか、同時にそういう安心な医療を実現することは、待ったなしだと痛感しました。そういう認識も欠けているのではないかと言わざるをえません。そのことを指摘しておきます。

知事は、後期高齢者医療制度の廃止 すべきでないという考えか
保険料の値上げ 完全にストップを

【かみね】あわせて、お年寄りを差別する後期高齢者医療制度について、鳩山内閣は、制度の廃止を3年から4年後に先送りしようとしています。しかも来年度の政府予算案には値上げ抑制の予算は一切盛り込まれませんでした。お年寄りや国民の願いを二重に踏みにじるものであり許せません。値上げをストップする予算は、国に求めるべきです。いかがですか。知事は、「後期高齢者医療制度の廃止は混乱する」という後期高齢者医療京都府連合の意見に同調していますが、そもそも後期高齢者医療制度は廃止すべきでないという考え方なのですか、お答えください。
後期高齢者保険料が京都府で7%上がる見込みであることから、本府は、来年度予算案で基金を5億円取り崩して値上げを抑えていますが、完全に止めることになっていません。また、医療費が低く特例で保険料を段階的に引き上げている7市町村については大幅値上げとなります。これらの市町村に助成することを含め、75歳以上のすべてのお年寄りの保険料値上げを完全にストップすべきです。お答えください。
【知事】後期高齢者医療制度の廃止につきましては、国において新たな制度の枠組み等が検討されているところですが、すでに、いくつかの論点が示されています。
私は、このあたりも、言葉を部分的に切り取るからあれなんで、後期高齢者を単に廃止してしまっただけでは何の問題の解決になりませんよと言うことを申し上げている訳で、しっかりとした受け皿を用意していかなければ混乱がおきますよということを申し上げている訳でして、そのあたりは、正確に言葉を取り上げていただきたいと思っています。
従って、私どもは後期高齢者医療制度改革プロジェクトチームにおきまして、これからの制度におきましては、国の役割強化はもちろん、都道府県としても今まで以上に役割をしっかりと果たすべきと主張しているところでありまして、知事会としても将来を見通して安定的な制度となるようこうした方向で国に対して要請される動きとなっています。
来年度の保険料の抑制についてだが、財政安定化基金を活用した支援策を実施することにより、措置をしなければ平均して約7%の増となる保険料を原則横ばいに抑制できるよう当初予算案に5億円を計上したところであります。これも全国のトップを切って予算計上させていただきました。
保険料を段階的に引き上げている市町村につきましても同様の抑制効果が生じているところでありますが、あらかじめ定められている引き上げ分につきましては、実施主体であります京都府後期高齢者医療広域連合が市町村全体の公平性を勘案する中でこれは考えていかれるものであります。
保険料の増加抑制につきましては、その財源を国の責任において全額措置するよう他の都道府県と共に連携して要請しているほか従来から低所得の方等の生活実態を踏まえその負担が過度とならないよう国に対し要望しているところであり、引き続き求めて行きたいと考えています。

たたかって勝ち取った障害者自立支援法廃止の「基本合意」
法の廃止、明確に求めなかった知事の姿勢を批判

【かみね】2点目に、障害者政策の転換です。私は、障害者のみなさんの要求と運動にもとづいて、たびたび障害者自立支援法の応益負担撤廃や障害者の権利の保障などについて質問してきましたが、今年1月7日、障害者自立支援法違憲訴訟の原告71名と弁護団が、国との間で障害者自立支援法の廃止に関する基本合意を締結しました。
その特徴は第一に、速やかに応益負担制度を廃止するとともに、障害者自立支援法の廃止を国が約束したこと。第2に、応益負担の導入により、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに国が反省を表明したこと。第3に、新法制定に当たって、市町村民税非課税世帯には利用者負担をさせないこと、どんなに重い障害をもっていても障害者が安心して暮らせる支給量を保障することなどを明記したことです。
この合意は、応益負担制度が憲法違反であるとの主張の正しさを立証するとともに、障害者のみなさん、ご家族、関係者のみなさんの粘り強い闘いの勝利であります。
知事は、応益負担制度について最後まで反対の態度を取ってこられませんでしたが、今回の合意で応益負担が障害者の人間の尊厳を深く傷つけるものであるという認識を示されたことについて、どうお考えですか、お答えください。
今回の合意と当面の措置については、不十分な部分があります。応益負担を廃止すると言いながら、300億円必要なところを107億円しか組まず、自立支援医療は、負担軽減の対象外とされました。また、視覚障害者のガイドヘルパーなど市町村事業となっている地域支援事業も、応益負担廃止の対象から外されています。これらもただちに応益負担を廃止すべきです。
事業所収入については、何ら改善されていません。改善の声が強い「日割り」制をすみやかに廃止し、月ごとの支給方式に変更すべきです。当面、減収補てん措置として10分の9の補助を10分の10の補助となるようにすべきです。
これらの点について、国に要望するとともに、府として独自措置を講ずるよう求めます。いかがですか、お答えください。
【知事】障害者施策の転換についてだが、障害者自立支援法の施行に伴い、障害のある方々が必要なサービスを受けることができない状況が生じ、自立した生活を阻み、尊厳を傷つけることがあってはならないとの考えから利用者負担軽減について法施行前から何度も国に対し要請をして参りました。京都府におきましては、市町村と協調しまして、これも全国に先がけてトップで一定所得以下の方々を対象に利用者負担の軽減措置を実施し低所得者の方々にとって応能負担となる制度としてきたところであり、併せて国に対しましても低所得者に配慮した新たな制度を構築するよう要請しているところであります。
国においてはこうした動きを受け、障害者自立支援法の見直しにあたって、応益負担から応能負担への転換を表明し、現在の制度の見直しが行われているところでありますが、今回の基本合意は、まさに京都府が先鞭をつけた流れに沿った内容であると考えています。
今後も、本議会に予算をお願いしている医療的ケアの必要な重度障害者等を受け入れる事業所に対する支援措置をはじめ、引き続き独自の支援策を展開して参りますと共に、現行の日払い方式による報酬体系の見直しや、報酬水準の引き上げ、地域生活支援事業にかかる財政支援の充実等、市町村や関係団体と連携し、障害のある方々にとって真に利用しやすい制度となるよう国に引き続き改善を求めて参ります。
【かみね】障害者自立支援法の応益負担については、人間の尊厳を深く傷つけるものであるという認識は、知事として持っておられないと受け止めざるをえません。
【知事】先ほど、私、答弁の中で、自立した生活を阻み、尊厳を傷つけることがあってはならないとの考えからとはっきり申し上げているのです。独自の見解を述べられるのは良いのですが、やっぱり人の意見を聞いていただいて、答弁を聞いていただき、予定稿だけを読み上げるようなまねはやめていただきたいと要望しておきます。
【かみね】障害者自立支援法の応益負担について、障害者の尊厳を損なうことがあってはならないとはおっしゃっていましたけれども、応益負担制度が障害者の尊厳を損なうものであるとの認識をこの場で正式に表明されたことはなかったと受け止めてきました。今の答弁もそういうことでした。一般論を述べただけです。反対ということを言ってこなかったのではないでしょうか。はっきり尊厳を傷つけるものだと認識されているのかどうか、もう一度お答えください。
【知事】尊厳を傷つけることがあってはならない、そういう制度だという思いから、敢然と全国に先立って独自の支援制度を創設した訳です。そこは、はっきりしていると思います。
(「言っていないやないか」との声)
制度改善を求め、改善させた訳ですから、それを反対ととるなら、反対ととっていただいて結構です。
【かみね】応益負担について反対をされていたのであれば、この議場でも反対ですと国に向かって言っていただきたかったと思います。

私立高校授業料無償化

府の制度 対象は800人程度、府外に通う1600人は対象外
学校負担なくし年収500万円まで無償化し、全高校生に支援を

【かみね】3点目に、教育政策の転換の問題です。昨年も京都で私学の高校授業料が払えず中途退学せざるを得ない子どもたちが出ました。お金がないために教育が受けられない事態を一刻も早くなくす。これが府民のみなさんの切実な願いであります。
今回、鳩山内閣が、公立高校の授業料無償化、私学の高校生に就学支援金を支給する予算案を組んだことは、高校教育の無償化への一歩を踏み出すものであり、長年にわたる国民運動の成果です。
本府は、来年度の予算案の中で、年収350円未満の世帯について、府内私立高校の平均授業料64万円まで実質無償化するとしています。しかし、対象となるのは私学に通う高校生2万8390人のうち800人程度、わずか2.8%です。これで高校教育の無償化への第一歩と言えるのですか。少なくとも年収500万円未満の世帯まで無償化し、対象を広げるべきです。いかがですか。
そのやり方にも問題があります。私学の負担を前提とした授業料の減免制度とセットのため、私学が負担できなければ完全に無償化される保障がありません。実際、これまで私立高校によっては、減免の予算がなく年収200万円でも減免されない実態が広く残されてきました。こうした状況を改善し、どこの学校にいても免除が受けられるように授業料減免に対する私学の負担をなくし、全額京都府が負担する制度に変える必要があります。いかがですか、お答えください。
同時に重大なことは、府外の私立高校に通う生徒には、この制度が全く適用されないことです。その人数は1年から3年生までで1600人に上るといわれています。国全体が私立高校の無償化に向かおうとしているとき、府外の私立高校に通う1600人は切り捨てられている。憲法に保障された人の平等、そして教育の機会均等の原則から言って絶対に容認できません。知事の言う安心な修学支援をすべての子どもたちに保障するために、大阪府と奈良県、滋賀県の知事にいっしょにやろうと提案すべきではありませんか。ただちに改善を求めますが、いかがですか。
【知事】私立高校の授業料無償化ですが、何か反対ばかりの政党の意見を聞くと頭が痛くなります。私立高校の授業料無償化ですが、高校生のみなさんが経済的理由により修学を断念することがないように支援を行い、京都の次の世代を担う子ども達の教育機会を守っていくことは、私は極めて重要だと思っております。そのため、先ほどお答えしました通り、厳しい経済雇用情勢を踏まえ、生活保護世帯や家計急変世帯につきましては、これは全額無償化。更に生活保護世帯に準じる年収350万円未満世帯については、国の支援金に府独自の加算を行うなど、授業料と施設整備を含む府内平均である64万円までを実質無料化する。学費軽減補助を5万円まで拡充する。更に、低所得の母子世帯等に対しては、まだ全府県そろっていませんが、全国でもトップクラス、少なくとも現段階では近畿のトップという京都式高校生あんしん修学支援制度をまず設けることとし、今議会に必要な予算をお願いしております。
なお、現在でも概ね年収500万円未満の世帯については府内の平均授業料の64万円を基準として実質6分の5までの減免補助制度を設けていますけれど、今後とも実施状況を勘案して、更に支援制度の検討を考えて参りたいと思います。 
私学における授業料減免制度は、これまでから学校のみなさんのご理解を得て、個々の生徒さんに対する修学相談と相まって行ってきており、私は、学校の協力というのは非常に不可欠なものと考えております。
学費軽減等、私立高等学校あんしん修支援制度の府外生への適用については、大阪府と滋賀県が府県外通学生への支援を相次いで廃止してくる、そうした経過の中で、私ども努力をしてきましたけれど、結局、相互支援という制度の基本は戻らなかったということから現在の取り扱いに至っていることはご理解いただきたいと思います。
府内私学の募集人員と入学者数の乖離がある中で、府内私学の維持にも私は大きな意味があると考えていますし、私学の支援にあたりましては、これまでから学校側に理解と協力をいただいてきたことを踏まえ対応する必要があると考えています。
今後とも学ぶ意欲のある高校生等のしっかりしたセーフティーネットを構築し、京都の私学に通う子ども達の明るい未来に向け精一杯努めて参りたいと思います。
【かみね】反対ばかりとおっしゃったが、建設的提案をしているのであって、改善すべき点は指摘をし、建設的にものを言っているつもりですので、その様にご理解下さい。
私学の授業料減免につきましては、私学の経営が厳しくて予算もないために、ある学校では100人の生徒がその制度を受けようと申し込んだけれども年収200万円の世帯でも受けられないという現実があったのですね。だから、私学の負担を残して良いのかと、私は指摘しているのであります。350万円の無償化も私学の負担がセットとなっていますから、それを保障するためには、私学の負担をなくす必要があるのでないかと求めているのです。その点から、やはり是正が必要ではないかと思いますので、もう一度お答え下さい。
府外に通う1600人の生徒が対象から外れる。子ども達の教育をどうするのですか。私は絶対に許せません。これは是正するように動いていただきたいと思います。もう一度お答え下さい。
【知事】私立高校の授業料の無償化についてですが、これはやはり協力していただく、その中で私学のみなさんも協力していただける、こういう協力関係の中で一番本当に京都の私学教育を充実させていくのが一番大切ではないかと思っておりまして、ほとんど私学の負担は350万円まで僅かしかございません。その中で協力していただけるという、そういう中で制度を実施していきているという事をご理解いただきたいと思います。
学費軽減等については、大阪府と滋賀県が府県外の通学生への支援を相次いで廃止してきた、その中で私ども孤軍奮闘してきた訳だが、やはり、府内私学の募集人員と入学者数の乖離がある中で府内の私学の協力を得ながらこの制度を行っていることを鑑みてこういう制度になっていることをご理解いただきたいと思います。
【かみね】1600人の大阪や滋賀県、奈良県に通う生徒が、この授業料無償化の恩恵、制度が受けられないということは、何とかしなければいけないのではないですか。是非とも、関係の府県知事と協議をし、前進をするよう強く求め、最後の質問に移ります。

小学校、中学校、高校で30人学級の実現を

【かみね】2点目は、一人ひとりの子どもにゆきとどいた教育を保障するために、小学校、中学校、高校で30人学級を実現することです。
中央教育審議会や調査研究協力者会議等の議論のなかでも、「子どもがわかる授業が大切。そのための教育条件整備として30人学級を」とか「少人数学級は、不登校の減少、学力の向上、子どもに落ち着きが生まれるなどの効果があった」、「多くの都市が生活集団、学習集団の適正規模を30人と考えている」などの意見が出されました。今30人学級は、国民運動を背景に、小中学校で実施している山形県をはじめ全国に広がっています。
本府は、来年度予算案の中で、30人程度学級を3年生から6年生まで実施するための教員増の予算案を提案しました。アクションプランに反して1年遅れとなったものです。ここで止まってしまってはいけません。府教育委員会の学び教育プランで義務教育を通じて少人数学級を実施する方向を打ち出していたはずです。中学校にも30人学級を拡大する計画を立てるべきです。いかがですか。お答えください。今、高校教育を無償化し、だれもが高校教育を受けられるようになってきたもとで、高校でも30人学級を実施していく時に来ていると考えます。教育長はどうお考えですか、お答えください。
【教育長】少人数学級についてだが、本府におきましては、これまでから一律的に実施するのでなくて、現場の判断を重視した柔軟な方法で京都式の少人数教育を推進してきたところです。この間、小学校につきまして、順次教員定数の充実を図ってきましたが、すべての小学校で30人程度の学級編成が可能となるよう、今議会においても所要の予算をお願いしている。また、中学校におきましては、これまでから少人数授業等を実施してきたところですが、府教育員会としては、学び教育推進プランで義務教育9年間を見通した少人数教育の推進が提言されているので、このプランの実現をめざして努力して参りたいと考えている。
また、高校については、設置されている課程や学科、生徒の進路希望に応じてこれまでから少人数での授業や講座を実施しているところですが、必要な教員定数の確保については、こうした地方の実情に合うよう、国に対し引き続き要望して参りたいと考えている。

競争激化、学校統廃合すすめる府立高校の包括外部監査 
知事は報告書と同じ立場か。 明確な態度示せ

【かみね】3点目は、府立高校の教育充実についてです。昨年3月に府立高校について、「包括外部監査報告書」が発表されました。ここでは、「学校間に競争原理を持ち込む単独選抜への移行を検討すべき」とか「北部地域の全日制高校17校中10校の募集定員が200人以下であり、計画的かつ早急に再編整備を進める必要がある」などと指摘しています。まさに競争激化、学校統廃合を進める内容であり、到底容認できません。
知事は、かつて新聞紙上で、今後は「学校、警察署など経営の観点から再編成、再整理が迫られている」とのべ、その通り進めてこられましたが、この監査報告書について知事は同じ立場同じ見解なのか、この際はっきり答えていただきたいと思います。
【知事】高校教育についてでありますが、同じ立場、同じ意見の人なんて、僕は無いと思いますよ、基本的に。みんなそれぞれの立場と意見を持っていて、それをどう調整していくかということだと思います。教育は次の世代の京都府を担う人材の育成等、極めて公共性が高い分野でありますので、入試制度や学校配置等につきましては、単に経済性や効率の観点だけでなく様々な見地から総合的に判断すべきものと考えています。
具体的な高校教育のあり方については、有識者や保護者をはじめ、多くの府民のみなさんのお声をお聞きしながら、教育委員会が責任を持ってこれは推進するものと考えています。

地方自治、平和の発信

地域経済と住民による地域づくりの努力を壊し、地域支える自治の力奪った市町村合併
合併押しつけた京都府に、知事は責任がないと言うのか

【かみね】第3の政策転換は、地方自治を再生し、平和を発信する京都府をつくることです。
1点目に、地方自治を守る問題です。
構造改革路線の柱の一つが市町村合併でした。知事は府議会で「行財政基盤の強化や日常生活圏の広域化に即応したまちづくりができる」と言って、京都で市町村合併をすすめる陣頭指揮をとりました。例えば、2004年当時、宮津与謝1市4町の法定合併協議会が、協議が整わず休止が続いていた時、京都府地方課が合併の調整を明記した会議招集の文書を出し、総務省出身の総務部長が市町村に乗り込み「法期限までの時間が限られている」などと合併を促しました。このことは、12月14日の新聞で「合併協議、府が調整」と大きく報道されました。京丹後市、相楽などでも同様のことが行われました。知事が市町村合併を押し付けてきたことは明らかです。押し付け合併ノーと自立の道を歩んだ伊根町では、今も健全財政を維持し、住民要求を次々実現し、生き生きとしたまちづくりをすすめています。
 しかし、合併をおこなった市町村はどうなったのか。南丹市で最近わが党がアンケートを取りましたが、「毎年行っている地域公民館の行事への補助金が全額カットされ、夏のつどいや秋の展示会、サークルの発表会などの運営が厳しくなった」とか「住民自治のかなめである地域振興会から常駐の市職員がいなくなった」。また「住民税、国民健康保険料、介護保険料等の負担が増えた」。「合併してよかったと思うことは何一つない」。その他の地域でも同様の声が聞かれます。旧来の町が持っていた機能が大きく後退し、地域経済と住民による地域づくりの努力が壊され、地域をささえる自治の力も奪われてきたのであります。
ところが知事は、9月議会で市町村合併について「最終的な判断は、正に市町村長さんが自分の地位をかけて判断したことであり、私はそれを尊重する立場にたっている」と答え、自らの責任を棚上げしています。知事、あなたには市町村合併をすすめた責任は一切ないのですか、責任をどう考えているのですか。お答えください。また、市町村合併によって、行財政基盤の強化や日常生活圏の広域化に即応したまちづくりができた、地方自治と住民自治も強化されたと考えておられるのか、明確にお答えください。
京都府地方税機構の問題も重大です。住民の顔を気にすることなく、財産の差し押さえなど強引に税金や国保税の取り立てが行える体制ができました。税金の相談を通じて住民のみなさんの生活苦に心を寄せ、総合的な生活支援を行ってきた、これまでの市町村の取り組みができなくなる危険があります。市町村が主体的に税金の税率や保険料などを決めることのできる市町村自治もないがしろになっていく危険性があります。こうした問題点の多い京都地方税機構が住民にほとんど知らされないまま強行され、「決まったら十分説明する」との約束も果たされないままです。まさに住民不在の行政であります。
知事は今年の年頭あいさつで、地域力再生プロジェクトや地方税機構にふれ、府民にとって何が必要かという観点で進めているといいました。しかし、知事が進めてきたことは、地域力再生どころか、住民自治と地方自治を破壊する道であります。今必要なことは、住民自治と地方自治の再生をはかることではありませんか。いかがですか、お答えください。
【知事】私は何か、情報操作の怖さというものを感じるのですよね。今、府内の市町村の中で、一番財政状況が悪いのは、申し訳ないが笠置町であります。合併をしていない町です。そういう中で伊根町をあげて、合併をしている所、合併をしていない所を比較されるのは、不公平な比較だと思っておりまして、そういったことを言っていかれるというのは、もう少し公平な形で分析をされてはと思います。
今、市町村の置かれた状況は大変厳しいものがあります。合併をしていない市町村も本当に厳しい状況におかれまして、特に相楽の東部は大変苦しい中で広域連合等、懸命の行政基盤強化に取り組んでいる事実があります。京都府の役割というのは市町村のこの様な自主的主体的判断を尊重する。合併する、しないにかかわらずそれぞれの市町村が自立した行政運営を行い、地域の多様な個性に応じた地域づくりが可能になるような支援を行うことであります。その上で、市町村の協議が難航することがあれば調整を行うということは、私達広域的都道府県の役割であります。そうした中で私どもは、これからも市町村をしっかりと支えて行く事が役割であると考えております。
同時に、京都府としても、未来づくり交付金を活用し、それぞれの市町村が抱える課題の解決を支援いたしますと共に、地域力再生プロジェクトや共にはぐくむ命の郷事業等により、市町村と共に住民自治の強化を努めていかなければなりません。
府税の共同機構につきましても、26の市町村、都道府県が、バラバラにシステムを改修しそれぞれやっていたのでは、府民の皆様から預かってきた税金に無駄が生じます。そういった点をしっかり共有して、住民自治を根付かせていくのが私ども京都府の役割と考えています。
【かみね】合併をしなくてもがんばっている一つの事例として伊根町をあげさせていただきましたが、笠置町も確かに厳しいことは間違いありません。そういったところについては大いに支援をして、自立の道を歩むことを府として積極的に支援をしていただきたい。要は、地方自治を尊重するという府政が必要だということです。
府が市町村合併を押しつけてきたその事実は消せません。そして、合併で何も良いことはなかったと多くの住民の方が思っておられるのも事実であります。この点で、合併を進めてきた知事の責任をしっかり自覚しながら、合併による弊害を是正する、そして国に向かって市町村自治、財政の確立のためにそういう役割を大いに果たしていただくよう、強く求めておきます。

普天間基地問題 地方自治と憲法九条の立場で、
知事は「無条件撤去を」と発信すべき

【かみね】2点目は、京都府としての平和の発信です。沖縄・名護の市長選挙で稲嶺進氏が勝利し、辺野古への米軍基地ノーの審判が下りました。ところが平野官房長官は、「市長選挙の結果を斟酌しなければならない理由はない」などと発言し大問題になっています。米軍基地は、世界のどこへでも出ていく遠征介入部隊、いわゆる殴り込み部隊であり、今も沖縄からイラクとアフガニスタンの戦場に2千人以上の兵士が派遣されています。普天間基地は、沖縄県民の意思にもとづき無条件撤去するようアメリカに交渉すべきであります。知事はどのように考えていますか、お答えください。
 沖縄の米軍基地の問題は、全国民の問題であり、かつて沖縄の施政権返還と主席公選に際して沖縄に完全自治をとアピールを発した京都府の問題でもあります。このアピールは、1968年8月14日に当時の蜷川知事と東京都の美濃部知事が連名で発表したもので、「沖縄県民の自治を忘れて東京と京都の自治はありえない。東京都民、京都府民が、基地問題、核問題はいずれも沖縄県民がだれよりもさきに、そしてより深刻に当面している課題であることを忘れない」と高らかに連帯を表明しました。それから4カ月後の12月17日には、京都府庁の玄関前広場に屋良初代公選主席を招き歓迎式典が開かれました。
 この歴史を思い起こすとき、今沖縄県民の平和への意思を京都府民として共有し、普天間基地の無条件撤去と沖縄の地方自治の発展のために、連帯した取り組みを起こすことが求められているのではないかと考えるものです。知事、過去の蜷川知事の行動を踏まえるとき、あなた自身も沖縄県民のために普天間基地の無条件撤去を発信すべきではありませんか。答弁を求めます。
【知事】普天間基地についてですが、沖縄県に米軍の基地が集中し県民に長年にわたり負担をしていただいている現状については、その負担を少しでも軽減することができるよう、日本全体として真剣に考えていかなければならない課題と考えています。この問題につきましては、知事会の戦略会議、私も出席しているが、そこでも議論したところだが、やはり基本的には沖縄県民の皆様の思いを共有し、県民の負担を少しでも軽減するために、まず、国において方針を示し、それに対し、知事会としてどういう考え方が示せるのかどうかを考えていくのが筋であるとの結論でありました。今後とも私どもそういう中でしっかりと議論をして参りたいと考えております。
【かみね】平和の発信についてですが、国がまず方針を決め、それから考えますでは、これは地方自治とは言えないのではないでしょうか。かつての蜷川知事と東京都の美濃部知事が地方自治の立場から、沖縄県民の意志を尊重してああいうアピールを出されました。そういう歴史を思い起こすべきではないでしょうか。国が決めたことでも、外交防衛に対しても地方自治体として独自の意見を持ち発信することは可能です。その立場はやはり憲法九条だと思います。憲法九条の立場で、そして憲法に定められた地方自治の立場ではっきりものを言うことを強く求めておきます。

切実な願いや解決すべき課題にまともに応えない知事
広範な府民と力を合わせて府政転換に全力尽くす

【かみね】今日の答弁を通じて府民の切実な願いや解決が迫られている課題について、それにまともに応えようとしない知事の姿勢が明らかになったと思います。私は、その根本には、自公政治が進めてきた構造改革路線にどっぷりつかった姿勢があるからではないかと思わざるを得ません。このような府政の転換をはかり、人、いのちが大切にされる府政を樹立しなければならないと痛感しました。
来る知事選挙では、日本共産党として、広範な府民のみなさんと力を合わせて府政転換に全力尽くすことをお誓いし、私の質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。

《他会派代表質問項目》

2010年2月9日

■田渕五十生(民主・京都市伏見区)

1 府政運営について

2 平成22年度当初予算の編成について

3 雇用対策について

4 地域経済の活性化対策について

5 外国人の観光誘客対策について

6 教育問題について

■小巻實司(自民・京都市下京区)

1 今後の府政運営について

2 平成22年度当初予算の編成について

3 医療問題について

4 観光振興について

5 青少年の健全育成について

6 七条警察署廃止後の跡地活用について

菅谷寛志(自民・京都市山科区)

1 「行政運営の基本理念・原則となる条例」

(仮称)について

2 関西広域連合について

3 経済・雇用政策における府市協調について

4 学校・病院等の公共施設の耐震化について

2010年2月10日

■岡本忠藏(創生・舞鶴市)

1 平成22年度当初予算案と歳入確保について

2 「子育てを支える子育てママ・パパ応援事業」について

3 舞鶴国際ふ頭について

4 教育について

 

2010年2月10日

■片山誠治(自民・南丹市及び船井郡)

1 地域経済への支援について

2 有害鳥獣対策について

3 府内産材の活用について

4 中山間地域における医療と救急体制について

5 交通網の整備について

6 夢、これからの京都について

7 府立園部高校附属中学校について

■北尾 茂(民主・城陽市)

1 行財政改革について

2 耐震対策について

3 地球温暖化問題について

4 府民との情報共有について

5 少年非行の防止対策について

6 

■村井 弘(公明・宇治市及び久御山町)

1 京都府政の今後の4年間について

2 関西広域連合について

3 医療体制整備について

4 伝統産業の振興について

5 漁業振興について

6 木幡池の整備計画について

7 ウトロ問題について