2011年2月定例会 かみね、松尾、山内一般質問
●2月14日にかみね史朗議員、15日に松尾孝議員、16日に山内よし子議員が行なった一般質問と答弁の大要、他会派議員の一般質問項目を紹介します。
もくじ
かみね史朗一般質問・・・・ 1
松尾 孝一般質問・・・・ 5
山内よし子一般質問・・・・11
他会派議員一般質問項目・・16
2月定例会 一般質問
かみね 史朗(日本共産党、京都市右京区) 2011年2月14日
障害者解雇問題で、京都府は給与支払い・再就職などに責任を
【かみね】日本共産党のかみね史朗です。知事並びに関係理事者に質問します。
まず、昨年11末にイオンモール京都内のエンタメストアが突然倒産し、働いていた障害者42人を含む74人全員が解雇され、11月の給与、解雇予告手当合わせて約2400万円が未払いになっている問題であります。私は、昨年12月初めに、当事者の方からくわしく事情を聞き、被害者の会結成集会や相談会に参加し、支援してきました。
解雇されたみなさんは、昨年末、「エンタメ被害者の会」を結成されました。会の呼びかけ文には、つぎのような訴えが掲載されています。「私たちは、今年(2010年)の4月にイオンモールの中の「テレビエンタメストア」に就職できることが決まりました。ほんとうにうれしかったです。6月から、仕事がはじまりました。お客さんの笑顔を見るのがとてもうれしかったです。いやなことも、つらいこともあったけど、ちゃんとお給料をもらえて働くって、いいなぁって思っていました。半年ほどしてようやく仕事にも慣れてきました。なのに、11月24日、給料日前日に突然、明日からこなくていい、と電話で一方的に言われました。なんで。なんで。放心状態になりました。そして大泣きしました。
こんなやり方ひどいです。職場は翌日から閉鎖されました。会社の元社長もどっかに逃げてしまいました。最後の月の給料ももらっていません。ちゃんと説明や謝罪もしてもらっていません。私たちの気持ちはとてもとても苦しいです。怒ってるし、悲しいです。このまま、泣き寝入りしたくないです。きちんとした説明と謝罪、そして給料の支払いを求めたいです」。
この被害者のみなさんの思いに、本府は最大限こたえなければならないと思います。今回の事業にあたっては、昨年2月にハローワークの建物の中で会社の就職説明会が開かれ、京都府も参加し、障害者を含む200人の参加者に就職をあっせんしました。その後2回の面接にも本府やハローワークが同席し、障害者42人の採用に関わりました。
障害者の雇用の促進等に関する法律では、「国及び地方公共団体は、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない」と明記していますが、本府はこの障害者42人の雇用の促進と職場定着をはかっていく責任がありました。
そこで、お伺いします。第一に、給与の未払いの問題ですが、12月13日の商工労働観光常任委員会で、雇用保険の賃金立て替え払い制度の活用については、管財人から、会社設立が12月1日であり、一年の事業継続の条件に若干足りないが何らかの手立てができないか調整する旨の説明があったと報告されましたが、その後どのようになっていますか、明らかにしてください。立て替え払い制度の対象にならない場合は、国と本府がこの会社への雇用あっせんをしてきた経過から言っても、国と本府の責任で給与と解雇予告手当相当分を支援すべきだと考えますが、いかがですか。
第二に、解雇された障害者と従業員の就職についてです。本府は、解雇後直ちにイオンモール京都に就職の要請をおこなったといわれましたが、その後の進展はいかがですか。全員の就職のために今後どのような対策を講じる考えですか、お答えください。
第三に、障害者雇用に責任を持つ本府の対応についてです。障害者42人がわずか5カ月で全員解雇されるというショッキングな事態が起こったわけですから、十二分に経過を検証し、教訓を引き出し、今後に生かすことが必要だと思いますが、いかがですか。
店舗が営業を開始した後の本府の対応ですが、12月の商工労働観光委員会で、本府として営業状況や障害者の職場定着の状況などを聞き取り調査するようなことはおこなっていないと答弁されました。京都府障害者就労支援プランでは、「障害者雇用に不安を持つ企業に対する現場の実状にそった相談助言」を行なう、「障害者、事業主双方への就業上の課題や職場定着支援」を行なうことなどが示されています。本府として、この方針通り対応したとは言えないのではないでしょうか。この点はいかがですか、お答えください。
【知事】障害者の解雇問題ですが、京都府としては障害者のみなさまに対してハートフルジョブカフェを中心にきめ細かな就労支援に取り組んでまいりました。昨年の府内民間企業の障害者雇用率は1.82%とはじめて法定雇用率を達成したところですが、それだけに、今回のジャパンプランニングサービスの倒産による42名もの障害者のみなさまが解雇されたことは大変残念です。京都府としては、翌日直ちに倒産した企業が立地するイオンモール京都に連絡し、現状把握に努めるとともに、現地に出向いて再就職先確保についての協力依頼を行い、業者から各テナント企業に対して要請を頂いたところです。
また、京都労働局と連携し、昨年12月以降、毎月就職面接会や就職相談会を開催し、これまでに雇用保険の受給資格のなかった1名の方を含む7名の方の就職が決まりました。残り35名の方は雇用保険を現在受給しながら就職活動をされており、京都府としても積極的にサポートを行っているところです。
賃金の立て替え払い制度については、法律の制度に基づくものであり、労働者健康福祉機構が制度を運用しています。制度の運用要件を満たすか否かの確認については、破産管財人から同機構と調整すると伺っています。そういったなかで、現在まだ個別の情報というものは情報開示の問題もあり、我々の方にもしらされておりませんが、判断の責任をもつ国において今後とも適切に対処されるべき問題であると考えています。
解雇予告手当については債権の問題でありますが、破産手続きの中で決定されていくものと考えています。
職場定着支援については、ジャパンプランニングサービスに就職された方と直接面談して、その就業状況を把握してまいりました。その時点では問題はなかったとお聞きしています。
企業の経営内容まで立ち入るということは、これはなかなか難しいと考えておりますし、また、そのようなものでもないと考えています。
京都府としては、今回の事例を検証しながら、いかに迅速に障害者のみなさまに新しい職を提供できるか、また、そのために支援を雇用システムを考えながら仕組みをつくっていく。その中で全ての解雇者の再就職が果たせるよう全力をあげて取り組んでいきたいと考えています。
【かみね・再質問】エンタメショップの倒産の件について、知事から「経営内容に立ち入るのは難しい」という答弁がありましたが、この店舗については、障害者雇用促進法で、障害者雇用率制度及び障害者雇用納付金制度の適用上の特例子会社に認定されています。この子会社に認定する要件として、いくつかありますが最後の項目として、「重度障害者等の雇用の促進及びその雇用の安定が確実に達成されると認められること」となっています。これは東京の労働局が認定して、子会社として設立されていますので、東京の労働局の判断だろうとは思いますが、この条件を満たしていると判断された根拠について、京都府としてはどのように把握されていたのか、再質問します。
障害者の方々を多数雇用する事業所が、倒産した場合、先ほど知事から答弁があったような対応が必要だと思いますが、今回のように給与の未払いであるとか、説明もしないという事態を繰り返させてはならないと思いますので、倒産せざるを得ないというような場合は事前に、たとえば本府やハローワークと相談もして、給与の未払いが発生しないような対処であるとか、あるいは次の就職について企業が責任を持つような対応であるとか、こういう仕組みが必要ではないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
【知事・再答弁】労働局の判断については、これは司司(つかさつかさ)で判断する、これは許認可一般に普遍的な問題です。そしてその司司を公共団体はそれぞれ信頼していくという前提ですべての制度が成り立っていると思っています。そうした観点から私どもも、労働局の判断を信頼しています。
倒産に至る過程での債権の確保について、これも民法や商法の全体の体系の中で判断される中で、優先債権の取扱い、こうした中でしっかりと維持していかなければならないと考えています。私どもも、そうしたものに対しては、国に対してしっかりと要望していくとともに、何よりも解雇された方々の再就職に向かって、京都府としても役割を果たせるように、十分努力していきたいと考えています。
【かみね・指摘】労働局の判断を信頼されるというのは当然なんですが、どういう判断をされたのかも京都府としても把握した上で、多数の障害者を雇用する事業所が運営するにあたっては、やはり必要な対応がいると思いますので、その点は求めておきます。そして、倒産せざるを得ない場合も、やはり、障害者を守るという仕組み作りについては、少し答弁がありましたが、一層の検討なり努力を求めておきたいと思います。
地元問題―駅舎のバリアフリー化と河川整備について
【かみね】次に、地元問題についていくつか質問いたします。第一に、駅舎のバリアフリー化の問題です。障害を持つ人をはじめお年寄りや小さな子どもを持つお母さんなどすべての府民が快適かつ安全に交通機関を利用し移動できるようにすることは、安心安全な社会づくりの重要な柱となっています。そのために交通バリアフリー法が制定され、交通事業者、行政において努力が払われてきました。国土交通省の資料によると、平成22年3月31日現在で一日の乗降客が5000人以上の駅舎で、基準に適合している設備で段差が解消されている京都府内の駅の割合は78%で、あと25の駅が残っています。本来、交通バリアフリー法の期限である今年度中に達成しなければならなかったわけですが、残っています。都市部の神奈川県が90%の達成率であることと比較して、少し遅れているのではないかと感じます。
そこでまずお聞きしますが、バリアフリー化の基準が達成していない駅が25駅残っている問題について、その原因や課題をどのように考えておられるのか、本府として今後どのように対処される方針なのかお聞かせください。さらに、全国的にも5000人以上の駅舎で基準に適合していない駅がまだ2割以上残っており、すべての駅で言えば64%もあるわけですから、法律の継続が必要であり、本府として国に強く要望すべきだと考えますが、いかがですか。
さて、私の地元京都市右京区内の駅のバリアフリー化の到達ですが、残っていたJR太秦駅のエレベーター設置も用地確保にJRが動き出し、京福帷子の辻駅も京福がバリアフリー化の計画を発表し動き出しました。残っている駅が阪急西院駅です。私は、本府議会の本会議や委員会でも何回か西院駅のエレベーター設置などバリアフリー化について質問してきましたし、地元の住民のみなさんといっしょに阪急電鉄と交渉を重ねてきました。しかし、いっこうに進展してきませんでした。阪急電鉄は、西院駅が地上から浅い所に設置されているため駅の敷地内でエレベーターを設置することは構造上困難であるとしてきました。この態度は20年前とほとんど変わっていません。
交通事業者には、バリアフリー化の社会的責任があるのであり、困難を可能にする研究と執念がなければなりません。西院駅の状況は、バリアフリー化が待ったなしの状態です。一日の乗降客が4万人にも達し、狭く傾斜のきつい階段で倒れてケガや骨折をする人が出ています。お年寄りやバギーを押している若いお母さんの多くが、とても上がれないと西院駅を利用することをあきらめている状況です。
しかし、京都市や本府は、困難だと放置する阪急電鉄に事態を打開する指導をおこなってきませんでした。バリアアリー化への努力を促しつづけてきたのは、住民や利用者のみなさんでした。昨年末に私たちは、何度目かの阪急交渉を行い、3千人近い署名を提出するとともに、西院駅構内にエレベーターを設置する場所がないのなら、地下鉄東西線御池駅のエレベーターのように、西大路通りの南北の歩道に設置を検討してはどうかと提案しました。すると阪急電鉄も「京都市さんが歩道上にエレベーターを設置すれば、阪急として通路を空ける用意はあります」と回答しました。京都市の担当課にも行って要望しますと、「京都市としても検討する。阪急さんの意向も聞きたい」と検討を約束していただきました。なんとしても歩道でのエレベーター設置を具体化し、長年の住民の念願を実現していただきたいと思います。そこでお聞きしますが、本府も京都市と交通事業者のバリアフリー化事業に予算を出し推進する立場にありますので、西院駅のエレベーター設置とバリアフリー化について積極的に対応すべきと考えますが、いかがですか、お答えください。
次に、地元右京区を流れる京都府管理河川と桂川についてであります。
まず天神川については、以前にも本会議で質問させていただきましたが、七条通り付近から下流の水涸れがひんぱんに発生しています。水涸れになりますと、腐ったような悪臭が周辺に漂い、生活環境を悪化させ、住民から苦情が絶えません。河川美化に取り組んでいる地元関係者のみなさんをはじめ周辺住民のみなさんは、年間を通して水のたたえる自然豊かな川であってほしいと念願しています。
以前本府がボーリング調査を行った結果、年末や盆の時期の休みになると地下水の水位が上がり川の水が流れる傾向があると指摘していました。私は、その結果から地下水の変動をもたらす企業による地下水の大量のくみ上げが影響しているのではないか、その調査も行うべきではないかと質問いたしました。これに対して本府は原因が特定できる状況にないとしてひきつづく調査を表明しました。その後も水位の測定をはじめボーリング調査による地下水の水位調査などを実施し、原因の究明にあたっておられると聞きますが、調査の状況はどうなっていますか。企業による地下水のくみ上げは影響を与えていないのですか、現時点で水涸れの原因をどのように考えていますか、お答えください。
天神川については、美化推進協議会のみなさんを中心に、山ノ内学区を流れる養老田川と天神川の合流点などにおいて、親水公園づくりを検討されています。本府は京の川づくり事業の中で河川の親水公園化をめざし幾つかの計画をすすめておられます。京都府の桂川下流圏域河川整備計画(原案)の中でも、「地域住民のニーズを取り入れた親水性のある水辺空間の創出」の促進を図ると書かれています。子どもたちや住民の安心安全を十二分に確保したうえで、川に親しみ自然環境を大切にする場として親水公園を広げることは、重要な取り組みであると考えます。
ついては、天神川の親水公園化についても、地元住民の意見や要望を踏まえ、本府として検討していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
有栖川については、平成11年6月の被害など、たびたび浸水被害が発生してきました。桂川流域の京都府管理河川の1時間50mmの降雨に対する河川整備率は、平成21 年度末で約57.8%となっていますが、有栖川の整備率は6.1%と最も遅れています。このため本府の桂川下流圏域河川整備計画で流下能力を向上させる改修計画が示されていますが、今後の方針と見通しを明らかにしてください。
また、この整備計画では、遊歩道の整備には触れていませんが、一部に整備されている堤防の遊歩道は、地元住民の大切な憩いの場となっています。河川改修とあわせて全域で遊歩道を整備するよう求めます。あわせて現在の遊歩道については、いたるところに亀裂が走っており、修復工事を早急に実施されるよう求めますが、いかがですか、お答えください。
次に、桂川の治水対策であります。台風23号の際には、桂川の水位が上がり、洪水の心配が高まりました。住民の安心安全のために、まず急ぐ必要があるのは堤防強化のとりくみです。国の淀川水系河川整備計画でも、堤防の安全点検の結果、桂川で堤防補強が必要な区間が5.1キロあることが明らかになりました。しかし、その整備はおおむね30年間となっています。これでは、あまりにも遅すぎます。本府は、国の河川整備計画に対する意見で治水対策として堤防の強化を早くやるよう求めましたが、桂川の堤防強化についてはどのように考えていますか。国の整備計画を繰り上げるよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。
あわせて桂川の水辺の整備についてですが、計画でも、「自然環境や水辺の景観を活かしながら、人が水辺に親しめ近づくことができる環境づくりを行うため、地元の住民団体、河川レンジャー等の意見を聴きながら、自治体とも協力して、その地域に応じた自然環境や水辺の風景と調和した水辺の整備を行う」と書かれています。桂川の水辺整備はまだまだ遅れており、本府としても、地元住民や京都市、国と相談しながら、水辺整備の促進を図るべきだと思いますが、いかがですか、お答えください。
【建設交通部長】駅舎のバリアフリー化について、府内の利用者数が一日5000人以上の駅の整備状況は、今年度末で約83%となる見込みであり、116駅中20駅が残ることとなります。バリアフリー化については、まちづくりの中で市や町が主体となって整備計画を策定し進められるものであり、構造上の課題や駅員による対応が可能であるなど優先順位が低い駅が残ったものと考えています。
京都府としても、駅舎のバリアフリー化は大変重要と考えており、今年度末で国の財政支援等の制度が終了することから、国に対して制度の継続拡充を強く提案をしたところです。国においては、平成23年度予算案にバリアフリー化を支援するための経費が盛り込まれたところであり、先月にはバリアフリー化の基本方針の改正案に対して、パブリックコメントが行われるなど継続する方向で手続きがすすめられているところです。府としてもこれらをふまえて鉄道事業者や地元市町との連携のもとバリアフリー化の整備促進に引き続き取り組んでいきたいと考えています。
また、阪急西院駅のバリアフリー化については西院駅には既に階段昇降機が設置されており現時点ではバリアフリー化の基準は満たしておりますが、さらなるバリアフリー化にむけたエレベーターの設置について、駅の構造上から課題が多く、どのような方策があるか京都市と阪急で検討が始まったと聞いており、それらの動向をみながら本府としても対応してまいりたいと考えています。
次に、天神川下流部の水涸れについて、平成18年度から工場等による地下水の汲み上げとの関連を調べるため、水涸れ箇所を中心に半径1㎞の範囲で地下水の取水状況を調査する他、河川水位、地下水位、放流などの調査を実施したところです。この結果、地下水は深さ約40mにある不透水層を境に上下に分布しており、工場等は河川水位と関係しない下層の地下水を主として利用していることから、汲み上げと水涸れに因果関係はないものと考えております。
また、天神川の川床には、透水性の高い砂礫層が約40m堆積し、河川水位は上層の地下水位と連動していることが判明しています。今年度は、水涸れが発生している700mの区間の川床に井戸を7か所設置し、河川水が地下に浸透する箇所や範囲を測定するための調査を実施しています。今後は、この調査結果をもとに有効な水涸れ対策を検討していきたいと考えています。
天神川の親水施設の整備については府の桂川下流圏域河川整備計画原案において、地域住民と連携しながら地域のニーズをふまえて桂川下流域の河川について安全に利用できる河川空間づくりに努めることとしており、天神川の親水公園についてもその中で、地域の取り組みや意見をふまえて検討することとしています。
なお、天神川は急激な増水が生じるため利用者の安全確保が課題であり、整備する際には緊急時の避難体制の構築について地元の協力が不可欠であると考えています。
次に、有栖川の河川改修について、全延長6.1㎞を京都市が都市基盤河川改修事業として整備することとなっており、桂川合流点から上流370mについては、昨年10月に完成しています。河川整備計画原案におきましては、残る未整備区間のうち浸水被害が生じている下流側の区間約1.8㎞について、河道拡幅や河床掘削などを行う区間として位置付けています。京都市からは、引き続き完成した区間につながる200mの区間を優先的に整備してくいと聞いており、府としても整備が推進されるよう支援してまいります。
また、河川改修とあわせた遊歩道の整備については、改修済みの区間において公園と一体的に利用される約100mの区間で整備がなされています。今後の河川改修が行われる1.8㎞の区間における遊歩道の整備については、事業者である京都市において地域の要望や周辺施設等をふまえて判断されるものと考えています。
府が管理する遊歩道の修復については、地元からの要望を受けて現地を確認し、既に補修をおこなっているところです。
桂川の堤防強化について、淀川水系の河川整備計画が策定され、淀川中流域の河川整備が目に見える形で本格的に実施されています。桂川については、今年度当初に対前年度比で3倍となる約5億円の工事費が確保され、さらに補正予算で3.6億円の工事費が追加されています。この中で、洪水の浸透に対して、安全性の低い箇所の堤防強化が京都府から早期着手の要請も踏まえて、前倒しで開始されたところであり、引き続き着実な実施を国に要請していきたいと考えています。
桂川の水辺整備について、河道拡幅や掘削にともなうその整備のあり方について、国が昨年3月から地元の自治連合会や河川愛護団体などとワークショップを開催し、議論をスタートしています。京都府としては、水辺整備の前提となる河道拡幅などが早期に実施されるよう、今後とも国に要請するとともに、水辺整備にあたっては、身近な利用者である地域住民の声が整備内容に反映されるよう、国、京都市と連携して、取り組んでいきたいと考えています。
【かみね・指摘】バリアフリー化の問題について、「残っているのは優先順位が低いところではないか」という説明でしたが、これは交通事業者から見て優先順位が低いだけであって、利用者や住民から見れば優先度は極めて高いところが残っています。確かに、バリアフリー化が困難であるから残っているということなんですが、そういう困難な駅舎が残っているということを考えた時に、やはり、事業者任せでいいのかと。先ほど、市町村と交通事業者が取り組むのに対して、京都府が支援をすると。それはそうなんですが、そういう困難なところを、どうバリアフリー化していくのか、よっぽど交通事業者に対して指導したり、助言をしたりしないと、これはなかなか解決のめどがつかないということではないかと思っています。そういう点で、バリアフリー化については、ただ議論の結果待ちで、京都府があとで対応するというやり方ではなくて、より積極的にバリアフリー化を進める、能動的な京都府の姿勢を求めておきます。
天神川の水涸れについて、一生懸命調査にとりくんでおられることについては、ありがたく思っています。地元住民のみなさんは、土曜日、日曜日になると水が流れる傾向があるように思うとおっしゃる方がいまして、先ほど紹介したように、盆休み、正月休みに水が流れるということと共通しています。どうも地下水のくみ上げの影響があるのではないかということを感じざるを得ないんですが、先ほどの答弁では、「くみ上げは関係ない」と断定されました。その点、さらに調査をされるということですので、ぜひその辺は解明していただきますよう、格段の取り組みを求めたいと思います。
2月定例会 一般質問
松尾 孝(日本共産党、京都市伏見区) 2011年2月15日
日本共産党の松尾孝です。通告に基づき知事ならびに関係理事者に質問します。
TPP参加反対の表明を強く求める
【松尾】先ずTPP問題について伺います。
菅総理は昨年10月臨時国会冒頭、唐突に「環太平洋経済連携協定」(TPP)交渉への参加を表明しました。
総理はアジアの成長を取り込む「平成の開国」と言いますが、中国をはじめ、韓国、インドネシア、タイなど、アジアの成長を担う国々はTPPと一線を画しています。東アジア13国中、交渉に参加しているのはシンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシアの4ヵ国、人口でいえば5.7%です。しかも、いずれも既に日本とFTA、EPAを締結している国々です。この4ヵ国に、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、チリ、ペルーの5ヵ国が加わり、9ヵ国で交渉中ですが、仮に日本が入って10ヵ国になった場合、日・米2ヵ国でGDPの91%を占めることになり、TPPは実質的には日米FTAです。しかも、TPPは関税撤廃が原則ですから、「除外品目の交渉余地がない、日米FTAの締結」となるのは明らかです。
日本のTPP参加は、このような事実に照らして、また、アメリカの主導で進められてきた経過からして、アジアの成長を取り込むどころか、アメリカの経済戦略に日本が組み込まれるというのが実態ではないでしょうか。知事のご認識を、先ずお伺いします。
次に、TPPが国民に与える影響についてです。
先ず何よりも国民食糧の自給基盤の崩壊です。関税問題の中心は農林漁業関係ですが、関税がなくなったらどうなるか。仮に、60K3~4千円の米が入ってきたら米作りは続けられません。日本農業の土台、水田農業が壊滅的打撃を受けることは間違いありません。
牛肉、豚肉、生乳など畜産関係も影響が大きく、農水省の試算では農業生産額は全体として4、5兆円減少、食糧自給率も40%から13%に低下するとしています。
知事は先日の答弁で、何の対策も講じなければ影響は甚大だから、打撃を回避し地域農業を維持発展していけるような対策を国に求めており、6月に策定される基本方針をよく見る必要がある旨答えられました。
菅総理もTPPの下でも農業振興は可能としていますが、いま、明らかにされているのは結局、大規模化して競争力をつける、戸別所得補償で下支えする、この二つです。知事は、これで本当に打撃を回避し、地域農業を維持発展できる、とお考えでしょうか。あらためて伺います。
また、TPPはあらゆる分野の市場開放を求めており、関税の原則撤廃、非関税障壁の廃止が交渉の前提です。経産省の報告書でも、TPP参加には「関税はもちろん非関税障壁の撤廃に取り組むこと」、「全ての交渉国の同意が必要」、「アメリカについては議会の同意が必要」などが明記されています。
知事は、交渉はいろいろな曲折をへて、Win―Winの関係がつくられるかどうか、全体像を冷静に見守りながら対応していくべき、とも答えられました。
TPPに対する理解、ご認識が全く不十分ではないかと思いますが、いかがですか、お答え下さい。
非関税障壁がなくなれば一体どうなるのか。
例えば食品安全の問題ですが、アメリカはBSEの月齢規制撤廃、米輸入の際の安全検査の緩和、ポスト・ハーベスト承認などを求めてきていますが、「議会の同意が必要」となれば、これを呑まなければ日本は参加できないことになるのです。食糧を外国頼みにした上に、安全基準までアメリカ言いなりを押し付けられたので国民はたまったものではありません。
医療の問題についても日本医師会は混合診療の全面解禁や営利企業の参入などは国民皆保険制度の崩壊に繋がると強い懸念を表明しています。また、金融、保険の自由化が郵貯、簡保事業などを大きく変えることは間違いないでしよう。
TPPはこのように国民の日々の暮らしに直結する、「国の形を変える」とさえ言われている大問題であり、絶対に認めるわけにはいきません。全国で大きな反対世論、運動が急速に高まっているのは当然です。
ところが菅内閣はこれを無視してTPP参加を強行する構えです。国会の所信表明でもTPP推進の決意を述べ、先のダボス会議でも「6月には結論を出す」としましたが、それが「参加決定」となることはほぼ間違いありません。TPP参加問題はいまや重大局面を迎えているのであります。
そこで伺います。
知事は代表質問答弁で、参加はまだ決まっていない、政府の基本方針をよく見ることが必要、全体像を見なければだめ、輸出はどうなるか、などと答え、反対の態度表明を避けました。
京都の農業と府民の暮らしを守る知事として、TPPに反対するのは当然ではないでしょうか。改めて明確な反対の意思を表明されるよう強く求めますが、いかがですか、お答え下さい。
この際申し上げますが、世界的な異常気象のもとで食糧需給が逼迫、穀物価格は過去最高水準を超えています。食糧は可能な限り自国でまかなう、「食糧主権」は国連も認める世界の流れです。国の独立や国民の生存に責任を持つ政府は当然この立場に立つべきです。
「第3の開国」などと本来、市場任せにしてはならない食糧・農業分野まで自由化してはなりません。知事は「食糧主権」の確立を強く政府に要求すべきであります。ご見解をお聞かせ下さい
また、TPPの京都府への影響についてですが、北海道は、まさに。北海道沈没の事態、最近の熊本県の発表も産出額4割減という驚くべきものです。
京都府としても、京都の実態に応じた検討を行い、府民にTPPの影響をリアルに情報提供すべきと考えます。いかがですか。お答え下さい。
【知事】TPP問題について、私は全体像を見ていくべきだと思います。これは別にTPPだけを見るのではなくて、今までのアジアの各国の状況、たとえば韓国はアメリカとFTAを数年前に結ぶ時に、まさに農業問題が大騒動になりました。しかし韓国はそうしたことをやりながら、新しい貿易圏を作ろうとしている。中国はASEAN+3という形で取り込みを図ろうとしている。EUともFTAを結んでおりますから。では日本は、どうすればこのグローバル化の波に対して、全体像を作り上げていくのか。これを見ていかないと、TPPの問題だけを議論しても仕方がないと、私は申し上げているわけです。それは今までやっていたように、国は閣議決定において、市場として期待ができるアジア諸国、新興国、そして欧米諸国との経済関係を深め、将来に向けての成長や発展基盤を再構築していくという観点からEPA、そしてバイのFTAも含めてやっている訳なんです。じゃあ、FTAをどうするのか。バイでいくのか、それとも何でいくのか。TPPだけ反対してすむような問題では、今はないんです。そこを申し上げている。外交とは、こうした複雑な組み合わせを相手を見ながら繰り出していくだけに、そうした状況全体を考えながら政府の方針を見ていくのが、スジだと申し上げているんです。
農業振興については、何ら対策を講じることなくTPPに参加すれば、農林水産業に影響があることは明白だと、すでに申し上げています。このため、国においても実効性ある対策というものをしっかりと打ち出していただかなければならないということを申し上げるとともに、京都府としても競争力のある京都農業を作るために、今議会においても京力農業づくりの予算をお願いしているところです。
経済産業省は、商工の立場から審議会を作り、答申を出していきますから、そういった形で出てくるのは当たり前ですし、逆に、農林水産省は農林水産省の立場から出してくる。それを全体としてどう調整していくのかというのが、政府全体の立場だと思っています。
まさにじゃあ、輸出産業、ものづくり産業はどうしていくのか、こうした点も踏まえていかない限りは、全体像は語れないと思います。農業問題だけとらえているのは、それこそ全体像をとらえない話だと思っています。そして、TPPに参加しているオーストラリアと先日行なわれたEPA交渉においても、では米の問題を除外するのかというバイの交渉もその中で行なわれているわけです。こうしたことを踏まえて、私たちは、全体像をしっかりとこれからも見守っていきたいと考えています。
【農林水産部長】TPP問題について、いまだ国が参加の態度を表明していないことから、参加を前提として判断すべきではないと考えています。知事が何度もお答えしているとおり、国において、実効性のある振興策を求めるとともに、国家間の交渉の進展状況とか、国の検討状況を注意深く見守りながら、京都府の農業を守るために、京都の実態を踏まえた京力農業づくりなどにより、京都の強みを生かした農林水産業の振興を推進していきたいと考えています。
地球規模での人口増加や、新興国での食料輸入の拡大により、食糧の確保が物理的に困難となる状況も懸念されるなか、食料を自国でできる限りまかなうことは、大変重要なので、まずは国が責任を持って対応すべきものと考え、ただいま申し上げましたとおり、京都府の実態を踏まえ、国に政策提案を行なっています。
TPPの影響については、一つには農業分野では、食料生産だけでなく、生産者の所得確保、さらには農山漁村が京都府の環境保全や地域社会の維持にも関連していること、二つに、ものづくり産業をはじめとする中小企業など多方面にわたって関係があること、三つに、国も現在、農業振興策を打ち出すこととし検討中であることなどから、これらを踏まえずに影響を検討するということではなく、まずは国が、日本のあり方と振興策を示していくことが大切なので、先ほどから申し上げているとおり、国に対して政策提案を行なっています。引き続き、京都府の実態を踏まえた要望をしたいと考えています。
京都府の現状や課題を踏まえ、グローバル化の対応も視野に入れた京都府農林水産振興基本計画中間案について、府議会のご意見をお伺いするとともに、現在、パブリックコメントを通じて、広く府民の皆様と情報共有を図りながら、とりまとめています。引き続き全力で、京都府農林水産業の振興を図っていきたいと考えています。
【松尾・再質問】答弁いただきましたが、知事は「農業のことばかりいっていたらダメだよ。全体をよく見なさい」とおっしゃいます。韓国が思い切って、貿易を中心に工業立国でいくんだということで、FTA、EPAを関係国と結んでいる、それをお手本にすべきかのような発言もありました。あるいはまた、オーストラリアがEPAの交渉の中で、米を除外する意向も出ているやにおっしゃいました。いずれも間違いです。オーストラリアの例からいいますと、7年、8年はオーストラリアから日本への米の輸出はゼロ、輸出はないんです。10年も1万2千トンしか入っていない。オーストラリアは米をそんなに重視していないんです。だから牛肉、乳製品、砂糖、こういったものを全面的に日本に売ろうというのが向こうの狙いです。韓国は、知事はうまくいっているかのようなお話ですが、政府はつい最近、食料安定確保研究官民合同チームなるものを立ち上げて、しっかり検討していく必要があるということを大統領は打ち出したんです。食料需給逼迫の中で、世界的に上がっているんですが、韓国の値上がりがとくにひどい。OECD各国の中でトップレベルです。9月が13%、10月は14%、12月は10%となっている。大変なんです。これはやはり、農業を軽視して、こういうことになったらいかんといういわばお手本と見ていいんじゃないかと思います。
また、交渉はこれからでウインウインの関係でどうなるか全体の経過も見ていく必要があるというご意見ですが、昨日から始まっている第5回の交渉で、ニュージーランド、オーストラリアは、やはりアメリカに乳製品を売り込もうということで、アメリカが砂糖をガードするのを蹴るような対応をしているというような状況もすでにあるわけです。すべての関税撤廃というのを原則にしているというのを前提にものを考えないと、見誤ると申し上げておきます。
農林水産部長のご答弁もありましたが、結局、推移を見ていくと一言で申し上げていい考え方ですが、ところが日本が入る時は大体コンクリートされ固まっているところへ行くわけですから、日本の言い分が通るなどということは、まずない。コメについては、仮にオーストラリアがEPAで除外を認めるとしても、アメリカが絶対に認めないわけです。アメリカ議会がうんと言わなければ参加できないわけですから。そういうこともよく考えて、そして強く反対していくことが大事じゃないか。昨日の札幌の公聴会で北海道の知事は、北海道は特別だとおっしゃるかも知れないが、「オール北海道で反対していく」と述べておられる訳です。このまま黙っておられるということであれば、どうなってもいいということになりかねないんですが、京都の農業はどうなってもいいというお考えなのか、もう一度はっきりと、そこの所は答えていただきたい。
【知事】韓国の問題をおっしゃったが、韓国はまだ発効していませんよ。FTAは。署名しただけですよ。これからの問題なんです。農業をおっしゃったが、それでは中小企業、一生懸命がんばっているものづくり企業はどうするんですか。そうした問題にはまったく触れずお話しされるのを、私は一方的だと言っているんです。私は、京都の農業を守る立場と同時に、京都のものづくりの中小企業を守っていかなければならない立場から、両方からきちっとバランスのとれたことを国に対して提案していく立場です。そして外交というのは、おっしゃったようにそれぞれの得意分野、不得意分野があるから、これは非常に駆け引きです。それについて、われわれはしっかり提案することは提案し、あとはやはり、外交の基本である国の裁量をしっかり認めていくのが我々の立場なんです。そういう観点からしていかなければ、国の方向を誤ると思います。
【松尾・指摘】輸出はどうなる、中小企業はどうかというご意見です。冒頭に申しましたが、一番の相手国になる中国、韓国、そういう所は参加していないんですよ。そういう状況もちゃんと考えて判断するというのが当然ですし、やはり最大の相手国である中国、FTAとおっしゃるけれども、中国が簡単にFTAに乗ってこられるということは、まずありません。そういうことをよく考えて、ものを言っていただきたい。結局、先ほど申しましたように、どうなってもいいと、極言すればそういう態度だといわざるを得ないわけです。ウインウインでいい関係が作れるかどうか見ていくと、そんな悠長な話ではないと申し上げておきたい。
地球温暖化対策について
【松尾】次に地球温暖化対策についてです。
昨年の夏は世界中で洪水や旱魃、熱波や寒波など異常気象が相次ぎました。日本でも各地で高温記録が更新され、熱中症による死者が急増しました。世界気象機関(WMO)も2010年の年平均気温は観測開始以来、最も高くなると発表しています。気候変動は加速しており地球温暖化対策の推進、強化は待ったなしであります。
昨年メキシコ・カンクンで開かれたCOP16には京都議定書の継続が求められていましたが、明確な合意は得られませんでした。しかし、カンクン合意には「京都議定書の第2約束期間」との文言が明記され、第1約束期間との間に「空白(ギャップ)」を生じさせないよう検討するとされました。議定書の枠組み延長となる成果です。
そこで知事に伺います。
日本政府はCOP16の初日、「いかなる状況においても、日本が京都議定書の第2約束期間の削減目標を約束することはない」と京都議定書否定の発言を行い、外電は「京都議定書を殺す発言」と報じました。京都議定書を採択したCOP3議長国として恥ずべき発言といわねばなりません。この裏には「京都議定書」は不平等条約であるとする財界の強い圧力がありました。温暖化対策基本法制定が頓挫しているのもやはり財界の巻き返しによるものです。これを乗り越えなければわが国の温暖化対策は進みません。
京都府は昨年9月に策定した環境基本計画に「京都議定書は地球と人類の未来にとつて歴史的な意義を持つものであり、京都府は京都議定書誕生の地という誇りある地位を手にするとともに、地球温暖化対策のモデルとなる取り組みを実践し、世界に発信していく使命と役割を果たしていくことを決意した」と高らかに謳いました。
知事はこの京都府の使命と役割に照らしても、日本政府が今述べた態度を改め、COP17の成功に貢献するよう、強く求めていくべきと考えますが、いかがですかお答え下さい。
また、排出量取引制度、環境税、全量固定買取制度などを盛り込んだ温暖化対策基本法を一日も早く制定することも、COP17に向けて世界への大きな励しとなるものであり、政府と国会に強く要求すべきでありますが、併せてお答え下さい。
次にわが国の取り組みの遅れの問題です。第1約束期間の6%削減目標は達成見込みが立っていません。
ご承知のように日本のCO2排出量の30%は電力、即ち発電所からです。ところがこの発電のために排出されたCO2は、電力供給先の間接排出として、工場や、事業所、家庭などの省エネの取り組みに委ねられているのです。発電所に直接排出責任を求めない、これが国の方針であり、ここにわが国の温暖化防止対策の最大の問題があります。京都で言えば関電ですが、現在の京都府全体の排出量のほぼ6割に相当する860万トンものCO2を排出している舞鶴石炭火電も直接排出削減の責任目標はないのです。熱効率をあげる、木質ペレットを使う程度の対策です。
国に対し、電力企業を別扱いにせず、EU並みに直接排出の発生源対策を講じさせるよう強く要求すべきと考えますが、お答え下さい。
一昨年、議会海外調査でデンマーク、コペンハーゲン郊外のミルグロン風力発電所を視察しましたが、海上に2メガキロワットの風力発電機20基がならぶ見事なものでした。
この半分の10基は市民団体が、あと10基は電力会社が建設し、維持管理には風車の製造企業も協力していました。今後わが国でも電力企業のこのような取り組みがどうしても必要ではないかと痛感しました。
京都でも知事が関電に対し、風力や太陽光発電の買い入れ量の増量、買い上げ価格の引き上げなど独自の企業努力強く求め、「京都議定書」の地、京都から全国に先鞭をつけて頂きたいと考えますが、お答え下さい。
【文化環境部長】地球温暖化対策について、京都府は京都議定書誕生の地として、これまでからCOP開催等を行ない、すべての国や地域がそれぞれの利害を超えて、未来の地球環境のために、有効な枠組みが決定されるよう、政府に要請してきたところです。本年、南アフリカのダーバンで開催されるCOP17に向けても、京都市や関係団体と連携し、働きかけを行なっていきたいと考えています。
また、地球温暖化対策に関する基本法の制定をはじめ、今後の対策の基本となる再生可能エネルギーに係る全量固定価格買取制度、国内排出量取引制度などの施策に関しても、その確実な実施について、国に対して政策提案等を行なっています。
次に、電力会社の排出削減対策について。舞鶴火力発電所は、これまでお答えしているとおり、国のエネルギー政策の一環として、地域エネルギーの構成プラン、ベストミックスを考慮して導入されたものであり、また他の発電施設に障害が発生した場合、府民生活の安心安全を確保するという観点からも、考えるべきものです。京都府としてはこれまでから、関西電力に対し、安全運転や公害防止の重視とともに、会社全体としての電気排出係数の引き下げを強く要請してきました。関西電力では、舞鶴火力発電所でのバイオマス燃料の使用による年間約9.2万トンのCO2削減や、全体として電気排出係数を軽減させる努力が行なわれているところです。さらに、来る4月施行の地球温暖化条例の改正に伴い、関西電力に対して、従来の削減計画書及び報告書の提出制度に加え、削減対策の総合評価制度を適用することとしており、こうした仕組みも活用し、削減対策を一層強化するように指導していきたいと考えています。
また、太陽光発電の買取など、再生可能エネルギーの利用率向上については、単に電力会社だけに取り組みを求めるのではなく、そのためのコスト負担の仕組みも含めて、国のエネルギー政策全体の中で、考えることが必要です。このような観点から京都府としては、府施設における太陽光発電の積極的導入や、市町村施設への導入支援などを推進するとともに、固定価格買取制度の拡充等について、国への働きかけを強めていくこととしています。
【松尾・指摘】温暖化対策の遅れが、経団連の態度などに象徴される、いわゆる自主行動計画に見られる財界のやり方。ここにいわばがんのような問題があるということ。それの典型が電力の関係なんです。京都府では、新宮津火力75万キロワットをやめて、舞鶴石炭火力に変えた。石炭の排出量が大きいのはご承知の通りです。ベストミックスとおっしゃいますが、基準が違う。儲かるベストミックス、いかにすれば儲かるかというところから出発されたんじゃたまったものではない。このことをしっかり念頭に入れて、企業がもっと社会的責任を果たすような指導を、そもそも国がやらなくてはなりませんが、京都府としてもそれはしっかり考えていただきたいと申し上げているわけです。
指定管理者制度について
【松尾】次に指定管理者制度について伺います。
今議会に福祉関係7施設、他に1件、計8件の再指定が議案として提案されています。
導入後5年が経過したいま、指定管理者制度の運用についての検討が必要でありますが、折しも昨年末、総務省から「指定管理者制度の運用について」なる通知が出されました。
全国的な取り組みの中で留意点として、①この制度は単なる価格入札制度とは異なること、②定期的な見直しが必要なこと、③住民の安全確保に留意すること、④労働法令の遵守、雇用・労働条件への適切な配慮などが挙げられています。
いずれも適切な指摘でありますが、知事はどう受け止めておられるか、また、市町村への徹底、指導が求められていますが、どう指導しているのか、先ず伺います。
単なる価格入札制度とは異なる、との指摘は本府にとっても重要です。本府の管理者の指定要件として「効果的かつ効率的管理」が明記されており、指定申請者はいかに経費を圧縮して事業計画を作るか、まさに競争入札そのものであります。19年度の包括外部監査報告も管理運営費縮減の大半は人件費としていますが、指定管理移行の中で人員削減が行われ、福祉施設など人を減らせないところでは賃下げになっているのです。これではとても責任ある管理運営は担保出来ません。
提案されている福祉関係7施設中1件は社会福祉事業団への一括指定ですが、事業団は申請に際し、病気休暇、夏季休暇の廃止、給与の減額などを計画しているようですが、事業団は府がつくった事業体であり、各施設で、仮にもサービス低下をきたすことのないよう、府として責任ある指導、援助を行うべきと考えますが、お答え下さい。
また、これらの施設はそもそも指定管理者制度にはなじまないとの意見もあります。今後、再検討すべきと考えますが、いかがですか、お答え下さい。
安全確保の問題ですが、運動公園のプール監視員が全員アルバイトという問題があります。講習は受けているとのことですが、先日の後楽園ドームの事故例もあります。人命に関わる問題であり、改善すべきと考えますが、お答え下さい。
【政策企画部長】指定管理者制度について、今回の総務省通知にある留意事項については、本府においてはすでに制度導入当初から取り組んでいる事項であり、指定管理者の選定にあたっては、条例等に基づき、単に経済性、効率性の追求だけでなく、労働法令を含む法令の遵守をはじめ、施設の設置目的に沿った適切な安全管理やサービスの提供を安定的に行なえるか、より効果的な府民サービスを提供できるかという視点から、外部委員も含めた選考委員会において、総合的に評価しています。
また、指定管理者による管理が適切に行なわれているかどうかを、定期的に見直す機会を設けるため、指定期間を定めて選定を行なっています。さらに選定後においても、指定管理者から施設の運営状況に加え、勤務時間や人員体制等についても報告を受け、適切な施設運営がなされているか確認しています。
なお、今回の通知を受け、改めて関係部局に対し、制度の適切な運用を徹底するとともに、市町村についても助言を行ないました。
【健康福祉部長】指定管理者制度に係る京都府社会福祉事業団への一括指定について、今回の指定については、あらかじめ事業団から事業計画書の提出を求め、その内容が利用者へのサービス水準を維持向上させるものとなっているかなどについて、外部の有識者からなる選考委員会の審査を経て決定したところであり、指定管理料についても、そのために必要な予算を今議会にお願いしています。
なお、指定管理者が適切にサービスを提供しているか否かを常に点検し、指導援助を行なうことは、施設の設置者として当然のことであり、今後ともこうした対応をきめ細かく行なうこととしています。
また、府立の社会福祉施設については、利用者の立場に立ったより安定したきめ細かな運営が必要であり、京都府の公的な責務を十分に果たすという視点も重要なことから、指定管理者制度を活用するものの、事業者を公募により選定するのではなく、人的負担と経験、ノウハウを有し、これまでから適切に施設の管理運営を行なってきた京都府社会福祉事業団を単独指定しようとするものです。
今後とも、指定管理者制度のもとで、府立の社会福祉施設として、よりいっそう充実した運営が図られるよう、取り組んでいきたいと考えています。
【建設交通部長】プールの安全確保について、何よりも、安心安全に利用できることを優先すべきものと考えており、国の安全標準指針や衛生基準を踏まえて、指定管理者である公園公社に対して、管理責任者や衛生管理者を配置するなど、安全管理を適切に実施するよう、業務仕様書などで義務付けています。公園公社では、管理責任者や衛生管理者については、その資格をもった職員が当たり、その下に監視員としてアルバイトが従事していますが、救命訓練などの教育や業務マニュアルの徹底を図っており、さらに職員が巡回し、問題等が発生していないか、確認しています。このような体制により、利用者の安全は確保されているものと考えており、引き続き安全確保に努めていきたいと考えています。
【松尾・指摘】指定管理者制度で、総務省通達は、はじめからちゃんとそのようにやってきてますというご答弁でしたが、指定を受けるために競争が激しい、効率的にどうやるかという計算をして、事業計画を作られるわけですから、それが様々な形で、施設運営に現れてくる、これは日々の問題です。そういうことのないように、きちっとやって頂く必要があるんじゃないかということを強く求めて、終わります。ありがとうございました。
2月定例会 一般質問
山内 よし子(日本共産党、京都市南区) 2011年2月16日
少人数教育の推進について
【山内】日本共産党の山内よし子です。通告に基づき、知事並びに教育長に質問します。
まず最初に,少人数学級の推進について伺います。
文部科学省は来年度から小学校1年生の学級編制基準を40人から35人に引き下げる方向を示しました。ようやく30年ぶりに学級編成基準が変更されます
京都府議会にも毎年教育条件の整備を求める何万人分もの署名が集まり、長い間の保護者や教職員、府民の願いが一歩実現します。
しかし当初の文部科学省の方針では、来年は小学校1・2年生を35人学級に、以降毎年35人学級編成の対象学年を増やし、2016年には達成、17年に小学1年生を、18年に同2年生を30人学級にするというものでした。政策コンテストで民主党政権はアメリカ軍への思いやり予算1859億円は満額回答のA評価としながら、184億円の少人数学級についてはB判定とし、今回1年生だけの改善にとどまったのです。
国民の期待を裏切り続ける民主党政権に対して大きな批判が起こっています。
知事と教育長には国に対して、国の責任で学級編制基準を改善し、抜本的な教員の定数改善をはかるよう強く求めて頂きたいと思います。
同時に本府としてもさらにより良い教育条件の整備に努められることに、期待が寄せられています。
平成19年度のまなび教育推進プランで、府教委は義務教育9年間を見通して、30人程度の学級編制ができるだけの教員を増員する計画を立てました。
しかし小学校1,2年生についてはいまだにティームティーチングの対応です。
わが党議員団は、低学年についても30人程度学級を実施すべきだと要望してきましたが、今回の国の定数改善により1年生で35人以下学級が実現します。そして小学校3年生からは本府の30人程度学級になります。しかし2年生は40人学級のままで、大きな課題が残ります。
そこで伺います。
第1に、本府における30人程度学級を小学校1、2年生でも実施して頂きたいと思いますがいかがですか。
第2にTTの配置の問題です。トイレに行くのに教師が付き添わなければあとしまつができない児童もいて、そのたびにTTの先生に付き添ってもらっている。授業中に飛び出す子どももいて大変、とTTを拡充してほしいという声もあがっています。
昨年12月に改定された本府のまなび教育推進プランにおいても、児童数が30人以下でも課題が大きい場合は複数指導の必要があることや、小学校2年生の2学期以降も複数指導ができるよう人員を配置するとしていますが、直ちに実施すべきと考えますがいかがですか。お答え下さい。
また今回、中学校で35人以下学級を実現することが可能な教員を39人増員する予算が提案されており、いよいよ中学校における少人数学級に踏み出すことになります。ぜひとも府下全域で少人数学級が広がるよう願っています。
ただ、当初の府教委のまなび教育推進プランでは、中学校においても30人程度学級を実現する方向性が示されています。30人程度学級を実現しようとすれば、200人以上の教員を増やす必要があるとお伺いしました。当初の目標どおり、中学校で30人程度学級ができるよう、計画的に予算措置すべきと考えますがいかがですか、知事の答弁を求めます。
【知事】中学校における少人数教育推進について。来年度は教育委員会からの要望を踏まえ、すべての中学校で30人から35人程度の学級編成が可能となる教員配置について、教育委員会の見解を踏まえ、予算を今議会にお願いしています。私はやはり、京都では機械的な少人数学級ではなくて、市町村教委や学校の意向を踏まえ、たとえばティームティーチングや少人数授業、少人数学級、こうしたものを柔軟に取り組むことによって、現場の状況に応じた少人数教育ができると思っています。ここまでとピチッと分けてしまって、それ以下という形ではなくて、ある程度バッファをもった形でこれからも、少人数教育に取り組んでいきたいと思っています。それによって初めて、少人数教育が進んでいくということを期待しています。今後とも国における定数改善の動向も注視しながら、少人数教育の実施状況やその効果について、市町村の教育委員会や現場の学校と連携した教育委員会における検証を踏まえつつ、適切に対応していきたいと考えています。
【教育長】小学校における京都式少人数教育について。小学校低学年においては複数教員による指導ができるよう教員を配置していますが、学校や保護者から、「大変効果的である」「2人の先生に見てもらって安心だ」という高い評価を受けています。1,2年生においては国の定数改善による少人数での学級編成と合わせて、引き続きティームティーチングを実施していきたいと考えています。その活用方法については、2年生の2学期以降も含めて、それぞれの学校の課題や必要性に応じた配置も可能としています。今後とも、よりきめ細かい配置ができるよう努めていきたいと考えています。
【山内・指摘】中学校での少人数学級について。知事は一律に何人以下というようにはしないんだとおっしゃいましたが、私が質問したのは、京都式少人数教育で府教委が、30人程度学級を中学校でもやりたい、と言っているんです.30人程度学級をやろうと思えば、あと200名以上の教員を増やさなければならない。35人以下学級とちょっと違うわけです。そういう点で、ぜひこれは財政措置をお願いしたいと指摘要望しておきます。
ティームティーチングが効果的というのは当然のことで、子どもたちのクラスの規模を小さくする、そこに先生を付けていくというのは効果があるのは間違いないんですが、では30人以下のところで、予算措置がなされていないもとで、市町村教委ができるのか、それから2学期以降も可能だとおっしゃいましたが、それは今ある予算の中で可能であるだけで、そこは拡充を求めたいと思います。
正規教員の増員について
【山内】次に正規教員を増員する問題についてです。
「教育に臨時はない」と子どもたちの成長と発達を願い、多くの臨時教職員が教育活動に全力を上げ、「臨時教職員の存在なしに学校がまわっていかない」と言われます。
しかし、本府において、本来正規の教職員で対応しなければならないクラス担任などに多くの講師があてられ、定数内講師の方々の数が年々増えていることは大きな問題です。平成10年度は304名だった定数内講師が22年度は587名と激増し、国の定数にしめる正規教員の割合は91.9%と全国平均を下回っています。
先月、文教常任委員会で福井県に視察によせて頂きましたが、福井県では国の定数分は原則として正規の教員を採用しておられ、定数に占める正規教員の割合は100%です。
本来臨時の教職員を任用する場合は「緊急の場合」「臨時の職の場合」「任用候補者名簿がない場合」に限られているのです。
臨時の教職員がふえたため、年度途中の病休取得者などのあとが補充できない、いわゆる「教育に穴が開く」といわれる事態も広がっており、学級崩壊などの教育困難の中で教員が倒れ、そのあとの病休代替の教員が何週間も見つからず、管理職が交代でクラスに入って対応しなければないなど、教育困難をさらに加速させるような事態も起こっています。
府教委のホームページの講師募集のページは常に募集中となっており、昨年12月には9名、1月になっても3名、2月に入ってからでも丹後で常勤講師を募っています。正規教員なら故郷に戻って教師として働きたい、転居してでも働きたいという人はいます。しかしいつ首を切られるのかわからない講師として勤務してくれる人を見つけるのは大変困難なことです。
年度途中からでも正規に採用をおこなえば、教育に穴が空く事態は避けられます。
なぜ正規採用を増やさないのですか。せめて国の定数分については、正規の先生を確保すべきと考えますがいかがですか。
また4月から小学校1年生が35人以下学級になり、その結果79学級、85人ほどの教員が増えるとお聞きしました。新たに必要な教員を「定数内の臨時的任用」とするのではなく、教員採用名簿の追加登録を早急に行い、必要な教職員を正規採用すべきと考えますがいかがですか。
次に非常勤講師の問題です。
「4年間勤めた学校を、電話一本で首にされた。その後、週5時間の短時間の非常勤講師の仕事に就いたが、ボーナスが出なくても我慢し、毎月の国保料が給料と同額の5万円であってもがまんし、週に5時間はこの子たちの先生でいようとせいいっぱい、いつも明るく子どもたちと向き合っている」これは短時間の非常勤講師の声です。
しかしTTや少人数指導など、短時間勤務の非常勤講師の場合は、授業が終了してからアルバイトをしたり、他校での授業と兼務したりしているために、放課後に先生に質問しようと思っても先生がいない、など子どもと接する時間が狭められています。
また職員会議などの出席が義務付けられていないために、学習計画の立案や授業の準備なども相談できない、といった困難をもたらしています。
週10時間の講師の場合、月に約10万円程度の収入で、さらに保険もなく国民健康保険に加入しなければなりません。
「人間らしい生活ができない」「結婚したくてもできない」「親と同居でなければとても暮らせない」さらに「来年度は仕事があるのだろうか、と不安に思う」という声もよせられています。
教育の現場でワーキングプアが広がり、同時に教育現場の困難もましているのです。
こうしたことの根本原因は義務教育の国庫負担が削減され、総額裁量制が導入されるなど、安上がりの教育を推進する予算の仕組みが導入されたためではありませんか。いかがですか。
同時にこうした教育現場のワーキングプアはなくすべきと考えますがいかがですか?お答えください。
【教育長】教職員の採用について。正規職員については、年々採用者数を増やしており、昨年度、今年度と400名を超える教職員を採用し、来年度には500名程度の採用を予定しています。教員の追加採用については、議員ご指摘の国の定数改善により、増加することとなる学級数は、京都市を含んだ数字であり、府所管分については、半数程度になります。こうした教員定数の増加を含め、例年退職者数や児童生徒数の変動に伴う学級数の増減等により、必要な教員数は年度末まで確定しないために、これらの増減については従来から、翌年度の募集定員に反映させているところです。
定数内の臨時的任用については、可能な限り抑制していくことが望ましいとは考えていますが、今後とも、児童生徒数の推移や退職者の動向、府独自の少人数教育の充実や国における定数改善の動き等も見据えて、引き続き長期的展望に立った教員採用に努めていきたいと考えています。
非常勤講師について。義務教育費の制度改正による国庫負担金の負担割合の減少分は、地方交付税で措置されているところです。また、総額裁量制は地方の実態に応じて、柔軟に教職員が配置できる制度であり、ご指摘のように、この制度の導入は必ずしも非常勤講師の増加につながるものではないと考えています。教育現場における非常勤講師は、教科の持ち時間の関係など学校特有の事情により、特定の時間だけ担当していただく講師や、小学校低学年の指導補助など、正規の教員を配置した上で、さらに充実させるために任用しているものであり、財政的な理由により、正規の教職員の代わりに任用しているといった性質のものではなく、よりきめ細かな教育を実施していく上で必要なものと考えています。非常勤講師としての職務は、必ずしも固定的なものではなくて、正規職員への道も開かれていますので、一定の経験を積んだ上で教員をめざす方も多いことから、いわゆるワーキングプアの問題とは少し状況が異なるものと考えています。
【山内・再質問】本来、国庫負担がついた国の定数の先生を講師にしているというのは非常に大きな問題です。いろいろ改善しているとおっしゃいましたが、現在の教育困難を解消して、子どもたちの教育条件を整備していくためにも、最低限、国の定数については100%正規採用するのは当然だと思うんです。その認識はどうか。そしてこうした状況をいつまでも放置していていいのかどうか。再答弁を求めます。
【教育長・再答弁】定数内講師の問題は、先ほど答弁しましたように、入学者数や学級編成がまだ決まっていない段階では、新年度の定数自体を確定できません。また、退職者数の変動や新たな定数増による必要人員については年度末にしか判明しないので、翌年度の募集人員に反映させています。ご紹介があった福井県と京都府は違いまして、児童生徒の変動が激しい地域もありますし、今後の退職者の動向や年齢構成も随分違うので、私どもも定数内講師については、可能な限り抑制していきますが、過剰な人員にならないように、長期的な見通しをもって適切な人事管理を進めるというのも行政の責務だと考えています。今後とも適切な人事管理を進めていきたいと考えています。
【山内・指摘】変動の激しい東京では、定数の102%以上の正規教員がおられるんです。この問題は議会でも取り上げられてきて、そのたびに、適切に対応していると言いながら、どんどん定数内講師が増えてきているんです。中教審の提言でも、臨時の教職員が増えていることを問題視して、改善をしていかなければならないという認識を持っておられます。府教委の認識を改めていただいて、異常な事態を早急に改善すること、せめて定数内については、過剰な人員を生まないようにと言いながら、どんどん定数内講師を増やしていって、300数名だった定数内講師が、今や600名に近づこうとなっているわけです。定数内については100%正規採用するということを強く求めます。
特別支援教育の充実について
【山内】次に特別支援学校のバス介助と給食調理についてです。
6年前に舞鶴に新設養護学校が開校し、昨年は八幡に、そして今年の春には宇治に待望の養護学校が開校します。私たち日本共産党議員団は、保護者や関係者の皆さんとともに養護学校の建設を求めてきました。
新しい養護学校ができることを歓迎し、同時にそのことによって障害を抱えた児童生徒のより良い教育がすすむことを願っています。
しかし舞鶴及び八幡の支援学校ではスクールバスと給食調理員が民間委託されました。民間委託では学校との密接な連携をとろうとすれば偽装請負になり、良い教育ができなくなる、とわが党議員団は民間委託を撤回するよう求めてきました。
障害児を乗せたスクールバスの介助は、1台のバスに様々な障害を持った子どもたちが約20人乗車し、その子どもたちの安全と、そして発達保障に責任を持つ、大変専門性の高い仕事です。これまで本府の直接雇用の職員の場合、空き時間は教室に入ってともに教育を担い、担任や学校と密接に連携を取り、さらに保護者に対しても担任と保護者をつなぐ役割を担って来られたのです。
学校の教育の一環としてバス通学が位置づけられ、緊急な場合は教員もそのバスに同乗するなど自由に連携がとれ、ともに子どもたちの発達保障をになっていたのは本府の職員だからこそできたことなのです。
私は先日2日間かけて、バス介助員を直接雇用している南山城養護学校と業務委託をしている八幡支援学校のスクールバスの後を車で追いかけて、通学の様子を拝見させて頂きました。
2日間、共通して感じたことは、専門性が必要とされると同時に、想像以上に重労働の仕事だったことです。医療的ケアの必要な生徒や体の不自由な生徒を介助職員さんが2人でかかえてバスの中のベッドやイスに移動させますが、高学年になると体も大きく、さらに狭いバスの中でのかかえての移動は身体にかなりの負担がかかると感じました。
そして同時に大きな課題も感じました。それは、学校の中で職種は様々ですが、全ての教職員が一丸となって子どもの教育に携わっていたのが、私たちが危惧していたとおり、民間委託によってできなくなっていることです。
学校に到着した後、八幡支援学校では委託先の介助職員さんはバスの中の清掃などを行えば、それで業務は終了し、学校を後にされます。しかし南山城養護学校では介助職員の約3分の2の方が常勤職員さんで、バス介助の後、「これから学校の中で介助の仕事に就きます」とクラスに入っていかれました。ある介助職員さんは「障害が重度化・多様化している中で、ますます子どもの実態に合わせたバス内の取り組みが必要」なこと、そしてそのために「職員は教室に入って児童・生徒の様子をより深く知ろうと努力している。教室では当然バスとはちがう児童生徒の実態があり、その様子を知ることによってバスの中の実践に役立つことも多く学んでいる」とおっしゃっています。
また給食調理員さんも子どもたちに「食」を通して生きることの大切さ、心を育てることの大切さを教え、子どもの心と体を健全に作り上げていく専門性のある仕事です。
ある調理員さんは「常に縁の下の力持ちのような存在であることに誇りを持ち、これからも栄養教諭の先生と一緒に、調理員みんなで力を合わせ、あんしん安全で、本校の給食はおいしい、と子どもたちに笑顔で言ってもらえるようにがんばって行きたい」とおっしゃっています。
特別支援学校に通う児童生徒の状況は年々重度化しています。
4月に開校する宇治支援学校でも、全児童生徒数223人のうち、重複障害のある児童生徒は40人、その内21名は痰の吸引などの医療的ケアが必要な子どもたちです。
バス介助や給食調理の役割がますます重要になってくるのに、今の民間委託のやり方は逆行しています。
学校で働く様々な職種の方々が、子どもを中心にみんなで力をあわせてより良い教育を築いていくためにも、その業務だけを切り離して民間に委託するのはやめるべきです。
バス介助と給食調理について民間委託をやめて直接雇用にすること、さらに4月に開校する宇治支援学校においても、スクールバスの介助と給食調理を民間委託するのではなく、本府の職員として採用すべきと考えますがいかがですか。
2番目の課題は介助職員さんの労働条件と継続性の問題についてです。
本府の直接雇用の中でも非常勤の職員さんは朝7時半から9時半までと、午後2時半から4時半までの合計4時間が勤務時間になっています。しかし南山城養護学校では早い人では朝6時半に学校に来られてスクールバスに乗って「出勤」し、7時半から介助の仕事につかれます。時間給は1時間975円です。専門性も問われ、責任も重い仕事であるにもかかわらず、早朝と午後の時間を切った勤務で労働条件もよくありません。
インターネットの求人情報にも南山城養護学校のアルバイト職員募集という記事が目につきます。校長先生に伺いましたが、常勤職員さんは継続して来てくれるが、非常勤の方は続けるのが難しいと語っておられました。このことは民間委託では一層顕著で、八幡支援学校のスクールバスの委託先の介助職員10人のうち、すでに5人が交替したことが明らかになっています。
障害を持った子どもたちのことを良く理解し、継続的に勤務して頂くためにも、バスの中だけの非常勤の勤務ではなく、さらに1年ごとの臨時的任用ではなく、教職員とともに教育を支える担い手になって頂くために、介助職員さんを正規採用とすべきと考えますがいかがですか。
【教育長】特別支援学校のバス介助及び給食調理について。現在、府立舞鶴養護学校、八幡支援学校において、バスの運行管理と児童生徒の介助、また給食の調理、食器洗浄等を民間に委託しています。両校では、スクールバスによる安心安全な通学が確保されるとともに、児童生徒の障害の状況に合わせた給食が円滑に実施されています。そうした実績も踏まえて、今春開校する宇治支援学校においても、民間委託することとしています。
介助職員について。毎日の子どもたちの介助に大変ご苦労を頂いているところですが、バス介助は、登下校時に業務が限られるという特殊な勤務形態をとるものであり、それ自体では正規雇用になりにくいものですが、これまでから子どもの状況に応じて、必要な介助が円滑に行われており、今後についても現行の体制で対応していきたいと考えています。今後とも、特別支援学校の児童生徒の安心安全な学校生活を確保し、健やかな心身の発達を図るため、スクールバスの安心安全な運行と、児童生徒一人一人に合わせた学校給食が円滑に実施されるよう努めていきます。
【山内・再質問】医学の発達によって、より重い障害の子どもたち、それからより重度な医療的ケアを受けなければならないという子どもたちが、特別支援学校に通学できるようになっているんです。痰の吸引や人工透析の必要な子どもたちも通学しています。こうしたことに見合った体制がとれるのか、民間委託でより専門的な教育ができるようになっているのか、再答弁を求めます。
【教育長・再答弁】今紹介がありましたような医療等の対応も含めて、それぞれの子どもたちの状況については、民間団体にきちんと伝えています。民間会社も介助のプロであり、学校の方は教育のプロですが、それぞれの業務の独立性を尊重して、お互いに協力し合いながら、業務に携わっていくことが望ましいと考えています。
【山内・指摘】子どもたちをめぐる状況は、貧困と格差の拡大や行き過ぎた競争教育の中で、複雑・困難を極めて、教育の現場には、より継続性と専門性が求められています。必要な連携はとれているとおっしゃいましたが、やはり、学校、教育というのは、そこで働く様々な職種の方々が、子どもを中心にして、どうやってこの子の発達を保障しようか、どうやってこの子のいいところを伸ばそうかと、お互いに力を合わせて担っていくものだと思っています。バス介助と給食調理の民間委託はやめること、正規の教職員を採用することを強く求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
《他会派議員一般質問項目》
2011年2月14日
■松岡保(民主・木津川市及び相楽郡)
1 市町村未来づくり交付金について
2 麻しんワクチンの接種対策について
3 地元問題について
■荒巻隆三(自民・京都市東山区)
1 がん対策推進条例の制定について
2 国民文化祭における京の技の活用について
3 森林を守り育てる林業の担い手対策について
■豊田貴志(民主・京都市山科区)
1 安心・安全なまちづくりについて
2 商店街振興策について
3 府立高等学校における教育の推進について
2011年2月15日
■小巻實司(自民・京都市下京区)
1 スポーツ振興について
2 ひきこもり状態にある若者への支援について
3 鴨川治水対策について
4 文化財保護と観光振興について
■大橋一夫(民主・福知山市)
1 社会基盤の確保と整備などについて
2 地球温暖化対策について
3 医療の諸課題について
■岡本忠蔵(創生・舞鶴市)
1 公共再生プロジェクトについて
2 京都サンガF.C.について
3 舞鶴警察署の建て替え整備について
2011年2月16日
■山口勝(公明・京都市伏見区)
1 地球温暖化対策について
2 買い物弱者対策の取り組みについて
3 パーキングパーミット制度について
4 地元問題について
■村田正治(自民・宇治市及び久世郡)
1 宇治茶の世界文化遺産登録について
2 ゲリラ豪雨対策について
3 京都式少人数教育について
4 宇治警察署の建て替え整備について
■渡辺邦子(自民・京都市伏見区)
1 府庁旧本館の利活用について
2 京都府の教育について
3 警察官の人材育成について