府政報告 1969 6月議会を終えて_討論_意見書・決議案・採決結果
●2010年6月定例議会が7月21日に閉会しました。「6月定例議会を終えて」、意見書案討論、意見書結果一覧を紹介します。
もくじ
6月定例議会を終えて・・・1
光永敦彦意見書案討論・・・3
意見書・決議案・・・・・・6
意見書・決議結果一覧・・11
2010年6月定例議会を終えて
2010年7月30日
日本共産党京都府会議員団 団長 新井 進
6月14日に開会した6月定例府議会が、参議院選挙による休会をはさみ7月21日に閉会した。
本議会は、4月の京都府知事選挙のたたかいと結果を受けて、山田府政3期目のはじめての補正予算が提案された議会であるとともに、参議院選挙を目前にして、いっそう厳しい府民生活の実態の中、その解決策が切実に求められる中で開かれた。
我が党議員団は、議会開会前にも私学に通う高校生の負担問題と無保険問題の調査に取り組み、そこからうかびあがった実態を踏まえ、知事選挙でも争点となった府民生活をささえる具体化を求めるとともに、府民に苦難を押し付ける大もとにあるアメリカいいなり、財界・大企業中心の政治の在り方の転換を求めて積極的に論戦した。
1、本議会には、補正予算330億円をはじめ、人事案件を含む14議案が提案され、我が党議員団は、府民の立場から意見を述べつつ、すべてに賛成した。
一般会計補正予算では、この間、繰り返し求めてきた生活困窮者へのワンストップサービスができる相談窓口の設置と、相談者への個別支援について、京都ジョブパークに生活保護等も含めた相談窓口の開設や市町村社協への相談窓口設置と支援員の増員など実施されることとなった。子どもの医療費無料制度の拡充が、知事選挙の争点の一つとなるなか、知事もマニフェストに拡充の方向を示さざるを得なくなり、検討の予算が示された。府と同制度であるのは京都市のみとなっており、速やかな拡充が求められる。
私立学校教育支援事業として、私立高校の授業料無償化の人数が多くなれば、学校負担が増え経営を困難とするため支援策が講じられることとなった。我が党は、京都府の制度では、学校負担があること等から、京都府の直接制度とすること、他府県に通う子どもも対象とすることなど、一貫して求めてきたが、いよいよそのことの必要性が浮き彫りとなった。
また、深刻となる鳥獣被害への対策強化について、総合対策事業として狩猟者の確保や防除活動への支援策が一定講じられることとなった。口蹄疫対策予算も措置された。
これまで長年にわたり住民のみなさんが求め、我が党も繰り返し実現を迫ってきた「風俗案内所の規制に関する条例」が制定されることとなった。これは、性風俗営業の案内所が、木屋町の風紀を乱してきたことから、その解決が求められる中、学校や診療所、都市公園などの施設から200メートル以内での営業を禁止するなど、規制強化をするものであり、現在ある24カ所の案内所は営業できなくなるものである。
2、参議院選挙直前の本会議質問では、日本の政治の在り方を問うとともに、山田府政3期目にあたり、雇用対策や中小企業振興、後期高齢者医療制度廃止や国民健康保険、鳥獣被害対策、私立高校の無償化など切実な問題で知事の政治姿勢を質した。また、府営水道料金値下げを実現するための提案も行なった。
普天間基地の撤去問題について、沖縄県内での新しい基地の建設とともに「米軍の訓練を全国に広げる」政府方針を厳しく批判するとともに、こうした方針を「拒否すべき」と求めたが、知事は「政府から何も言われておらず、賛成も反対もない」とあいかわらずまともにこたえなかった。また、雇用問題では、ジヤトコの雇用拡大の動きが出ているもとで違法の派遣切りした労働者を優先的に雇用するよう指導を求めたことにも、「コンプライアンスの徹底を企業に要請する」と、従来の範囲の答弁に終始するなど、国にも大企業にもモノ言えない姿勢が浮き彫りとなった。
3、今議会で論戦する上で、議員団としてとりくんだ二つの調査活動が大きな力を発揮した。ひとつは、学費・奨学金アンケートである。高校や大学に通う生徒保護者から、学費および諸費の負担実態をつかみ、その改善をいっそう進めるため、駅頭で配布するとともに、議員団ホームページからもダウンロードできるようにして、広く協力を呼びかけた。
もう一つは、無保険問題について、ハローワーク前で府委員会、市会議員団と協力して取り組んだ。七条と伏見のハローワーク前のアンケート調査では、短時間にもかかわらず無保険者が19名もあり、「国民皆保険制度の崩壊過程」という深刻な実態が明らかになった。このため、議会開会中に、調査のまとめについて記者会見を行ない、行政の責任で無保険者をなくすため、実態調査を行なうことなど、改善すべき課題を明らかにするとともに、質問でも追及した。
4、本議会中に、4月の知事選挙において、知事室長(当時)が府幹部職員に対し庁内メールを使い街頭演説会への参加要請をするという、公職選挙法で禁じている地位利用にあたる問題が、内部告発により明らかとなった。議員団は、代表質問でこの問題を取り上げ、メールを送信した個人の問題にとどめず、知事の責任を明確にする立場から追及し、知事も「私の責任も当然ある」と答弁した。ところが、山田知事は「メール問題調査委員会」を3回開いただけで、しかも府管理職が今回の事件にかかわった管理職から聞き取り調査を行なうなど、極めて不十分なまま「最終報告」が決定された。中間報告案の段階で総務常任委員会に報告されたが、わが党議員団のみならず、他会派からも、厳しい意見が相次いだ。にもかかわらず、知事が調査委員会にまる投げし、幕引きを図ったことは重大である。引き続き真相究明と知事自らの責任を府民の前に明らかにすることを求めるものである。
5、今議会には、13件の意見書案と1件の決議案が提案された。
「京都府議会基本条例の創設に向けての決議」が全会一致で可決した。これは議長の諮問を受け二元代表制としての議会の役割をいっそう発揮するための基本的な理念等を定めるためのもので、この間「政策調整会議」で議論がされてきたものである。わが党議員団は、地方自治の本旨に基づく府政運営と府民要求の府政への反映と府政の監視機能をしっかりと果たす議会活動が前進されるよう、議会が権能を果たす制度的保障を充実する立場から、賛成した。意見書案は、我が党以外の4会派提案の「高速増殖炉『もんじゅ』の性能試験に関する意見書」について、性能試験の再開を前提としており反対し、他の意見書案にはすべて賛成した。
中でも、「地域職業訓練センターの存続を求める意見書」および「野生鳥獣対策の充実・強化を求める意見書」を可決したことは重要である。民主党政権が今年度末に廃止しようとしている城南地域・丹後地域の地域職業訓練センター存続を求める意見書案は、民主党は政権との関係で賛成することができず、地元市町や知事、関係者の意見を無視して反対したが、わが党や自民党、公明党などの賛成で可決された。有害鳥獣対策についての意見書案は、政府の事業仕分けによって、大幅に削減された鳥獣被害防止総合対策交付金の存続と増額を求めるもので、あまりの鳥獣被害の大きさと府民の切実な要求と運動を前に、全会一致で可決された。
なお、地域職業訓練センターに関する意見書案は、我が党が提案し、その対案として他会派から出されたもの、鳥獣対策に関する意見書案は、わが会派と他会派から同時に提出の意向表明がされたもので、いずれも同趣旨だったが、共同提案には至らなかった。わが党は、本来、一致するものについては共同して成立をめざすのが、府民の信託にこたえた今日的な議会のあり方だと指摘した。
激動の情勢と深刻な府民生活のもと、府民生活といのち、営業をまもるためにひきつづき全力を挙げるとともに、来春の統一地方選挙で日本共産党の躍進・勝利のために力を尽くすものである。
京都府議会 2010年6月定例会 閉会本会議
6月定例会 意見書案討論
光永敦彦(日本共産党、京都市左京区) 2010年7月21日
日本共産党の光永敦彦です。
日本共産党府会議員団を代表し、ただいま議題となっています13件の意見書案のうち、4会派提案の「高速増殖炉『もんじゅ』の性能試験に関する意見書」(案)に反対し、他の意見書案に賛成の立場で討論を行います。
はじめに、「消費税増税計画の中止を求める意見書」(案)についてです。
先に行われた参議院選挙では、消費税の増税問題が大きな争点の一つとなりました。選挙では、消費税増税について、菅首相自らが「10%」と述べ、さらに「財政が大変だ」「ギリシアのようになる」などと、あたかも増税しないと国が破綻するかのような宣伝がされました。ところが、民主党は一方で、法人税の実効税率を15%程度引き下げることも公約にかかげたとおり、今回の増税計画は、法人税減税の穴埋めを消費税増税で行うという、財界・大企業いいなりの政治を浮き彫りにしました。
我が党は、財界にもモノ言う党として、日本経団連が成長戦略2010で、「消費税の増税」と「法人税の減税」を一体的に求めていることを指摘し、法人税減税は、強い企業をさらに強くし、その企業の内部留保を増やすだけで、国民生活にとっても、日本経済の成長にとっても役に立たないものであることを徹底して明らかにしました。そして内需と国民生活を温めること、無駄遣いに徹底してメスをいれ、大企業に体力に応じた負担を求めること等で、消費税増税にたよらない財政再建策と経済成長戦略を示して闘いました。
その結果、消費税増税への不安や怒りが広がり、国民による民主党政権への消費税増税は許さないという厳しい批判の意志が示されました。
しかし、民主党は消費税増税のための「超党派協議」を提唱し、増税「大連立」の動きもある中、府民生活、とりわけ所得の低い方と京都経済をいっそう深刻な事態においやる消費税増税計画の中止を今求めることは府民の願いにこたえるもので、みなさんの賛同をお願いします。
次に「核兵器廃絶に日本政府がイニシアチブを発揮することを求める意見書」(案)についてです。
今年5月、国連で核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が行われ、その最終文書には「核兵器の完全廃絶に向けた具体的措置を含む核軍備撤廃」に関する「行動計画」に取り組むことで合意されました。5年前の同じ会議では、核兵器廃絶への合意ができなかったことを考えれば、国際社会では「核兵器のない世界」実現にむけた大きな流れが広がっていることを示すこととなりました。
わが党訪米団は、唯一被爆国の日本の政党として、「核兵器のない世界」の実現への悲願と、「基地のない沖縄」「対等・平等・友好の日米関係」をアメリカ政府に伝えるため、積極的に行動しました。先日、NPT再検討会議のカバクチュラン議長から志位委員長宛てに「あなたの努力が、この会議のプロセスにきわめて大きな貢献となり、NPT再検討会議の大きな成功に役立ったことは確実です」という書簡も寄せられました。
今年も開催される原水爆禁止世界大会に、再検討会議議長から「みなさんの優れた活動を続けてください。それは、大会が掲げる目標の達成を促進し、私たちを核兵器のない世界に導いてくれるものなのです。大会の成功を祈ります」とするメッセージが寄せられるなど、今回の会議の成功の背景には、被爆国日本の原水爆禁止日本協議会をはじめとする反核・平和運動や、690万もの署名が大きな力となったことは明らかです。今後、求められるのは、唯一被爆国の日本の政府が、核兵器廃絶にむけた国際的なイニシアチブを発揮することではないでしょうか。本意見書案はそのことを強く求めるものであり、賛同を求めます。
次に、「後期高齢者医療制度廃止に関する意見書」(案)についてです。
国民の大きな怒りをうけ、後期高齢者医療制度は2013年4月の「新制度施行」により廃止されることとされています。しかし、速やかな廃止の公約はいとも簡単に踏みにじられ、先送りされました。しかも、廃止後の医療制度の構想が示され、対象年齢を現行75歳から65歳まで引き下げ、国保に入れるというものの、年齢で区切り、別勘定とする本質は何ら変わらず、さらに今後、後期高齢者医療制度も含む保険制度を、都道府県単位で「広域化」「一元化」しようとしています。
すでに、国保法の改正により、市町村国保を広域化できることとされ、今後は「都道府県単位に広域化された国保への後期高齢者医療制度の統合」という新たな医療制度構想が見えており、都道府県ごとに医療費適正化を競わせる構造改革路線を、むしろ強化・発展させた新たな制度が構想されていることは極めて重大です。これでは、別枠で高齢者をひとくくりとする差別医療の拡大であるばかりか、新たな矛盾と負担を国民に強いるものとなってしまいます。
京都府の「都道府県単位の国保一元化」提案もその流れの中にあることは間違いありません。
今大切なことは、後期高齢者医療制度の廃止を速やかに行うとともに、医療・社会保障が傷つけられてきた大本にある、毎年2200億円抑制路線そのものの転換と傷ついた社会保障の修復こそ必要です。みなさんの賛同を求めます。
次に、「教職員定数を増員し、30人以下学級の早期実現を求める意見書」(案)についてです。
少人数学級により子ども一人ひとりによりそった教育を保障することは、喫緊の課題となっています。こうした中、中央教育審議会初等中等教育分科会は、7 月12 日、「今後の学級編制及び教職員定数の改善について」とする提言をまとめました。これは、現在、文部科学省において検討がすすめられている学級編制と教職員定数の改善方向について示したものです。提言では「小・中学校の単式学級の学級編制の標準を引き下げることが必要」と国の責任による少人数学級の必要性を述べるとともに、「小学校低学年ではさらなる引き下げも検討が必要」とし、さらに「国が教育条件整備の責務をしっかりと果たし、都道府県が計画的かつ安定的に教職員の採用・配置を行うことができるよう、早急に新たな教職員定数改善計画を定め確実に実施することが必要」と新しい定数改善計画の必要性にも言及しました。これらは、永年にわたり作り上げられてきた30人学級実現をはじめとする少人数学級をめざす運動が大きな力となったことは間違いありません。
子どもの貧困や教育的課題を解決するため、こうした変化を確実なものとすることがいよいよ求められており、賛同を求めます。
次に、「労働者派遣法の抜本改正を求める意見書」(案)についてです。
先の通常国会に政府が提出していた改定案は継続審議になり、次の国会に先送りされています。問題は改定案の中身が「労働者保護」のためといいながら、派遣の形式を「常用型」と「専門業務」に変えれば何の支障もなく派遣が使えることになるという、財界の圧力に屈した「抜け穴」だらけのザル法となっていることです。ところが、菅首相は、抜本改正の願いに背を向け、「提出し直す考えはない」との態度を撮り続けています。
我が党は、派遣切りを許さず、「雇用は正社員が当たり前」の社会をつくる立場から、財界やトヨタ、キャノンなどに道理をもって直談判し、京都でも議員団あげて大手企業に申し入れをするとともに、労働者派遣法改正案の修正案を提案してきました。使い捨て雇用の根絶、安心して働けるルールを作ることが政治に求められている大きな役割です。その第一歩として労働者派遣法の抜本改正を行うことが、雇用の安定を願う多くの国民にこたえる道であり、賛同を求めます。
次に「城南地域・丹後地域職業訓練センターの存続を求める意見書」(案)および、自民・公明提案の「地域職業訓練センターの存続を求める意見書」(案)についてです。
雇用能力開発機構の廃止は自公政権下で2008年12月に職業訓練に特化するとして閣議決定され、その後、鳩山政権がこの方向に拍車をかけました。昨年11月の事業仕分けで長妻厚生労働大臣が職業訓練事業の移管の際に予算を半減し、職員を約2割削減すると発表。さらに、全国83カ所ある地域職業訓練センターの廃止を昨年末になって自治体に通知しました。一定の利用者があれば存続するとの約束も反故にされたため、各自治体から見直しを求める声があがっています。これでは、深刻な雇用の改善に逆行するばかりか、「職業能力開発制度の抜本強化」とする民主党マニフェストにも真っ向から反するものです。
すでに、宇治市、京丹後市など関係自治体がセンター存続を強く要望するなど、こうした願いにこたえることこそ求められており、賛同をお願いします。
次にわが会派提案の「鳥獣対策の拡充に関する意見書」(案)および、4会派提案の「野生鳥獣対策の充実・強化を求める意見書」(案)についてです。
野生鳥獣による農林業への被害は、深刻な規模で広がっており、有害鳥獣駆除と被害防止策の抜本的対策は、農業や集落の維持にとっていまやまったなしとなっており、本議会でもたびたび、その解決について取り上げられてきました。
ところが、今年度の国予算では、鳥獣被害防止総合対策交付金が大幅に削減され、対策に重要な影響がでており、改善が緊急にもとめられています。我が会派提案の意見書案は、交付金を来年度以降も継続し、増額することを求めるとともに、鳥獣駆除と被害防止を進める上で、課題となっている捕獲獣の処分経費や狩猟免許所持者確保のため、銃や保管庫の購入経費への支援策も求めるものです。4会派提案の意見書案も同主旨であり賛成です。
なお、地域職業訓練センターに関する意見書案は、我が党が提案し、その対案として他会派から出されたもので、また、鳥獣対策に関する意見書案は、わが会派と他会派から提出の意向表明がされたものですが、いずれもそれぞれ内容は同趣旨であります。今日、二元代表制としての議会の在り方が論議され、本府議会としても、今後、議会基本条例を制定し、府民の信託にこたえた議会としての発展を全会派で進めようとしている時に、本来、一致するものについては共同提案して成立をめざすのが、府民の信託にこたえた今日的な議会の在り方であると強く指摘しておきます。
次に、「高速増殖炉『もんじゅ』の運転中止を求める意見書」(案)についてです。
今年5月、1995年のナトリウム漏れ・火災事故以来、14年ぶりに高速増殖炉「もんじゅ」の運転が性能試験として再開されました。運転再開して早々、運転員がいわば原子炉の「ブレーキ」である制御棒の完全な挿入の仕方をしらなかったことや、燃料の破損を検出するために、原子炉内のガスに含まれる放射能を測定する装置3台のうち2台が故障するなど、トラブル続きとなっています。民主党政権は、2050年を実用化の時期としていますが、欧米では安全性と採算性が見込めないために、すでに高速増殖炉の開発からは撤退しています。これまでもすでに7900億円、民間資金も入れれば9300億円もの予算が投じられ、今後も毎年300〜400億円規模の予算を投じる計画となっているのです。安全性の見通しがないまま、とにかく再開をめざし巨額の予算をつぎ込む核燃料サイクル計画は、やめるべきであり、そのことを求める我が会派提案の意見書案への賛同を求めるものです。なお、4会派提案の「高速増殖炉『もんじゅ』の性能試験に関する意見書」(案)は、性能試験の継続を前提としたもので、反対です。
最後に「小規模グループホームの防火体制強化を求める意見書」(案)、及び「マルチメディアデイジー教科書の普及促進を求める意見書」(案)については、いずれも今日的に必要なもので賛成です。
以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。
6月定例会に提出された意見書案・決議案
可決(自民・民主・公明・創生 提案 賛成:全会派)
小規模グループホームの防火体制強化を求める意見書
今年3月13日未明に発生した札幌市の認知症グループホームの火災は、入居者7名が亡くなるという大変悲惨な結果となった。
以前にも平成18年に長崎県大村市、平成21年には群馬県渋川市で、同様の火災により多くの犠牲者を出している。
政府は平成18年の長崎県大村市での火災を受け、平成19年6月に消防法施行令等を一部改正し、認知症グループホームなど小規模福祉施設の防火体制の強化を図り、平成20年度からは、厚生労働省も「小規模福祉施設スプリンクラー整備事業」でスプリンクラーを設置する施設に対し交付金措置を行うなど、対策を進めてきた。
しかしながら、札幌市での火災事案は、スプリンクラー設置義務がない275㎡未満の施設であり、こうした小規模施設がこれからも増加する傾向にある。
よって、国におかれては、防火体制の強化に向けて、次の対策を進められるよう、強く要望する。
1 275㎡未満の施設も含め、全てのグループホームにスプリンクラーの設置を義務化するとともに、交付金等による国の支援を拡充すること。
2 小規模グループホームにおける人員配置基準を拡充するとともに、介護報酬の引き上げを図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・民主・公明・創生 提案 賛成:全会派)
マルチメディアデイジー教科書の普及促進を求める意見書
平成20年9月に「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」、いわゆる教科書バリアフリー法が施行された。
この教科書バリアフリー法の施行を機に、平成21年9月より、(財)日本障害者リハビリテーション協会(以下「リハ協」という。)がボランティア団体の協力を得て、通常の教科書と同様のテキストと画像を使用し、デジタル化対応することで、テキスト文字に音声をシンクロ(同期)させて読むことを可能にした「マルチメディアデイジー版教科書」(デイジー教科書)の提供を始めた。また文部科学省において、平成21年度より、デイジー教科書などの発達障害等の障害特性に応じた教材の在り方やそれらを活用した効果的な指導方法等について、実証的な調査研究が実施されている。
現在、デイジー教科書は、上記のとおり文部科学省の調査研究事業の対象となっているが、その調査研究段階であるにもかかわらず、平成21年12月現在で約300人の児童生徒に活用され、保護者などから学習理解が向上したとの効果が表明されるなど、デイジー教科書の普及推進への期待が大変に高まっている。
しかし、デイジー教科書は、その製作において、多大な時間と費用を要するにもかかわらず、ボランティア団体頼みであるため、必要とする児童生徒の希望に十分に応えられない状況にあり、実際にリハ協が平成21年度にデジタル化対応したデイジー教科書は小中学生用教科書全体の約4分の1に留まっている。
このような現状を踏まえると、まず教科用特定図書等の普及促進のための予算の更なる拡充が求められるところである。
よって、国におかれては、必要とする児童生徒、担当教員等にデイジー教科書を安定して配布・提供できるように、その普及促進のための体制の整備及び必要な予算措置を講じることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(日本共産党提案 賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
高速増殖炉「もんじゅ」の運転中止を求める意見書(案)
本年5月6日、ナトリウムの漏えい・火災事故により、平成7年12月から停止していた高速増殖炉「もんじゅ」の運転が、2年間の性能試験として、市民の反対を押し切り再開された。
「もんじゅ」は、運転再開にむけた作業中に、ナトリウム漏れ検出器の誤作動や屋外排気ダクトの腐食などを原因としたトラブルが続発し、運転再開反対に多くの声が寄せられた。性能試験運転再開後も、放射性ガスの検知器の2回の誤作動、運転員の操作ミスによるトラブル発生など、極めて深刻な事故が多発しており、さらに重大な事故の発生が懸念されている。
しかも、「もんじゅ」原子炉直近に長さ15キロメートルにも及ぶ活断層が存在することも明らかとされており、周辺住民はもとより、隣接する京都府民からも運転中止を求める声が高まっているところである。
そもそも高速増殖炉は、核反応が暴走する反応度事故の危険、補修・点検・整備の困難などが指摘されており、日本より先に高速増殖炉開発を進めてきたドイツ、アメリカ、イギリス、フランスが次つぎと実用化を断念したように、従来の原発以上に技術的に末確立であることは明らかである。
にもかかわらず、政府は、約9000億円を投じられた高速増殖炉計画を、地球温暖化対策の重要なプロジェクトとして推進しようとしており、認められるものではない。
よって、国におかれては、高速増殖炉「もんじゅ」の運転をただちに中止するよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・民主・公明・創生 提案 反対:日本共産党)
高速増殖炉「もんじゅ」の性能試験に関する意見書
平成7年12月にナトリウムの漏えい事故により停止した高速増殖炉「もんじゅ」が、本年5月6日、14年5カ月ぶりに運転を再開した。この間、事故原因の徹底究明、耐震などの施設・設備全体の安全対策、通報管理体制の強化などの改善のもと、経済産業省原子力安全・保安院や内閣原子力安全委員会から「運転再開は妥当」との評価を受け、福井県知事や敦賀市長の了承等の手続きを経て、我が国のエネルギー政策や原子力の平和利用、地球温暖化対策の重要なプロジェクトとして、今回の性能試験の再開となった。
しかしながら、運転再開後も各種装置の警報作動、運転員の操作ミスなどによるトラブル発生など、安全運転に危惧を抱かせる事態が生じている。
ついては、国におかれては、「もんじゅ」の性能試験にあたり、危険な事態を将来にわたり生じさせないためにも、国民に対する透明性が十分確保された中で、安全対策の一層の推進が図られるよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(日本共産党提案 賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
城南地域・丹後地域職業訓練センターの存続を求める意見書(案)
政府は、雇用・能力開発機構の廃止に伴い、京都府内に設置されている城南地域職業訓練センター及び丹後地域職業訓練センターを平成22年度末で一方的に廃止しようとしている。
しかし、同センターは、京都市内に比べ民間職業訓練施設の少ない京都府南部及び北部に設置され、長年にわたり地域社会の職業能力の開発向上に資する施設として住民の中に定着してきた。一昨年から続くきびしい経済雇用情勢の中で、センターの存在は地域住民の職業訓練の機会を保障し、就業の促進を図る上でますます重要となっている。
こうした中でのセンターの一方的な廃止は、雇用情勢の改善の流れに逆行するとともに、雇用の確保促進を図るべき国の責任を放棄するものであり、到底認められない。京都府、宇治市、京丹後市など関係自治体がセンターの存続を強く要望しているのをはじめ、府市長会もセンター廃止撤回を求める決議をあげたところである。
よって、国におかれては、職業訓練と雇用確保をはかる責任を果たすため、センター廃止方針を撤回し、厚生労働省の直轄事業としてセンターを存続し充実をはかられるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定による意見書を提出する。
可決(自民・公明 提案 賛成:日本共産党・自民・公明・創生の内3人、反対:民主)
地域職業訓練センターの存続を求める意見書
地域職業訓練センターは、地域における職業教育訓練の振興を図ることを目的に、独立行政法人雇用・能力開発機構が設置する職業能力開発施設である。
本府においても、民間職業訓練施設の少ない北部地域と南部地域に、丹後地域職業訓練センター及び城南地域職業訓練センターが設置され、開設以来、地域産業を支える人材の育成に大きく寄与してきたところである。
このような中、厚生労働省から、平成21年12月、独立行政法人の整理による改革の一環として、全国の地域職業訓練センターを平成22年度末をもって廃止し、建物については希望する自治体等に対し譲渡する旨の通知が突然発せられた。
厳しい経済・雇用情勢が続く中にあって、地域職業訓練センターは、地域住民に対する職業訓練機会の保障、中小企業従業員の能力向上や求職者の能力開発等の雇用改善に重要な役割を果たしている。
ついては、国におかれては、国の責任において、地域職業訓練センターを存続させるとともに、今後、地元自治体と誠意をもって協議の上、地域の実情を十分に踏まえた必要な取組を進められるよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
否決(日本共産党提案 賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
鳥獣害対策の拡充に関する意見書(案)
野生鳥獣による農林業等への被害は単に経済的被害にとどまらず、農家の生産意欲の減退、農地の荒廃化など、集落の維持にも影響する深刻な問題となっている。特に、この数年来、シカの増加が著しく、農林被害だけでなく、由良川源流域では森林の下層植生が一変し、生態系破壊が懸念される状況さえ生まれている。
有害鳥獣駆除と被害防止は今や喫緊の課題となっており、京都府をはじめ府下市町村は、あげてその対策に取り組んでいるところであるが、限られた予算の中で必ずしも実効ある対策を講じきれず、被害額は拡大している現状である。今必要なことは新たな捕獲の担い手確保、必要な防護施設の設置等であるが、そのためには大幅な予算増額が必要である。
このようなときに、国の22年度予算で鳥獣被害防止総合対策交付金が大幅に削減されたことは問題であり、京都府でも防除施設の設置に係る整備交付金は21年の5663万円から2175万円に削減された。要望額の18%しか交付されない自治体も出ており、対策に重大な支障が生じている。
よって、国におかれては、鳥獣被害防止対策の強化を図るため以下の取り組みを進めるよう強く要望する。
1 「鳥獣被害防止総合対策交付金」予算措置を23年度以降も継続実施し、予算額を増額すること。
2 捕獲獣の処分経費及び減少している猟銃免許所持者の確保にむけて、市町村が購入する銃やその保管庫の購入経費について支援すること。
以上、地方自治法99条の規定により意見書を提出する。
可決(自民・民主・公明・創生 提案、 賛成:全会派)
野生鳥獣対策の充実・強化を求める意見書
平成20 年度における野生鳥獣による農作物への被害は、京都府内で約7億4千万円、全国では約199 億円に上っており、経済的な損失にとどまらず、農家の生産意欲を著しく減退させ、中山間地域等における集落維持にも大きく影響を及ぼす深刻な事態となっている。
平成20 年2 月には、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」(以下、「鳥獣被害防止特措法」という。)が施行され、国が市町村の被害防止の取組を直接採択する「鳥獣被害防止総合対策交付金」が、3 箇年の特例措置として創設されたところである。
しかしながら、最終年度に当たる今年度の同交付金の予算額は、前年度より減少し、特に侵入防止柵等のハード対策に要する交付金が大幅に削減されるなど、本府を含めた多くの府県において、交付内示額と要望額に大きく隔たりが生じる状況となっている。
食料や木材の供給に加え、水源のかん養や環境保全等の公益的機能を有する中山間地域の維持・振興を図るとともに、安心して農林業等が継続できる環境整備は極めて重要であり、このためにも、引き続き、国・都道府県・市町村が一丸となって実効ある野生鳥獣対策を講じる必要がある。
ついては、国におかれては、「鳥獣被害防止総合対策交付金」について、地域における被害実態に応じた対策を的確に行うことができるよう、必要な予算の増額措置を速やかに講じるとともに、来年度以降の継続実施をはじめとして、野生鳥獣対策の一層の充実・強化を図られるよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
否決(日本共産党提案 賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
消費税増税計画の中止を求める意見書(案)
菅首相が「当面の消費税率は自民党が提案する10%を一つの参考にする」と言明したことにより、消費税増税問題は参議院選挙の一大争点となった。各種世論調査で、消費税増税「反対」が「賛成」を上回り、国民の「消費税増税ノー」の審判は明確に下された。
そもそも消費税は、所得の少ない人ほど重くのしかかる逆進性の強い、最も福祉に反する税である。しかも、政府の消費税増税計画は、大企業の法人税率引き下げとセットになっており、消費税の増税分は大半が大企業減税の穴埋めに使われることになる。これでは、社会保障財源にはならず、財政再建にも逆行し、いまでさえ困難な暮らしと景気を破壊することは明白である。
参議院選挙後も、菅首相は、消費税増税協議への参加を各党に呼びかける考えを示しているが、民意に反する方針は撤回すべきである。
よって、国におかれては、消費税増税計画を中止することを強く求める。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
否決(日本共産党提案 賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
核兵器廃絶に日本政府がイニシアチブを発揮することを求める意見書(案)
今年5月にニューヨークで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議は、全会一致で採択された最終文書で、「核兵器のない世界」達成のため、「必要な枠組みを確立するための特別な取り組み」を確認し、とりわけ核兵器保有国に対し「いっそうの取り組み」を求めた。これは、日本と世界の原水爆禁止運動、反核運動が大きな役割を果たし、核兵器廃絶が押しとどめることのできない世界の大勢であることを示したものである。
いま求められていることは、唯一の被爆国である日本の政府自身が、アメリカの「核の傘」から抜け出して、核兵器廃絶に向けた国際的なイニシアチブを発揮することである。
よって、国におかれては、次の事項を実行されることを強く要望する。
1 アメリカの核兵器持ち込みを認めた「核密約」の破棄を宣言し、非核三原則を遵守すること。
2 NPT再検討会議の前進面を受け、核兵器廃絶条約の締結に向けた交渉の開始など、核兵器のない世界を実現するための具体的な行動を国際社会に働きかけること。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
否決(日本共産党提案 賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
後期高齢者医療制度廃止に関する意見書(案)
後期高齢者医療制度は、保険料が今年4月から値上げされ、廃止を求める国民の声は、いまだ強いものとなっている。ところが、政府は後期高齢者医療制度について、「速やかな廃止」とした公約を投げ捨て、廃止を2013年4月に先送りするのみならず、今後、その対象を65歳まで引き下げるという案の論議も始められている。
これでは、年齢で区切って高齢者だけを別枠にするという現行の後期高齢者医療制度のもつ差別医療の温存・拡大にほかならない。
さらに政府は、今後の医療制度の在り方について、「地域保険としての一元的運用」を目指すため、広域化された国民健康保険に後期高齢者医療制度を統合する方向が示されつつある。
今日の深刻な医療崩壊を招いた原因は、毎年2200億円の社会保障費を抑制し、そのために医療費適正化を都道府県単位で競わせるという仕組みが続けられた結果である。この路線の見直しをしないまま、地域保険への一元化をすすめることは、傷ついた社会保障の改善につながらず、国民に新たな負担を強いることになるのは明らかである。
よって、国におかれては、後期高齢者医療制度を速やかに廃止するとともに、老人保健制度に戻すこと、さらに医療費抑制路線の転換を図ることを求める。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。
否決(日本共産党提案 賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
教職員定数を増員し、30人以下学級の早期実現を求める意見書(案)
いま、学校現場では、不登校や学習障害、発達障害をもつ子どもたち、さらには、保護者の収入減や失業・倒産など、家庭の問題を抱える子どもたちが増加している。
すべての子どもたちの成長・発達を保障するためには、教職員が一人ひとりの児童・生徒と向き合い、きめ細かに対応できるよう教育条件を整備することが不可欠である。
父母の要望を受け、全国で、多くの自治体が独自の努力で30人学級の実施など教育条件整備を行っている。
本来、学級編制及び教職員定数の改善は、日本国憲法が保障する教育を受ける権利と教育の機会均等を保障し、すべての子どもたちにゆきとどいた教育を保障するために欠くことができない基礎的な条件であり、国の責任で改善すべきである。
よって、国におかれては、「義務教育諸学校標準法」及び「高等学校標準法」を改正し、30人以下学級を早期に実現するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(日本共産党提案 賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
労働者派遣法の抜本改正を求める意見書(案)
いま、年収200万円以下のワーキングプアの人口が1000万人を超え、とくに一昨年秋のリーマンショック以降に行われた大規模な「派遣切り」で多くの労働者が雇用を奪われ、日々の生活にも困窮する状況がひろがり、深刻な社会問題となっている。このように雇用問題の解決は、待ったなしの課題である。
しかし、政府が先の通常国会に提出し、継続審議となった労働者派遣法改定案は、労働者保護の立場がきわめて不十分であり、使い捨て労働を温存するものであった。
いま、国民の願いは、人間をモノのように使い捨てる労働の現状を変え、「雇用は正社員が当たり前」の社会をつくることである。
よって、国におかれては、製造業務派遣の全面禁止、時代に合わない「専門26業務」の縮小見直し、「みなし雇用」は期限の定めのない雇用にすることなど、「抜け穴」なしの改正案を国会に出し直し、労働者派遣法を抜本改正するよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。
可決(全会派提案、 賛成:全会派)
京都府議会基本条例の創設に向けての決議
京都府議会は、「地方自治の本旨」の具体化、真の地方自治の確立、府民福祉の向上を目指し、議会と知事による二元代表のもとで、様々な取組を進めている。
また、地域の課題解決のための権限や財源について、国から地方への移譲を求め、これまでから、他の地方公共団体とともに、数々の活動を展開してきた。
今、地方自治は、地域が抱える課題は、地域自らが、考え、判断し、決定する、まさに、住民自治の原則に基づいた団体自治の運営が求められる重要な時にある。
京都府議会は、この重要な時に当たり、二元代表制の京都府の運営について、府議会の権能の発揮と更なる発展、また、目指すべき運営等を「基本理念」、「基本方針」として取りまとめ、広く府民等に示すとともに、府議会の権能を確かなものとして、更に発展させるため、府議会の規範となる「京都府議会基本条例」の創設に取り組む。
以上、決議する。