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予算・決算特別委員会

府政報告 1992 決算特別委員会 総括質疑

2011/11/28 更新
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●2010年度決算特別委員会知事総括質疑が11月18日行われました。日本共産党からは迫祐仁委員、西脇いく子委員が質問に立ちました。質疑の大要と他会派委員の質問項目を紹介します。

迫  祐仁・・・・・・・ 1
西脇いく子・・・・・・・ 4
他会派委員質問項目・・・ 8

2011年11月18日 知事総括質疑
迫祐仁(日本共産党・京都市上京区)

環太平洋連携協定(TPP)について

【迫】まず、国民の暮らしと経済へ破壊的影響を及ぼす環太平洋連携協定(TPP)についてお聞きします。                
野田首相は11日、多くの国民の不安と反対の声を押し切って「TPP交渉参加にむけて関係国との協議に入る」との表明を行いました。野田首相の態度表明を待っていたのは、自国の利益拡大を歓迎するアメリカであり「例外なしの自由化」との協議内容でした。TPPの内容が明らかになる中で国民の怒りは一層広がっています。
 全国知事会は態度発表の当日、先程知事がおっしゃいましたが、会長名で「問題がある」との「コメント」を発表しました。そもそも知事会は、10月19日に「TPP協定交渉に関する緊急要請」を政府に提出し、「十分な情報提供と国民的議論の必要性」「農林水産業の再生・強化に向けた具体的かつ体系的な対策の必要性」を指摘し、「総合的な検討を行い、国民合意を得た上で、判断すること」を求めていましたが、十分な回答がされなかったため「今回の方針決定の表明に問題がある」とコメントしたのです。
知事、国民の反対の世論と運動に耳を貸さず、知事会の要請にもまともに答えなかった政府のTPP参加表明に厳しく抗議し、撤回を求めるべきではなかったのですか。いかがですか。
【知事】TPP問題についてでありますが、私どもはいまご指摘がありましたように全国知事会としても、しっかりとした情報提供、そして対策、さらには慎重な対応ということを三本柱として、これは民主党の各関係大臣に申し入れたところであります。
残念ながら、そうした中での今回の話でありますけれども、そうした、いろいろないきさつの中で、交渉参加ということではなくて、交渉参加に向けて関係国との事前協議という、極めて曖昧な形で話が進んでおります。従いまして、私どもはこれはちょっと問題ではないか、しっかりとした情報提供をしなさい、それから、農林業等の対策を示しなさいということを申し入れて、慎重対応を言っているわけでありますので、まさにその筋でこれからも国に対して強く要請していきたいと考えております。
【迫】現実にはこの問題では交渉に参加をする、そのことが前提になっています。その中には、先ほど来から言われている関税撤廃と非関税障壁の撤廃、これが求められてくるということは明確であります。
そういう中でわが党議員団は、決算委員会の審議で、TPPへの参加は、府民生活のあらゆる分野で影響が出ることを示し、京都府として府民への影響を明確にし、TPP参加に反対を表明すべきだと追及してきました。
ところが、知事が反対の態度を明確に表明しないため、副知事や理事者の答弁は「国が対応策を講じなければ、大きな影響がある」「現時点ではまだ判断しにくい」「全国知事会が国に要望している」など、京都府としてあいまいな態度に終始していました。
 そこで改めて、知事に伺います。
農業の影響は農水省の試算を京都に当てはめると生産額でコメは90%の178億円減少。畜産も乳製品、牛肉、豚肉、鶏肉を合わせると59億円減少。お茶も25%、19億円減少、これだけでも256億円の減少です。さらに農地が荒れ果て、洪水防止機能など400億円近い機能の大半が失われてしまいます。
「食品の安全」はどうか。米通商代表部は7項目の対日要求を示し、大腸菌が検出された米国産冷凍フライドポテト、また、防かび剤入りの食品添加物などの輸入を強要しています。
医療の分野では、政府は「今後は混合診療の全面解禁の議論の可能性は排除されない」という見解を公式に認めました。このため、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会はTPP参加に反対を表明し、京都府医師会は改めて11月8日に反対の緊急決議をあげています。
「政府調達」の分野でも公共工事はWTO基準では23億円以上が国際入札ですが、TPPでは7億円台になり、建築委託やコンサルに係る入札も2億3千万円以上が750万円まで引き下げられ、本府の入札に外国企業が参入してきます。
本府での倒産件数の3割近くが建設業界、非常に厳しい状況にあります。総合評価方式などの入札制度の改善を行っているがTPPに参加すると、地元企業に仕事を回す努力がいっぺんに吹き飛んでしまいます。また入国審査が緩和され低賃金労働者が入ってくる。業者も、労働者も大きな被害を受けてしまいます。
私の地元西陣でも関税撤廃や、原産国表示が撤廃されれば、外国産の安い帯やネクタイが大量に入ってきて、いまでも苦戦している業界が崩壊しかねません。京都府の行なっている中小企業支援策も自由貿易の障害になる非関税障壁として廃止されかねません。
そこで知事に伺います。首相が参加協議を表明した中で曖昧な態度ではなく、本当に知事は、府民の命とくらしを守る立場から、京都の産業や、食の安全、医療の問題など重大な影響について、府民に知らせるべきではないですか。お答えください。  
【知事】まさに、府民への影響なのですが、それぞれ言い合っているわけですよ。片方では農協中心に反対を言い、片方では経団連中心にメリットがあると言い合っているわけですよね。今は、迫議員は反対の方ばっかりの表明をされたわけですが、片方では賛成ばっかり言っている方がいっぱいおられるわけです。その中において、議論が明確でないから、片方が農林水産省の試算は8兆円損をする、経産省は10兆円得をするとなっているので、こんな議論をいくらやっても私は意味がないと。前提条件が全く違う場外戦をやっているわけです。だから、前提条件をきちっと明確にしていかなければ、この話し合いというものは、国民の議論にならないですよと申し上げているわけです。そのためのしっかりとした情報開示と、そして対策を国に示すべきだと要求しているわけであります。
【迫】国に求めるだけではなくて、京都府としてもその影響の試算をしっかりと府民に示す、そのことで不安、疑問にもこたえていく、なんのこのことも示されないというのは残念です。
政府に対し国民的合意が必要というなら京都府民に対して知事として、北海道知事のように影響調査を示すべきではありませんか。京都府知事として、TPP参加には反対すべきだと再度求めて、次の質問に移ります。

原発から撤退し、府の基幹エネルギーを再生可能エネルギーに転換し飛躍的に普及させることについて

【迫】東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から8カ月を経過してもいまだに収束の見通しも立たず、放射線被害は拡大しています。「原発をなくせ」の世論が広がっています。
いま、原発から撤退し、府の基幹エネルギーを再生可能エネルギーに転換し飛躍的に普及させることが必要ではないでしょうか。
停止中の原発の再稼働について、お聞きします。わが党の国会での志位委員長の質問に野田首相は『事故の究明、徹底調査を行うことがすべてのスタートの大前提。そうした究明を終えた後に再稼働のプロセスになる』と答弁しているにもかかわらず、いま福島原発の事故究明が終えていないのに、関西電力は大飯原発3号機や4号機の再稼働を行おうとしています。しかも、政府が原子力機関IAEAに提出した報告書では、地震による原子炉の損傷は詳細が依然不明で「更なる調査が必要」だと認めているのに、関電は、東電福島原発事故の概要について「津波により電源喪失が事故原因」と決めつけ、「ストレステストも終了して問題ない」としています。
政府の見解とも違う、まだ事故の検証も終了していない中、再稼働を行おうとする関西電力の態度は絶対に認められないと思います。
知事は国、関西電力に再稼働の中止を求めるべきと考えますが、いかがですか。         
【知事】今後のエネルギー政策については、「省エネ」「新エネ」「創エネ」これが中心になって進めていかなければならない。問題はそれをどういうプロセスでやっていくのかということが一番、私たち責任をもって府民の安心安全、生活に責任を持っている立場から問われていると思います。
大飯発電所の再稼働については、関西電力から10月28日に現在定期検査中の大飯発電所3号機が、昨日は4号機のストレステスト結果が国に報告されました。私どもの中では、これは福井県が安全協定で、その可動についてのある意味では決定権をもっているわけですが、この中で、福井県は再稼働の条件として、安全基準の見直しなど4項目を国に要請しておりまして、再稼働を認めるにはストレステストの安全評価だけでは不十分という姿勢でありますが、私もこの福井県知事の姿勢に賛同するものであります。
【迫】14日に開かれた原子力安全・保安院専門家会議では、ストレステスト報告書審査では、「不備があった安全審査を見直さないままテストを安全判断に使うのは理解できない」などテストの在り方をめぐり批判が相次ぎました。
知事は、京都は「原発立地県」と同じだとこれまで繰り返されて発言されています。これは、府民の命を守るために原発の稼働の是非にも発言する責任があるということだと思います。その立場からすれば、当然知事は反対を明確にすべきではないかということであります。
ひとたび重大事故が発生していけば、放射性物質が外部に放出される。それを抑える手段は本当に存在しない、被害は空間的にどこまでも広がる危険があります。時間的にも将来にわたって危害をおよぼす危険があり、地域社会の存続さえも危くする。原発の「異質の危険」は技術の未完成に起因し、発電の過程で「死の灰」を生み出す。「死の灰」は閉じ込めておく保障を持っていません。そういう原発が福井県の活断層の上にある。停止中の原発の再稼働は中止と国、関電に求めるべきです。

地域防災計画の見直し問題

【迫】次に地域防災計画の見直し問題です。
府は6月に独自にEPZを20㎞圏内とする「暫定計画」を策定しましたが、10月に国の原子力委員会事務局は、30㎞圏内にする見直し案を示しています。ところが、府は「引き続き暫定計画の20㎞圏内で対策を行なう」と表明されていました。該当する市町村に混乱と負担を招いています。本日の答弁でも国の見直しにともない見直しを行っていくと表明されていますが、しかし問題は、同心円状の範囲を設定し、対策をその範疇にとどめてはならないということです。
福島第一原発事故での放射能の広がりは原発から30㎞圏内の同心円内だけでなく、それ以外の地域にも広がっています。福島県飯館村は、原発から30㎞以上離れていましたが、高濃度の放射性物質が水道水や土壌から次々に検出され、全村避難区域に指定され、多くの人々が先祖代々の住みなれた土地を離れ生活をしなければならない。また、60㎞離れた福島市でも土壌の放射汚染レベルは、チェルノブイリ事故後に強制避難区域に相当する地点もあり、「わが子を放射能から守りたい」と自主避難されている方も多くおられます。ホットスポットは250㎞離れている東京都や千葉県などでも土壌の放射能汚染が検出され対策が急がれていると思います。
このモ二タリングポストや医療体制など、府域全体を対象にした対応を取るべきではないかと思いますが、いかがですか。  
【知事】原子力防災から地域防災計画の見直しについてでありますが、先程、荒巻議員、田淵副委員長にお答えした通り、5月に原子力発電所防災対策の暫定計画を策定しまして、府域全域を対象にモニタリング体制、初期被爆体制などの整備拡充を進めているとお答えしたとおりであります。
また、住民の避難についてもEPZの圏内に限定せず、環境放射線のモニタリングやスピーディの予測をもとに柔軟に対応していかなければならないということを先程も申しあげたとおりでありまして、今回の場合には30㎞だからどうのこうのということではなくて、ただ一つの目安はつくっていって、どうやって応用のきく形の計画をつくっていくかが問われていくのだということで、おりますので、そういう範囲から我々は暫定的にはまず20㎞にいきましたし、国の方は30㎞に明確になってきましたので、それに合していくということであります。

【迫】柔軟にということなので、本当にこの府域全域にということで理解してよろいのですか。
【知事】ご存じのようにこの原子力防災の計画というのは、国の指針に基づいて、それぞれの範囲を決めて、そしてそこに対してどういう対策をとるのかということを、整合性をもってやっていかなければならないという形の法体系になっています。ですからそれをできるだけ柔軟に応用することによって、スピーディとかそういうものによって、いつでも非常事態に対応できるように計画をつくっていくのが一番良いのではないかということを申し上げているわけです。ですから、全体がEPZやUPZという話ではありません。
【迫】私もそういうことは理解しております。現実にその問題を府域全体に広げていかなければ、やっぱりこの福島の例なんかもそうですけれども、60㎞離れても放射線の汚染のために自主避難されてこの京都にも来られている方もいらっしゃるわけですよね。そういう問題で、やはりこういうことをしっかりと受け止めていかなければならないというふうに思っています。
改めてこの問題は、原発がある限り解決できない問題です。宮津市長は「東電福島第一原発事故は、原発は安全でないことが証明された。『安全神話』は崩れた。そうなったら今、原発を続けるべきではない。立地県も含め広域的な脱原発の合意形成が必要です」と言われています。知事、いまこそ、原発ゼロへの決断がカギだと求めて質問を終わります。

西脇いく子(日本共産党・京都市下京区)

日本写真印刷のリストラ計画について

【西脇】日本共産党の西脇郁子です。まず雇用問題と地域経済についてお聞きします。先日、9月16日に京都市に本社をおく日本写真印刷が、正社員400人、非正規社員300人の計700人もの削減などのリストラ計画を発表しました。
正社員419人、非正規34人が働く亀岡工場では、今年度中に事実上閉鎖とされており、久美浜工場でも、54人の従業員が半減されるとのことで、マスコミも「雇用、税収への影響懸念」と報道があったように大きな問題となっています。
日本写真印刷には、これまで京都府も平成15、16年度の2年間で約7000万円の「企業立地補助金」が、そして亀岡市からは、平成21・22年度の2年間で約5千万円の「企業立地奨励金」が投入されてきました。 
これまでも府内では、ジャトコやトステムなど大企業で大量の労働者のリストラと工場閉鎖が行われ、地域の雇用と経済に重大な影響を及ぼしてきましたが、さらに今回も同じように日写が大量のリストラを行おうとしており、とりわけ日写の場合は、京都の地場の企業であり、府が直接、補助金を出してきた企業としてこれだけの規模は、かつてないことではないかと思っております。
しかも日写によりますと府内だけで取引企業は、150社にものぼり、府内の産業や雇用への影響は大変なものがあります。
日写は、9月30日付けで希望退職者の募集を開始し、すでに個別面談を行ってきました。そのなかで、亀岡工場の労働者の方からは、「上司との個別面談があり、あなたのスキルを発揮する場所は、日写グループにはありません。あなたのポジションはありません、会社が判断しました」など一方的に通告されたという告発のメールがわが党などに寄せられていたように、これまでに400名を超えるともいわれる希望退職という名の退職干渉が行われてきました。
そこでまず知事におききしたいのですが、日写の工場閉鎖を最後まで踏みとどまらせ、労働者のリストラをやめるよう会社と最後まで協議し、最大限の努力をはらっていただくべきだと考えますがいかがですか。
【知事】最大限の努力はしておりますし、これからもしてまいります。
【西脇】まったく誠意がない答弁ではないかと思います。研究拠点は残ると聞いていますが、拠点は残ってもこれまで働いてこられた400人の正社員と300名もの非正規社員や、150社とも言われる取引企業についてはどうなっていくのか、これが心配です。とりわけ非正規社員は、来年3月末までに次々と一方的に雇い止めになり、中には、家のローンを抱えた方や子どもさんの大学や高校進学を控えた方など、このままでは年が越せないという方もおられるのではないでしょうか。府としてこういった方たちの雇用を最後まで守ること、取引先企業の影響調査とともに、経営を守る特別な支援や対策が必要だと考えますがいかがですか。
【知事】この問題は、私もすぐに飛んで行った日写のところに。厳しいやりとりをしましたが、社長自身からは日写の製品の7割は海外にあるんだと。この円高ではいかなる支援をやられても会社としてもたない。会社としてつぶれてしまうんだ、だから我々はぎりぎりの線で研究事業だけを残して努力をしながら一生懸命やっていくんだ。これは地場の産業ですから、地元の知事と地元の社長との間で本当に厳しい話し合いをしたわけなのです。このところ日写だけの問題ではないのです。円高になってしまったら、京都の輸出企業はどうなるのだろう、ということで国に対しても徹底的に要望しておりますので、1社のところで何か解決すれば事が済むという話しでは全然ありません。根本的な日本の産業体制、貿易体制、円高体制、こういうものについてしっかりとした戦略と方向を出さないと我々地域は疲弊してしまいます。そういった思いで私どもはこれまでから国に対して申し入れていますし、今度は21日に知事会もありますから、野田総理に私のほうから直接言おうと思っております。そういった中で、できる限り日写につきましても、引き続き雇用の維持と地域経済の振興の取組を続けるようにということで、向こうの方は先般、亀岡、久美浜の両工場については縮小するものの、引き続き維持する旨の表明はありました。ただ片方では縮小していきますので、そういう中で希望退職の話しが出てきています。これにつきまして私どもは最後の一人まできめ細い、再就職の支援、これをしっかりと求めていきますとともに、京都ジョブパークを中心にハローワークと連携しながら就労支援を行っていくということでありまして、なにか企業が悪いからこうなったというところで済む話しではないということをご理解いただきたいと思います。
【西脇】とりわけ日写の場合は、京都府が補助金をだしてきた企業ということです。これは一般的な企業の問題とはまた別の問題だと考えております。その日写に対してどうするのかと。日写については事実上700名もの正規社員や非正規の方がクビを切られようとしているわけです。希望退職といいましたが、希望退職干渉、そういった方達が路頭に迷わせなせないようにするために取りわけ補助金を出してきた、京都府知事としてどうするか、そのことを私は言っているわけです。
 具体的に努力をされてきたと、拠点も残されたと、理解はしておりますけれども、更に今後、府として具体的にどのような努力をされるのか、支援をされているのか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
【知事】補助金を出したら何でも言うことを聞く、ということではありませんので。我々は要綱に反した場合には補助金の返還を求めてまいります。それは補助金の中にキチっと書いてありますのでそういう取り扱いでして、補助金を出したら向こうは何でもかんでも言うことを聞くという話しは国営企業でもありませんから。西脇議員のように企業の社会化を目指しておられるところとではなく資本主義ですからそれは無理というのはおわかりいただきたいと思います。
 そうした中で、できる限り我々はいま地場の企業にたいしても支援策を講じ、特に中小企業中心にした設備投資、そうしたものに支援をしていく。これは日写だけではありませんから。いまはもうみんなギリギリのところでやっているので、これに対して全体的に支援をしていくと同時にハローワークやそういった関係機関と連携をして再就職についても一生懸命努力をしていくということをさきほどから申し上げているところであります。
【西脇】あらためて、会社は残ったけれど労働者は残らなかった、路頭に迷ってしまった。などということが決してないように、最後まで京都府、そして知事として、取りわけ補助金をだしておられます日写の労働者については最後まできめ細かく丁寧に、おっしゃられた以上のことさら引き続きにしていただくこと、これは求めさせていただきたいと思います。
 今回の件でも、非正規労働者ですね、企業にとって都合のいい調整弁だということあらためてハッキリいたしました。いつまでもこんな不幸なことを許していいものなのかと思います。野田政権ですが、労働者派遣法の抜本改正の公約を踏みにじり、製造業派遣と日雇い派遣の禁止を除外しようとしていますが、知事として、全国知事会長としても、製造業派遣の原則禁止などを盛り込んだ労働者派遣法の抜本改正、これはしっかり国に求めていただきますこと、強く求めておきます。

府福祉医療制度改革について

【西脇】野田内閣は、来年度、社会保障と税の一体改革関連法案を提出しようとしています。 その中身は、現行の医療費の窓口負担に定額負担を上乗せすることや、70歳から74歳の高齢者の医療費の2割負担、年金の支給開始年齢の引き上げなど国民全体に社会保障の各分野で給付の削減や負担増のオンパレードです。しかも2010年代半ばまでに消費税率10パーセントに引き上げることをすでに国際公約しています。また将来消費税を「社会保障目的税化」にしようとしていますが、実行されればその後も「社会保障を減らすか、消費税増税か」といういわば悪魔の選択を余儀なくされることになります。一番弱い立場の被災者や高齢者に社会保障の財源を求め続けるというこういったやり方は、断固認めるわけにはいきません。
さて、本府でも、国のやり方に追い討ちをかけるように京都府福祉医療制度のなかの「老人医療助成制度」や「母子家庭医療費助成制度」が改悪の検討がされようとしています。「老人医療助成制度」については、対象者を住民税非課税世帯のみにすることが検討されおり、改悪されれば47000人の現在の制度適用対象者のうち、5割以上の25000人ものお年寄りが制度の対象外となります。
決算特別委員会での加味根議員の質問に、理事者は「今回の福祉医療制度の検討課題の俎上にはのぼっていない」としながらも、国が来年4月以降に70歳から74歳までの医療費自己負担を2割に実施した場合への対応については「国が制度の見直しを行えば、当然踏まえた恰好で検討がされるだろう。」と国の動向で府の制度が左右される旨の答弁されていることは見過ごすことはできません。
京都府として、本制度を改悪してお年寄りに大きな負担を押し付けるようなことはやめるべきと考えますがいかがですか。
【知事】問題はどういう形で社会保障の将来像を作るかで、別に消費税を上げることを目的にしているわけでなくて、消費税を中心にして財源を確保して社会保障をどうするかという議論をしている。消費税に反対するんだったら、こういう財源、1%2兆6千億という財源はなかかないないんですね。こうしたものに対してどういう形でやっていくのかということを言わないで、消費税を上げるな、改悪はなんとかと言っても、単に希望の話にすぎない。行政として、政治としての責任ある姿勢ではないと思いますよ。その中において、できる限り京都府における医療体制を守っていかなくてはならない。その中で高齢化社会、あっという間に今より10%ぐらい、65歳以上の人口が増えてゆくわけで、逆に65歳以下の人口は減ってゆくんです。京都府もすでに264万から263万人に人口減少時代に入ってきている。その時にどうやってみんなが安心して暮らせる、みんなが分かち合いながら暮らしてゆける、そういう福祉社会をつくるのかという議論しているので、一方的議論をしたって難しいと私は思いますよ。その中で私どもも国の制度をもとに、そのバランスを見ながら、所得制限も含めて、いったいどうすれば一番良い形がよいかという議論をしている。元の制度は国なんです。地方はその分野においては社会保障を補完している、しかし重要な補完をしているから、今も社会保障と税の一体改革において、我々の補完部分の価値をしっかり見てくれ、ということを言っている。そういう中での議論をこれからも京都府として繰り広げていかねばならないと考えています。
【西脇】消費税の議論はここでするつもりはない。しかし知事のおっしゃる、分かち合う、みんなが分かち合う、そのみんなの中には、大企業のみなさんは入っていないと思うんです。また原発関連の税金も、そういうことを抜きにして庶民増税だけは行うということはおかしい、と私は言っています。
私の地元下京区の意見を聞いてほしいのですが、今行われている市民アンケートには、現在までに400人近い方から返信が寄せられています。60代の女性の方からの「年々保険料が上がり、今でも苦しいのに皿さらに追い討ちをかけるように払わないといけない。生きるための保険なのに生きることをさせてくれません」という声など多数の方から保険料などの負担増に悲鳴があがっている。こういうことは知事もご存じだと思います。
「母子家庭医療費助成制度」についても、府は現在の所得制限を強め、対象者を減らす検討をされていますが、母子家庭の雇用状況はかなり悪化し、平均所得は、全世帯平均年収の4割の収入にすぎません。雇用もパート、派遣など非正規雇用が圧倒的です。 高齢も母子家庭も、もうこれ以上の負担を増やすことはとても府民の理解を得られるものではありません。是非とも「高齢者医療助成制度」と「母子家庭医療助成制度」の改悪を中止し、この際、父子家庭も「福祉医療助成制度」の対象にされるよう求めておきます。
最後に、子どもの医療費助成制度についてお聞きします。先日の決算特別委員会で、同じく加味根議員の質問に、理事者から「子育て支援医療については喫緊の課題として、来年度から早急に充実する方向で、検討が行われている」との答弁がありました。ぜひとも現行の3000円を超える分のみ助成するというしくみはなくし、来年4月から小学校卒業まで通院も無料にすべきと考えますがいかがですか。
【知事】大企業だって負担すればいいですよ、問題なのは負担水準がきちっとしているかどうかだ。これはグローバルスタンダードの中でやっていかないと大企業は出て行ってしまいますよ。そういう時代において、どういう水準が良いのか、をみんなで議論すればいい。そういう議論抜きで、しかも負担のものがない。誰に聞いたって、負担を上げてくれるなと答えるに決まっているではないですか。もっと負担をしたいという人は出てきませんよ。そんなアンケートにしたって、いくらなんでも無理(意味ない)でしょう。そうではなくて、どういう受益と負担の関係を作るのかが問題だ。西脇議員が大企業に会ったとき、大企業の負担はどうなるのか、それは全国のスタンダード、国際のスタンダードはどうなるのかということを、しっかり言っていただければ私も答えようがあります。
それから子育て支援医療制度ですが、私自身もマニフェストに書きましたので、さらに充実したいと考えています。ただ、年内にも検討会として提言を取りまとめる予定なので、関係市町村のこともありますので、この場でお答えするのは控えさせてもらいます。
【西脇】府内や全国の自治体では、小学校や中学校卒業までほとんど自己負担も所得制限もなく通院も含め、助成している自治体が広がっています。和束町は中学卒業まで、遅れていた舞鶴市と綾部市も通院・入院とも小学校卒業まで助成を拡大され、いよいよ現在、京都府の制度と同じ水準にとどまっているのは京都市だけとなっています。ぜひとも本府でも3000円の制限を取り外し、来年4月から、一刻も早く、通院も小学校卒業まで無料にしていただくよう求めます。
先ほどの知事の発言、消費税問題についてですが、罹災されて一番大変な方やとりわけ高齢者で年金の少ない方にも等しく消費税はかかってきます。
【知事】ですからね、京都府ではそういった方々には手厚く保護をすればいいんです。それによって補うことができるというのが北欧諸国の例なんですよ。そのあたりの所得分配のはなしができているから、例えばデンマークは25%ぐらいですが、それでも世界一みんなの満足度が高いんですよ。だから受益と負担の関係を考えないと、それはおかしいと思いますよ
【西脇】ヨーロッパ諸国と今の日本との比較はおかしいと思います。ヨーロッパは確かに消費税は高いですが、その分は企業の社会的な社会保障への負担が高いんですよ、日本はだんだんと少なくなってきているんですから。

 

≪他会派議員の質問項目≫

■多賀久雄(自民・宮津市及び与謝郡)

1 公共事業の上積みについて

 2 与謝の海病院について

 3 意思決定の迅速化について

■菅谷寛志(自民・京都市山科区)

1 TPP問題について

2 国民文化祭の総括と今後の取り組みについて

3 映画・映像産業の振興について

■荒巻隆三(自民・京都市東山区)

1 関西広域連合について

2 原子力防災対策について

3 繁華街の治安対策について

■田渕五十生(民主・京都市伏見区)

1 平成22年度決算と今後の財政運営について

2 防災対策について

3 観光誘客対策について

4 教育問題について

■田中健志(民主・京都市中京区)

1 関西広域連合の今後の役割について

2 防災教育について

■林正樹(公明・京都市山科区)

1 精神医療保険福祉について

2 食の安心・安全について

3 被災者支援システムについて