府政報告 1965 予算委員会知事総括質疑
●2010年予算委員会で日本共産党の西脇郁子議員、松尾孝議員が行なった知事総括質疑の大要を紹介します。
もくじ
西脇 いく子 議員・・・・ 1
松尾 孝 議員・・・・ 4
府議会予算特別委員会 知事総括質疑(2010年3月5日)
西脇 いく子(日本共産党 京都市下京区)
公立も私学も、すべての高校生に平等な修学保障を
【西脇】日本共産党の西脇郁子です。先に通告した数点について知事に質問致します。
「構造改革」によって社会保障や府民の暮らしは痛めつけられ、大きな傷跡を残しました。経済的理由で高校や大学の進学をあきらめたり、中途退学が相次ぐなど、子どもたちの貧困の連鎖が社会的な問題となりました。子どもたちの修学を保障することは、日本の未来に関わる大事なことではないでしょうか。国民の世論と運動の広がりでのなかで、公立高校無償化がいよいよ来年度から実施されることになったのは大きな前進ですが、それでもなお、ふさがなければならない穴があります。
私立高校授業料実質無償化の対象を、年収500万未満の世帯まで
【西脇】まず、私立高校生の場合です。
来年度の予算で、所得が350万円未満の世帯について、授業料を実質無償化にするとしていますが、私立高校の場合、私学に通う府内の生徒2万8390人のうち、わずか3パーセントの800人程度しかこの制度の対象になりません。京都府の場合も、せめて年収500万円未満にして対象を広げるべきと考えますがいかがですか。お答えください。
【知事】高校生の修学保障について。厳しい雇用・経済情勢を踏まえ、学ぶ意欲のある高校生へしっかりしたセーフティネットを構築し、京都の私学に通う子どもたちの明るい未来に向け、教育機会を保障していくために、今回、府立高等学校安心修学制度の予算を議会にお願いしている。この予算の内容自身は、おそらく、分かっているだけで近畿圏トップですし、全国でもトップクラスになっていると考えている。確かに、どんどん増やしていけばいいんでしょうけども、先ほど申しましたように、1年間で3百数十億、2年間で700億を超える税収減の中で、必死に行政改革を行ないながら、財源の捻出を行なっている。その中で、近畿圏のトップを実現するとともに、さらに今回、学費軽減補助も5万円に拡充するとか、また年収500万円未満の世帯についても、現在でも府内平均授業料の64万円を基準として、実質6分の5までの減免補助制度をもうけるとか、手厚く対応している。ただ、今後とも、実施状況は勘案して、代表質問でもお答えしたように、支援制度の検討は進めていきたいと考えている。
【西脇】やはり、「トップクラス」とおっしゃるが、改めて考えていただきたいのは、その中身。500万円以下の年収では、収入の1割以上が授業料に使われる。その上に通学費や制服代など本当に大変です。だからこそ大阪府の場合は、来年には、年収500万円未満に、再来年には680万円未満の生徒まで対象を広げようとしているのではないでしょうか。何よりも京都府自身もこれまでも、府立高校では、年収500万円未満の世帯には、授業料を減免してきたのではなかったでしょうか。改めてその基準を適用されるよう求めておきます。
他府県の私学に通う高校生も対象に
【西脇】また、この350万円未満の減免制度の問題は、他府県の私立高校に通う生徒は、排除されるということなんです。文化環境部の書面審査で部長は、「京都から大阪府や滋賀、兵庫県などに通う生徒は、1700人」と答弁されました。せっかく新しい制度を作っても最初から1700人もの生徒が制度から排除されることになりますがそれでいいんでしょうか。高校無償化の趣旨は、そもそも親の経済的な理由で高校中退や進学をあきらめることがないようにするということではなかったでしょうか。この趣旨から考えれば、当然、府外に通学する生徒についても制度を適用できるようにすべきと考えますがいかがですか?お答えください。
【知事】大阪府は、年度からいくと再来年度から。今年度は我々よりも内容的には低い形になっているということは、委員もご承知の通りと思っている。大阪府も、京都府に対してその制度は適用しないということもご存じだと思っている。まさに、私立高等学校の安心修学制度の府外生への適用については、大阪府と滋賀県が府県外通学生への支援を廃止した中で、本府は経過措置を設けるなど努力してきた。相互支援という制度の基本が戻らず、現在の取り扱いに至っていることに加えて、府内私学も募集人員と、入学者数の乖離がある中で、府域私学の教育力の維持・向上に重点を置く必要があること、さらに私学の支援に当たっては、これまでから学校側の理解と協力を頂いてきたことを踏まえ、私は採用する必要があると考えている。
【西脇】他府県に通う生徒の中には事情があってやむなく府外の高校に行く生徒、他府県から府内の高校に行かざるを得ない生徒もいるということは知事もご存じの通りと思います。知事は、これまでも「京都の学校に入ればいい」とか、「京都の私学はだいぶ余っている」などとも答弁されてこられましたが、10000人もの他府県から京都に通う生徒に対しても来るなといっていると同じではないしょうか。生徒たちや私学の実態をみない、また「法の下での平等」の原則にも反しているやり方ではないでしょうか。奈良県では、現在も他府県に通学する生徒は継続して適用しています。1700人もの生徒を救うためにも、まず京都府が実施されて、今度は、知事のリーダーシップの下で、廃止した大阪、滋賀県などに働きかけて頂くべきだということを指摘しておきます。
私学の負担をなくし、府が直接支援する制度に
【西脇】また、3つ目の問題があります。この制度には私学の負担がともなっているために、希望者全員が減免される制度になっていないということです。ですからこれまで私立高校によっては、年収200万円以下でも減免されず、府内の2万8380人の生徒の中でもわずか580人程度しか救われなかったではありませんか!京都府が直接、生徒に支援する制度に改めるべきではありませんか。お答えください。
【知事】減免制度のうちに、今回の実質無料化制度と同じものは、確か生活保護とリストラという形になっていたと思います。ですからその年収200万円以下の方で、生活保護の方で適用がなかったとすれば、問題だと思っているが、その中で今回はきちっと、350万円までは(基準を)上げていくという制度をこしらえたので、ご理解いただきたい。
【西脇】せっかくできた制度ですので、私たちも否定するものではない。よりより制度にしていただくために、最大限の努力を求めておきます。
修学旅行にも参加できない高校生をなくすための支援を
【西脇】次に授業料以外の負担の問題です。府立高校については、来年度から授業料は、全額無償となりますが、依然として修学旅行費や通学費、クラブ活動費など20万円から30万円もの授業料以外の負担は残ったままです。もともと授業料が減免されている生徒にとっては、新しい制度ができても効果はありません。先日の教育委員会の書面審査では、府立高校のなかで経済的理由で修学旅行に参加できなかった高校生が70名いることが明らかになりました。クラスの同級生たちと一緒に参加できなかった生徒たちとその親御さんの無念さを思うと、私も同じ親として本当にいたたまない思いでいっぱいです。また、積み立てができないために修学旅行そのものを取りやめた府内の定時制高校もあったとお聞きしています。修学旅行は、本来教育の一環だということは、書面審査で他の議員さんのところでも話があった。これに参加できないということは教育の機会均等の原則にも反するではありませんか。だからこそこういった生徒たちへの支援こそ必要ですが、今予算のなかで提案されている給付制奨学金について対象者は、住民税非課税の母子・父子世帯もしくは障害者世帯と極めて限定され、実質年間6万円の給付しかありません。給付制奨学金の対象者については、低所得の世帯を対象とし、給付額も引き上げるべきではないでしょうか。知事、どうですか。
【知事】すべてがすぐできればいいのかも知れませんが、先ほど申しましたように、350万未満の(世帯への)無償化、府立高校の無償化、本当に厳しい財政の中で我々は近畿圏のトップクラスを維持しているし、この高校生の給付型奨学金制度についても、子どもたちが安心して勉学に努められるように、授業料以外に必要となる学用品、通学用品などを対象とした支援金を支給するという、全国にも他に例を見ないんじゃないかと思うが、そういう制度として創設した。この事業の成果をみながら、今後の展開についても検討していきたいと考えている。
【西脇】あらためて今、京都府知事に求められているのは、知事自身もこの間言われたように、一人も経済的な理由で中途退学者を出さないように、そういう決意であらゆる手立てを尽くすことではありませんか。京都府としての努力を再度強く求めておきます。
市町村国保への独自補助を復活し、値上げを食い止める府の責任を
【西脇】次に国保問題について伺います。
高すぎる国民健康保険料の問題は、極めて深刻です。この3年間で国保料引き上げを打ち出したのは府内で16自治体、来年度予算案で引き上げを盛り込んだのはわかっているだけで10自治体にもなっています。綾部市、京丹後市では18パーセント、木津川市は17パーセントもの引き上げが打ち出されており、来年度1万円の値上げになる綾部市の70代の女性からは「食費を切り詰めているがこれ以上支出は増やせない」と悲鳴が上がっています。京都市では、2年連続の引き上げとなり、所得が300万円・夫婦と子ども2人の4人家族の場合、 4月以降45万3,750円にもなります。高い保険料払っても病気になったら、次は医療費の3割は自己負担、これでどうやって家族4人、食べていくことができますか。今でも滞納世帯は、毎年5万世帯、保険証を取上げられた世帯は4000世帯で、保険証がないために病気になっても病院に行けない。この事態は本当に深刻です。
高過ぎる国保料を少しでも引き下げて誰でも払える保険料にすることは、待ったなしです。こんな時こそ京都府として、高い保険料が払えないで困っておられる府民を正面から応援することが求められています。ところが、京都府は、山田知事就任前には7億円あった市町村国保への助成金を1昨年から全て廃止されました。そこで知事に伺いますが、なぜ多くのみなさんが高い国保料を払えなくて苦しんでおられる、そのさなかに、この助成金を廃止されたのですか?お答えください。
【知事】これは、国保の一人一人への補助金じゃないんですね。市町村への補助金になっているわけですから。市町村が自由に使えるような形で、一括化する方が時代の流れなので、私たちは未来づくり交付金の方に一括化して、それもその中でできるだけ幅広く、とくに地方の自由裁量でやっていくことによって、国保という役割分担のある事業については市町村が対応すべきだという形でさして頂いている。しかしながら、国保会計についてはこのままでいくとおそらくもたないと私は思っている。委員ご指摘ありませんでしたが、市町村毎にすごく差があるんですね。そうした状況の中で、たとえばあと10年たつと、伊根町とかいくつかの町村では65歳以上の人口比率が45%を越えるような時代になってきます。そうしたときに、私はもう一回、国の財政負担のあり方を考え、さらに都道府県もしっかり入っていかなければならない。しかしながら、保険というのは狭ければ、それは無理なんです。1600人の町で保険業務を営んでいくのは無理な時代へもう来てるんです。従って、都道府県単位での再編というものを、私はしっかりと主張して、いまそれに向かって研究会を続けている。そのときには私は、京都府もしっかりとした負担をしていく覚悟です。
【西脇】先ほどの助成金の件ですが、滋賀県や和歌山県、兵庫県、群馬県など他府県では、京都府と同じように確かに財政は大変ですが、それでも独自助成は継続してがんばっておられるわけです。これだけ多くの府民から高い国保料では、払いきれないと悲鳴があがっているのですから、少しでも保険料の引き上げを食い止めるために、やっぱり助成金、これは復活すべきと考えています。それについてはお答えください。
【知事】いま、個別の事業ごとに補助をするということではなくて、市町村の会計全体をにらんで補助をしていく。その中で私どもは市町村の、とくに小規模市町村については、3億円の枠を設けて支援枠を設けるなど、一生懸命支援しているわけですから、その中で対応していくべきと考えている。トータルでみて頂ければ、私は、京都府はどこの府県にも負けないと自信をもって言えると思います。
【西脇】未来づくり交付金の中には、もうメニューから外れています。経過措置ということで一昨年からなくなった。これは知事、ご存じだと思います。おそらく知事は、国保一元化の方がいいんじゃないかということをおっしゃるかと思うが、いまはそういうことの問題ではない。いま自身、国保の値上げで困っている方について、どう京都府が支援するか、どう値下げするかについて、問われているわけです。国保の一元化をしたとしても、これはおそらく国保料の平準化ということで、市町村に結果的には高い保険料を押し付けることになるのではないかと、私たちは危惧しています。いま知事は、どう京都府として、これだけの、大変な、手遅れになって死にそうになっている方、そういう方たちをどう救うか、このことに対して、府民のみなさんに対して、しっかりとその態度を示して頂きたいと思います。
子どもの医療費、小学校卒業まで府の制度として通院も無料に
【西脇】最後に子どもの医療費の無料化についてですが時間がないので要望にとどめます。子どもを育てる親にとって一番の心配は子どもの病気ですが、「親が給料日前だから病院に行けない」とはっきり言う子どもが増えたと養護の先生はおっしゃっているそうです。費用の心配をしないで安心して病院にかかれるようになることは、子育て世代の切実な願いです。知事はこれまで京都府の制度はトップクラスだと自慢してこられましたが、府内では京都市を除きすべての市町村で、さらに上積みして無料化が進んでいます。ついに綾部市や舞鶴市も拡充され、伊根町では、昨日、高校卒業まで無料にすることが発表されました。いよいよ残っているのは京都市だけです。命を守る制度に格差があってはなりません。京都市と一緒に小学校卒業まで通院も無料にすれば、さらに市町村も拡充がすすむじゃありませんか。今こそ、知事、制度拡充の決断をされるべきだと思います。このことを求めて、質問を終わります。
松尾 孝(日本共産党 京都市伏見区)
市町村合併して悪くなったというのが住民の実感
【松尾】日本共産党の松尾です。先ず、市町村合併についてお聞きします。
合併して6年がたちました。今、その評価が問われています。書面審査でも問題点や課題が厳しく指摘されました。「合併が農村の疲弊を促進したという説があるが、頷ける」。あるいは、知事が仰る「命の里」が疲弊した」、こういう厳しい指摘もございました。私もこれは同感でございます。住民サービスも低下し、「合併して悪くなった」というのが住民の実感ではないかと思いますが、知事はどう認識されているか、お答えいただきたい。
【知事】合併には、そのメリットもデメリットもあるということを私はずっと申しあげてまいりました。従いまして、メリットを生かして、どれだけデメリットを防いでいけるかが、非常に大きな市町村運営にとってのキーポイントになると思っております。
合併のメリットというのは、非常に効果的な行政ができる。または、専門職員を増やすことができる。規模のメリットによって、一定の安定的な行財政運営ができることもあります。そして、デメリットとしては、役場が遠くなるということもありますので、私どもは、地域力再生とか、命の里事業など、市町村も支援しながら、しっかりとデメリットの方を解消するための施策も講じていきたいと考えております。
知事の認識は甘い 現状をしっかり把握すべき
【松尾】知事のご認識は大変甘いのではないかというふうに私、危惧します。もっと、現状をしっかり把握する必要があるのではないですか。
私は、丹後の生まれでございますので、京丹後市の例を申し上げますが、合併前1011人いた職員さん、今795人、800人を割っています。旧町の役場には市民局がおかれましたが、当初は総務、福祉、事業の3課制でした。今は1課で、窓口係り、それから、よく中身がわかりませんけれども、協働係りというのがございます。職員も、久美浜町の場合で申しますと、合併前100人以上いたのが、この久美浜町役場に今11人です。保育所も、保育士さんの54%が臨時職員、所長さんもなんと半分が臨時職員です。統廃合が進められ、来年4月には、峰山と網野の保育所が民営化されます。給食調理業務の委託もどんどん進んでいます。小学校は31校から14校に、中学は9校から7校に統廃合する案が検討されています。
知事は、こういう状況をご承知でしょうか。良いところも悪いところもあるとおっしゃいましたが、これはもう本当にどれ一つとっても大変問題なのです。どう思われるか、お答えいただきたい。
【知事】これは、それぞれの市の運営のことですから、その内容についてはふれませんが、定性的な他に定額的なものを申し上げますと、今申しましたように職員数が減っているところがございます。しかしながら今まで、職員は無料で雇用していたわけではございません。その分、その合併前から全体で459人、6つの合併市町の職員が減っておりますが、それによりまして、合わせまして30数億円の人件費が削減されているのも事実であります。
そしてその上で、全国の類似団体との比較によりますと、全体としては、まだそうした市町村の職員数は多いというのが現状になっているわけであります。
そうしたことを考えた上に、こうした地方交付税自身も20年度分の類似団体と比べて、約100億円増額されております。つまり、片方で人件費が30数億円助かっている。また、類似団体よりも職員数が多い上に、交付税を100億円多く、そうした合併市町村は獲得しているというのも、客観的な事実としてあるわけであります。その上で、合併特例債によりまして、発行実績ベースでも交付税が増えた額は143億円になっているわけでありますから、財政上のメリットだけあげれば、たぶん合併していない団体に比べれば大きな差になっているのは事実であります。あとは、そうしたものをどうやって生かしていくのか、どういう選択をしていくのかというのは、これは私は、市町村の自主的判断になっていくのではないかなというふうに思っております。
小泉構造改革の下、市町村合併を強行・推進してきたのは知事
【松尾】今知事は、財政基盤強化ができているという内容のご答弁をされましたが、決してそんなことにはなってないのではないかというふうに思います。三位一体改革の下で、市町村財政は窮迫しているというのはご承知のとおりですし、健全化法で枠がはめられた結果、使おうにも使えないというような状況もあるわけです。(京丹後、福知山、南丹市、与謝野町、京丹波の合併)3市2町の特例債の枠は全体で、総務部に聞きますと、1070億円といいますが、現在使われているのは155億円、15%くらいのところなのです。職員数が減って、その分人件費が浮いていると、それだけ財政力が強くなったのだとおっしゃるけれども、市町村の仕事というのは、人がやっているわけです。先ほど申しましたけれども、保育士さんが半分以上臨時だと、所長さんが臨時職員さんだということになって、これは民営化の布石かという気もせんことない。そんな実態が広がっているわけです。あるいは、このほかにもいろいろと大変な状況がございます。さらに、これから10年経てば、京丹後市の場合は、算定替は終わるわけで、激変緩和措置も終わって、H32年度には交付税が25億円の昔の状況に戻るわけだ。今、決算規模280億の自治体の規模で、25億円交付税が減るというのは大変なことだと思いますが、それが、先ほど来申しておりますように、削れるところはなんでも削ると言わんばかりの状況を生み出しているということでございまして、財政基盤の強化などとは言えない、こう思いますが、いかがお考えですか。
【知事】確かに何年か経つと切れるのですけれども、それまで6町合わせて総額で1100億円の増額になります。これはやっぱり生かしていくというのが行政だと思います。
今、京都府におきまして、行財政の中で一番財政力が低いのが伊根町ですよ。公債比率が高いのが南山城村。そして、経常収支率が一番高いのが笠置町になっておりまして、行財政分野の安定の関係でもそうした面からすると一定の効果があるというは、先ほど示した定額的な数字だけでも、出ているわけです。
問題は、それをどういうふうに生かしていくのか、どういう形でやっていくのかということは、これは市町村の方の地方自治でありますから、私は、裁量だというふうに思っております。しかし、数字的には出ていることは、先ほどから申し上げているように間違いない。別に隠しているわけでもなんでもない数字でありますから、統計上出ている数字ですので、その点はご確認いただきたいというふうに思います。
【松尾】4ケタの金額が出ているのだというお話ですが、では、実際に合併したところで、良くなっているかというのが問題なのです。そうではないと、良いところと悪いところがあると言いますけれども、お年寄りが病院へ行くのに、夜久野町などが100円バスをやっていたのです町が。これはなくなった。多い人は540円払わなくてはならない。こんなことが起こったりしてくるのです。やっぱり、こういう状況をよくつかんで、変えていく必要があるというふうに思います。とにかく、下でまちづくりを支えていた力がどんどん失われているという実態もよく知る必要があるのではないかというように思います。市町村の困難の根底に国の悪政があることはもちろんですが、合併がこれに拍車をかけていることは、否めません。
知事は、しきりに「合併は市町村が決めたのだ」とおっしゃいますけれども、それは無責任だと私は思いますよ。小泉構造改革の下で、京都の市町村合併を強行・推進してきた責任が知事にあることは、私は間違いない、こう思います。その点からも、先ほども具体的に名前があがりましたが、伊根でありますとか、笠置でありますとか、これは合併に関係ないわけではないのです、伊根なんかは。合併はしなかったけれども、それを選択する過程で本当に住民自治が進んだ。そういうところで、あの平成17年には財源不足で予算が組めないのではないかと言われていたところが、20年の決算では8億の黒字を出している。あるいは、積立金も8億増やしている。こういう頑張りをやっているわけで、こういう小さいところに笠置も含めてしっかり援助をしていただきたいということを申し上げておきます。
トステム問題 雇用確保の見通しは
【松尾】次に、トステムの問題です。
綾部工場の閉鎖期限25日と聞いておりますが目前です。
知事は、加味根議員の代表質問への答弁で、「事業の再構築と雇用対策の推進などを、引き続き粘り強く取り組んでいきたい」、「綾部工場の活用も含め、しっかり対応するよう強く要請していきたい」、こう答えておられました。
一昨日の書面審査でも商工労働部長から、いろいろ提案しているが、現在、トステム内部で真剣に検討しており、「少し時間をください」とのことで、その回答を待っていると、こういうお答えがありました。
閉鎖をストップさせる何らかの手立てが期待できるのか。また、雇用確保の見通しはどうなるのか。お答えいただきたい。
【知事】(合併の問題で)そのまえに申し上げておきますけれども、知事がやったとか何とかいうことではなくて、それは、私は市町村にとって失礼だと思います。職を賭して頑張ってこられた市町村長の皆さん。合併によって職を失った方々、それでも議会は議決し、市町村長は責任をとってやられたのですよ。そうした市町村長の思いに対して、あたかも押しつけられたような形で言うというのは、私は、中央集権的な考え方にすぎないと思いますし、今の時代に合ってないと思います。まさに、地域における皆さんが一生懸命考えて選択をされた、だから伊根町は選択をしなかったし、そして、相楽の3町も選択をしなかったではないですか。そうしたことを踏まえながら、なにか、人のせいにしていくということでは、これは私は違うと思いますし、それは、今までそういう選択をされた市町村にとっても、大変失礼な発言であるというふうに思います。
トステムの綾部工場についてでありますが、綾部市とともに、トステムとの協議を重ねる中で、今回の綾部工場の活用については、単に要請するだけではなくて、今の綾部工場の使い方として、例えば、府内産材を活用するように具体的な事業の提案も行なうなど、今ねばりづよく取り組んでおりまして、何とか前向きな回答を引き出していきたいと考えております。
また、雇用に関しましては、2月26日に綾部市におきまして、ワンストップサービスデイを実施しましたほか、去る3月1日にも従業員の再就職の問題について、責任ある対応を行なうよう強く要望したところであります。
現在の状況については、正社員では170名中56名が配転、残りの方が就職活動中であります。非正規社員は75名が退職されたというふうにお聞きしております。
「トステムのやり方は脅し」 議員団のアンケートに労働者が回答
【松尾】合併問題で知事先ほど、おっしゃられたことで、99年に府が市町村財政研究調査会をつくって合併パターン8つをお示しになって、そこから一挙に進んだわけなのです。それだったら府なのですよ。知事もその時いらっしゃったと思うけれども、それをああいう言い方されるというのは、全然おかしい。経過からしてもおかしい、違う。
それで、トステムですが、知事から答弁をお聞きしましたが、私ども議員団として、アンケートを行なっていろいろと意見を聞いています。
創業以来ずっと働いてこられたという30代の方は、こうおっしゃっているのですね「何日までに退職届を出さないと、退職金を減額するとか、解雇するとか言われ、脅しとも感じられた。自分の意思で止めたわけではないので、強制するのは違法だと思う。」あるいはまた、「会社が就職を斡旋しているとは思えない。未だに何の連絡もない。このまま逃げようというのか。」こういう怒りをぶちまけておられる方もあるのです。
知事は楽観的な答弁をされましたけれども、ご承知の通りトステムは経営困難で綾部工場を閉鎖するのではないんです。グループの第3四半期決算では242臆円もの経常利益を上げているのです。工場の閉鎖は、大連に移して、もっと儲けを大きくしよう、こういうところから出発しているのです。こういう理不尽なやり方というのは絶対に許されない。私たちは強く憤りを感じます。
知事はトステムにコンプライアンスの重視を要請する旨、しばし強調しておられましたが、今からでも「退職強要」を撤回させるよう強く求めるべきだと思いますがいかがですか。お考えは。
【知事】合併について言われましたので私も言わなければいけないんですが、その委員会は、大多数が市長会と町村会の代表でできている委員会ですよ。ですから市町村長さんが、みんな議論されて一生懸命やられているんですよ。運よく、委員会は私が委員の一人だったから良く存じ上げています。ですからこの中で、私もおぼえていますが町村会の副会長と市長会の会長が、いろいろ激論を交わされてできた案件でありましてね、とてもじゃないが、私はその場におりましたので、そんな集めたものではございません。
トステムにつきましては、これは、私はトステムの正社員については最後の一人まで責任をもってサポートするというふうにお聞きしておりますが、コンプライアンスも含めて、強くトステムには求めていきたいと考えております。
府がトステムの労働者に対して緊急雇用対策を実施せよ
【松尾】雇用、再就職の件ですが、いままでの経過は、トステムまかせではうまくいかないと、こういうことであと二週間に迫っている。この際、府の責任で解決するというぐらいの決意を知事が持つべきではないか。最後の一人までサポートするというのは、トステムが言っていることで、京都府の知事がおっしゃっていることと違うんでしょう。これは。
トステムはその上、非正規の人たちは、らち外みたいな言い方をしているわけですよ。契約社員、この方も創業の時からずっと働いてきた、正社員と変わりのない労働者の方が、こういう人も含めて、府として一人も路頭に迷わせない、例えば、府が緊急雇用対策を打つというぐらいのことをやるべきだと思いますがいかがですか。
【知事】まさに、京都府は来年度予算におきましても200億円を超える雇用予算を計上して、そうした失業された方も、救済も含めての雇用対策に全力をあげているところであります。それは全体の中で考えるべきでありますので、一つの企業の個人という形は、それは行政からしては難しいのではないでしょうか。しかしながら、京都府といたしましても、こうしたトステムのみなさんの再就職については、全力を持って支援していきたいというふうに考えております。
【松尾】トステムのことだけやっているわけにはいかない、という言い分ですが、トステムは誘致した企業でしょう。京都府が造成した工業団地に誘致した企業なんですよ。しかも、先ほど来、指摘したように、まことに理不尽な、企業(論理)丸出しのひどいやり方をやって、二者択一を迫って、退職か、さもなくばもう解雇ですよと、こういうところを許しておくわけにはいかない。そこのところは、はっきりしていただきたいと思います。いろいろと予算では盛ってあると言われますが、対象はあそこで理不尽な解雇に遭遇している、そういう問題ですから特別に対策が必要だということを改めて強調しておきます。
デジタルテレビ入札 なぜ分割発注をやらなかったのか
【松尾】次に、ついこの間、スクール・ニュディール事業のデジタルテレビ購入問題を府としてやったわけですが、私どもは分割発注して、地元業者、本当に応援をしなければならない業者に仕事が行くようにすべきだと申し上げましたが、191台が一括入札で、東京の大手企業、大塚商会が落札しました。
中小企業庁も「ニューディールの趣旨に照らせばよくない。中小企業の受注機会を確保することが望ましい。法の精神とは違うのではないか」ここまでおっしゃっている担当もいるわけです。
京都市では、一度目の入札はヤマダ電機が全部落としましたが、二度目の入札は行政区に分割して分割発注されました。振興局や教育局単位で分割すれば充分できるわけですね。なぜこれをやらなかったのか。お答えいただきたい。
【知事】またその中小企業庁の担当の方の名前も教えていただきたいと思うのですが、お願いいたします。
私どもは、この問題についても分割発注できればそれに越したことはないと思っておりまして、その中で顧問弁護士にも相談し、担当が文科省でありますので、文科省のほうにも法律的な問題を含めて確認する中で、非常に危ない、危険であるという指摘を受けましたので、やむを得ず行なったところであります。今後は、分割発注できるように、文科省のほうにも制度的な問題を含めて検討していただきたいということを求めてまいりたいと思っています。
【松尾】分かりやすく言うと、WTOにかかるからダメだとおっしゃるが、同じ場所に同じ時期に納入すべき、例えば一億円の物があるとしましょう。それを時期を変えて4回に分けて2500万円ずつ発注するというようなことは、WTOの規制をさけるためにやっているということであって、こういうことは認められない。簡単に言えばこういうことなのであって、振興局、或いは教育局単位にやろうと思えば充分できることなんです。これをやらなかったというわけです。
そこで知事、ご承知かどうか分かりませんが、京都市の780台を一括落札したヤマダ電機がいま何をやっているかというと、一台2000円で町の業者さんに取り付けを下におろす、こういうことをやっている。まことにけしからん話だと思うんですが。京都市でそうなんで、南北に長い京都府の場合、大塚商会がわざわざ北の端までいってやりますか。そんなことを。必ず下へ投げるということになるんですよ。教育局で電気小売商の業界の方はどこでもおられるのですから。そういうところにいっておれば何のトラブルもなしにうまくいくんですよ。このテレビのあとの維持管理の問題もあります。そういうことをちゃんと考えてやることこそ合理的ではないか。それをやらないという府のやり方はまことにひどいといわなければならないと思います。知事、何かお答えはありますか。
府民の暮らしを守ること 中小地元業者を応援しようという気持ちがない
【知事】一括発注できるものを、わざわざ分割発注して、時期をずらしてやっているということについては、顧問弁護士さんからも大変危険な行為であるということになっているんです。さらにこれは、かつてご存じのように、道路公団で分割発注したために、全体に損害を与えたということで、背任行為に問われたという事例もあるということを松尾委員もご存じだと思います。ですからこそ私たちは、公明正大にきちっと法規に則った形でやっていくためにも、これから文科省に求めていかなければならないなというふうに思っているところであります。
【松尾】先程来、申してますようにね、京都市はちゃんと行政区に分けたんです。県レベルでも、三つの県で実際に分割発注をやっているわけです。私ども、知事に申し入れしていますが、ご覧頂いていますか。その中にちゃんとそのことも書いてあるんです。なぜそれがやれなかったのか。要するに、業者の方に少しでも応援しようかというお気持ちがなかったんじゃないですか。そういうことではね、本当に一番肝心な府民の暮らしを守るという京都府の仕事はできない。
合併問題、あるいはトステムの問題、共通した一番基本の問題だと思いますので、そのことを指摘して、そういう府政のやり方をきっちり改めるべきだということをね、強く求めて終わります。