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議会を終えて(談話)

府政報告 1982 11年2月定例会閉会

2011/03/15 更新
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●2月定例府議会が3月11日に閉会しました。次に「2月定例議会を終えて」、閉会本会議での意見書・決議案討論(山内よし子議員)、議案討論(原田完議員)、意見書・決議案文、意見書・決議案の採決結果と請願の審査結果を紹介します。

「2月定例議会を終えて」   ・・・・・ 1
山内よし子  意見書・決議案討論・・・・ 3
原田 完   議案討論   ・・・・・・ 6
意見書・決議案文   ・・・・・・・・・ 8
意見書・決議案採決結果、請願審査結果・・12

2011年2月定例議会を終えて

2011年3月15日
日本共産党京都府会議員団
団 長   新 井  進

 2月7日から開かれていた2月定例議会が3月11日閉会しました。今議会は、来年度の予算案と雪害対策の補正予算などを審議する重要な議会でした。わが党議員団は、本会議や予算委員会の審査などを通じ、重要な課題となっているTPP参加問題や京都経済の再生、中小企業支援、雇用対策、さらには国保や子育て支援など、府民の暮らしを守るため積極的な論戦を展開しました。

1、知事提案の予算案には、長年の府民の願いが一部反映したものとなっています。これは府民の運動とわが党議員団の論戦が実ったものです。
○すべての製造業の中小企業を対象にしたリース料への助成制度が実現しました。リーマンショック以来、親企業の仕事の打ち切りや大幅な減少で固定費が払えず倒産廃業に追い込まれる業者が多数ある中で、"京都の宝"中小企業を守れと要求してきたのが実ったものです。この事業の実施にあたっては、新規の機械の導入に限らず、すべての業者への支援となるよう求めるものです。
○私学高校生の授業料無償化が年収500万円まで拡大され、学校負担をなくす措置が取られました。これも「貧困の連鎖を生んではならない」と中途退学に追い込まれる生徒、卒業証書がもらえない生徒の実情を繰り返し取り上げ、求めてきた結果です。また、学校負担があるために府の制度が利用できない生徒も生まれている事実を明らかにし、改善を求め、これが実現したものです。しかし、他府県通学生は対象外とされたままであり、早急な改善を求めるものです。
○医師確保対策で医大、京大、医師会など「オール京都」での「地域医療支援センター」が設置されました。これは「医師確保策が府立医大頼みだけでは解決できない、オール京都で医師確保策を」と提案してきたことが実ったものです。今後、派遣された医師の研修体制など医師が安心して北部地域医療にかかわれる体制確立と南丹や山城地域での医師確保対策が重要な課題となっています。
○鳥獣被害対策予算が昨年当初の2.9倍に拡充されました。京都は、全国一の被害となり、農山村での暮らしを脅かしている実態を明らかにし、関係者とともに、防除や捕獲への支援、適正な個体数の管理、猟友会への支援と自治体としての捕獲専門班の設置など求めてきたことが前進したものです。
○国の融資制度の保障打ち切りのもとで、新たな独自の融資制度が府・市協調で実施されました。
○中学校での35人以下学級実現に必要な教員の増員がおこなわれました。これは「中学校も少人数学級を」の運動が一歩前進したものです。もともと「学びプラン」では30人程度学級をめざしており、この実現へ引き続き奮闘するものです。
○府営水道料金について、宇治系の据え置き、木津・乙訓系の引き下げが実現しました。これは、長年の住民の引き下げを求める運動と、わが党議員団の論戦、積極的提案が実ったものです。しかし、引き下げのための財源は、一般会計からの「貸付金」となっており、いずれは市町の水道会計や利用者負担となる危険があります。わが党議員団は、府の負担による軽減措置をとることを強く求めました。

これらは府民の運動と議会でのわが党の論戦が、府民の願いを実現する確かな力であることを示しています。今後とも、府民とともにいのち、暮らし、営業守る願い実現へ奮闘するものです。

2、こうした住民の願いを一部反映した予算案ではあるが、全体としては、多くの問題を含んでおり、わが党議員団は一般会計予算案には反対しました。
  第一に、京都経済の再生、中小業者への支援が求められているときに、その効果が実証されている住宅リフォーム助成に背を向け、商工会議所や商工会、中小企業団体中央会への補助金の大幅な減額を続け、「中小企業憲章」に反して、文化財保護事業でも中小企業排除の姿勢を取るなど、真の中小企業支援に背を向けていること。第二に、府民のいのちを守る上で重要な国保について、府の独自助成を削減したまま復活させず、国保料の値上げにつながる国保の広域化、一元化を進める予算となっていること、さらには子どもの医療費助成について、「検討の継続」となっているなど、府民のいのちを守る願いに背を向けたものとなっていること。第三に、市町村自治を壊す地方税機構による徴税強化や課税事務の共同化、さらに道州制をすすめる「関西広域連合」への負担金を含んだ予算となっていること。第四に、同和奨学金償還対策事業、畑川ダムや天ケ瀬ダム再開発などムダづかいが継続されていることから、一般会計予算案には反対しました。
  また、多額の費用がかかる「巨大貯留管・呑龍」の建設を含む、流域下水道事業特別会計予算案と過大な水需要予測と市民が使わない不要な水を押し付ける府営水道会計予算案、さらに、府立医科大学付属病院の個室料を大幅に値上げする提案など73議案のうち4件に反対しました。

3、今議会では、菅首相が「平成の開国」と称して進めようとしているTPP参加が京都の経済と暮らしに大きな打撃を与えるものであることがますます明らかとなっています。
  農業と農村に与える影響について、知事と理事者は「何も対策を打たなければ大変な状況が起こる」と言いながら、その与える影響についての試算も明らかにせず、「国に対策を求めている」と述べるにとどまっています。しかし、農業を守ることと両立できないことは明らかであり、農水省の試算をもとに、京都で試算すると、農業生産で256億円、洪水防止等公的機能408億円の大半が失われることになります。
  また西陣織などの伝統産業や中小企業への影響も無視できないものです。予算委員会の書面審査でも、ネクタイなど絹織物の8%乃至12.5%の関税がゼロになれば、西陣織のネクタイなど打撃は避けられないこと、西陣の関係者などが築いてきた西陣織などの原産国表示が、「非関税障壁」とされること、公共調達への参入も、WTO協定の「3500万円以上」が取り払われ、中小企業への官公需の受注が打撃を受けることなど、部長も否定できませんでした。また、安い労働力の流入など、雇用や労働条件へも大きな影響を受けることも明らかとなりました。
こうした審議を通じ、自民党議員からも「私もはっきり言えば怖い」と発言し、知事も運動の広がりの中で、予算委総括質疑では「私はTPPでもFTAでもEPAでも、どれの信奉者でもありません」と言い訳せざるを得なくなってきています。

4、本会議や予算委員会での論戦を通じて、いくつか重要な問題が明らかとなりました。
①今年度の予算案の歳入では、「4年連続の税収減」が強調されています。しかし、府税収入の減収は25億円、それに対し、国の経済活性化対策交付金などの基金の取り崩しが、184億円増、地方交付税(臨時財政対策債含む)も114億円増となっています。しかも、地域経済活性化公共事業交付金を原資とした基金を、「住宅リフォーム助成」などの経済対策にはまわさず、警察署の建て替えなどにあてています。こうした財政運営の結果、府債を235億円減らし、公債費プログラムでいう「キャップ」より90億円弱減少させています。
自民党議員からも、こうした公債費プログラム等による財政運営では、地域経済の活性化が図れないとする批判が相次ぎました。
また、給与費プログラムによる人員削減は、昨年現職の5人もの自殺者を生み出し、メンタルによる休務者が大幅に増えるなど、深刻な事態を生み出し、与党議員からも「府の職員も、町村の職員も、農業団体なども人員削減をした結果、地域、とりわけ農山村が疲弊している」と厳しい批判の声が挙げられるなど、府の財政運営が、府民の暮らしと地域経済、そして職員に犠牲を強いるものとなっていることが明らかになってきています。
②知事が強引にすすめようとしている「国保の広域化・一元化」についても、わが党議員の追及に、理事者は「いまの市町村国保、限界の制度が一緒になってもどうにもならない、国が抜本的な財政的見直しをする中で一元化すべき。いまの保険料は高いと思っている。今以上に上がることのない仕組みとなるよう国に求めたい」と答え、副知事も「国の財政的責任をきちっと検討し、負担すべき」と答弁しました。これは一昨年来、知事がすすめてきた「広域化、一元化」が行き詰り、わが党が指摘してきた国の財政負担を元に戻すことなしに解決できないことを示しています。
③住宅リフォーム助成については、その経済効果などがますます明らかとなり、与謝野町の視察会に幅広い業界団体が参加し、実施を求める声が大きく拡がってきたもとで、知事も実施しない理由を言えず「贅沢なリフォームには助成しない」という理由にならないことを言わざるを得なくなっています。実際の与謝野町の結果は「贅沢なリフォーム」ではなく、生活に支障をきたすような状況にあっても、経済的困難から手が入れられなかった住宅、行政が下水道整備を進めても財政負担から各戸への普及ができていなかった住宅などが大半であり、「贅沢なリフォーム」とは言えないことは明らかです。日本共産党以外の議員からも「民間資金も使った景気対策として賛成だ」とか「仕事おこしに役立つ制度と思う」など、支持の声も広がってきています。さらに運動を広げ実現に全力を尽くすものです。
④子どもの医療費助成について、引き続き「検討」予算のみ計上されました。わが党議員団は、「ただちに、小学校卒業まで、通院も無料にするよう」求めたが、知事は「拡充の時期及び内容について検討を進めているところ。財源確保も必要なので実施主体と調整しながら検討していく」と実施時期等を明らかにしませんでした。わが党議員団は一刻も早い実現めざし、引き続き府民とともに奮闘するものです。今議会では、民主党も、公明党も「助成制度の拡充を」求めました。これは前回の拡充の時と同様に、知事が検討を始め、実施が日程に上ってくると、あわてて「知事に求める」というもので、本当に拡充を求めるのなら、なぜ「早期実施を求める決議」に反対したのか、府民に明らかにすべきです。

5、今議会で、選挙管理委員および収用委員の報酬を、従来の月額から、勤務実態にあわせ日額とすることが提案され、わが党議員団は賛成しました。このほかの行政委員会の非常勤委員の報酬についても、実態に応じたものに府民目線で見直すことを求めました。

6、11日の閉会本会議中に発生した東日本をおそった巨大地震は甚大な被害を及ぼしています。被災されたみなさんに心からお見舞い申し上げるとともに、一人でも多くの命を救うための救助・救援活動、さらには一刻も早いライフラインの復旧に、京都府が挙げて支援に取り組むことを求めるとともに、わが党議員団も全力を挙げて奮闘するものです。そして、多くの府民のみなさんが、現地の実情に沿った支援活動に取り組まれるよう心から呼び掛けるものです。

 いよいよいっせい地方選挙が目前となりました。今議会でも示されたとおり、府民の運動と共同して奮闘する日本共産党議員団こそ、府民の願い実現の確かな力であることがますます明らかとなっています。また、府民目線から高すぎる「議員報酬の1/3カットを」と提案し、費用弁償の廃止や政務調査費の全面公開に取り組んできたのが日本共産党府会議員団であり、府民の「しっかり働く議員」「議会・議員もムダにメスを」の声にこたえて奮闘する日本共産党を伸ばしていただいてこそ、府民の期待にこたえた議会を作る保障です。いっせい地方選挙でのみなさんの大きなご支援を心から訴えるものです。

意見書・決議案討論

山内よし子(日本共産党、京都市南区) 2011年3月11日

日本共産党の山内よし子です。 ただいま議題となっております意見書案10件 決議案1件について、全てに賛成の立場で討論します。 
まず、わが党提案の意見書・決議案についてです。
最初にTPPへの参加に反対する意見書案です。
 菅首相は1月、スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会で講演し、TPP参加は「6月をメドに結論を出す」と述べ、TPP参加を国際公約したものと受け止められています。
TPP参加は、関税の撤廃だけではなく全ての非関税障壁をなくして人・もの・カネの流れを完全に自由化することを狙ったアメリカの要求に応えたものです。
アメリカはBSE対策における日本の月齢制限などの規制緩和や、日本では認められていない農薬などの残留を認めること、冷凍フライドポテトへの大腸菌付着をアメリカ並みに認めることなどを求めており、食の安全が完全に破壊されてしまいます。
また食と農業だけではなく関連産業も含めて地域経済に重大な影響を与えます。
今予算委員会の審議の中でも、商工労働観光部長は、原産国表示が非関税障壁として撤廃される可能性を否定できず、さらに公共調達について海外からの参入は現在3500万円以上でないとできませんが、それを下回る可能性があることを認めました。
地方議会においても多くの自治体で「反対」の意見書が可決されていますが、日本医師会や京都府保険医協会なども反対し、党派の違いをこえてTPP参加反対の世論は大きくなっています。
同僚議員の賛同を心から求めるものであります。
次に、住民のくらしを守り、子育てを応援するための意見書案4件と決議案1件についてです。
まず国民健康保険への国庫負担率の引き上げを求める意見書案です
京都国保調査実行委員会が先日発表した、京都市伏見区の調査の結果では、6割以上の方が国保料が高いと回答し、さらに病院に行く必要があるにもかかわらず、金銭的負担が理由の受診抑制が3割発生するなど、高すぎる保険料・医療費が住民の生活と健康を脅かしている実態が明らかになりました。
保険料の異常な高さの最大の原因は、1984年には50%であった国庫負担率が24%へと半減し、その結果1人あたりの国保料が2倍以上となったことです。
全国の政令市で所得300万円の4人家族で保険料が40万円と、所得の1割を超える事態に、菅首相すら「負担感はかなり重い」と答弁し、今議会の予算委員会の中でも浅田健康福祉部長は「今の国保料は高いと思っている、今以上にあがるようなことのない仕組みとなるよう国に求めていきたい」と答えられ、山内副知事は「ナショナルミニマムとして国が責任を果たすべきだ」と述べられました。
国民健康保険が本来の社会保障としての役割を果たすためには、広域化や都道府県単位の一元化ではなく、国庫負担の引き上げが必要です。本意見書案は国の国庫負担率を引き上げ、さらに市町村の一般会計から国保会計への繰り入れ中止を求める通知の撤回を求めるものです。
次に看護職員等の大幅増員、医療・介護の充実を求める意見書案についてです。
京都医労連が昨年度実施した、看護職員の労働実態調査では、看護の現場が一層忙しく、「1年前と比べて仕事量が増えた」という回答は62%に達し、「人員が少なく業務が過密」と回答した人が75%。この3年間に「ヒヤリ・ハット」を経験した人が85%をこえ、超過密労働のもとで患者の命と安全も脅かされていることが浮き彫りになりました。
 また看護職員が疲れ果てて退職などにおいこまれ、さらに看護師が不足するという悪循環に陥っていることも深刻な問題です。
 さらに看護師を確保できない病院が増えており、看護職員を大幅に増員し、看護師不足を解消することは国民の期待に応えるものです。
 本意見書案は、看護職員の労働条件を改善し、看護職員をはじめ医師・介護職員の大幅な増員と、国民負担を減らして安心・安全の医療・介護を実現するよう国に求めるものです。
次に2011年度公的年金支給額引き下げの撤回を求める意見書案についてです。
 1月28日に厚生労働省は2011年度の年金額を0,4%引き下げることを発表しました。
すでに高齢者の公的年金控除が縮小され、さらに老年者控除も廃止され、所得税や住民税の負担が増えています。さらに介護保険料や国民健康保険料の負担なども大きくなり、高齢者の生活は苦しさを増しています。少ない年金からいろいろと引かれてばかりで、これでは生活ができないという声が多くよせられているときに、さらなる引き下げは許せません。
政府はかつて2000年から2002年にかけて、年金の減額を凍結したことがありました。政府の決断で年金の引き下げを撤回することこそ国民の声に応えるものです。
次に「子ども・子育て新システム」の撤回を求める意見書案についてです。
「新システム」は公的保育制度の根幹である自治体の保育実施責任をなくして保育を親の「自己責任」とする、自公政権から引き継いだ方向です。幼稚園と保育所を一体化した「子ども園」の入所は、現在の市町村に申し込む保育所の仕組みを変え、保護者が自分で探して契約する「直接契約」にするものです。
利用料も収入に応じたものから利用時間に応じた応益負担にされ、親の収入にかかわらずどの子も平等に良い保育が受けられ、父母が安心して働き続けられるという保育の根本を揺るがすものです。  また、障害のある子どもや、低所得家庭が排除され、負担増から利用をあきらめ、子どもが放置される事態も懸念されます。親の収入による選別と格差を乳幼児期の子どもたちにひろげることは絶対に許すわけにはいきません。
 今やるべきことは公的保育制度を拡充し、待機児童の解消をすすめることです。
 すでに先月、自民党の保育関係議員連盟も公的保育制度を後退させ、保育を産業化するとして、明確に反対の決議をあげておられます。
その決議の中には、待機児童の解消は幼保一体化によっては解決されず、国と地方自治体が財源の確保もふくめ責任を持たなければならないこと、また児童福祉施設の最低基準が緩和されれば、保育環境も悪化すると指摘しています。
本意見書案には、当然多くの同僚議員の賛同を得られるものと確信しています。
次に子どもの医療費助成制度の速やかな小学校卒業までの無料化を求める決議案についてです。
「子どもが熱を出した時、迷わず病院に連れて行きたい」「子ども達は大きくなるまで病気が常につきまといます。せめて小学校卒業まで無料に」との切実な声がよせられています。
知事もマニフェストで、子どもの医療費の助成制度の拡充を約束されています。予算委員会でも、民主党や公明党から子どもの医療費助成の早期拡充を求める声が出されました。
拡充は待ったなしです。
これらの5件の意見書・決議案については、住民の暮らしが本当に大変な中で、地方議会が声をあげ、くらしを守ろうとするものです。こうした声をあげていくことも議員の大切な役割の一つではないでしょうか? 同僚議員の皆さんの賛同を求めるものです。
次に所得税法第56条の廃止を求める意見書案についてです。
中小零細業者は地域の経済を支える不可欠の存在です。同時に零細な企業では家族労働がその経営を担っていることが多くあります。しかし家族が従業している場合は、どんなに長時間働いたとしても、その給料は税法上では必要経費に認められず、全て事業主の所得に合算されます。
アメリカをはじめ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国でも家族の給料は経費に認められています。
しかし、日本では所得税法第56条で「配偶者とその家族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」となっています。
これは、明治時代の家父長制度をひきずったもので、人格や労働を認めない人権侵害の法律であり、日本国憲法の、法の下の平等、両性の平等、財産権等に反したものです。
「一人ひとりが人間として尊重される憲法に保障された権利を」というのは当然の要求であり、皆さんの賛同を求めるものです。
次に就職難の打開へ正規雇用の拡大を求める意見書案についてです。
小泉構造改革のもと、労働分野でも規制緩和がすすめられ、不安定で、簡単に労働者の首を切ることができる派遣労働が原則自由化されました。民主党政権に変わりましたが、労働者派遣法の抜本的な改正がなされないまま、多くの若者が不安定な働き方を余儀なくされています。
また新規学卒者等の就職難も深刻です。
「100社以上エントリーしても内定がもらえない。自分は社会から必要とされていないのではないか」と就職の決まらない若者の不安や絶望感ははかり知ることができません。
こうした就職難の根底には大企業による採用の大幅減があります。
大企業は、エコカー補助金やエコポイント事業などで1兆3000億円もの恩恵を受けており、2010年上期の経常利益もリーマン・ショック前の96%まで急回復したものの、主要100社はリーマン・ショック後の10年春、09年と比べて約1万3千人も採用を減らしているのです。
トヨタ自動車では、2006年春に3014人採用したのに、今春の採用計画ではわずか960人。パナソニックでは2008年春の800人が290人になっています。
国民の税金で巨額の支援を受けて業績を回復させた大企業が採用は大幅に減らしたまま。こんなことは許されません。本意見書案は大企業に社会的責任を果たすよう求め、さらに中小企業における正規雇用拡大の支援を求めるもので、みなさんの賛同を求めます。
なお、4会派提案の「若者の雇用対策の更なる充実を求める意見書案」については、賛成するものですが、大企業に対して何もものを言わず、雇用のミスマッチを就職内定率の低下の要因の一つとしていますが、これでは根本的な対策とはならないことを指摘しておきます。
同じく4会派提案の「公共交通機関のバリアフリー化の更なる推進を求める意見書案」についても、賛成するものです。
同時に本来全ての人の移動の自由が保障されることが求められており、現行の1日利用者数5000人という基準も、さらに引き下げることが必要です。
またバリアフリーや安全対策の推進にあたっては、とりわけ過去にホームからの転落死亡事故が数件起こっているJR長岡京駅のホーム柵の設置、また1日乗降客数が3万人を超えるJR西大路駅のエレベーターの設置など、懸案事項の早急な改善が必要です。
 そして、国と地方自治体だけに対策を求めるのではなく、JRなど事業者の責務を明確にすることも必要なことと考えます。 
以上で討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。

議案討論

原田完(日本共産党、京都市中京区) 2011年3月11日

日本共産党の原田完です。議員団を代表して、ただいま議題となっている議案73件のうち、第1号、第9号、第13号及び第44号の議案4件に反対し、他の69件に賛成する立場から討論を行ないます。 

まず、第1号議案「平成23年度一般会計予算」についてです。


 今回の予算には、収入500万円以下世帯の私立高校授業料無償化や中小企業へのリース料補助の拡充、オール京都による医師確保対策、深刻な鳥獣被害対策の予算拡充など、府民の強い要望であったものが盛り込まれており、その点については評価するものです。しかし、予算全体には大きな問題があります。
第一に府政の基本姿勢です
知事は、農業や中小企業に留まらず、府民のあらゆる分野に重大な影響を及ぼすTPP(環太平洋連携協定)参加に対して、極めてあいまいな態度に終始しています。TPPは、農業だけでなく、ヒトも物もサービスや金融もすべて貿易の障壁をなくし、日本の農業を破壊し、食の安全と安定的な食料供給を大きく脅かします。林業、水産業、食品製造業や輸送などの関連産業にも大打撃となり、雇用と仕事を奪い、地域経済全体にはかりしれない被害を及ぼします。
農業での影響を農水省が試算していますが、この方式で試算すると京都では256億円の生産額減少、洪水防止機能など、農地の公共的な役割を考慮すれば600億円以上の影響が考えられます。さらに「非関税障壁の撤廃」という名で規制緩和が進み、雇用や労働条件を悪化させます。医療や中小企業にも深刻な影響があります。西陣では絹織物やネクタイの関税がゼロになったり、原産国表示もなくなる可能性があり、安いネクタイや絹製品の輸入で産地は危機にさらされます。
知事は、予算委員会の総括質疑でも「TPPに参加するかしないかについても、たとえ交渉に参加しても、条件が合わなければ、TPPに入らないと菅首相も言っています。」と政府の立場を擁護し、いまだに京都府農業への影響の試算も示そうとしていません。府民の暮らしを脅かすTPPに明確な反対を取らない態度は、府民の代表の知事として決して許されません。
第二に京都経済の活性化の問題です。
先日府が決定したプランである「明日の京都」には、「倒産、廃業を減少させる」ことが書かれています。事業所の減少率が日本屈指の京都にとっては当然のことです。予算委員会での議論においても、他会派の議員からも「中小支援施策に積極的財政支出を」との発言が相次ぎました。経済の流れを変えて仕事をおこす、府政がそのことに真剣に取り組むことが求められているのです。
ところが、知事は、本議会の論戦の中でも、地域経済の活性化、景気対策に大きな効果のある住宅リフォーム助成制度実現の要求に背を向けてきました。
住宅リフォーム助成制度は、県段階では秋田県から山形、奈良県と広がりを見せ、今や180を超える地方自治体にまで広がっています。知事は、「贅沢なリフォームに税金を投入するつもりはない」「耐震やバリアフリー、太陽光発電の政策目的でやっている」と言われますが、与謝野町で実際に活用されているのは、屋根の修理や下水管の接続など、今までやりたくてもなかなか出来なかった改修工事が圧倒的なのです。そして町内の7割の越える業者が、この事業を活用しているのです。
2月7日に開かれた「与謝野町住宅リフォーム視察会」には、京都府内の管工事工業協同組合、板金工業協同組合、鳶工業協同組合、瓦工事協同組合、電気工事工業協同組合、丹後左官工業組合、塗装工業協同組合など建設関係の組合からも多数参加され、制度実現へ期待が広がっています。
府民の暮らしや実態にまともに目を向けず、制度実現の願いに背を向けることは許されません。
また昨年、中小企業に配慮せず、実質的に大手企業を優先したスクールニューディール事業、学校のデジタルテレビ落札が大問題になりました。議会での追及と京都府電機商業組合等の中小企業者からの要望で、その後の入札では一定の改善が図られました。ところが、今回、文化財である寺院の防火消火設備の工事に際して、府から発注者の寺院に対して、実質的に大企業を優先するような助言がなされ、指名入札に実績のある府内業者が一社も参加できない問題が起きました。地域経済の振興、地元中小業者に留意しない知事の姿勢は変わっていません。昨年6月、政府が閣議決定した中小企業憲章には、「中小企業の持つ個性や可能性を存分に伸ばし、自立する中小企業を励まし、困っている中小企業を支え、そして、どんな問題も中小企業の立場で考えていく」ことが明記されています。知事がその立場に立ち府政に徹底させることが必要です。
さらに、3万社の中小企業訪問を目玉に打ち出していますが、その中心になる商工会議所等の補助金は、毎年減少しています。今年度は5913万円削減し、中小企業団体中央会への補助金も1300万円削減。今年度も商工会議所・商工会への補助金を4837万円削減し、この5年間では1億5600万円も削減したのです。これで、中小業者を支援していると言えるでしょうか。
 固定費補助に関連して、今年度予算で製造業者のリース代補助が拡大されました。昨年度の7業種のみの支援から、全ての物づくり中小企業への支援と対象の広がりは前進ですが、設備導入の時期など弾力的に判断するなど、中小企業にとって効果あるものになるよう運用されることを求めておきます。
第三に府民の命と暮らしを守る国民健康保険制度と子どもの医療無料化の拡充についてです。
今年も各自治体の国民健康保険料の値上げが府民の暮らしを圧迫する事態が進み、深刻な事態となっています。この国民健康保険料の値上げ問題のおおもとには、本来、国が国保会計全体の50%を負担していたものを自民党政権のもとで引き下げられ、今や24%となっていることがあります。民主党政権は9000億円の繰り入れを公約していたにもかかわらず、40億円の繰り入れに留まっている事が大きな原因の一つとなっており、国負担の引上げを求めるべきものです。あわせて、府が廃止した市町村国保への独自補助も復活すべきです。
また、知事は国保一元化を積極的にすすめようとしていますが、国保法の第1条は「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的」とし、第4条では、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行なわれるようにつとめなければならない」と国の責任を明確にしています。
政府は、市町村が一般会計から国保会計に繰り入れているのをやめるように通知を出しています。「一元化」した場合、現在、府内市町村からの繰り入れ、約36億円がなくなり、保険料の値上がりは明白です。知事は代表質問の答弁でも、『「上がる、上がる」ということを極端にあおっている』と答弁されましたが、現に36億円の繰り入れが無くなれば、その不足分はだれが負担するのか、結局加入者負担になり保険料の大幅な値上げをまねくことは明らかです。
また、府民の切実な願いである子どもの医療費無料化拡充について、対象や具体的なスケジュールを示さず、先送りしていることは許されません。
第四に地方自治のあり方が問われる京都地方税機構と関西広域連合の問題です。
府民の反対を押し切り設立された地方税機構は、今年度、滞納処分の停止基準を作成しましたが、これまでの府基準を大幅に後退させました。さらに課税事務の共同化も進められており、厳しい徴税と納税者の権利を奪う地方税機構の運営分担金を含んでいる予算には反対するものです。
また、「関西広域連合」は、住民にはほとんど説明されないまま発足しました。関西財界のベイエリア構想に財政を集中させようとする道州制構想につながるものです。「地方主権」の名のもとに財政力のない市町村と住民生活を切り捨て、住民自治と地方自治を否定する関西広域連合は、憲法と地方自治、住民生活を破壊する道州制のステップであり、この負担金を含んでいる予算には反対するものです。
最後に、不要不急、無駄な事業の見直しがされていないことです。
 同和奨学金償還対策事業、畑川ダム建設、天ケ瀬ダム再開発など淀川水系のダム開発への予算計上をやめ、府民の暮らしと営業を支援するために使うべきです。
以上、第1号議案は、厳しい不況のもとで、営業と暮らしがいよいよ困難になっている府民の願いにこたえるものにはなっておらず、反対するものです。

次に、第9号議案「流域下水道事業特別会計予算」についてです。
 治水対策は、多額の費用と長期間を要する呑竜、巨大貯留管方式ではなく、小規模貯留管の敷設や河川改修などによって行なうべきであり反対するものです。
次に、第13号議案「京都府府営水道会計予算」についてです。
府営水道料金について「府の積極的な支援」を求めた府営水道経営懇談会の提言を受け、本府は、宇治系の料金を据え置き、乙訓系10円、木津系11円の値下げを決めました。わが議員団が求め続けてきたものでありますが、値下げ財源として、一般会計から1億1千万円の貸付として、来年度以降、平成26年度まで4年間貸付で対応するとしています。書面審査では公営企業管理監も、「公営企業にとっては非常に厳しい部分」と答弁しました。今回の措置は、水道懇の言う「府の積極的な支援」とは違い、受水自治体・住民の水道料金に跳ね返る可能性があり、問題だと指摘しておきます。
また、過大な水需要予測により供給されている基本水量のうち、現在、受水市町での使用水量は、60%程度に過ぎません。過大な基本水量による18億円にも上る「カラ水料金」を市町に押し付けていることは、市町での水道会計健全化・水道料金の大幅値下げの妨げとなっています。
さらに、水利権の問題もあります。過大な水需要予測を見直せば、新たな水利権は不要です。日吉ダム、比奈知ダムの未利用水利権を活用し、これを天ヶ瀬ダムに振り替えれば、毎秒0.6トン近い水利権は確保でき、38億円もの負担はなくなります。
過大な水需要予測の見直し、未利用水利権の活用を拒否し、「カラ水料金」を押し付けている予算案には反対です。
第44号議案は府立医大病院の個室利用料を大幅に値上げしようとするものであり反対です。
その他の議案について、いくつか指摘をしておきます
第18号議案「京都府選挙管理委員および収用委員等の報酬並びに費用弁償条例の改正の件」は、賛成するものですが、その他の行政委員会の非常勤委員の報酬のあり方についても、今後、その勤務の実態に即して、府民目線からの見直しを行なうよう求めておきます。
第35号から第42号まで計8件の指定管理者指定の件についてですが、昨年12月、総務省が指定管理者制度についての通達を出し、その中で、公共サービス水準の確保と逆行しないように「単なる価格競争による入札とは異なる」と指摘、適切な運用を求めています。通達の内容が生かされるように指摘しておきます。
第71号及び72号議案の契約案件に関してですが、いずれも事前に予測可能な理由による工事費の大幅な増額であり、今後このようなことのないように指摘しておきます。
最後に一言申し上げます。今期選出された議員にとって最後の議会となりました。日本共産党は住民が主人公の自治体めざして、この一斉地方選挙でも全力でがんばり、必ず前進する決意を表明して、私の討論を終わります。ありがとうございました。

意見書・決議案文

可決(提案:自民・民主・公明・創生、賛成:全会派)

行政書士に行政不服審査法に基づく不服申立手続の代理権を付与することを求める意見書

行政書士制度は、昭和26年の行政書士法施行以来、国民と行政との橋渡し役として広く浸透している。
平成20年7月には、行政書士法の一部を改正する法律が施行され、行政手続法に係る許認可等に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述の代理を行政書士の業務とすることが明確化されるなど、複雑多様化する行政に関する手続において、適正で迅速かつ円滑な実施が行える環境が整備されてきたところである。
しかしながら、一方で、行政不服審査法に基づく不服申立手続については、行政書士に対し、その代理権が、未だ認められていない状況にある中、必ずしも、国民にとって複雑な不服申立手続が行いやすい環境になっているとは言い難い。
官公署への提出書類等の作成・提出を熟知する行政書士に対し、不服申立手続の一連の行政手続について、その代理を可能とさせることは、国民の権利行使の拡大に大きく寄与するものである。
よって、国におかれては、行政書士に対し、行政不服審査法に基づく不服申立手続の代理権を付与されることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

可決(提案:自民・民主・公明・創生、賛成:全会派)

公共交通機関のバリアフリー化の更なる推進を求める意見書

本格的な高齢社会を迎えたことで、高齢者が安心して生活を送りながら、社会・経済活動にも積極的に参加できる社会の構築がますます求められている。また、障害者が必要なサービスを享受しながら、自立し、安心して暮らすためにも公共施設等のバリアフリー化が喫緊の課題である。
政府は、これまで平成18年制定の「パリアフリー新法」に基づき、1日の平均利用者数が5,000人以上の鉄道駅やバスターミナル等について、平成22年までにすべてバリアフリー化することを目標に取組を進めてきた。しかしながら、例えば鉄道駅のバリアフリー化の進ちょく率は約77%(平成22年3月末現在)に止まっている。
よって、国におかれては、新たな政府目標を定めた上で、政府、地方公共団体、事業者の連携強化を図りつつ、地域のニーズに対応した公共交通機関のバリアフリー化を更に推進するよう、次の事項の実施を強く求める。
1 新たな政府目標を早急に定め、地方公共団体、事業者の理解を得るよう周知徹底に努めること。
2 市町村によるパリアフリー基本構想の作成が更に進むよう、未作成地域を中心に、実効性のあるよりきめ細かい啓発活動を行うこと。
3 地方公共団体の財政状況に配慮し、補助等の支援措置を充実すること。
4 特に、鉄道駅のホームにおける転落防止効果が期待されるホームドア(可動式ホーム柵)設置に関する補助を充実すること。
5 身体障害者や要介護者など移動制約者の福祉輸送ニーズに対応した福祉タクシーやノンステップバスの普及に努めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:共産、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生

就職難の打開へ正規雇用の拡大を求める意見書(案)

 京都府内での就職内定は、2011年1月末現在で高卒者86%、未内定は290人、大卒者62.9%、未内定は1万1千人にのぼり、「100社以上就職試験を受けても受からない」など超氷河期というべき深刻な状況である。若者が未来にまったく希望を持てない事態となっており、日本社会の行き詰まりを象徴する重大問題である。
 こうした就職難の背景には、リーマンショック後の不況が長引いている事情はあるが、主要には10億円以上の資本金を持つ日本の大企業が、過去最高の利益をあげ244兆円もの内部留保をためこみながら、正社員としての新規採用を大幅に減らしていることがある。未内定の学生12万6千人の給与(1年分)は内部留保の0.2%を取り崩しただけでもまかなえるのである。
 いま景気回復のために賃上げとともに正規雇用の拡大が急務であることは、財界やマスコミからも意見が上がっており、大企業が率先して正規雇用を拡大することは重要な社会的責任である。中小企業の多くは正規雇用に努めており、国からの支援を強め雇用拡大をはかることも緊急の課題である。
よって国におかれては、青年に正規雇用を保障し、夢と希望の持てる社会を築くために、大企業に雇用拡大の社会的責任を求め、新規学卒者等に対する正社員の採用枠の大幅拡大を行うことを強く要請すること、さらに中小企業での正規雇用拡大を手厚く支援するよう要望するものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

可決(提案:自民・民主・公明・創生、賛成:全会派)

若者の雇用対策の更なる充実を求める意見書

今春卒業見込みの大学生の就職内定率は昨年12月1日時点で68.8%にとどまり、調査を開始した96年以降で最悪となった。日本の将来を担うべき若者の人生にとって厳しい問題であり、経済・社会の活力低下という点から見ても大変憂慮すべき事態である。
景気低迷が長引く中、大企業が採用を絞り込んでいるにもかかわらず、学生は大企業志向が高く、一方、採用意欲が高い中小企業には人材が集まらないといった、いわゆる雇用のミスマッチ(不適合)が就職内定率低下の要因の一つと考えられる。政府は、こうした事態を深刻に受け止め、今こそ若者の雇用対策を更に充実させるべきである。
特に、都市部で暮らす学生が地方の企業情報を求めても、地方に所在する多くの中小企業は資金的余裕がないなどの理由で事業内容や採用情報などを提供できておらず、都市と地方の雇用情報の格差が指摘されている。若者の雇用確保と地元企業の活性化のためにも自治体が行う中小企業と学生をつなぐ「マッチング事業」に積極的な支援が必要と考えられる。
よって、国におかれては、雇用ミスマッチの解消をはじめとする若者の雇用対策を充実させるため、次の事項を早急に決定・実施するよう強く求める。
1 人材を求める地方の中小企業と学生をつなぐための「マッチング事業」を自治体が積極的に取り組めるよう支援すること。
2 都市と地方の就職活動費用の格差是正とともに、どこでも情報を収集できるよう就活ナピサイトの整備等を通じて地域雇用の情報格差を解消すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:共産、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生

所得税法第56条の廃止を求める意見書(案)

所得税法第56条は、自営業者が家族従業員に支払った賃金を必要経費に算入することを認めていない。このことは、不況にあえぐ中小業者に一層の打撃を与えるとともに、家族従業員の社会的、経済的自立の上で大きな障害となっており、「白色申告」の場合でも認められるようにすることは、関係者の切実な要求である。

アメリカ、フランス、ドイツ、韓国など世界の各国では、家族従業員の働き分は、一般の従業員と同様に経費として認められている。また、京都府内の自治体を含め、全国の多くの自治体の議会で、所得税法第56条廃止を求める意見書が可決されている。こうした中、同法56条の見直しについては、自公政権時代や、民主党政権になってからも、政府が「検討する」としてきた経過がある。
よって、国におかれては、ただちに所得税法第56条を廃止することを強く求める。
 以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:共産、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生

国民健康保険への国庫負担率の引き上げを求める意見書(案)

 国民健康保険料(税)の大幅な値上げが相次ぎ、深刻な事態が広がっている。全国の政令市で所得300万円の4人家族で保険料(税)が40万円前後と所得の1割を超える事態に、菅首相すら「負担感としてはかなり重い」と答弁せざるを得なくなっている。
保険料(税)の異常な高さの最大の原因は、1984年度50%であった国保会計全体に占める国庫負担率が24%へと半減し、その結果1人当たりの国保料が2倍以上となったことから明らかなように、国庫負担を引き下げ続けてきたことである。
その上、政府は、昨年5月、市町村の一般会計から国保会計への繰り入れ中止を求める通達を出し、国保会計の悪化と国保料(税)値上げに拍車をかけている。
深刻となる国民健康保険の現状を抜本的に改善するためには、国保の都道府県単位への一元化ではなく、国が姿勢を改め、社会保障である国民健康保険に対する責任を果たすことこそ求められている。
よって、国におかれては、直ちに国庫負担率を引き上げ、国民健康保険財政の立て直しを図るとともに、昨年5月の厚生労働省通達を撤回することを強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:共産、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生

「子ども・子育て新システム」の撤回を求める意見書(案)

 現在、政府において検討され、2013年度にも実施が計画されている「子ども・子育て新システム」は、直接契約や直接補助方式に変更するなど、現行保育制度における国や自治体の公的責任を後退させるものである。
 「子ども・子育て新システム」が実施されれば、保育における地域格差が生じ、応益負担の導入で、家庭の経済状況により保育に格差が生じかねない。さらに保育を必要としている子どもたちが、保育を受けられないことにもなる。これらは、すべての子どもの生活と発達を保障してきた現行保育制度の理念を大きくゆがめるものである。
 現在、保育所待機児童が急増するなどの事態のもと、国と自治体の責任による現行保育制度の拡充と、質の高い保育と子育て支援を保障することこそ求められている。
 よって、国におかれては、「子ども・子育て新システム」は撤回し、現行保育制度の拡充を行うことを求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:共産、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生

看護職員等の大幅増員、医療・介護の充実を求める意見書(案)

 日本の医療は、社会保障費抑制政策のもとでも、現場の懸命な努力で支えられてきた。しかし今、医療現場は長時間過密労働に加え、医療技術の進歩や医療安全への期待の高まり等により、看護職員等の労働環境は厳しさを増し、離職者も多いため深刻な人手不足となっている。
 その解決のためには、看護師など夜勤交代制労働者の労働条件を抜本的に改善するとともに、人員を大幅に増やしてこそ、安全・安心の医療・介護が実現できるものである。
よって、国におかれては、安全で行きとどいた医療・看護・介護の充実をはかるため、以下の事項について実現を強く求めるものである。
1 ILO看護職員条約に基づき、看護師等夜勤交代制労働者の労働時間を1日8時間、週32時間、勤務間隔を12時間以上とすること。
2 医療・社会保障予算を先進国(OECD)並みに増やし、医師・看護師・介護職員等を大幅に増やすこと。
3 国民負担を減らし、安全・安心の医療・介護を実現すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:共産、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生

2011年度公的年金支給額引き下げの撤回を求める意見書(案)

この間、介護保険料や国民健康保険料、医療費などの相次ぐ引き上げにより、年金生活者の生活は大きく圧迫され、さらに今後、食料品など消費者物価の高騰も懸念されているところである。そのような中で、厚生労働省は、来年度0.4パーセントの公的年金支給額を引き下げようとしている。
高齢者にとって欠かせない生活必需品、生鮮食料品などは値上げが続き、下がっているのは高校授業料や薄型テレビなどであり、そのことを理由に公的年金の支給額を引き下げることは、到底認められない。  
2010年度の国民年金平均支給額は、月4万7千円であり、これをさらに削る年金引き下げは、老後の不安に拍車をかけるものである。
よって国におかれては、公的年金の引き下げは、撤回されるよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99 条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:共産、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生

TPP(環太平洋連携協定)への参加に反対する意見書(案)

TPPは、中国、韓国、タイ、インドネシアのアジアの成長国は参加せず、アジアでの遅れを挽回しようとアメリカが主導する事実上の日米FTA(自由貿易協定)である。
TPP参加が強行されれば、日本の食糧自給率は40%から13%に激減し、農林水産業に壊滅的な打撃を与え、食料の安定供給と食の安全の確保は根底から損なわれる。コメなどの関税撤廃だけでなく、郵政民営化、牛肉のBSE対策、食品添加物の基準など広範な分野の規制の撤廃・緩和を「非関税障壁撤廃」の名で迫られ、日本がアメリカの経済戦略に一層深く組み込まれることになる。
中小企業は、海外製品との厳しい競争にさらされるだけでなく、発注先を海外に奪われる。西陣などでは、海外生産のネクタイの大量輸入、原産国表示の撤廃などにより、産地が崩壊しかねない。混合医療の導入による国民皆保険制度の崩壊など、国民のいのちが直接脅かされる危険も憂慮されている。
こうした中で、京都でも26の農業委員会長が連名で反対を表明し、日本医師会も「全力を挙げて国民皆保険を守ります」とTPP参加に反対を表明するなど、TPP参加に反対する幅広い世論と運動が、全国で広がっている。
 よって、国におかれては、TPP参加を前提とした関係国との協議を中止し、TPP参加を行なわないよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:共産、賛成:共産、反対:自民・民主・公明・創生

子どもの医療費助成制度の速やかな小学校卒業までの無料化を求める決議(案)

お金の心配なく子どもたちが安心して病院にかかれるようにという子育て世代の切実な願いを受けて、伊根町が高校卒業まで、南山城村が中学卒業まで入院・通院とも医療費助成を広げるなど、京都市を除く府内北から南まで、25の自治体が本府の制度に上乗せし、子どもの医療費無料化拡充は大きな流れとなっている。
こうした中、知事は昨年の知事選挙のマニフェストで、「子育て支援医療費助成制度を、通院についても小学生を中心に対象を拡大」と府民に約束した。今2月定例会で、理事者は、市町村と協議していること、拡充した場合の試算を行なっていることを明らかにした。
独自上乗せを行なっている多くの自治体は、本府の制度が拡充されれば、市町村制度の一層の充実が可能となり、子育て世代を始め、府民の願いにさらに応えることができる。
よって、京都府においては、唯一、本府と同じ制度にとどまっている京都市との協議も含め、市町村との合意を急ぎ、速やかに、本府の制度として、通院も小学校卒業まで無料化することを強く求める。
以上、決議する。

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