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本会議質問

2010年6月定例会 一般質問 西脇・上原・原田

2010/07/22 更新
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●2010年6月定例議会で日本共産党の西脇いく子議員、上原ゆみ子議員、原田完議員が行った一般質問の大要と、他会派議員の一般質問項目を紹介します。

もくじ
西脇いく子一般質問・・・・ 1
上原ゆみ子一般質問・・・・ 6
原田  完一般質問・・・・11
他会派議員一般質問項目・・17

6月定例会 一般質問

西脇いく子(日本共産党、京都市下京区) 2010年6月21日

【西脇】日本共産党の西脇郁子です。先に通告していました数点について知事ならびに理事者にお聞きします。

国保・無保険問題について

まず、国保の問題についてです。 
国保法第一条には、「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、社会保障および国民保険の向上に寄与することを目的とする」と明記され、憲法25条の生存権が具現化されています。また、他の公的医療保険に該当しない人たちは、全て国保に加入しなければならないとされているように、国保は、医療保障の「最後の砦」となっています。しかし今、国の医療費抑制政策により、国保が社会保障としての本来の機能を果たさず、逆に国民の命と健康を奪うような事態が全国ですすんでいます。現在、その象徴として現れているのが無保険者の存在と増加です。

社会保障の制度であるはずの国保に、深刻な無保険の実態。
府の責任で実態調査せよ

【西脇】先日、わが党府会議員団は、京都市会議員と共同して七条と伏見のハローワーク前で国保の実態調査を行いました。短時間の聞き取りにもかかわらず、無保険者並びに無保険状態の方は、19名もおられ、医療関係者の方々も「まさかここまで深刻だとは」と一様に驚きの声を上げておられました。
53歳の男性は「会社をクビになった時に、国保加入の手続きをしようと思ったが、高すぎるのでまだ入っていない。仕事が見つかれば社会保険に入れると思う」と言いながらもいまだに仕事が見つかっていません。建築労働者だった35歳の男性は「国保料は高いので入れない。病院に行くと1回1万円も払った」ということで、改めて失業したあとも国保に入りたくても入れない方々の実情が浮かび上がりました。また、49歳の母子家庭の母親は、「10万円分の国保滞納分が払えないので区役所に行けず、保険証の更新ができない。保険証がもらえていないので足が悪くて病院に行きたいが我慢している」と事実上の無保険状態を涙を流しながらに訴えておられました。2箇所の調査を通じて改めて浮き彫りになったことは、誰にでも一旦失業や収入減などに陥れば一気に無保険になる可能性があるということです。
そこで知事に伺いますが、本来、社会保障である国保制度で受け止めるべき人たちが、無保険となっている実態についてどう認識されていますか。
また、京都府の責任として市町村と協力して無保険者の実態調査を行なうべきではありませんか。お答えください。
【知事】国保は医療に関するセーフティネットであり、国民皆保険の最後の砦として、他の保険制度の属さないすべての方を受け入れるべきものであり、無保険者が生じないように取り組みを進めていく必要があると考えている。
しかしながら、現在の厳しい雇用経済情勢を反映して、解雇等により被用者保険を脱退したものの、国民健康保険の加入届を行なわず、無保険となっている方もおられる。昨年の秋から今年にかけて実施した生活と就労のワンストップサービス事業においても、国民健康保険の相談が、約10%の方から寄せられているところで、その深刻な実態が、明らかになっている。
私どもはこうした厳しい実態を踏まえて、京都府では生活と就労の問題をワンストップで対応するライフアンドジョブカフェの開設などを進めるとともに、さらに離職者等が相談に訪れる京都ジョブパークやハローワークなどの就労支援窓口や、福祉事務所など生活支援窓口と市町村の国保担当課と連携をいっそう強化することにより、離職した方々の無保険状態を解消し、また新たな無保険者が生じることのないよう取り組みを強めていきたい。
【西脇・再質問】知事も部長も、私が一番にお聞きした無保険者の実態調査について、するともしないとも、まったくお答えいただけませんでした。知事も「国保は皆保険の最後の砦だ」と明確におっしゃっておられる訳です。ですから無保険者は本来、存在してはならないという認識に立っておられるのではないかと思っていたんですけれども、その実態は、調べないと大変なことになると思います。無保険者というのは、事実上医療の枠外におかれているわけですから、それを放置することは絶対にあってはならないはずなんです。しかも、都道府県の役割として、国保法にも明記されているように、「国保が健全に運営されるように、市町村を指導する」となっているんです。ですので、これだけ国保で受けとめられない人が増えているという実態を踏まえて、いまこそ市町村と協力して、もちろん国の責任でもありますが、無保険者の実態をいまこそ京都府の責任として、調査すべきではありませんか。これはお答えいただきたいと思います。
もう一点、ほとんどの自治体では、国保は「相互扶助」という認識のままになっているんじゃないかと思います。私どもにも送られてきました京都市の国保ガイドにも、明確に「国保は助け合いの制度だ」と書いてあるわけですね。「相互扶助」なら加入できない人は、これはいてもいいということになるのではないかと思います。国保が「皆保険の最後の砦」ということになる国保法にも、これは反することだと思います。この点について、是正を求めて頂きたいと思いますが、いかがですか。お答え下さい。
【健康福祉部長】無保険者の実態調査については、ワンストップサービスデーなどにおいて、深刻な実態がすでに明らかになっているので、私どもとしては、無保険状態を解消し、また新たな無保険者が生じることのないような取り組みを、まずは進めていきたい。
 国保制度の関係については、基本的に社会保険の仕組みの中で運用されているものなので、先ほども答弁したように、低所得者の負担が過度とならないよう、国に対して財政措置の充実を求めている。
【西脇・指摘要望】部長の答弁には大変失望しました。いま府が調べていることというのは、京都府内で起こっていることのほんの氷山の一角なんです。府内全体で、各市町村でもどういう実態になっているか、これはきちんと数字も含めて出すべきだ。これは府の責任だと思います。無保険というのは簡単な問題ではないんです。医療を事実上受けられない人が山ほどいるということなんです。全国でも100万人とも言われている。でも、国でも分からない。市町村に聞いても実態調査をしていない。京都府に聞いてもいまのような答弁。非常に問題だと思います。これ以上放置するわけにいきません。知事の責任、府の責任として、これは市町村としっかり協力して、実態調査はつぶさに行なっていただきたい。これは強く求めておきたいと思います。
 市町村が(国保を)「相互扶助」としていることは、やっぱり問題だと思います。国保法でも社会保障と明記されているわけですから、ここのところは改めていただくと、これも強く求めます。

無保険問題解決のため、高すぎる国保料の引き下げを

【西脇】このように今、無保険の方が増え続ける理由の第一は、大企業の身勝手な派遣切りや下請け切り、トステムのような工場閉鎖で職を失う方が生まれていること、そして再就職もままならず、無保険のまま推移しているということです。労働者を使い捨てるような大企業の身勝手をやめさせ、安心して働ける社会とすることこそ必要です。第二に、失業した人たちが国保に加入しようとしても保険料が高すぎて払えないということ、さらに無保険期間が長ければ2年間の支払いも求められます。
収入がない人たちにどうして払うことができるでしょうか。このように、社会保険から排除され、国保にも加入できない事態が生まれているのです。
今や、本来国保が受け止めるべきはずの人たちが、次々と制度からこぼれ落ち、行き場がなくなるという事態の解決は、一刻も猶予がありません。
そこでこの問題を解決し、国保に入っていても事実上の無保険状態となっている事態を改善するために数点伺います。
まず、高すぎる保険料を引き下げることです。
国保の保険料は、京都市の場合は、所得300万円で、4人世帯の場合45万円、亀岡市の所得295万円の5人家族の場合では、46万3690円と、まさに支払い能力を超えた高い保険料となり、おぼれてわらをもつかもうとしている府民の手を払いのけるような事態に陥れています。
先に紹介しました七条ハローワーク前での調査でも回答者76件のうち、無保険者12人に加えて、さらに国保加入者42名のうち、保険料の滞納がある方は、8名で、現在滞納がない方でもほとんどの方が失業中で、無収入にもかかわらず、高い保険料に苦しめられている実態が明らかになっています。
知事は、京都市をはじめとした府内の国保料について高すぎるとは思われませんか。お答えください。
また、無収入の方々については、保険料は、全額免除となるような制度をつくるべきではありませんか。
国は、滞納繰越分をおろそかにした自治体に厳しくするというやり方に変えたため、国保に新規加入する場合、2年分の保険料が滞納扱いとして請求されます。国に対して、このようなやり方を改めるよう強く求めるとともに、市町村に対しても弾力的に府民の実情に合わせた対応に改善するよう求めるべきですがいかがですか。
あわせて、本年4月から新設された失業者のための保険料軽減制度についてです。先日のわが党のハローワーク前の調査でも、この制度を知っておられたのは30人中わずか1人で、ほとんどの方がリーフレットすら見たことがないということでした。
京都府として、市町村やハローワークと協力して、1人残らず、失業者に新制度の周知徹底ができるよう早急に改善すべきではありませんか。また、振興局やジョブカフエなどにもリーフレットを置いていただくよう求めておきます。
高すぎる保険料の問題は、無保険者だけの問題ではありません。今年度、京都府内13自治体で保険料の引き上げが行われました。どの自治体でも党派を超えて引き上げ反対の声が広がりました。南山城村では平均18・8%の値上げ案に対して全員協議会で村長に見直しを求められました。京丹後市では「住民に知らされないままの引き上げは反対」「資産割を廃止すべき」などの声があがり「国民健康保険制度を堅持するための改善を求める意見書」が全会一致で可決されています。
国民健康保険制度が多くの困難を抱え、保険者である市町村が大変な状況に陥っているおおもとには、自民党政府が84年の国保法改悪で、国保への国庫負担を削減したことがあります。国保には、年金生活者や失業者など仕事を持たない低所得者が半数以上を占め、しかも高齢者など医療の必要性が高い層の割合が増加し続けています。
このように国保は、そもそも手厚い国庫負担なしには制度が成り立たないにもかかわらず、京都府内市町村国保の総収入に占める国庫支出金の割合は、84年の51・35%から08年には24・84%へと半減し、1人当たりの国保料は平均43531円から84,542円へと2倍近く引き上がりました。そのため、保険財政が赤字になる、そして保険料が上がる、滞納が増え、財政赤字になるというスパイラルに陥っているのです。国は、これまで削減してきた国保への国庫負担を計画的に1984年度の水準に戻し国保料をだれもが払える水準に引き下げるべきです。
【健康福祉部長】国民健康保険の保険料について。府内の状況は、全国平均20年度で約9万600円、これと比較すると京都府の場合、約8万4600円と低くなっているが、昨年度のあんしん医療研究会の報告によると、所得に占める保険料負担の割合が、近年いっかんして増加する傾向にあるなど、厳しい状況にあると認識している。
 無収入や低所得者の方に係る保険料減免については、全額免除も含め、当該被保険者の生活実態等を最もよく把握されている市町村において、定められた基準に沿って適切に対応されるべきものと考えている。
 滞納された保険料・税の取り扱いについては、それぞれ法の規制により、国保料が2年間、国保税が5年間で時効により消滅する。これまでも市町村において、こうした点に基づく対応がなされており、国においてもその取り扱いが変更されたとは承知していない。

新たな負担を招く国保一元化は中止せよ

【西脇】高すぎる国保料が問題になっているさなかに、京都府は、「あんしん医療制度研究会」を立ち上げ、国保一元化の検討を進めようとしています。 一元化で、今の最大の問題である高すぎる保険料の問題が解決するのでしょうか。
それどころか、国保一元化によって、保険料の平準化を「錦の御旗」に、憲法25条に基づく国の責任を免罪し、特別に高い保険料の地域の負担を、医療機関が少なく、医療を満足に受けることができないような地域の住民に新たな負担として負わせることになります。また広域化することで市町村の窓口が、住民から遠い存在になり、これまでの市町村や住民の努力で積み上げられてきた給付や保険料軽減策などが切り捨てられることになってしまいます。
これ以上、新たな負担を招くような国保一元化は、中止すべきと考えますがいかがですか。
また、京都府として、国保一元化の検討よりも、国に対し、本気で市町村と大きな運動をつくってでも、これまで削減してきた国保への国庫負担を計画的に1984年度の水準に戻すよう強く求めるべきですがいかがですか。
【健康福祉部長】国保の一元化については、市町村国保は、被保険者に高齢者が多いために医療費が高く、無職者が多いために保険料負担力が弱いという保険財政上の構造的な問題などから、運営が非常に厳しい状況にある。このため京都府としては、国庫負担割合の抜本的な引き上げを前提としつつ、市町村国保の都道府県単位での一元化と、都道府県の積極的な関与が必要と考えており、今後ともこうした立場で新たな制度の実現に向けて努力していきたいと考えている。こうした中で、現行制度を維持する上でも、これまでからも、市町村のご意見もお聞きし、国の財政支援の充実について要望してきたが、今後とも、府民に安心していただける医療保険制度の構築をめざし、ナショナルミニマムの確保のための必要な財源確保と、制度の抜本的改革を、国に対し強く求めていきたい。

資格証、短期証、窓口負担などの問題について

【西脇】その次は、すでに国保に加入していても事実上、無保険に追いやられる方たちの問題です。
まず、資格証についてです。
市町村が保険料滞納の制裁措置として行なっている資格証交付は、京都市では、4189件、宇治市202件、亀岡市53件などと事実上の無保険世帯を大量に行政が生み出しています。
本府内においても、社会保障の観点からも、事実上の医療の取上げにつながる資格証は、本来交付すべきものではありません。
二つめは、短期証の問題です。国保料を滞納した場合に交付される短期保険証の交付も、京都市は1万5846件、宇治市は1166件、亀岡市1207件など大量に交付されています。いつ無保険になるかわからないという問題があります。また、市町村では、国保料支払いの納付相談のためと称して短期保険証などを窓口に置いたままとする「留め置き」が行われています。この措置により、子どものいる世帯も含め、保険証が受け取れず、事実上の無保険状態となっています。
保険証の留め置きは中止し、郵送なども含め、納付相談は別建てにするよう市町村に改善を求めるべきと考えますがいかがですか。
 次に、医療費の窓口負担について伺います。 
高い保険料を払い、さらに受診すれば3割負担という国は日本だけです。伏見区の60歳の女性からは、「国保に入っているが、がんでも窓口負担が高く、病院にいけない」という深刻な実態をお聞きしました。
OECD加盟30カ国のうち、イギリスなど12カ国では窓口負担は原則無料で、今では、日本医師会も窓口負担の軽減は是正しなければならない大きな課題だとされています。
国の責任として医療費の窓口負担の軽減を強く求めるべきではありませんか。あわせて、京都府としても、小学校卒業までの子どもについては通院も無料に、75歳以上も医療費の窓口負担の軽減を実施すべきではありませんか。
あわせて、国民健康保険の一部負担金減免徴収猶予について伺います。
国民健康保険法では、市町村は、保険医療機関等に一部負担金を支払うことが困難であると認められる者に対し減免猶予の措置をとることができることとされています。京都府で現在、基準を定めた制度を持っている24の自治体では、運用もばらつきがあり、基準も厳しいこと、制度そのものが周知されてないなどによって、実施件数は、府内全体でもほとんど利用されていないように、せっかくの制度もほとんどが「絵に描いた餅」になっています。
昨年9月定例議会で、わが党の上原議員がなぜ、この制度が市町村で活用されないのか調査を行ない、すべての市町村で、本来制度が必要な府民に制度が活用できるように必要な支援を行なうべきと質問しましたが、その後、状況はどこまで改善されましたか。お答え下さい。
【健康福祉部長】短期被保険者証等については、市町村窓口においての留保が長期間に及ぶことは、望ましくないと考えており、被保険者の自宅訪問などのきめ細かい対応を行ない、被保険者と接触する機会の確保を図るよう、市町村に要請している。とりわけ子どものいる世帯については、子どもの医療機会の確保が重要であることから、これまでから通知などにより、速やかな対応を求めてきたが、今後とも被保険者証の郵送も含め、未交付状態解消に向けた取り組みを積極的に進めるよう、市町村に要請していきたい。
 医療費の窓口負担について。京都府は従来から、低所得の方々などの生活実態を踏まえて、その負担が過度とならないよう、国に要望しており、今後とも、75歳以上の高齢者の負担軽減も含め、国に求めていきたいと考えている。
 子どもの医療費助成については、代表質問で知事から前窪議員にお答えしたとおり、検討のための経費を今回の6月補正予算案で計上しているところ。
 一部負担金減免制度については、被保険者の生活実態を最もよく承知している市町村が、給付と負担のバランスを踏まえ、判断されているところ。京都府としては市町村に対して、法の趣旨を踏まえた適切な運用が行なわれるよう、助言・要請するとともに、減免基準に対して、国において統一的な考え方を示すよう求めてきた。国においては昨年度に実施したモデル事業の結果を検証し、全国的に適切な運用が行なわれるよう、今年度中に一定の基準を示すとしているので、速やかに示すとともに、必要な財政支援等を行なうよう、引き続き国に求めていきたい。

ヒブワクチンなどへの公費助成について

【西脇】次に、ヒブ、肺炎球菌ワクチンについてお尋ねします。
細菌性髄膜炎は、わが国では、小児を中心に毎年千人以上かかり、死亡率5%、後遺症の残る率は20%といわれています。その原因の6割強をヒブ、3割を肺炎球菌が占めています。この病気の原因とされるインフルエンザ菌b型(ヒブ)と肺炎球菌には七価ワクチンができ、世界保健機構は1998年に世界中のすべての国々に対して、乳幼児へのヒブワクチン無料接種を推奨しています。現在、肺炎球菌についても七価ワクチンが世界77カ国で承認されており、これらのワクチンを定期接種化した国々では、「細菌性髄膜炎は過去の病」となっています。
一方、日本では、ヒブワクチンも七価ワクチンも、いまだに任意接種のため、ヒブの場合は、4回接種で約3万円もかかるなど子育て世代には大変な負担となっています。
そのようななか、ヒブや七価ワクチンに対して公費助成をという運動が党派を超えて全国で取り組まれ、意見書も465件提出されています。京都府議会や京都市議会をはじめ府内11自治体でも全会一致で意見書が提出されています。また、すでに国に先駆けて全国32都道府県の117自治体でヒブワクチンの助成が始まっており、兵庫県では、今年度より市町村に半額補助が始まっています。
6月5日に、日本共産党は、京都市内で「ワクチンシンポジウム」を開催し、小児科医師や「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」の代表者の方などからお話を伺いました。細菌性髄膜炎によって、わが子に重い後遺症が残ってしまった「守る会」のお母さんは、「誰でもまさか自分の子どもがと思っているが、気がつかないうちに崖から突き落とされてしまう。目の前に崖に突き落とされそうな子どもがいても国や行政はただ見ているだけなのかでしょうか。」と、現在の遅れたワクチン行政を厳しく指摘されていました。
 子宮頸がんもHPVワクチン接種で感染を予防し、定期健診で早期発見できればほぼ100パーセント予防できるがんだと言われていますが、3回のワクチン接種費用も4万円以上になります。すでに世界の30カ国では低年齢でワクチンを公費助成で接種しており、全国では、35自治体で助成事業が開始されようとしています。東京都では今年度よりHPVワクチン接種促進事業として区市町村への助成が実施され、山梨県でも今年度6月補正で助成が始まります。また、本府でも初めて向日市で助成事業が始まります。
京都府として、本来守れる命が、経済的理由で失なわれたり、後遺症で苦しまないように、国待ちにしないで、独自に助成を行なうべきと考えます。
昨年9月の定例府議会で、健康福祉部長は、ヒブワクチンについての府の独自支援については、「ワクチンの有効性や健康被害の検証など実態をよく把握しながら市町村など関係団体の意見を聞くなど研究検討したい」と答弁されていますが、現在具体的にどこまで検討がすすんでいますか。すぐ実施すべきと考えますがいかがですか。
あわせて、国に対しても、ヒブワクチンと七価ワクチン、子宮頸がん予防ワクチンの公費助成を早急に実施するよう強く求めるべきですがいかがですか。
【健康福祉部長】細菌性髄膜炎及び子宮頸がん予防ワクチンの公費助成について。現在、国の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会で、予防接種の対象に位置づけるかどうか、検討されているところと聞いている。京都府としては昨年2月の定例会における府議会の意見書の趣旨を踏まえて、国における積極的な取り組みを要請しており、引き続き強く要請していく。
 ヒブワクチンを始め、これらのワクチン接種に係る府独自の助成については、その必要性などについて、市町村に照会し、意見を聞くとともに、他府県の動向や、ワクチンの供給状況などについて情報収集を行なうなど、検討を進めている。

上原ゆみ子(日本共産党、京都市伏見区) 2010年6月22日

京都府の私立高校無償化制度

無償化対象となる保護者が、授業料を一旦納入せずにすむ制度へ改善せよ

【上原】日本共産党の上原ゆみ子です。通告に基づき知事ならびに関係理事者に質問いたします。
まず私学修学支援金についてです。
本府は低所得世帯を対象に「あんしん修学支援事業」と総称し、私立高校の授業料実質無償化を図るとしています。府民だよりを見て期待している保護者も多くおられ学校や文教課への問い合わせも多くあったとお聞きしています。
Aさんは新聞報道で京都府が年収350万円未満世帯の私立高校授業料を無償化する制度を作ったことを知り、「自分のところに当てはまる」と考えられました。姉妹で私立高校に通っていますが「実質無償化」であれば授業料の心配はないと思われました。しかし、学校から1期2人分の授業料約50万円の納入の通知がきて途方にくれました。
私ども府会議員団は高校授業料無償化と学費負担についての調査を実施し、街頭で配布したアンケ―トにAさんと同様の返事が返ってきています。
この方は「入学してすぐ授業料減免と思っていたのに結局1年後に返金という形になっています。それでは意味がないと思う。」こう書かれていました。
そこでお聞きします。年収350万円未満は実質無償というのなら、保護者には授業料の納入をしなくてもいいようにするべきではないでしょうか。いかがですか。
【知事】私立高校の授業料の無償化についてでありますけれども、確かに減免の実施時期や方法が、学校により異なっているところがありますので、私どもとしましては、経済的に厳しい世帯への授業料負担を極力、解消・軽減ができるよう、各校に対しましてきめ細かな修学相談の実施とともに、減免決定までの間において、支払い猶予や分割納付など、家庭事情をふまえた対応をすることを要請しているところであります。

対象生徒への無償化が、学校の事情で左右されないよう府の直接助成とせよ

【上原】私立高校では、「あんしん修学制度」に基づき予算を組んで学校の要項を作成していくとされています。
本府はこれまでも学校の負担を得て授業料減免を実施してきましたが、この制度もやはり学校負担を求めています。
この間わが党は、従来の授業料減免制度では学校によって要項がまちまちで、学校の事情により希望される生徒すべてが減免されていないとし、それには学校負担をなくし保護者への直接助成にするべきだと指摘し改善を求めてきました。
今回、6月補正予算で学校負担分を軽くするため予算を組まれたことは歓迎するものです。しかし、学校負担はまだ残っています。
そこでお聞きしますが、学校の負担を前提にした今のやり方で、すべての私立高校が、年収350万円未満の世帯全部を無償にするための予算をたてられるとお考えですか。現状をお聞かせください。
47都道府県の授業料補助のなかで学校負担があるのは7府県のみです。40の県が直接助成としています。本府も保護者への直接助成とすべきではないでしょうか。お答えください。
【知事】京都府は今年度当初予算で創設いたしました、この私立高等学校のあんしん修学支援事業につきましては、生活保護世帯に準じる年収350万円未満世帯につきまして、授業料の全国平均は35万円なんですが、私どもは64万円まで無償にするというかたちにしておりまして、たぶん家庭に対する支援内容では、額も質も、これは間違いなく全国トップクラスであるというふうに考えておりまして、学校負担はなくてもですね、家庭に対する負担が高負担であれば、何の意味も私はないと思いますので、京都の場合には、学校とそして京都府が協同して、京都府が奨励して、全国トップクラスのことを実現しているということについてはご理解頂きたいと思いますし、今回、補正予算で私立学校の教育支援事業費によりまして、さらに学校経営にも配慮しながら全額免除を一層、定着・促進させるものでありますので、この制度の定着というものを私たちは、これからもしっかりと行っていきたいと思いますし、そのために学校にも要請していることをご理解頂きたいと思います。
授業料の減免は、これは今申しましたように、保護者への直接助成ではなく、学校のご理解を得て個々の生徒さんに対する修学相談・指導とあいまって実施することが重要だと考えております。

府外の私立高校へ通う京都府の高校生を無償化制度の対象から除外するな

【上原】さらに、この制度の欠陥は京都府内の高校に通う高校生のみ対象で、府外の私立高校に通う生徒は受けられないということです。
わが議員団にも「なぜうけられないのか。どうなっているんだ」という問い合わせが府外に通わせている保護者からきています。
知事は無償化の目的を「経済的理由で修学を断念することがないよう、京都の次の世代を担う子どもたちの教育機会を守る」こう言われました。
府外に通う生徒は、守らなくてもいいということなのでしょうか。
府外に通う生徒を除外することは知事の言う教育の機会を守ることと矛盾すると思いませんか。法のもとの平等に反すると思いませんか。いかがですか。
【知事】府外の私立高校に通う生徒に対する修学支援制度の適用につきましては、大阪府と滋賀県が府県外通学生への支援を廃止するなかで、京都府といたしましても、平成21年度まで経過措置を設けるなど努力をしてまいりましたけれども、基本がもどりませんので、現在の取り扱いに至っております。それに加えまして、京都府内の募集人員と入学者数にはかなり乖離があります。その中で府内私学の教育力の向上、経営の維持、そして、そうした私学支援にあたりましては、学校の協力も頂いている点から、私たちは対応する必要があると考えております。
現在、大阪府、滋賀県にも相互支援を呼びかけているけれども、まだ難しい状況にございます。

高校生への給付型奨学金を引き上げ、対象の拡大を

【上原】次に諸経費負担と高校生奨学金についておききします。
公立高校の無償化は授業料だけであってその他の費用も大変です。公立高校に通っている保護者からアンケートが寄せられました。「入学金5650円、諸費43065円、制服代18600円、教科書13600円、修学旅行13万円、クラブ費5月末時点で27100円かかっており、費用負担が大変です」こう書かれてありました。
今回、授業料無償化に伴い「高等学校奨学金」が「高校生給付型奨学金支給事業」とされました。対象はこれまでと同じ市民税非課税の母子・父子・障害者・長期療養世帯と限られています。以前の制度から見ると減額となっています。
昨年は修学旅行に行けなかった生徒が70人もいたとのことですが、高校生活の楽しい思い出を共有できないなどという悲しいことはあってはなりません。
授業料が無償になったのですから、その他の費用についてもいよいよ支援の拡充をしていくべきではありませんか。
安心して学ぶために、減らされた奨学金を引き上げ、いまの限られた世帯だけでなく、生活保護基準1.5倍の収入世帯まで対象とすべきではないでしょうか。   
【健康福祉部長】高校生給付型奨学金支給事業については、支給額を減額したわけではなく、従来の「高等学校修学援護事業」が授業料相当分を対象にしていたところ、今回、国及び府独自の対応による授業料の実質無償化にともなって、高校生が安心して勉学に努めるよう授業料以外に必要となる学用品、通学用品などを対象とした支援金を支給するという、全国にも類を見ない制度として、厳しい財政状況のなかで創設したものであります。対象世帯の拡大などにつきましては、今回創設したばかりの新制度でありますので、当面、この事業の推移を見守ってまいりたいと考えております。
【指摘要望・上原】授業料無償化と言われても、一旦納入しなければならないということなんです。先ほど述べたAさんは、無償化になると聞いて、「私学も選択できるよ」とお子さんに言われて、お子さんが私学に行きたいと選ばれたわけです。ところが、一旦納入しなければならない。借金して払わなければならない。納得できないと言われているのです。無償化なら低所得者にとっても安心だと思っていた。そういう方々の期待を裏切るものです。無償化なら、納入しなくてもよいようにすべきです。
 他府県に通う生徒を適用除外している問題ですけれども、滋賀県や兵庫県は今もなお、県外生を対象にしています。救われる生徒、救われない生徒を公教育の場で、そういうことがあってはならないと思います。府内の私学の振興と言われます。これも大事ですけれども、生徒の立場にたって考えて頂きたいと思います。
 廃止した、大阪府や滋賀県と協議しあって改善をされること。まず、本府から府外生も対象とされるよう強く要望をして次の質問にうつります。

大学生・高校生の就職問題

労働法制を抜本的に見直し、非正規から正規雇用への転換を
京都の企業に、若年者の正規雇用を働きかけよ

【上原】次に大学生や高校生の就職難問題について質問します。
今年の大学生は就職氷河期をも下回る就職率でした。しかし、これは就職希望者が就職できた比率であって、就職をあきらめた生徒もおり実際の就職率はもっと低いだろうと言われています。
採用が決まらなかった学生は、アルバイトや派遣という雇用形態でしか働けず不安を抱え込んだまま社会に巣立っています。
 社会への第一歩でつまずき、これまでだったら当たり前の人生設計を望めたものが今では根本から崩れてしまっています。
先だって、ハローワーク前でアンケート調査を行いました。21歳男性は高校の紹介で就職した企業が一昨年秋に倒産廃業し、その後仕事が見つからない。23歳男性は、ずっとハローワークに通っているが、50社受けたけど決まらない。こういう答えが返ってきました。
新卒者を始め求人が減少しているのは、景気の悪化だけではなく非正規雇用の拡大が根本にあります。
製造業で従業員500人以上の企業では、1994年には269万人いた労働者が187万人へと、30%も減らされています。
京都府では2002年と2007年との比較では正規就業者は17000人減り、非正規就業者は逆に64200人増えており、非正規の割合は40%と全国ワースト2となっています。     
この10年間、日本は「成長が止まった国」「国民が貧しくなった国」という、世界でも異常な事態に落ち込んでいます。大企業は巨額の利益をあげていますが、それは少しも国民の暮らしにまわらず内部留保として蓄積しています。
労働者の賃金は10年間で27兆円減りましたが、一方で大企業の内部留保は87兆円も増やしています。急激な生産調整も終わり少し回復しつつあるようですが、生産を回復してもやっぱり使い勝手のいい派遣労働者や期間社員でまかない、正社員を増やそうとはしていません。京都府のジャトコがその例です。
こういったなかで若い人たちが声をあげています。5月16日「全国青年大集会」が東京で開かれ5200人が参加しました。この京都からも128人が参加されました。「まともに生活できる仕事を」「人間らしく働きたい」この願いと運動は全国に広がり、京都の青年たちも先だって本府に要望に来られています。
いま求められているのは、非正規雇用を拡大した労働法制を抜本的に抜け穴なしに見直し、非正規から正規へと転換すること。また契約社員・期間社員を増大させた、労働基準法改悪の見直しするよう国に強く求めるべきではないでしょうか。また、京都の企業に、若い人たちを正規雇用するよう働きかけるべきですがいかがですか。

就職活動の早期化・長期化を企業に改めさせ、学業と両立できる就職活動へ
実効あるルールの確立を国に求めよ

【上原】そして大学生の就職活動も大変な事態となっています。
まず、開始時期が企業の都合で年々早期化しており、そして長期化していることです。
ある学生は3回生の夏から就職活動を開始し、次々と採用試験を受けるのですが内定がもらえず、結局内定がもらえたのは4回生の夏でした。1年間も就職活動をしていたのです。
学生は「昼に説明会に行った企業が、夜には募集中止のメールを送ってくる、別の企業では面接を受けて2ヶ月たっても何の連絡もない。2次試験、3次試験と緊張が続き、一番長かったのは11次試験というのもあった」そうです。
そして「不採用の連絡をもらったその日は一日落ち込み、躁鬱の繰り返しだった」こう語ってくれました。
就職活動は孤立していて仲間と励まし合うということがありません。自分はもうダメな人間なんだと自己否定してしまいます。大学ではそのためカウンセリングもしているところもあります。
また、いったん卒業したら、翌年度の新卒対象とした採用に応募できないという、企業の募集のやり方も問題で、新卒で正社員になれないと「自分の人生が閉ざされてしまう」という焦燥感になり一層重苦しくなります。
そして、就職できなかった学生の中には、来年も新卒で就職試験を受けるために、10数万円を払って学籍をおいてもらっている例もあります。ある学部で卒業したのは生徒の7割で後の3割はわざと留年した、こういうことも起こっており、大学の先生はじっくり就職活動するために卒業後3年間は新卒と同じ扱いにするようすべきだと言われています
人間の尊厳が否定される、このような今の大学生の就職活動の状況は異常だと思われませんか。本府として大学生の実態をどうつかんでおられるのかお聞きします。
長期化は精神的苦痛とともに金銭的負担も大きいものがあります。
交通費、食事代、写真代、成績証明書や健康証明書の代金、履歴書の郵送代も必要です。遠方なら宿泊代も必要となります。
結局この学生は、就職試験を受けた企業は80社にのぼり、費用は約30万円もかかったそうです。
そして何より早期化と長期化は学生の本分である学業に大きな支障をきたしていることです。学業に取り組み勉学に励んでこそ、それを生かして社会でしっかりと働くことができますが、それが保障されないまま社会に送りだされてしまうことは企業や社会にとっても大きな損失ではないでしょうか。
学業と両立できる就職活動が出来るよう、就職活動の早期化・長期化を改めさせなければいけません。会社訪問や採用試験の開始日などの設定をし、ペナルティを科すなど実効あるルールにすべきです。学生の街この京都府から強く国に要望すべきとおもいますがいかがですか。お答えください。

府として「官製ワーキングプア」と言われる不安定な雇用を改めよ
人で不足の介護現場での雇用創出へ

低賃金・過酷な労働条件改善へ、国に社会保障予算増額求め、府として積極的支援を
【上原】若い人たちの働き場所を確保する自治体の役割も重要です。
非正規雇用は自治体でも広がり、正職員の数も減っています。市町村合併により削減され、保育園の合併や民営化により、保育士さんの半数が非正規職員になり、給食調理は民間委託されています。
地方での就職先はその地域の保育園や学校や役場関係など公務職場が重要な就職先の一つとなっていました。ところが今そういう公務職場が非正規に置き換えられ、民間委託されるなど不安定雇用が進められています。
本府も1500人の職員削減をおこなってきています。臨時職員は396人、非常勤職員は389人です。非常勤職員の方の仕事の内容は正規職員と変わらず、時には市町村の会議にも行かれます。しかし賃金があまりにも低く福祉事務所に相談に行かれたら月に3~4万円の生活保護は出せますよとのことでした。
雇用創出というのならまず、本府が官製ワーキングプアと言われる不安定な雇用をやめるべきだと思いますがいかがですか。
そして本府が行う雇用対策ですが、NPOや企業の提案など多くの事業がありますが、臨時的、短期的な雇用も多く、正規雇用を生み出していく対策も強めていただきたいと考えます。
一方で新たな雇用の創出として介護や環境分野などでの対策が言われるのですが、看板だおれに終わっています。介護現場は人手不足なのに介護報酬が引き下げられ、低賃金や過酷な労働で安定していません。この間続けられてきた社会保障削減を転換し、賃金引き上げを行うなどしなければ雇用創出にはなりません。府が積極的な役割を果たすべきですがいかがですか。

高校生の就職支援

地元中小企業が高校生を採用しやすいよう、人件費・研修費等助成制度の創設を
資格取得のための職業訓練、高等技術専門学校拡充と高校生優先枠の設定を

【上原】高校生の就職も深刻です。21年3月の京都府内の求人数は4348人でしたが22年3月は2890人に落ち込みました。
21年に内定切りが起きた高校は、厳しさを知るために企業を呼んでのオリエンテーションに2年生も行かせた方がよかったと言われています。
昨年11月に福知山でハローワークと府の合同就職説明会に参加した生徒が出願をしましたが、試験が行われたのは1月で結果がきたのは2月でそれも不採用ということで生徒はすっかり自信と希望を失ってしまったということです。
いま企業は即戦力を求める傾向がつよく、指定求人でも落とされ、良い生徒取りが行われています。そのため、男子がほしい、家庭調査、携帯番号の問い合わせなど違反事例も起こっており、これまで作られてきた就職ルールが守られていないとの現場の声です。
高校生は9月15日の就職の解禁で1社しかうけられず、10月16日から2社うけられるというしくみになっていて、何社も受けるという大学生の就職活動とは異なる点を企業にも理解していただかなければいけません。
求人の落ち込みは特に北部地域で、求人をだす企業そのものが減っています。けれども家計を支えるため地元を離れることができないこういう家庭事情の生徒もいます。本府の高校生未就職支援事業が福知山でも行われていますが、2時間もかけて通っている生徒がいるそうです。
高校生就職支援は地元の雇用創出と就職難を打開する具体的な施策が必要です。
企業でのスキルアップができるよう受け入れた企業に賃金助成をしている秋田県。富山県は、未就職者を1年後に正社員とするのが条件で1年間雇用する企業に対し人件費など350万円助成し、この4月から31人が雇用されました。
このように企業に人件費や研修費を助成するなど、地元中小企業が採用しやすい対策が必要ではありませんか。特に北部地域は必要です。        
また、高校生のため技能や資格取得のため6カ月くらいの職業訓練の実施や、高等技術専門学校の拡充や優先枠などの支援策を講ずるべきではありませんか。
最後に、いま国は城南と丹後の地域職業訓練センターを廃止するとしています。地元からも大きな反対の声があがっています。国に対し存続を求めていただくよう、要望して質問を終わります。                     
【職員長】非常勤職員の雇用について、厳しい行財政環境が続くなかで、府民サービスの水準を維持・向上させるためには、全ての事務事業について点検・見直しを行い、徹底した業務の効率化に取り組んでいくことが必要だと考えております。こうした観点もふまえまして、外部委託等を図るとともに、各種相談業務など、特定の知識・経験を要する業務については非常勤嘱託職員を、技術的業務や職員の休務に伴う補助的業務につきましては臨時職員を配置しているところであり、今後も、非常勤職員を効果的に配置するなど、府民サービスの向上に向け、効率的な執行体制を確保していく考えでございます。
 なお、非常勤職員の処遇につきましては、本年4月から、基本賃金の大幅な引き上げや、勤務条件の改善をきしたところでありますが、引き続き府内官公所や近隣府県等の状況も把握しながら検討・研究をすすめていく考えでございます。
【企画理事兼商工労働観光部長】非正規雇用に関わる労働法制についてでありますが、京都府では労働法令の早期の決定や労働者保護の強化など、労働者が安心して働ける労働環境が確保されるよう、国に求めてきており、今後も引き続き要請してまいりたいと考えております。
 またこれまでから、京都企業のみなさまにも、企業の将来を支える基盤人材確保のため、正規雇用等の安定的な就労機会を創出・確保していただくようお願いしております。
 学校の就職環境については、経済情勢の悪化の影響を受け、大学生等の就職内定率も低下傾向にあるなど厳しさを増しており、京都ジョブパークで大学と連携し、実情を把握しながら就職面接会等を強化し、就労支援に努めています。
また、学生の就職・採用活動については、現在、企業側と大学側の申し合わせを双方が尊重し、相互に十分周知するというルールのもと実施されております。そうした取り組みを尊重しつつ、常識ある就職・採用活動が行われることが重要と考えているところであり、引き続き、労働局との会議等を通じて要請してまいります。
雇用創出対策については、府民の生活基盤を守るため、NPOや企業と連携し実践的なスキルを身につけて頂く、未来の人づくりに重点をおき、ものづくり産業や介護福祉等の分野で安定した常用雇用につなげるよう、身を凝らして取り組んでおります。
さらに昨年12月に策定した京都府第3次雇用創出就業支援計画では、4年間で常用雇用4万人の就業と、1万人の人づくりを目標に将来を見据えた人づくりと、きめ細かな就業支援、産業振興による働く場の確保を主体的に進めることにしております。
介護労働者の賃金については、処遇改善につながる適正な報酬水準の設定がなされるよう国へ要請してきたところですが、引き続き、関係団体等からも状況をお聞きしながら国に働き掛けてまいりたいと考えております。
高校生の就業支援については、すでに高校生緊急就業支援事業により、4か月にわたり雇用しながら、事業所内実習など現場に密着したプログラムを実施し、安定雇用につながる職業観とスキルを身につけて頂くための取り組みを始めているほか、北部対策として在校生向けのインターンシップの開催、若年者向けの出張セミナーを年50回程度実施するなど、きめ細かな施策を展開し、地元企業での採用につなげているところです。
高等技術専門校では、施設内職業訓練の他、若年者を対象とした多様な短期コースを設け、早期就職の実現に取り組んでおります。本年4月には、雇用状況の変化に対応してカリキュラムを再編。産業界が求める介護分野やIT分野、医療事務系におけるコースを充実し、訓練内容の質の向上と同分野における定員数の大幅な増員を図ったところであり、国の奨励金制度の活用や周知も図りながら、地元中小企業への採用に全力で取り組んでまいります。

原田 完(日本共産党、京都市中京区)  2010年6月23日

【原田】日本共産党の原田完です。すでに通告しております数点について、知事と関係理事者に質問を行ないます。

中小企業支援

下請けはフル稼働状況で仕事をしても、売り上げは、最盛期の6割程 
大企業が徹底した下請け単価の切り下げを強要

【原田】私は先日、京丹後市の機械工業協同組合をはじめ、機械金属加工の社長さん達のお話を伺ってきました。一昨年は、急激な景気の後退で、融資での経営支援要求が強くありました。昨年は、事態はいっそう深刻化し、仕事の激減、親企業からはコストカットの経営指導が入り、極限までの合理化要求・生産性の見直しが求められました。受注が最盛期の1割、2割に減少という下請け企業が多く生まれ、大切な資源・財産である熟練従業員の雇用確保や工場存続のため、雇用調整交付金制度の条件緩和や固定経費助成、リース物件の返済猶予、借入金の返済猶予など深刻な要求が噴出しました。
今年度は、一般工作機械関係の回復は遅れ、受注が3・4割程度となっています。一部の半導体製造機器関連の企業では、仕事量が120~150%でフル操業のところもでています。
しかし、フル操業の企業でも、何度も再見積もりが要求され、結局、得意先からの指値と変わらない加工賃切り下げを強いられています。最盛期には時間チャージ3000円程度だったものが、いまや半分になり、この6月から鉄が15%、ステンレスが10%の値上がりを通告され、利益を圧迫しています。仕事量は150%になっても、売り上げは60%程度という事態になっています。
新聞報道では京滋の主要46企業の3月期決算で売り上げが10.1%減少しても、経費削減、原材料コストを圧縮し、経常利益を8.6%増としていました。
中小・下請企業では対照的に、受注はフル稼働状況で仕事をしても、売り上げは、最盛期の6割程度にしかならない。ここに、現在の経済構造が端的に示されているのではないでしょうか。
大企業は売り上げ減少でも経常利益は増やしているのは、非正規雇用の低賃金労働者の活用、中小企業には先に紹介したような徹底した下請け単価の切り下げを強要しているからです。こういう事態を府は掌握しているのでしょうか。

下請け2法違反や独占禁止法の優越的地位の濫用等の規制を
府が公正取引委員会と協力し相談窓口など実効ある措置を

【原田】府南部でも、継続して訪問していた八幡市や久御山町の業者2軒が最近廃業しました。発注先を中国に一方的に変更され仕事を切られた企業、30年間同一の加工単価など大企業の下請けいじめは極めて露骨です。下請け振興法や独禁法がありますが、申告制度のため、実際には下請け企業は親企業に向かって「けんか」を売るようなことは、仕事の打ち切りを覚悟しなければできないのです。
そこでお聞きします。
わが党の前窪議員の代表質問で、知事は下請け2法の運用、京都府も相談窓口の設置をとの質問に関係団体や発注企業に趣旨の徹底、下請けかけこみ寺で対応、中小企業サポートチームでの現場の声を聞く等々答弁されましたが、私がかけこみ寺の実態をお聞きしますと、相談実績は79件にとどまり、匿名相談もあることでした。業種でも下請けいじめが多発している機械金属加工等はほとんど相談すらされていないのが実態です。相談体制も専任一人、補助二人は兼任であり、とても十分とはいえません。
相談の多くは加工賃支払いや支払期限等の親企業・発注先との関係で、結局不満があっても、直接対決には至らず、泣き寝入りともいえる状況で相談が終わっているのが実態です。解決の切り札として宣伝されている裁判外紛争解決手続き(ADR)は京都府では1件のみという状況です。
結局は、直接的対決が出来ない下で、多くの業者は泣き寝入りしているのが実態です。
中小企業サポートチームについてですが、昨年秋の私の質問で、商工部にサポート事業での聞取り結果や景況感等の問題点を聞いても、訪問件数の報告だけで、現況や問題点、今後の展望等について報告すら出ません。私がお会いした丹後の旅館業者は「こんな不況は開業以来」といわれていました。多くの業者も同様です。サポート事業は、商工部として実態把握がされていないのではないですか。だから具体的手だても見えてこないのです。
知事が言われた内容では、現状で困っている中小企業の実態の間尺に合わないのです。
中小業者の使い捨てのような経済システムから、大企業・親企業と対等平等な取引のできる経済システムへの転換が求められます。現在ある「中小企業かけこみ寺」制度は調停となっても、立証責任は申告者である下請け企業で、親企業との直接対決になり、下請け業者にとっては使えるものではありません。下請け業者が矢面に立たなくても、行政が、下請け業者の申し立てを受け、責任を持って親企業の企業活動の実態調査をし、問題解決すべきではありませんか。また、問題解決にあたり京都府庁内に特別体制を作るべきです。お答えください。
下請け2法違反問題や独占禁止法の改正で新設された優越的地位の濫用等の規制について、府が公正取引委員会と協力し、実効ある措置が取られるよう求めますが如何ですか。お答えください。

電力代や工場家賃、固定資産税などの固定費助成、直接補助を決断すべき

【原田】固定費支援も緊急の課題です。八幡市のある業者は家賃が24万円、電気代で10数万円、目が覚めたら何もしなくても、毎日一万数千円が消えて行く。機械も古くなったが、先行き不透明で機械の更新も出来ないと言われていました。発注先の大企業の都合だけが優先し「このままでは下請けは奴隷だ」とさえ言われていました。ある業者は固定経費を支払うため、夕方からアルバイト、家族の収入も家賃や動力電気基本料など経営維持の費用に回し、事業を継続している実態があります。
そこで伺います。
4月16日に経済産業大臣は、リース代の繰り延べなどを求める通達を業界に出しました。この通達を生かし、府でも関係者に徹底することが必要です。どう徹底されるのかお答え下さい。
また、日本の宝とも言うべき町工場を守るため、わが党議員団が求めてきた電力代や工場家賃、固定資産税などの固定費助成、直接補助を決断すべきではありませんか。お答えください。
【企画理事兼商工労働観光部長】下請け取引の適正化については、これまでも公正取引委員会等としっかりと連携するなかで、府としては、関係団体へ発注企業に対する下請代金遅延防止法の趣旨の徹底や発注企業の担当者を対象とした講習会の開催等に努めているところでございます。
 また、相談体制については、すでに京都産業21に「下請けかけこみ寺」を設置するとともに、巡回相談の開設箇所を増やすなど、実態の把握と下請け取引の適正化がはかられるよう、府と関係機関が連携をして取り組んでおります。
 なお、厳しい経営環境にある中小企業者からの支払い猶予等の要望に対しては、事業者の状況に応じて、柔軟な対応をして頂くよう、随時、金融対策協議会の場などを通じてお願いしているところであります。
 諸経費の助成につきましては、「京都元気な地域づくり応援ファンド」や「小規模企業下支え緊急支援事業」において、機械のリース料、水光熱費、店舗の賃貸料を助成対象としており、今議会ではこれらの経費とともに、人件費の面でも支援する「中小企業活路開拓緊急事業」の審議をお願いしているところであります。
 なお、固定資産税への補助は、多くの課題があると考えております。
【再質問・原田】下請け問題ですけれども、独占禁止法強化で優越的地位の乱用にあたるような事例も、下請け企業は次の仕事を考えるとできない。先ほども「下請けかけこみ寺」の問題もすでに指摘しているにも関わらず、同じ答弁では、全く京都府がその責任を果たそうという、中小企業の振興発展に対する意欲というのを感じられない内容だと思います。
 そういう中で、やはり、再度、京都府が行政の責任で中小企業庁や公正取引委員会とも連携し、問題解決にあたる具体的な特別体制をつくって行動すべきだと思いますが、その点での再答弁をお願いします。
 固定経費の問題ですが、固定資産税の問題でも、誘致企業には減税を講じているわけですし、その点では、十分に本来検討ができる課題です。中小企業が苦しんでいる今こそ、その苦しみに、どう支援を図るのかということが何よりも求められている課題であり、日本のものづくりの宝としての中小企業・町工場をどう守るのか、その姿勢が求められています。
 先ほどお話があった内容で言いますと、支援をしていると言うけれども、結局、新製品や試作等に対する取り組みをする場合のみの支援であって、圧倒的に苦しんでいる中小企業への支援の姿勢は取られていないというのが現状だと思いますので、その点も合わせて、再度、中小企業への大きな激励になり、明日の希望をもって商売が続けられる、そういう点での支援施策を講じるという姿勢を、もう一度求めたいと思います。
【企画理事兼商工労働観光部長・再答弁】下請け取引の適正化につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたように、既に我々と京都産業21の「下請けかけ込み寺」が連携させて頂いて、しっかりした取り組みをさせて頂いております。結果につきましても、公正取引委員会等にきっちり連絡をさせて頂いております。
【原田・指摘要望】ご答弁頂きましたが、国の施策・方針も、あるいは憲章に示されているように、成長産業7分野だけでなく、ものづくりを支える中小企業全体への支援を検討していただくことが必要です。京都府の姿勢としては旧態依然とした、圧倒的中小企業に冷たい姿勢であるということを指摘しておきます。

スクールニューディール問題

地元中小業者優先は当然 残りの予算は声に応えて対応すべき

【原田】次に文部科学省のスクールニューディール、デジタルテレビやパソコンの発注についてお伺いします。文部科学省から地元中小企業への発注要請まで来ていたにもかかわらず、府立学校69校の地デジ対応のテレビ191台は一括での入札がおこなわれ、私達が指摘した通りに東京の大企業が落札しました。本来、京都経済の活性化への一助となるはずの交付金が、東京へと還流してしまい、京都には全くそのお金が落ちませんでした。
京都府がWTO案件を最大の理由として、一括入札し、大企業を呼び込み、京都の地場の電器屋さんが参入出来ないような方法をとった結果です。
全国では、地元に本社のある企業等と入札に条件を付けた県も有ります。さまざまな地域インセンティブをつけた入札で、6県が100%地元発注をしています。このような入札が行われても、WTO案件として諸外国から抗議があるのかと、国会でわが党の国会議員が確認しましたが、外務省も経産省も一件もないと答弁しています。
そこで伺います。スクールニューディール予算は、今年度もパソコンの設置及び校内ランケーブル工事が3億8千万円ほどあり、これを不況で苦しむ中小企業へ発注し地域経済活性化へつなげてほしいというのが地元中小業者の切実な声です。地元中小業者優先は当然の原則にすべきだと思いますが、残りのスクールニューディール予算は、このような声に応えて対応するべきです。いかがですか。お答えください。
【総務部長】スクールニューディール予算に係る入札についてですが、このうち教員向けのパソコンの調達につきましては、政令の適用基準額である3000万円を大幅に上回りますことから、いわゆるWTO案件に該当し、入札参加資格に地域要件をつけることは政令で禁じられております。ただ、発注にあたりましては台数が多いパソコンを短期間で導入するとともに、地元企業の参入機会の確保にも資するという観点から、高校の通学圏等に分割して入札をする方向で準備をすすめてきているところです。
 なお、校内LAN工事につきましては、WTO案件には当たらず、各校において府内業者による指名競争入札を実施する予定としております。
【原田・指摘】スクールニューディールの関係ですが、当然、国の緊急経済対策でやったものであり、これは、京都府内の業者に発注をする。通学圏での指名入札を行うと言われていますが、WTO案件から、ぜひこれは外して、他府県でも問題になっていないことですので、この点は要望しておきたいと思います。

中小企業憲章

国の中小企業憲章に準じて、京都府中小企業振興条例を制定すべき

【原田】政府・中小企業庁は、5月13日に中小企業憲章(案)を発表し6月18日に閣議決定しました。中小企業憲章の前文で「国の総力を挙げて、中小企業のもつ個性や可能性を存分に伸ばし、自立する中小企業を励まし、困っている中小企業を支え、どんな問題でも中小企業の立場で考え、中小企業が光り輝き、もって、安定的で活力ある経済と豊かな国民生活が実現されるよう、ここに中小企業憲章を定める」としています。
さらに、基本理念では「中小企業は社会の主役である。その活動は地域社会と住民に貢献する伝統技能や文化の継承役。地域社会の安定をもたらす」と中小企業全般の振興提言がまとめられています。
中小企業憲章案の内容がすべて「良」とするものではありませんが、中小企業の果たす役割、社会的意義から紐解き、街づくりまで網羅した、全面的に中小企業振興を打ち出しています。
そこで伺いますが、本府もこの立場に立った行政執行を行うべきです。全国各地で中小企業憲章や中小企業振興条例制定が進んでおり、今こそ本府でも中小業者の位置づけ、社会的評価、街づくりと中小企業、そして支援措置の意義を明確化させることが必要だと思いますが、いかがでしょうか。京都府として、国の中小企業憲章に準じて、京都府中小企業振興条例を制定すべきだと考えますが、いかがですか。お聞かせください。
また、同時に中小企業憲章は閣議決定されたが国会決議となるよう、知事から国へ働きかけするべきではありませんか。お聞かせください。
【知事】中小企業の振興に関する条例について、京都経済の発展には、地域経済及び雇用の重要な担い手であります中小企業の活性化が不可欠であり、その経営基盤を支えながら、時代の流れに合わせ景気の発展につなげていくことが重要であります。そのため、中小企業の経営の安定及び再建、景況発展の促進、私的財産等の創造、人材の育成等、4つの基本の柱からなります『京都府中小企業応援条例』をすでに平成19年に制定し、中小企業振興のため多様な施策に取り組んでいるところであります。
 その一つの柱であります中小企業のセーフティネット対策としては、一昨年からの厳しい経営環境を資金面から支える緊急融資を創設し、これまでに2万件、5千億円の融資実績を上げるなど、中小企業の経営安定に大きな役割を果たしており、さらに今議会にも融資枠の増額のための予算をお願いしているところであります。こうしたセーフティネット対策をしっかりと講じた上で、中小企業のみなさんがグローバル化や消費者ニーズの変化など経済構造の大きな変化に対応できるように総合的な支援体制をすすめ、積極的な企業助成を行うこととして、そのための中小企業予算につきましても今回6月補正でお願いをしており、まさに中小企業の応援条例に基づく施策をさらに進めているところであります。

京都地方税機構問題

怒りと不安の声 機構へ滞納を送られ自殺を考える例も 

【原田】次に、今年一月に立ち上げ、この4月から業務を開始した京都地方税機構にかかわって質問します。
 地方税機構が発足するまでは、各自治体行政機関で課税内容の説明と納税方法等について、課税担当者と納税担当者が連携しながら対応できました。さらに行政に対する意見や要望を聞く事が出来ました。市町村の場合は多重債務問題や福祉の相談など担当部署と連携して対処し、住民の生活を守る行政の総合性が保証されてきたのです。
地方税機構は納税者の利便性や徴収率の向上をうたい文句に設立されましたが、わが議員団は、自治体行政の総合性を破壊し、住民の生活を脅かすことになりかねないとその創設に強く反対してきました。
現在進んでいる事態は、この危惧が現実のものとなっています。滞納案件について、自治体から地方税機構への移管が進んでいますが、本来、機構に送ってはならない分納中の案件や生活保護案件なども送られ、生活を脅かすものとなり、怒りと不安の声が数多く寄せられています。ある市では、親の代の滞納を毎月5万円ずつ分納していた納税者が機構に送られ月40万円ずつの納税を求められ、自殺をも考える事態まで起きています。市町村の納税相談の体制は弱められ、相談することも困難になっています。
 いま、非正規雇用者の拡大、失業者の増大、営業の存続が危ぶまれる中小業者の増大など府民の暮らしと営業は大変です。税金や国民健康保険料などを払いたくても払えない納税者が激増しているのです。
こうした状況にある納税者を納付期限が過ぎれば、ただちに地方税機構に移管し、機械的な徴税強化が行われれば、住民の暮らしや命にもかかわる重大な権利侵害が起きることが懸念されます。
宇治市では「事情があり納税が困難な人は相談ください」とし、分納相談・低所得者相談中の人は地方税機構に送らない措置をとっています。
このように、本来ならすべてこの市町村が機械的に機構に送るのでなく、住民の暮らしを守る立場から、市町村で相談に乗ることが必要なのではありませんか。
自動的に滞納事案を機構に移管するのでなく、行政が移管手続きには、移管する納税者の納税能力の判断を行うことが本来の行政の役割ではありませんか。
そこで伺いますが、本来、納税指導は、納税者の権利を守り、納税者の暮らしと営業の実態に目を向け、生活保護などの生活支援、就職支援、融資などの経営支援によって住民の自立を援助し、担税力を高めることが、課税権者である行政の果たすべき役割だと思いますが、いかがですか。お答えください。
生活保護やそれに準じた生活水準の人たちが、機械的に地方税機構送りになっています。このようなことは、各自治体において、納税者と事前に相談し処理をし、国税徴収法、地方税法が定める15条の1の納税猶予、15条の5の換価の猶予、15条の7の滞納処分の執行停止など、分納や執行停止を含めた判断をすべきではありませんか。お答えください。
また、深刻な不況の下では、地方税法、国税徴収法でも保障されている「納税緩和措置等」を積極的に実施することが求められます。
京都府はこれまで、納税緩和措置の判断に生計費需要額を定め、納税緩和措置の判断基準を持ってきましたが、今年度からこれをなくしました。そして地方税機構ではこれを定めていないとしています。生計費需要額を定めることは、京都府としても地方税機構としても、税務執行上当然必要だと考えますが、いかがですか。お答えください。
また、本来各行政において整備されるべき問題、国税徴収法、地方税法が定める納税猶予、換価の猶予、滞納処分の執行停止が徹底されていない場合、その徹底について京都府が援助すべきではないですか。お答えください。
【総務部長】 京都地方税機構についてでありますが、生活や経営状況が厳しい納税者の方への滞納整理業務を進めるにあたりましては、機構と課税権者であります構成団体とが連携を密にしながら、納税相談や納税指導を行っていく必要があるものと考えております。その際、例えば本定例会において補正予算をお願いしているライフアンドジョブカフェなどと連携することは、納税者の自立の向けて有効な手だてになるものと考えております。
 滞納整理業務において、京都府では従来から納税者の収入状況など、その実情をよくお聞きする中で必要に応じて換価の猶予や滞納処分の停止などを行ってきたところでありまして、京都地方税機構におきましても、こうしたきめ細かな対応をすべきことは言うまでもありませんし、むしろ機構への移管により、例えば府税と市町村税の双方を滞納している方に対しては、納税窓口の一本化により、課税権者の壁を越えた複数の税目に渡る計画的な納税指導を行えるなど、いままで以上に納税者の実情を踏まえた対応が可能になるものと考えております。
いわゆる生計費需要額についてですが、納税者の生活実態をふまえて、滞納処分の停止を行なう際の目安として、従来、京都府で定めていたものでございますが、滞納整理業務が機構に移管されていることから、現在機構において、国の算定基準や各構成団体のこれまでの取り扱いもふまえつつ、基準のあり方について検討が進められていると承知しております
【原田・指摘】地方税機構の件ですが、税収の収納率だけをあげることだけに特化した取り組み、効率の追求が、行政本来のあるべき総合性を忘れ、納税者に寄り添った相談で、納税者の担税能力を回復させるということを忘れたものにならないようにすべきです。同時に滞納状況が生まれているとき、滞納の執行停止も含めてしっかり行使させるうえでは、生計費需要の制定が必要です。同時に機構に送ることに関しての判断にも必要であり、京都府としても機構としても持っていただくことを要請しておきます。
また、機構の運営細則すら整わず、拙速な立ち上げが様々な問題を生んでいます。地方税機構そのものを再検討することを強く求めておきます。

風俗無料案内所規制条例

地元の努力に応え さらに情緒ある木屋町復活へ努力を

【原田】最後に、風俗無料案内所規制条例、暴力団排除の条例が今議会に上程されています。特に風俗無料案内所はこの8年間、情緒ある木屋町を取り戻す会や立誠学区自治連合会、町づくり委員会等々地元の皆さんの夜間パトロールや地元自治連合会の風俗店撲滅宣言が出されるなど、木屋町の情緒と治安の回復に向けた取り組みのもとで、今回の条例提案となりました。
 今回の無料案内所の規制条例は全国初の歯科医院を初め、ベッドの無い診療所等の医療機関が、保護対象施設となっている点は画期的な条例です。地元自治会や料飲業者を初め多くの人から歓迎されています
そこで伺います、風営法では有床の医療機関となっており、風営法の保護対象施設として無床医療機関と改めるように、風営法見直しを京都府として、また京都府警として働きかけるよう求めますが如何ですか。お答えください。
また、いまだに木屋町等で違法な性風俗店紛いの無許可営業店も見受けられます。今回の規制条例制定の運用と情緒ある木屋町の復活、治安の改善、違法、脱法行為の対応等について、今後の方針をお聞かせください。
【警察本部長】 今回ご審議いただいている風俗案内所規制条例は、風俗案内所が、性的感情を刺激するような広告物を表示または提供するような実態があり、それ以外の診療所利用者にも悪影響を及ぼしかねないということから、保護対象施設に無床の診療所施設を含めた厳しい規制としたものであります。
一方、風営法にいう保護対象施設におきましては、良好な風俗環境を保全するため都道府県条例で定めることとなっておりますので、その見直しにつきましては、法の目的や政令の基準と地域の実態とを総合的に検討していく必要があると考えております。
次に祇園木屋町地域におけます今後の取り組みについてでありますが、風俗案内所規制条例の施行を見すえ、風俗案内所に対する指導と風俗営業店などへの条例内容の周知をはかるとともに、無許可風俗営業などの違法行為に対しても徹底した取締りを行なうなど、安全安心な繁華街作りにむけて取り組みを強化していきたいと考えております。

《他会派一般質問項目》

2010年6月21日

■田中健志(民主・京都市中京区)

1 民間の力を活用した自転車交通安全対策について

2 天神川の増水対策について

3 府立高校の授業料無償化の効果について

尾形賢(自民・京田辺市及び綴喜郡)

1 「みやこ構想」について

2 学校教育における大学との連携について

■国本友利(公明・京都市左京区)

1 雇用対策・中小企業対策について

2 がん対策基本条例について

3 防災対策について

■豊田貴志(民主・京都市山科区)

1 会計事務の適正化について

2 「京都ジョブパーク」について

3 高校生の就職支援について

 

 

 

2010年6月22日

■岡本忠蔵(創生・舞鶴市)

1 地方分権について

2 国民文化祭について

3 高野川下流域の治水対策について

■村井 弘(公明・宇治市及び久御山町)

1 中小企業支援について

2 国民文化祭について

3 観光誘客について

■奥田敏晴(自民・城陽市)

1 中国との経済交流について

2 JR奈良線複線化事業について  

3 ネットいじめ対策について

4 城陽市の「新市街地計画」について

2010年6月23日

■島田正則(自民・木津川市及び相楽郡)

1 関西文化学術研究都市について

2 有害鳥獣対策について

■中小路健吾(民主・長岡京市及び大山崎町)

1 産業廃棄物税の今後のあり方について

2 早期療育の支援体制について

菅谷寛志(自民・京都市山科区)

1 「文化力」による京都の活性化について

2 観光振興策について

3 「貧困ビジネス」対策について

4 幼小連携について