府政報告 1974 決算特別委員会知事総括
●2009年度決算特別委員会が10月28日に始まり、各部局書面審査を経て11月18日に知事総括質疑が行われました。日本共産党からは、かみね史朗委員、みつなが敦彦委員が知事総括質疑を行いました。質問と答弁の大要を紹介します。
かみね 史朗 知事総括質疑・・・1
みつなが敦彦 知事総括質疑・・・4
他会派質問項目・・・・・・・ 8
決算特別委員会 知事総括質疑
かみね史朗(日本共産党・京都市右京区) 2010年11月18日
農業と地域経済に大打撃を与えるTPPに反対を表明せよ
【かみね】日本共産党議員団のかみね史朗です。まずTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についてでありますが、今全国の農業者や漁業者から強い不安と怒りの声が上がっています。そこで2つの角度から質問します。一つは、食料自給率の問題です。内閣府が今年9月に行なった食料自給率の世論調査で、74.9%の人が日本の食料自給率は「低い」と感じ、90.7%の人が「自給率を高めるべきである」と認識していることが分かりました。そもそも、それぞれの国には、自国の農業を守る食料主権があります。そのためにEUでは、農産物の関税を20%、アルゼンチンでは33%、ブラジルでは35%かけており、アメリカも乳製品や砂糖の輸入規制を行なっています。日本の農産物の平均関税率はすでに12%まで下がっています。地球規模で食糧不足が大問題になっており、我が国に求められることは食料主権を守り、食料自給率を高めることだと考えます。ところが、日本がTPPに参加することになると、農水省の試算では、農業生産額が4.1兆円減少し、食料自給率が40%から14%に低下するといわれています。知事、こんなことは許されないと思うんです。いかがですか。
【知事】TPPについて。食料自給率の低下は、TPPの協議はまだ始まったばかりですが、食料の6割を海外に依存する我が国で、当然食料自給率の低下等の影響は懸念される。これは国家間の問題であり、国においてしっかりした農林水産の振興策が示されなければならないと考えている。京都府の農業と地域経済への影響についても、農水省の考え方や前提条件等、いろいろあるが、かなりの影響が出ることは間違いない。農水省の試算は、全世界を対象にただちに関税の撤廃を行なって、日本として何ら対策を講じなかった場合という極めて極端な場合を想定して試算されたもの。この場合、コメでは90%が駄目になるという形になっているので、京都における影響を大変心配している。それを踏まえて、今週月曜日に、私自身が、TPPをはじめとする諸外国との農業交渉に関しては、自由貿易が日本の農業全体に与える打撃を回避し、多様で豊かな地域農業が将来にわたって持続発展していけるよう、国内の農業施策の面において万全の措置を講じること、上限関税の設定やそれに代わる低関税輸入枠の拡大は行なわないこと、米などの重要品目の取り扱いについては、国全体のみならず、地域の農業実態にも十分配慮するということを,農水省の松木政務官と事務次官に提案したところ。国では、今月中に農業構造改革の推進本部を立ち上げて、来年6月に基本方針を策定することとしている。京都府農業の実態を踏まえた制度や施策が速やかに創設されるよう、全国知事会なども通じて、地域の農政発展につながる提案をしていきたい。
【かみね】京都府の農水省への要望書を見たが、TPP参加が前提になっている。そこが問題。京都への影響は本当に深刻。京都のコメの生産額は2008年で198億円。農水省の試算どおり90%減少するとすれば178億円減少する。京都は規模は小さいが畜産も盛んです。乳製品、牛肉、豚肉、鳥肉を合わせると59億円減少する。お茶は、さほど影響はないといわれますが、農水省通りの試算でいけば25%減少、19億円の影響を受ける恐れがあります。丹後米の産地、京丹後市でいえば、2006年の農業生産額は73億円、その大半がお米です。丹後地域の一人当たりの分配所得が19年度で196万円といわれますが、販売農家2788戸、販売農家人口11725人の暮らしを直撃し、所得がさらに下がる事態になるのではないでしょうか。いま答弁されましたが、TPP参加を前提に農業対策を講じるという話です。違うんですか。京都府の要望書では、自由貿易が日本の農業全体に与える打撃を回避し、多様で豊かな地域農業が将来にわたって持続・発展していけるよう、万全の措置を、ということですが、この要望書は自由貿易が前提になっていると私はとりました。一度この枠組みに参加すると、逆立ちしても農業は守れないのではないかと思います。例えば、60キロ3000円の外国のコメが入ってくるといわれています。10キロ500円です。こんな安い米が入ってきたら、今でも丹後産コシヒカリは60キロ1万円に下がっていますが、さらに暴落し、作れば作るほど大赤字になり、お米をつくる農家が激減してしまうのではないでしょうか。農村が崩壊し、国土の荒廃もすすんでいく。所得補償といっても、ざるに水を注ぐようなことはできません。その点では、この打撃を本気でいろいろな対策を講じれば回避できると考えておられるのかどうか。その根拠は何ですか、お答えください。
【知事】政府においても、誰もまだTPP参加をすると言明したことはない。その条件を見極めて、しっかりした対策、内容を確認していくという段階。誰も参加すると言ったこともない部分に対して、政府に対しても私は、協議にあたってはきちっと確認して下さいと申し上げている。政府自身が参加を前提でもないのに、私が参加を前提にしているとは、全く矛盾している。ただ、話としては、いろいろな影響が出るので、これについては我々は対策を見極める必要がある。一方で、経済産業省は、TPPに参加しないと雇用だけで80万人減少するというような試算も出しているので、今度はその中小企業の対策も考えていかなければならない。これは、両方が相まって初めて結論が出てくると思う。その協議をしっかりと提案していきたい。
【かみね】菅内閣のいまの動きを見ていると、TPPに参加する方向が色濃く出されている。はっきり、全国の知事の中にも、TPP参加は地域農業も、地域経済も崩壊に至ると、反対を表明されている知事がおられる。私は京都府知事として、京都の農業と地域経済に責任を持つのであれば、はっきり反対を表明すべきだと強く求めておきます。
リース代助成拡充、住宅リフォーム助成制度創設など、中小企業支援を
【かみね】次に中小企業支援ついて質問します。財団法人京都産業21北部支援センターが9月下旬に舞鶴市以北の3市2町の機械金属関係企業125社を調査した結果によると、10~12月見通しの業況判断指数は、マイナス56.7と再び悪化を見込んでいます。採算状況をみると、赤字企業が33%もあり、黒字企業は19%にすぎません。受注単価が下落したとする企業が46%、今後円高の影響を懸念する企業は51%となっています。府内の一部輸出大企業は業績を伸ばしていますが、中小企業の経営は、年末から来年にかけてますます厳しさが増す状況となっています。こうしたことから、中小企業全体を下支えし底上げを図る対策がいっそう重要になっていると考えます。
そこで、具体的な対策として、まずリース代助成についてですが、商工労働観光部の書面審査で部長は、一般のリース代については関係機関に柔軟な対応を求めると答えました。しかし、産業21の設備貸与を受ける業者は182件に過ぎません。町工場全体を下支えすることがいま求められており、国の地域活性化基金を活用することも含め、民間のすべてのリース代について助成を拡充すべきです。いかがですか、お答えください。
次に、仕事おこしについてです。秋田県の住宅リフォーム助成が21億円の予算で330億円の仕事が地元業者に発注されていることは、梅木議員が紹介しました。本府は耐震改修やバリアフリー、府内産木材の活用などでやっていると答えられましたが、21年度の実績は耐震改修で57件、バリアフリーは5件です。これでは安心安全の取り組みとしてもきわめて不十分ですし、地域への経済効果もきわめて限定的です。いま求められていることは、秋田県に習い、住宅のリフォーム全体に助成することだと思います。そのことによって、耐震改修もバリアフリー化も大きく進むのではないでしょうか。いかがですか、お答えください。
あわせて、仕事おこしにも効果がある住宅の太陽光発電の普及についてですが、本府は7月に補助金を打ち切り、冷や水を浴びせてしまいました。京都市が9月に補正予算を組んで対応していることと比べてだいぶん違います。本府としても太陽光発電への助成を復活し、地球温暖化対策とともに地域活性化をすすめるべきです。いかがですか。
【知事】リース料助成については、書面審査でお答えしているとおり、京都産業21の設備貸与を利用した企業のリース貸与の新たな軽減や、金融機関等に弾力的な運用の要請を行なっているほか、中小企業の販路開拓研究事業や、中小企業円高サポート事業などで、リース料を含む固定費の軽減につながるよう、幅広い支援を積極的に実施している。こうした全体の総合的な施策の中でやっていくのが必要だと考えている。京都経済を支える中小企業の経営安定・発展について、現在アクションプランを策定しており、来年に向けてさらに取り組みを進めていきたい。
住宅リフォーム助成制度について。何でもかんでもリフォームなら認めるというのは、ちょっとおかしいと思う。行政目的をしっかり確認して、耐震のためにやっていく、介護予防のためにやっていく、または府内産材のためにやっていく,高齢者向けにやっていく、緑の工務店もやっていますが、そういう行政目的をはっきりしてやっていくべきで、贅沢なリフォームに対しても見るというのは、やはり府民感情からすると違うと思う。
住宅用太陽光発電については、3年間にわたって京都エコポイントモデル事業を活用して、国や市町の補助制度とも連携しつつ、家庭への導入を支援してきたところ。府内の設置件数は累計で約12500戸に達していて、その中で補助を実施する市町も14に拡大するなど、府の取り組みは、期待されていた呼び水効果、パイロット的な効果というものを発揮できたと考えている。太陽光発電をはじめ、再生可能エネルギーの普及は温暖化対策に重要。9月補正予算で認められた公共施設を対象とする「お日様エコタウン応援事業」の活用を進めるとともに、国に対しては住宅が導入する際の補助制度や、固定買取制度の拡大を要請しており、国と都道府県で役割分担をしている面がある。そのもとで効果的な対策を推進していきたい。
【かみね】一点だけ再質問いたしますが、住宅リフォーム助成の効果についてです。秋田県では地域の仕事おこし、中小零細企業のみなさんへの支援ということで、この事業を始められた。10月の時点で1万2000件を超える申し込みがありました。県の担当者も非常に喜んでおられます。市町村のみなさんも、町の業者のみなさんの仕事になっていると喜んでおられます。京都府が取り組んでいる政策目的による住宅改修、これはこれでいいんですが、いまこれだけ深刻な円高不況のもとで、仕事おこしを地方自治体が率先して取り組んでいく、この事が非常に大事になっているので、その点で秋田県の取り組みは非常に参考になる。私は、知事として、秋田県のこの住宅リフォーム助成制度の実施状況について、研究してはいかがですか。
【知事】12000件の申し込みがあったというんですが、もともと秋田県ではリフォームがどれだけあったか、それに対して補助金ができたことによるかけ込み効果がどれだけあるか、こういうことを分析して質問された方がいいと思う。そうでなければ、私は贅沢な改修まで見ていくというのはやはり、税金の使い方としては問題があると考える。
【かみね】税金の使い方として問題があるのかどうかは、秋田県の実施を直接知事が行かれて、肌で感じながら、問題点があるならおっしゃって頂いたらいいが、秋田県内の業者のみなさんが非常に喜んでおられるというのは事実。そこは政治的な効果があるということ。そこは率直に認められて、この住宅リフォーム助成制度の政策効果についても、しっかり検討されるように求めておきます。
府が誘致した企業に、雇用と地域経済を守る責任を果たさせよ
【かみね】最後に、雇用対策です。円高により大企業は海外への生産を強め、国内工場を閉鎖縮小し、いっそうの解雇やリストラをすすめる傾向が強まっており、雇用情勢はますます厳しくなってきています。本府では、ジヤトコの違法な派遣切りやトステム綾部工場の閉鎖による大量解雇に続き、舞鶴の板ガラスの関連工場や綾部のグンゼ工場も閉鎖となり、雇用不安が拡大しています。従って、雇用を守る対策もさらに強化する必要があります。
そこでいくつか質問いたします。第一に、ジヤトコに労働者派遣法違反で解雇された労働者の問題を解決しなければなりません。京都で170人の新規雇用が生まれているわけですから、解雇された労働者の正規雇用を強く求めるべきです。いかがですか。第二に、トステムに対しては、解雇された労働者全員の再就職に責任を持たせなければなりません。全員の就職にむけた現在の状況と対策をお聞かせください。第三に、本府が誘致した工場での雇用の維持と正規雇用の拡大にいっそう力を尽くすべきです。そのために企業立地条例のなかに、雇用調整をおこなう場合には事前の届け出協議を義務付ける規定を設けるとともに、来春にむけて立地企業が正規雇用を拡大するよう本府として特別に要請してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。第四に、本府職員の正規雇用拡大についてです。本府は正規職員をこの3年間に171人減らす一方で、常勤換算で非正規職員を2年間で155人も増やしています。実際の人数はもっと多いことになります。会計課では、派遣労働者が以前正規職員がおこなっていた専門業務に携わり、消費生活センターなどでも専門業務を非正規職員にゆだね、改善されない実態があります。知事は、以前「正規雇用が大切になっている」と発言されましたが、実際にやっておられることはその逆ではないでしょうか。会計課や消費者センターなどの専門業務をおこなう非正規職員を正規化することをはじめ、自分の責任を持つ職場から,足元から正規雇用を拡大する政策に転換すべきではありませんか。いかがですか。
【知事】ジヤトコの問題については、コンプライアンスの徹底について、機会あるごとに働きかけている。トステムについては11月10日現在で、正規職員、非正規職員それぞれ100名程度の再就職が決定しているが、まだ残っている部分があるので、従業員全員が再就職できるよう、努力されているが、本府としてもこれを支援していきたい。企業の条例については、言われていることがちょっと分からないが、要するに職員のみなさんに言う前に届け出をしろということでしょうか。そうすると、職員のみなさんが知らないうちに京都府とその企業が協議を始めるということになるし、それは通告されれば大体分かりますから、我々はきちっと協議することができる。また、大規模な場合には、安定所に届けられるから、それも分かるので、ちょっと質問の趣旨が分かりづらいところがあった。余り意味がないのではと思う。雇用対策については非正規職員が3分の1にもなって増えてきている現状がおかしいと言っているので、専門的な業務や嘱託のような形で、京都府を退職されてから働いて頂けるということもあるので、全体のバランスをとって考えていくことが必要。私どもも税金で職員のみなさんに働いて頂いているので、府民に理解を得られる形で、職員の採用を行なっていかなければならないと考えている。
【かみね】京都府が補助金を出して誘致している企業で、この間相次いで大量の派遣切りも行なわれてきた。トステムの例を考えても、工場閉鎖する、大量解雇するというのが既定の事実で、動かしようがない事態でした。知事も東京まで行かれて、工場閉鎖を思いとどまってほしい、雇用を維持してほしいと要請されたが動きませんでした。会社の方針としてはすでに春先に決まっていたことでしたが、発表は10月でした。何とかそう固まる前に、補助金を出した企業が京都府とも事前に相談しながら、最小限に食い止めるようなそういう努力ができないだろうかということです。そういうことをしないと、この円高不況で、せっかく府民の税金を使っていながら、次々と工場閉鎖ということでは困るので、そういう意味で企業立地条例などを適切に改善しながら、雇用の維持と正規雇用の拡大に向けて努力して頂きたいとお願いして、私の質問を終わります。
決算特別委員会 知事総括質疑
光永敦彦(日本共産党・京都市左京区)2010年11月18日
新規学卒者の就職について
【光永】日本共産党の光永敦彦です。
深刻な不況と円高が、いま拍車をかけ、雇用や中小企業に深刻な影響が出る中、私は来春卒業予定の高校・大学生の就職難の問題について、質問いたします。
京都労働局の調査によると、今年10月1日時点で、府内47校の大学・短期大学に調査を依頼し41校が回答し、内定率が37.7%であったことが公表され衝撃がはしりました。
そこで私は先日、学生の皆さんから大学生の就活の状況について伺いました。
「50社エントリーした」、「100社エントリーした」など、100社くらいは当たり前という状況です。面接も最終面接に行けるのは、本当にわずかで、面接や試験は3次、4次、5次、場合によっては7次まである。それでも不採用ということもあります。交通費や成績証明書などすべて自己負担で、採用の可否については携帯電話で連絡があるため、いつも手放せないという深刻な状況で、あまりに過酷だというふうに考えます。
高校生も極めて深刻です。京都の就職希望者1758人に対し、未内定が972人。しかもいったん不合格となると、次がなかなか見つからないということになっています。初めて社会に出るのに、就職できないのは、本人の人生にとっても、また社会にとっても私はあってはならないことだと考えます。
そこで、まずこれら最も緊急性のある課題について、対策はどうされますか。お答えください。
【知事】来春の卒者生の内定率につきましては、既に調査が発表されておりますけれども非常に厳しい状況が出てきております。それだけではなくて、既に大学の3年生については就職の動きがはじまっている。エントリーがはじまっている。昔に比べましてインターネットで簡単にエントリーできるようになりましたので、エントリーの数も増えて、それだけに色々な情報が錯綜して、さらに混乱を招いているという状況があります。
こうした状況につきましては、もちろん就職の開始時期については経済界とも相談をしながらもう少し落ち着いたかたちで学生が就職活動ができるようにすべきだと考えておりますけれども、当面はこの厳しい事態を乗り切るために、この11月議会にも、発表させて頂きましたけれども、未就職者対策や来春就職予定者の就職対策という形で緊急対策を講じていくことによって、少しでも多くの若い人たちが、社会に出る第一歩でつまずかないように支援をしていきたいと考えております。
【光永】私も採用そのものを増やすことが必要だと考えますし、ルールの見直しも必要だというふうに考えます。採用そのものを増やすということについては、やはり大手と中小企業、それぞれ少し区別した対応が必要ではないかと考えています。大手については社会的責任をしっかり果たさせるということが大事だと思います。私は、例えば府北部で従業員1000人を超える企業の求人数は、地域によっては一ケタ台のところもあるように聞いています。例えば、日本板硝子の募集がなくなったとか、ユニバーサル造船が採用が減った、これは高校の話ですけれども、こういうことも起こっていて、大手企業が昨年より採用を手控えていて、さらに募集かけていても即戦力を求めるために採用しないというところもあるようです。社会的責任の上でも、こういったことは私は許されないというように考えています。
まして、京都と滋賀の上場45社は、8割で業績改善が見込まれています。知事がこういった大手企業にこそ、直接採用の枠を増やすように、今こそ求めるべきだと考えますがいかがですか。
また、もう一点、中小企業については、ハローワークの増員されたジョブサポーターとも連携して、京都の圧倒的多数を占める中小企業の求人拡大のために、私はポテンシャルになる京都の中小企業の魅力を、今こそ発信すべきだと考えています。
さらに、中小企業側が採用しやすい条件をすすめる。その点では「トライアル雇用奨励金」や「採用拡大奨励金」の拡充を求めますが、知事の見解はいかがですか。
【知事】やはり大企業、中小企業は問わず採用を拡大してもらわないと、これは仕方ありませんので、大企業と中小企業をどこで線を引くかわかりませんけれども、積極的に雇用を求めるということは、私どもも商工会議所や京都市、さらには経済界の各団体と連携をして、今やっておりますし、これからもやっていきたいというふうに思っております。
中小企業に対する雇用拡大については、11月についても補正予算を講じていきたいというふうに思っておりまして、できるだけ多くの方々が中小企業だとか、そういったところでトライアルともうしますか、働いていって、そこから常用雇用に結び付けるという制度を考えているところです。
【光永】知事も夏に経営者協会へ行かれたと聞きましたけれども、やはりこの秋以降は極めて深刻だというふうに考えますので、この点では、直接大手へ、例えば1000人以上の企業が急速に採用控えをしているわけです。でもそこは儲かっているのだから、やはりそこに対してはしっかりと知事として、大学生や高校生の採用をしっかり保障する先頭に立ち、申し入れて頂きたいと思いますし、先に述べた中小企業での採用を増やすための制度についても万全を期して頂きたい。そして、特に、高校生の対策は万全を期して頂きたい。そのことを求めて次の質問に移ります。
私立高校の授業料実質無償化について
【光永】次に私立高校の授業料実質無償化について伺います。
公立高校の無償化に続き、本府では、私立高校に通う子どもの世帯収入が350万円未満の世帯については、実質無償化することとされています。書面審査では、すべての学校でこの制度が何らかの形で取り組んでいくと理事者から答弁がありました。
そこで伺います。経済的事業によって、退学などの事態を一人たりとも生まないために、すべての350万未満の世帯がこの制度を本当に受けられるようになるのか、現時点でのお考えをお答えください。
【知事】私どもは、今年度当初予算で全国トップクラスの「私立高等学校のあんしん修学支援事業」を創設いたしました。これによって、生活保護世帯や家計急変世帯は全額無償化として年収350万円未満の世帯は府内平均額まで実質無償化をするというものでありまして、これについては、各私学につきましてお願いをしておりまして、全ての学校が府の制度を活用して修学支援に取り組んでいくとの考え方を確認しております。
ただ、今ちょっとですね、今回、二つ理由がありまして、一つは国の就学支援金の申請書提出期限が先にきておりますので、こちらの方に私学の方がみんな手間が取られているというのが一点あります。それから、全く新しい制度ですので、私学の方にまだ制度の周知徹底について手間取っている面がありますので、こうした点をふまえながら年内に減免が実施されるように強力に指導してまいりたいと考えております。
【光永】今、二つの理由で遅れているという話がありましたけれども、実態は違うと思うんですね。
私ども議員団で、京都府内にある41校の私立高校に手分けをして連絡をとってみました。
すると「350万未満の全額免除制度は活用していない」と明確にお答えになった学校もありましたし、また「対象は250万未満だけ全額無償にしています」とお答えになった学校もあるのです。
こういう事態に対して、ある担当者は、「京都府は収入350万未満の世帯の学費無償化は全校が実施するといい、さらに私学にも協力いただいていると言われるが、各学校がどれだけしんどい思いをして学校負担をしないといけないかわかっていない」こういう声も出されました。
先ほど「指導していく」とおっしゃいましたけれども、これは京都府の制度ですからね。今述べたように、本当に、活用状況がバラバラになっています。実際、府文教課も「学校が決めた範囲の規定に該当しなければ、制度は受けられない」と述べられているのです。
そこで、知事なら当然ご承知のものを持ってまいりました。(パネルを表示)これは府民だよりですが、ここに先ほども答弁があったように、京都府の制度は全国トップクラスの年収350万未満世帯は無償化できる制度になるんですよということが書いてあります。しかし、今述べたように、私どもがお聞きしたところでは、学校によって受けられる人、受けられない人があるわけです。
この府民だよりを見て、また当初予算の説明等を聞いて、「今年は私学に入って安心して勉強にいそしめるな」と親御さんや本人が思って、入学して、申し込み先は学校になっています。学校に申し込んだら「いや、うちは違うんですよ」と言われたら、これはどう責任をとるのですか。この改善が必要だと考えますがいかがですか。
【知事】そのような私学がありましたら名前を教えて頂きたいと思います。我々はそういうものを公表していきますし、しっかりと指導してまいります。
【光永】指導するという話ではないんですよね。むしろ、私は教えて頂きたいのですが、知事はそういう実態があるっていうことを今の段階でも知らないのですか。「指導する」、「指導する」と、おかしいんですよ。京都府の制度でやっているわけで、知事が知っているのか、知らないのか、実態を私はつかむべきだと思うんです。その点はいかがですか。
【知事】まず名前を教えてください。そうじゃないと我々も把握のしようがないと思います。
【光永】本当におかしな話なんですよ。京都府が説明して入学者を募ったのですよ。入学者を募りながら先ほど述べたような実態があるわけですから、だったらそれはおかしいということで、しっかり誠実に認めてですね、現場に聞いたらいいじゃないですか。実態をつかんだらどうですかということを聞いているのです。それについて答えて下さい。
【知事】我々も文教課から確認しているわけですから、今は調査にくい違いがでているので、その調査を明らかにするためにも名前を公表していただければしっかりと調査ができると思います。
【光永】ですから我々自身も調査して、実態が違うということを言っているわけですから、それについては府としても厳密につかんで頂きたいということです。
いずれにしても、この問題は、誰一人として経済的理由で退学に追い込まれることがあってはならないのですよ。しかも、それを学校責任にしていることを私は問題だと言っているのです。京都府の制度なんだから、京都府がしっかりと学校に直接支援する、あるいは保護者に直接支援するということを通じて、年収350万円未満の方が必ず受けられるということを保証するのが京都府の役割ではないのですか。学校に指導するという話自身が間違っていると私は厳しく指摘しておきたいと思います。
同時にもう一点お聞きします。私どもがお聞きしたところによると、他府県から来られている生徒さんが3割の学校もあるのですね。中には5割というところもあります。京都府の制度でいうと、他府県に行っておられる方、他府県から来られている方は対象にならないということに今の段階ではなっています。私は、全ての子どもたちがこの制度を受けられるようにするうえでは、私は、知事が先頭に他府県にもこのことを呼びかけるべきだと思いますし、同時に、それを他府県にやって頂くためにも京都府として、他府県に通う子についてはまず対象にすることを求めますがいかがですか。
【知事】こうした場で質問をしながらですね、その調査内容については中身は言えないというようなことを質問されるということは、私はやっぱりおかしいと思いますので、ぜひとも明らかにして頂きたいと思います。そうすれば我々もしっかりとした調査ができ、お答えができると思います。
他府県につきましては、我々からも提案をさせて頂いておりますけれども、これはやはり互恵関係でありますので、そうした関係をふまえながら、出来る限り広くできるようにこれからも努力してまいりたいと考えております。
【光永】学校に責任があるかのような話は間違っているのです。もともと京都府が制度としてつくって、「今から学校に指導してまいる」と言ったって、学校は、国の制度もある、京都府の制度もある、しかも自らの負担もあるわけです。例えば学校によっては、100人以上の年収350万円未満の世帯がある学校がある。そうすると、そこでは1000万円以上学校で負担しなくてはならないという、こういう声だって出ているわけです。だから、京都府として実情もしらべて、京都府の制度なのに、学校が困っているのだから、そしてさらに子どもも困っているのだから、そこはやはり見直すべきだということを厳しく求めておきたいと思います。
さらに、他府県については呼びかけるだけではなく、京都府としても、しっかりとまず京都府が他府県に通う子については担保するということは求めておきたいと思います。
いずれにしても、この制度を知事は繰り返し「全国トップクラスだ」というふうにおっしゃいますね。しかし、現実には受けられない子がある。そういう可能性もあるという段階ですから、そこは厳密に調べて万全の体制をとるようにして頂きたい。同時に、来年度については対象を500万まで引き上げる。これは公約で言われていたようですから、これはぜひやって頂きたい。このことを強く求めまして、次の質問に移ります。
関西広域連合について
【光永】次に関西広域連合について伺います。
10月28日の記者会見で、知事が「関西広域連合でカジノを大阪につくって、それで『関西観光デー』みたいなものをつくり、関西広域連合の財源にして、そして全体を発展させていく、こういう様な事をやれば奈良県も参加せざるをえなくなるかもしれませんね」というふうに述べられました。知事も記憶にあると思います。
京都府の担当事務は「広域観光・文化振興」となっていますが、カジノを大阪に作るのが、広域観光や文化振興の目玉と考えておられるのか、まずお答えください。
【知事】まあ、あの、光永議員もたぶん記者会見の映像はインターネットで出ておりますから、見られたと思うんですけれども、それをいうと、「まあ、これは単なる例示だから、別にこれをやるということではないのですけれども」と、ちゃんと言って話をしているので、そこの部分はとばされるのは、非常に意図的な質問で、ちょっとおかしいなということをまずご指摘したいなと思います。
私は、関西広域連合におけるカジノの件についてですけれども、これは、大阪府は特区申請を検討しておりまして、しかも、国においても議員立法で法律制定の動きがあります。で、関西全体にこれは影響するものであります。大阪だけの問題では、これはないと私は考えております。したがいまして、大阪府だけで検討するのではなくて、関西広域連合において広域観光を担当する府県として、その是非を含めて主体性をもって検討を進めていく必要があるのではないかと考えております。
そして、カジノの話に言及しましたのは、このように一府県をこえた利害関係が、これからどんどん生じてまいります。そうした中で、奈良県も参加していかなければならない状況がでてくるということを申し上げたわけであります。
【光永】この広域連合の問題の記者会見、私も見させて頂きました。文章も読ませて頂きました。その記者会見の最後のところで、「最後に」ということで、例示としては述べたけれどもとの前置きの上で「しかしエンターテイメント、これについては大いにやって行きたい」と、こういうようにおっしゃっているわけです。エンターテイメントの例示の一つがカジノというように私は受け止めたわけですけれども、それ以外のことは何か考えておられるのですか。
【知事】それはですね、今はトータルリゾートという言葉がありまして、エンターテイメント、例えば、私が行ってきましたシンガポールでは街の中でF1のレースをやっているとかですね、本当に多くのエンターテイメントをやっているんですよ。そして、そういったもの全部が各国が競争しあってやっていく、そういう中において、どういうことをこれから関西の戦略としてやっていかなければならないのかということを考えていかなければならないと思います。
光永議員は、カジノへ行かれたことはありますか。
カジノというのも一回行かれてみたら勉強になられるのではないかと思います。
【光永】今の発言でよくわかりました。カジノは推進するという意図が非常にあるということだと私は思いました。単なる例示だとおっしゃいますけれども、今いろんな説明をされましたけれども、結局、一番はですね、大阪の知事がカジノを提案するということを一所懸命言っているわけですよ。そこにもろ手をあげてついて行くと言っているのは山田知事ではないですか。そのことがはっきりしたと私は思います。
こういう動きに対して、兵庫県の知事はこうおっしゃっています。「単に人を呼び込み、花火のような経済繁栄を目指すだけがまちづくりではない。」まちづくりのあり方がおかしいんだと。「享楽的マネーゲームによるまちづくりは、あくまで虚業に過ぎない」、このように痛烈に批判されているのはご存じだと思うんです。しかし、一方で知事はカジノも含め、もっとエンターテイメントも含め、もっと海外と競争してやっていくんだというようなことを言われるわけです。
結局、私は、大阪の橋本知事や関西財界に引っ張られている、そういう姿勢自身が問題だと思います。私は、カジノを例示に上げること自身も非常に不見識だというふうに考えます。そのことを厳しく指摘して、質問を終わります。
【知事】まず、やっぱりこれは公の場ですから、人の言っていないことまで言われるというのは、まず非常に不見識だと思います。ちゃんと私が言った通りのことを言って下さい。それから、カジノのことを不見識だと言われるならば、イギリスもフランスもアメリカもカナダも中国もベトナムもシンガポールも韓国も全て不見識ということになりますけれども、そういうことを光永さんはおっしゃっているのでしょうか。
【光永】私は、そんな一般論の話をしているわけではないのです。関西広域連合でお金をつくって奈良県を呼び込むという、そのことがあかんと言っているのですよ。だから、それを、カジノを例にあげて取り組むというのは、間違っているのです。そのことを厳しく指摘して終わります。
《他会派の質問項目》
■前波 健史(自民・京都市伏見区)
1 未収債権対策について
2 淀川水系の治水対策について
3 地震防災対策について
■安田 守(自民・向日市)
1 府営水道問題について
2 府立高校の入試制度について
3 薬物乱用防止対策について
■荒巻 隆三(自民・京都市東山区)
1 関西広域連合について
2 商店街振興について
3 京都ブランド産品のマーケッ ト拡大について
4 祇園地域の風俗環境浄化対策について
5 交通問題について
■田渕五十生(民主・京都市伏見区)
1 平成21年度決算について
2 職員の人材育成について
3 伏見の観光振興について
4 心の教育について
■豊田 貴志(民主・京都市山科区)
1 観光振興について
2 府・市協調について
3 府民公募型安心・安全整備事業について
■山口 勝(公明(京都市伏見区)
1 雇用対策の強化について
2 子育て支援について
3 いじめ・不登校対策について
■佐々 木幹夫(創生・綾部市)
1 野生鳥獣被害対策について
2 運転免許証更新の利便性向上について