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議会を終えて(談話)

府政報告 1966 議会を終えて_討論_意見書・決議案・採決結果

2010/03/17 更新
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●2010年2月定例議会が3月12日に閉会しました。「2月定例議会を終えて」、意見書・決議案討論、議案討論、意見書・請願結果一覧を紹介します。

もくじ
2月定例議会を終えて・・・・・・1
意見書・決議案討論・・4
議案討論・・・・・・・6
意見書案・決議案・・・・・・・・10
意見書・決議・請願結果一覧・・20

2010年2月定例議会を終えて

2010年3月16日
日本共産党京都府会議員団
団長 新井 進

 2月4日から開かれていた定例議会が3月12日閉会した。
今議会は、京都府知事選挙を目前に控え、「あんしん医療署名」の提出をはじめとする府民的運動の広がりの中で迎えた議会であった。我が党議員団は開会に先立つ2月1日に「2010年度当初予算案の発表にあたって」を発表し、山田府政が「構造改革」路線への反省と転換がないないため、府民の暮らしに「重くのしかかっている現実」に立ち向かえないものになっていると指摘し、暮らしの再生と府政転換にむけ、本会議や予算特別委員会の中で論戦し奮闘した。
 今議会には、平成22年度一般会計予算や追加議案を含め、61議案が提案された。わが党議員団は、一般会計予算、雨水巨大貯留管「呑龍」建設を含む流域下水道事業特別会計予算、過大な水需要予測にもとづく高い水道料金を押し付けている水道事業会計予算の、議案3件に反対し、他の議案には賛成した。

1、平成22年度一般会計予算については、知事は「続・京都温め予算」「追いだき予算」と呼んだものの、厳しい現実に立ち向かうものとはなっておらず反対した。
 その理由は第一に深刻となる中小業者の要望にこたえていないことである。
昨年度、京都の倒産件数が過去最高となる中、商工会議所・商工会への補助金は昨年に続き4千万円削減し、この5年間で3億5千万円も削減した。「融資枠を拡大した」というものの、業者の強い要望により実現した制度融資の2年間返済据え置きは、金融機関の圧力により実行されておらず、融資窓口も金融機関に丸投げしたままである。
第二に雇用対策、中でも企業に社会的責任を果たさせることができていないことである。
京都府が誘致したトステム綾部工場が3月25日に閉鎖されようとしており、労働者や地域経済に深刻な影響が出ている。京都府として誘致し支援してきた以上、トステムに違法行為をやめさせ、雇用責任を果たさせるべきである。
第三に、高い医療費の負担軽減に背をむける姿勢が浮き彫りとなったことである。府内市町村で国保料の大幅な値上げがあいついで提案されている時に、国が負担金を減らしたうえに、京都府もかつて7億円余あった補助を一昨年から制度をなくし、ゼロとしたことで、保険料値上げに拍車をかけたことは明白である。 
また、子どもの医療費の拡充は、京都府と同じ低い水準にあるのは、京都市のみとなり、改善が求められているのに、背を向けていることは重大である。
第四に、子どもの就学保障が極めて不十分である。提案された私立高校生授業料無償化の制度は、年収350万円未満で、対象はわずか800人程度、しかも府外に通う1700人は対象とせず、さらに私立高校負担があるため、学校によって制度を利用できない場合があるなど、教育の機会均等を奪うものである。また、昨年政府が行った授業料助成への交付税一人2000円を上乗せしたのに、京都府は実施せず、さらに来年度から国が5000円上積みしたにもかかわらず、実施を先送りしたことも重大である。
第五に、不要不急、無駄な事業の見直しがなされていないことである。同和奨学金償還対策事業、畑川ダム建設、天ケ瀬再開発、大戸川、川上ダム建設や京都地方税機構の負担金などは見直し、府民の暮らしと営業を支援するために使うべきである。

2、府民の運動と我が党議員団の論戦により府政転換の必要性が浮き彫りとなった議会であった。
非正規雇用率が全国ワースト2位となっている京都の深刻な雇用状況の下で、誘致・支援してきたトステム綾部工場の撤退により、377人が路頭に迷う事態に直面している。我が党議員団はトステムに働く労働者や労働組合等とともに、企業の社会的責任を果たすよう求めるとともに、関係市会議員団と連携し関係者への聞き取りなど地域経済と雇用の影響調査を行った。我が党議員団のアンケートには労働者から返事がよせられ、「何日までに退職届を出さないと、退職金を減額するとか、解雇するとか言われ、脅しとも感じられた。自分の意志で辞めたわけではない。強制するのは違法だと思うが、何も言えなかった。」「会社が本気で就職斡旋しているとは思えない」などの声が寄せられた。それらを元に京都府への申し入れや知事総括質疑などで追及した。知事は「コンプライアンスも含め、強くトステムには求めていきたい」と述べたものの、緊急雇用対策も含め、最後の一人まで府として対応する姿勢は示さなかった。また、雇用の問題では、すでに大量の派遣切りを行ったジャトコが、新たに派遣労働者を募集していることが明らかとなった。ジヤトコは違法な派遣切りを行い、労働局から直接雇用を行うよう指導されており、当然、派遣切りにあった労働者を直接雇用する責任がある。我が党議員団は、府としてジヤトコに対し優先雇用するよう働きかけを申し入れた。
緊急経済対策として実施された府立高校に地デジ対応の大型液晶テレビ191台などを購入する「スクール・ニューディール事業」について、京都府は入札を行い、年商4300億円、従業員6000人を超える東京の大手OA商社が落札した。福岡県等で分離分割発注等により、地元業者支援を行うなど努力されており、中小業者が入札の見直しを求め、また我が党議員団は入札中止を申し入れたが、それらを拒否したことは、深刻な中小企業への仕事起こしの願いに背くもので、重大である。
また、中小業者から「融資だけでは生き残れない」との声があがり、中小企業の機械リース代など固定費補助について、国会でわが党が実現を求めたところ、鳩山首相も「支援を検討したい」と述べたが、知事は冷たく拒否した。さらに秋田県では、緊急経済対策として「住宅リフォーム助成制度」を実施したが、京都府は公共事業や住宅着工件数が激減する中、その実現には背をむけたままである。
 市町村合併について、我が党議員団は、知事総括質疑で「合併して悪くなった」という実態の認識を追及したが、あいも変わらず「合併にはメリットとデメリットがある」と述べ、合併を押し付けてきたにも関わらず「市町村が議決し、市長村長が責任をもって実施した」と言い逃れに終始し、市町村合併による深刻な事態を生んだ責任に背を向けた。

3、「構造改革」が生み出した厳しい現実とトップダウンの府政運営に対し、知事選挙・参議院選挙を前にして、与党会派からも是正の声があがるなど、与党会派が追い込まれ、迷走していることも明らかとなった。
予算委員会書面審査では、入札競争によるダンピングで地元業者が疲弊しているという訴えや、有害鳥獣対策をはじめ中山間地域への支援を求める意見が他会派からも相次いだ。
また、「市町村合併で農村は疲弊した」「農協も、社協も森林組合もなくなり、役場もなくなった。中心市街地に全部集まってしまった。」「知事は『合併して、悪くは絶対しない』と答弁したではないか」と府の責任を問う声が出された。
「関西広域連合(仮称)特別委員会」で、関係府県知事があつまり協議した規約案等について報告があったが、「こんな重大な内容を、府民や議会と協力せず拙速にやるのは問題」(民主)などの批判が相次ぐこととなった。
予算委員会書面審査で、自民党議員から、公共事業の箇所づけ問題、さらに「京丹後市や宇治市から出されている職業訓練センターを廃止しないように国に働きかけてほしい」という要望をどこに提出したのかとする追及があった。政策企画部長は「民主党府連に届けた」「後の処理はどうなったか知らない」とまったく無責任な答弁をおこなうなど、民主党いいなりの本府の姿勢は大問題であり、地方自治を否定する態度である。
最終本会議では、公明党議員から、私立高校授業料無償化制度について「京都から他府県に通う生徒への支援策」を求めたが、これは我が党議員団の論戦が道理ある提案であることを示すものであった。

4、本議会に寄せられた請願や陳情に基づき、我が党議員団は10件の意見書・決議案を提案し、4会派提案の「保育制度に関する意見書案」は国の保育所最低基準の撤廃を容認するものであり反対した。
 我が党議員団提案の意見書・決議案は、国民健康保険料、子どもの医療費助成制度、私学授業料無償化、子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成等、いずれも府民の願いによるものであるにもかかわらず、我が党以外の会派がすべて反対したことは重大である。

 構造改革の影響が府民生活に極めて深刻な影を落とす中、知事選挙が目前と迫っている。我が党議員団は、「いのちの平等」「暮らしの再生」を訴える門ゆうすけさんを先頭に府政転換を図り、「ひと・いのちが大切にされる京都府政」をつくるため全力を挙げるものである。


以上

京都府議会 2010年2月定例会 閉会本会議

2月定例会 意見書案・決議案討論
山内よし子(日本共産党、京都市南区) 2010年3月12日

日本共産党の山内よし子です。わが党議員団を代表してただいま議題となっております意見書案と決議案11件について、4会派提案の「保育制度に関する意見書案」に反対し、その他の意見書案・決議案全てに賛成の立場で討論を行います。

 まずわが党提案の「国民健康保険料への国庫負担率の引き上げを求める意見書案」および「国民健康保険料(税)値上げを抑えるため市町村への財政支援を求める決議案」についてです。
年金生活者や不況で苦しむ業者が多く加入する国民健康保険料の値上げが相次ぎ、払いたくても払えない人が急増しています。滞納者が無理やり保険証を取り上げられ、病院にもかかれなくなって命を落とす、あってはならない悲惨な事件が起きています。
本府においても先日、西京区のタクシー労働者が、下血を繰り返していたのに資格証で病院に行けず、大量下血して病院に担ぎ込まれたところ大腸がんと肝臓がんを併発していることがわかりました。 またわずかな収入で暮らす父親と娘さんの世帯で、国保料22万円を滞納し、普通預金54000円が差し押さえられ、命と健康も、日々の生活も脅かされるような事態となっています。
 そもそも保険料がこれほど高くなったのは国が国庫補助を50%から25%へと半減したことが原因です。
 先日、わが党の小池参議院議員が高すぎる国保料の軽減を求めて質問しました。鳩山首相も「相当高いという実感はある」「財源確保に努力したい」と述べているのです。
 国民健康保険が本来の社会保障としての役割を果たし、国民のいのちと健康を守る制度として再生するためにも国庫負担率を引き上げると同時に、高すぎる保険料を緊急に引き下げるための国の財政支援が必要です。よって本意見書案への賛同を求めるものです。
 また府内の自治体では京都市が2年連続保険料を値上げし、4人世帯、300万円の所得で45万円もの保険料になり、また京丹後市や綾部市、木津川市でも20%近い大幅値上げとなっています。
 ところがこうした時期に知事は市町村を応援するどころか、市町村国保への補助金7億円をゼロにしてしまいました。 国の国庫負担の削減に合わせて同様に本府も市町村への国保の支援を打ち切ったのです。
補助の復活を求めた西脇議員の質問に対しても、知事は「市町村が対応すべき」と府民の痛みに心を寄せない冷たい答弁を行いました。
市町村の保険料の値上げに拍車をかける国保の支援打ち切りは、許すことはできません。今やるべきことは市町村へのあたたかい財政支援をおこなって保険料の値上げを抑制することです。よって本決議案への皆さんの賛同を求めるものです。
 
 次にわが党提案の「子どもの医療費助成の拡充を求める意見書案」と「子どもの医療費助成制度の拡充を求める決議案」についてです。
 子育て世帯の貧困と格差の広がりで、「財布の中を確認してからでないと子どもを医者に連れて行けない」「学校で医者に行くようにすすめても受診できない」など、深刻な事態が広がっています。
 先日の予算委員会でわが党のこくた恵二衆議院議員は「子どもの医療費無料化を国制度として行なえ」と質問し、鳩山首相は「優先課題」という認識を示しました。
 子どもの医療費助成の拡充は待ったなしです。
 今、府内各地の自治体において助成制度の拡充が急速に広がっています。伊根町でも来年度から高校卒業まで拡充、井手町、南山城村、宮津市でも拡充を予定し、さらに舞鶴市と綾部市も拡充の方向を示していますので、京都府水準のまま据え置かれているのは京都市だけになります。
 知事は京都府の子どもの医療費助成は全国トップクラスといっておられますが、京都府の水準では子どもの命が守れず不十分だからこそ、京都市以外の全ての自治体で、府の制度に上乗せをしているのです。全国トップクラスだと言ってる場合ではないのです。
府内のどこに住んでいても安心して医療にかかれるようにするためには、通院もせめて小学校卒業まで無料にすることが求められています。よって国に助成拡充を求める意見書案と、本府の助成制度を拡充する決議案に賛同をお願いするものです。

 次にわが党提案の「私学授業料の無償化に関する決議案」についてです。
 貧困の広がりと昨年来続く経済不況の元で、本府の私立高校に通う生徒たちの状況も極めて厳しく、学費が払えなくて卒業できなかったり、中途退学を余儀なくされる生徒がふえています。
 国の公立高校の無償化と私立高校生への支援が来年度から実施される予定ですが、私立高校生については授業料の負担が残ります。本府も国の財源などを利用して、就学支援制度の創設を提案されていますが、極めて不十分です。
知事は、大阪と滋賀が県外の私立高校に通う生徒への助成を打ち切ったことを理由にして、同じ府民でありながら、府外の私立に通う生徒1700人を対象から外しています。このことは教育の機会均等を奪うもので到底府民の納得を得られるものではありません。奈良や兵庫では継続しているのです。さらに府外から1万人近い生徒が府内の私立高校に通学しています。府外の私立高校に通う生徒も本府の支援制度の対象にし、さらに知事がリーダーシップをとって近畿府県の知事によびかけて相互支援を復活すべきなのです。 
また今回350万円以下の世帯に対して、授業料を全額無償化するとのことですが、学校負担があるために、学校が予算を組まなくては救われません。現在の府の授業料減免制度において、積極的に制度を活用している学校でも「100人分しか予算が組めないので、年収わずか200万円程度の世帯でも減免を受けられない」とおっしゃっているのです。
学校の事情に左右されずに必要な子どもたちの授業料を減免するためにも、学校負担をなくすべきです。本決議案は教育の機会均等を図り、公私間格差を是正し、子どもたちの学ぶ権利を保障するためのものであり、本決議案へのみなさんの賛同を求めます。

次にわが党提案の「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成を求めることに関する意見書案」及び「子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成を求めることに関する決議案」についてです。 
 子宮頸がんは、20代から30代のがんのうち、死因の第一位となっています。しかし予防が可能で、健診とワクチンの接種によりほぼ100%予防できるとされています。すでに諸外国では公費によるワクチン接種が行われており、日本においても昨年秋にワクチンが承認され、10歳以上の女児を対象に接種が始まりました。しかし費用が3回で5万円前後と高額なため、接種したくてもできないと言う声があがっています。
 経済的な理由で本来助かる命が失われることがないようにすべきです。
 本意見書案は国にワクチン接種費用の助成を求めるものであります。
 また決議案について、すでに全国の自治体で公費負担が広がっているなかで、本府として助成制度を設けて公費負担を促進しようとするものであり、本意見書案と決議案に賛同を求めるものです。

次にわが党提案の「30人以下学級の早期実現を求める意見書案」についてです。
 すべての子どもたちにゆきとどいた教育を保障するためには、1クラスの人数を引き下げることが必要です。すでに30人学級を実施している学校の教員は「30人以下学級になって子どものつまづきが見えてきた、つぶやきが聞こえてきた」と語っておられました。
 現在日本の学級編制基準は40人ですが、アメリカでは小学3年までは24人、6年生までは29人ドイツは小・中学校で30人となっています。日本は先進国中でも遅れたクラス人数編成が続いています。
 子どもたちに向き合う教員を確保し、標準法を改正して1クラスの人数を引き下げることは喫緊の課題であり、本意見書案への賛同を求めるものです。

次に4会派提案の「保育制度に関する意見書案」とわが党提案の「現行保育制度の拡充を求める意見書案」についてです。
 政府は、国が定める保育所や福祉施設などの最低基準の原則撤廃の方針を明らかにしました。
 この方針は、保育や介護など福祉の質を確保するために国が定めている施設基準について、原則として自治体まかせにするもので、保育所の園庭の設置義務や避難経路の確保、防災カーテンの使用など建築基準法に上乗せされた耐火基準も撤廃されることになります。
 また、待機児童が多い都市部では居室面積の基準も自治体に委ねることにしており、詰め込みをいっそうひどくしかねない内容です。
 本府においては知事が「全国一律の基準を決める必要があるのか。このような基準を設けて事業を進めていたのでは無駄がたくさん出てしまう」と国と同様の立場での主張をしておられます。基準があってもそれを上回る施設整備や人員配置などは十分に可能であり、基準の撤廃は保育の水準を後退させ、子どもの最善の利益を脅かすものです。
 国の動きに合わせて、すでに京都市においてはこれまで公的責任を保障してきたプール制の改悪が検討されていますが、ベテランの保育士が排除され、安上がりの保育が狙いで、多くの関係者や保護者から、これまでの保育の質が保てないと、大きな反対の声があがっているのです。
 4会派提案の「保育制度に関する意見書案」は「子どもたちのすこやかな育ちの場が保障されるためには行政の公的責任が不可欠」としながら、一方で国の保育所最低基準の撤廃を容認するものであり反対です。
 わが党提案の「現行保育制度の拡充を求める意見書案」は子どもの最善の利益を確保するために、現行保育制度の拡充を強く求めたうえで、地方の財源補償を求めるものであり、みなさんの賛同を求めるものです。

最後にわが党提案の「労働者派遣法改正案の抜本的修正を求める意見書案」についてです。
 今国会に政府が提出しようとしている労働者派遣法改正案は、意見書案でも述べられているように、常用型派遣を規制の対象外とし、登録型派遣の専門26業務は禁止の例外としているなど、この「改正案」のままでは、派遣労働の現場は、これまでと同じような「使い捨て」がまかり通り、低賃金で劣悪な労働条件も改善されません。
 さらに規制緩和を進める改悪部分も含まれており、派遣先による「事前面接」の解禁や専門業務で働く労働者に対する直接雇用の申し込み義務の適用が除外されています。
これでは派遣先に採用権を与えながら、雇用責任は免除され、派遣労働者の正社員への道も閉ざされてしまいます。 政府案は財界の圧力に政府が屈したといわれても仕方のない中身です。
日弁連も政府案に反対を表明し、先日労働者派遣法の抜本改正を求める意見書を厚生労働大臣に提出したところです。
雇用は正社員が当たり前であり、派遣は臨時的・一時的な業務に限定し、正社員を派遣に置き換える常用代替は禁止するという原則に立った抜本改正が求められているのです。
本意見書案への賛同をお願いし、討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。

2月定例会 議案討論

梅木紀秀(日本共産党、京都市左京区) 2010年3月12日

 日本共産党の梅木紀秀です。議員団を代表して、ただいま議題となっております議案61件のうち、第1号、第9号及び第13号の議案3件に反対し、他の58件に賛成する立場から討論を行います。

 まず、第1号議案「一般会計予算」についてです。

 昨年の総選挙で、有権者は、貧困と格差を拡大し、増税と負担増を押し付けてきた自公政権に退場の審判をくだし、「生活が第一」と訴えた民主党に、後期高齢者医療制度の廃止をはじめ、削減された社会保障の復活と、暮らしを応援する政治の実現を求めました。ところが、政権発足から半年がたち、政治とカネの問題をはじめ、後期高齢者医療制度の廃止を先送りにし、労働者派遣法の抜本改正を骨抜きにするなど、民主党政権への失望が広がっています。このような時、京都府政には、府民の暮らしと営業の深刻な実態を把握し、府民の暮らしと営業を応援する、心のこもった施策が求められています。知事は、来年度予算案を「続・京都温め予算」「追いだき予算」と呼びましたが、そうなっているでしょうか。

固定費補助、住宅リフォーム助成に背を向け、デジタルテレビは一括入札強行で大手が落札   中小業者の実態をみない知事

まず、中小業者への支援の問題です。
 府内の中小業者の営業は、いよいよ深刻さを増しています。ところが知事は、今年度予算で、商工会議所・商工会への補助金を4千万円削減し、中小企業団体中央会への補助金も1千万円削減したのに続いて、来年度もさらに商工会議所・商工会への補助金を4千万円削減しています。実に、この5年間で3億5千万円も削減したのです。これで、中小業者を支援していると言えるでしょうか。確かに預託金は、来年度増額し融資枠は拡大されますが、融資が実行されるかどうかが問題です。業者の強い要望で実現した2年間の返済据え置きも、現場では、金融機関の圧力で実際には実行されていません。融資窓口も金融機関に丸投げしたままです。
また、「融資だけでは生き残れない」という中小業者の声は切実です。国会で、わが党の志位委員長が、「中小業者が営業を継続し、日本のものづくりの技術を残すために固定費の補助を」と求めたのに対し、鳩山首相は「ものづくりの技術は日本の宝」「支援を検討したい」と答弁しました。にもかかわらず知事は、固定費補助の願いに背を向けたままです。
また、公共事業が削減され、住宅着工件数が過去最悪となる中、緊急経済対策として「住宅リフォーム助成制度を」と求める業者の声にも耳をかそうとしていません。与謝野町では、6700万円の助成で9億円を超える住宅リフォーム工事が、与謝野町の地元の業者に発注され喜ばれています。住民からはトイレの水洗化工事が対象になったことが歓迎され、水洗化率が向上しています。
また、3月1日から制度を開始した秋田県では、本庁だけで1日20件から30件、8つの振興局にも、それぞれ1日5件から10件、あわせれば1日100件前後の問い合わせが殺到しているということです。12億6千万円の予算を組んでいますから、およそ150億円の仕事が秋田県の業者に発注されることになります。
住宅の耐震化率90%を目標に、住宅耐震改修助成制度ができて3年になりますが、3年間の実績はわずか100件です。これで、2015年度までに2万3千戸の目標が達成できるでしょうか。住宅の耐震化をすすめるためにも、住宅リフォーム助成を合わせて実施すべきです。地元産材の活用、エコ住宅、バリアフリー化など政策目的と合わせて、この時期にこそ緊急経済対策として実施すべきです。
さらに問題なのは、緊急経済対策として実施された府立高校に地デジ対応の大型液晶テレビ191台などを購入する「スクールニューディール事業」の入札です。入札の結果、年商4300億円、従業員6000人を上回る東京の大手OA商社が落札しました。福岡県などでは分離分割して、地元業者に発注しているのですが、京都府は、中小業者の申し入れにもかかわらず入札を強行したのです。「京都の電気屋が怒りまっせ」と新聞にも報道されましたが、「中小業者の実態を知事は知らないのか」と強い怒りの声が広がっています。予算委員会の書面審査では、入札競争によるダンピングで地元業者が疲弊しているという訴えが相次ぎました。地元業者への発注と公契約条例の制定で、労働者や中小業者が適正な収入を得ることができるルールを確立し、地域経済を立て直すことが求められています。

トステム労働者の雇用問題  大手企業に社会的責任を果たすよう強く求めよ

次に雇用対策についてです。いよいよ3月25日に、トステム綾部工場が閉鎖されようとしています。知事総括質疑でも紹介しましたが、トステムの労働者から「何日までに退職届を出さないと、退職金を減額するとか、解雇するとか言われ、脅しとも感じられた。自分の意志で辞めたわけではない。強制するのは違法だと思うが、何も言えなかった。」という訴えや「就職あっせん先が京都市内では通えない」「会社が本気で斡旋しているとは思えない」などの声が寄せられています。京都府はこれまで企業に71億円もの雇用確保のための補助金を支出してきましたが、中小企業は不況の中でも歯を食いしばって雇用を確保しているのです。ところが、大手企業は不況になれば、簡単に労働者を解雇し、儲けるためには、いとも簡単に国内の工場を閉鎖し、海外に工場を移転するのです。雇用や地域経済をかえりみない大手企業に対して、社会的責任を果たすよう強く求めていかなければ、京都の経済を守ることはできません。大量の派遣切りを行ったジャトコが、生産が上向いたのか新規採用を募集していますが、違法な派遣切りで職を失った人たちを優先雇用するようジャトコに働きかけるべきです。それが京都府の責任です。

府の「私立高校授業料無償化」には ふさがなければならない穴が

第3に、子どもの教育保障の問題です。昨年の2月議会の議案討論で、私は「私立高校の授業料滞納者は、全国で約2万5000人、京都でも500人にも上っている」という事実を紹介し、経済的理由による中途退学者を出さないために、助成の強化を求めました。その後、貧困の世代間連鎖が社会問題となり、自民党も総選挙では「給付制奨学金」の創設、「高校授業料の無償化」をマニフェストに掲げました。世論の広がりで、高校授業料の無償化が前進しましたが、中途退学者を出さないためにはまだまだ塞がなければならない穴があります。先ほど、意見書討論で山内議員が述べたとおりですが、京都府には改善の努力が求められています。
また、政府は私学の授業料軽減のために、昨年はじめて授業料助成として一人2千円、交付税を上乗せしました。ところが、知事はこれを今年度は上乗せせず、来年度から2千円アップして5万円にすると提案しました。父母から、「今年度、2千円が追加支給されると思っていたのに」との声が寄せられました。とりわけ3年生の父母は「来年ではもらえへん。京都府のフトコロに入るだけか」と怒っています。2千円×3万人で6千万円です。来年度はさらに授業料助成として一人5千円アップされますが、これも補正する予定がないと部長は答弁しましたが、補正予算を組んで、一人5万5千円に増額すべきです。経常費分と合わせれば、3億円もの交付金を京都府のフトコロにしまいこむことになるではありませんか。国からは、生徒の居住地に関わらず交付されているのですから、府外の私学に通う高校生も授業料助成の対象にして、支給すべきです。合わせて、強く求めておきます。

市町村国保への補助制度をなくし、子どもの医療費拡充に背を向ける府政

第4には、医療費の負担軽減の問題です。府内市町村で国保料の大幅な値上げが行われようとします。知事総括質疑で指摘した通り、国が負担金を減らしたうえに、京都府もかつて7億円あった補助を削減し、現在はゼロ、補助制度そのものをなくしてしまいました。市町村の値上げに拍車をかけたと言わざるをえません。
また、子どもの医療費の拡充についても、いまや全国トップクラスとはいえない状況です。新型インフルエンザをはじめ、各種のワクチン接種でも、「お金の心配をせずに子どもたちに受けさせたい」と子育て世代の願いは切実です。だからこそ、伊根、南山城、井手、宮津、綾部、舞鶴などで相次いで、府制度への上乗せが実施され、京都市内の子育て世代から、「なぜ京都市でやってくれないのか」と拡充を求める声が広がっています。知事がおっしゃる通り「京都市民も京都府民」です。京都府が制度を拡充することで、京都市内の子育て世代の願いをかなえることができるのです。

一方で、不要不急のムダな事業  一般会計予算に反対

第5には、不要不急、無駄な事業の見直しについてです。
 同和奨学金償還対策事業、畑川ダム建設、天ケ瀬再開発、大戸川、川上ダム建設や京都地方税機構の負担金などは見直し、府民の暮らしと営業を支援するために使うべきです。
 以上、第1号議案は、不況で営業と暮らしがいよいよ困難になっている府民の願いにこたえるものにはなっておらず、反対するものです。

他会派議員も、市町村合併を推進し、農村を疲弊させた知事の責任を追及

なお、書面審査では、部局を貫いて中山間地域への支援を求める意見が相次ぎました。また、ある委員は「市町村合併で農村は疲弊した」「農協も、社協も森林組合もなくなり、役場もなくなった。中心市街地に全部集まってしまった。」「知事は『合併して、悪くは絶対しない』と答弁したではないか」と府の責任を追及いたしました。「平成の大合併」のかけ声の下、総務省が強力に合併をすすめ、総務省出身の知事が「合併して悪くはしない」と約束し、総務省から来た副知事が府内を走り回って合併を推進してきたことは、誰もが認める事実です。知事はそれでもなお、「提案したのは首長、決めたのは議会」と責任を回避しています。また「合併しなかったら大変なことになっていた」と知事は言いましたが、まさに、段階補正を縮小し、地方交付税を削減してきた総務省の立場からの発言です。合併せずに、住民が力を合わせて、ふるさとを守り、町民の暮らしを守っている自治体の姿こそ、あるべき自治体の方向であると知事は思いませんか。
また、知事がすすめる「関西広域連合」は、府県の財政を大阪に集中することで、大阪を活性化させようという関西財界の道州制構想につながるものです。「究極の構造改革」と言われる道州制では京都が疲弊し、農村部がさらに衰退することは明らかです。

国への要望で、民主党いいなりの府の態度は大問題

さらに、書面審査では、自民党議員から、公共事業の箇所づけ問題に続いて、「京丹後市や宇治市から出されている職業訓練センターを廃止しないように国に働きかけてほしい」という要望をどこに提出したのかとの追及がありました。政策企画部長は「民主党府連に届けた」「後の処理はどうなったか知らない」とまったく無責任な答弁をおこない、商工労働観光部長は「これから3月中旬に、厚生労働省に働きかける」と答弁しました。地方分権と言いながら、民主党いいなりの府の態度は大問題です。厳しく抗議し、是正を求めておきます。

 次に、第9号議案「流域下水道事業特別会計予算」についてです。
 治水対策は、多額の費用をかける巨大貯留管方式ではなく、小規模貯留管の敷設や河川改修などによって行うべきであり反対するものです。

 次に、第13号議案「京都府水道事業会計予算」についてです。
 過大な水需要予測による過大な設備投資の結果、市町にムダなカラ水を押し付け、府民には高過ぎる水道料金としてはねかえっています。黒字になっている府営水道会計から支援すべきであり、予算案に反対するものです。なお、府営3水道の連結で、水道料金が値上げにならないか関係市町および住民は心配しています。過大な基本水量を見直し、カラ水料金を是正すること、黒字になっている府営水道会計や一般会計からの支援を含め、府民の生活を圧迫している水道料金の引き下げに努めるよう求めておきます。

「構造改革から暮らし・ふるさと再生へ」「いのちの平等」掲げる府政の実現を

最後に一言申し上げます。山田知事にとって最後の議会となりました。知事は、「構造改革に同感」と洛東病院を廃止し、出先機関の統合をすすめ、市町村合併をすすめてきましたが、府民の暮らしはよくなったでしょうか。地方自治体の仕事は、住民のいのちとくらしを守ることです。この8年間を振り返れば、農村は疲弊し、商店街は衰退し、中小業者の廃業が相次いでいます。国の言いなりどころか、率先して総務省の方針を京都に持ち込んできた山田知事の責任は重大です。
「構造改革から暮らしの再生へ」「構造改革からふるさとの再生へ」と多くの府民が府政の転換を求めています。「いのちの平等」を掲げる府政の実現めざして全力を挙げる決意を表明して、私の討論を終わります。ありがとうございました。

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