地方自治・住民自治を壊す、議員定数削減と関西広域連合設立案の強行に断固抗議する
【声明】
地方自治・住民自治を壊す、議員定数削減と関西広域連合設立案の強行に断固抗議する
2010年10月8日
日本共産党京都府会議員団
団長 新井 進
本日、9月定例議会が閉会した。
最終本会議で、我が党以外の4会派提案による議員定数条例の一部改正案(1増〈西京区〉3減く左京区、舞鶴市、南丹市及び船井郡〉)及び、関西広域連合設立案(補正予算及び規約案)が、与党会派の賛成多数により可決した。
議員定数については、これまで「法の下の平等」と「民意を正確に反映させる」ために、「1票の格差を2倍以内に是正する」ことを中心に、見直しの議論をすすめてきた。今回、是正すべき最大の問題は、最も1議員当たりの人口が少ない「南丹市及び松井郡」と最も多い「西京区」との格差が2・89倍にも開いていることであった。
ところが、4会派提案「1増3減」の問題の第一は、「議員定数削減ありき」で、府民の暮らしの願いと意思を府政に反映させるパイプを狭め、議会の機能を弱めることである。
すでに府議会法定定数は69名から7名削減し、62名とかっている。その上、長引く不況と円高により府民生活が厳しくなっている中、さらに2名減員しようということは到底認められない。
また、財政難とも相まって、「議会が率先して身を切るべき」というのなら、議員報酬こそ削減すべきである。議員2名減による削減は約4400万円(報酬と政務調査費)であり、我が党議員団が提起した議員報酬3分の1削減で、およそ3億円を府民の暮らしの予算にまわすことができるのである。
問題の第二は、議員1人当たりの人口が少ない順番は、「南丹市及び船井郡」、「舞鶴市」、「南区」、「左京区」の順番であるにもかかわらず、「左京区」を先に減員するもので、極めて恣意的であり、まったく道理がないことである。4年前の定数の見直しでも、議員1人当たりの人口が少ない「南丹市及び船井郡」、「舞鶴市」、「京丹後市」の順番を無視して、「京丹後市」だけを減員したことで、京丹後の市民および読会から度重なる抗議や是正を求める意見が寄せられたが、これと同じ過ちを繰り返すものである。
「左京区」を減員する理由として、「基数」なるものが持ち出されたが、これまでの「1票の格差を是正する」という議論とは、まったく土俵の違う議論である。そもそも「基数」による議論を持ち出すなら、現在行われている国勢調査の結果を踏まえ抜本的に検討すべきである。
関西広域連合設立案については、特別委員会の議論を通じて、与党議員からも「パブコメもやられず、住民自治が問われるのではないか」「広域課題を解決するのに広域連携ではなぜだめなのか。積極的な意味がわからない」「規約案も極めて不十分」など多数の疑問が出されたもとで、我が党議員団は徹底審議と府民的意見を聴取する立場から、継続審議を求めたにもかかわらず、与党会派が審議を尽くさず採決したことは極めて重大である。
我が党議員団の反対理由は、第一に特別地方公共団体という地方自治の組織をつくるにもかかわらず、府民にほとんど知らせず、「パブリックコメント」(府民意見提出手続)も実施せず、公聴会など府民に説明し意見を聴く機会に背を向けたまま強行するものだからである。
山田知事は、「104人の意見をもらった」と述べたが、これで府民の意見を聴取したとすることは全く根拠がなく、住民自治を乱暴に踏みにじるものである。
第二は、奈良県や三重県、京都市などの政令指定都市が参加しないもとで、強引に関西広域連合を設立することは、関西の府県、政令市の団結を壊し、広域的な諸問題を取り組んでいく大きな障害をもたらすものである。
特別委員会論議の中でも、「奈良県が参加しないもとで広域的な観光行政が取り組めるのか」「消防の指揮命令権と体制をもつ京都市や神戸市など政令市が参加しないもとで、防災や地震対策に責任を持って取り組めるのか」等の意見がだされたとおり、これまでの関西の広域的な問題の取り組みに障害をもたらすものである。
第三は、国の出先機関の受け皿にするという関西広域連合の設立は、道州制へのステップとなる危険がいよいよ明らかになってきたことである。
山田知事は、関西財界主導で検討されてきたこと、今現在も関西財界と大阪府知事が道州制へのステップと考えていることを答弁で認めた。これでは「関所広域連合が道州制に転化するものではない」と確認したと述べても、まったく歯止めにはならないことは明らかである。
我が党議員団は、地方自治、住民自治を壊す、定数削減と関西広域連合設立案の強行について、断固抗議するとともに、来春に行われるいっせい地方選挙で、府民的審判を下すため全力をあげるものである。
以上