資料ライブラリー

本会議質問

2010年9月定例会 一般質問 梅木・新井・光永

2010/10/05 更新
この記事は 61 分で読めます。

●2010年9月定例議会で日本共産党の梅木紀秀議員、新井進議員、光永敦彦議員が行った一般質問の大要と、他会派議員の一般質問項目を紹介します。

もくじ
梅木紀秀一般質問・・・・・ 1
新井 進一般質問・・・・・ 7
光永敦彦一般質問・・・・・13
他会派議員一般質問項目・・19

9月定例会 一般質問
梅木紀秀(日本共産党、京都市左京区) 2010年9月29日

集中豪雨対策

総合的な治水対策を進めるため庁内に部局横断的な体制の構築を
宅地内「雨水浸透マス」や「雨水貯留タンク」への補助制度の創設を

【梅木】日本共産党の梅木紀秀です。通告にもとづいて、知事ならびに関係理事者に質問します。
 まず、集中豪雨対策について質問します。
昨年に続き、今年も異常気象による集中豪雨で、各地に大きな被害が発生しました。9月8日、台風9号は、東京で1時間67ミリの豪雨を降らせ、都心部でマンホールから雨水が吹き出し、道路が川になる。自動車が立ち往生し、多くの民家が浸水被害を受け、地下鉄、地下街での被害も心配されました。同じく台風9号は、静岡県小山町で、1時間120ミリ、総雨量600ミリという雨を降らせて、全半壊家屋11棟、浸水家屋118棟、土砂崩れ87カ所、幹線道路の橋を押し流すなど、大きな被害をもたらしました。
また、7月16日には、広島県庄原市の山間部で、50分間に91ミリという豪雨で、大きな被害が発生しました。こちらは山間部です。先日、庄原市の被災地を視察してきましたが、杉やヒノキが植林された緑の山々の、谷という谷が崩壊し、茶色い山肌がむき出しになっていました。地滑りによる土石流が家屋を押し流し、川沿いの田んぼには、無残に折れた杉やヒノキが泥だらけになって山のように堆積していました。木材価格の下落で、20年間山に手が入っていなかったとのことでした。
話は変わりますが、1972年、私の地元、左京区修学院で死者1名、被災家屋440戸という音羽川大水害が発生しました。比叡山の風化花崗岩が、いたるところで崩壊し、一気に音羽川を流れ下ったのです。当時学生だった私は、ボランティアとして救援活動に参加しましたが、流された風化花崗岩は約7万トンで、最大1m50㎝の厚さで一面に堆積していました。この時の最大時間雨量は44ミリ、総雨量153ミリですから、1時間120ミリという最近の集中豪雨のすさまじさには驚くばかりです。同時に、同様の集中豪雨が発生した場合、京都の街は大丈夫なのか、山は大丈夫なのかと心配になるのです。
そこで、集中豪雨による災害への対応策について、提案し、質問します。
 まず、総合的な治水対策についてです。上流にはコンクリートのダム、道路はアスファルト舗装、河川はコンクリートで固めて、雨水を下水道と河川に集めて一気に下流に押し流すという従来の治水対策の見直しがはじまっています。森林や水田の保水力を高めること、道路の舗装を透水性のものにし地下への浸透を図ること、宅地内の雨水も「浸透マス」で地下に誘導することなど、総合的な治水対策が求められています。東京をはじめ関東地方では、「雨水浸透マス」や「雨水貯留タンク」への補助制度も広がっています。京都府でも、そういう河川管理が必要となっています。ところが、以前、防災特別委員会で、「京都府内の自治体で、雨水浸透マスの設置に補助している自治体はあるか」と聞いたところ、答える部署がないのです。河川課長は「下水道の仕事なので」とのことでした。河川課ではダムや堤防などハード整備が中心、森林や水田は農林、道路は建設、雨水対策は下水道と縦割りになっています。そういう「タテワリ」を「ヨコ」につなげていく必要があるわけですが、遅れています。総合的な治水対策をすすめるために、まず、部局横断的な体制を庁内につくるべきです。いかがですか。
また、都市での集中豪雨対策として、東京や関東地方ですすんでいる宅地内の「雨水浸透マス」や「雨水貯留タンク」への補助制度を、市町村と協力してつくってはどうでしょうか。学校のグラウンドなどに一時的に雨水を貯める「一時貯留施設」の整備がすすめられていますが、一般家庭への補助制度も検討すべきです。この点についても、お答えください。
【知事】近隣の気象状況の変化による降雨の形態が、冬型のシトシト降るような雨から、本当にゲリラ豪雨とかいった形の強い雨が単時間に降るという形でだんだん変化しているような気がいたします。
 こうした集中豪雨・ゲリラ豪雨に対して、府民の安心安全を確保していくためには、まず第一点としては、ソフトとハードをできるだけ一体的に運用して行かなければならないということがあげられると思います。第2番目としては、地域全体で保水・遊水機能を高めていくというこういう2つの課題があると考えています。
まず、ハードとソフトが一体となった効果的な対策についてですが、これまでから庁内はもとより、府内市町村や防災機関で構成する防災会議において、地域防災計画や水防計画をこれは情報をしっかりと一元化した中で作成しています。その中でハザードマップや警戒避難体制などソフト対策、それから、河川改修や土砂災害対策等のハード対策を講じて減災に向けた防災対策を実施してきました。
地域全体の保水・遊水地を高めていくことについても、これは市町村とのまちづくりに非常に密接な関係が出てきますので、その中でまずは7月下旬に流域市町村長とで構成する「京都府淀川水系流域自治体会議」において、今後のテーマの一つとして貯留浸透施設をはじめ、そういった保水機能についての検討を全体として始めることにして、今年度から宇治市が校庭を活用した雨水貯留施設の整備にも着手しております。さらに今後、さまざまな面で地域全体の保水機能を施策、これは山林も含めて必要ですので、防災会議の幹事会を中心に情報を共有して、総合的治水の取り組みを進めていきたいと考えている。
都市での集中豪雨対策としては、とくにその中で貯留施設をどうやってつくっていくのか、保水機能をどうやってつくっていくのかが課題だと思っており、これは大規模なものから、中規模・小規模なものまで総合的に揃えていかなければならないと考えています。これは、東京でも巨大な貯留施設もつくっていますが、京都府でも乙訓において広域的な浸水対策の観点から、いろは呑龍トンネルを整備し、去る8月の台風4号に伴う集中豪雨の際にも、過去最大となる貯留率83%、約4万5000立法まで雨水を貯留し、本地域の浸水被害を防ぐ大きな成果を上げたところです。
また、中規模な貯留施設については、これは学校や公園に設置していますが、国の補助制度がありますので、これをさらに活用していかなければならないと考えています。
また、今年度から住宅の雨水貯留タンクに対しても、下水道雨水計画区域内で社会資本整備総合交付金事業が対象となりましたので、制度が充実してきており、こうしたものを活用していかなければならないと思っております。
また京都府では、地球温暖化対策として関西広域エコポイントモデル事業において、雨水タンクや保水ブロックもポイント付与の対象としているので、これらを活用し、市町村と協力して地域の実情に応じた総合的な治水対策を推進しているところです。

ナラ枯れによる景観・生態系・防災面での影響

被害木伐採など緊急対策が必要。被害木の処理にも十分な予算を

【梅木】次にナラ枯れの問題についてです。
 昨年9月議会でも、ナラ枯れ対策について質問しましたが、今年は、さらに猛暑の影響もあり全国的に被害が広がりました。私の地元左京区でも、東山から比叡山のふもと、岩倉・市原にかけて、さらに広い地域でナラ枯れ被害が広がっています。過日、京都市とともにヘリコプターで調査したということですが、ナラ枯れ被害の状況および景観や生態系への影響、防災面での影響についてどう把握し、どう対処しようとしているか、お答えください。また、カシノナガキクイムシは、栗にも入りますが、丹波栗などへの影響はないのか心配されます。影響についてどう把握されていますか、この点についてもお答えください。
 さて、先日、ナラ枯れ被害の状況について、左京区の音羽川上流から一乗寺、北白川にかけて被害状況の調査を行いました。先ほど紹介した通り、音羽川では死者1名を出す大水害がありましたが、この地域は風化花崗岩で覆われています。ナラ枯れで木の葉が落ちたところは、雨が直接地面を洗い流しはじめており、災害をおこす危険が高まりつつあります。北白川・丸山の急傾斜地では、民家の上に大きな被害木が覆いかぶさるような状態になっていました。緊急に対策を打つ必要があります。今議会に、このように民家や道路に隣接する被害木を伐採するための予算が提案されていますが、今回の予算枠でどの程度対応できるのか、また、今後の対策についてお聞かせください。
昨年10月、叡山電鉄でナラ枯れの被害木が倒れ、一時電車が不通になったことから、沿線で100本の被害木を伐採しましたが、一時に伐採すると逆に土砂災害をおこさないかという心配があります。また、伐採に当たった建設業者は、市の補助を受けて被害木を処理したが、木を切り倒すだけでなく、被害木の処理が大変で、赤字になってしまったとのことでした。被害木を一定の長さにそろえて積み上げ、ビニールをかぶせて燻蒸処理をする。そのために山の斜面に平地をつくりそこまで木を引き上げる作業は大変で、切株にも鋸目を入れてビニールをかぶせて燻蒸処理をするなど、補助金の基準では大赤字になるとのことでした。この点について、以前改善を申し入れていましたが、どう検討されたでしょうか。お答えください。
【農林水産部長】ナラ枯れ被害の状況については、大文字山付近や洛西地域など京都三山で被害が増加し、京都市内の被害面積は約52ヘクタール、昨年の1.5倍となっており、被害は大きな老木が中心のため、観光地周辺で景観上目立ちますが、生態系としては若木も育ってきております。
また、人家裏、道路近くなど防災上危険な箇所での被害も多く、緊急に対応する必要があります。具体的な対策としては、伐採と薬剤駆除による被害防止対策やビニールシートを被覆することによる予防対策を実施しております。
なお、丹波栗への被害については、栗園での発生事例はなく、現在のところ栗生産への影響はないと考えております。
 また、今議会で補正予算をお願いしているナラ枯れ被害緊急対策については、京都市と協調し緊急性の高い個所から事業を実施するこことしております。今後とも古都の森景観保全対策事業により、ナラ枯れ対策を実施していきたいと考えております。
補助基準については、これまで国に見直し要望をお願いしていますが、今回のナラ枯れ被害緊急対策で国の基準では見られないクレーン作業などに係る費用について補正予算をお願いしております。
今後とも、京都市と連携しナラ枯れ対策に努力していきたいと考えております。

森林管理と森林行政のあり方

森林を「社会的共有財産」と位置付け公的関与と支援の抜本的強化を

【梅木】関連して、森林管理と森林行政のあり方について質問します。
現在の森林行政では、森林管理は「森林所有者の責任」ということになっています。そのために木材価格の低迷で、植林された山が放置され、利用価値の少なくなった里山が放置されるという事態がおこっているのです。ナラ枯れ処理も、森林所有者が行う責任があるわけですが、現実には、森林所有者が伐採費用を負担して処理することは困難を極めます。また、所有者の了解なしに伐採はできません。今回「特区」を申請し、所有者の了解なしでも被害木の伐採ができるようにするとのことですが、現在の森林行政の問題点が明らかになってきました。
先日NHKのクローズアップ現代で、日本の山林が外国企業によって買収されているという問題を報道していました。北海道や九州などで、外国の投資家が山林を購入しているが、現行法制では、その全容を行政が把握できないこと、乱伐の危険があるが、罰金は最高30万円で乱伐を食い止める力にならない、林道整備のための所有者の同意も困難になるなど、森林行政の問題点が指摘されていました。
「公共建築物木材利用促進法」が10月1日から施行されます。また、府内産木材の利用促進など、林業が成り立つように、しっかりと林業関係者を支援することによって、森林管理をすすめるということが、森林行政の基本ですが、さらに抜本的に、森林を「社会的共有財産」と位置付けて公的関与と公的支援を強める必要があります。最近の集中豪雨と山林の荒廃状態を考えると、「所有者の責任」では済ませられない状況になっているという危機感を感じます。防災や環境保護、地球温暖化防止の観点から、保全管理に必要な作業や費用について、抜本的に支援を強化する必要があるのではないでしょうか。
本府においても、モデルフォレスト運動がすすめられていますが、全国的に「企業林」など、森林管理を所有者に代わって、企業や団体、ボランティアの協力によってすすめていく取り組みが広がっていますが、しかし、これだけでは、森林が荒廃していく実態には追いつけません。竹薮が里山を席巻している状況を見ても、抜本的な対策が求められていると思います。本府の取り組み状況、今後の対策について、お聞かせください。
【農林水産部長】府域の75%を占める森林は、災害や地球温暖化防止などさまざまな広域的機能を果たしています。そのうち98%は個人などが所有する民有林となっており、これまでから所有者が行なう森林整備を支援し、毎年4000ヘクタールを超える間伐を実施してきましたが、木材価格の低迷、高齢化など厳しい状況の中で、所有者だけで管理が難しいという現状にもあります。とくに、広域的機能を発揮させる必要のある森林については、森林法に基づく保安林の指定や治山事業、森林病害虫等防除法に基づく伐採命令など国の制度により森林整備に努めてきたところですが、こうした取り組みだけでも、森林を適切に管理するには必ずしも十分ではありません。
このため、京都府では平成14年度から森林を府民共有財産と位置付け、その保全や整備を進める緑の公共事業を実施しています。間伐による放置森林の整備、担い手の確保、育成など府独自の対策を講じてきました。
また、17年には府民ぐるみの森林の利用保全と森林の開発規制を盛り込んだ「京都府豊かな緑を守る条例」を制定し、全国に先駆けた取り組みである京都「モデルフォレスト運動」を着実に進めてきました。
さらに昨年には、京都府森林事業保全指針を定め、森林を広域的機能の発揮を重視した環境保全型と持続的な林業経営を行なう木材生産型に区分し、計画的な整備を進めております。こうしたことから適切な森林の整備を担う新規就業者の確保、育成が大事ですので、本年6月に林業トレーニングセンターを開設したところです。今後とも森林所有者、森林組合、府民、企業などさまざまな関係者が森づくりや府内産木材の利用に係わり、川上から川下に至る森林資源の循環を保ちながら府内の森林整備・管理が適切にはかられるよう継続してしっかりと取り組みを進めていきたいと考えております。
【梅木・再質問】私は、3項目で質問していますが、山は大丈夫なのか、町は大丈夫なのか。この集中豪雨で大変な雨量が降るわけです。そうしますと私の体験からすると、44ミリの音羽川の水害の状況を見ていたら、比叡山の音羽川の上流、それから一乗寺川の上流、白川の上流を歩いてみますと本当に心配なのです。そういう面で、どう森林を防災上も管理して行くのか。もう荒れていても、それは「所有者の責任」と府の担当者も市の担当者も答えるのです。これに対して新たな手を打たなければ、山が放置されてきている中で抜本的に見直す必要があるのではないかということを申し上げているのです。同時に雨水の処理等も考えていかなければならないと提起をさせていただきました。
知事が、防災会議でそれはやっているということですが、その一つ一つの施策が、例えば今回学校に一時貯留施設をつくるのだということですが、それがどれだけの治水対策としての効果があるのかということをお聞きしますと、「まだ計算しておりません」というような話だったわけです。そういう面では全体的に山、それから田んぼ、貯留施設などいろんなところをしっかりと防災という面から治水という面から目を光らせるということで部局横断的な対策が必要だろうと思うのです。その点で今の防災会議で十分なのか、それともやはり何か調整的な検討して行く組織をつくっていくのかということをもう一度知事から答弁をいただきたいと思います。
【知事・再答弁】防災会議の幹事会というのは、今梅木議員があげられたような関係部署すべてを網羅していて、その上に防災監、危機管理監がしっかりと統括している組織ですので、ここを中心としてこれからも総合的な防災対策に取り組んで行きたいと考えています。
【梅木】総合的な治水対策については、防災会議でということでしたが、治水対策としてもう一回しっかりその分野で見直すということを、私は出来ていると感じておりませんので、そういう体制があるというのならば、そこで対策を強化していただきたいと要望しておきます。

住宅リフォーム助成制度の創設

地域経済を足元から温めるために経済効果の高いこの制度の実施を

【梅木】次に、住宅リフォーム助成についてです。
昨日、迫議員の質問に知事は、「耐震改修や介護予防などで実施している」と答えられましたが、「府内業者への発注」を条件にした、緊急経済対策としての住宅リフォーム助成をと提案しているわけです。そういう観点から言いますと、耐震改修や介護予防、この事業でどれだけの経済効果があるのかということになりますと、やはり限られているわけです。ですから、足元から地域経済をあたためる効果がある住宅リフォーム制度をと提案しているわけであります。秋田県の例を、さらに紹介して、質問します。
秋田県では、3月に事業開始以来、5カ月で7千戸の予定をこえる申し込みがあり、予算が不足するために、8月23日に緊急に臨時議会を開いて、8億5千万円、補正予算を上積みしています。全会一致です。それほど、県民に好評なのです。
県内25市町村のうち20市町村が、「地元の市や町の業者への発注」を条件に制度を上積みしています。30万円補助を上積みしている八峰町では、200万円の工事で、県と合わせて50万円の補助になります。200万円を一旦業者に支払った後、50万円が口座に振り込まれるのが喜ばれて、そのお金で「お祝いの会を開こう」とか、「家具を買おう」など、さらに波及効果があるとのことでした。
秋田県では、①21億円の予算で330億円が、地元業者に発注されている。②その半額は、個人経営の大工さんたちに発注されている。③過去5年間の政府統計の2倍の数の改修工事が発注されている、ということで、地域経済への波及効果はあきらかです。
京都府でも、与謝野町が実施していますが、昨年と今年で現在まで、1億2千万円の補助で、17億円余の工事が、与謝野町の業者に発注されています。12件、仕事を受注したという工務店さんにお聞きしますと、「建具とふすまの張り替え工事40万円の依頼があった施主に、20万円の助成制度を説明すると、トイレと玄関、入り口のドアの交換など150万円の仕事になった」「きわめて自然な流れで、仕事おこしになっている」と事業の効果を語ってくれました。与謝野町の担当者は、「1年半で、751世帯、町内の約1割の世帯が利用したことになる。制度を活用した業者は137社で、町内210社の65%に相当する」と説明しておられます。
知事は昨日、府民公募型公共事業が、「府内の業者、中小企業に配慮したことにより、冷え込んでいる地域経済に対する温め効果が大きいと考えている」と答弁されました。府民公募型は100億円の予算で100億円の事業ですが、住宅リフォーム助成は、100億円の補助で1500億円の工事が、地元の業者に発注されることになるのです。経済波及効果は抜群です。緊急経済対策として実施するよう、あらためて提案します。いかがですか。
【建設交通部長】京都府としては、広域的な行政目的に応じた改修助成を実施してきており、これまで実施してきた耐震改修助成事業、太陽光発電1万5千戸達成事業などに加え、本年6月補正予算においては、高齢者向け賃貸住宅に対するバリアフリー改修助成事業の創設や耐震改修助成の拡充及び緑の交付金制度の対象拡大を行なったところです。地域経済の活性化につながりますよう、これらのきめ細かな事業にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

小規模工事希望業者登録制度

入札参加資格のない零細業者の仕事おこしとして緊急に実施を

【梅木】小規模工事希望業者登録制度については、昨日「例外的には、少額な修繕等については、地域の小規模な事業者に依頼する弾力的な対応を行っている」との答弁でした。それならば、それを拡大して、埼玉県や秋田県のように、足元から温める経済対策として「入札参加資格のない、零細な業者」への発注はおこなえばいいわけです。
亀岡市で、市営住宅の瓦の差し替え工事を請け負った瓦屋さんは、「地元零細業者を支援してくれるいい制度だ」と本当にうれしそうに喜んでいました。地域経済だけでなく、人の心も、地域も温めるいい制度ではありませんか。
府立学校や府営住宅の工事など、緊急経済対策として、この制度を活用して、零細業者への仕事おこしを行ってはどうでしょうか。たとえば、府営住宅ですと、私の地元の岩倉団地や長谷団地は、築40年以上になりますが、畳や床がブカブカになっているお宅がたくさんあります。ネダが傷んでいるのは京都府の責任ですから、直ちに修繕すべきなのです。ところが、畳の修繕費用が居住者負担であることから、修理できないまま、擦り切れた畳とブカブカの床で我慢しておられる、こういう実態があるわけです。ふすまについても、同様です。経済的理由で畳やふすまを替えることができないという方には、緊急対策として畳やふすまの修繕費用を府が負担し、住環境の改善を行ってはどうでしょうか。その工事を小規模業者に発注するならば、足元から地域経済を温めることになります。いかがですか、考えをお聞かせください。
【総務部長】京都府が発注する工事は、工事中の安全や品質確保など安心安全を確保する観点から原則として建設業法に基づく建設業の許可及び経営事項調査を受けた業者に発注をしております。
一方、府立学校や総合庁舎など極めて小額な修繕等は、安心・安全の確保を前提に個々の工事に応じて、技術的内容、緊急性、発注量なども考慮し、弾力的に地域の小規模な業者にも依頼をしております。
 なお、対象の拡大の検討については、当然仕事量と事業者の状況を考慮することも必要ですので、現状において一律に制度化するようなことは考えておりません。

公契約条例の制定

雇用者報酬を引き上げて内需を拡大し、地域内循環型経済へ転換を

【梅木】次に公契約条例について質問します。
3年前の12月議会で、私は、低入札競争の結果、府管理河川の草刈工事で、下請け業者が自己破産に至った例を紹介し、入札制度の改善と府の指導強化を求めました。その後、草刈工事など役務の提供にも最低制限価格が設定され、下請け契約の確認や、契約に法令順守条項が盛り込まれるなど、改善が図られてきました。そのほかにも、公共調達検討委員会で入札制度のあり方について検討がすすめられましたが、もうひとつ、現場で働く人たちの賃金をしっかりチェックするという課題があります。公共工事の質を確保すると同時に、労働者の収入を確保し、地域経済を温めることを目的に、昨年、千葉県野田市で初めて公契約条例が制定されました。最低賃金を業務委託の場合、「用務員職の初任給+地域手当3%」を基準に「時給829円」最低賃金より100円高い、こういうふうに定め、請負契約の場合は、「公共工事の職種別設計労務単価の8割」と定めています。今年度の契約ではしっかりとこれが守られており、働く人びとに歓迎されている、そして確実に地域経済に波及しています。
 野田市につづいて、川崎市、相模原市、国分寺市などで条例制定に向けて検討がすすめられているということです。公契約条例は、雇用者報酬がどんどん下がることによって、デフレスパイラルに陥っている日本の経済を立て直し、雇用者報酬を引き上げることによって内需を拡大する、地域内循環型の経済に転換していく、これを公契約から進めていこうというものであります。京都府でも、公契約条例をつくるべきです。いかがですか。
【総務部長】労働者の賃金や労働条件などに関する問題については、まず労働関係法令等により、国において諸規定をしっかりと確立し対応すべき問題と考えております。
その上で、京都府においては、公共事業の受注競争の激化に伴う対策として、かねてより最低制限価格や低入札調査基準価格の算定基準の見直しや労働関係法規の遵守義務の契約書への明記など、公契約の当事者として対応を行なってきました。今後さらに、元請け下請け関係の適正化をはかるための指針を定め、相談窓口を設けるとともに、元請負人又は下請負人の法令違反等が疑われる場合には、施工者に対して調査・是正の措置等を指示することとしておりますし、契約書に真の住所を明記し、守られない場合にはペナルティを科すことも検討しております。こうしたことを通じて、適正な元請け下請け関係や労働環境の確保を推進する対策を強化していきます。
【梅木・再質問】公契約条例ないしは住宅リフォーム、それから小規模工事希望者登録制度は、これはやはり経済をどう温めていくのかということの観点から私は質問させていただいているのです。今日も新聞で、サラリーマンの収入が年収にして23万円減ったということで、雇用者報酬が下がってきているわけです。これだけ経済対策を打って、エコ家電、エコカーということで、自動車メーカーや家電メーカーはそれなりに利益を上げてきているけれども、やはり雇用者の給料、収入が減っているという経済構造になっています。ここのところをどう変えていくのかということは国の政策ですが、自治体で、京都府でどういうふうに取り組んでいくのかというところでの観点を、私は提案をさせていただいているのです。そういう意味で公契約条例は、先ほど公共調達の関係でお話をされましたが、入札関係、それから下請けとの関係というのはもちろん大事なのです。と同時に、そこで働いている人の賃金をどう確保していくのか、底上げしていくのかという観点で公契約条例というのが野田市にあるわけです。そこのところを研究していただきたいということです。
 それから住宅リフォーム、小規模工事の件についても、これは経済対策で住宅リフォーム関係のものをやっていると言われたけれども、経済対策としてこれはやるべきだ、なおかつ地元の業者を対象とするという条件をつけて、さらに地域経済を温めるということをやるべきだということを提案しているわけです。
 先ほどの部長の答弁では、昨日と同じ答弁なのですよ。それをわざわざ経済対策として地元業者を対象にしてということで考えたらどうですかということで言っているわけですから、この点で、いまおっしゃったことが経済対策として効果が上がっているのかどうかという点でもう一度お聞かせください。
【建設交通部長・再答弁】先ほども答弁しましたが、この6月補正において新たに3つの制度の創設あるいは制度の拡充を行なったところです。まずはやはり、こういった新しく拡充した制度等において、しっかりやっていくということで取り組んでいきたいと考えております。
【梅木】私は、経済対策でも防災対策でも、本当に京都府がやらなければならないことということを一生懸命それなりに質問させていただきました。答弁はいただきましたが、中身はしっかり受け止めていただいて、是非施策に生かしていただきたいということを強くお願い申し上げまして私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

新井 進(日本共産党、京都市北区)  2010年9月30日

関西財界主導の関西広域連合

議案を取り下げ、府民的な議論を保障せよ

【新井】日本共産党の新井進です。先に通告しています数点について、知事並びに関係理事者に質問します。
まず、「関西広域連合」についてです。
一点目は、「広域連合」と「道州制」との関係についてです。今回の「設立案」では、これまでの「案」にあった「将来の道州制導入のステップになるのか、あるいは道州制に代わる分権型広域行政システムになるのか」という文言が削除され、「広域連合は府県との併存を前提とした設置根拠も道州とは異なる組織であり、広域連合がそのまま道州に転化するものではない」と書かれました。知事は「これで議会への説明がしやすくなった」と述べられているようですが、これによって府議会でこれまで議論されてきた問題がクリア―できたとするのはあまりにもひどい話です。
まず「道州と広域連合の設置根拠は異なる組織」であることは、なにも書かなくてもだれもが知っていることで、道州制に関する法律はいまはないわけですから、法的根拠もなしに道州を作ることはできないし、設置根拠が異なることは当然のことです。そして「広域連合がそのまま道州に転化するものではない」というのも、鳥取県や徳島県が入り、奈良県が入らない「関西州」ができるとはだれも思ってもいません。鳥取県の知事は、「鳥取県の軸足は中国地方」と言っているのですから、広域連合がそのまま転化するものではないという確認も、何の意味も持たないもので、これが確認されたから、議会での議論がクリア―できたというのはあまりにも議論の経過を皮相に見ているものだといわなければなりません。
いま、問われているのは、「特別地方公共団体」という地方自治の組織を作るのに誰が主導してきたかということです。
関西財界・関経連は1955年に「府県を廃止し、新たな国の総合出先機関である道州を設ける」ことをいち早く提案するなど、早くから道州制導入を繰り返し提案してきました。こうした中で2003年2月に「関西モデルの提案」として「現行の都道府県制と併存する形も含めて、選択肢のある『州制』を創設。関西は府県連合型の『関西州』が望ましい。まず地方が行動を起こし『広域連合関西州』設立を」と提案。これを受けた形で、同年7月に経済団体と府県・政令市も加わった「関西分権改革研究会」が発足、その後これが「関西分権改革推進委員会」「関西分権改革推進協議会」となり、2007年7月に「関西広域機構」となったのです。そして、これらの中心には常に関西財界関係者が座ってきました。
そして2008年7月には、関経連が「分権改革と道州制に関する基本的考え方」として「地方分権を徹底して進めた結果として実現する我が国の新しい統治機構の姿が道州制。その実現プロセスとして広域連合制度を活用し、関西モデルを先行事例に」と発表したのです。関西広域機構分権改革推進本部会議も、同じ時期に「広域連合を検討の段階から設立に関する具体的準備を進める段階に移行することを基本合意」したのです。このようにして進められてきたのが「関西広域連合」設立の経過で、特別地方公共団体を作るとしながら、住民的な議論は一切行なわれてきてはいません。まさに関西財界主導で進められてきたことは誰が見ても明らかではありませんか。だからこそ、8月27日の本部会議における合意を関経連会長は「国の形を変える大きなスタートが切れる」と歓迎し、関西経済同友会代表幹事も「道州制との関連の議論をシャットアウトせず、視野に入れた中で広域連合を定着させてほしい」と語っているのです。
 結局、関西広域連合の設立は、関西財界がねらう道州制へのステップ、起爆剤であることには変りはないのです。
 知事は、これらの経過を見ても、今回、広域連合が「そのまま道州に転化するものではない」と確認したから、府議会で議論されてきた「関西財界・関経連主導ではないか」「道州制へのステップではないか」との批判や危惧がクリア―できたと考えておられるのですか。お答えください。
 また、知事は、迫議員の質問に対し、「府民交流会等で直接説明し、その意見をいただき、さらに府民の意見募集も行なって、賛成もたくさんいただいている。」と答弁されましたが、たった104件の府民意見、しかもその6割は府民交流会の場などでの意見です。これで住民的な議論はすんだとされるおつもりですか。お答えください。
 二点目は、奈良県や福井県知事は、「広域連合」は「屋上屋になる」と参加しない意向を表明していますが、スタート時での広域連合の事務を見たとき、本当に「屋上屋」を架すものとなるのは明らかす。
 たとえば、「広域観光・文化振興」では、広域観光ルートの設定や関西全域を対象とする観光統計調査などがあげられています。しかし、奈良県や京都、神戸など政令市が入らないもとでは、これらの連携、協力がなければ、実施できません。そうすると、当然、広域連合内での議論・調整とは別に、これらの県や政令市との協議の場が必要となり、きわめて非効率になります。
 また、広域防災を考えても、合同防災訓練はこれまでから行なわれてきました。しかし、広域連合に参加する府県だけで、効果があげられるのか。極めて疑問です。こうした問題点は、知事もご存知のはずの「全国知事会道州制特別委員会」の平成18年6月の報告書でも、広域連合は「関係都道府県からの財政負担に依存することとなるばかりか、事業実施にあたっても実質的に複数構成団体の意向に左右されるなど、むしろ調整に時間がかかることも想定される。また、現行の都道府県を存続しながら新たに広域連合を設立することは組織上、屋上屋を架すことにもなりかねず、運用に関しては効率性に欠けるとともに、住民から見れば責任の所在が分かりにくくなることや広域連合で実施する事務と都道府県で実施する事務の連携・調整の面で総合的な対応が不十分となることが懸念される」と指摘しているのです。
 このように、住民ニーズにこたえた広域行政のためだといいながら、実際は現在よりも後退するか、それとも二度手間な、非効率な運営をしなければならないことになるのではありませんか。いかがですか。お答えください。
「広域連合」は住民のニーズに応えた広域行政のために必要なのではなく、関西財界の意向に応えて道州制へのステップとするために強引に進めようとしているだけだといわなければなりません。このことは第4回本部会議で猿渡前副知事も、大阪の橋下知事の意見にあわせて「広域連合は何のためにつくるのかというと、住民のニーズにこたえて住民サービスの向上だと言っているが、現状打破のための政治運動のツールなんだというのが分かりやすい話だ」と、その狙いを語っているのです。
 また、知事は、「広域連合」になれば住民参加が保障され、議会のチェックができるといいますが、連合議会に参加するのは、京都でたった3人です。これで府民の多様な意見を反映できるとでも考えておられるのですか。いまでも府議会には5つの会派があるわけですから少数会派の意見が届かない、ましてや住民の声が届かない組織になってしまうのではありませんか。
 知事が本当に「住民参加が大事だ」と思っておられるのなら、今回の広域連合設立のための規約案の提案を取り下げ、あらためて府民的な議論を保障すべきです。いかがですか。
【知事】関西広域連合について。確かに経済界が要望していたというのは事実です。そしてその要望も実は道州制であるというのも事実です。しかし、私ももう8年以上知事をやっていますから、この経緯は関西の知事の中でも一番知っている1人でありますけれども、われわれは関経連がおっしゃる道州制というのは今、非常に無理がある。そうした中で、ずっと話し合いを続けてきて、どうすれば一番、関西が団結しながら、そして広域行政に対して一番いいアプローチができるのかということを検討を重ねてきて、逆にわれわれのほうから関経連に対して説得する形で進んできたわけです。そういう中で、今回、関西広域連合を私たちは決めたわけであり、その中では2府5県の知事が提案し、議会が承認しなければできない、そして道州制については法律のいる話だ、それはまさに新井議員のおっしゃったとおりで、道州制に転化できるものではまったくありませんし、道州制に続くようなものではまったくありません。あくまで広域行政課題を関西が団結してこなしていこうという、その目的のためにつくられているものだということは、新井議員のおっしゃる通りだと私も思いますし、それ以上のものでも、それ以下のものでもありません。そして先の代表質問でもお答えしましたけれども、その中でいろいろなご懸念がある、心配があるということでしたので、分権改革推進本部会議でも広域連合は道州制とはことなる組織であり、広域連合はそのまま道州制に転化するものではないということを経済界のみなさまにもしっかりともう一度確認した形で話を進めさせていただき、明記したところであります。こういう形ですので、道州制に転化するものではないということを私たちは二重三重に確認してきたものであります。
またこれまでの府民への周知広報についても、ホームページや府民だよりだけの広報ではなくて、独自のパンフレットも作成しました。私も府民交流会等で直接府民に説明するなど、あらゆる機会をとらえて説明するなど、あらゆる機会をとらえて説明するなかで、ご意見いただいたわけなので、私は当然十分な説明をしてきたと考えています。
また、防災の広域的取り組みやドクターヘリの共同運航など、これは府民にとっても切実な安心・安全分野への期待が大きく出ていると考えており、それも透明でかつ意思決定、責任機関もはっきりさせていかなければならない、その面で関西広域連合は非常にメリットがある。新井議員が行政の効率化についてもお話していただけるのはありがたいと思いますが、府県が担う一部の試験事務等についても、これも共同によってコスト削減もはかれます。
また、奈良県は参加しないといっているわけではないんですね。当面保留させていただくというふうに、この前の会議でもいっているわけで、それから大阪市、堺市は参加したいけれど今までの積み上げがあるから、今参加をすると混乱するので、次の段階で京都市、神戸市とも話をしながら、ちゃんと参加にむけてステップをしたいということを宣言しているわけで、この点についても誤解のないようにしていただきたい。
連合議会の定数について、設立当初の事務の規模、内容や今ある広域連合の例から考えても、私は適当な規模ではないかと考えます。また、配分についても880万人の大阪府が5人に対して、3分の1以下の人口の京都が3人、60万人の鳥取が2人となっています。まさに少数意見に配慮する形のものになっているということを、私は理解いただきたいと思います。連合議員というのは、各府県の議会の議員の中から選出していただくことになっており、府議会を代表して活動されるものと考えています。さらに広域連携とは違い、直接請求制度が担保されており、住民による監視のための体制もできている点では、今よりも大変大きな進歩があると思います。
東南海、南海地震に加えて、広域防災対策や、感染症の防疫対策など、広域課題の対応はまったなしの状況であり、また、さきほどツールという話がありましたが、確かに地方分権にとって大きなツールになるものであるだけに、私は関西の将来を思い、府民の安心・安全を考え、ただちに行動すべきとの考えから、今議会に提案したものです。
【新井・再質問】ご答弁いただいたが、関西経済界を説得して書いた結果だとおっしゃったけれども、ところが6月議会に「6月2日の近畿ブロック知事会で関西広域連合は道州制を前提にしたものでない」と確認したと報告がありましたが、その直後の6月22日に関経連会長は政府の「地域主権戦略大綱」に関するコメントで「関西では将来の道州制へのステップとなる関西広域連合の設立を目指しており、今後とも政府の協力を得てすすめていきたい」といっています。
さらに、8月27日に今回の「設立案」「規約案」が確認されたあと、9月初めに大阪府議会で理事者が議会に対して説明している資料には「道州制導入に向けたコンセンサス形成にも有効であることから早期実現に取り組む」と書いているのです。道州制へのステップではないと知事がいくら言われても、広域連合を進めてきている関西財界関係者や大阪府がこういっているのです。これについてはどう説明されるのですか。お答えください。結局今回の確認事項になっている中身については、(知事会の合意も、設立案の書き換えも)、何の役にもたっていないことを証明していると思うので、ご答弁いただきたい。
もう一点は、「広域行政に対応するため」と先日の代表質問に対する答弁でもさまざま言われましたが、すでに私が指摘したとおり、矛盾だらけであることは明らかです。知事は東南海、南海地震への対応の必要性も強調されましたが、2009年3月の第4回本部会議に出席した猿渡前副知事はこういっているのです。「広域防災は計画をつくったり訓練をするのはいいんですが、実際に大規模災害が起こった場合には、政令市の消防局を中心とした実働部隊、これは実は都道府県知事の指揮命令権がないということでありますので、政令市の理解が不可欠だ」といっているのです。つまり政令市が参加しない広域連合では、大規模災害の訓練や計画を作っても実際には災害が起こっても役に立たないといっているのです。知事の説明と明らかに違うことを言っているわけですが、これについてはどう説明されるのか、お答えください。
 合わせて、大阪市や堺市のことを言われましたが、京都市長が今市議会にどういう答弁をしているか、知事はご存知ですか。あらためてその点についてもお聞かせください。
 もう一点は、住民的にはいろいろやってきたとおっしゃいましたが、さきほどいいましたように賛成も含めて出された意見はたったの104件です。しかも、いま申し上げたような問題点は府民にはなんら示されていません。
そこで提案ですが、知事が住民参加、住民自治が大事だといわれるのなら府民の前で、議会の関係者も含め、賛成、反対の意見を明らかにした公開の討論を行なってはいかがでしょうか。そのうえで新しい自治のための組織をつくるのですから住民投票を行なうことも含めて求めたいと思いますが、いかがですか。
【知事・再答弁】関西財界、大阪府がそれぞれ道州制を主張している、逆にいえば兵庫県のほうは道州制絶対反対。まさにそういうなかで一生懸命協議をして、一番いい案をつくりあげていく。これが民主主義ではないでしょうか。私たちは協議を重ねてきて、一番いい形でやっていく。そしてそれについてはきちっと一本線を入れて、これは道州制とは完全に区分されるものだということを全員で理解をした。あとはそれぞれの解釈があるのかもしれませんが、こういう多様な価値を一つのものにまとめていく、それによって一つの前進をしていこうというのが今回の関西広域連合であり、私はそれは大変民主的な手続きの中で行なわれたものであるというふうに考えています。
 それから広域防災についてですが、もちろん実際の時の話ではなくて、今回は準備の時の例えば防災拠点における備蓄をどうするのかという話でありますし、そこで実際の計画もやっていくということですので、例えば防災訓練では必ず京都府と京都市が一緒にやらなければできないという話になるので、それはお互いのなかでやっていくということです。それは京都市長がおっしゃっていることにもまったく通じるものでありまして、今の広域連合というのは市の事務はないですから、政令市の事務がない中に参加するというのは、そもそも論理矛盾なので、大阪市も堺市も見送られたということです。
それから公開討論という点に関しては、この京都府議会以上の公開討論の場があるのでしょうか。まさにこれは公開討論の場であり、代表質問の場を通じ、テレビでも流され、また今日もインターネットで流され、傍聴の方もいる。これ以上の公開討論の場をつくるというのは、私は議会の軽視だと思います。
【新井・指摘】ご答弁いただきましたが、一つは関西広域連合というのは、知事がいくら言われようともまさに道州制に向かって国の形を変えていこうという財界の意向に沿って物事が進んできて、しかも京都府議会において、京都府として提案をして、これを進めるのに加担をしていくと、そういう道に進むものであることは明らかだと思います。ですから今回の設立案の中に新しく書き込まれた内容で、これまでの府議会の批判や危惧が何ら解決していない、このことを厳しく指摘しておきます。
そして広域行政のことについては、さきほど言いましたように堺市や大阪市長は、参加について検討と言いましたが、京都市長は参加については見合わせるとも言っていないんです。参加をする考えはないと言っているんですよ。ですから、そういう意味では、今までの議論の中で言っても、政令市を抜きに実際に防災対策できるのか、そして実際に観光対策はできるのか、この問題を抜きにして、広域連合をつくれば府民ニーズにこたえられるんだというのはまったく暴論だと思います。
最後になりますが、府民の前に賛否を明らかにして討論することは、事実上避けられているということです。議会の中で討論はしてますが、現実には住民参加といえば一番の保証は住民投票です。そのことについても避け続けています。知事が、口では住民自治、住民参加といわれますが、結局それはポーズだけだと言わざるをえません。そのことを厳しく指摘して、次の質問に移ります。

農業問題について

米価下落対策と、家族経営を中心にした担い手対策を

【新井】次に農業問題についてです。
いま、農村では稲刈りの真最中ですが、農家にとっては喜べない秋となっています。米価は9カ月連続で値下がりし、過去最低の価格となっています。すでに新米の出荷が始まっていますが、JA京都の22年産米概算金は、丹後のコシヒカリ1等で30キロ5000円です。昨年が丹後コシヒカリ1等で6475円でしたから23%もの値下げです。60キロ当たりにすれば、2950円です。近畿の60キロ当たりの生産費が17711円です。1万円の米価であれば7700円もの赤字になるのです。5haの稲作農家であれば300万円を超える赤字になるわけですから、いくら規模拡大で合理化しても採算が取れないことは明らかではありませんか。
ですからいま、農家や農業団体はこぞって、米価の暴落対策、下支えを国に求めています。JA全中も緊急対策として①今年産米の価格が大幅に下落する事態を招かないようにすること②いまの過剰米を主食用市場から隔離するなど政府による緊急対策をとること③政府棚上げ備蓄は今年産米から前倒しして早期実施することなどを提案しています。ところが民主党政権は、「コメの過剰対策はとらない」との態度をとり続けています。
そこで知事にお伺いしますが、今年の米価の大幅な下落について、どのように認識されていますか。こうした下落を放置して、農家が安心して農業生産を続けられるとお考えですか。お聞かせください。
第二に、何ら手立てを打とうとしない政府に対し、まず、緊急に40万トンの備蓄米買い入れを前倒しで実施すること、過剰米について主食の流通から隔離する対策をとることを強く求めるべきだと考えますがいかがですか。JA全中の試算では40万トン買い入れた場合は約850億円かかる一方、過剰米を放置して60キロ、2000円から2500円下落した場合、戸別所得補償の変動部分の補填額は2000億円から3000億円が必要となるとしています。本府としても政府に決断を求めるべきです。
 また、いまの生産費も保障せず、価格は市場任せの戸別所得補償をあらため、真に生産コストを保障するよう政府に求めるべきです。そもそも標準的な米の生産費は労賃を2割カットし、全国一律で13703円ときわめて低く定め、標準的な販売価格が11978円を下回った場合、その差額を変動部分として補償するというものですが、標準的な販売価格は過去3年間の平均で、相対取引価格が下がれば下がるほど補填額は下がる仕組みになっています。これでは、農家の生産費を保障できるわけがありません。政府として生産コストを保障する仕組みとするよう強く求めるべきです。いかがですか。
第三に、米価の大幅な下落で農家が悲鳴を上げているとき、府としても緊急対策を講じるべきです。これまでから提案してきましたが、せめて緊急措置として六〇キロ当たり1000円上積み措置を府としても行なうべきです。京丹後市では、特栽米に対し1ha以上の作付農家に対し10a当たり1万円の助成を行なっています。これに府も上積みすれば大きく農家を励ますことになります。2010年農林業センサス速報値でも農業就業者が5年間で22%、5分の1以上も減少したことを報じています。担い手の確保のための最大の保障は、農業で食えるようにすることです。緊急対策をとられるよう強く求めますがいかがですか。
次に、担い手対策、後継者育成についてです。本府はいま、担い手が減少するもとで、農業ビジネス支援、「農商工連携」等により、企業など農業者以外からの農業への参入を促進することに力を入れています。しかし、これが本来の担い手対策になるのか、きわめて疑問です。私は、農家や営農組合など、その地域に住む人たちが、自らが作り出した農産物や地域の資源を加工し、付加価値をつけ、商品化して、農家所得を増やすことは大いに支援すべきだと考えています。(すでにこれまでから芦生のなめこ組合や大宮町の常吉百貨店など多くのところで地域づくりのための努力が重ねられ、私の地元北区でも、賀茂ナスを使ったジャムやトマトのジャムなどをレストランなどと共同で開発するなど努力されています。)しかし、いま本府がおこなっている対策の中には、居酒屋チェーン店の「ワタミ」や、「かね正」などの企業が農業へ参入するための支援として多額の農業関連補助金がつぎ込まれてきました。これは農家の持つ生産力や生産技術、そして地域の資源が、企業の儲けの場となり、農家は単にその労働力として扱われることになりかねません。そして企業は、儲からなければ撤退し、あとは広大な荒廃地が残されただけという事態が、すでに他府県で生まれているのです。こうしたやり方になるなら、企業のもうけのための農業への参入を支援することになり、担い手確保にはつながらないものだといわなければなりません。
いま、京都府農政に求められているのは、家族経営を中心に、農業を続けたい、やりたい人をすべて支援し、担い手を増やすことです。その最大の保障はすでに述べました、米価をはじめとした農産物の価格保障・所得補償で再生産を保障することが何よりも重要です。
そして担い手対策として求められているのは、第一には大小多様な家族経営の育成を図ることが基本です。大規模経営だけでは地域農業は維持できません。いま農村出身の団塊世代が増えています。こうした人たちがふるさとにUターンして農業ができるよう誘導と支援策をつよめることや農家の子弟など農村に暮らす人たちが多様な形態で農業に取り組めるよう支援策を拡充することです。
第二は、集落営農や大規模経営への実態に応じた支援です。いま農村を支え、農地を守っている営農集団や中核的農家も、米価の下落のもとで、機械の更新もできず、機械がだめになったときがリタイアするときといわれています。こうした機械の更新に対し、法人化などの条件をつけるのでなく、助成措置のいっそうの拡充を求めますがいかがですか。
第三は、新規就農支援事業を抜本的に改善・拡充することです。ジョブカフェでの相談件数はここ数年大幅に増え、昨年は1149件にも上っています。しかし、実践農場等の研修に結びついたのは一昨年が13人、昨年が9人です。受け入れの体制の問題などもありますが、一つは、新規就業支援事業の予算規模が1200万円と6~7人分しかありません。これを大幅に拡充することが必要です。さらに、研修貸付金制度は、自己負担をなくし月15万円を3年間に拡充するなど、せっかく農業に意欲を持って取り組もうとする人たちが、当面の生活ができるよう支援策を拡充すべきです。そして研修終了後の自立支援、住まいや子どもの教育など不安をなくすよう支援策を強化すべきです。いかがですか。
以上、担い手対策について数点挙げましたが、企業などの参入に支援を拡大するやり方を改め、家族経営を中心にした担い手の確保を重視した対策となるよう求めますがいかがですか。積極的な答弁を期待します。
【農林水産部長】米価下落についてですが、府内の水稲共済加入農家の9割を超える方が申請された、コメの個別所得補償モデル事業、生産調整に参加するコメ農家10a当たり15000円を一律に支払う、それとは別に米価過去3年の平均価格を下回れば、その差額相当も追加支払いされることから、知事が武田議員にもお答えした通り、多くの農家にとって、農業経営上有効と考えていますが、営農活動への影響を見極めるにはまだ時期が早いのではないかと考えております。
過剰米対策については、全国流通するコメの需給調整は国が責任をもって対応すべきものであり、これまでから米価下落に歯止めがかかるコメの需給調整システムを構築するよう国へ訴えてきましたが、米価下落が長期化すれば、農家所得の減少や生産意欲の減退につながることも懸念されるので、引き続き国に対して強く訴えてまいります。
生産コストへの支援については、京都府は中山間地域が多く、経営規模も小さいことから、生産コストが割高であり、全国一律の保障単価では十分でないため、経営規模別の単価設定や、農家の営農努力が反映される品質等の加算措置など、制度の充実についてこれまでから知事自身が国に提案してきており、引き続き地域実態に即した内容となるよう提案していくこととしています。
米価下落への緊急的な対応としては、さきほどお答えした通り、国においてその差額相当が追加支払いされることになっています。京都府としては特別栽培米や特A評価の獲得など付加価値が高いコメづくりと京都米の消費拡大、さらには小豆、黒豆、京野菜など収益性の高い品目の導入促進などを通じ、トータルとして農家所得の確保をはかり、将来にわたって農業経営が維持発展できるよう引き続き積極的に取り組んでまいります。
次に担い手対策について、中山間地域が7割を占め、大規模農家に適する地域が少ない京都府農業において、多様な担い手が農業経営に安心して取り組めるよう、これまでから地域農場づくりによる水稲の受託組織や、女性や青年帰農者などによる収益性の高い野菜経営等を育成しているところです。また、高齢化、担い手不足の地域農業を再生するためには、後継者が魅力を感じ、経営継承できる持続可能な農業経営を育成することが最も重要と考えており、そのため農業ビジネスセンター京都を設立するなど、ビジネス感覚をもった農業経営に力を入れ、1263人の認定農業者や家族経営を母体とした106の農業法人・地域に育成をしてきたところです。
農業機械への助成については、新規作物の導入や経営規模の拡大等、経営力の強化につながるものについて、これまでから農業者グループや認定農業者等、幅広く補助対象とし、機械の更新は融資制度を準備しています。就農研修資金の対象人数や貸与期間の拡充については、借り受け者からの償還金も貸付の財源にできることから、就農計画を認定された方のすべてに貸与し、また、ほとんどの方が2年の研修期間で就農しており、修了後も早期に地域で定着できるよう中山間地域の就農者への償還助成や普及センターによる技術指導から生活面までのサポートなど、きめ細やかな支援をしています。
農商工連携については、一部の企業を対象に実施しているものではなく、家族経営はもとより、農商工連携応援ファンドの事業対象であり、これまで2年間で認定した19件の中に家族経営や農業者を主体とした法人等が6割以上含まれています。今後とも付加価値の高いものづくりや、生産から加工、販売にいたる独自産業化を支援していきます。

みつなが敦彦(日本共産党、京都市左京区) 2010年10月1日

「地域包括ケア」について

医療・介護の削減でなく、行政が軸となった支援策を

【みつなが】日本共産党の光永敦彦です。通告によりまして、知事ならびに関係理事者に伺います。
まず、「地域包括ケア」についてです。
 私はこれまで、介護保険制度の抜本的改善について、繰り返し提案してきました。いよいよ来年は介護保険制度10年目の本格的な見直しや後期高齢者医療制度廃止後の新しい医療制度につながる国保制度の見直しなど、医療と介護をめぐり大きな変化の年となります。
 こうした中、国は今後の介護保険の見直し等にあたり、「地域包括ケア」を打ち出し進めようとしています。本府でも「京都式地域包括ケア」として、議論が始められています。
 私は、どの地域でも安心して住み続けられる条件をつくるためであれば、「地域包括ケア」自身は必要なことだと考えます。
 しかし、今国で進められている方向には大きな問題があると言わざるを得ません。
 最大問題は、これまで介護費用の抑制が行なわれてきましたが、今回、介護保険の見直しと一体に「地域包括ケア」が論議、具体化されようとしているところにあります。
 介護保険法改正に向けた社会保障審議会介護保険部会では、「制度の持続可能性」と「地域包括ケア」を二つの柱として論議されています。介護保険制度については、委員から「これまで以上に住民の負担と給付の在り方を考えていかないといけない。」として、その例として「生活支援型サービスを互助・共助でできないか」と例示されています。さらに利用料負担も現在の1割から2割負担へと引き上げまで述べているのです。一方、「地域包括ケア」については、軽度者の保険給付除外が提起され、「自助」「互助」「共助」「公助」が「有機的に連動して提供されるようなシステム構築」として、2025年までに「地域包括ケア体制」の実現をめざすとされています。
 社会保障審議会でも論議となった地域包括ケア研究会の報告では、地域包括ケアの内容について「在宅サービスが優先で、施設サービスは補完的なもの。在宅生活がどうしても継続困難な場合にはじめて施設を利用するという原則に立つべき。」と述べ、今後のサービスの在り方の標準を「保護型」から「自立支援型」「介護予防型」へ転換し、そのために目標支援型ケアプラン等も検討すると述べています。
振り返ると、2005年の介護保険改正時は、要介護認定で「軽度」判定を受けた人たちへのサービス抑制や食事の自己負担化等が「制度の持続可能性」の名で行なわれたことは記憶に新しいところです。
 つまり、介護給付費が膨れ上がったため、その抑制を前回の見直しで行なったものの、さらに保険料の大幅な値上げをしなければ制度の持続が難しいことから、地域包括ケアの名で、介護給付の抑制や重点化などを行ない、サービスを在宅に重点化して、そのサービスを「自助」「互助」「共助」そして最後に限定的な「公助」で補おうとしているのではないでしょうか。
さらに今後、医療保険と介護保険の給付範囲や公費負担の在り方、本人負担割合の見直しなどが課題に上ってくることも十分考えられます。
 そこでまず伺います。今述べた国の動向は、地域包括ケアの名で、医療や介護にかかる財源を削減しようとするものではないでしょうか。知事はどう受け止めておられますか。ご所見をお聞かせください。
さて、本府においては、9月8日に開催された「地域包括ケア実施委員会部会」で、アクションプランの中間案が示され、本議会に報告されるとお聞きしています。
 第四回の検討会で示された中間案の素案を見ますと、私は、大きくいって2つの問題があると考えます。
一つは、京都府や市町村など、地域包括ケアの仕組みの中で行政の果たすべき役割が見えないということです。もう一つは、退院後の仕組みづくりばかりで、一人一人が地域で安心して住めるように、予防から在宅まで、医療・保健・福祉の連携について、触れられていないということです。
そこで、まず行政の役割についてです。
素案では、現状と課題について述べ、介護保険利用者から「医療と介護の連携が必要」との声があがり、サービス現場からは「個人的なネットワークや経験頼みになっている」との声を紹介し、それぞれの連携の重要性を述べています。
 私は、医療や介護の連携、NPO等インフォーマル組織が活躍され、高齢者の方が安心して住み続けられる条件を整えて行くこと自身は大切だと考えます。また、アクションプラン検討会議で述べられている現場からの意見や提案は、現場の深刻な実態を反映しているものと受け止めています。
実際、私がお聞きしたあるご夫婦の場合、退院してきたご主人の介護のため、「夜中2、3回起きなければならず、食事も毎回刻み食。こっちが倒れてしまう。施設入所をいくら頼んでも、一体いつになったらはいれるのか...」など、現場で起こっている厳しい介護をめぐる現実は、小手先で解決できないほど「介護崩壊」は進んでいるのです。
 そこで、私は京都式地域包括ケアシステムで「扇のかなめ」と位置付けられている地域包括支援センターのいくつかからお話を伺いました。共通してだされているのは、「予防プランが業務の8割を占めていて、一人ひとりに丁寧に対応しようとすれば、ギリギリの状態」「連携、連携といわれるけれど、この人員・体制では難しい」「精神・障害などいろんな分野の業務が増えている」と、予防プラン報酬の低さとも相まって、過重な負担となっていく現実が語られました。
 同時に、「行政は、指示や方針を下ろすばかり」「医療機関や介護事業者の責任ばかり重くなっている」と、行政の役割の後退に、厳しくかつ切実な意見が相次ぎました。
現在、地域包括支援センターは市町村が直営で運営しているのは府内99カ所のうちわずか15カ所で、ほとんどが民間社会福祉施設や医療法人にゆだねられています。私は、自治体直営で実施されている包括支援センターにもお話を伺いましたが、「直営でやる意義は大きい」と言われていたのが印象的でした。体制は厳しいものの、予防プランの数に左右されず、介護予防事業の実施、総合的な相談や支援、虐待対応をはじめ、地域資源、高齢者や家族の実情に応じて公的に支援する構えとその具体化を感じました。
 そこで伺います。「京都式地域包括ケア」の具体化において、自治体が果たすべき役割と責任はどこにあるとお考えですか。また、府保健所や、市町村保健センターの体制強化について、どういった形で進められるのか、具体的にお答えください。
【知事】地域包括ケアについて。高齢化の進展により社会保障費が増大するなかで、国はこれまで、医療費や介護給付費の抑制方策を進めてきたので、何か制度をいじったときにそれが削減でないかという思いがあったのは事実だと私も思う。ただ、来年度の概算要求では社会保障費の自然増が盛り込まれた形になっておりますので、その点からは今のところ中立的に考えていくべきではないかと感じている。
ただ、一方では、国の社会保障費の伸び率にも概算要求が入っているのですが、交付税の方、7000億円ほどになるのですが、これについては、今は現状のままで、全体の枠の中で据え置かれています。全体の枠の中でどういう形になっていくかということが出てこないと、今度は我々の方の財源の問題が出てくる。そして、一番大きな問題は、これから、高齢化率が大体30%を迎えるのが、この10年で急速に進んでくるのですが、その財源問題をどうするのかを私は避けて通れない問題と思っている。
そうしたことを相対的に考えていかないといけないということは、私は憂慮している。
一方その中で、京都府としてどういうことができるのか。今までは、医療、介護について、我々は財源的な分担はして参りましたが、更に一歩進んだ形で地域包括ケアが高齢者の視点に立ったワンストップで包括的な医療、介護、福祉のサービスを提供するために、私どもも支援をしていかねばならないということで、このたび、京都式の地域包括ケアシステムの構築を進めるためのアクションプランを作成している。
まさにそのアクションプランの中では、高齢者の方が、できる限り住み慣れた地域で安心して暮らして行く環境を整えるシステム、それを国待ちではなくて、在宅医療や介護サービスの充実や医療と介護の連携した成長を盛り込んでいきたいと始めている。
行政の役割ですが、都道府県の場合は、広域的な立場からの物ですから、多分、その基礎になる人材育成や技術的支援をはじめ体制の基盤づくりと京都における実施がスムーズに行なえるような支援体制を担うことになると思っている。
先ほどからの光永議員のご質問の中にも、市町村行政の部分が随分あったわけでして、そうした点は、現場の声、市町村の声をしっかりと反映させながら、その連携の中でやっていかなければならない。
地域包括支援センターについては、確かに非常に忙しい面がありますので、これについては私どもも、その改善をはかるための特区申請を行なっていきたい。
地域包括ケアシステムの要としての支援センターの余裕のためにも、研修など積極的な支援をしていきたいと考えていますけれども、これからアクションプランの中で検討していく。
市町村につきましては、まさに、地域包括ケアの実現に取り組む役割を担っている訳ですので、私ども府の保健所におきましても、そういう市町村等の再生を保健医療協議会や地域リハビリ圏の連絡会を通して積極的支援をして参りたい。
保健センターにつきましては、市町村の業務ですが、多分地域住民の健診等を実施されており、私はこれからもやはり地域包括ケアを支えていく重要な機関であると考えておりまして、府としても引き続いて緊密な連携のもと施策を推進していきたい。
【みつなが・再質問】答弁をお聞きしていると、京都府の役割が連携や組織作りや人材づくり、研修ということばかりとなっています。当初、介護保険制度が始まる前は、やはり直接的に市町村とも一体となって、地域で安心して住めるような措置制度の時代、そういう努力がされてきたわけです。それがずっと後退してきているわけですから、そういう医療、介護にかかる金を減らしていく方向ではない、本来の地域包括のかたちを京都から発信していかねばならない時に、京都府がどういう役割を果たすかは非常に大事なわけです。
その点で言うと地域包括支援センターは、扇の要と位置付けられておられるのなら、研修ではなく、体制の強化についての支援策をどう講じられるのかをお答えいただきたい。
【知事・再答弁】地域包括ケアの具体的な施策については、これから市町村と協議し、アクションプランの中でもきちんと固めていかなければならないと思っている。私自身は、基本的に広域行政として、都道府県は福祉に対してさらに大きな役割を果たすべきと考えていて、まさに国保行政においてもそうした面から、きちっとやっていかなければならない。光永議員は、こちら(地域包括ケア)の方は支援せよというんですけれども、国保の方は財政だけという話になっているので、私はそうではないと思っている。国保についても、幅広く広域行政の観点から、府内の国保をきちっとやっていかなければならない。でないと、私は都道府県行政として統一がとれないのではないかと感じている。

医療・保険・福祉の連携、リハビリ日数制限の撤廃など

【みつなが】二つ目の医療・保健・福祉の連携についてです。
「京都式地域包括ケア」は、退院後の受け皿づくり、しかも在宅中心となっており、医療や介護の基盤が足りない地域では、予防から在宅まで切れ目なく提供できる体制をつくるために、行政が軸になることはもちろん、医療機関が中心となった連携体制をとることが不可欠です。
私は先日、長野県小海町にある佐久総合病院小海分院および小海診療所、さらに南相木村国保診療所や川上村診療所に伺ってきました。
 小海分院は、日赤が撤退することとなり、周辺5町村の強い要望をうけ佐久総合病院が開設したものですが、その後、この病院と本院を軸にして5つの診療所に医師を派遣し、町村単位で保健・医療・福祉・介護の連携が行なわれていました。一番感銘したのが、院長が、それぞれの村の産業構造や暮らしぶりについてお話され、それに基づいた対策がとられていることでした。川上村では、ヘルシーパーク構想として、医療や介護によるまちづくりを提唱し、診療所に隣接してヘルシーパーク棟を建設し、一つのまっすぐな廊下でつながり、デイケアや入浴などもでき、さらに子どもも自由に使えるものとなっていました。そこでは、行政が中心となり、社協や包括支援センター、訪問看護ステーションなどが連携し、一人ひとりの状態像に合わせた予防から医療、介護、在宅支援などきめ細かい対応がされていました。
 そこで伺います。今回のアクションプランを検討するにあたり、保健・医療・福祉の連携については、どう考えておられますか。また、京都府医療計画との整合性や平均在院日数を削減する医療費適正化計画との関係については、いかがですか。さらに適正化計画そのものの見直しをすべきと考えますが、いかがですか。
加えて現場で問題になっている課題について数点提案します。
一つは、リハビリ日数制限についてです。
医療従事者からも介護保険事業者からも、「あともう少し、入院してADLが回復したらもっと在宅でよりよく生活できる」という声が多数だされています。最大問題は、リハビリ日数制限を導入したことです。48万筆もの署名の力により、2007年からリハビリ日数制限については一定緩和されたものの、現場では、レセプト審査で切られてしまうのではないかなど実際には続けられていないのが現実です。リハビリを医学的要素以外で機械的に基準を設けることが根本的な誤りとなっており、リハビリ日数制限と疾患別リハビリを撤廃することが、医療と介護の連携をはかる上でも非常に重要なことだと考えます。国に求めるべきと考えますが、いかがですか。
第二は、介護保険の加算についてです。リハビリ日数制限などの影響もあり、できるだけ在宅へという流れが強められる中、退院後、在宅で診る上で、関係者が集まった退院時のカンファレンスが繰り返し行なわれますが、それにかかる経費が介護報酬上認められていません。「せめて、報酬で認めたり、交通費分を自治体で支援措置ができないか」と多くの声があがっており、国に求めるとともに、本府として支援を講じるべきと考えますが、いかがですか。
 第三は、地域包括支援センターそのものの体制への支援措置は当然講じられると考えます。その内容はどう検討されていますか、お答えください。
 第四は、処遇改善についてです。
介護職員のあまりの賃金の低さに、介護職員処遇改善交付金1万5000円が上積みされたものの、時限的であり、さらに「給料に反映されていない」との声がほとんどです。まずは、交付金の実績がどのように給料に反映したか、お答えください。その上で改善を求めるとともに、継続的な支援策を検討すべきと考えます。いかがですか。
【健康福祉部長】地域包括ケアにかかる連携体制について。かかりつけ医や訪問看護などの医療分野、介護予防を含む訪問介護やデイサービスなどの介護分野、生活支援や見守りなどの福祉分野のそれぞれを、充実、強化することによって、利用者のニーズに応えて切れ目なくサービスが提供できる体制を整えるとともに、関係者が一堂に会して共同でケアプランを作成する等、包括的、一体的なチームケアが実現するような仕組みの構築についてアクションプランに掲げている。
また、京都府保健医療計画においては、健康増進から医療介護まで切れ目ない保健医療サービスの提供を行なうことを基本理念として取り組みを行なっており、医療費適正化計画に相当する京都府中期的な医療費の推移に関する見通しは、健康長寿をめざす立場から生活習慣病対策の徹底や切れ目のない医療提供体制の構築をめざしたものであることから、アクションプランと一体的に推進することにしている。
なお、京都府中期的な医療費の推移に関しての見通しは、医療費抑制を目的としたものではなく、必要な療養病床を維持し生涯を通じた健康を作り、並びに医療機関の役割分担と連携の促進等により平均在院日数の短縮を図ることを基本としたものであり、現状において見直す必要があるとは考えていない。
リハビリの診療報酬については、平成19年度に、状態の改善が期待できると医師が判断する場合は、上限日数を超えて算定できるよう改定され、患者の状態に応じて適切に運用されているところですが、今後とも実態把握に努め、患者の視点に立ってより適正な運用がはかれるよう必要な改正を国に要望していく。
退院時におけるカンファレンスに要する経費については、医療機関や居宅介護支援事業所に対しては現に、現行報酬の中で、包括的に算定されておりますが、特に重度な方については他に多くのサービス提供事業者もカバーしてもらうことから、これら関係事業者についても交通費等を含め、その業務が適正に評価された介護報酬となるよう国に求めていきたい。
介護職員処遇改善交付金の給料への反映については、国において調査が実施されているところですが、すべての介護従事者について適切な賃金水準を確保することが大切ですので、次期介護報酬改定においては、介護労働を適正に評価した報酬とするよう引き続き国に対し強く要請していく。
【みつなが・指摘】地域包括ケアについては、どちらの方向に向けて具体化するかというのが一番大事だと思います。つまり、医療や介護にかかる費用を削減する方向なのか、それともそうでないのか。やはりそれは、行政の果たすべき役割がその軸になるという点で、非常に問われていると思うので、そういう立場から積極的な役割を果たしてほしい。先ほど、研修や広域的な仕組み作りばかりおっしゃったが、そうではない直接的な支援策もしっかりと講じるべきだという立場からの具体化を引き続き求めておきます。

地域医療の確保について

舞鶴・京丹波への支援、医師確保対策に全力を

【みつなが】次に地域医療の確保についてです。
 私はこの間、丹後や中丹医療圏の医師不足対策、さらに南部の小児を含む救急医療対策を何度も求めてきました。
そこで今課題となっている舞鶴市の病院再編について伺います。現在、地域医療再生交付金により、中丹二次医療圏の病院再編を含む取り組みが行なわれています。先日、舞鶴市議会で市長が、急性期基幹病院を舞鶴医療センターに建設し、舞鶴赤十字病院を連携拠点とすると表明されました。
そこで伺います。今回、「再生計画」が中丹二次医療圏を対象にまとめられていますが、舞鶴市の場合は、丹後や福井県嶺南地域を含め広域的な役割を果たしています。今後具体化を図る上で、救急をはじめ広域的な役割をどのように果たすのか、お答えください。
 一方、救急医療を含む中丹医療圏全体の再生は急務です。この救急対応について、舞鶴市では「広域医療で2・5次救急を実現し、すべての疾患に対応していきたい」とも述べられています。
救命救急では、現在京都府全体が3次医療圏として指定され、京都市内の第一および第二日赤と京都医療センターとなっています。そこで中丹および丹後全体の救命救急を考えた場合、ドクターヘリ運航が広域連携によりはじまりましたが、415件中243件58.6%が豊岡病院への搬送となっており、しかも夜間や冬季は飛べない状況となってしまい、ドクターヘリや患者が集中する豊岡病院に頼るだけでは、厳しい状況に変わりはありません。このため広域的な役割を担う3次的な基幹病院が求められていると考えます。その点の認識を伺うとともに、舞鶴の基幹病院の建設にあたっては、京都府が人もモノも財政も支援することが不可欠と考えますが、お考えをお聞かせください。
次に南丹二次医療圏にかかわって伺います。
 南丹医療圏の中でも山間部にあたる京丹波町は医師不足が顕在化しています。昨年4月より瑞穂病院から名前が変わった国保京丹波町病院は、47床の大きくない病院ですが、合併した京丹波町内において、診療所機能も含め、丹波笠次病院とともに、地域の医療を支える極めて重要な役割を担っています。
この間、京丹波町病院は療養病床をなくし47床すべてを一般病床にし、一方で、和知診療所を19床の転換型老健にしたとお聞きしています。ところが、京丹波町病院では、院長を含め常勤医が3名のみで、兵庫県川西市から通勤されている71歳の嘱託医さんなど2名と非常勤医師の輪番などでなんとか外来、病棟を支えておられます。それでも入院まちは多く「応えきれない」現状となっています。一方、笠次病院も常勤医は2名のみで、和知診療所は現在1名のみ。非常勤医師でなんとか支えておられるようですが、夕方以降の対応ができず、常勤医に負担がかかっているのではないかと心配します。現在、京丹波町内には、京都市内から通いながら診療されている開業医さん一軒以外は、歯科を除いて開業医がひとつもありません。これでは、どこの部分が欠けても、たちまちたちゆかなくなるギリギリの状態です。
こうした中、京丹波町では、病院内に医療政策課として組織を変え、医師や看護師確保に奔走されているとお聞きしています。
 一方、同じ医療圏にある他の医療機関も医師不足、看護師不足が深刻ですが、とりわけ京都市乙訓二次医療圏に入るものの、南丹医療圏と近接し、生活圏が連なる京北病院も、合併時に6人おられた医師を府立医大が派遣を引き揚げた結果、昨年には4人となり、今年度は常勤医2名になったとお聞きするなど、相当厳しい状態が続いています。
 医師不足対策は、先の知事選挙でも大きな争点の一つとなり、私も府のリーダーシップの発揮を求める中、府立医大と京都府との医療対策本部が設置されるなど、一定の改善が図られてきましたが、個々の病院で見れば、病院独自の確保対策にゆだねられているというのが実情で、これでは医療機関そのもの、地域医療そのものが崩壊しかねない事態です。
 そこで、伺います。今紹介した南丹医療圏の中でも深刻となる京丹波の事態を全面的に受け止め、京都府として常勤医配置の支援を行なうべきですが、いかがですか。また、府医療対策本部を、府立医大との協議機関にとどめず、京都大学も含む他の医療機関の協力を得られる本部へと発展させるべきですが、いかがですか。
さらに、医師確保対策に派遣元医療機関で週一回程度診察や研修が受けられる支援策を講じるべきと考えますがいかがですか。
【健康福祉部長】中丹地域の医療再生計画については、舞鶴市内の公的病院の再編、連携を行なうことにより、地域内の舞鶴、福知山、綾部の3市、それぞれの基幹病院を中心とした相互連携を進めることで、中丹地域全体の医療水準の向上、強化を図るものであり、その中でそれぞれの病院が、立地や機能により、救急医療をはじめ、広域的な役割を担うものと考えている。
計画に基づき、舞鶴市内に新たに建設する予定の病院については、舞鶴地域の基幹的医療機関として、高次の救急機能を担うものを整備することとし、現在、京都府が中心となり、舞鶴市及び関係設置体との間で、新病院の整備、運営計画等についての調整を行なっているところであり、今後京都府としても、地域医療再生臨時特例基金により、必要な財政支援を実施するなど、本計画の着実な実現、具体化に向け、さらに取り組みを進めることとしている。
京丹波町の支援について。現在、町において京丹波町医療協議会を設置し、今後の医療体制について検討を進められているところであり、本府からは地元の保健所長が委員として、また府立医科大学学長は顧問として、参画している。京都府としては、町の検討を踏まえて、さらに必要な支援を行なっていきたい。
医療対策本部については、京都大学をはじめ、医師会や私立病院協会等の関係団体、市町村の代表を構成メンバーとする医療対策協議会の事務局機能を担う京都府として、医師確保の取り組みを強化するため、府立医科大学を含め、庁内の部局横断的組織として設置したもの。
現在、医療対策協議会にワーキンググループを設け、今後の医師確保対策のあり方について検討を行なっているところであり、派遣医師の研修なども含め、協議会のご意見を踏まえながら、今後なお一層の医師確保対策の充実に努めて参りたい。
【みつなが・再質問】医療については、南丹についても中丹についても、深刻な事態があるわけで、これについては全力をあげていただきたい。
先日、府立与謝の海病院でお話を伺いました。与謝の海病院では、昨年脳外科医がいなくなって脳外科が縮小しましたが、府立医大からの派遣やその他病院からも派遣もあって、昨年再開したわけです。今年4月、知事選挙が終わって、4月末でその医者が引き上げられて、現在、結局手術ができない事態になっているんです。これだけ深刻な事態が、南丹だけではなくて、中丹でも丹後でも起こっているという事態です。先ほどの答弁では、医療対策協議会で医師確保対策をやっていると言われましたが、結局、医療対策協議会で医師確保対策について本格的に論議し、それに基づく措置をされたということがないわけです。また、医療対策本部だって、府立医大との調整協議機関だけになっているわけで、やはり他の医療機関などもしっかり入った体制をとるべきだと繰り返し求めてきました。これについて、再度お答えいただきたい。
【健康福祉部長・再答弁】医療対策協議会は、医療法に基づき設置されていて、医師の確保対策につき、関係団体により必要な施策を協議していただく場。その場で協議されたことについて、京都府が事務局機能を担っているので、医療確保の取り組みを京都府として実施するため、医療対策本部を設置し、強化を進めているところ。今後とも、こういう形で、医師確保対策は、万全を図っていきたい。

ナラ枯れ対策について ― 要望

【みつなが】なお、この際一言要望しておきます。本議会にも補正予算が提案されたナラ枯れ対策についてですが、私の地元左京区でも吉田山や東山一帯に深刻に広がっています。先日、私は滋賀県に通じる山中越の周囲の山に地元の方と入り、その実態を調べてきました。急峻な斜面のナラ類が枯死していることから、道路に倒れてはこないか、非常に心配な箇所が多くみられました。抜本的な対策はいうまでもありませんが、今のべたような箇所については、緊急的な対策を京都市とも連携して早急に箇所を確定して対応することを強く求めておきます。