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予算・決算特別委員会

府政報告 1990 決算特別委員会書面審査(1)

2011/11/21 更新
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●2010年度決算特別委員会が10月28日に始まりました。各部局書面審査での日本共産党委員の質疑の大要と他会派委員の質問項目を紹介します。

総 務 部・・・ 1
府民生活部・・・ 6
建設交通部・・・12
農林水産部・・・18
教育委員会・・・22

2011年10月28日 総務部書面審査

迫祐仁(日本共産党・京都市上京区)

京都府の入札制度改善について

【迫】入札問題について、9月の本会議で原田議員が、上京警察署の耐震工事設計の予定価格の39%で落札をしている。同業者のあいだでも赤字覚悟でなければ対抗ができない、との声も紹介されて、また京丹後市の土木関係企業が5件倒産をしている。落札価格が安すぎて採算に合わないということが紹介されていました。そういう中で知事も最低制限価格のあり方、ダンピング対策、入札制度改革をしていくと答弁をされていますが、京都府の入札制度の評価検討委員会が開かれていまして、現状と課題などが論議をされているなかで、最低制限価格が応札が集中しているということが問題になっている。ということで、その原因として事前に公表されている予定価格から最低制限価格が容易に分析できるということで集中している。改善が必要だということなんですが、具体的にどう改善させていくのかおききします。
【総務部長】入札の関係につきましては議論が始まったばかりというところで、結論が確定している話しではないわけですが、最低制限価格の見直しのあり方としては、たとえば国のほうで公契連(こうけいれん・中央公共工事契約運用連絡協議会)の最低制限価格の算定の仕方が変わっているのでそういったものも参考にする必要があるし、また一つの問題として、いまご指摘のようなくじ引きとか増えてしまうということも、そんななかで事前公表という形でやっております。いろいろ事情背景もありコンプライアンスのためにやっている部分もあるわけで、しかしながらご指摘の点についてもさまざまあるところです。コンプライアンスの問題もしっかりやっていかなければならない。この辺について二つの命題をどういうふうに解いていくかについて識者のかたにご意見をいただいている最中です。
【迫】現実に下からの積算をしっかりとやっていくことが大事だと業者の方もおっしゃっています。私自身もしっかりやっていかなければならないと思っています。
低入札の実態として国土交通省の低入札基準があるがこれを基にして、設計と測量の関係で落札率、22年の4月から23年の3月を調べたら落札率70%未満というのが30.5%とうことなんです。20年4月から21年3月を見ますと落札率が11.6%で低入札が3倍に増えている。設計の労務単価も改善をしていかなければならないというように思うのですが、どうでしょうか。
【入札課長】設計の労務単価につきましては、国と都道府県とが設置する協議会が調査をするということですが、この部分については建設交通部のほうで調査・担当です。そちらの所管です。
【迫】デフレスパイラルが悪循環をくり返している。この辺をみていくということで建設交通部のほうでも言っていきたいと思います。それと低入札の価格調査で元請けと下請け、ともに利益がでていない、下請けになるほど損失がでている、倒産も増えてきていて実態をつかむことが大事だ、と委員からもでているし、実際に元請け・下請けの関係で、下請けからは申し出がしにくいということで下請けにしわ寄せが寄せられているこういう現状を把握していかなければならない。具体的にどう把握しておられるのか。
【総務部長】いまのような問題意識をわたしどもも持っている。直接施工者を通じて全体を把握し、契約の当事者として立場として全体の把握をして、しわ寄せが末端の企業にいかないようにと、検討委員会のほうで検証をしているところ。
【迫】検討会でアンケートをとられているが、無記名の回答になっているがその中身がわたしたちのところに来ていない、資料の請求をしたい。
【入札課長】アンケートにつきましては建設交通部で実施したので資料の扱いについては正副委員長と相談をしたい。
【迫】資料の提出よろしくお願いしたい。それと実態をよく知るということです。みなさん赤字になってきているなかで経営がひどい状況になっている。ヒアリングをしっかりやっていく必要がある。検討委員会には建設の担当と言われるかもしれませんが、業者の方が入っていない。改めていかなければいけないし、業界の方の意見を聞く場、そういう事もしっかりやっていく上で本府がリードしていくということはどうでしょうか。
【総務部長】検討委員会におきましては、メンバーについては若干ご相談をしていますが、経済界の方に入っていただく方向でいますし、「会」の運びについても検討会の委員長とご相談しながら進めてまいりたい。

公契約条例の制定・TPPの建設業への影響

【迫】現場で働いている建築労働者の意見もしっかりと聞いていけるように、しんどい状況でなかなか具体的な解決の方向が見えない、しっかりとやっていってほしいと思います。低入札、落札しても赤字ということが続く中で業者のなかで企業努力ではもうどうしようもないということです。会社の経営どころか新しい機械機具も備えることが困難だと。このままいくと熟練労働者を雇用ができない状況が生まれてくる、技術の継承ができない、仕事の質が低下していく、今後を心配される声が広がっています。そういう中で建築労働者の仕事がなくなっている、あっても低賃金で生業がなりたたないという悲鳴の声があがっています。こういうときだからこそ、千葉県の野田市と神奈川県の川崎市などで、市の行う仕事の賃金を保障する「公契約条例」これが必要だと思うのですかどうでしょうか。
【総務部長】この点につきまして以前から申し上げているように元請け下請けの適正化にむけて、指針の制定をすすめているところで、それによって実効をあげるよう努力してまいりたい。
【迫】京都市議会でも、そういうこともおっしゃりながら現実として川崎市で施行されて、札幌市、相模原市でも準備がすすめられていると。これらの事例を検証しながら前向きに研究・検討していきたい、と市長が答弁している。そういう意味で京都府も遅れを取ってはいけないと思う。是非実現をしていってほしい、要望しておきます。
 最後にTPP問題ですが、参加をした場合地方自治体の公共工事で外国の企業が入札に参加できる基準点、これはどうなっていくのでしょうか。府内の業者に影響が出てくるという点ではどうでしょうか。
【入札課長】地方自治法の特例を定めるWTOの関係で定められておりまして、その適応対象の基準というのが23億円ということになっております。
【迫】実際にアメリカとペルーですね、アメリカとオーストラリアのFTAの基準額をみてみますと、6億9455万円ということで、日本の基準の約3分の一、なんです。これが参加していくということになったら地元の建設業者のところにものすごく影響がでてくる可能性が高い。そういうことも試算の検討の対象になっているのでしょうか。
【総務部長】内容がまだわからない部分があって、WTOについては県・政令市まであるわけですが、一般の市町村までひろげるのかということですとか様々な論点がございますし、わたくしどもも関心をもって見ております。その点については留意しながら検討をすすめていきたいと思っています。
【迫】非関税障壁、という形で今まで京都府がいろんな形でつくってきた施策がこれもとっぱらっていく可能性が強いわけです。そういうことでいきましたら、危険性にあるものをTPPに反対という姿勢を京都府として取っていただきたい、思いますがどうか。
【総務部長】TPP全体についてついては発言する立場にはございませんが、しかしながら国全体の問題でありますし、たとえば農業問題とか言われているなかで、支えるための財源をどうするのか、国のほうで議論がされているところですし、それとあわせて講じられる施策についてあわせて、国において極めて密度の高い議論がされておりますので、情報についてしっかりと地方にも開示するように求めておりますし、関心をもって議論に参加してまいりたい。

加味根史朗(日本共産党・京都市右京区)

府政収入の落ち込み、中小企業応援の府政を

【加味根】府税収入の落ち込みについて、全国最大クラスの落ち込みという説明がありましたが、なぜ最大なのかリアルな説明を。
【総務部長】法人2税について言ったわけです。全国的に景気が低迷である、それに加えて京都府でいえば円高があって、いわゆる輸出型の企業が立地しているということがひとつは影響している。
【加味根】法人2税で575億円の税収入。この中で輸出企業が相当減収ということですが、府税収入を経年的に見ますと20年前よりも少なくなっているのですね。そういう意味で京都の企業の力が輸出型の大手の企業は伸びてきているのですが、京都経済全体でいうと、京都中小企業の活力というのが低下をしてきていると思うのですがいかがですか。
【総務部長】いまおっしゃったことは大企業か中小企業かということにかかわらず、輸出型の企業には大きく響いてきていると思いますが、中小企業については特に体力がない分、非常に重要な局面に達していると思いますので、これはわたくしどもだけではどうしようもありませんので、府としては経済対策をするとともに、この記録的な円高に構造を変えなくてはいけない、都道府県連合、知事会としても円高対策として国に強く申し入れているところです。
【加味根】これまで円高対策でいえば、輸出大企業を救うということが多かったんですが、輸出依存では京都の経済も日本の経済もなかなか波が来たらすぐに影響をうけ、税収減となるわけで、内需型の経済ということで京都の経済も日本の経済も変えていかないと府税収入も安定的に伸びていく土台ができないのではないかと思うのですがどうでしょうか。
【総務部長】内需型、内需の拡大が重要であるということはそのとおりだと思います。しかし、輸出の部分と内需の部分は完全につながっております。お隣の国また東南アジアを含めて大きな市場がございます。こちらのほうで世界的に動いていっているなかで中小企業でも日本の技術力を生かして必死にがんばっておられて、そして新たなところに市場を求めていっておられる。そこでその雇用が守られることによって内需が保たれる、関係にございますので、そういった意味でも、輸出・円高の部についても急激な変化というのは好ましくないと考えております。ひとり都道府県の手には負えないもので国の方にも申し上げているところ。
【加味根】緊急の円高対策は大切なのですが、府内の12万社ある中小企業の自力、活力をどうつけていくのか。内需がやっぱり主な市場になっているのでから、中小企業が税金を払えるような力をつけていくそのような支援をやっていく必要があるのではないのか。府税収入を増やすために財源も乏しいわけですけど基金全体でいえば22年度末で1532億円あるわけで、特定目的にしか使えないものも多いわけだが、府債管理基金なんかは603億円。みどりと文化の基金87億円とか、基金は結構あるわけで、そういうことでは中小企業の活力を高めていく、府民の所得向上を高めていく対策、こういったところに思い切って財政支出をしていかないと府税収入があがっていく見通しも出てこないと思うのですが、今後の財政運営のうえで府税収入を増やしていくうえでどう考え望むのか。
【総務部長】いまおっしゃった基金ですが、この中にも大きく経済対策のものもふくまれている。1532億円と申し上げたが、9月補正後では1100億円に減っている。基金は温存しているわけではなくどんどん使っていっている。その際に打っている施策としましては緊急雇用的な仕事から、そういう財源もつかいながらさきほど12万社のところに計画的にそれぞれチーム作って企業の再建に向けてアドバイスをしていくような取り組みをしているわけです。そういう財源にもこの基金をあてている。公共事業についても国のほうでカットされていて、東日本にシフトされているというなかで、私どもは単独事業で昨年よりも多く確保しているところです。そういったことで決算額も史上3番目の額と22年もなったわけで、財政状況と経済情勢をにらみながらやっていく必要があるかとおもいますが、基本的にこの不況を好転させるべく全力をあげる時期と考えているところ。
【加味根】府民の所得向上、中小企業の活力を高めていく内需型経済を延ばしていく対策にぜひ求めたいと思います。よく議会でも提案していますが、中小企業のみなさんの仕事につながる住宅リフォーム助成など非常に効果的です。秋田県が18億円予算で288億円の仕事につながっています。そういう対策もぜひ経済活性策として考えていただきたいと要望しておく。
 財政運営では負債の構成が非常に増えてきている。歳入全体の17.3%。構成比でいえば過去最高なのです。こういう財政運営どう受けとめているか。
【総務部長】いろんな要素がある。公共事業等を確保している部分、実は京都府としては「公債費プログラム」があるので一定のペースでやっていますが、一方で交付税でくるべきものが、臨時財政対策債等のかたちで地方債になってしまっているものも沢山ありそれがふくらんでいっている。これ事態問題だと考えておりますが、一応交付税としての裏付けはあるわけです。健全な借金だと位置付けているが、永続性としてどこまで保てるのか、試算しているところ。
【加味根】府債残高は22年度末で1兆6323億円ということで過去最高になっている。借金返済の公債費は22年度941億円。ここ5年で最高と。ほかの予算を圧迫してきているのは事実。臨時財政対策債で戻ってくると言いましても、交付税措置のない負債も過去最高の8219億円になっていますから府債に頼るわけにもいかない。そういうなかで地方財政確立のためには国の財政責任、国が責任を果たす必要がある。地方交付税と国庫支出金を見てみましたが、決算額でここ10年最も少なかったのが平成16年だったのですが、このときと比べても地方交付税と国庫支出金でいえば、362億円も少ない。国からきている地方譲与税、特例交付金そして交付税、国庫支出金、合わせて比較しても162億円少ない。国から降りてくる金が(基金は一時的)恒常的な地方財政を安定的にするうえで削減、三位一体改革やいろいろやられてきましたが、結局地方財政を犠牲にする形、これでは地方財政の健全な運営とはなりません。国の責任を追及しながら地方交付税の抜本的な引き上げとか恒常的な財政支出、これを強く求める必要があると思いますが、決意をお聞きしたい。
【総務部長】かねてよりそのことについては強く言ってきている。昨年になりますが中期財政フレームという形で、いわゆる一般財源、地方税、地方交付税とか合わせた物については同額を少なくても確保することが閣議決定上もされています。その一方で財政のフレームが71兆とおおきな枠がはめられている。その中で交付税などどのように確保するのか。これから年末に向けて大きな争点になってくると、この約束が違えられることのないよう京都府だけでなく地方全体として国の方に言っているところですし引き続きやっていきたい。

地方税機構においての滞納処分

【加味根】全国知事会長に山田知事なっておられますから、地方交付税の引き上げについて強く求めていただきたい。
 最後に府税の徴収に関して、地方税機構に滞納分62億円を移管をして収入が27億円。府税の収納率としては22年度96%台になっている。過去5年のなかでは一番低くなっているのではないか。
【税業務共同化担当・理事】過去5年における徴収率ですが、昨年96.8%、過去5年においては一番低いということです。

【加味根】18年度が98.09%で高かったわけですが、1.26%さがっている大きな数字だ。その徴収率をあげるために地方税機構をつくったのに逆に下がっていると、説明がありましたがよくわかりません。強制的取り立てをと言っているわけではありませんが、払えない人は払えないで納税猶予、或いは滞納処分の停止、の規定があるわけでこれは権利だと思うのですが.ついでにおききしますが、27億円収納に滞納分留まっていますが、内訳ですね、府の欠損額。収入未済額、その内訳として納税猶予とか滞納処分の停止とか時効、差し押さえこれの数字の説明をいただきたい。
【税務共同化担当・理事】京都府決算におきます滞納繰り越し分の内訳だということだろうと思いますが、府の決算分につきましては滞納繰り越し前に処分をしておりますので今年度12億円、その分を差し引いた額が次年度に繰り越されるということになります。70億円でございますが、内訳は42億円が個人府民税、市町村に委託をしておりますので中身についてはわからない、残りの28億円につきまして分納中のものが14億円、それから差し押さえ6億円、滞納処分の停止等5億円、残りが換価猶予・徴収猶予 約4億円となっています。
【加味根】税機構に移管する前は京都府の職員あげて結構丁寧にやっておられるのだなとおもったんですけれども、歳入決算参考資料を見ましても欠損額、収入未済額の内訳が詳しく書かれていますよね。停止期間中の時効はなんぼだとか、滞納処分の停止はなんぼあるとか分納中のものがなんぼあるとか、細かくされています。ひとり一人に丁寧に納税相談をされて払えないひとには滞納処分の停止をしたり納税猶予をしたり、払えるのに払わないひとには差し押さえをする、これきちっとやられているのだけれどもしかし今のご答弁聞いて、市町村と一緒になっているからわからない部分があるとはどういうことなのですか。どう処分されたのかわからない部分があるということなのですか。
【税務共同化担当・理事】個人府民税につきましては市町村民税と合わせて徴収をすると税法上なっております。課税から徴収まで市町村にお願いしている。その徴収されたものを京都府の方に振り込んでいただく、京都府の方はその振り込んだ額を収入として受けるということですので、管理については市町村で把握をされている。
【加味根】地方税機構になって府税の滞納分の処理がハッキリわからないこういうことがでてきていることはあってはならないことだと思います。その点だけ指摘して終わります。

西脇いく子(日本共産党・京都市下京区)

府有資産の活用について

【西脇】下京の府立中小企業指導所跡地ですが、さきほどからも今年度の府有資産売却が6件とあったが、地元の声を聞いたものにしたいと再三質問等もしてきたが、現在どこまで利活用方向・検討が進んでいるかお聞かせください

【府有資産活用課長】21年12月の利活用推進プランにおきまして、引き続き利活用方策を探求という形になっていまして、ただ、そこの場所にあります建物については耐震指標が非常に低くございまして、府民のみなさんが利用していただく施設でありますとか、そういったものになりますと、解体やりますとかそういった形になってくると。現時点におきましては公文書でありますとか書庫として暫定的に利用しております。そういった中で府におきます利用、あるいは地元市からの要請によりましてそういったものを踏まえまして、今後また検討して参りたいという状況です。
【西脇】京都市の役割というのは明確ですが、市にも申し出をしたいと思うが、安易に、まあここまで待っていただいているということもありますので、引き続き地元の声をいかしたものにするということ要望して終わります。

≪他会派議員の質問項目≫

■中川貴由(自民・八幡市)

・地方税機構について

■田中健志(民主・京都市中京区)

・府税収入の分析について

■小鍛治義広(公明・京都市南区)

・入札制度について

・障害者雇用について

・物品調達について

■池田正義(自民・舞鶴市)

・植物園について(所管外で取りやめ)

■豊田貴志(民主・京都市山科区)

・税収入の考え方について

・カジノについて

■秋田公司(自民・京都市南区)

・公債費プログラムについて

■酒井常雄(民主・城陽市)

・未来づくり交付金について

■林正樹(公明・京都市山科区)

・府有資産売却について

・広告費について

■荒巻隆三(自民・京都市東山区)

・府有資産活用について 

■兎本和久(自民・木津川市及び相楽郡)

・府民満足度最大化プランについて

・予算の考え方・進め方について

■平井斉己(民主・京都市北区)

・府有資産、不要額について

・府有施設の防災施設の耐震化について

■巽昭(自民・京丹後市)

・地域力推進について(所管外)

・入札制度について

・京都府内業者の倒産状況について

・丹後での除雪企業5社廃業について

■島内研(民主・京都市左京区)

・ベンチャー企業について(所管外)

・選挙費用について

■多賀久雄(自民・宮津市及び与謝郡)

・公債費プログラムについて

 ・普通建設事業費、公共事業の減少について

 ・臨時対策債について

・負債管理基金について

■安田守(自民・向日市)

・乙訓地域の市町村合併について

・合併特例債について

2011年10月31日 府民生活部書面審査

浜田良之(日本共産党・京都市北区)

日米共同演習について

【浜田】平成22年度決算にもある総合的危機対応体制推進に関わって、来年1月31日から2月5日まで実施される、日本の陸上自衛隊と米陸軍による日米共同演習「ヤマサクラ61」についてお聞きします。その詳細なシナリオが、米国防省と外部の機関、個人との間で情報交換・共有を目的にした情報ネットワークで公表されました。ここに51ページにわたる作戦計画書がありますが、この作戦計画のなかに、「第3海軍歩兵旅団は舞鶴近傍の緊要地形及び後方連絡線を確保」とか「舞鶴・若狭地区の振興対処状況により反撃参加」いう項目があり、舞鶴もこの共同演習に組み込まれています。この日米共同演習について、政府あるいは自衛隊から京都府に協力依頼などの連絡はありましたか。
【危機管理監】国防に関わることなので、私どもは承知しておりません。
【浜田】今回の日米共同演習は、舞鶴港の軍港化を進めることにつながるものであり、舞鶴港を平和の港として発展させる、という方向に逆行するものです。また京都府国民保護計画では「世界の恒久平和の実現は京都府民共通の願いであり、平和を維持するため、国による国際協調のもとでの外交努力の継続がなによりも重要である。府は、府民の安心・安全が脅かされるいかなる事態においても、府民の生命、身体、財産を守る立場から、一人ひとりの基本的人権を最大限尊重しながら、府民の協力を得つつ、関係機関と連携し、総合的な危機対応に万全を尽くす必要がある」としています。作戦計画のシナリオによると、中国を想起させる「ハンナン人民共和国」と北朝鮮を想起させる「パルへ」の連合軍が、西日本の分離・支配と大阪占領をめざし、金沢市と鳥取県米子市に上陸する、という荒唐無稽なことを想定し、陸自中部方面隊を米太平洋陸軍が支援し、侵略軍を打破する、というものです。私どもは「府国民保護計画」そのものには反対ですが、その「保護計画」の趣旨をも逸脱するこのような計画には、協力要請があったとしても、京都府として協力すべきでないと思いますが、いかがですか。
【危機管理監】府民の皆様方の安心安全を守ることが府の役割。その中で国民保護計画の中で京都府がしなければならないことはしっかり行ってゆくということで、仮定のお話にはコメントを控えさせていただきます。
【浜田】すくなくとも国民保護計画に逸脱するような要請には反対すべきだと思います。
もう一つ、自衛隊に関わる問題についてお聞きします。野田首相は10月16日、茨城県の航空自衛隊百里基地で行われた航空観閲式での訓示で、アフリカ南スーダンでの国連平和活動(PKO)に触れ、「こうした活動にもいっそう取り組んでいかなければならない」と表明しました。野田首相は、ソマリア沖アデン湾での海賊対処など自衛隊の海外派兵の「実績」を紹介し、「新たに南スーダンでどういう貢献ができるか、最終調査を行っているところだ」と述べました。この南スーダンのPKOには、道路建設などのインフラ整備を行うために、陸上自衛隊約300人を派遣する方向で検討されており、大久保駐屯地の施設部隊も派遣されるのではといわれています。この問題について、政府あるいは自衛隊から京都府に協力依頼などはありましたか。
【危機管理監】現在のところ承知しておりません。
【浜田】スーダンで30年にわたって研究してきた一橋大学院の岡崎彰教授によりますと、南スーダンの境界地域以外の地域では治安はおおむね安定しており、そういうところに道路を造るのに、自衛隊を送る必要はないのではないか、と。実際、日本の国際協力機構やNGOなどが現地で井戸や学校を造ったり、ナイル川の河川交通用の港湾施設を建てるなどして、高い評価を受けているそうです。民主党政権は、南スーダンへのPKO派遣とあわせて、自衛隊の武器使用基準の緩和を検討していますが、明らかな憲法違反の南スーダンPKOへの自衛隊派遣には、京都府として、きっぱり反対すべきだと思いますが、いかがですか。
【危機管理監】まさに国政の問題として国のほうで審議されるものと理解しています。

京都府自転車安全利用促進計画と安全対策について

【浜田】次に同じく府民の命にかかわる問題ですが、京都府自転車安全利用促進計画について質問します。全国的に自転車事故が多発していることが社会問題になっていますが、京都府では、「京都府自転車安全利用促進計画」によると、自転車事故の発生件数、負傷者数は減少傾向にあるとはいえ、交通事故全体に占める割合は上昇傾向にあり、平成21年度にはいづれも過去最高になっています。また、全国と比較してもやや高い状況にあります。平成22年度には、やや改善していますが、死者数はむしろ増えており、交通事故全体に占める割合は過去最高になっています。同計画では、自転車事故発生件数を減らすための施策として、「自転車交通安全教育」「広報・啓発活動」「自転車利用環境の整備」という三つの柱をたてています。それぞれの施策の具体化と到達点は。
【安心安全まちづくり推進課長】自転車安全利用計画についてですが、まず自転車の交通安全教育ですが、自転車の安全教育につきましては具体的には数値目標をそれぞれ定めておりまして、たとえば小学生の自転車の安全教育については自転車の運転免許証の交付事業をやっておりまして、平成27年までに3万人に交付する目標を掲げてとりくんでおります。それから広報啓発の部分については自転車の損害保険の普及促進ということで平成27年までにPSマークの交付5万件の交付目標をかかげて取り組んでいるところです。
【浜田】お話がありました自転車交通安全教育について、小学生に対して自転車運転免許証の交付がおこなわれていますが、関係者のお話によりますと、簡単に免許証を交付しすぎではないか、もう少し丁寧に教育すべきではないかとお聞きしました。また、むしろ中学生や高校生に対してこそ必要ではないか。特に、高校生は自転車通学も多く、朝の通学時間など道路が混んでいるときにけっこうスピードを出して走っていることもある。高校入学前に、必要な教育と試験も行って、自転車通学許可証を発行するべきだ、という意見もお聞きします。これらの意見や提案についてはいかがでしょうか。
【安心安全まちづくり推進課長】自転車運転免許証についてですが、これは基本的には小学生4年生以上対象に警察等と連携して学校に行きまして、カリキュラムして、座学と実技、これをおこなって免許証を交付する事業をしています。中学生、高校生に対しましては運転免許証もさることながら、若年層の自転車マナーが悪いという部分がありますので、中学生、高校生につきましては、これも警察等とも連携しまして自転車の安全教育、これも安全教室を学校に出向きまして、自転車のマナー向上にむけて、交通安全教育を推進しているところでございます。
【浜田】ぜひ関係者のいろんな意見や提案も聞いていただきたいと思います。自転車利用環境の整備に関わって、先日、警察庁が自転車の原則車道走行を促すことを柱とする自転車交通総合対策をまとめ、全国の警察本部に通達を出した、と報道されました。京都府でも、自転車と歩行者との事故は、この数年間50数件と高い水準で推移しています。警察庁の通達のなかで、幅3メートル未満の歩道については、自転車の走行を原則禁止する方向で検討するよう指示したとありますが、京都の場合、幅の狭い歩道が多い車道も歩道も多いだけに、抜本的な検討が必要だと思いますが、どう考えていますか。
【危機管理監】いまの新聞等に載っていた件については、警察庁が通達を出したということですが、今まで2メートル以上の道路で標識等があれば通行可ということが、3メートル未満はだめですよということが新聞等に載っておりました。交通規制につきましては公安委員会の権限で決めておりますので、ここで具体的にという部分についてはコメントを控えたいのですが、いづれにしましても交通安全につきましては、警察、道路管理者とも連携しまして、交通安全、自転車の安全ルールについて引き続き取り組んでまいりたいと思います。

前窪義由紀(日本共産党・宇治市及び久御山町)

原発防災計画の見直しについて

【前窪】まず原子力防災についてお聞きします。国の原子力安全委員会は原発防災対策の見直し案を原発防災地域案として提示。予防防護措置区域は原発の半径5キロ圏内、緊急防護措置は30キロ圏内、放射性ヨウ素対策区域は約50キロとして、国でも本格的に検討が始まった。そこで現在進められている京都府の地域防災計画の見直しについては、国の動きをどう位置づけていくのか。
【危機管理監】先ほども申し上げたように、全国唯一暫定計画は20キロ、30キロを念頭に置きつつやっております。今月20日、国のほうがワーキングに事務局案が初めて示された、ということであり、国のほうのスケジュールをうかがっていると来年3月には中間報告のまとめ的なものを作りたい、来年度中に成案ができないか、というようなことが、会議の冒頭で事務局側からお話があったようです。ご案内の通り地域防災計画は、方向で国が作られたら自治体はこれに準じてゆくということになってまいります。来年度中に23年度3月までになるので、自治体がこれを踏まえるとなると、再来年度中になる可能性もある。さきの会議でも例えば50キロ圏でも専門家の間で議論があったと伺っておりますので今後の進展が今のようなスケジュールになってくると、我々は我々の専門家の提言を受けて独自に行っておるものをきっちり進めていく。その中で国のほうの動きの方向性が見えた、又決まってくればそれを踏まえた議論を当然ながらしてゆかなければいけない、こういう風に思っております」
【前窪】府内の市町村との情報連絡会が行われていますが、いくつかの意見が出ているようだが特徴的な意見は。
【危機管理監】ほとんどの市町村は当然ながら報道で接することがまずある、となると初めてのワーキングで事務局案が示されたことが国の決定事項と受け止めてしまう傾向がある。各市町村は意識が高いし、じゃあどうするかという思いがあった。先ほど私が申し上げたような国のスケジュール感覚をご説明申し上げるなかで、そういうスケジュール感覚か、でなるといまのところしっかりやらなければいけない。ただ30キロという数字が出ておりますので、この50キロをどうとらえるかもあるが、となると今の30キロ圏内のところも頭に、当初から念頭においているのだが、30キロにかかるようなところであれば、じゃあわれわれのところはそれを頭において議論を進めようか。その時京都府はいろんな助言、また今は暫定20キロ圏でやっています支援関係、こういうものについて世話になれるか、という話もありまして、我々は基本的なことをご説明しながら必要な助言支援はこれまで同様やってゆきますよ、というようなお話しをした。 
【前窪】報道によると京都市は30キロを想定して対応をすると表明した、また南丹市も本年度内に30キロ圏を見直し計画をつくりたい、といろいろある。そこで国の計画が進みつつある中で京都府としては国に対して早く成案を出すことを求め、合わせて来年の3月に中間的な案が出てくるというので京都府がやっている暫定計画では二度手間、30キロ圏内に入るところは、当初から30キロでやってほしいという声がある。この点は国の方向性をも見定めてやる必要があると思うが、どうか。
【危機管理監】先ほど来言っているように、全国にこれだけの大きな複合災害が発生した。これについてどうするかというので、国のほうの指導助言を正直待っている状況だろう。我々は手をこまねいてその状況を待つんじゃなく、いち早く暫定計画を作った。その中で先ほど来言っているような現地での住民説明会では市町村、京都府あるいは専門家の先生にも入っていただいた説明会をし、それから先ほどの避難計画案をつくるという作業をずっとしてきました。これが無駄になっているということはありえない。今までは10キロしか考えてなかったところを20キロの暫定ということで初めていろいろ議論を始められた。その時にどういうところを気を付けるか、一部議員の先生方にものぞいていただいたがわれわれ公開のワーキングをやった。その中で各市町村が集まって20キロ圏外の市町村も入りながら議論をして、じゃあどうするのか、と議論を重ねてきた。今後これがどのように変わろうとも、これまで議論してきたことが当然ながら生きると思っていますから。一方でさきほどあったように30キロをどう受け止めるか、今後の国の状況によって変わるのですが、そういうものを頭においてされる場合も、じゃあどういう項目が必要なんだろうかとの質問があり、それは20キロでも30キロでも議論する項目は同じですね、ということでご説明を申し上げた。せっかくこれだけ時間をかけた財産が市町村や京都府もできつつあるのでそれを生かしながら今後ともやってゆく。
【前窪】これまでも同心円での対策ということですが、府の暫定計画でも今度国の方でやってるのも同心円だ。実際の事故では同心円の被害にはとどまらない、200キロでもセシウムで汚染される個所もある、飯館村などのようなところも。方角によっては10キロ20キロ30キロと広がってゆく。そういう意味では法に基づくこういう設定もありうるが、実際の防災対策としては府域を考慮に入れた対策を府内市町村と協力して対策をとっておく必要があるが、これらについての考え方はどうか。
【危機管理監】先ほども答弁申し上げました通り、EPZというのはこの範囲でいろんな防災対策を定める区域であり、これイコール避難区域ではありません。ただ便宜的にそうは言いつつも一定の範囲の中での議論を進めていかざるを得ないだろうということで、EPZの距離を参考に避難の計画の話をしているだけで、実際には避難となりますと、この同心円にはさほど意味はありません。例えば10キロで影響がとまるところ、あるいは30キロ超える場合も福島の例でもでてくる、そういう意味でスピーディの利活用がある。あるいは今回のワーキングではスピーディというよりはモニタリングで実際にはかったものをいかに緊急迅速に生かすのかという観点に変わりつつあるようですが、我々はスピーディのそういう柔軟な活用を国の方に要望していまして、そういう観点からもしっかりやっていくつもりです。
【前窪】現在の府が検討している暫定計画の成果物を府内市町村に十分に返してゆく、いろんな対策に参考にすることができるように、要望しておきます。

原子力防災専門委員は公平な選任を

【前窪】次に原子力防災で若干気になることがある。それは、府の原子力防災専門委員の三島嘉一郎氏と元近大教授の古賀妙子氏のことですが、三島氏は株式会社原子力安全システム研究所の技術システム研究所長で、同社は関電が2億円全額を出資して設立した会社だ。役員は関電の顧問、相談役、会長など重役らで占められている。古賀氏が所属する「安全安心科学アカデミー」は「放射線の年間線量は、0・1から30ミリシーベルトは健康に良いと言われている」などと提言を出してしている。この二人が最近京都市防災会議の特別委員に就任し、7月の専門委員会で、三島氏は「若狭地域の原発事故が起こっても、福島で起こったような複合災害が起こるリスクはかなり少ない、緊急に避難すべき地域は20キロを考えておけばいいのではないか」と。古賀氏は、「琵琶湖は非常に大きいので放射性物質は希釈される。水道水として出るときには、非常に希釈されている」というような発言をし、問題になっている。府の専門委員会でもこのような立場で活動されているとすれば、私は問題だと思う。研究者として個人の見解をどうのこうのと言うわけではなく、防災力をしっかり強めてゆこうという時に、かつての原子力村と言われ、福島原発でも指摘されている、そういうところに所属している人たちだけで専門委員が構成されるというのはいかがか。そうした点で、原子力村に批判的な人たちも含めた原子力防災体制の検討を本府としてもやってゆく必要があると思うがいかがか。
【危機管理監】両先生とも京大あるいは近大の教授の時から我々はお世話になっている。当然ながら学校の推選もいただいている。今暫定計画を作るときもいろいろなご指導を仰ぎまして、本当に信頼に足る先生だと思っている。一点ここで申し上げるかということはあるが、関電の子会社とおっしゃいましたが、この経過をもう一度我々も先生にも確認をしたが、あの当時実は福井(美浜)で当時としたら非常に大きな細管破損のような事故が起こりました。これは非常に大きな社会的問題になりまして、事業者としては当然ながらこれの安全のためにいろんな施策を講じる、その中で講じられた一つがこの会社の設立です。先生にも伺いましたが、先生は学者として、稼働している原発の安全を研究確保するのは、当然学者の使命であろう、というわけで自分はこの仕事を引き受けたとおっしゃいまして、いまのお話にあるような批判はわれわれが聞いている話とは若干ちがうのではないか。いずれにしましても、この先生は推進派この先生は反対派ということではやっていません。それぞれの大学の教授の方々にお世話になっている、長年お世話になる中で退職されて名誉教授になったり元教授になっているということで、今後ともしっかりご指導を仰ぎたいと思っております。
【前窪】国の原子力安全委員会や原子力保安院というところはやらせなどもあり批判されている。安全委員会の委員構成も、原子力は完成された技術ではない、非常に危険なものである、原発に依存すべきではない、こういう学説を持つ先生方を排除してきた経過がある。そういう点では本府の専門委員の選定に当たり、京大などにお任せでなく、いわゆる学者・知識層であればどんな説を持っているかわかるので、そういう意味では公平な府民意見を代表するような委員の選任をすべきではないかと思うが、選任を京大などのお任せでよいのか。
【危機管理監】今の防災会議の見直し部会の委員は12名で構成しておりまして、原子力の先生方4名、それから地震学あるいは津波、それから今回新たに被ばく医療の先生方にも入っていただきまして、それから防災全般、防災計画12名で実は暫定計画を作るにあたっての提言をいただいておりまして、いろんな先生方のご指導も仰ぎながらやっておりますので、我々はこういう先生方で今迄から公正に指導をあおいでおります。今後ともそういう中で議論をいただいたうえで指導を仰いでいこうと思っております。 
【前窪】原子力災害をいかに防ぐか、こういう観点で府が主体的に府民の安心安全を代弁するようなしっかりした立場で委員の選任をしていただきたい。私は三島先生なり古賀先生なりの学説について意見を言うわけではない、個人の学説を変えよと言ってるわけではない、委員というのは公平に選定すべきと言っている。今後の課題としても公平にやっていただきたい。

大飯原発3号機の再稼働について

【前窪】次に関電の大飯原発3号機の再稼働に関して質問します。関西電力は、停止中の3号機の安全評価の一次評価結果を原子力保安院に提出し、本格的に再稼働を目指すということだが、本府が、EPZ20キロに拡大し、国では30キロを想定した議論がされている。こうした状況を踏まえ、大飯3号機の再稼働についての府としての認識はどうか。
【危機管理監】これに関しては、まず関電のほうがいわゆるストレステストに関しての話を保安院の方に全国で初めて出された。我々は繰り返しこれまでも知事等が答弁しておりますように、まず福井県の知事が求めておるそれぞれの個々の基準、個々の原発の考え方の安全基準を示してほしい、その中でこの議論をしましょう。あるいは浜岡が止ったがそれとの関係でどうなのか、といういわゆる4項目を福井県の知事は国に申し上げておる。それについての回答があるまでは福井県としては判断はできないと繰り返しおっしゃっていまして、今回の件についても基本スタンスは何ら変わっていない、ということで我々も京都府も福井が求めている個々の基準、4項目についての考え方を示された中での話であろうと理解している。
【前窪】福井県知事はそういう立場で経産省、国に明確な基準を示せと、何度も要請している。本府も要請していると思うが、その要件を満たしていないということで、現時点では再稼働に賛同できない、こういうことでよいのか
【危機管理監】先ほど申し上げましたように、福井のほうが求めておる回答が国の方にある、その中で立地県の福井県として判断したいということでございまして、我々のスタンスは何ら変わっていない。

関電の安全神話と事業者責任について

【前窪】福井県、福井県というが、京都府の見解はどうか、と聞いている。
関電は安全神話に基づくパンフレットをいまだに配っている。たとえば、「念には念を入れた安全対策を講じている」「経済的でクリーンなエネルギーです」「低レベル放射能廃棄物もしっかりチェックしています」、先日の議会の調査時に、こういう昨年度作ったパンフレットをいまだに配っている。いかに無神経か、こういう住民の心配を逆立てするようなパンフを配っている。あるいはにモニタリングポストだが、本府は9基増設したが、関西電力は独自のモニタリングポストは何か所増設するつもりか、今まではたぶん2箇所だったと思うのだが。
【危機管理監】京都府が独自で府民の安心安全を守るために暫定計画20キロというものをつくりました。その中で京都府の独自判断でモニタリング箇所を増やそう。さらに先般議会でお世話になりました国の方の補助が出るということでさらに上積みをした、という経過です。関電の方からは事故後直ちに我々も現地に確認したが、たとえばモニタリングカーなんてものは関電も当然京都府も関電も持っておりまして、これについては柔軟に京都府域での運用、万一の時には当然ながら行うというような言質はとってありまして、今後どういうことになるかは、先ほどの国で初めて示されたワーキング、この国が定めた距離というものは非常に重みがありまして、全ての予算はこの範囲で基本的に動いてまいります。ですからわれわれが暫定的で独自であったものは国の予算は下りないということです。先ほどの追加の分は国の方が全国的な観点から一定の補助がありましたがそれ以前やっておるものは、京都府はそれ以外は独自でやっておるということでありまして、国の今後の議論が進む中で全国的な対策が出てくるだろうと思います
【前窪】本府の区域内に2箇所といいましたが、確認できますか。少なくとも本府が増やすというが、事業者である関電がいまだに示さないのは問題ではないか。
【危機管理監】関電は京都府内で2箇所、当然ながら福井県の方には数多く作っておりますが、先ほど来言っておりますように、国の方のそういう計画等が決まってきたら事業者としてやることが自ずから変わってくるだろう思います。今の京都府の暫定計画についてはモニタリングカーの柔軟な運用は、これは全面的協力すると京都府独自でその言質をとっておるということです」

≪他会派議員の質問項目≫

■平井斉己(民主・京都市北区)

・NPOパートナーシップセンターについて

・京都子ども会館(エンゼルハウス)について

■小鍛治義広(公明・京都市南区)

・消防団の高齢化について

・10月16日の人権啓発企画について

・マザーズジョブカフェについて

・住宅火災警報器の普及率について

■多賀久雄(自民・宮津市及び与謝郡)

・防災問題について

■兎本和久(自民・木津川市及び相楽郡)

・地域防災力の強化について

■島内研(民主・京都市左京区)

・ヒヤリハット事業について

■池田正義(自民・舞鶴市)

・防災計画について

 

 

■田中健志(民主・京都市中京区)

・地域創造ファンドについて

・防災まちづくり推進事業について

■林正樹(公明・京都市山科区)

・大規模災害時の被災者支援について

■中川貴由(自民・八幡市)

・ヒヤリハット情報について 

■巽昭(自民・京丹後市)

・市町村未来づくり交付金について

・消防団の意義等について

■豊田貴志(民主・京都市山科区)

・府民共同防犯ステーションについて

・NPO法人支援について

■安田守(自民・向日市)

・消防分団と女性団員について 

■山本正(民主・宇治市及び久御山町)

・防災対策について(備費材予算等)

・男女共同参画あけぼのプランについて

 

2011年11月1日 建設交通部書面審査
浜田良之(日本共産党・京都市北区)

生活交通対策について

【浜田】平成22年度決算に生活交通ネットワーク構築支援事業があります。生活交通対策についていくつか質問します。
 9月議会の一般質問でも質問しましたが、この分野の回答がなかったのでおききするが、京都府生活交通対策地域協議会の規約には、目的として「京都府内のバス等による生活手段の確保方策について、協議・調整を行うため」と明記されています。この目的に沿うならば、今般おこりました京都バスの北区雲ケ畑路線のように廃止計画が出た時に、追認するだけでなく、待ったをかけ、生活交通手段の確保方策を検討すべきではないかと思います。また、協議会の構成について規約では「必要に応じて委員以外の者の出席を求めることができる」とあり、タクシー業界の代表や老人会、障害者団体、自治会など住民代表も加えるなどすべだと思いますが、この点はどうでしょうか。
【交通政策課長】生活交通の地域協議会の件について、この協議会については、確かに生活交通のバス事業者からいろんな提案があります。それに対して、地域の方々としっかりとその中身について検討してやるという形になっています。
 ただ、基本的には、まずはバス事業者さんからそういった提案があれば、該当の市町村、基礎的自治体である市町村の方々と一緒になって、その提案に対して、廃止であるとか、経路変更が住民の方々にどういう影響を与えるのか、もしくは、それに対してどのような対策をとられるのかということを十分議論された上で、この協議会ではかるという形にしていきたいということで、従来から取り扱っており、現在、雲ケ畑の路線については、京都市の方で地元の方と議論をされている最中というように承っている。
 協議会のメンバーについては、確かにいろんな案件がこの協議会の中で議論されるということがあろうかと思います。従来なら、京都府下に広い路線も持って多くの関係市町村が関連する、そういった路線をもつ会社が、例えば倒産とか危機に瀕した場合、多くの路線をどのようにするかということで、いろいろな、従来のメンバーだけではなく、多方面の意見を聞く必要があるというような場合もあったかと思っており、そういった場合の柔軟性を確保するという観点でメンバーについてはそういう表現がされていますが、案件ごとによって、そのあたりの必要性、状況を勘案してメンバーについても、みなさんにお図りしながらやっていきたいと思っています。
 今回の雲ケ畑の案件については、1市町村の中の路線であるということですので、従来の考え方に基づく議論というか、取り扱いで支障はないと今は考えています。
【浜田】各地で生活交通を守ろうという取り組みがされています。先日、東山区の今熊野に「生活支援のバスを走らせよう」という目的で結成された「今熊野生活支援あしの会」のみなさんが、ミニバスの試乗運行をされ、私も試乗させてもらいました。
 東大路通りから東側は坂もきつくて、特に高齢者や障がい者にとっては買い物や病院に行くにもバス・タクシーなどの足がなければ大変だということで、地元に営業所がある京都急行バス株式会社の協力も得て、循環バスを走らせようということで取り組まれてきました。
 お話を聞くと、1日6便運行すると経費は1日4万円~5万円かかる。運賃を100円とすると、全便満員でも13200円、200円とすると26200円ですから、運賃収入だけではとても運行できないので、こうした地域の生活交通を守る取り組みに対して、京都府や京都市の支援が求められています。
 9月議会の私の一般質問に対して、建設交通部長は「地域が独自に行うバス運行等の生活交通を守る取り組みに対しては、実情を最も把握する市・町と協調する形で府独自の制度などにより支援をしてきている」と答弁されました。その趣旨からも、住民のみなさんが独自に生活交通を守るための手立てに対して、政令市である京都市に対しても、府・市が協調して補助金を出すなど、支援すべきではないかと思うが、どうでしょうか。
【交通政策課長】今熊野の案件をお話されましたが、私はこの件については十分承知しているわけではございませんが、いわゆる、そういった地元の交通機関を自分たちでつくりだして、利便性よく自分たちの移動の手段を確保しようという取り組みは、いろんな地域で動きがあるのは実質だと思っています。
 ただ、我々京都府として、そういった各市町村の中での取り組み全てに関わるということではなくて、まずは、基本的にはそれぞれの市町村の中で、いろいろな市民、町民、村民の方々の交通機関の確保ということに対して十分に話し合いをされた上で、その方策としてバス、我々のいうバスというのは、料金をとって誰でもが使える公共交通機関としてのバスという方法が選択肢として一番適切であるということになった時にはじめて、そういったコミュニティバスという名前になるかもしれませんが、それを選択されるということであり、そういう小さい範囲でいろんなことを考えられるにあたって、まずは地元の市町村が取り組まれていくということが基本かというように思っています。
 今回のような取り組みであれば、まずは京都市さんがそれに対してどのような手を差し伸べられるのかということが基本になりつつ進めていかれるものかなと考えています。
【浜田】市町村が支援する場合にはぜひ京都府も協力していただきたいと思います。

府営住宅について

【浜田】次に、府営住宅についてお聞きします。平成22年度決算では、府営住宅へのエレベーター設置が4団地となっていますが、昨年の決算特別委員会で、当時の住宅課長は、5階建て40戸、片側廊下という基準で必要なエレベーターが49基で、平成27年度までの計画が38基だと答弁されています。これでは、基準が満たされている棟でも5年以上待たなければなりませんし、ましてや基準に満たない棟では、高齢者が多く住民からの要望があっても、さらに後回しにされます。「これでは住民が生きているうちに設置されない」という声も出ております。予算を増やして、住民が要望される所にはできるだけ早くエレベーターを設置すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
【住宅課長】府営住宅に関するエレベーターの設置について、委員ご指摘のように、できるだけバリアフリー化をすすめるという観点で計画的に取り組んでいるところです。計画の基数、進捗状況についてはご指摘の通りですし、計画の中で出来るだけ進捗を図るということで従来よりも年度での実施基数を、箇所数を増やして取り組んでいるところです。
【浜田】府営住宅で入居募集の際に浴槽のない住宅の募集が今月でも行われており、その住宅に「浴槽を設置する場合は入居者が設置してください、なお入居者が設置した浴槽は退去時に撤去してください」というふうにされております。今、京都市内等でも銭湯は減ってきているもとで、浴槽のない団地というのは、本当に生活できないわけですから、浴槽を設置して募集をするべきだと思いますが、どうでしょうか。
【住宅課長】府営住宅の古いものは、昭和40年代に建設したものが、まだ管理をしております。その中には当時の建設の整備水準として浴室まで整備をするという状況にはございませんでしたので、スペースだけ確保して浴室として利用しても問題のないような防水措置だけ施した形で提供させていただいております。当然、お風呂は入居者の方は日常生活の中で必要になってまいりますので、委員ご指摘のようにそれぞれ入居者の方が、それぞれの必要に応じた浴槽を設置して、今日にきておりますが、その分については入居者個人の財産ということになりますので、その方が退去される際には基本的には他の家財と同じように撤去していただくということですが、浴槽の状況、使い方によっては、次の入居者が引き続きお使いになるというようなことが可能であれば、そのまま置いておいていただいて、次の方が利用するということも実務的にはさせていただいております。
 そういったこともしながら、当然、浴室は今の状況の中で住宅の設備として不可欠でございますので、既存の府営住宅についても京都府の方で浴室を整備するという工事も順次させていただいているところです。
【浜田】スペースがあるのであれば、浴槽を付けて募集すべきだと思いますので、ぜひそうしていただきたいと思います。

UR男山団地の建て替えについて

【浜田】最後に、UR男山団地の第4住宅の建て替え計画が進められていますが、これに関して、八幡市から京都府に対して、共用部分の整備費について、地方公共団体の負担すべき額について府の財政措置を要望されていると思いますが、現在どう対応されていますか。
【建築指導課長】八幡市の方から男山団地第4住宅だったと思いますが、その整備計画について先般ご要望がございました。いわゆる個人が所有しているマンションということでもありますので、八幡市内のURのマンションは他にも沢山ございますし、もちろん民間のマンションもあるということで、全体像を整理して京都府とも勉強会をしたいということでお聞きしております。それについて、八幡市さんの方には了解をしておりますと話をしており、まだ全体像を整理している最中だということで、八幡市さんの方からはまだお声がかかっていないという状況です。
【浜田】これは、「マンションの建て替えの円滑化等に関する基本的な指針」に基づいて、優良建築物等整備事業制度要項で調査設計計画費、土地整備費、共同施設整備費等を対象に国と地方公共団体が3分の1ずつ補助するということになっており、都道府県は市町村が施工者に補助を行う場合、市町村に対し補助を行うことができるとされております。
 全国的にも120ほどのマンション建て替えがこの事業の適用を受けており、URでも大阪豊中市の曽根地区、神戸市長田第一地区など3つの団地が適用を受けていると聞いています。京都府内では初めてだと思いますけれども、国の制度の主旨からすれば八幡市の要望に応えるべきだと思いますので、その方向でぜひ検討をお願いしたいと思います。

加味根史朗(日本共産党・京都市右京区)

住宅リフォーム助成について

【加味根】住宅リフォームの問題について質問します。
 最初に、建設業者の状況がどうなっているかということですが、これまでの委員会審議でも大きな話題になっているのですが、府内の建設業者の数がどういう推移となっているか、倒産件数の中で建設業の割合はどうなっているのか、その数字をご説明下さい。
【理事・指導検査課長・事務取扱】府内の建設業をめぐる状況ですが、許可業者でいいますとピークが平成11年の約16,000社、これが平成23年5月末現在で12,800社となっております。
 また、倒産件数ですが、22年度は全産業で418社あり、建設業に関わるものが118社とここ数年25%を超える状況となっています。
【加味根】建設業は非常に厳しい状況でありまして、平成11年と比べて79.6%にまで業者が減っているし、倒産は3割弱ということです。この中で建設業のみなさんへの仕事おこし、地域経済活性化ということが建設交通部としても重要な政策課題になるのではないかと思います。その点で、住宅リフォームの市場を活性化させるということは、非常に効果的なのではないかというふうに思っております。昨年度、建設交通部として秋田県の住宅リフォームの助成制度の実情も調査されたと聞きますが、今日までの状況を把握しておられたらご報告をお願いします。
【住宅課長】住宅リフォームに関します助成制度ですが、秋田県におかれては、平成22年の途中からだったと記憶していますが、制度を創設されて引き続き実施をされているという理解をしています。加えて、いくつかの府県でもリフォームの助成制度の取り組みをされているようにも承知をしております。
【加味根】秋田県では、22年度と23年9月末までの工事件数で24,000件、工事高が496億円になるそうです。投資税額は33億円で、約500億円の工事高ですから、約15倍の経済効果になっています。電化製品を買ったり、家具を買ったりという間接的な経済効果で言えば779億円になるということです。ですから、使った税金に対する間接的な波及効果でいえば24倍ほどになります。
府内でも与謝野町がやっていまして、21年度、22年度、23年10月までで、1271件の補助が行われています。補助金交付金額は1億9千万円、工事費は30億ということになっています。持ち家の約2割1271世帯が活用され、町内建設業者210社のうち7割に当たる150社が工事を施工するということで、非常に効果が上がっているというふうに思います。こういう経済効果が上がる事業をやれば、建設業者のみなさんにも仕事にもなる。下支えにもなると思うが、その効果についてはどのように考えておられますか。
【住宅課長】住宅に関しますリフォームにつきましては、一般的には2倍程度の経済波及効果があるというふうに言われているように承知していますが、委員がご指摘のように、秋田県であれ与謝野町であれ補助制度によりまして、本来行われなかった工事が新たに取り組まれるということがどうかというところで、やはりご指摘とは少し違うのではないかと思っておりまして、この補助で新たな工事が発生すればそれが経済波及効果ということで評価していけると思いますが、従来から取り組んでいただく計画の中で補助制度も活用されたという部分も多くあるのではないかと。与謝野町なども、公共下水道の接続のための工事というものがかなりの部分を占めているようにお聞きしていますので、そういった状況もふまえて、それぞれの市町、県が地域の事情をふまえながら施策として取り組んでおられるというふうに理解しています。
【加味根】そんなに経済効果を低めなくてもいいなと思うのですが、もともと、リフォームの市場というのはあるんですけれども、秋田県の担当者の方から私も直接聞きましたけれども、こんなに潜在的な需要が引き起こされるとは思わなかったということで、大変びっくりされておられ、建設業界のみなさんも大変喜んでおられるということですので、ぜひしっかりと検討していただきたいと思います。
住宅リフォームというのは、京都府住生活基本計でも位置づけられていると思うのですが、いかがでしょうか。
【住宅課長】京都府内におきます住宅に関する施策をまとめた住生活基本計画の中で、すでに、新たに住宅を供給するというよりは、既存の住宅をよりよく維持改善しながら使っていくということが大事になっておりますので、そういう意味での住宅リフォームという取り組みが重要になってくるというふうに位置付けております。
【加味根】具体的にリフォームを実施する戸数をどれくらいに増やしていくという目標も持っておられますね。どういう目標ですか。
【住宅課長】住生活基本計画の中で、リフォームの戸数といいますか、目標値として定めてはいなかったかと思うのですが。
【加味根】定めている。住宅課長がそういうことでは困ります。現況3.4%から平成32年には6%にするという目標を掲げておられます。ですから、この住宅リフォームを京都府としても政策課題にしているということでありますから、この目標を達成するための促進措置、これが今かけているんです。そういう意味でも、助成制度というのは考えるべき時期にきているというふうに思いますが、どうですか。改めてお答えいただけますか。
【住宅課長】住生活基本計画の中で、リフォームの関係で定めておりますのは、確かに、目標値5%、平成27年度にリフォーム実施戸数のストック戸数全体に対する割合として5%という目標を掲げさせていただいております。不勉強で申し訳ございません。
【加味根】時間がありませんので、そういう政策課題にしているわけですから、政策目的として住宅リフォームは建設交通部の重要な政策の一つということですので、それを促進する助成制度というのは、ぜひ検討して頂きたい。強く要望して終わります。

前窪義由紀(日本共産党・宇治市及び久御山町)

TPP問題について

【前窪】TPPに関してお聞きします。これは農林漁業のみならず、中小零細企業あるいは建設産業が大きな影響を受けるということです。現在のWTO基準では、地方自治体の発注工事23億円以上が国際入札になるということですが、TPPになった場合は7億6500万円以上ということになりますが、22年度の本府の発注工事ではどのようになるか。それから、委託やコンサルに係る入札についてはWTO基準では2億3000万円以上が国際入札だが、TPPでは750万円まで引き下げられることになります。これも22年度の本府の入札実績からみて、どのようになりますか。
【理事・指導検査課長・事務取扱】府の入札における件数等の所管は総務部の入札課であります。建設関係も含めて総務部入札課で所管しております。ただ、入札課から入手した情報によりますと、7億6500万円の場合、工事は3件。委託については全体が1070件ございますが、750万としますと246件という状況になっております。
【前窪】建築工事の場合3件ということで、金額にして約64億円が該当する。建築委託等については246件、これも金額にして約30億円という影響を受けるということです。
 全体の委託等については1070件のうち246件ということですから、相当大きな影響を受けると思うのです。現在、本府でのとりわけ建設業界は中小零細、地元業者が非常に厳しい状況ということで入札制度の改善等をやっておるわけですが、TPPにもし参加をしてしまうと、そういった努力が、つまり総合評価方式だとか入札価格を配慮するとかいろいろありますが、こういった苦労がいっぺんに吹っ飛んでしまう。こういう結果になりはしないかと思うが、いかがでしょうか。
【理事・指導検査課長・事務取扱】TPPについては、先ほどもお答えしたとおり、入札契約制度の参加基準の問題と認識しておりまして、総務部の決算特別委員会書面審査でも迫委員の質問に対して総務部から回答させていただいたとおりと考えております。
 ただ、現在政府において議論がされていることは承知しておりますし、去る10月14日の大臣の会見でも、記者からTPPに参加した場合の国土交通行政の影響の有無について質問がされておりますけれども、大臣からは、現時点ではまだはっきりと判断しにくいと、今、あらゆる面で調査検討しているところと、こういう発言もなされておりますし、いずれにしても様々な論点がありますので、建設産業行政への影響といった面からも状況を注視していきたいと考えています。
【前窪】これは、建設労働者も低賃金労働者が入ってくる。安易な入国審査で解放されてしまうということになってしまいます。ですから、業者も、そこで働く労働者も大きな被害を受けるということですから、まだ政府の腰がすわっていない、決まっていないということであれば、今、やっぱり本府も強く政府にこういう大きな影響があると、拙速な参加表明は避けるべきだと求めるべきではないかと思いますが、副知事、いかがですか。
【太田副知事】これは国政の問題であり、そしてまた、それぞれの地域に、地方に実態に大きな影響を与える問題でありますので、そのことについては全国知事会から一丸となって政府の方に要望をしております。
【前窪】きっぱり反対してください。求めておきます。

地震対策について

【前窪】次に、地震対策の問題でお聞きします。
 東日本大震災は想定されていない状態であの大きな地震がおこりました。直下型地震も非常に心配されております。そこで、本府の防災計画の中にもダムに対する防災対策ということがふれられていますが、このダムの防災対策という点では、河川管理施設等構造令によるダム設計基準に基づいて耐震設計がされているということです。不測の事態がおこれば甚大な被害を与えるから日常不断にしっかり管理する、あるいは補修もする、こういったことが述べられております。
そこで、府内の主要な多目的ダムのうち、大野ダムは昭和36年、天ケ瀬ダムは昭和39年、高山ダムは昭和44年に完成している。先ほどいいました河川管理施設等構造令は、昭和51年に施行です。それ以前につくられたダムについては、重要な点検をしていく必要がある。そして府民に公表すべきだと思いますが、そういったことがやられていますか。
【理事・河川課長・事務取扱】ダムの安全対策ですが、まずは、本府の大野ダムですが、これはコンクリートダムであり、その当時の設計震度とその後できあがりました設計震度が全く同じものですので、その当時に持っていた安全度は今でももっておるということです。
 天ケ瀬ダムについては、アーチダムですが、アーチダムについてはいろんな力がございまして、地震力以外にも制水圧、その他いろんなダムのちからがあるので、そういうものを複合的に勘案して国交省の近畿地方整備局の方できちっと解析をした結果、阪神淡路大震災クラスについては安全性が確認されているというふうに聞いています。ただ、東北大震災については、現在、東北地方で、コンクリートダムで大きな影響を受けたダムはないと聞いておりますが、今、国の方でその辺も含めて鋭意調査中ということですので、それについては我々としても注視してまいりたいと考えています。
【前窪】平成17年に国交省がレベル2の地震動、つまり、「ダム地点において現在から将来にわたって考えられる最大級の強さを持つ地震動を想定」して、ダムの耐震性能を照査する「指針」(案)がだされ、それに基づく耐震性能の確認を実施していくということになっていますが、私が先ほど言いましたダムについてはこの照査実施はやられておりますか。やられていないとすれば、本府から強く求めて頂きたい。
【理事・河川課長・事務取扱】これについては、阪神淡路クラスについての安全性を確認しているということを聞いているところです。
【前窪】確認が不十分だと思います。平成17年のダムの照査については、まだやられていないと思います。天ケ瀬ダムについては、現在、国交省で、その照査をするための準備をしているというふうに私は伺っておりますが、そういったことを十分入手していただいて、しっかり安全対策を国交省においてはやっていただく。それから、このダムの照査については、本府が管理する大野ダムについてもやってもらわなければ困るということを強く指摘し要望しておきます。

≪他会派議員の質問項目≫

■小鍛治義広(公明・京都市南区)

・鴨川水辺回廊創造事業について

・西高瀬川他の河川整備について

・高齢者バリアフリー住宅促進事業について

・堀川団地まちづくり協議会の取り組みについて

・西大路駅のバリアフリー化について

■多賀久雄(自民・宮津市及び与謝郡)

・橋りょうの長寿命化について

・2m以上15m未満の橋りょうについて

・物集女街道の整備について

■安田守(自民・向日市)

・物集女街道の整備について

・向日町駅のバリアフリー化について

・東向日駅の連続立体交差事業について

・府営向日台団地の建て替え計画の進捗について

■島内研(民主・京都市左京区)

・鴨川環境保全対策推進事業費について

・高野川の草刈りについて

・集中豪雨による急激な水位上昇について

■中川貴由(自民・八幡市)

・淀川三川合流地点の公園整備について

・流れ橋の架け替え工事と草刈りについて

■酒井常雄(民主・城陽市)

・木津川・桂川・宇治川圏域河川整備について

 

■林正樹(公明・京都市山科区)

・第一次緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化について

■池田正義(自民・舞鶴市)

・地域防災対策事業費について

・舞鶴港の拠点港指定の進捗について

・平埠頭の振興整備について

■兎本和久(自民・木津川市及び相楽郡)

・最低制限価格の引き上げについて

・総合評価方式について

・府民公募型公共事業について

■平井斉己(民主・京都市北区)

・みやこの川づくり事業について

・堀川住宅とまちづくりについて

■巽昭(自民・京丹後市)

・鳥取豊岡宮津自動車道の早期完成について

■田中健志(民主・京都市中京区)

・堀川団地の再生基本方針策定結果と進捗状況について

■荒巻隆三(自民・京都市東山区)

・鴨川について

■秋田公司(自民・京都市南区)

・建設投資の激減について

・建設業新分野進出支援事業について

・京都高速斜久世橋線について

2011年11月2日 農林水産部書面審査
迫祐仁(日本共産党・京都市上京区)

TPP交渉参加問題について

【迫】農業振興について。野田内閣が11月中旬から行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに、TPP交渉参加の結論を出すことを表明した。TPPは関税を原則撤廃し、農産物の輸入を完全に自由化するだけでなく、医療や関税を例外なく金融など幅広い分野の非関税障壁についても撤廃する協定であることが、明らかになってきている。これにより、食料の自給率が40%から13%に急落し、政府の目指す食料自給率50%と関税ゼロは両立できません。さらに、農林漁業と国民の食料に大打撃となると同時にあらゆる分野に甚大な被害をもたらす。農業振興にも逆行すると思うが京都府として、きっぱりとTPP参加に反対すべきではないか。
【農林水産部長】TPP問題は、農業だけでなく24分野にわたってということがある。当然総合的な観点から国益が損なわれないようにということが重要だと考える。とくに農業関係については、本会議で答えたように国が何も対策を講じなければ、当然大きな影響があると考える。この間国のほうにはしっかりとした対応策を要望してきた。国の方でも「基本方針」という形で「食と農林漁業の再生強化にむけた基本方針」が出されたところだが、まだ個別具体的なことがここに書かれているわけではないので、引き続いてしっかりした要請なり、情報収集を進めていきたい。
【迫】TPPは関税がすべてゼロになるものなので、今度はコメも例外なくゼロになると言われている。 京都府は、これまでは、農水省の試算だと言って府独自では影響を明らかにされてこなかった。TPP参加が強行されれば、農水省の試算を京都に当てはめると、生産額で、コメは90%の178億円減少。畜産も、乳製品、牛肉、豚肉、鶏肉を合わせると59億円減少。お茶も25%、19億円減少する恐れがあり、これだけでも256億円の減少。多大な影響が出る。全国では、昨年10月から43道県で反対・慎重の意見書が決議されている。全国農業協同組合中央会のTPP反対署名は1166万人分を超えている。多くのみなさんが不安をもっている。ここは京都府としてもTPP参加による作物の影響をしっかりと試算し、府民に知らせて、反対の声をあげるべきだ。さきほどいろいろな対策を練ると言っていたが、実際に政府の「農業再生のための基本方針」では、具体的な実効策や予算・財源を全く示さないまま、アメリカなどの外国農業と「競争力、体質強化」として農家の経営規模・平均2㌶の耕地面積を現状の10倍以上の平地で20~30㌶に中山間地域で10~20㌶に規模拡大する方針を示した。中山間地の多い京都府でこれに対処できるか。
【農林水産部長】国の基本方針については、基本的にはTPPと直接的な関係はないと言われているが、中身は必ずしも具体的な内容が盛り込まれているわけではなく、京都の中山間地が70%を超えるなかで同じようなことが言えるのではないかと考える。府議会の方から意見書を出していただいたところだが、府の方でも具体的な対策を国の方に求めていきたい。
【迫】現実に国の方で対策をとったらと言うが、TPPに参加することが前提になっている。TPPに参加しないことを表明することが大事だと思う。そうでなければ京都の農業と地域経済を守ることができない。TPP参加に反対との表明を知事が行うように求めておきます。

鳥獣害問題について

【迫】次に、京都の農業に打撃を与えている鳥獣害の被害について。
鳥獣による被害は、北部だけでなく、南部への広がりも大きくなってきている。さきほど被害額は6億円台に下がったというお話だったが、09年度は7億2951万円、2010年度はいくらか。
【森林保全課長】平成21年は7億3000万円、平成22年度は約6億9500万円です。
【迫】ほぼ横ばいです。もっと頑張る必要がある。特定鳥獣保護管理計画の改定が今年度、行われ、イノシシについては素案が発表された。今、シカなども改定作業が始まっているが、正確な計画を進める体制をしっかりとつくることが必要だ。現在の計画は、シカの生息数など正確だったのか、疑問がある。平成18年度の生息頭数を31000頭から36000頭と仮定し平成22年度までに半減すると予測していました。平成21年度に36000頭に生息数を改め、実際に約13000頭捕獲したと報告された。けれども実際の農家の声は、「減っていない」「数が増えているのではないか」と言われている。実際に半減したのか。また、この生息頭数は正確だったのか。
【森林保全課長】シカの生息数だが、現在シカの特定計画の改定作業を行なっている。そのなかでこれまでの捕獲実績、被害実態を精査して、現在専門家会議の中で分析を進めている。今後シカについては、専門家会議、公聴会を開き、これまでの平成18年度の推定31000頭から36000頭という数が増えているのか、減少しているのか精査をしていくという状況です。
【迫】半減されたのかというのはどうか。
【森林保全課長】今の被害がさほど減っていないので、現在の評価では、半減までは至っていないと推測している。さらに集落近くの出没数が逆に増えているという声も聞いているので、そういう目撃状況もふまえて精査をかけていく。
【迫】保護管理計画を改定するうえで、学識経験者、農林機関関係者、農業従事者、狩猟者なども含めて検討し、つくっていってほしい。被害が増えている要因に、シカなどの個体数が増加している事があげられる。シカ、イノシシなどの個体数を減少さしてほしいと現場の切実な声がある。適切な個体数管理を行うことが求められている。広域的な対応が不可欠であり、計画の管理に当たるために、広域振興局単位で研究者や地元の関係者による「鳥獣被害対策協議会」を設置し対応に当たるべきだと考えるがどうか。
【森林保全課長】鳥獣害被害をしつかりと半減させていく前提には、生息数がどれくらいかつかみ、そのうえで何年度までに毎年何万頭ずつ捕っていったら獲っていったら半減できるか、シミュレーションをしている。現在生息数をつかむのに毎年生息動態調査、行動調査をしている。それと捕獲実績をあわせ、しっかりと生息数をつかんでいきたい。それから広域的な取り組みで局単位で対策協議会をつくってはどうかということだが、現在被害対策については、各局ごとに被害対策チームを設置している。その中でも地域の声、防除対策の指導もやっているので、被害対策チームには大学等の専門家も呼んで、現地で推定生息数の協議も行なっている。特定管理計画を策定するうえでは、各市町村の団体の方も参加し意見をいただいている。局もオブザーバーで参加し、事前に聞いたうえで検討を進めている。
【迫】駆除に現場で奮闘する狩猟者の声を反映させていくことも必要だ。捕獲参加者の負担は大きく、善意に頼っているのが現実。有害鳥獣対策は社会的な活動だと頑張っておられるが、府や市町村が責任を持つべき。駆除経費など猟友会活動への援助の拡大を行うことが必要だ。亀岡以北の市町が駆除に1頭当たりの報奨金を出している。京都府も財政支援すべきなので要望しておく。さらに、鳥獣害防止特別措置法に基づく対策協議会、防止計画がないと鳥獣害対策の予算がつかない。現在この防止計画がない自治体が、京都市、向日市、久御山町、城陽市、八幡市。すべての自治体が防止計画を持つよう指導と援助を要望する。

加味根史朗(日本共産党・京都市右京区)

食品安全問題とTPPについて

【加味根】食品の安全という観点から、まずTPP問題でお聞きする。
 TPPに参加すると食の安全が脅かされるという懸念が強まっている。現に米通商代表部が毎年、日本政府に「衛生植物検疫措置報告書」を出して、日本の食品の安全基準を緩和するよう求めている。現実の懸念となっている。そこで二つの点で具体例をあげて府の農林水産部の考え方をお聞きしたい。
  例えば、冷凍フライドポテトがあるが、アメリカの報告書ではこのように書かれている。
「米国産冷凍フライドポテトの積み荷を、大腸菌の存在を理由に拒否している」「大腸菌の検出は最小限で、業界基準の限度内だ」「フライドポテトは油で調理され、大腸菌の存在は除去され、したがって健康への悪影響の危険は除去される」。したがって大腸菌があるからといって、輸入禁止する措置は撤廃せよということだが、これについて食品の安全について日々努力されている農林水産部の立場としてどのように考えるのか、お聞きしたい。
【理事】いまお話の関係については、食品衛生法にもとづき、国が国境措置をしているもの。所管は厚生労働省になる。我々としては食品安全基本法にあるように国民の健康保護がまず最優先されるべきだというスタンスに立ちながら、国の動向について十分情報収集しながら適切な対応をしていきたい。
【加味根】念のために確認するが、冷凍フライドポテトなどに大腸菌が入っているというのは、日本の食品安全基準では、認められていないと思うがどうか。
【農林水産部長】さきほど担当理事から申し上げたように厚労省所管なので、私の方からは控えさせていただきたい。
【加味根】農林水産部には食品の安心安全の部門もちゃんとあり、保健の部門と連携して日々働いているわけで、食品安全衛生の基準にもとづいてやっているので、言える立場にあると思うので、ぜひ答えてほしかった。これは陰性、検出してはならないと思うので、このようなことが堂々と要求されてくることは許せないと思う。
 それからBSEの問題では、日本が米国産の反芻動物のゼラチンの輸入を禁止しているとアメリカは非難しており、米国産牛肉と同様に、BSE規制を緩和し輸入を拡大するよう求めているが、これについて府農林水産部はどう考えるか。
【理事】今の件についても厚生労働省の部会の方で検討が開始されたと聞いており、しっかりと情報収集しながら注視していきたい。
【加味根】国会の審議などでやるのは当然だが、府民の食の安全関わる重大問題の一つなので、府議会でもこの問題で意見書を出したこともあり、京都府も日々食の安全に取り組んでいるので、京都府の農林水産部としてこのような動きが強まっていることについて、見解をもって国にも働きかけるべきであり、明確な答弁をすべきだと思う。
 それでアメリカの要求を受けて、政府部内で月齢20カ月以下という米国産牛肉輸入規制の緩和を検討する動きが出ているが、これについてどう考えているか、答えられませんか。
【理事】厚生労働省の方でしっかり議論されると聞いているので、我々としてしっかり注視しながら対応していきたい。
【加味根】京都府としは国産牛のBSE全頭検査を今も行っている。どれだけの検査を行ないどういう状況か、私もホームページで確認した。このような日々の努力からいっても、月齢20カ月以下にこれまでの規制を取り払うようなことは許されない、BSEはなくなったのかといえば比較的最近も見つかっている。厚労省の調査結果も見たが、そういう意味でもBSEの検査を緩和するということは非常に重大なことだと思う。ぜひ農林水産部として、見識をもって、国に対しても意見を言うべきだと強く要望する。これは、BSEやフライドポテトだけでなく、食品添加物、収穫後の防カビ剤、農薬の最大残留基準値、米の検査制度など計7項目について米国基準に合わせろと要求してきている。食の安心安全を損なうものであり、この面でもTPP参加には反対すべきだ。強く求めておく。

林業振興とTPP問題について

【加味根】つぎに林業振興について。
 この問題でもTPP問題を避けて通れないので最初に指摘したい。
 輸入自由化の被害を受けたのが日本の林業だ。木材自給率は昭和30年の94.5%が平成22年に26%に下がっている。1立方メートル当たりの年平均木材価格は、昭和55年に過去最高となり、ヒノキが75400円、スギが38800円だったが、丸太の関税がゼロになって安い外材が入ってきたため、国内産木材価格は落ち込み続け、ヒノキが21300円、スギが10900円、マツが13200円となっている。府内の林業労働者も昭和44年に3371人いたが、661人に激減している。
 このようななかで合板などの林産物は9%前後の関税がかけられている。京都府の森林組合の役員の方も「この関税ゼロになってしまったら、国の林業プランで木材の自給率を50%に引き上げる計画も水の泡になってしまうのではないか」と言っておられ、そのとおりだと思うが、この点についてはどう考えるか。
【部長】さきほど申し上げた通り、何らの対策が講じられなければ、ということなので、その面については十分に国の方にも要請していきたい。実際に府の森林を見ても、だいたい45年生以上が5割を超え、収穫の時代を迎えている。戦後先輩たちが植林をした材がようやく利用できるようになってきたということなので、今後はしっかりと使い道、販売先をしっかりとするなかで、林業振興をやっていきたい。そのためにも現在進めている林業大学校をしっかり進めていきたい。
【加味根】ここまで林業が衰退してきた一つの大きな原因になってきた木材輸入の自由化、TPPはこれをさらに徹底するという動きにつながるので、これについて反対と言えない農林水産部の状況は、責任を果たしていると言えないと思う。木材価格への関税撤廃がないように強く求めてほしい。

府内産木材の需要拡大について

【加味根】つぎに府内産木材の需要拡大について。
森林機能の発揮や地球温暖化防止、林業の振興のために重要。今年3月に公共建築物等における京都府産木材の利用促進に関する基本方針が策定されている。どういう目標を定めているのか。またその現状と到達はどうなっているか。
【林務課長】本年3月に国の方の制定にもとづき、基本方針を策定した。内容については、3000平米以下の木造公共物については、すべて木質化をはかることが第一点。RC構造の建物についても数値目標をもって内面の木質化をはかっていくものです。
【加味根】基本方針をみると、5年後に公共建築物等の木造化率、木質化率を100%にする。木材使用量の府内産木材の割合を50%以上にすると認識したが、これで間違いありませんか。
【課長】個々の数値設定はその通りです。
【加味根】非常に大きな目標だと思うが、現状はどこまできているか。
【課長】この法律は公共建築物の木造化をはかるものだが、平成21年度から森林林業再生の国の基金事業があるが、そのなかで府内の公共施設、公園、ホール、大学、交番、学校等の木質化を現在も継続して進めている。
【加味根】公共建築物等の木質化、木造化の現状と到達がわかる数字を資料で要求する。
【課長】正副委員長と相談のうえ対応したい。
【加味根】府の計画では、市町村や民間での府内産木材の利用拡大についても進めていくことになっている。これをどう進めるのか、その方針をさらに具体化してほしい。さらに府内の新築、改築のなかで府内産木材を使った家を増やしていこうということで、緑の交付金が使われているが、22年度でまだ199件しか利用がない。これをどう飛躍的に増やすのか、相当の取り組みをしないとなかなか難しい。市町村、林業関係者だけでなく、府民ぐるみの運動が必要であり、特別の推進体制や予算措置が必要だと思うがどうか。
【課長】緑の交付金については平成18年度から進めているが、当初40件だったものが現在199件に五倍に伸びている。府内産木材の住宅を増やすためには、工務店、設計事務所が府内産木材を使っていただく取り組みを進めていくことが、結果的に実績の増加につながると考えており、緑の工務店の登録業者の増加の取り組みを今後とも強化していきたい。
【加味根】これから京都府の林業の振興をはかるうえで川上も大事だが、川下となる府民の間での府内産木材を使った新築や改築をやろうという機運を大きく高めていくことが非常に大事だと思うので、緑の工務店の登録を増やすことも大事だが、同時に府民的な規模で啓発、宣伝、PRをはじめ、運動体も広げながら取り組んでいただくよう強く要望する。

≪他会派議員の質問項目≫

■小鍛治義広(公明・京都市南区)

・食の安全、食品表示パトロール、放射能検査について

・農林業のジョブカフェについて

■兎本和久(自民・木津川市及び相楽郡)

・鳥獣害問題について

・放置竹林問題について

■中川貴由(自民・八幡市)

・農村地域の再生、命の里事業について

・食の安全について

■酒井常雄(民主・城陽市)

・農業と環境を守る事業について

■池田正義(自民・舞鶴市)

・担い手支援、戸別所得補償制度について

・クマによる農業被害について

・丹後トリ貝について

■平井斉己(民主・京都市北区)

・鳥獣害問題、特定鳥獣保護管理計画について

・農林フェスティバルについて

■林正樹(公明・京都市山科区)

・森林の境界の明確化について

■荒巻隆三(自民・京都市東山区)

・ナラ枯れ問題について

■島内研(民主・京都市左京区)

・林業振興について

■田中健志(民主・京都市中京区)

・担い手支援、ジョブカフェについて

・農地バンクについて

■山本正(民主・宇治市及び久世郡)

・南部卸売市場について

・安全な福島県産野菜の振興について      

 

2011年11月4日 教育委員会書面審査
西脇いく子(日本共産党・京都市下京区)

高校の入学者選抜制度の問題について

【西脇】これまで府内の公立高校の入学者選抜制度は京都・乙訓通学圏の変更や山城通学圏での学校統廃合、南北通学圏の廃止、特色選抜、大学受験にシフトした専門学科等々の新設など、めまぐるしく変わってきたと思います。
山城通学圏では、すでに、総合選抜から単独選抜になり通学範囲が大幅に拡大しました。さらに類、類型制度が廃止されているところです。
さらに、京都市教育委員会ですが、9月市議会で、京都市・乙訓地域の公立高校入試について、総合選抜方式の廃止を視野に入れた抜本改革を府教委と前向きに検討するとしておられます。府教委も、京都市・乙訓地域の教育制度と入学者選抜制度にかかわる懇談会を先日設置され、第一回目を開催されました。
改めて山城通学圏での選抜制度が変更された結果、生徒や高校の現場ではどういうことが起こっているのかしっかり検証することが極めて重要だと考えております。
そこで、入学者選抜制度の改革にあたっては、中学生から選ばれる高校づくり、希望する高校を選べるシステムづくりのためと言われ続けて改革がされてきたわけですが、現在、山城通学圏ではそうなっているのかどうかこれは是非、教育長にお聞きしたいと思います。
【指導部理事】山城通学圏の件ですが、前回の23年度の実績では、第一志願の希望をかなえた生徒は、99.6%の割合で希望校に合格をしております。これは、受験生中学3年生が望んでいる学校に入学できたということで、中学生にとって希望する高校や環境が整ってきているという判断をしています。
【教育長】山城地域の状況については、それぞれの生徒が希望する学校により進学できるようになったと評価しています。
【西脇】山城通学圏ですけれども、今年度の京都府内の高校偏差値ランキングというのがホームページで掲載されているところです。これは、皆さんもご存じかと思いますが、山城通学圏内では偏差値66のトップ校から最下位の40まで明確にランクがつけられています。しかもこれは、教育委員会にリンクされているという、これは個人の塾の方がやっていると、これはいかがなものかと思うのですが、それはさておいて、現在の入試制度は、3段階システムで、単独選抜で、落ちる可能性を心配する生徒は、「どこでもよい」という書き方を選択せざるを得ないと。これは中学校のところでの指導もあるかと思いますが、結果的に全く予測できないような学校に通わざるを得ないという生徒を作り出してきているとお聞きしています。この結果、どこにも行き場がないという生徒の実態はないと聞いておりますが、実態は、生活指導上も課題のある生徒が特定の公立高校に集中してきているという実態もあるわけです。私たちが危惧していた「高校ごとの格差」が今広がっております。地元の高校に入りたければ、結局は成績やスポーツなど厳しい競争に勝ち抜かねばならない、結局高校を選べる子はスポーツや成績が優秀な生徒じゃないのかというのが現場の教職員や保護者、何よりもこれが生徒の認識だと聞いております。生徒同士で、学校ごとのレッテル貼りもすすんでいるということもお聞きし、ますますこれは危惧していたような山城通学圏での学校ごとの序列化が顕著になっていると思っているところです。
そういった序列の低い学校に行っている、また行かざるを得ないという生徒は、劣等感で深く傷ついて、意欲もうせ、中退も考えている子もいるということもお聞きしております。このことは、成長期の「15の春は泣かせまい」ということも言われましたが、全く逆行する、こういった成長期の生徒の心を深く傷つけているのではないかと考えます。これが本当に生徒から選ばれる高校づくりであり、生徒が希望する高校を選べるシステムなのか。これは、先ほど教育長からお話があったかと思いますけれども、この話からも矛盾した状況ではないかと思いますが、このことについてどうお考えでしょうか。
【指導部理事】進路指導については、中学校での指導が大切だと思っております。中学校での指導にあたっては、本人の適性を考えていただく、それから、本人の希望を考えていただく、当然、学習成績も勘案していただくことも必要と考えておりますし、保護者の意向等も聞いていただいて総合的に判断して進めていただいていると考えております。そういった丁寧な指導の中で、生徒自身が自ら進みたい高校を主体的に選択して進学していると理解しています。
【西脇】主体的に生徒が選べるというのは、私は実態とは違うと思っております。「行ける学校を選ばざるをえない」と成績によって行ける学校を選ばざるを得ないという、まさに、希望していても行けないという状況があることは、間違いないかと思います。
また、別の問題ですが、山城通学圏では通学範囲が広がった結果、電車と徒歩で片道1時間以上かけて通学する生徒も当たり前のようになっております。中学生の就学援助率が2割にもなり、貧困が広がる中で、通学費負担も深刻になっております。また、クラブ活動も十分にできているのかということも危惧するところですが、こういう実態については、皆さんのところでどういう認識をしておられますか。
【教育次長】希望ということのとらえ方が違うと思うのですが、もちろん出願の段階では、あそこへ行きたいと思ってもいろんな条件がある。例えば、学力でちょっと難しいから、こっちの学校にしようということはあると思います。最終的に判断してこの学校行こうとして希望されたのが、単独選抜のやり方です。その際には、当然通学時間とかいうのも考慮の一つに入ると思いますので、1時間とか2時間かかる、2時間というのはないと思いますが、それも含めて希望していただいているのだろうと思っております。
その中で学校に来て、やっぱり第一希望はここへ行きたかったのにというのは、どの学校にもおりますけれども、しかしそうではないということを、入学後にがんばらなければいけないということを指導するのも学校でありまして、どの子もすべてが最初からなんとなく学校に入れるような入試制度はないわけでありまして、総合選抜にしても入居地の学校にしか行けない、あるいは、こっちにいくと思っていた境界が変わって、来年はこっちになったとかそういう問題やらいっぱいあるのですから、いずれにしても単独選抜だけでそのような問題が解決される、あるいは、その問題が他に変えたらよくなるというふうに考えております。
【西脇】いまお聞きしているとあたかも、子どもたちが「どこでもいい」学校を選んでいるこれは、子どもたちが自己責任で選んでいるのだから仕方がないというふうに理解できるのですが、そういうことなのでしょうか。
【教育次長】学校というのは、どこの学校でもそうですが、制度として行ける学校があるわけです。その中から、自分の行きたい学校、そしてまた、行けるかどうか通えるかどうかも含めて選択していただいているということです。
 「どこでもいい」というのは、山城通学圏のセーフティネットで最終的にマルをつけるのがありますが、もし、希望の学校がだめでしたらどこでもいいのであれば、「どこでも」というのは、定員がまだ満たされていないというところがあって、そこでもいきたいという子どもさんは、マルをつけてくださいということですので、それは別に強制しているわけでもありませんので、それはまあ本人の自由、セーフティネットとしてそういう制度を設けているということです。
【西脇】単独選抜というのは性格上、たくさんの子どもさんが集中すると、それで、落ちる可能性がたくさん出てくると、そういうことを嫌って、生徒たちというのは当然、落ちるというのは極端に嫌がります。そういうことを回避するために、結局はどこでもいいというところのランクを選ばざるを得ないという実態があるわけなのですよ。それをあたかも、選んでいるからということでは、私は間違っているということを指摘しておきたいと思います。
 それから、本来、高校というのは、大学進学のためだけにあるわけではなくて、知力・体力・情操、バランスのとれた教育を進めながら、子どもたち自身の自主的な活動も大いに行う中で、子どもたちは成長していくものだと考えております。どの高校に行っても学力の面でもクラブ活動の面でも充実した活動ができ、それを保障する環境が必要だと思っております。そういう場が高校ではないのでしょうか。是非とも山城通学圏で起こっている実態について、府教委でしっかりと調査もしてつかんでいただきたい、これは求めておきたいと思います。
 先日、左京区の中3生の保護者から、私どものところにメールが届きました。「京都の受験制度は、理解するだけで大変だ」と、「高校の中にいろいろなコースがあり、それぞれ特色を出そうとやっているのだと思うが、週末ごとに各高校の見学や説明会があり、子どもと親はたくさんあると、高校の中から自分たちで選んで参加していかなければならず、週末は高校の説明会や見学等々で休みたくても休めない日々が続き、なんとかこなしてきたけど限界だ」と、「どこにいっても同程度のしっかりした教育が受けられるという安心感がほしい」。この声こそが、今の中3生やお父さんお母さんの思いを代弁しているのではないでしょうか。
 現在、京都市・乙訓地域の入学制度の改革という方針、方向が打ち出されているところですけれども、もし、今起こっている山城のような制度になるということになれば、これは私はとんでもないと思うのです。これは、子どもたちをさらなる受験戦争に追い立てると、また、学校を格差によって輪切りにするということがないように、これは強く求め、指摘しておきたいと思います。

府立高校の長期欠席者の特別入学者選抜について

【西脇】長期欠席者の特別入学者選抜は、1クラス10名までの少人数クラスで、現在4校で実施がされております。中学校時代の成績を加味しないシステムで、不登校だった生徒にも全日制高校に入りやすいメリットがあるとのこと。それで、この選抜制度の教育効果について、まずお聞きします。
【指導部理事】長期欠席の特別枠の入試は4校で実施しております。23年度の入学生については、27名のものが在籍しておりますが、過半数を超えるものが順調に校内で生活をしていると聞いております。ただ、長期欠席の中学校時代の原因がございますので、不調に至っている生徒が何名かいることは事実でございます。
【西脇】今開かれております「定通の在り方懇」でもスクールカウンセラーの方が、たくさんの先生の目が行き届いて、これは成功しているのではないかとの発言がありましたが、これは是非とも続けていただきたい良い制度だと思っております。今、4校だということですが、せめて通学圏ごとにまずは設置していただいて、できましたら各校ということで順次設置の要望をさせていただきたいと思います。

府立高校の耐震化について

【西脇】現在の府立高校の耐震化は71.9%で、125棟残っているということでしたが、今年度、30億円の予算がつき、15校・26棟で耐震工事実施されています。しかし、これは、事前におききしますと、耐震補強計画が出され、入札を経て工事完了までに最短でも1年半から2年程度かかると聞いております。小中学校では、27年度までにほぼ100%完了するとお聞きしておりますが、府立高校では、このテンポですと教育振興プランにある「27年度までに90%改修」もままならないのではないかと危惧しておりますが、その点についてはどうでしょうか。


【管理部理事】今ご紹介あった通り125棟ございます。次年度以降、仮に15棟ずつと考えましても、実は単純に割り戻しますと、あと8年くらいかかるという状況になります。私どもとしては当然生徒の安全安心の確保なり、また、災害時の役割の重要性等々から、当然、耐震の完了というのは、1年でも極端にいえば1日でも早く完了すべき課題であろうと考えておりますので、当然、予算のこともございますが、今後とも私どもとしては、早期の完了を目指して引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
【西脇】本府の方針では、全体で33年までに全体が完了予定とおききしておりますが、先ほどのお話ですと、前倒しで33年というのではなくて、もっと早くやるということになるわけですか。
【管理部理事】実は33年度というふうに公式にはたぶん言っていないと思います。単純に割り戻したら33年になるよということを言った時期があろうかと思います。少しでも早い完了を目指して取り組むという基本線には変わりございません。基本的に今現在府立学校では、いわゆる内部のリニューアル、非構造部材も合わせて耐震工事をしています。こういう方法をとりますと、当然ながら予算も高くつきますし、工期のほうも長くなるという面がございます。そういう面から、いわゆる安心安全という部分をどう図っていくのか、ということになっていくわけですけれども、例えば、非構造部材、リニューアルについては、少し先送りして、まず個体の安全を先に図ろうというのも一つの方法かと思いまして、現在、いろんな面から検討をしている状況です。
【西脇】小中学校と同じように27年度すべて完了すれば、これは理想的なのですが、それに近づくように努力をお願いしたいと思います。
 あわせて、先ほど申しました最短でも入札から実施まで1年半から2年以上かかるというその辺りも、最低の安全を担保しながらもう少し短縮できるかどうか、探求が必要かと思いますが、最後にこの一点をお聞きします。
【管理部理事】耐震工事については、設計に7~8カ月かけているのが現状です。通常の改修工事と違い、耐震性の設計計画に第3者委員会の判定というのを取っております。その判定手続き等に2~3カ月要するわけですが、それも含めて7~8カ月、工事に1年程度かけているわけです。これもなぜかといいますと、耐震工事については、どうしても音とほこりが付きまとってきます。そういうことから、学校をすべてあけて出来ればいいわけですが、そういうことにはなりませんので、夏休みなどの長期休業を有効にうまく活用しながらやっていくということで、どうしても工事期間が長期になっているというのが現状です。当然ながら短い方が良いわけで、それについては私どももできる範囲で努力をしているところですし、今後ともやっていきたいと考えております。

浜田良之(日本共産党・京都市北区)

府立盲学校の教員配置問題について

【浜田】地元北区にあります府立盲学校の教員配置問題についてお聞きします。この間、保護者のみなさんから、今年四月の人事異動でベテラン教員や専門免許のある教員が大幅に異動して、盲学校教員に必要な経験や専門性が引き継がれずに、児童に必要な学力・知力が身につけられない状況になっていると、改善を求められていました。その要望にこたえて、サポートセンターから前校長先生を派遣したり、来年度の人事異動については改善をはかる旨が保護者のみなさんに回答されるなど、一定の改善がはかられていると思います。そのことをふまえて、いくつかお聞きしたいと思います。

サポートセンターから前校長先生が派遣されていますが、週1回、決められた教室に入り指導するということになっており、それも12月末までとなっています。保護者のみなさんからは、表面的に問題がないクラスでも、児童がかかえる心の動きなど、経験がなければ察知できない部分もあり、すべてのクラスへの指導が必要ではないか、また、教師だけでなく、保護者の相談にも乗ってほしい、という声も出されています。したがって、派遣の回数、人数を増やし、期間についても、当初いわれていた「保護者の安心感が出るまで」続けるべきではないでしょうか。
【特別支援教育課長】盲学校の関連ですが、スーパーサポートセンターからの視覚障害の専門のスタッフの派遣ですが、全体の指導方法の教員に対する指導、授業改善に向けた指導のために週一回派遣いただいております。
 これだけではなしに、今年幼少学部については全体にメンバーが若返ったということで基本的に全員参加の基本研修以外にも年間20回の体系的な研修、その中には歩行指導とか点字も含めた専門的な研修を、中学部あるいは高等部の専門性の高い教員からの指導も含めてやっております。
 スーパーサポートセンターの派遣については、2学期までの動向を見ながら今後どうするのかという検討を行なうところです。とくにたくさんのスタッフをつけてということは、現在のところ考えておりません。体系的な研修のところでしっかり専門性の向上が図られると考えております。
【浜田】週一回の派遣では不十分ではないかというのが保護者の方からの声なので、是非、検討していただきたいのと、12月末までとなっているというのは、一応そこまで見て、その後検討するということですね。
【特別支援教育課長】2学期間の実施状況を見た上で、どうするか検討すると、その成果なりの検討をするということです。
【浜田】年間20時間の研修などをいわれましたが、現在、特別支援学校の免許を取得すれば盲学校に採用されるということですが、その特別支援学校の教諭免許では、点字とか白杖などの実践講習は行われていないと思うのです。これは私の知り合いの話ですが、特別支援学校の資格を取って、盲学校への異動を希望されていましたが、自ら点字もできないし、白杖の使い方もわからないので、不安だということでちゅうちょしていました。視覚障害者を教えるうえで最低限必要な実践講習というのは、採用されてからやるのではなくて、採用前に講習を受けられるということを保証すべきではないでしょうか。
【特別支援教育課長】点字の部分について言いますと、中学部から高等部の教員については、全員マスターしております。少し、そういう意味では幼少学部のところは全員ということにはなっておりませんので、中学部・高等部の専門的な教員の力もかりてやっているところです。
 それと、これは全国的にも同様なのですが、大学の視覚障害の専門教員を養成する課程というのが京都には現在ございません。近くでいえば大阪教育大学に設置されているところ、全国的にも非常に少ない。これは、視覚障害自体が特別支援学校の5種の障害の中では最も発生率が低いということ、あるいは、大学の養成機関が少ないということで、全国的な課題であります。その辺の課題も踏まえながら、しっかり研修をやっていきたいと考えております。
【浜田】来年度の人事異動にあたっては、校長から十分意見を聞きながら進めると聞いておりますが、そのためにも、経験のある先生がどこにおられるのかなどの情報を校長先生にも伝えて、校長先生をはじめ現場の声をしっかり聞いて行うべきだと思いますが、いかがですか。
【教職員課長】もとより、人事異動については、各校長からそれぞれの教員の特色、専門性、そのあたりを十分お聞きした上で移動作業を進めているところですので、引き続き校長からしっかりと意見を聞いてやっていきたいと考えております。
【浜田】意見を聞く上でも、校長先生に情報が伝わるようにしてほしいということであります。

支援学校の教員配置について

【浜田】次に、特別支援教育が制度化されて5年目を迎えますが、この5年間に児童生徒は153名増えているのに対して、教諭はわずか11名しか増えていません。一方、定数内講師は69名の増となっています。その結果、支援学校の定員内講師数の比率は12・3%と大変高くなっています。ちなみに、教員全体では、定員内講師数の比率は7%です。講師というのは、1年契約ですから、専門能力がより求められ、経験がより必要な支援学校では、むしろ一般の学校以上に正規の教職員が必要ではないかと思いますが、いかかですか。
【教職員課長】教員数についてですが、児童生徒が1名増えたから教員が何名増えるということではなく、国の標準法では学級によって算定されることになっております。
 例えば、高等学校でいえば、1学級増えるごとに2人、小中学部については、学級の大きさで違いますけれども、だいたい15学級から25学級の規模でしたら、小学部で1学級あたり1.2人、中学部で   1.5人と算定されます。ですから、学級編成についても、小中学部については、単一障害については6名で1学級、重複障害については3人で1学級となっておりますので、今、申されたように、児童生徒がこんなに増えたのに教員がこんなけしか増えていないというのではなくて、学級数に応じて決まっているということです。
 定数内講師については、この間、宇治支援学校の開設とか、前年度の八幡支援学校の開校ということがありました。そんな中で、一つは教員数が予想以上に膨らんだ、児童生徒数が増えた、学級数が増えたことでそういうことがあります。また、去年から今年にかけてですが、昨年度は特別支援学校の教員が予想以上に特別退職等でやめたということが原因となっておりまして、そういうことで一時的に常勤講師が増えたと思っております。
 ただ、常勤講師についてはできるだけ正規採用でやっていくということでとりくんでおりますが、一方で、講師だからといって経験がないということではなく、例えば、退職後に講師としてやっている方もおりますし、他府県現職の方もやめた後に京都で講師としてやっている方、あるいは、講師でも十数年にわたって経験を積んでやっておられる方もありますので、一概に講師だからダメだとは考えておりません。
【浜田】もちろん、10年20年と経験のある講師がおられることも承知しておりますが、基本的には講師は1年というのが期限になっております。現場からは、支援学校の場合は、やはり、実践経験の積み重ね、蓄積が重要なのに、1年期限の講師が多いと、その蓄積ができない」「知らない者同士の職場で、わからないことを教えたりすることも多く、超勤が増えている」、こういう声をお聞きします。やはり、可能な限り正規の教職員を増やすという方向で努力していただきたいと思います。
 なお、先ほど池田議員の質問に課長は、辞職とか病休などで離れた教員が、一桁といわれましたが、それは支援学校も含めて全部で一桁ということですか。
【教職員課長】先ほどは、指導にかかわって、指導がうまくいかないということでの退職は1桁だと申しました。これは、すべての講師を含めてです。
【浜田】退職が1桁ということですか。病休もと先ほど言われませんでしたか。
【教職員課長】退職も1桁ですし、病休で1ヶ月以上休むという者も1桁です。
【浜田】私のお聞きしているところでは、宇治支援学校だけでも、この間病休で9名ほど休まれているとお聞きしておりますので、ぜひ、実態を正確につかんでいただきたいと思います。
 先ほど、教員の配置基準のことを言われましたが、現在、宇治支援学校では、教員一人当たりの児童生徒数が1.99人、南山城支援学校が1.70人、向ヶ丘支援学校が1.49人、八幡支援学校が1.70人と、学校間に格差があると思うのですが、先ほどの基準通りやられて、こういう差が生まれているのでしょうか。
【教職員課長】先ほど9名ということでしたが、その9名については、ベテラン教員も多く含まれております。先ほど申しましたのは、採用後1年以内でそういったことで休んでいるということですので、今回の9名とは。それに今回の9名には講師が2名含まれていると思うのですが、ベテランが過半数を占めております。 
 それから、一人あたりの教員の違いですが、これは学校の児童生徒の状況に応じて決まってくるものです。標準法の算定上は、重複の障害については3名で1学級、単一の障害では6名で1学級ということで算定されます。ただ、単一障害であっても非常に障害のたいへん障害の程度が重く、手厚くやられなければならないこともあります。そういうことも含めて、よく校長から状況を聞いて、配置しております。この学校が他の学校と比べてどうか、という比較は、単純にはできないと考えております。
【浜田】先ほど、9名の病休にベテランも含まれていると言われましたが、結局、そういう状況が起こっているのも、教員一人当たりの生徒・児童数が多いことも原因になっていると思います。ぜひ改善できるように努力していただきたいと思います。

≪他会派議員の質問項目≫

■池田 正義(自民党・舞鶴市)

・学力パワーアップ総合対策事業について

・教員同士の連携、教員の研修について

・教員の病休の状況について

■中川 貴由(自民党・八幡市)

・公立高校の生徒の学力格差について

・公立高校の役割について

・八幡支援学校について

・支援学校の卒業後の進路について

■平井 斉己(民主党・京都市北区)

・中学校のティームティーチングについて

・学びの教室、土曜日のあり方について

■兎本 和久(自民党・木津川市及び相楽郡)

・学校の耐震化について

・学校の防災機能設置について

■山本 正(民主党・宇治市及び久御山町)

・公立高校の目的・評価について

・高校の理系教員の確保について

■小鍛冶 義広(公明党・京都市南区)

・読書活動推進事業について

・中学校の武道の必須化について

・鳥羽高校の耐震化について

■巽 昭(自民党・京丹後市)

・学校でのいじめ問題の対応について

・校内暴力の現状について

・中一ギャップと小中一貫校について

■安田 守(自民党・向日市)

・公立高校の学科の特色づくりについて

・公立高校と私立高校の共存について

■島内 研(民主党・京都市左京区)

・教育情報ポータルサイトについて

■酒井 常雄(民主党・城陽市)

・エネルギー・原子力教育の見直しについて

■林 正樹(公明党・京都市山科区)

・心のサポート推進事業(不登校)について

・精神疾患のある生徒の対応について

■田中 健志(民主党・京都市中京区)

・高校生等就学支援事業について

・高校の理系教員の確保について

■小鍛冶 義広(公明党・京都市南区)

・読書活動推進事業について

・中学校の武道の必須化について

・鳥羽高校の耐震化について