資料ライブラリー

本会議質問

2010年9月定例会迫代表質問

2010/09/30 更新
この記事は 43 分で読めます。

●2010年9月定例議会が9月22日に開会しました。9月28日におこなった迫祐仁議員の代表質問大要と、他会派議員の代表質問項目を紹介します。

もくじ
迫 祐仁代表質問・・・・ 1
他会派議員代表質問項目・・ 12

9月定例会 代表質問

迫 祐仁(日本共産党、京都市上京区) 2010年9月28日

深刻な円高不況の影響。府として実態調査を

【さこ】日本共産党のさこ祐仁です。議員団を代表して、先に通告してある数点について、知事に質問します。
 まず、円高不況問題についてです。
急激に進む円高、ユーロ・ドル安が日本経済、京都経済に大きな影響を与えています。
私ども日本共産党議員団は先日京都市内で、円高不況問題の実態調査を行ないました。ある医療関係機器のメーカーでは「技術は高いが、円高で韓国やヨーロッパとの厳しい価格競争になる」、あるネクタイ製造業者は「輸入ネクタイが急増し、大変な事態になる」と苦しい状況を訴えておられました。お聞きした中小企業や業者さんが異口同音に語られたのは「これで先が見えなくなり不安だ」ということです。
また下請けいじめ、大企業の横暴も激烈です。「数千万円の仕事を納期の2日前にキャンセルされた」「代金支払いに手形を断ると7%引きの小切手を渡された」「大手自動車会社に要請を受けて新たな設備をしたのに、その仕事の発注がない」「ここ数年、工賃を毎年5%ずつ引き下げられている」など、規模の大小を問わず、中小企業、下請けは大企業の無法に泣かされています。
1ドル80円台前半と、実態とかけ離れた急激な円高が進んできた背景には、円を狙い撃ちにした国際的な投機とともに、日本の大企業が無法な下請け単価たたきと、派遣労働など低賃金、不安定雇用によるコストダウンで、強すぎる国際競争力をつけてきた問題があります。大企業は、中小企業・労働者・国民に犠牲を押し付けながら、円高を乗り切ろうとしていますが、中小企業や労働者にとってはとんでもないことです。
わが党は、この実態調査に基づき、9月22日に知事に対し、「円高対策、中小企業支援を求める申し入れ」を行ないました。申し入れの内容とも関連して、以下、知事に質問します。
今議会にいくつかの対策が提案されていますが、まず府が総力をあげる姿勢を明確にし、相談に来られるのを待つのではなく、円高不況が府内の中小企業に与えている影響について、府として緊急に実態調査をし、それに基づく手立てを具体化すべきと考えますが、いかがですか。

円高を口実にした中小企業への大企業の横暴を是正せよ

【さこ】とくに、下請け単価たたきなど円高を口実にした大企業の横暴を是正することは急務です。
下請け二法の運用改善を求めるわが党の質問に、知事は「産業21に下請けかけ込み寺を設置している」「国と協力してやっている」と答えてこられましたが、下請け業者は、親企業・発注元と直接的対決ができず、泣き寝入りしているのが実態で、何ら救済措置になっていません。下請け業者が矢面に立たなくても、行政が、下請け業者の申し立てを受け、責任を持って実態調査をし、問題解決すること、また、そのための体制を府庁内に作ることが必要ではありませんか。お答えください。
また、仕事が大幅に減少し、固定費の支払いに苦しんでいる中小業者に対して、今回、産業21を通じてのリース物件について助成措置が取られることは一歩前進ですが、これを産業21の制度利用者に限定せず、他にも拡充するよう求めますが、いかがですか。
【知事】円高対策について。強すぎる競争力が円高を招いたというのは、私はちょっと違うのではないかと思う。やはりグローバル化の中で大企業が海外に拠点を移していく。そしてその中で中小企業は非常に厳しい状況が生まれていく。大企業をどうやって国内にきちっとひきとめながら中小企業との連携をしっかりとつくりあげていくかということが、大きな課題ではないか。その点についてはかなり意見を異にすると思う。そのなかで私どもの円高対策については、厳しい中小企業の実態をふまえ、「中小企業円高緊急サポートチーム」を設置し、専門家を派遣することにより、企業の実態一つひとつをとらえて、これは中小企業一つひとつ、状況が違うわけですから、そうした形の中で、私は業務改善のための支援を行なうことが適切であるということで、今議会にも必要な予算をお願いしている。そして従来からチームを組んで現場を訪問し、本年4月からの3ヶ月だけでも、のべ11000を超える企業を訪問しており、まさに個別企業に応じた積極的な攻めの姿勢で対応している。 
下請け取引の適正化は、中小企業の経営にとって非常に重要。これまでから府として関係団体や発注企業に対して下請け取引の適正化をしてきた。また京都産業21に下請け駆け込み寺を設置し、専門の相談員を設置し、巡回相談員もふくめ中小企業の相談に対応するなど、実態の把握と下請け取引の適正化がはかられるよう取り組んでいる。今後も国や関係団体との連携のうえ、厳しい状況が続く中小企業を全力で支援していきたい。
リース料の助成措置について。すでに中小中堅企業等の成長支援投資事業等についても民間リース業者を利用した設備投資も含めて、幅広く補助の対象としているが、さらに現在の円高の状況もふまえ、京都産業21の設備貸与利用企業の負担軽減をはかる小規模事業者等設備導入緊急支援事業を実施するために必要な予算をお願いしている。
【さこ】中小企業支援についてですが、知事は産業21のサポート事業でいろいろとやっていると言いましたが、実際にはその中で、多くの業者の実態をつかみ切れていないというのが状況だと私は思う。いま、中小企業は深刻な影響を受けているなか、北部のある金属加工業者は「加工賃単価は変わっていないのに、その中の材料代が1割、2割上がっているので、加工賃は実質下がっている。利益は4分の1だ。本当に厳しいんだ」と語っておられました。また、多くの方から、「産業21はあるが、中小企業にもっと目をむけてほしい。府の職員が外に出て中小企業の生の声を聞いてほしい」とおっしゃっているんです。こういう切実な声に応え、府として緊急に実態調査を行なってほしい。また下請け二法の運用を改善すること、リース代の助成措置を拡充することを強く求めておきます。

中小企業振興基本条例の制定を

【さこ】次に、京都府が中小企業振興基本条例を制定すべきだということについて質問します。
いま、全国各地で中小企業振興条例制定が進んでおり、政府も6月、中小企業憲章を閣議決定し、「シンク・スモール・ファースト」、中小企業のことを第一に考えようというのは世界と日本の大きな流れになっています。
現在の京都府中小企業応援条例は、すべての中小企業を元気にするものとはなっていません。研究開発事業で知事の認定を受けたものに対する優遇や支援が主で、新技術による事業展開を図る先端産業やベンチャー向けのものとなっています。
いま求められているのは、行政をあげて中小企業を支援することを明確にした基本条例であり、次のようなことが必要です。
第一、すべての中小企業に対する総合的支援のために、府として実態調査を行ない、業種別、地域別に策定する中小企業振興計画と一体の条例であること。
第二、下請け切り、単価たたきなど、大企業の身勝手を許さず、地域経済に貢献させるなど、大企業の社会的責任を明記すること。
第三、京都産業21や金融機関に丸投げするのではなく、京都府が責任を持って、経営相談、金融、技術指導を一体とした中小企業応援体制づくりを明確にすること。
第四、ベンチャーや新技術産業誘致に偏るのではなく、すべての中小企業への支援を強化し、地域経済の均衡ある発展を図るものであること。
第五、条例を宣言だけで終わらせないため、毎年一回、中小企業団体も参加する合議体で施策の実施状況をとりまとめ、公表し、さらに改善していく仕組みを盛り込むこと。
私は先日、千葉県を訪れ、県の中小企業振興条例について調査してきましたが、県の条例はまさにこのようなものとなっています。とくに、第18条では、「県は、施策の立案及び実施にあたっては、当該施策が中小企業の経営に及ぼす影響について配慮する」とし、行政のあらゆる施策で中小企業を支援することを明確にしています。京都の応援条例とは大違いだと感じました。
以上、具体的に提案しました。本府でも、中小企業振興に関する基本条例を制定すべきと考えますが、知事の認識を伺います。
【知事】中小企業の振興に関する条例について。京都経済の発展には、中小企業の活性化が不可欠であり、その経営基盤を支えながら、時代の流れと企業の状況に応じた成長発展を促進する応援体制を整備することが重要であると考えており、平成19年度に京都府中小企業応援条例を制定した。
 京都府は、この条例をふまえながら、府内のすべての中小企業を対象として、その条例にもうたっているように、経営の安定および再生、京都においては借換融資や応援融資、再生融資など、全国に先駆けた融資制度を整備しているところであり、まさにそのような中小企業施策の先駆けになっていることを支えているのが、私はこの条例だと感じている。こうした融資制度についてもしっかりと認識をしてほしい。そしてそのうえで成長発展の促進、知的財産活用等の促進・支援、人材の育成を4本の柱とし、理念や方向性にとどまらない具体的な施策を盛り込んだ先駆的なものになっています。この条例をふまえ、中小企業のニーズを十分に把握し、知恵の経営推進事業など、きめ細かな施策を講じるとともに、運営目標のなかでも主要施策の実施状況も公表し、ニーズに応じた施策の推進に取り組んでいる。
【さこ】中小企業振興基本条例については、再度答弁を求めます。知事は、応援条例でやっていると答弁されました。しかし、実際に応援条例が目玉としている研究開発事業で、知事の認定を受けた企業は、わずか65社です。京都全体の中小企業は94000あります。私が言っているのは、地域の経済、雇用を支えている、これら中小企業全体を元気にしていく、そのなかで京都が本当に元気になると思っています。そのための条例がどうしても必要だと思いますがどうですか。再度お答え下さい。
【知事】まず、中小企業対策について実地調査をということですが、私どもの中小企業サポートチームのサポート件数18383件のうち、11527件訪問している。私は、これ以上詳しい調査というのは、どういう機関に依頼してもできないのではないか。そういったものをどうやって蓄積していくかというのは、大変問題であると思うので、そういう蓄積を生かすような形でこれからも努力していきたい。まさに今言ったようにサポートをしっかりやっていること、そして中小企業に対する融資だけで、ご存知のように大変な件数になって、全国有数のことをやっているわけであり、私はこれはまさに中小企業応援条例のなかで、経営の安定および再生について、京都府がきめ細かな施策を講じている一つの例ではないかと思っているので、申し上げた。このなかで、投資をする部分と、安定の成長、ここは分けて考えなければならないので、こうした点を通じて、施策はそれぞれ特徴がある。その特徴を申し上げているので、融資の面も含めて考えていただければ幸いだ。
【さこ】ご答弁いただきましたが、いま本当に中小業者の方々の実態は苦しい状況にあります。その状況をしっかりと把握していく、そしてまた中小企業をしっかりと応援していくという意味で、中小企業を支援する基本条例の制定は必要です。関係者のみなさんとも協力し、私たちは引き続き全力をあげて頑張っていく決意を表明し、次の質問に移ります。

中小業者の仕事おこしについて提案

【さこ】次に、不況にあえぐ中小零細業者への仕事おこしについて質問します。
知事は昨年「京都温め予算」として、府民公募型公共事業に60億円の予算を組みました。「府民の気づき」と「小規模工事で中小業者への仕事おこし」が本事業の主旨だと理解していますが、府内業者への発注額、中小業者への発注比率など、事業目的の達成状況についてお聞かせください。今年度も引き続き、公募型公共事業の予算が計上されていますが、いっそう府内中小業者への発注について努力を求めておきます。
さて、公募型公共事業の発注は「入札参加資格のある業者」に限られています。そこで、次の課題として「入札参加資格のない零細な業者」への仕事おこしについて提案し、質問します。
まず、小規模工事希望業者登録制度です。
 全国の自治体で、「入札参加資格のない業者」を対象に、学校や公営住宅の改修工事など小規模な工事を発注する「小規模工事希望業者登録制度」が広がってきています。
私は先日、全市町村にこの制度が整っている埼玉県を訪問し、関係者から直接、話をうかがってきましたが、大変喜ばれています。埼玉の知事は「小規模な業者に配慮した意味のある制度」であり、「市町村に登録された名簿を活用して県の小規模工事を発注したい」と議会で表明し、零細業者への発注がはじまっています。
秋田県でも、今年度から、「小規模工事希望業者登録制度」が開始されています。
府内でも、亀岡市がはじめて、6月からこの事業を開始しました。事業実施に必要な予算は、広報など5万円だけで、合計5000万円を超える工事が、地元の業者に発注されることになります。「地域経済を足元から温める」制度です。
京都府でも、府営住宅や府立学校の修繕工事などを緊急経済対策として、予算を増やして本事業を実施すべきです。また、市町村にも積極的に働きかけ、零細業者への仕事おこしを行なうべきです。いかがですか。 
もうひとつが、住宅リフォーム助成制度です。
秋田県では、今年3月から「住宅リフォーム助成制度」を開始しました。都道府県では初めての実施です。秋田県の担当者に、事業の効果についてうかがってきました。
「県内の業者に発注すること」を条件に、自宅を増改築する場合にその工事費の10%、最高20万円を補助するという制度で、好評で、開始直後から1日100件を超える問い合わせが殺到し、申し込みが、予定の7千戸を突破したことから、8月23日に臨時議会を招集し、全会一致で当初予算12億6千万円に、8億5千万円の補正予算を上積みしました。8月31日現在で、申込件数は8901戸、補助金交付額は12億5619万円、工事費総額は194億6480万円です。補助金の16倍近くの工事が県内業者に発注されています。しかも、受注者の半数は個人業者で、職種は建設業、給排水設備業、屋根・板金工、塗装業、電気業などまんべんなく広がっています。
 京都府でも、ぜひ実施すべきです。いかがですか。
【知事】府民公募型安全安心整備事業について。この事業もまさにこうした府内の業者に対する対策、同時に府民のみなさんのニーズに対してしっかりと応える形で、全国に先駆けて実施したもの。府内業者でできるものは府内業者に発注することを基本としているので、昨年度の土木関係工事1450件のうち、府外の業者に発注したのは、のり面等の技術でどうしても府外に発注しなければならなかった2件だけ。ですから、件数からすると、99.8%が府内の事業者に発注されている。また、中小企業への発注については、土木一式工事について、比較的規模の小さなCおよびDランクの業者への実績をみると、これがだいたい発注件数の4割になっているし、Bランクまでいれるとだいたいその3分の2が、こういった業者に発注された形になっている。このように府内の業者、そして中小企業に配慮したことにより、冷え込んでいる地域経済に対する温め効果が大きいものと考えており、今議会にも補正予算をお願いしている。
 小規模事業者を対象とした登録制度について。京都府が発注する工事は、道路補修、府営住宅、学校の修繕等、小規模な工事を含め、すべて府民生活の安心安全に直結するもの。このため、工事中の安全や品質確保など、安心安全をいっそう確保する点から、建設業法にもとづく建設業の許可および経営事項審査を受けた企業への発注を原則としている。今後とも競争性、透明性が確保されたうえで、地域に貢献する優良な中小企業が育成されるよう取り組んでいきたい。なお、例外的には、府立学校や総合庁舎の極めて少額な修繕等につきましては、各施設管理者が技術的難易度や緊急性も考慮できるので、地域の小規模な事業者に依頼する弾力的な対応も現行で行なっている。市町村については、それぞれ地域事情をふまえ、自ら判断されていくべきもの、それが地方自治の原則であると考える。
住宅改修助成について。京都府としては、広域的な行政を担う観点から、耐震改修の助成事業、太陽光発電15000戸達成事業や、介護予防、安心すまい推進事業など、幅広く改修助成を実施している。さらに本年の6月補正予算においても、高齢者向けの賃貸住宅に対するバリアフリー改修助成事業を創設するとともに、耐震改修助成を流通段階における中古住宅へも拡充した。そして今度は、府内産木材の利用促進のため、「緑の交付金」制度のリフォーム業者への対象拡大など、目的を明確にして拡充した。こうした地元業者への発注につながるきめ細かな事業をこれからもしっかりと実施をしていきたい。
【さこ】小規模工事の問題についてですが、弾力的な対応をしていくということでしたら、これをもっともっとひろげていってほしい、強く要望します。

西陣の振興について

【さこ】次に、私の地元でもある西陣産地の再生について伺います。
西陣織は、歴史にはぐくまれた、京都が世界に誇る織物であり、文化であり京都の地域経済と雇用を支える重要な基幹産業です。五百年以上の伝統に裏打ちされ、20を超える工程があり、その集積と職人の技によって成り立っています。現実に京都の雇用と経済に大きく役割を果たし、先端産業にも応用される技、技術は京都の製造業が持つ優位性、強さの基盤となってきました。
ところが、いま長引く不況や生活スタイルの変化の中で、産地が崩壊しかねない事態に直面しています。西陣織を織っている現場の賃織りといわれる業者は高齢化と低賃金等で廃業が増え、生産量は急減しています。さらに、賃織りの織機の設置や部品を直す機料品店も減少し、道具類の枯渇対策やメンテナンス人材の育成は緊急の課題になっています。
京都経済の復興をはかり、京都のイメージを世界に発信し続ける上でも、伝統和装産業、産地西陣の再生は行政にとっても重要で緊急な課題であることは明白です。ところが、この間、技術研修や後継者育成に重要な役割を果たしてきた市染織試験場や、住民や労働者の各種活動の拠点となってきた府の職業能力開発支援センターが廃止されるなど、府と市がとってきた施策は、振興とは逆行するものです。
私は、府が京都市と協力して、西陣再生の振興策と緊急対策を立案し、実行されることを強く求めるものです。
まず、これまでのように業界団体任せでなく京都府として、研究者、地域住民とも協力しあって、産業と地域再生のために「西陣地域経済振興会議」を設置し、抜本的な振興策を立案すべきだと思いますが、いかがですか。そして、府市連携でそれを急いで具体化させる保証をつくることが必要です。いかがですか。
緊急対策と具体的な対策をいくつか提案します。
まず、織機部品の再利用や道具類の確保、メンテナンスをする人材の確保です。機料品店や西工とも相談し府、市連携で道具類バンクを設置し、人材育成もすべきと思いますが、いかがですか。
西陣織に携わる後継者の育成も急務です。何度も指摘していますが、技術習得を援助するために、生活できる後継者育成の支援制度を作ることを強く求めますが、いかがですか。
さらに、地元では、観光振興と結合した西陣再生とまちづくりが西陣ミュージアム構想として語られています。また、公開工房の取り組みも積極的に行なわれています。商店街の空き店舗の活用などを含め、大きな支援を行なうべきです。いかがですか。
西陣で働き暮らす人たちの拠点、技術支援も含め、集える場を作ることも必要です。上京区内に西陣織を支援するセンターを、府市共同で作ることを強く求めます。また、府職業能力開発支援センターはもともと、西陣労働者をはじめ西陣関係者や上京区民が交流と活動の拠点としてきた府立西陣労働セツルメントです。その跡地には京都市と協力して西陣関係者と上京区民のための交流センターを建設するよう求めますが、いかがですか。
以上、知事の西陣振興の決意と私の提案に対する答弁を求めるものです。
【知事】西陣振興について。西陣織は、京都にとって、重要な産業であり、西陣織工業組合や京都市とも連携し、西陣産地振興対策ビジョンを策定し、具体的な振興施策を実施している。また地域についても、地域全体の活性化にオール京都で取り組んでいきたいということで、ご存知のように今年「京の七夕」を実施し、70万人という大変多くの人出を得たところで、地元に対する貢献も大きなものがあったと考えている。また、道具類確保対策については、平成20年9月に府内の関係産地や国、京都市と連携して、京都伝統産業道具類協議会を設立して、同協議会の中で、希少道具、部品の調達、確保や道具職人の育成を全国的な視点も加えて実施しているところである。後継者育成については、伝統的な技術を継承するため、匠の公共事業における次世代リーダーの育成支援事業や京もの認定工芸士の制度化など、取り組みを実施してきたが、さらに京の伝統産業未来を担う人づくり事業において、雇用も生活支援的なものも含めて、育成にあたる事業を展開している。
西陣織を支援するセンターについては、建設にあたって支援を行なった西陣織会館が、情報発信をはじめ、産地振興に多大な役割を果たしており、さらなる機能強化をはかるため、京都市とも連携し、本年6月に西陣織会館内に京和装伝統産業職人工房を開設した。この工房における実演を通じて、匠の技を府民をはじめ、多くの観光客にもご覧いただき、伝統産業の魅力を発信し、観光誘客にもつなげていきたいと考えている。府職業能力開発支援センターの跡地活用については、有識者からなる資産活用のための推進プラン検討委員会において、利活用の検討を行なってきたところ、趣旨にあう利活用の計画がないので、これは貴重な財源として今年度売却対象物件として処分を予定している。なおすでに西陣会館や京都府・市が協力して建設したエンゼルハウスが、府民の交流センターとして活用されている。
【さこ】西陣振興について、私の提案は、すべて現場の方々の意見や実態を踏まえたものです。エンゼルハウスが文化施設だとおっしゃっていますが、「府の職業能力開発支援センター跡地に交流センターを」というのは、強い要望となっています。府有資産利活用推進プランでは「売却」とされていますが、民間に売ってしまうのではなく、府市協力してセンターを建設するよう、強く求めておきます。

雇用問題で大企業に社会的責任を果たさせよ

【さこ】次に、雇用問題についてです。
この8月に厚労省が発表した「労働経済白書」の経済分析は大きく注目されました。それは、白書が、非正規雇用者が増加する中で平均賃金が低下し、格差が拡大したおもな要因は大企業にあり、労働者派遣の規制緩和がそれを後押ししたと指摘したからです。白書はさらに、賃金低下や格差拡大が、内需停滞の一因と分析しました。ここにきて、政府自身の調査でも、構造改革路線にもとづく政策そのものが、内需を冷え込ませ、経済に大打撃を与えてきたことを認める結果となりました。
わが党議員団は、大企業が社会的責任を果たして雇用を守り、内需を拡大することが経済を立て直す鍵であると追及して来ましたが、政府自身も同様の分析をしたわけです。
そこで伺います。
知事は、「大企業の非正規雇用拡大が、賃金低下と内需の停滞をつくった」という「白書」の分析を共有し、この認識で対策を打つべきと考えますが、いかがですか。
「労働者派遣法」の抜本改正は最優先課題とすべきものですが、現在の政府案は、製造業務派遣と登録型派遣禁止については、事実上野放しとなるものです。改正法の早期成立は、知事も必要と認めていますが、あらためて今、国に早急な抜け穴なしの抜本改正を求めるべきと考えますが、いかがですか。
最近の京都の例をみても、今ほど大企業の社会的責任が厳しく問われている時はありません。この点では、知事も変化してきました。我々が、ジャトコの派遣切り問題を取り上げた当初、知事は「個別の案件は、労働局で」と繰り返していました。それが、労働者のたたかいと我々の追及のなかで、トステム問題では知事自らが本社に出向いて、雇用確保を要請されました。我々は、トステムに限らず、問題があれば知事が直接、企業に社会的責任を果たすよう求めるべきだと思います。
そこで知事に伺います。
雇用のための企業立地促進条例に、雇用と地域経済を守る企業の社会的責任を明記すること、具体的には、工場閉鎖や解雇は事前に府に報告協議する規定、法令違反や解雇を強行した際は補助金返還を命じる規定を設けることが必要と考えますが、いかがですか。
【知事】派遣労働者など非正規労働者の増大により所得格差が拡大することを私も非常に懸念しており、社会保障国民会議の場におきましてもキャリア形成や非正規雇用を正規雇用へもっていく施策を前面に打ち出すべきと強く訴えてきた。その結果、財政報告では能力開発施策体制の強化や生涯にわたる安定した雇用機会の拡大など方向性が出されたところです。今後とも改正労働者派遣法の早期成立や厳格な指導監督、違反の場合の的確な復元措置、労働者の皆様がこうして安心して働ける環境の確保、さらに雇用対策の充実などを国に働きかけてまいりたい。
 ジヤトコだけではなくて、私はずうっといろんなところに回っているんですよ。トップセールスで。日々、トップセールスでまわっていて、そういう成果として様々なことをやっているわけなんで、何も変わったわけではなく、どんどん行っていることをご理解頂きたい。たまたま新聞に報道されたところだけで、そこしか行っていないというふうに思われたら困りますのでご理解頂きたい。
企業立地促進条例につきましては、企業誘致に係る補助金等の制度と平成19年度に正規雇用等と雇用重視の制度への改正を行なった。誘致企業には雇用の確保をはじめ社会的責任を重視して頂くことを要請している。こうして積極的な誘致活動を行なってきた結果、平成22年8月末までに創業した誘致企業が111社、府内の経済波及効果が5800億円、間接雇用も含めた雇用効果は29000人にのぼっているわけであり、ただこうした雇用の企業の立地の協定というのは、私もトップセールスで各地に行っておりますが、毎年のように激しさを増し、厳しい競争の中で必死の競り合いが続いているわけでありまして、こういう中で我々も企業に対してもしっかりと言っておくところは言っていきますけれども、私は来て頂かなければならないという立場で、それによって経済を活性化させていくという立場もあることはご理解頂きたい。全体主義の国のように企業を閉じ込めることはできない、今のグローバル化の中でしっかりと企業を京都の中に置きながら発展させていくということが私は必要だと考えている。
【さこ】私は、政府の白書さえ構造改革路線の破たんと大企業の社会的責任に言及せざるを得なくなっていることを示しました。このことでは言及がありませんでした。京都でもトステム綾部工場閉鎖や、ジヤトコの派遣切りということで、一生懸命やっている、他のところについてもやっているとおっしゃいましたけれど、大企業の身勝手が目に余るというのが今の実態なのです。だから、知事が、企業立地促進条例の改正も含めて、大企業に責任を果たすよう迫っていくべきだということを再度指摘しておきます。

子どもの医療費を府内どこでも小学校卒業まで無料に

【さこ】次に、子育て支援について伺います。
まず、知事もマニフェストにかかげている子どもの医療費無料化制度の拡充です。
今、子育て家庭のくらしは大変です。「失業し、貯金を取り崩して保険料は何とか払ってきたが、医療費が払えない」など、医者にかかれない親子が生みだされています。子どもの医療費無料化制度の拡充は待ったなしです。
現在、府の制度に上乗せをしていない自治体は京都市だけです。そのため、京都市では、3歳の誕生日の翌月から窓口3割負担となり、子どもが熱を出して苦しんでいるときに、お金の心配をしなければならないのです。3歳から小学校入学前までは、月3000円を越える医療費は償還されると言っても、一旦窓口で払わなければならず、安心して医者にかかれない事態をつくっています。
6月議会での「拡充を先送りするな」とのわが党の質問に、知事は時期も対象も明言されませんでした。府内どの市町村に住んでいても、せめて小学校卒業までは早急に無料化すべきです。京都市に対しても強く呼びかけるべきです。お答えください。
【知事】子育て支援について、子ども医療費助成は今でも全国トップクラスの制度になっておりますけれども、現在、その内容を改定するべく京都府より市長会・町村会から推薦された4市長と拡充の時期や内容について具体的な検討をすすめている。正に、都道府県が上目線であるのではなくて、実施主体になっている市町村と対等の立場で話し合っていく。ですから京都市にも入って頂いて、お互いの協議の中で制度をしっかりと作り上げていこうとする対応をしていることをご理解頂きたい。
【さこ】子どもの医療費無料化拡充について、再度答弁を求めます。知事は、「市町村と協議している」との答弁でしたけれども。伏見区美豆(みず)小学校は、京都市、八幡市、久御山町の児童が通学していますが、クラスの保護者の中で「京都市の子どもが医療費の助成が一番低い。住んでいるところで違うのはおかしいのではないか」というのが話題になっています。府としての拡充は待ったなしなのです。知事はマニフェストの計画通り、実施を平成24年度以降に先送りされるのですか。小学校卒業までの無料化を先送りせず、京都市とも協議して早急に実施することを求めますが、再度お答え下さい。
【知事】子育て支援についてですが、マニフェストにも書いてありますように、きちっと協議をして、その上で我々は実施していくということを、私は選挙の時にお約束をいたしました。正に、マニフェストに従って、私はこれから行程表に従って行なってまいりたい。そのためにも京都市とも、今、一生懸命協議をしている。
【さこ】マニフェストに基づいて協議してるということですが、知事も子どもの医療費無料化拡充の必要性は認めているのですから、京都市にも強くよびかけ、早急に府内全域で小学校卒業まで無料化することを再度求めます。
【知事】子育て支援については、市町村としっかり協力関係を作りながら、マニフェストの実現に全力をあげていきたい。

細菌性髄膜炎予防ワクチンへの公費助成を

【さこ】次に、子どもを中心に毎年千人以上がかかり、幼い命を奪っている細菌性髄膜炎を予防するヒブワクチンと七価ワクチンへの公費助成の問題です。
いまや世界では定期接種や公費助成があたり前になっているこれらのワクチンは、日本ではようやく認可されましたが、任意接種であり、高い個人負担が壁になっています。
これまで府議会にも、赤ちゃんを抱いたお母さんや女性団体の方々から、これらワクチンへの公費助成を求める声と請願が届けられてきました。私たちも、お母さん方と一緒になって署名活動やシンポジウムなどに取り組んできました。
女性の死亡率の高い子宮頸がんワクチンについては、次々と各地で助成が実現する中、8月、長妻昭前厚生労働相が、来年度予算の概算要求に公費助成を盛り込むと表明しました。本府も今議会提案の補正予算案に、公費助成を盛り込みました。
ヒブ・七価ワクチンについても、本来は国が全額公費での定期接種を行なうべきものですが、自治体の独自助成が広がり、京都府では乙訓の2市1町で助成が実現しています。
そこでお聞きします。
それぞれ4回の合計で8万円もかかるヒブ・七価ワクチンの全額公費助成について、国に再度働きかけるとともに、府としても負担軽減措置をすぐ実施すべきではありませんか。お答えください。
【知事】ヒブ及び七価ワクチンの全額公費助成については、京都府では、そうしたことは従前から言っておりますけれども国がきちっと対応すべきものであると考えておりまして、定期接種の対象とするように国に要望してきており、引き続き強く要請をしていきたい。独自の助成につきましては、市町村の意向とか発生状況、さらにはワクチンの供給状況などをふまえ、引き続き検討してまいりたい。

国保問題 ―― 無保険問題の解決を

【さこ】次に、国民健康保険の問題について質問します。
わが党議員団は京都市議団とともに、ハローワーク前で3回にわたる健康保険加入調査を行なってきましたが、その中で、社会保障である国保で受け止めるべき人たちが、無保険となっている深刻な実態が明らかになっています。
そこで、知事に伺います。
第一に、事実上の無保険者を大量に生み出している資格証の発行や短期証の「留め置き」はやめ、まずは被保険者全員に保険証を渡すことが必要です。6月議会でのわが党の質問に、「未交付状態解消に向けた取り組みを市町村に要請していく」という答弁でしたが、その後、どう改善されたかお答え下さい。
第二に、窓口負担が高いために病気になっても我慢するなど、保険証が事実上使えない事態をなくすため、一部負担金減免制度の抜本的拡充が必要です。
これまで国には、減免の具体的な運用基準や財政支援方針がありませんでしたが、国民の運動やわが党の追及の中、9月13日の厚労省通知は、収入が生活保護基準以下に急減し、預貯金が生活保護基準の3ヵ月以下である世帯を減免の対象にするという基準を示しました。厚労省は、減免額の2分の1を国が負担するとし、市町村の独自基準がこの新基準より狭い場合は拡大するよう求め、広い場合は狭める必要はないとしています。
多くの市町村ではこれまで、減免の制度がないか、あっても基準が明確でなかったり条件が厳しいため、実際には減免されないのがほとんどでした。
とくに、京都市の問題は重大です。京都市国保の一部負担金減免は、2001年度には683件、1億6600万円あったものが、年々減少し、2008年度には162件、2700万円となっています。保険料を1日でも滞納した場合は申請を却下するなど厳しい条件のためですが、拡充が求められているときに、考えられないことです。
今回の厚労省の新基準を、市町村に徹底し、促進すべきですが、その取り組みはどうなっていますか、お答え下さい。
第三に、払える国保料に引き下げる問題です。
高すぎる国保料の最大の原因は、政府が国庫負担を1984年当時の50%から2006年には25%に引き下げたことにあります。いま「国庫負担をもとに戻せ」の声は、全国の議会に広がっています。今こそ政府に国庫負担復元の声を突き付けるべきですが、知事の決意をお聞かせください。また、府が市町村を支援すべきことも当然です。08年度に廃止した市町村国保への府の独自助成を復活すべきですが、いかがですか。
【知事】国民健康保険について。短期保険証交付につきましては、市町村にたえず被保険者の自宅を訪問し相談を行なうこと等を通じ、長期間の未交付状態を解消するよう助言・要請をしてきた。年度当初と比べますと現時点で未交付者が3分の2程度というふうに少なくなっている。
 また、資格証明書については、納付相談に全く応じない等、真にやむを得ない場合に交付すべきものと考えておりまして、従前から市町村に対し、適切な運用を行なうよう要請をしている。
 一部負担金の減免制度については、これまでから統一的な考え方を示すよう国に要望してきたところ、今般減免基準が示されたことから、市町村に対し直ちにその内容を周知し、適切な対応を要請している。
 また、国庫負担については、これはもう従前から国に対して適切な国保の運営が可能となるよう必要な財政支援を求めてきた。引き続き、国に対して国庫負担の充実は強く求めていきたい。
府の独自助成についてですが、京都府としましても厳しい財政状況のもと役割分担に従って、市町村国保に対し190憶円近い負担を行なっています。さらに、未来づくり交付金を通じて市町村の財政全体をきちっと見ながら支援をしているところであり、今後ともそういう中で市町村支援をしっかり行なっていきたい。

無保険者をさらに増やす国保一元化はやめよ

【さこ】いま、国は国保財政の赤字を住民に押し付ける制度作りとして、国保の広域化、一元化の方針を進め、京都府もそれを受けて、国保一元化に突き進んでいます。
そこで知事にお聞きします。
第一に、国保へのそれぞれの市町村一般会計からの繰り入れは、2008年度で京都府内合計36億7000万円ですが、国保の一元化によってこれがなくなれば、1世帯平均1万円の国保料・税の引き上げになるのではないですか。
第二に、国保料・税は農村部で相対的に低くなっていますが、この背景にはこれらの自治体が予防に力を入れ、医療費を抑えてきた経過や、医療資源が少ないという事情があります。これを無視した国保の一元化は、国保料・税を無理矢理平準化し、新たな負担を課すものではありませんか。
第三に、国保の一元化は、住民に身近な基礎的自治体から、住民のいのちを守るという最も大切な役割を取り上げるものであり、これまで市町村や住民が作ってきた給付や保険料軽減策などを切り捨ててしまいます。まさに、地域の住民自治を奪うものではありませんか。
このような国保一元化はやめるべきと考えますが、指摘した問題点について、お答え下さい。
【知事】国保一元化について、市町村国保については、被保険者に高齢者が多く医療費が高いということが出てきている。しかもその内容としては、無職者が非常に増えている。これから、ある市町村では10年経つと65歳での高齢化比率は50%近くになる。そうした時に、非常に弱体化した財政基盤の中で多くの高齢者を抱えた市町村が本当に国保というものをやっていけるのかということは、私は、迫議員も真剣に考えて頂きたい。そして、その時に私が考えているのは、保険というものは、ある程度規模がなければ成り立ちません。保険というのがあって、平準化がなければ成り立たない。その平準化する規模というのをどういう形で作り上げていくか、そして、当然ながら後期高齢者の保険制度の時もありましたように、あの時も、一元化をしたら保険料は全部上がったんでしょうか。そうじゃないですよね。上がっていませんよね。そういうふうに制度の仕組みによって変わってくるのであり、今言ったようなことは、私は常識としてはちょっとおかしいのではないかと思っています。
 私は、京都府としてはナショナルミニマムの確保の観点から、国の財政負担の抜本的な引き上げを求めているところであり、その上にたって市町村国保というものを、もっと幅広く平準化していく、多くの皆様に負担を求めるという形で、都道府県単位で一元化して、その上で京都府も国保運営に積極的に参加し、私どももそういう役割を果たしていく。こういう形の中で国に対し必要な制度改革を提言してきた。新しい国保制度は、そうした考えかたを基本としておりますけれども、まだ将来推計が示されないなど国の役割が非常に不明確であり、そうした点についても引き続き国に対して役割の明確化、または財政負担の拡充等を求めながら安心出来る制度となるように提案をしていきたい。
【さこ】国保の一元化の問題ですけれども、私は真剣に考えているからこそ、この場で質問しているのであります。この問題については、制度維持のためという答弁でした。問題は、国保の一元化で、保険料が上がって、今本当に深刻になっている無保険者がこれからまた増えていくのではないかというおそれがあるということなのです。私が西陣ハローワーク前で聞いた中にも、失業して高い保険料が払えない、国保に入れないという方が本当にいらっしゃるのです。知事は、住民に負担を押し付ける一元化ではなく、社会保障としての国保の再建にこそ取り組むべきだと指摘しておきます。

農家の悲鳴に応え、鳥獣被害対策の拡充を

【さこ】次に鳥獣被害問題についてお聞きします。
今年は猛暑の影響による農作物被害、それに過去最低価格となっている米価暴落で、農家は深刻な打撃を受けていますが、それに輪をかけているのが有害鳥獣による被害の拡大です。
私は、府の鳥獣被害額が農業算出額あたり全国最悪と指摘し、鳥獣害対策予算削減で農民が困っていることへの対策も含め、本会議や委員会でも、たびたび府の対策強化を求めてきました。しかし、その被害は深刻さを増すばかりです。特に猛暑の中、テレビや新聞では、クマやサルの出没を連日のように報道し、農作物の被害だけでなく、人的な被害を含め、対策強化は国民的な関心となっています。
そこで、お聞きします。
私が府内を調査した中で、府が6月議会で、鳥獣被害対策として提案した補正予算8000万円は国の緊急雇用基金を活用している人件費であり、いま必要な防護柵、電気柵の増設、檻や罠の設置に使えないと強い改善の要望がありました。今回、6000万円の緊急対策費が単費で提案されたことは一定の前進ですが、「広域防護柵の設置と忌避作物の栽培を組み合わせた整備への支援」と限定されており、被害農家からの要望に全面的に応えるものにするためにさらに条件を緩和し、増額すべきです。いかがですか。
また、保護管理計画の見直しと、対策拠点の整備が重要です。
とにかくシカやイノシシの個体数を減らしてほしい。これが関係者の共通の願いです。たとえばシカは、福知山市が、3月に猟友会に委託した生息数調査、ライトセンサス調査では、一晩で2900以上が確認され、福知山市だけで1万頭を超えるシカの生息が推測されています。府の第10次保護管理計画では、平成18年の生息数を全府で3万6千頭と推測していますが、この数年、毎年1万頭以上のシカが捕獲・駆除されているのに生息数が減少したとは思えません。
府が責任を持ったより詳細な調査を実施し、保護管理計画の見直し、適切な個体管理の実施が必要です。今回、見直しの要望に応えて、600万円の予算が計上されていますが、正確な調査を実施する府の体制が必要です。いかがですか。
また、科学的な対策を進めるうえでも、生息数の調査や対策を検討する拠点の整備が重要です。野生生物の研究機関がないことに対して、学者・研究者からは「自前の研究機関がないことは野生鳥獣の適正な管理に支障をきたす恐れがあり、生物多様性の維持という点からも心配」との指摘もあります。
京都府の対策の遅れを急いで克服するためにも、府独自の鳥獣被害対策拠点を作ることが必要だと思いますがいかがですか。
【知事】今議会にお願いしている営農と一体的に行なう広域防除対策に関する予算は、農林水産技術センターと普及センターで構成するタスクチームの活動によって、その研究成果を踏まえて、新たに秋から春先にかけての作物への被害を防止するため、地域の実態に応じて、柔軟に対応しながら、市町村の要望も踏まえて実施しようとするもの。このほかに、雇用の基金を市町村に配分し、その中でも鳥獣被害対策をやっておりますし、当初予算でも補正予算でも組んでいるので、全体像をみていただきたい。実際の実施にあたっても、できる限り地域の実態に応じて、柔軟に対応していきたい。
府の調査体制について。特定鳥獣保護管理計画を適正に見直すため、毎年モニタリング調査を実施しており、今回の調査は、シカの糞やその密度をみるとか、熊の毛のDNA分析から生息頭数をより正確に把握する5年に1度の調査。これはかなり調査経験が豊富で獣医師の資格なども有する専門会社にお願いしていきたいと考えている。
鳥獣被害対策の体制については、現地対応を最優先に考え、農林水産技術センター内の環境部と森林部が連携し、被害対策を強化するための研究を進め、各広域振興局ごとに府や市町村職員などにより設置している被害対策チームとタスクチームが連携して、府内各地で適切な被害対策の普及を図っている。
【さこ】鳥獣被害対策についてですが、先日、私は福知山市夜久野町で、防除や駆除の状況をお聞きしました。ある集落は、高さ2メートルの鉄格子で集落の田んぼ全体を囲っていますが、イノシシが柵の隙間を押し広げ侵入し、荒らしまわり一つの田が全滅する被害が出ていました。その農家の方は、集落の他の田んぼに被害が及ばないように、汗だくで修繕をしておられました。こういう農家の苦労に本当に報いるためにも、緊急対策の一層の拡充と対策拠点の整備に取り組むよう、強く求めておきます。

地球温暖化防止問題について

【さこ】次に地球温暖化防止問題に関してお聞きします。
 本議会に地球温暖化防止条例改正案が提案されています。中心は温室効果ガス削減の新たな目標設定です。
IPCCは2020年―20%削減の中期目標を提起してきました。先進国、主要国をはじめ全世界が積極的に取り組み、一日も早いピークアウト(温室効果ガスの排出減少)に向かわせ、地球の気温上昇を2度C以下に押さえることが至上命題となっています。
 このような中での条例改正ですが、府は当初、京都市が「環境モデル都市行動計画」に定めた2030年40%の「中期目標」に合わせ、25%削減の20年目標は条例から外し、温暖化対策プランに盛り込むとの方針でした。わが党は20年先の30年目標ではなく、さし迫った20年目標の重要性を強調し、条例に明記するよう強く求めてきました。
 改正案では30年40%削減を「中期目標」とし、20年25%削減は「当面の目標」として規定されました。まずはこの20年目標の実現に全力を挙げることが強く求められます。
 そこで伺います
25%削減が容易でないことはこの5年間の取り組みでも明らかであり、従来型の延長では絶対に不可能です。条例では、特定事業者の排出量削減計画書の提出は求められていますが、今回の改正案でも自主目標に委ねられたままとなっています。これでは不十分です。わが党が求めてきたように、温室効果ガスの排出上限を定めた「キャップ&トレード制度」を創設するよう強く求めますが、お答え下さい。
 再生可能エネルギー利用の拡大についても、今までのエコポイント方式の枠内でなく、府独自の助成制度を設け、太陽光発電などを積極的に拡大する必要があります。その際、全量固定買い上げを関電に求めるべきと考えますが、お答え下さい。
温暖化対策に全く逆行する事態が起こっているのが、舞鶴石炭火力発電所の問題です。
舞鶴石炭火電2号機が営業運転を開始し、1・2号機あわせて年間860万トン、府全体の3分の2に相当するCO2を排出することになりました。府の排出量にカウントされないからといって放置できる問題ではありません。知事はなおベストミックス論で擁護されるのでしょうか。条例に、電気事業者の削減義務を明確に規定し、排出削減を強く求めるべきです。どう考えられるか。お答え下さい。
【知事】京都府ではすでに現行の地球温暖化対策条例において、大規模排出事業者に対して、温室効果ガスの排出量の削減計画、報告書の提出を義務付け、その結果、対象の約280事業所で20年度では前年度比、6.7%減と着実に取り組みが進展している。私どもはこの成果を踏まえて、今議会に提案している条例改正案では、大変厳しい新たな削減目標の達成をめざして、大規模排出事業者の取り組みをさらに促進するために、温室効果ガスの削減や、エネルギー効率の改善等の状況を総合的に評価し、その結果をしっかりと向上していく削減対策等の総合評価制度を導入する。あわせて、大規模排出事業者と中小企業者が連携して削減することができる、京都版のCO2の排出取引制度を創設することによって、両者の連携のもとでしっかりした対策が講じられるようにしている。今後、こうした新しい制度を住民に対する公表をしっかり行なって、社会的な責任を明確にしながら、運用することが重要と考えている。
キャップ&トレード方式による排出量取引制度については、今後の国における法整備や国内排出量取引制度の検討の動きを見極めていきたい。まず、京都版のCO2取引制度、そして関西広域連合を中心とした関西におけるそういう制度を築き上げていくことによって、さらにこの検討を進めていきたい。
再生可能エネルギーの利用拡大については、京都エコポイントの付与などによって、昨年度後半から、住宅用太陽光発電設備の設置が急速に進行して、累計で約12000戸に達した。再生可能エネルギーの一層の利用拡大を図るためには、国全体での取り組みが重要だが、固定価格買取制度の拡充など、必要な法整備について、国に対する働きかけを強めていきたい。
舞鶴の発電所については、これまで何度もお答えしているように、国のエネルギー政策の一環として、安定的な電力供給のための電源構成の多様化を目的とする、とくに関西電力は原子力に頼っている部分が非常に大きいところだから、これまで通り原子力に頼った形を続けていくのかということも、議論になっていく中でベストミックスを探っていくことが、必要ではないかと私は思っている。京都府としては、これまで関西電力に対して、舞鶴発電所におけるCO2の削減対策とあわせ、会社全体としての電気の排出係数の低減を強く要請してきた。京都府の要請等に応え、舞鶴の発電所においても、年間約9.2万トンのCO2削減がされるとともに、関西電力の全体で京都メカニズムの活用によって、電気排出係数を大幅に低減させていくという努力もされている。地球温暖化対策条例においても、関西電力に対して、従来の削減計画書、報告書の提出、公表制度に加えて、今回の改正により、削減対策の総合評価制度も適用していく。引き続き、舞鶴発電所はもとより、関西電力の発電事業から排出される温室効果ガス総量の削減対策を一層強化するよう働きかけていきたい。
【さこ】地球温暖化対策条例は特定事業者の責務を定めているということですが、私が言っているのは、条例では特定事業者の温室効果ガス削減が自主目標に委ねられており、それは改正案でも変わっていないと思います。だから、25%削減にふさわしい「キャップ&トレード制度」の創設を再度求めておきます。舞鶴石炭火電問題についてですが、新聞報道によると、関電の会社役員は稼働の式典で「石炭は二酸化炭素を多く排出するが、安価で埋蔵量も多い。他の発電方法とバランス良く組み合わせて、安定供給の使命を果たしたい」と、引き続き大量の石炭を使っていくと言っています。このベストミックス論では温暖化対策に逆行するんだということで、この姿勢を改めるよう知事として本当に強く求めていくべきだと思っています。再度指摘しておきます。

府民的な議論がされていない関西広域連合の議案は撤回せよ

【さこ】次に、今議会に規約案と分担金が提案されている関西広域連合についてです。
特別地方公共団体という自治に関わる組織を設立する重要な案件でありながら、府民的な議論は、全くできていません。府が作成したパンフは、「41分→14分」と、現に連携でやれているドクターヘリをメリットとして宣伝する一面的なもので、府民から返ってきた意見は、府民懇談会やホームページでのものを合わせて104件と、極めて限られたものです。
加えて、議会でも、6月議会の特別委員会で各会派から意見・疑問が出されるなど、まだまだ議論の途上です。
知事は昨年9月議会でのわが党代表質問に「議会はもとより府民のみなさまのご理解を得て進めていきたい」と答弁されました。知事は現状で、今議会で議決するための府民と議会の議論が十分だと、本当にお考えですか。お答え下さい。
わが党はくり返し、「関西広域連合」からスタートして「関西州」へすすみ、大阪湾のベイエリア再開発など、大阪中心の開発を進めるのが関西財界や橋下大阪府知事の狙いだと指摘してきました。道州制は自公政権時代から日本経団連が「究極の構造改革」として推進してきたもので、国の役割から福祉や教育をはずして軍事、外交、マクロ経済などに限定し、道州単位で財界本位の経済政策や公共投資をやりやすくしようというものです。都府県はなくなり、市町村合併はさらに進むことになります。まさに、住民のくらしや自治はないがしろにし、財界・大企業の利益に沿って国のかたちを変えるのが道州制であり、関西広域連合はそのステップなのです。
今回、「設立案」の文言を、「そのまま道州制に転化するものでない」と取り繕いましたが、「道州制を含めた将来の関西における広域行政システムのあり方について......検討していく」とあるように、批判を逃れるためのものでしかありません。
 知事、関西広域連合についての府民と議会の議論の現状では、議案を提案すること自体が無謀であり、関連の提案は撤回することを求めますがいかがですか。お答え下さい。
【知事】京都府では、参画を検討している府県の中では最も早く、平成20年の12月に関西広域連合に関する特別委員会を設置していただき、規約案等に府議会からのご意見も盛り込むなど、対応に努めてきた。また、府民への周知広報については、府民だよりやホームページ等により、制度説明や検討状況等をお知らせするとともに、より一層関心を高めてもらうため、関西広域連合に関するパンフレットを作成し、府民交流会等の場で直接説明し、その意見を頂き、さらに府民の皆様からの意見募集も行なってきた。こうした中で、賛成もたくさん頂いている。先ほどのご懸念の件では、関西広域連合における大阪府の議員数は、20のうち5です。それでどうして、そこに引きずられる形になるのかということは、私はちょっと納得がいかない。しっかりした形で議会の構成も作り、委員会の構成も作るということを、我々は何度も申し合わせてきた。こうした状況を勘案して議案を提案したものであり、よろしく審議をお願い申し上げたい。
【さこ】関西広域連合について、知事はこれまで「道州制とは違う。特定の府県には振り回されない」と熱心におっしゃいます。しかし、言えば言うほど、そうなっていく恐れがあるんだということを表しているんじゃないかと思います。現に今回の合意について、関経連会長は「国のかたちを変える大きなスタートが切れる」と言い、橋下大阪府知事は「-人の指揮官が意思決定し、関西を仕切るメカニズムは絶対必要」と言っているのです。府民的な議論も全く不十分です。わずか104人の意見を聞いただけで、「府民の皆様も望んでいる」と言えないことは明らかではないでしょうか。このような関西広域連合づくりの動きは中止し、関連の提案は撤回すべきです。

堀川団地再生について(要望)

【さこ】最後に、地元の堀川団地再生について指摘します。今回「堀川団地まちづくり協議会」発足のための会議が、8月26日に行われました。堀川団地は築60年たっており、耐震の問題、お風呂がない、高齢者が多い、商店街の存続問題など再生に関しては多岐の問題を抱えています。堀川団地再生まちづくりが、堀川団地の居住者や商店主、周辺住民の要望などをよく聞いてとりくまれるように要望しておきます。

私は、府民の皆さん方の厳しい現状を訴えてきました。府民の暮らしと営業をしっかり守っていくたたかいを、これから引き続き全力をあげていく決意を申し上げて、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

《他会派代表質問項目》

2010年9月27日

■武田祥夫(民主・京都市北区)

1 中国・アジア市場開拓支援による京都経済の活性化について

2 雇用創出と低所得者対策について

3 京都農業の持続的発展について

4 新たな京都府地球温暖化対策について

■国本友利(公明・京都市左京区)

1 高齢者支援について

2 児童虐待問題について

3 子宮頸がん予防対策について

■佐々木幹夫(創生・綾部市)

1 関西広域連合について

2 明日の京都について

3 共に育む「命の里」事業について

4 野生鳥獣被害対策について

5 高齢者政策について

6 公立高校普通科の類・類型制度について

■村田正治(自民・宇治市及び久御山町)

1 今後の予算編成について

2 関西広域連合について

3 林業の担い手対策と府内産木材の利用促進について

4 府立高校の改革について

5 京都式少人数教育について

6 地元の生活道路について

7 宇治警察署の建て替え整備について

2010年9月28日

■巽昭(自民・京丹後市)

1 丹後地域の産業振興と雇用問題について

2 医師確保対策について

3 野生鳥獣被害対策について

4 公共事業費の削減について

5 入札制度改革について

■北岡千はる(民主・京都市左京区)

1 少年非行問題について

2 子育て支援と乳幼児童の虐待の虐待防止対策について

■渡辺邦子(自民・京都市伏見区)

1 高齢者の「無縁社会」について

2 男女共同参画社会の実現について

3 国民文化祭について

4 地域の安心安全について