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議会を終えて(談話)

2011年6月定例会を終えて

2011/07/12 更新
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2011年7月12日
日本共産党京都府会議員団
団長 前窪 義由紀

 6月23日から開かれていた6月定例議会が7月8日閉会した。
 今議会は、いっせい地方選挙後初めての定例議会であるとともに、混迷する政局のもとで行われた、我が党議員団は、東日本大震災の救援・復興の在り方や、原発事故対策をはじめ、日本の政治の在り方、地方政治の在り方を正面から間う論戦を、この間の中小企業等への聞き取り調査や福井県原発好調査等を踏まえ穫極的に行った。また、子どもの医療助成制度の拡充や住宅リフォーム助成制度の実施、介護保険制度の改善、私学助成の充実、学校耐震化、青年雇用等、切実な府民の願いの実現を迫った。

1、本議会には、人事案件を含め20議案が提案された。
 我が党議員団は、開会本会議で議決された第1 8号議案「京都府府税粂例一部改正の件」、および第6号議案「京都府債権の管理に関する条例制定の件」、第10号議案「京都府税外収入延滞金徴収条例全部改正の件」および第1 7号議案「京都地方税機構規約変更に観する協議の件」に反対し、人事案件を含む他の議案に賛成した。
 第1号議案「一般会計柿正予算」には、住宅耐震改修助成制度に部分改修を含むなど一部改善されたこと、有害鳥獣対策の充実、自然エネルギー導入可能性調査、雇用につながった企業への人件費補助、などこれまで求めてきたものが含まれており賛成した。
 第16号議案、「京都府地球温暖化対策推進計画を定める件」は、2011年度以降の温室効果ガス排出量について、当面の目標として2020年度までに1990年比25%削減、中期的目標として2030年度までに40%、長期的目標として2050年度までに80%以上削減目標を掲げたことは非常に重要である。我が党議員団は、第1にC02削減の多くは、リーマンショック、原油高説による景気後退と電気排出係数の変動によるもので、今後、大規模排出事業者の大幅削減に向けた協定締結やキャップ&トレード方式の導入を行うこと、第2に再生可能エネルギーの飛躍的導入で温出効果ガス削減を進める計画とすべきこと、第3に直接排出量及び電気係数の変動を指標として位置付けること、を求めた。
 第6号議案「京都府債権管理に関する条例制定の件」は、「債権管理の効率化・適正化を図る」とするものの、現行の地方税法第1 5条の7の第1項及び4項に基づく適正執行をおざなりにしながら、条例制定により債権徴収を強化するとともに、母子寡婦福祉資金、高等学校等修学資金等私債権まで一律に適用することから反対した。
 第10号議案「京都府税外収入延滞金徴収条例全部改正の件」は、延滞金等の徴収について統一的に管理するものであるが、徴収強化につながるもので反対した。
 第18号議案は、地方税法一部改正による期限切れ措置等の規定整備であるが、その内容に担税能力のある大企業等の軽減措置や投資信託・投資法人が取得する一定の不動産の特例措置の継続、新たな大規模開発を優遇するため反対した。

2、福島の原発事故を受け、京都府の防災計画の見直しや原子力発電対策、自然エネルギーの飛躍的普及について論戦が行われる議会となった。
 他党が原発問題を真正面から取り上げられない中、我が党議員団は、京都府は福井県に隣接し、なおかつ水源としての琵琶湖もある中、①「世界で活断層から1㎞以内に原発があるのは、もんじゅ、敦賀、美浜の三つだけ」(原子力安全・保安院の寺坂院長国会答弁)等、活断層に近接し、地震や津波の調査や研究も不十分であること、②14基の原発のうち稼働後30年超が8基、そのうち4 0年超2基など老朽化が進むうえに6 0年も稼働させようとしていること、③見通しのないプルサーマル計画や高速増殖炉「もんじゅ」再稼働など核燃料サイクルが進められようとしていること、④9000体にものぼる使用済み核燃料の処理の見込みが立たないこと、等特別の危険性があることを指摘し、原発ゼロの立場に立つことを強く求めた。
 また京都府地域防災計画の原子力発電所防災対策を暫定計画として見直し、①緊急時計画区域(EPZ)をこれまでの10㎞を20㎞に広げ、高浜原発に加え大飯原発も対象としたこと、②環境放射線等モニタリング体制を16力所に増設、③被ばく医療、避難体制、広域連携、等を見直し、今後年内をめどに本格的な防災計画見直しが始まっていくこととされている。
 我が党議員団は、防災計画の見直しにあたっては、モニタリングポストを府域全体をカバーするように配置し府民の安全を守ること、避難や安全対策は同心円内だけで対応できないため、府域全体に影響がでることを想定した対策とすること、専門家の意見はもとより府民の意見を聞き計画に反映させること、等を求めた。
 知事は、大阪市長が「脱原発」、滋賀県知事が「卒原発」など述べる中、「縮原発」「原発依存度を下げる」との立場を表明し、関西電力と立地県並みの協定を求めると述べた。しかし、これまで「電力のべストミックスが大切」としてきた立場の転換については、まともに答弁しなかった。「原発依存度を下げる」のであれば、今後、「原発をゼロに」という立場にたつかどうかが厳しく問われるものである。
 さらに、三重県が「耐震改修の促進のためにも住宅リフォーム助成の実現が必要」と述べたことも踏まえた耐震改修助成制度の簡易改修等も対象にすること、学校耐震化の促進、太陽光発電パネルの飛躍的普及のための支援制度の創設や中小企業への仕事起こしに資するエネルギーの地産地消の仕組みづくり、等提案し具体化を求めた。

3、本議会には、法人関係税の事務共同化を進めるため第1 7号議案「京都地方税機構規約変更に関する協議の件」が提案されるとともに、税機構構成団体の議会(京都市を除く全市町村)に同様の条例改正案がいっせいに提案された。
 我が党議員団は、構成団体の自治の根幹にかかわる課税自主権を事実上侵害する恐れがあるため反対した。
 審議を通じ、課税についてはあくまで「事務」の共同化であり、課税自主権を担保するためには「構成団体が課税権にかかる税機構任せとならない意識をもつことが大切。それが地方自治の基本」とまで述べた。しかし、「情報の共有がなければ、実態として税機構まかせになる可能性もある」と認めざるを得なかった。

4、関西広域連合に対し矛盾と批判が噴出する議会となった。
 東日本大震災や節電対策をはじめ、連日関西広域連合の方針が報道される中、関西広域連合特別委員会では、各会派から「なし崩し的にものごとを決めているのではないか」「次から次に対象事務の範囲が広がっている」など批判や懸念の声が続出した。住民にも、議会にも諮られないまま決定され、あたかも規定方針であるかのようにトップダウンで進められていることは、関西広域連合がそもそも自治組織として体をなしていないことを府民的に示したものである。

5、京都府が出資する「京都企業創造ファンド」の第一号投資先企業が昨年末に破綻し投資額が回収できず、府として6 5 0万円の損失をしたことが報道により明らかとなった。我が党議員団は、ファンドとの契約を理由に議会や府民に公表をしてこなかったこと、その他の投資先についても同様の事態が起こっているのではないか、府が税金を使って投資すること白身も問題だが、少なくとも府民への説明責任がある、等厳しく指摘した。今後、この問題で議会に中間報告することを約束した。

6、今議会で、我が党議員団はこれまで求めてきた議員報酬の三分の一削減の条例提案を各会派に呼びかけるとともに、議員報酬の在り方について各会派で9月議会をメドに取りまとめるよう求めた。我が党議員団はその実現に向け引き続き力を尽くすものである。

7、我が党議員団提案の意見書案4件を含む10意見書案が提案され、すべて賛成した。
 その結果、我が党議員団提案の「原子力発電からの説却と自然エネルギーの飛躍的普及を求める意見書案」はオール与党の反対により否決されたものの「再生可能エネルギーの導入・利用促進を求める意見書案」が全会一致で採択された。
 本議会中に、学生や教職員の方々が、各党会派に、就職活動のルールづくりや経済的負担の軽減、学費負担軽減等を求めて陳情され、我が党議員団は、全議員が出席して懇談を行った。そこで出された意見や要求を踏まえ、「学生の雇用確保と就職活動のルールづくり、経済的負担の軽減を求める意見書案」「大学生の学費負担軽減、奨学金制度の拡充を求める意見書案」を提案したが、オール与党が否決した。さらに我が党議員団が提案した、消費税を2010年台半ばまでに1 0%に引き上げ、社会保障の削減を盛り込んだ「税と社会保障一体改革」案に反対する意見書案にもオール与党が反対したことは重大である。

 政局はいよいよ混迷を深めている、我が党議員団は、被災者支援活動に全力を挙げるとともに、原発からの撤退を求める府民的運動と討論を呼びかけ、さらに深刻となる京都経済への支援、京都府福祉医療制度の改悪等も含めた社会保障の充実に向けた府民運動をいっそう広げる先頭に立つものである。また、来春に迫った京都市長選挙勝利に向けた取り組みにも力を尽くすものである。

以上

2011年6月定例会を終えて[PDFファイル 172KB]