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本会議質問

2010年6月定例会 前窪代表質問

2010/06/27 更新
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●2010年6月定例議会が6月14日に開会しました。6月17日におこなった前窪義由紀議員が行なった代表質問の大要と、他会派議員の代表質問項目を紹介します。

もくじ
前窪義由紀代表質問・・・・ 1
他会派議員代表質問項目・・13

6月定例会 代表質問

前窪義由紀(日本共産党、宇治市及び久御山町 2010年6月17日

民主党政権の根本には、異常な「対米従属」「財界・大企業の横暴な支配」

【前窪】日本共産党の前窪義由紀です。議員団を代表して知事並びに関係理事者に質問します。
鳩山前首相は、わずか8カ月余で退陣に追い込まれました。「政治を変えてほしい」という国民の期待と、自ら掲げた公約を裏切ったことに対する、国民の大きな怒りが政治を動かしました。
政権を引き継いだ菅首相は、前首相の辞任によって、普天間基地問題、「政治とカネ」の問題は、「けじめ」がついたとのべました。しかし、普天間基地を辺野古に移設するとした「日米合意」は引き継ぎ、小沢前幹事長の金権疑惑にも、本格的にメスを入れる気もなければ、構えもありません。さらに、公約を投げ捨て、後期高齢者医療制度廃止の先送り、労働者派遣法改定案の骨抜きにしている問題でも、全く反省がありません。これでは国民の期待にこたえることはできません。
その上、消費税増税の検討を打ち出しました。財界の求めに応じる大企業には減税、国民には消費税増税という道は、庶民の暮らしと景気を破壊し、経済危機を一層深刻にするもので、絶対反対です。
民主党政権の根本には、異常な「対米従属」「財界・大企業の横暴な支配」から抜け出す立場がないという大問題があります。いま、平和の問題でも、暮らしの問題でもアメリカや財界言いなりの政治でいいのかが問われています。

普天間基地問題 日米合意の撤回を国に迫れ

【前窪】そこで質問に入ります。
まず、普天間基地問題についてです。
鳩山前首相は、「国外、最低でも県外」を公約しながら、「海兵隊は抑止力として必要」とし、結局は沖縄・辺野古に新基地をつくり、米軍の訓練を徳之島や全国に広げるという、自公政権時よりひどい「日米合意」を行い、菅新内閣も、耐え難い「重荷」を県民に押し付けようとしています。
海外に駐留する米軍総数は、ソ連崩壊後に約61万人から約28万人へと半数以下に減っているにもかかわらず、在日米軍は、基地面積が2倍以上に広がり、米兵数は約4万人と、ほとんど変わりません。その米軍基地の75%は沖縄に置かれ、主力が「殴り込部隊」と恐れられている海兵隊です。この間、「少女暴行事件」「ひき逃げ事件」「ヘリコプターの墜落」などが頻発しています。
日本共産党の志位委員長は、アメリカを訪問し、5月7日、米国務省でケビン・メア日本部長らと会談し、「沖縄の人たちの我慢も限界を超えている。もはや日本国内のどこにも、地元合意が得られる場所はない。普天間基地問題の唯一の解決の道は、移設条件なしの撤去しかない」と米政府に求めました。帰国後、志位委員長と懇談した仲井真沖縄県知事は、沖縄の思いをアメリカに伝えたことに感謝をのべられました。
今こそ、日本政府は、県民大会に結集した9万人の声、沖縄県民の総意にこたえ、基地の無条件撤去を求め、アメリカ政府と腰を据えた交渉を開始すべきです。
そこで、知事にお聞きします。
「地方主権」を標榜する知事ですが、その立場に立つなら、沖縄県、市町村、県民あげて反対している今回の「日米合意」は、撤回以外にありません。沖縄の重荷を取り除き全国に拡散させないために、公約を守り「日米合意」を撤回せよと、政府に迫るべきではありませんか。明快な答弁を求めます。
また、政府が一部訓練の受け入れを全国知事会に求めたのに対し、橋下大阪府知事は、政府との協議に応じる必要性を訴えましたが、他県知事から「移転に反対している県民感情に配慮すべきだ」など異論が相次ぎました。一方、山田知事は、知事会として協力表明をするはずだったのに、修正されて残念だと、記者会見で語りました。
ほとんどの知事が受け入れ困難と表明している中で、知事会の見解が修正されたのは当然ではありませんか。なぜ残念なのか。お聞かせ下さい。
知事は、米軍訓練施設を、京都府内にある舞鶴、福知山、桂、宇治、城陽、精華などの自衛隊基地で受け入れるつもりでもあるのですか。お答え下さい。
【知事】前窪議員のご質問にお答えします。まず普天間基地問題についてでありますが、この問題については、まず、日本の防衛とは如何に行なうべきかという観点を政府が明らかにして、その中で、基地に対する考え方を地方に対し説明するところから始まるべき、だと考えております。そして、私ども全国の知事は、沖縄県に米軍基地が集中し、県民のみなさんに、長年にわたり多大な負担をいただいている中で、沖縄の負担を軽減することは、国民共通の思いではないでしょうか。その意味で、全員が力をあわせて協力していかなければならないという見解を、率直に表現すればよかったのではないかと考えて、残念と表現したものであります。なお、自衛隊基地での訓練施設の受け入れにつきましては、まず、最初にのべましたように、政府において、基地についての考え方を明確にしていただくことが必要でありまして、国から充分な説明提案がない中で、こちらから言うような筋合いのものではないと考えております。
【前窪・再質問】普天間問題でありますけれども、毎日新聞と琉球新報が行った世論調査があります。辺野古移設は84%が反対しています。9万人が集まった県民集会には、県内の41市町村、若干の代理もあったようですが首長さんが参加されました。沖縄県議会では、鳩山首相が二回目に沖縄を訪れたときに、県議会は、鳩山首相との面会を拒否して、「県内移設反対、断念せよ」と、私ども共産党議員団、自民党議員団までもそろって36人がそろい踏みで座り込みをした。こういうことであります。
 みなさん、私はこうした県民の願いに答える、このことが、山田知事が本当に協力すると言うのであればこの沖縄に協力すべきであって、政府に協力するというのは、筋が間違っているじゃないかと思うんです。
日米合意の白紙撤回、普天間基地の無条件撤去、沖縄の痛みを全国に拡散させない。この立場に立つことこそ、知事に求められていると思います。
歴史を少し戻しますと、昭和29年1月、これは閣議決定があるんですが、若狭湾を含む「中部日本海空戦訓練区域」、ここに米軍の訓練を使用させる決定をした。そして、翌年4月頃まで米軍の演習が実施された。若狭湾に隣接する舞鶴の漁業者あるいは漁協、教職員組合など大きな反対運動が起こった。そういうことが舞鶴の市史に書かれています。
知事は明確に、京都府内への米軍の一部訓練の受け入れをやらないということを明言していただきたい。
再答弁を求めます。
【知事・再答弁】自衛隊の基地の問題ですけれども、何も言われていないのに、反対も賛成も無いと思いますので。私も手をあげる気もありませんので、それははっきりと言ってきたところであります。

正々堂々と国民の立場で大企業にもモノを言いルールある経済社会を

【前窪】経済と暮らしの立て直しも待ったなしです。
この10年間、「構造改革だ」「国際競争力だ」と、一部の大企業だけを巨額の減税などで応援し、家計を痛めつける政治が続けられてきました。その結果、日本は主要7カ国でただ一つ、GDP国内総生産が伸びていない「経済成長の止まった国」「国民が貧しくなった国」になってしまいました。
一方、正社員の派遣などへの置き換え、リストラと賃下げ、下請けたたきなどで、大企業の内部留保は142兆円から229兆円に急膨張しています。労働者派遣法の問題、下請けいじめ、社会保障の切り捨てなど、どの問題でも暮らしを壊す震源地は、財界の身勝手と横暴があります。いま政治に必要なのは、正々堂々と国民の立場で大企業にもモノを言いルールある経済社会への転換です。

日本経済の「根幹」中小企業への支援・雇用問題

下請け2法の運用 府も相談窓口を設置 調査・指導が出来る仕組みを

【前窪】そこで、日本経済の「根幹」中小企業への支援・雇用問題についてお聞きします。
まず、下請け2法の問題です。
下請け単価が、際限なく切り下げられて、社長の給料も、従業員の給料も払えない事態に追い込まれています。
久御山町のある機械金属加工業者は、「仕事が入っても単価が半分程度に下げられた、私らの給料も出ない、跡継ぎの息子をアルバイトに出した」と、訴えました。「絞ったタオルでも、もう1回絞れば水が出てくる」というやり方で、下請け単価も絞りに絞れと追い込んでいるのです。働く人の7割を占める中小企業の労働者の賃金も、大企業の50%水準にまで落ちています。
経済の根幹を担う中小企業が元気にならなければ、地域経済の再生はありません。そのため大企業と中小企業の公正な取引を保障するルールが必要です。
現実はどうでしょうか、最近5年間で、公正取引委員会が、下請け代金法に基づいて親企業による「買いたたき」に対して是正勧告したのはわずか1件、「一方的な発注打ち切り」の是正勧告はゼロです。
また、下請振興法は、下請け単価は「下請け中小企業の適正な利益」を含み、「労働条件の改善」が可能となるよう、親企業と下請け企業が「協議」して決めなければならないと定めていますが、実効があがっていません。           
わが党志位委員長の下請け2法徹底の質問に、前首相は、「下請け法の厳格な実施をはかる」と約束しました。これは総理が交代してもぜひ実行させる必要があります。
下請けの社長さんに話を聞きますと、親会社の不正を訴えるなどということは、とてもできない。そんなことをすれば仕事がなくなってしまう。と訴えられました。だからこそ、申告待ち、まず書面調査という、現在の下請け検査のやり方を転換し、抜き打ち検査など主導的に検査に入る仕組みが必要です。
国に対し、下請け2法の運用改善を求めるべきでありませんか。お答え下さい。
また、本府としても、相談窓口を設置するなど本腰を入れるべきです。そして、公正取引委員会と連携・協力し、調査・指導が出来る仕組みをつくるべきだと考えますが、いかがですか。
【知事】次に、中小企業支援についてでありますが、中小企業の経営にとりまして、下請取引に関するルールが厳守されることは非常に重要であり、これまでも公正取引委員会と連携して、講習会の実施等普及啓発に努めますとともに、関係団体や発注企業に、下請代金支払遅延等防止法の趣旨を徹底してまいりました。また、京都産業21に、下請けかけこみ寺を設置しまして、専門の職員を常駐で配置し、弁護士による相談の機会や府内4ヵ所で定期的に巡回相談を行なうなど、相談体制を充実させるとともに、中小企業サポートチームにより、中小企業の現場の声を聞く取り組みを進めてまいりました。今後とも、下請取引の実態を国に伝えるとともに、さらに取引の適正化がはかられるようしっかりと連携し、厳しい状況が依然として続いている中小企業を連続して支えてまいりたいと考えております。
【前窪・再質問】 さて下請け二法については。公正取引委員会等と連携すると言いましたけれども、本府の窓口は無いんですよ。私は窓口を作るべきだと指摘しました。再答弁を願います。
【知事再答弁】 窓口ですが、下請けかけこみ寺のほうで京都の職員を常駐で配置しておりますから、そちらの方でさらに窓口の充実をはかっていきたいと思っております。

労働者派遣法の改定案について、抜本的な修正を国に強く求めるべき

【前窪】次に、雇用問題についてです。
わが党の調査では、日本の自動車会社11社に占める非正規雇用の割合は、国内で15.1%ですが、同じ11社がヨーロッパでは0.8%、米国では2.2%です。つまり、国内では、非正規労働者を調整弁としてどんどん使いながら、外国では、現地の厳しい雇用ルールに従って社会的責任を果たしているということです。急いで派遣を厳しく規制する法改正が必要です。
しかし、政府の「労働者派遣法」改定案には大きな問題があります。製造業派遣の「原則禁止」を掲げながら、短期雇用の繰り返しでも一年を超える雇用見込みがあれば禁止の例外とし、登録型派遣の「原則禁止」も「専門26業務」への派遣を例外としていて、パソコン操作など専門知識が必要とは思えない業務が多数含まれています。この結果、製造業派遣と登録型派遣の原則禁止となるのは18万人、全体のわずか16.7%に過ぎません。
日本共産党は、「製造業派遣はどんな形であれきっぱりと禁止する」、「専門業務の内容を見直し、真に専門的な業務厳しく制限する」などの修正案を出し、5年も先延ばしせず、1年以内に施行することを求めています。
雇用は正社員が当たり前の社会のためにも、いま、国や自治体には、企業に社会的責任をしっかりと果たさせるとりくみが特別に求められていると思いますが、知事の認識はいかがですか。   
また、抜け穴だらけの労働者派遣法の改定案について、抜本的な修正を国に強く求めるべきだと考えますが、いかがですか。
【知事】労働者派遣法につきましては、社会保障国民会議等の場を通じ、派遣先を転々とし若い人がキャリア形成をすることができない、といった現場の実態を踏まえた法改正や救済措置を強く訴えてまいりました。今後とも、改正法の早期成立や厳格な指導監督、そして、労働者のみなさんが安心して働ける環境の確保、雇用対策の充実などを国に働きかけていきますとともに、企業に対してはコンプライアンスの徹底を強く要請していきたいと思います。

府から雇用補助金を受けている企業の社会的責任 ジヤトコ問題

【前窪】次に、本府の雇用補助金を受けている企業の問題です。
これまで、100人以上の派遣切りをすすめてきた車の変速機メーカー、(株)ジャトコに対して、私どもは、法律に従って、派遣労働者を直接雇用するよう指導すべきだと繰り返し求めてきました。労働局は、「労働者派遣法に違反している。11人の雇用の安定をはかれ」と、ジャトコを指導しましたが、会社側は、「仕事がないから直接雇用できない」と答えたということでした。しかし、労働者にお聞きしますと、ジャトコは今年に入り大阪の派遣会社を通じて、170人もの新規募集を行っていたのです。
私ども議員団は、直ちに「解雇された派遣労働者を優先し、地元雇用をはかるようジャトコに要請すべき」と、府に申し入れを行いましたが、府は「会社の説明では、2つの工場で170人確保したが、それは新規雇用ではなく、関係企業や関係派遣会社の在籍出向であるということだった」として、会社側の言い分を鵜呑みにする態度でした。
そこで伺います。
知事は、ジャトコに対し、なぜ、裁判に訴えている11人をはじめ、違法に解雇した労働者を、まず、雇用せよと指導しないのですか。
また、府から雇用補助金を受けている企業の社会的責任として、京都のハローワークを通じて地元雇用をはかれと求めないのですか。お答え下さい。
【知事】派遣労働に関連する問題につきましては、労働局から指導のあった事業所は、京都府が補助対象としている事業所ではありませんが、これまでからお答えしているとおり、来庁していただいた上、コンプライアンスの徹底を強く働きかけてまいりました。また新たな雇用の機会があれば、補助対象企業以外にも地元雇用につとめるように求めてきており、これからも引き続き要請をしてまいりたいと考えております。
【前窪・再質問】ジヤトコについては、新規雇用をジヤトコはやっているんですよ。だから違法に解雇した方たちを優先して雇用すべきだ、なぜそれを言えないんですか。再答弁を求めます。
【知事・再答弁】また、新たな雇用の機会があれば、これは補助対象事業所以外にも、地元雇用に努めていただきたいということはジヤトコにも要請しているところでございます。

普天間 知事の協力は許せない これでは中小企業や雇用を守れない

【前窪・再答弁を聞いて】
 普天間基地の問題は、日米合意文書に「鹿児島県徳之島、そして国内の自衛隊基地に移設でき得る」とこう書いてあるんですよ。それを全国知事会に政府は協力を求めてきたんじゃないですか。それに対して知事は協力をするという態度をとったということでしょう。こんなことは許せませんよ。
 私はそのことを指摘しながら、中小企業の下請け二法の問題では窓口すらない、ジヤトコの問題では不法に解雇された人たちを雇用せよとすら言わない、これでは京都の中小企業や雇用も守れない、そういう答弁だったと指摘せざるをえません。

社会保障制度の再生を

すみやかな後期高齢者医療制度撤廃の撤廃を求めるべき

【前窪】次に、社会保障制度の再生に関わって数点質問します。
その最初に、後期高齢者医療制度の撤廃問題です。
この問題では、民主党は制度の速やかな撤廃を公約にしました。ところが、「新しい制度」をつくる13年4月まで先送りする方針に転換しました。しかも、約束した保険料の負担軽減も実行しないため、この4月から値上げになりました。
加えて問題なのは、「新しい制度」です。試案では、「65歳以上の高齢者を国保に加入させたうえで、現役世代とは別勘定にする」ということです。国民が、後期高齢者医療制度に激しく反対した最大の理由は、75才以上を「別勘定」にして差別医療を強いることにありました。高齢者だけを「別勘定」にすれば、際限のない負担増は避けられない、これが「姥捨て山」という批判となって広がったのです。
「新しい制度」とは、何のことはない、あと3年間待たされたあげく、「姥捨て山」の「入山年令」を10歳前倒しさせるというもので、とんでもない試案です。
知事は、この先送りに抗議し、すみやかな後期高齢者医療制度の撤廃を求めるべきです。
また、試案について、いわゆる「姥捨て山」の入山年令10年前倒しについて、撤回を求めるべきでありませんか。お答え下さい。
【知事】後期高齢者医療制度でありますが、制度の見直しにあたって、いま廃止すると、多分大きな混乱が起きるというのは必定だと思います。それだけに、しっかりと新制度の設計を進める中で、後期高齢者制度の廃止が進められなければなりません。現在、国におきまして具体的な検討が進められておりますが、知事会におきましては、後期高齢者制度改革プロジェクトチームの中で、新しい制度について、ナショナルミニマムの確保の観点から、国の財政負担を引き上げるとともに、都道府県も一定の役割を果たすべきであると訴えてきているところであります。今後とも、市町村国保の厳しい財政状況に鑑み、府民に必要な医療サービスを安定的に提供できる制度として構築されるよう求めていきたいと考えております。

高すぎる国民健康保険

憲法25条に基づく社会保障としての在り方を国に迫り、国庫負担を元に戻せ

【前窪】次に、高すぎる国民健康保険についてです。
今年度も、府内の半数の13市町村で国保の値上げが相次ぎ、「高くてとても払えない」「短期証が切れ、医者に行けない」と悲鳴が上がっています。
私どもに、「年金は月額55000円、パートの娘と2人暮らし。去年2月まで払えていた保険料が払えず滞納し資格証明書となる。風邪をひいたが受診できず肺炎に、緊急入院した時は意識不明に」。こんな相談がありました。いま、いのちに関わる深刻な事態が広がっています。
市町村国保の危機と高すぎる国保料の最大の原因は、政府が国庫負担を1984年当時の50%から2006年には25%に引き下げたことにあります。日本共産党の小池あきら参院議員は、「高すぎる国保料が払えず、収納率が8割台に低下した。払えない人から保険証を取り上げた結果、重症化して亡くなるケース、自殺に追い込まれるなどの悲劇が繰り返されている」と、事実を取り上げ、そして、民主党が「政権を取ったら直ちに9000億円の国庫負担を増やす」と言っていたにもかかわらず、新たに増やした予算はたった40億円だということも指摘し、国庫負担の増額を迫りました。
鳩山前首相は、「財源を見出したい」と答弁しましたが、この約束を守らせ、国の責任で保険料の値下げをはかり、保険証の取り上げをきっぱり中止させる必要があります。
知事は、憲法25条に基づく社会保障としての在り方を国に迫り、国庫負担を元に戻せと、強く求めるべきと考えますが、いかがですか。

直ちに府の市町村国保への支援を復活せよ

【前窪】府が市町村を支援することも当然です。
ところが市町村国保への府の助成を、知事は就任以来減らし続け、とうとう08年度には廃止、7億円を超えていた助成額をゼロにし、国保料値上げに拍車をかけました。
市町村国保が危機にひんしている時に、こんなことは許せません。直ちに市町村国保への支援を復活し、府民負担の軽減をはかるべきです。お答え下さい
【知事】国民健康保険制度でありますが、被保険者に高齢者や無職の方が多いために医療費が高く、それに反して保険料の負担力が弱いという構造的な問題を抱えております。このため、これまでから国に対して、国民皆保険の最後の砦であります市町村国保が安定的に持続できるよう、ナショナルミニマムを確保する観点から国の財政負担を引き上げるとともに、抜本的な制度改革を行なうことを求めてまいりました。京都府としましても、こうした状況を踏まえまして、未来づくり交付金を、これは国保だけに充てるということではなくて、市町村全体の財政支援という形で確保して充てておりますので、その中できちっと手当てをしていくとともに、私たちはこの間190億円近い国保の負担を行ないながら、一生懸命調整に努めているところであることもご理解いただきたいと思います。
【前窪】 国保の問題ですけれども、08年度の府内市町村国保への国の負担は約600億円ということです。84年当時の国庫負担の水準でみると、1200億円を超えるお金が来なくてはならないわけですけれども。こういう事態になっているんです。これでは、社会保障としての国民健康保険の役割は果たせません。京都府内で一元化すると知事は言っていますが、弱い団体がいくら集まっても、なかなか黒字になるということは難しいと思います。国の補助金がこれだけ減らされている、ここにメスを入れることが重要だということを指摘しておきたいと思います。
また、国保に京都府も190億円ほど出していると言いますが、これは制度上出すということが決まっていることではありませんか。そんなこといくら言っても7億円を超えていた補助金を削った責任は免れません。いま市町村が使っていないと言いましたが、1円も使えなくしたのは京都府、知事ではありませんか。指摘しておきます。

国保の京都地方税機構送りは中止を求めるべき

【前窪】また、京都地方税機構に国保の滞納者を送ることも問題です。
本府が強引にすすめてきた税機構ですが、98%の収納率を目指し、「滞納者はすべて悪質」と言わんばかりに、差し押さえなど滞納処分を容赦なく行おうとするものです。国保の未納者の7~8割は、年間所得200万円以下の生活困窮者と言われ、払いたくても払えない府民にとっては、税機構送りは、耐え難いものです。
税機構は、今後、課税業務と徴収を一体的に運用するとしています。市町村行政から国保を完全に切り離すことになり、住民の福祉の増進の役割を果たさなければならない自治体の役割を放棄するものです。
このような、国保の税機構送りは中止を求めるべき考えますが、いかがですか。
【知事】京都地方税機構における国民健康保険の取り扱いですけれども、広域連合である京都地方税機構は、府と市町村の滞納整理業務について各団体からなる連合体であります。各市町村の代表が集まって総合的に行っているものでありますので、市町村が役割を放棄したものとはあたらないと思います。また、現実に国保料・税の滞納者の多くが一般税も滞納している実態がある中で、納税者にとりましては、窓口の一本化による計画的な納付が可能になるとか、初期投資の経費負担の面から各市町村において導入が進んでいなかったコンビニ納付についても、スケールメリットを生かして利用が可能になるなど利便性の向上がはかられているなど移管のメリットもあると思っております。今後とも国保料・税の被保険者資格の管理や付加業務など行う市町村と京都地方税機構が連携協力することにより、効果的な国民健康保険の運用をはかってまいりたいと考えております。
【前窪・指摘】 税機構の問題でありますけれども、税機構は差し押さえだとかタイヤロックなど、こういう非情な滞納処理も辞さないということを度々述べている。そういうことに京都地方税機構の運営がなってはならないと、私はこの点でも指摘しておきます。こういう税機構ですから、もともとの性格が、国保など社会保障を払えない方をこういうところに送るということは、ぜひ中止をしていただきたい、このことを強く指摘をして求めておきたいと思います。

子どもの医療費無料化拡充 先送りするな

【前窪】次に、子どもの医療費無料化の拡充です。
この間、舞鶴市、綾部市が次々対象年齢を拡大するなど制度を改善し、府の基準に一切上乗せしていない自治体は、京都市だけとなりました。
知事もマニフェストに「通院についても小学校を中心に対象を拡大」と書きこみましたが、その実行に向けては、「23年度市町村と協議、24年度以降に結果を踏まえ実施」とされています。これでは事実上の先送りです。
京都市を除く市町村は、独自の上乗せをはかり、府の制度拡充を求めています。実質協議が残されているのは、京都市だけではありませんか。今議会に市町村との協議のための補正予算100万円が提案されていますが、実施時期はいつを目指しているのか。お答え下さい。

知事は、国に対し制度化を強く働きかけるべき

【前窪】子どもの医療費無料化制度は、都道府県や市町村の独自制度なので、対象年齢や窓口負担のあるなしなど住んでいる場所によって格差があります。中学生、高校生まで対象にしている市町村がある一方で、京都市のような自治体もあります。命を守る制度に格差があってはなりません。
わが党こくた衆院議員は、今国会で「国の制度にすべき」と迫りました。鳩山前首相は「大変重要な課題、財政との相談の中で、優先的な課題としてこれから扱ってまいりたい」と答えました。日本医師会も中学卒業までの無料化を求めています。
知事は、国に対し制度化を強く働きかけるべきと考えますが、いかがですか。
【知事】次に子ども医療費助成についてでありますが、市町村と共同して、この間全国でもトップクラスの制度を維持してまいりましたけれども、こうした中、子育てにやさしい京都づくりを進めるために、保護者の経済的負担の軽減や子どもの健康保持増進をさらにもう一段充実したいと考えており、そのための検討経費を6月の補正予算で計上しているところであります。子ども医療費助成につきましては、少子化が進行する中で、子育ての経済的負担の軽減をはかる観点から必要不可欠のものであり、これまでもナショナルミニマムとして国において早期に制度化されるよう提案要望してきたところであり、引き続き国に対して制度化を求めてまいりたいと考えております。なお、時期については、市町村の意見とともに財源の確保もしなければなりませんから行財政改革を進める中で検討をしてまいりたいと考えております。
府民の暮らし

私立高校の無償化について 府の直接制度にすべき

【前窪】次に、府民の暮らしに関わっていくつか質問します。
まず、私立高校の無償化問題についてです。
国民の運動が実り、国は今年4月から、公立高校授業料無償化・私立高校生への就学支援制度をスタートさせました。本府も、国の制度に上乗せをして、年収350万円未満の世帯を対象に、学費を実質無償化する「あんしん修学支援制度」をスタートさせました。
そこで、さらなる制度改善に向けてお聞きします。
一つは、府の直接制度にする問題です。
 本府の「あんしん修学支援制度」や「授業料減免補助制度」は、学校が制度をつくり、生徒の負担を免除もしくは減免した場合に、その一定割合を補助する制度です。そのため、学校負担が生じます。
 私は、数校の私立高校を訪問し、校長先生や事務長さんからご意見を伺いました。
ある学校では、「年収350万円未満世帯の生徒が全校生徒の1割を超えている」「学校の経営状況によって、制度を活用できる学校と、できない学校があるのではないか、学校負担をなくし、府の直接制度にしてほしい」と要望されました。
また、別の学校では、「私学は、保護者からもらう授業料で経営している。無償化にするための学校負担は、他の保護者が払った授業料。それを、他生徒の学費へあてるのは矛盾する。学校負担をなくしてほしい」と語られました。
さて、今議会に「私立学校教育支援事業費」の補正予算が出されました。これは私どもが指摘してきた学校負担の軽減をはかるものであり、一定の改善だと受け止めますが、なお学校負担が残ります。
経営が厳しい学校での実施の可否、他の生徒の授業料で減免財源をあてることなど新制度には問題があります。結果として制度を受けられない生徒を出してはなりません。改めて、府の直接制度にすべきと考えますが、いかがですか。
【知事】私立高校の授業料無償化制度についてですが、私立高校授業料減免は学校のご理解を得て個々の生徒さんの家庭事情をふまえた修学相談・指導とあいまって行うことが重要であります。今回の補正案につきましては、佐川議員のご質問にもお答えしましたとおり、授業料の無償化には、学校の理解と協力が必要でありますので、4億円を超える追加措置を行い、対象生徒数に応じた学校負担のさらなる軽減により、全額免除のいっそうの定着・促進を図るものであります。

「あんしん修学制度」 他府県に進学した生徒も対象にせよ

【前窪】二つは、他府県の私立高校に進学した子どもを対象外としている問題です。
私は、この点についても校長先生らにご意見を伺いました。ある学校では、「京都の子どもは京都の私学に」という理屈には無理がある。京都の私学も他府県から生徒を集めている。学校の地理的条件から大阪や滋賀、奈良などから多くの生徒が通っている私学もある」というご意見でした。
また、別の学校では、「学校が減免制度をつくる場合、『京都府在住の生徒に限る』という制度にはできない。他府県からきている生徒にも学校は平等でなければならない。公立高校を無償化したもとで、低所得世帯については、国の責任で私学も無償化すべきではないか」と語られました。
現行制度のままでは、倒産・リストラでなどで家計が急変し、学費が支払えなくなっても、「他府県の私立高校」という理由で制度が受けられないのです。
知事は、「あんしん修学支援制度」の趣旨に照らして、制度から漏れる子どもたちを残しておいてよいとお考えですか。国に私立高校無償化の制度化を求めるとともに、まず本府で府外生も対象にし、京都から大阪、滋賀へ府県外生を対象とするよう積極的に呼びかけ、改善をはかるべきと考えますが、いかがですか。
【知事】国による私立高校の無償化制度についてでありますが、既に、国に対し、国に就学支援金の加算金の500万円未満世帯への拡充など、私立高校生の修学支援対策の充実について政策提案を行ったところであります。
 「私立高等学校あんしん修学支援事業」の府外生への適用につきましては、大阪府、滋賀県へは、府県域を越えて通学する生徒も多いことから、相互支援を呼びかけておりますけれども、まだ難しい状況にあるところであります。

所得500万円程度世帯 何年度から対象を広げるつもりか

【前窪】知事は、先の知事選挙マニフェストで、「所得500万円程度までの家庭にも支援を拡大していきます」と公約し、府民に訴えてこられました。大阪府が、来年度から年収500万円未満の世帯を無償化すると発表しているだけに、私立高校の保護者からは、「一日も早く実現してほしい」との要望が寄せられています。知事は、何年度から所得500万円程度世帯まで対象を広げるお考えですか。お答えください。
【知事】先にお答えしました国への政策提案をふまえまして、年収500万円程度世帯までの授業料無償化につきましては、現行制度でも府内の平均授業料等を基準として、実質5/6までの減免制度を設け手厚く対応したところでありますが、国の状況をふまえながら私どもも、財政の健全化、非常に財源を確保しなければなりませんので、あれもやれ、これもやれと言われましてもですね、それは財源がやっていけませんので、まさに財政健全化をふまえながらきちっとやってまいりたいと考えております。
【再質問・前窪】私学への授業料助成について、私のところに先日、こういう声が届けられました。「私立学校の低所得の家庭は無償化されるときき、安心してまいりましたが、府外生には京都府からの補助金は出して頂けないと言われ落胆しました。学校からの説明では、兵庫県、和歌山県、奈良県は県外の学校に行っていても国から以外の県の補助金も出ると聞き、京都府は、なぜ府外生には出して頂けないのか、不満を感じました。府外の学校でも、子どもが希望して入った学校です。子どもも、親も、何とか頑張って卒業できるように努力しているので、京都府も府外生にも補助金を出して頂き、子どもが安心して勉強できる環境をつくってやって頂きたい」という保護者の声であります。このお子さんは、大阪の茨木市にある私立高校に通っていますが、看護士を目指しています。全寮制ということですから、大阪の子どもたちとも交流がありますし、先ほど言いました、その他の県の子どもたちも来ているわけです。なぜ、京都府だけが受けられないのですかという素朴な疑問があるわけですね。私は、やっぱり、今の制度に問題があると思うのですね。同じ京都府民の子どもでありながら、県境を越えるだけで、なぜ制度が京都府の子どもに適用されないのか。先ほど答弁がありましたけれども、大阪府も滋賀県も府県外の生徒への助成を打ち切った。だから京都もということで、いわば報復的な、そういうふうな意味での対応をしているとしか受け取れないのですね。同じ府内の子どもの教育を奪うようなことを京都府がやっていいのか。これが問われていると思うのです。私は、この点については、再度答弁を求めたいと思うんです。
 それから、知事がマニフェストに、無償化制度を所得500万円以下の世帯まで拡充する、こうマニフェストに書いているわけです。だから、この実行を迫っているわけでありまして、先ほどの答弁のような悠長な話ではないということだけ指摘をしておきたいと思います。
【知事・再答弁】高校の修学支援ですけれども、やはり府内の私学の募集定員と入学者数の非常に大きなかい離がある中で、私たちはやっぱり、限られた財源というのを、府内の私学の教育力の向上や、そうした維持のためにも使っていかなければならない。そしてその中で、私学自身の全体の底上げを図っていかなければならないわけですし、私学の支援にあたりましては、これまでから学校側に理解と協力を頂いている中でやっておりますので、そうした点もふまえて、今後対応してまいりたいと考えております。

府営水道 一般会計からの繰り入れで料金値下げを

【前窪】次に、府営水道についてです。
府営水道の宇治系・木津系・乙訓系の3浄水場を接続する工事がほぼ完了し、これを契機に、水道料金の見直しが検討されています。
知事から諮問を受けた「府営水道事業経営懇談会」は、2月25日、中間報告を行いましたが、基本料金については、1トン当たり宇治系で1~2円の値上げ、逆に木津系で6~7円、乙訓系で4~7円引き下げが可能との試算が盛り込まれました。中間報告に対し宇治市長は「料金の平準化で、今後も宇治系の料金値上げが透けて見える」と、語気を強めて指摘しました。
もとより府営水道は、府の責任で、可能な限り安価で安全な水を提供する義務があります。私は、これまで本議会で、府が努力と工夫をすれば、料金値上げを抑え、値下げを実現することが可能だと提案をしてきましたが、改めて知事の見解を求めます。
一つは、一般会計からの繰り入れです。
知事は、知事選前の3月17日の記者会見で、一般会計から府営水道への繰り入れを表明し、府営水の供給料金の値下げと各家庭の料金値下げについて議論をすすめたいと答えています。
3浄水場接続等の事業は、災害時のライフラインの確保という性格のものであり、国や本府の責任は重大であります。  
国への要望をさらに強化すると同時に、本府も一般会計からの繰り入れを行い、応分の負担をすべきと考えます。
これらの事業にこそ、知事が記者会見で言及した、一般会計からの繰入を実施すべきではありませんか。この際、明確にお答え下さい。
【知事】府営水道についてでありますが、こちらの方も一般会計繰り入れしろというお話でありますので、本当に、色々なところで財政支出を求められているのですけれども、私どもは、やはり公営企業としては受益と負担の関係をふまえつつ、出来る限り安い料金で府民のみなさまに提供できるよう水道事業経営懇談会において検討中であります。一般会計からの繰り出しにつきましては、これは繰り出し基準が定まっておりますので、その基準に基づいて、今は水道事業会計の繰り出しをしております。その中で料金につきまして、安田議員のご質問でもお答えしましたとおり、先の水道懇において、工夫をこらし、節約に努め、木津乙訓系では料金を引き下げる、新規投資事業が多かった宇治系でも1円から2円の引き上げにとどまると中間報告が示されました。府と受水市町村が、コスト削減や合理化等に努め、経営基盤を強化していくことが重要であり、さらなる府民負担の軽減が実現できるよう、私たちとしましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

「カラ水料金」の見直しの解消 基本水量の見直しを

【前窪】二つは、「カラ水料金」の解消です。
府営水道の会計は、この数年間毎年3億円から6億円もの黒字で推移し、さらに府の一般会計に18億円もの貸し付けています。また、内部留保金も年々増えて30億円に達するほどになっています。府営水道は大幅黒字、市町の水道会計は恒常的に赤字。この主要な原因になっているのが過大な基本水量の押し付けです。
市町が、基本水量の58%程度しか使っていないのに100%府に料金を支払う。こうすれば、府は黒字になるのは当たり前であります。いわゆる「カラ水料金」の負担は、18億円にも上ります。現実とかけ離れた基本水量の見直しこそ必要だと考えますが、いかがですか。
【知事】基本水量につきましては、水道事業が受水市町の要望に基づいて行ったダム等の水源開発や浄水場の施設整備等、多額の先行投資、その負担の一つである水量でありますので、これは料金を据え置いたまま基本水量を減らせば、先行投資の回収が行えなくなりますので、水道事業の経営は非常に困難になります。このような考え方から、先般の水道懇の中間報告におきましても、今回の料金試算にあたっては従来通りの基本水量が用いることとされております。

天ケ瀬ダム再開発からの撤退 なぜ、水利権について国言いなりになるのか

【前窪】三つは、天ケ瀬ダム再開発からの撤退問題です。
ムダを省くことも重要です。府は、38億円もかけて、天ヶ瀬ダム再開発により、宇治浄水場の水利権毎秒0,6㌧を確保するとしています。その理由は、現在の暫定水利権を再開発により、安定した水利権にしたいと繰り返しています。
府営水道には、日吉ダムで0,285㌧、比奈知ダムで0,3㌧の未利用水利権があります。これを同じ淀川水系ですから天ヶ瀬ダムに振り替えれば、再開発による水利権とほぼ同じ水量が確保できることになります。しかも、人口の減少、温暖化対策の推進、省エネ、ライフスタイルの変化などで、水需要は減り続け、増えることは考えられません。
これまで、「水利権の振替については困難」と、突っぱねてきた知事でありますが、その知事自身が、「地域主権」を主張し、河川管理を自治体に移管せよと求めているではありませんか。なぜ、水利権について国言いなりになるのですか、実態に即して変更すべきではありませんか。改めてお聞きします。
【知事】天ケ瀬再開発事業による水利権の確保は、現在既に宇治浄水場において暫定的に取水しているものを年間を通じて安定的に確保するものであり、今、非常に水利権の振り替えは難しい中で、やはりこの事業、天ケ瀬ダムの事業は水害対策でも大きな効果がありますので、そうした点を総合的に勘案していくべきではないかと考えております。
【再質問・前窪】水道問題でありますけれども、水利権の振り替え、これはなかなか難しいという答弁を知事は繰り返しているのですけれども、それこそ地方主権を標榜している知事、一度変えてください。河川管理を地方へ渡せと言っているわけでしょ。だからやっぱりこれは、知事の手腕として、ぜひ、まずは政府に求めてほしいと思うのです。これについては再度答弁を求めておきたいと思います。
【知事・再答弁】水利権の問題は、非常に難しいなかで今、工事が進展していくわけでありますから、そうした現実も考えつつ、また、私どもは地域主権を標榜しておりますので、国に対してもそうした点についてはですね、まずは我々に河川の区域の連合組織でもつくらせて頂いて、しっかりと基準をつくればそういうことも可能になるかなと、そういうことは求めていきたいと思っております。

鳥獣被害対策 国の予算削減に抗議を 交付金の延長を

【前窪】次に、鳥獣被害対策についてです。
5日午後、福知山市で有害鳥獣駆除に従事されていた二人の猟友会の方が死亡する事故が起こりました。亡くなられた方に心からお悔やみを申し上げます。この事故の背景には、極めて深刻な鳥獣被害の実態があります。
京都府の08年度の有害鳥獣の被害は、7億4400万円、農業産出額あたりの被害額は日本で最悪という状況であり、対策の強化は農業・農村を守り発展させる喫緊の課題です。
政府は07年に「特別措置法」を設け、被害防止活動への支援や進入防止柵の整備などの「市町村被害防止計画」の作成を奨励し、鳥獣被害防止総合対策交付金を市町村に交付してきました。この交付金は21年度に亀岡市以北の10市町で5500万円交付され、狩猟免許の講習会や箱罠などの捕獲機械の購入など、ソフトとハードの各種対策事業に使われてきました。
ところが、昨年秋の事業仕分けで、「鳥獣害対策は、国ではなく自治体が責任を持つべき」とされ、京都府でも5500万円から2175万円と半分以下に減らされ、市町村が使える金額は大幅に減少しています。市町村の要望金額は8000万円とのことですから、その4分の1以下になっています。この結果、必要な進入防止柵が設置できない、市町村や個人負担が大幅に増えるなど深刻な事態が予想されており、政府の責任は極めて重大であります。
そこでお聞きします。
国に対して、交付金の増額を緊急に求めるべきだと考えますが、いかがですか。
また、この交付金は「被害防止計画を作成した市町村」に対してですが、22年度で終了することになっています。京都市以南の市町村でも被害が急増しています。しかし、「防止計画」が策定されていません。未策定市町村に対し援助を強めると同時に、国に対し、交付金の延長を強く求めるべきですが、いかがですか。
【知事】まず、各猟友会の捕獲隊員のみなさまには、鳥獣被害対策の要となる大切な役割を担って頂く中で、今回、福知山市の有害鳥獣捕獲に出動され、事故で命を亡くされました地元駆除隊二人の方に謹んで哀悼の意を表させて頂きます。
 次に、鳥獣被害対策についてでありますけれども、防護柵設置等に係る整備交付金の全国要望が大幅に増える中、さらに国の予算措置が減少するなかで、割り当てが大幅に減少しております。割り当て内容、直ちに追加割り当てを国に強く要望いたしますとともに、地域ぐるみで取り組むサル被害対策や、防護柵等の設置について、府独自の取り組みとして必要な経費を本議会にお願いをしております。
 被害防止計画の策定につきましては、亀岡市以北の10市町がすでに策定し国の交付金を活用しており、京都市以南の市町村も早急に策定するようお願いしているところであり、この間、未策定市町村につきましては、府単独の防護柵設置費用を活用できるよう措置をしているところであります。なお、交付金制度の延長につきましては、私はこの前、出かけまして、制度の充実強化、予算の増額、平成23年度以降の継続実施について強く提案を申しあげたところです。

JR奈良線の複線化について 全線の複線化 仮称菟道駅の設置を

【前窪】次に、JR奈良線の複線化についてお聞きします。
04年度に一部複線化後、乗客数の増加は顕著で整備前に比べ、08年度には128%の伸びを示しています。奈良線の複線化の状況は、路線延長34,7kmのうち8,2km、24%にとどまっております。この間、踏切の事故などで列車の遅れ、間引きが続発しております。また、駅舎等のバリアフリー化も遅れています。
奈良線は京都と奈良を結ぶ京都南部の動脈で、通勤・通学・暮らしを支える重要な路線であります。複線化・安全対策が切望されています。本府は、山陰線の園部までの複線整備が完了後に検討したいと言ってきましたが、6月補正で複線化に向けて調査費を組みました。いよいよ動き出すと沿線市町、住民の期待が高まっています。
そこでお聞きします。
複線化に当たっては、京都側からと併せて木津川市側からも事業化をはかり、スピードを上げて全線の複線化を目指すべきと考えます。
同時に、奈良線で一番駅間距離の長い黄檗駅と宇治駅間の新駅・仮称菟道駅の設置についても、地元では10年来の要望活動が続けられています。複線化事業に合わせて、ぜひ具体化をすすめていただきたい。これらの取り組み方針について、答弁を求めます。
【知事】JR奈良線の複線化整備についてですが、京都縦貫幹線鉄道の一環をなす奈良線の複線化準備をするために、本議会にJR奈良線の複線化事業推進費を提案させて頂いています。これにより、整備計画案等を策定することとしており、今後十分なJRとの協議が必要ではありますが、府議会のご意見も聞きながら進めてまいりたいと考えています。新駅につきましては、まず、宇治市のご意見をお聞きして、その中で対応していきたいというふうに思っております。

幹部職員の地位利用をした選挙支援 知事の責任は重大

【前窪】質問の最後に、本日新聞各紙が報道した「4月の知事選挙で府の幹部職員が、庁内の多数の管理職に選挙支援の要請を行なった」問題についてお聞きします。
私は、今朝の新聞を見たとき、6年前、長岡京市で府のOBであった助役が、助役室で市の幹部に山田知事の後援会の入会を求め、大問題になった事件を思い出しました。その当時の新聞には、山田知事の「府民に公正を疑われるようなことがあってはならない」との談話を報道していますが、今回の事件は、まさに公職選挙法に違反する公務員の地位利用に当たり、行政ぐるみの選挙の体質が全く変わっていないという、そういう批判であります。その責任は免れません。
知事の責任は、私は重大だと思います。先ほどの答弁(自民安田議員質問への答弁)では、『不適切な行動があった』と答えられましたが、そんな認識でいいのですか。私は、本当にこれは重大な事件だと思いますよ。知事は、その責任をどう自覚しているのか、この点について改めてお答え下さい。
また、事実を徹底究明し、府民の前にその結果と責任を明らかにしていただきたい。早急にやって頂きたい。そのことを指摘し、答弁を求めます。
【知事】今回の新聞報道された事案についてでありますけれども、私どもとしましては、今調査中でありますけれども、今後、早急に第三者を含む調査のための組織を立ち上げるとともに、厳正に、この問題の調査を行い、その結果を議会に報告させて頂きたいと思います。
 私の責任も当然あると考えておりまして、そうした報告をふまえ、私の責任を明らかにするとともに、対策等に取り組みたいと思っております。改めまして、議会のみなさま、そして府民のみなさまに心からお詫びを申し上げます。

切実な府民の声 暮らしや景気を立て直す政治実現に全力をあげる

【前窪】知事から各般にわたりまして答弁を頂きました。いろいろ不十分なところもありますけれども、同僚の議員が一般質問等でさらに指摘・要求していきたいと思います。
 さらに、先ほどありました水利権問題は、まずは、「河川管理をよこせと、これが実現したら水利権もやります」こういう段階論ではないんですよね。水利権は水利権としてしっかり要求して、そして、道理ある提案ですからねこれは。ぜひ実現して頂きたい。このことを強く求めておきたいと思います。
 さて、私は、今日は、たくさんの府民のみなさんのくらしの要求など取り上げさせて頂きました。それはいずれも切実なものであります。不況のもとで、そして景気が非常に悪いもとで、悲痛ともいえる声であります。こうした声に民主党政権は十分応えられなかった。こういう中で参議院選挙となります。予算委員会も開かずに国会を閉じました。今度は参議院選挙です。私ども日本共産党は、国の政治を変えて、くらしや景気を立て直していく。大企業や財界にもはっきりものを言っていく、そういう政治を目指して全力をつくす決意を申しあげ、またご支援をお願い申し上げまして、本日の質問を終わらせて頂きます。

《他会派代表質問項目》

2010年6月16日

■植田喜裕(自民・京都市中京区)

1 府政運営について

2 「明日の京都」について

3 中小企業支援100億円投資プロジェクトに

 ついて

4 和装・伝統産菓の振興について

5 農業ビジネスの育成について

6 自転車の安全対策について

7 少年の非行防止に向けた取組について

8 ロ蹄疫対策について

■佐川公也(民主・京都市西京区)

1 知事選挙について

2 補正予算案について(口蹄疫問題、私学無償化問題)

3 地方公務員の再就職について

4 「地域包括ケアシステム」について

5 救命救急について

■林正樹(公明・京都市山科区)

1 補正予算案について

2 口蹄疫をはじめとする家畜伝染病対策につい

 て

3 精神保健医療について

4 介護施設の整備等について

5 害時の対応について

6 地籍調査について

7 文化芸術の振興について

■上田秀男(創生・南丹市及び京丹波町)

1 今後の府政運営について

2 副知事3人体制について

3 農商エ連携について

4 就学前の教育・保育について

5 ロ蹄疫防疫対策について

6 福知山市における有害鳥獣駆除での死亡事故について

2010年6月17日

■安田守(自民・向日市)

1 補正予算案について

2 府営水道について

3 京都府の温室効果ガスの削減目標について

4 医療問題について

5 地元向日市の府道整備について

■中島則明(民主・舞鶴市)

1 今後の府政推進について(関西広域連、他)

2 野生鳥獣被害縫合対策事業について

3 政策医療について

■荒巻隆三(自民・京都市東山区)

1 治安問題について

2 家庭支援縫合センターについて

3 北山文化環境ゾーン整備について

4 環境政策について