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本会議質問

2011年12月定例会光永代表質問

2011/12/08 更新
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●2011年12月定例議会が1日から開会しました。6日に光永敦彦議員が代表質問を行いました。質疑の大要と他会派議員の代表質問項目をご紹介します。

光永敦彦代表質問 ・・・・・ 1
他会派議員の代表質問項目・・・16

12月定例会 代表質問

光永 敦彦(日本共産党、京都市左京区)2011年12月6日

【光永】日本共産党の光永敦彦です。府会議員団を代表し、知事並びに教育長に質問をいたします。
 今年9月17日、「ウォール街を占拠せよ」と推定1000人がデモや座り込みに集まった「オキュパイ運動」は、首都ワシントンを含め全米100を超える都市、世界中の1500を超える都市に広がっています。「金持ちは1%、われわれは99%。その99%の人々がもっとよい暮らしができるような社会を」と訴えるこの運動は、規制緩和、自由貿易、民営化にグローバル化と、欧米や日本政府が推し進めてきた政策への怒りとして急速に広がっています。
 日本では東日本大震災からまもなく9カ月が経過します。寒い冬をむかえ復興への暖かい支援や東京電力福島第一原発事故の収束と放射能の除染を行い、被災地と日本の明日への展望を示すべき時に、一体我が国の政治は何をしているのでしょうか。「復興」の名目で「競争力の強化」を旗印に、地域と住民の切り捨て、漁業権を大企業に開放する「水産特区構想」や、原因究明なきまま原発の再稼働を進め、TPP・環太平洋経済連携協定では、「もはや開国しかない」として、関税と非関税障壁の撤廃で、雇用と地域経済、食の安全や医療を守ってきたルールを取り払おうと躍起になるなど、国民のためでなく、大企業や財界、アメリカの儲けのための古い政治が進められようとしています。さらに元沖縄防衛局長による口にすることすらはばかられる発言は言語道断です。
 「主権国家としての誇りもなく、アメリカ政府の顔色をうかがい、『対等な日米関係』どころか最低限の務めさえ放棄する日本政府の姿勢は、まさにアメリカ政府の従属機関といわざるを得ない」-これは米軍ヘリ・オスプレイの導入を日本政府が容認したことに対し、嘉手納町など沖縄県中部地区町村議会議長会による反対決議です。
 私は、政治と政治家が、これまでの行き詰まった政治を根本的に転換する方策、メッセージを示すことこそ必要だと考えます。その立場で力を尽くすことを、府民の皆さんにお誓いをするものです。そこで、深刻となる雇用や経済に対し、自治体が果たすべき役割は何かについて数点伺います。

輸出依存から内需主導に転換を。TPP参加は逆行するもの

【光永】円高の根本には、大企業の輸出競争力の異常な強さがあります。「国際競争力強化」の名で、円高のたびに大企業はリストラ・賃下げ、下請け単価たたき等コスト削減を進め、輸出を増やし、それが新たな円高を招くという「円高体質」をつくっています。急激な円高は、こうした「体質」に加え、欧米の財政・経済危機が深刻化し、相対的に安全とみられた円に投機資金が群がって起きているのです。
ところが政府は、大企業への資金援助、税金引き下げ、貿易黒字を増やす、これでは一段と円高圧力を強めてしまい、円高の悪循環にいっそう陥ってしまいます。
いまとるべきは、輸出依存の成長路線を改め、内需主導に根本転換することです。そのために労働者派遣法の抜本改正、最低賃金の大幅引き上げや対等な取引ルールの確立など、巨額の内部留保を国内に還流させる手だてを取ることです。このことは空洞化対策、担税力の強化としても有効です。
この方向に最も逆行し、被災地の主要産業である農林水産業の復興への最大の足かせとなり、食料の安定供給を土台から壊すのがTPP・環太平洋経済連携協定です。TPPに参加することはあらゆる分野のアメリカの対日要求が強要され、アメリカの対日輸出戦略に日本が取り込まれるまさに亡国の道です。 
このため、農業振興策が仮に示されたとしても、日本農業を守ることとは両立しません。中小企業の振興策と、非関税障壁を撤廃し空洞化に拍車をかけることとは両立しないのです。
知事は総括質疑で、「自分たちのそれぞれの試算をして、場外乱闘しているようなもの。きっちりと基準をきめて論議すべき」と答弁されました。これで、本気で京都の農業や食の安全、京都の中小企業を守る気があるといえるでしょうか。その点どうお考えか知事の見識をお聞かせください。

すべての中小企業を視野に入れ、地域経済を温める施策を

【光永】第二に京都の内需をどう温めるのかについてです。
丹後の地場産業の「ちりめん」では、震災以降40軒が廃業し、機械金属関連では、リーマンショック以来の価格破壊に加え、円高が追い打ちをかけています。ある会社の社長さんは「価格が2割減ったといわれるが、人件費や材料費、電気代などしわ寄せすることができないので、実質加工賃は5割減。ところが大手は、官民あげて海外にという状況だ」と言われていました。
京丹後市は京都府の未来づくり交付金を含む約28億円かけて日進製作所新工場を建設するために森本工業団地を造成しましたが、新工場は海外に創ることとなり、現在、広大な敷地は放置されたままとなっています。こうした事態に機械金属関連の方は「今は努力だけでは報われない。今後、日進がもし海外にさらに移ることにでもなれば、丹後で1000人の雇用が守れない」と、先行きが見えない思いを述べられました。
 まさに地域そのものが空洞化する事態を招いた国の責任は極めて重大です。同時に自治体が、地域にお金や仕事を循環させる強力な政策が必要ではないでしょうか。本府は来年度見直しとなる「中小企業応援条例で中小企業を支援してきている」と述べてきました。しかし、本府の商工行政は融資を軸にしたもので、預託金が増えても窓口は金融機関にまる投げ、直接的な支援は「選択と集中」の名で新産業分野などに偏ってきたため「生き残るには融資だけでは無理」という声が噴出しています。これでは、地域にお金が循環しません。今やるべきは、京都の中小企業すべてを視野にいれる「中小企業振興基本条例」の制定、固定費支援の拡充、住宅リフォーム助成制度など地域経済全体を温める施策が必要と考えます。

公契約条例の制定、入札制度改革と一体に急げ

【光永】その対策の一つとして公契約条例の制定が急がれます。京都総評によるアンケートでは、事業者の2社に1社が「落札した公の仕事で赤字になったことがある」と回答し、低価格での落札によって、労務費や原材料費を削り、雇用や品質の低下、技術力の継承が困難になるなど、地域経済への悪影響や住民へのサービス・安心安全に悪影響がでていることが明らかになりました。
 北部はとりわけ深刻で、例えば舞鶴市のAランクの会社の下請けがわかっているだけで3社破産し、親企業も公共事業がへる中、極めて厳しい状況です。
私は、地元企業を守り育成し、さらに地域循環型の景気対策を行う上でも、入札制度の改革とともに、二次、三次をはじめとした下請けの労務単価が一体的に守られることが必要と考えます。先に実施した千葉県野田市では、昨年、条例適用の対象を増やす、職種別賃金を導入するため条例改正され、低入札でしわ寄せがいっていた労働者の賃金低下に歯止めをかけ、「最低賃金がひきあがった」と言われています。京都市でも検討の方向が示されています。公契約条例の制定を入札制度改革と一体的に実施すべきです。いかがですか。

住宅リフォーム助成制度は緊急の政策課題

【光永】また、住宅リフォーム助成制度は極めて効果的です。
10月13日、京都住宅助成制度創設推進協議会が発足しました。京都府瓦工事共同組合や京都府管工事工業協同組合、京都府塗装工業組合など構成員3万人を超える13団体が、すでに本府にも報告・要請に来られたとお聞きしています。建設経済新聞には「住み手よし、業者よし、行政よし」と「三方よしの新制度創設をめざす」と報道され、我が党議員団も永年求めてきた制度創設の動きが広がっています。私が制度実施2年目となる秋田県にお聞きしたところ、県制度により、新たに10市町が同制度を独自に創設し、県内25市町村のうち22市町村で取り組まれています。また業界団体による賃金アンケートでは、「稼働日数が増えた」ことで年収が増えたとの結果が示されています。佐賀県でも同制度を創設したところ、全市町村で新たに制度が創設されるなど、県施策が牽引車の役割を果たしているのです。
知事はこれまで「経済対策でなく政策課題が必要」と言われてきました。私たちは、耐震改修や太陽光パネル発電設置の際の改修、住宅の長寿命化などの課題に合致する施策でもあると実施を求めてきましたが、地域循環型の経済システムをつくる行政発モデルとしても、また減り続ける地元建設業者と後継者の育成にもつながる政策課題をもつ制度ではないでしょうか。改めて住宅リフォーム助成制度の実施を求めるとともに、今述べた政策課題についていかがお考えですか。お答えください。

雇用を守る対策を。日写問題は労働者の立場にたった議論を

【光永】第三に雇用を守る対策についてです。
本年九月に京都市中京区に本社がある日本写真印刷が700名にのぼる大リストラの計画を発表して以降、我が党議員団は、京都府や本社に2度の申し入れを行うとともに、本社門前宣伝や労働相談など、雇用と地域経済を守るために全力を挙げてきました。
 日本写真印刷は、京都に本社があるいわゆる老舗大手企業であり、京都府内だけで150社あまりの取引企業があると言われています。先日、会社が490人の希望退職者があったことを公表しました。計画撤回を求めるとともに、一人も路頭に迷わせないため、労働者の立場に立った相談会の実施や最後の一人まで再就職を支援する手立てを打つ決意をお聞かせください。また決算特別委員会知事総括質疑で、山田知事は「条例違反があれば補助金返還を求める」と答えられましたが、現条例でも「当該事業の休止又は廃止」した場合には返還を求められるため、補助金の返還を求めるべきと考えますが、いかがですか。
さて長野県伊那市は、誘致補助金1億5800万円を受けながら昨年11月に工場閉鎖し中国にシフト、140人が退職したNECライティングを相手に、補助金の全額返還を求める民事調停を長野地裁に申し立てました。こうした動きが各地で広がる中、長野県も制度見直しをしています。
 現在、本条例が今年度末で終了するため見直しが検討されています。その際、条例に雇用と地域経済を守る企業の社会的責任を明記し、一定規模以上の雇用調整等、雇用と地域経済に重要な影響を与える場合は、事前に京都府に届け、協議を行うようにすべきだと考えます。また、補助金交付の対象については、正規雇用の増加と障がいのある方のみを対象とすべきですが、いかがですか。
なお政府は、労働者派遣法について、登録型派遣や製造業派遣の原則禁止を修正案から除外し、もっとも雇用が不安定な「日雇い派遣」についても、一部例外を除き容認するなど、抜本的改正の魂を捨て去ろうとしています。この方向を断固やめるよう政府に求めるべきです。いかがですか。

知事答弁 TPP

【知事】TPPについて、本当に今、国の議論というのは省によって前提条件がばらばらで、国民的議論になかなかならない一つの大きな原因になっているのではないか。内閣府の試算した2兆か1700億か数字は忘れたが、これが一番中立的だと言われているがそのあたりについて、きちっとした情報開示をして対策を示すべきだと。対策なき議論というのはおかしいと我々は言ってきたわけであり、その点から我々もしっかり国に求めていきたいと思っております。また、京都府としては、地域の競争力を付けていく、特に農業に関してもそうした観点からの努力をしていきたい。

入札制度・公契約条例

【知事】次に、入札制度についてですが、申し上げるまでもなく、これは過度な受注競争によって地域の安心安全の担い手である優良な建設業の疲弊が進むことになれば、それは工事の品質確保ばかりではなくて、地域の活力の低下、ひいては府民のくらしの安心を確保する上でも大きなマイナスだと考えています。
京都府では、これまでから公共調達検討委員会のご意見もふまえて最低制限価格を引き上げる、価格のみによらず、企業の地域貢献や安心安全への企業を評価する総合評価方式の拡大、こうした形でダンピング対策等を既に実施してきました。しかしながら、厳しい経済情勢のもと、公共事業の減少に伴う受注のアンバランスが拡大するなかで、最低制限価格付近への極端な張り付きや、くじ引きによる落札の決定が急増するなど低価格競争に拍車がかかっている現状です。この状況をふまえて総合的なダンピング対策を更に進めるために、先の公共調達検討委員会の委員にもご参加いただき、本年10月に入札制度等評価検討委員会を設置し、集中審議をお願いしてきたところです。
委員会では、府内企業のヒアリングなどを行い、その中で更なる最低制限価格の引き上げ、住民生活に身近な工事について、受注企業がきめ細かく迅速に対応できる適正な地域条件の設定、くじ引きの際には地域貢献する企業が優先されるような仕組みづくり、総合評価方式においては、評価を細分化し地域の優良な企業がしっかりと評価される見直しなどの意見を取りまとめていただいておりますので、速やかに実施をしていきたいと考えています。
 公契約条例についてですが、賃金や労働条件などに関する問題については、基本的には公契約のみでなく、これは私契約も同じ問題でありますので、統一的な見地からやっていくのが私は筋だと思っている。それから、京都府発注の事業については、これは私どもが行う発注でありますから、その適正さを守る上で厳格な注意が必要であります。それは条例であっても、契約書であっても、私は本質は変わらないと考えており、引き続きしっかりとした形で元請け下請け関係の適正化指針等により契約当事者としての主体性を発揮して、建設業法や労働関係法令の遵守を徹底することなどにより、労働環境の確保等に全力を挙げていきたいと考えています。

住宅リフォーム助成

【知事】次に、住宅リフォーム制度についてですが、経済的効果だけでなく、プラス、政策目的を課すことによって金融においても不況業種を指定してやっていくわけです。そういうように効果というものをきちっとやっていかなくてはならない。公共事業を、昔はなくせなくせと共産党のみなさんはおっしゃっていたんだけれども、それに対して今は増やせ増やせと言って頂いていますが、それは無駄な公共事業をなくせという意味であるとするならば、やはり無駄なリフォームをしてはいけないというのもおんなじだと思うんですね。そうした問題からやはり私は、改修助成の目的について、こういうことをやったらいいよ、具体的に提案をしていただきたいと思います。リフォームでしたら何でもですね、お金持ちの贅沢な家の増築までOKだということでは、それはムダな公共事業と一緒ではないでしょうか。そうした点をふまえた形で提案をしていただければありがたい。

日写・雇用問題

【知事】次に、日本写真印刷の事務所統廃合につきましてですが、計画発表後、すぐに日本写真印刷を訪問し、引き続き雇用の維持と地域経済の振興の取組を図るように申し入れまして、同社からは亀岡、久美浜の拠点については縮小するものの、引き続き維持するという表明はありました。又、退職予定者に対するきめ細かい再就職・就職支援を強く求めますと共に、すでに京都市の本社ですとか亀岡工場、久美浜工場で計9回開催されている、生活就労支援制度説明会におきましても、京都ジョブパークを中心にハローワークと連携をしながら、説明をするなど、京都府といたしましても再就職支援に取り組んでいるところです。尚、補助金につきましては、今後対象工場の操業状況を確認いたしまして、補助金の交付要綱の規定に則り対応してまいりたいと考えております。
 次に、企業立地促進条例について、企業誘致にかかる補助金制度を平成19年に正規雇用や障害者雇用などの雇用重視の制度に改正をしていまして、立地企業には雇用の確保および社会的責任を重視していただくことを要請しているところ。こうしたことを踏まえて誘致活動のなかで誘致企業115社、こういう条例のなかでありますけれども、府内の経済波及効果は6000億円、間接雇用を含めた雇用効果は29700人ありまして、おおきな経済効果を生んでいるのも事実です。
ただ、毎年のように厳しさを増す他府県との競争、さらには今円高のなかで、ご指摘があったように海外へ拠点を移すところが増えてきている。これは大企業だけではなくて中小企業にも及んでいるところです。こうした企業を京都府内に留める努力をしていかなければならない。そうしたなかで立地企業の雇用調整にかかる届け出義務というお話しがありましたが、私どもは多くは事前に雇用確保の要請を一生懸命しております。陰になり日向になりしています。
しかし、実際はこうした円高の中で、これはなかなか企業は留まってはいただけない。これは実感であります。資本主義社会におきましては、これは企業が京都にいてもよいという条件を作らないかぎりは、状況は変わらないと思っています。そのために中小企業について、これまで融資・融資と言ってますけれども、今年は京力(きょうりょく)中小企業100億円を中心に融資中心から転換をすると、私は所信表明の中で申し上げているはずなんですが。なかなかお聞き入れてもらえないわけですが。そうした中でしっかりと企業が京都に来たい、京都で操業していきたい、という気になってもらわなければ結局は企業は来ないし、出て行くだけだと思っています。そうした観点からもこれからも順次、政策を進めていきたい、思っております。
 次に労働者派遣法についてです、派遣労働には正規雇用との賃金格差や不安定就労、キャリア形成などの問題がありまして、派遣させるのがすべて悪だと私は申しません。当然派遣で働きたいという方もおられるわけですから、そういったニーズがあるのですけれども、やっぱり行きすぎているじゃないか、そういう中で、救済措置を含めて、国に強く訴えてまいりました。現在国において修正案が検討されていますが、まだ政府案としては示されておりません。私としては引き続き行きすぎた派遣については、規制すべきであると言う立場から、現場の実態を踏まえた法改正や派遣労働者の救済措置などを国に求めていきたいと考えています。
【再質問・光永】ムダな公共事業とリフォームを同一視するというのは、かなり論理に飛躍があると思います。答弁としては問題だと指摘しておきたいと思いますが、住宅リフォーム助成制度については、県としての、先ほど来知事は、広域行政の果たすべきものがあるんだ、とおっしゃっていましたが、秋田県でも佐賀県でも県が実施することでさらに市町村が上乗せ、横出しするということから、経済効果もあるし、減ってきている事業者のなかで後継者の育成や地場産業の育成につながっている、こういうことを紹介して、全国知事会会長でもある広域行政として県としてこういうことをやっていくのだと。これ京都でもやりますよ、これくらいのことを決意をしてもいいんではないか。他府県の努力に真摯に学んで、こういうときだからこそ決断していただきたい。要望に留めておきます。
TPPについては、情報開示については国がしっかりとやるのは当然だと思います。今、大事なのは、知事によっては、青森県知事は地域経済に深刻な打撃を与えることは明白だ、と自ら計算もして反対を表明するという立場の方だっておられるわけで、ひとつの見識として私は当然県民の声に応えた願いだと思います。しからば京都はどうだというと、いつまでもいつまでも、毎回毎回、この国がしっかりと出すべきだと、こういうことを言っている間に、どんどん協議が始まって本当にいいのか。ということを私は問うているわけです。いつまでもあいまいな態度ではダメだと考えますので、この点ハッキリとTPPについて知事はどう考えるのか、自分の考え、自分の言葉でお答えください。
 公契約については、入札制度については今後検討するということがありましたので、今後の論議を応援していきたいと思いますが、同時に京都府の場合は1000億円近くの普通建設事業だけで、これが地域に回ると。それが2次3次、末端までちゃんと行っているか、ということを考えた時に、地元に行かせるためにも公契約条例が必要だと考えているんですけれども、必要性についてどう考えておられるのかお聞かせください。
 雇用については日本写真印刷のことをお聞きしますが、調べますと日本写真印刷の計画では、滋賀県の甲賀市や三重県の津市の工場集約という計画だそうですが、三重県から平成26年まで5億円、津市から25年まで3億円。補助金を受け取る計画などが今進行しています。古い工場をリストラして人員削減して新しい工場立地自治体からは補助金を受け取ると、知事は総括質疑で日本写真印刷は今にもつぶれるそうであるかのような印象が与えられるような発言がありましたが、一方では8億円近くのお金を三重県で受け取っているとこういう事実をご存知だったかと。これで社会的責任をはたしていると言えるか、再度この点についてお答えください。
【再答弁・知事】言い換えないでください。私はムダなリフォームと言ったんです。リフォームとムダな公共事業といっしょにしていません。ムダな公共事業とムダなリフォームをいっしょにしたのです。ほんとにお金を払ってやるような、お金持ちが贅沢なリフォームをやるときまで、何で府民の税金をつぎ込まなければならないのか、これムダなリフォームじゃないですか。そういうものとムダな公共事業とパラレルじゃないですかと申し上げたので、リフォームとムダな公共事業をいっしょにしたのではない。そういう言い換え、意図的な言い換えはやめていただきたい。
TPPについては、反対されているのは農業県の知事さんが多いのです、賛成されている知事さんは輸出関係の関連企業の多い知事さんが多いのですね。それぞれ地域事情があるのです。こうしたものについて一番大切なのは、私たちは自由貿易体制の中で生きているときに、どうやって特に資源のない日本として外国と協調していくか、そしてその上、自分達の国内産業をどういうふうにして維持し守っていくのか、これは外国との協議の中で一体として決まっていくわけなんです。マルかバツかできまるような単純なものではありませんよ。そしてTPPを含めて、中国や韓国との関係どうするのか、幅広い問題なのですよ。そんなマルバツ教育受けたどっちかみたいな話しではないんです。まさに政治の問題であり外交の問題なんですよ、そうしたことを踏まえて話しをしなければそれはおかしいと思います。それこそ、そういう単純なものではないということを申しあげておきたいと思います。そんななかで私たちはやっぱり情報開示して、それぞれの条件に応じてしっかりとした対策を打つ、これが国と地方の関係だと思っています。
 公契約条例につきましては、一番問題なのは、条例というのは規制し、又は一定の義務を書く形になります。そのことと、条例の発注者として義務を課すことの間に、どういう形で根拠の違いというものがでるんだろうか。ですから条例自身のその効果の問題を見極めていかなければならない。それと私たちは義務、そして権利義務を課すときには慎重にならなければならないという立場を常にとっておりますから、自分達できちっと発注で、できるものであるならばそれでやっていくという、これはやっぱり主体としては当然のことでないかなと思っておりまして、その点を踏まえて検討して行かなければならないと思います。
 日本写真印刷につきましては、非常に厳しい中で集約化をしていかなければならないという話しがあると伺っております。そんななかで私たちも集約化の対象でぜひこちらに来てくださいという話しもしておりますし、それにダメな場合はもしも補助金が行っているところの工場を閉めるのであれば、それは当然補助金は返していただくということになるというわけであります。そういうことを今もこれも経済原理のなかでやりあっているわけでして、一つひとつの交渉を積み上げる中で京都府の利益を守って行く、これが私の立場です。
【光永】TPPについて、私は知事の態度がどうかということを聞いたわけですけれど、ちなみに京都府元副知事で京都府農業会議の草木慶治会長、山田知事の後援会の副会長さんでもあるそうですが、「例外無き関税の撤廃の原則をもつTPPは、京都府農業との農村に壊滅的な打撃を及ぼすから反対だ」とおっしゃっていますし、京都府医師会等の3団体も反対の声を上げておられます。府民の代表の知事としてこういう声に応えるというのは、現局面必要だと思います。この願いに背く答弁をされたのだなと指摘しておきたいと思います。
日本写真印刷については、結局補助金を受け取る企業がそれをうまく利用して京都府内でリストラをしていくと、これが道義的にも認められるのかと、私は考えます。特に日写の場合は京都に本社をおく地場の企業だから、やっぱり知事としては労働者の立場にたって、そこまで突き詰めた論議をすべきだと要望しておきます。時間がないので次の質問に移ります。

大飯原発3・4号機再稼働やめよ、
「もんじゅは」廃炉に、年末における避難者への支援を

【光永】次に、原発事故とエネルギー政策についてです。
先月22日、我が党議員団は、近畿の議員団と連携し福井原発群に関する政府交渉を行い、同28日には関西電力、29日には敦賀市の日本原電にも申し入れを行ってきました。
福井県は世界一原発が集中し、しかも多くの活断層の上に建設されています。にもかかわらず関西電力は大飯原発3号機に続き11月17日、4号機のストレステストの結果報告を原子力安全・保安院に提出し、本格的再稼働の動きをすすめています。しかし、政府との交渉でも「福島原発事故の原因について、新たな知見はない」とのべ、関西電力では津波調査がこれからという段階であり、原因究明なきままの再稼働の動きは、絶対に認められません。
また高速増殖炉「もんじゅ」は、1兆810億円ものお金を投入しながら、わずか250日しか稼働せず、停止中でも維持費が毎日4000万円、年間146億円必要です。
知事は、関西電力と立地県なみの協定を求めておられますが、知事が同じ立場だと言い続けてきた福井県知事は、「もんじゅ」の廃炉や研究施設への転炉について「もんじゅは必要だ」と述べました。関西電力との立地県なみの協定を求める以上、原因究明なきまま大飯原発3号4号の再稼働に反対するとともに、「もんじゅ」の廃炉を求めることが、府民への責任ある態度だと考えますが、いかがですか。
原発問題にかかわって、京都府に避難されてきた原発事故被災者への支援については、国の除染作業が遅れ、生活再建の見通しにも不安を抱えたまま二重三重生活を余儀なくされている方も多いのが現実です。寒い冬と、年末年始を迎えるにあたって、避難されてきた方への苦労に応えるため緊急に年末年始見舞金を支給すること、訪問相談を含む特別の相談体制をとること、帰省・帰郷のためのバス運行を臨時的に行うべきと考えますが、いかがですか。

原発から脱却し、飛躍的な普及に相応しい再生可能エネルギー事業を

【光永】第二に、再生可能エネルギーの飛躍的普及についてです。
 私は先日、NPO法人環境あきた県民フォーラム理事長にお会いしました。同フォーラムは、「風の王国プロジェクト」として、県内に風車1000本の建設をめざしておられます。2005年から計画をはじめ、風力発電の実測データにもとづき、八郎潟に600本など計画がすすめられ、先日、まずは3地域178機の設置可能性調査の報告がされたところです。
当初より「製造拠点の創設」をかかげ、地元の高品質低コスト、雇用創出を目標とし、事業を本格的に取り組むため、「環境あきた県民公社」の設立で風車を全県規模で導入し事業化することを県とやりとりされています。また同県は、岩手、東京など6都県で再生可能エネルギーの協定を結び、大規模事業者のCO2削減のための排出量取引とともに、東京都内事業所が東北の電力を購入することにより、発電事業の促進にもつながるとされています。理事長は「実験的に行うだけでなく、本格的な普及を決断する時だ」と述べられ、その本気さに胸を打たれました。総務・環境常任委員会で伺った北海道グリーンファンドでも「風力発電には1万点の部品が必要。現在80%が輸入に頼っているが、それを北海道内の企業で調達したい」とも述べられていました。大志とともに、具体的なビジョンと府民参加、それに相応しい組織を立ち上げる検討が自治体に求められていると感じました。
世界では、資源が乏しく、工業国でもあるドイツの100万都市ミュンヘン市公営事業部が、2025年までに100%再生可能エネルギーで電力を賄う計画を策定するなど、国の政策を踏まえ自治体が独自の取り組みをすすめています。その結果、ドイツ連邦環境省によると温室効果ガス削減とともに2030年までに、総雇用者数は50万人になると見込まれています。
現在、本府では再生可能エネルギー戦略会議で「地球温暖化対策プラン」案を検討し、来年1月にも導入可能性調査結果を評価し、中長期的な戦略方針について論議がされる予定とお聞きしています。
 しかし、現在の2020年度の目標は、太陽光発電設備は戸建て換算で10万戸、太陽熱利用設備は4万世帯等にとどまったままで、また、計画では家庭対策、産業対策、地域づくりなど、個々の施策はあるものの、再生可能エネルギーを事業として飛躍的に普及するための施策はありません。再生可能エネルギー戦略会議でも「今後、地域でも取り組む必要がある。自治体としてどこまでできるかを論議すべき」との意見も出されているところです。固定価格買い取り制度の来年7月実施が目前に迫る中、国の目標が不明確なもとでも、府として飛躍的な普及に相応しい具体的目標の見直しを求めます。さらに、他府県連携協定の締結や、緑と文化の基金の活用も含めた公社等の設置など、施策から事業へと発展させる具体的計画が必要と考えます。
 また、本気で再生可能エネルギーを普及するためにも、原発からの脱却が必要だと考えます。いかがですか。

「京都式地域包括ケア」府の公的責任、地域包括支援センターの充実強化を

【光永】次に、地域包括ケアと介護保険制度についてです。
 これまで、歴代政府が進めてきた医療・社会保障構造改革は、医療崩壊、介護崩壊を招いてきました。その上「社会保障と税の一体改革」では、社会保障の「重点化・効率化」を強調し、医療・介護・保育・年金など各分野の給付削減と負担増を盛り込み、さらに財源を「社会保障を充実したいのなら、消費税をあげるしかない」と、まさに憲法25条を踏みにじる改悪方針を示していることは絶対に許せません。こうした中、「施設から在宅へ」をうたう地域包括ケアが、何を目指しているのかが問われています。
本府では、来年度から実施される第5期「京都府介護保険事業支援計画」、第6次「高齢者健康福祉計画」策定論議が始まっています。この計画は、本年6月成立した改正介護保険法が打ち出した「地域包括ケアシステム」を具体化するための計画とされています。
 そもそも「地域包括ケア」は、厚生労働省2008年度老人保健健康増進等事業として実施された三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる「地域包括ケア研究会報告書~今後の検討のための論点整理」および「地域包括ケア研究会報告書」の考え方を参考にしています。報告書ではこれからの社会保障を「自助、互助、共助、公助の仕組みを組み合わせる」とし、本年5月に厚生労働省が示した「社会保障制度改革の方向性と具体策」でも、「自助を基本とし、共助が補完し、一定の受給要件下で公的扶助は社会福祉などを公助とする」と指摘しています。これは、公的責任を投げ捨て、自己責任や助け合いに貶め、自公政権時代に地域の医療崩壊・介護崩壊を招いた方針をいっそう進めるもので、税と社会保障一体改革の狙いと同じではないでしょうか。
 私は先日、岩手県藤沢病院に伺い、地域包括医療ケアについて伺ってきました。ここは、広島県尾道市公立みつぎ総合病院とともに、全国的にも注目されている病院です。国保藤沢病院を中心に、その周辺に老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホーム、訪問看護ステーション、デイサービス等があり、それらを地方公営企業法全部適用で運営しておられます。藤沢町が「福祉医療センター」を配置し、医療を中心に、健康づくりから介護まで、一人ひとりに人間らしく暮らし続けられるよう切れ目ない実践がされています。病院による「ナイトスクール」は、集落に医師・研修医・コメディカルスタッフなどが出向き、住民との懇談をされています。院長は「濃密な住民との関係をもつ病院がないと地域包括は成り立たない」「公設公営の重みがある」と言われました。先日、一関市に合併したため、福祉医療センターが廃止されたものの、包括支援センターを直営で実施することを検討されているともお聞きしました。
 私は、「福祉の増進・いのち守る」という地方自治の原点をみる思いでした。
 これまで我が党議員団は「オール京都で医師確保を」と提案し、京都大学を含む医療機関や関係団体により本年6月から「京都府地域医療支援センター」が発足し、11月に開設記念フォーラムが開かれ、私も拝聴させていただきましたが、そこでも実践が生き生きと語られていました。
そこで伺います。京都式地域包括ケアとは、国がすすめてきた医療・社会保障構造改革路線の給付費抑制政策と何が違うのか、同じ方向なのか、また地域包括ケアにおける京都府の果たす公的責任とは何か知事の御所見をお示しください。さらに市町村、利用者、事業者など現場に携わる方々の声や実態にもとづく地域ごとの具体化が何よりも重要だと考えます。その立場から「京都式地域包括ケア推進機構」には家族会や当事者組織を加えるべきと考えますが、いかがですか。
 さて、私は昨年の本会議質問で、行政の果たすべき役割発揮と、予防から在宅まで、保健・医療・福祉の連携の必要性について指摘しました。
 保健予防活動に大きな役割を果たすべき保健所や福祉事務所は、地域保健法成立や介護保険制度の導入等により、高齢者の見守り機能、保健予防活動等が後退しています。私の地元左京区の保健センターでは、高齢者の健康管理や独居の高齢者対策などは、人口17万人、広大な左京区に3名しかおられません。おおむね30分以内、中学校区程度を日常生活圏域として、24時間365日安心して住める条件を整えるとされていますが、京都市内では公立中学校が75に対し、地域包括支援センターは61カ所、京都市以外では、100の公立中学校に対し、地域包括支援センターは38、支所は15、合わせても53カ所にとどまっています。
 そこで伺います。当面、地域包括ケアセンター機能の強化を公的にはかることが不可欠です。しかし、地域包括ケア推進プラン案では、箇所数を増やす目標はありません。地域包括支援センターの増設の計画と目標、そのための支援策を具体化すべきです。また、介護予防マネジメント業務を担う保健師配置が予算化されましたが、実際の活用はわずかにとどまっています。それは緊急雇用基金を財源にあてたためです。保健予防活動の推進と一体のシステムとするためにも保健師配置ができるよう支援策を継続するとともに、日常生活圏域単位に支援できるコミュニティーソーシャルワーカーを公的に配置できるよう支援策を講じるべきと考えますがいかがですか。

知事答弁・原発再稼働

【知事】原子力発電所の再稼働についてですが、10月28日に現在定期検査中の3号機、11月11日に4号機のストレステストの結果が国に報告されました。
私は福井県知事と全部同じだと言っているわけではなくて、福井県知事が再稼働の条件として、高年化対策について審査基準を明確にすること、福島原発の事故原因の検証、これは本当に津波だったのか、それとも地震でおきたのか、について検証すること、そして地域に応じた津波の防護対策を示すこと、浜岡原発以外が安全だとする根拠を示すこと、この4項目を国に要請している、これについて賛成だと言っている。
そういった観点からもんじゅ等も判断すべきと。この立場で国、関西電力に申している。この立場で言っている。
次に被難者の支援についてですが、これまでに自主避難を含め1100名を超える被災者の方を京都府内に受け入れ、府営住宅や市営住宅等に無償で受け入れて、当面の生活に必要な布団、照明器具、炊飯用具などの生活用品の提供やエアコンの設置を行うとともに、入居期間を2年間に延長、さらにジョブパークに特別相談窓口を開設し、個々の事情に配慮した生活や就職の相談に対応、加えてお仕事の個別相談会を避難者の多い宇治市と伏見区で生活支援に取り組んできております。
バスの運行ですが、当初交通が遮断されている、その中で避難所の運営等に職員を派遣するためのバスを活用して全国で唯一、運行したもので、いまやすべての交通手段が回復していることも勘案した結果であり、そうした観点から、そちらを使っていただくのが筋と思っています。
見舞金や交通費等の避難者の生活支援については、実際は個別に対応することではない。国や知事会において総合的な対策として講じられるべきで、私どもも全国知事会が行っている、9月で補正をお願いしたが、生活再建資金をはじめ各府県が共同で負担して助け合っているので、今後とも住宅、雇用はじめとして、生活全般にわたってきめ細かい支援を、被災者に対する支援の充実強化を国に強く要請しているところです。

再生可能エネルギー

【知事】次に、再生可能エネルギーの普及についてですが、昨日、村井議員にもお答えしたとおり、京都府においては、先の6月議会で議決され策定した地球温暖化の対策推進計画において、平成32年を目途に10万世帯への太陽光発電設備の設置、4万世帯に太陽熱利用施設の設置、バイオマス発電の容量を4メガワットに拡大などの目標を設定して、その実現に向けていろいろの制度を作らせていただきました。
しかし、今後さらにその加速をさせてゆくことを考えていて、同時に再生可能エネルギーの戦略会議を設置し、スマートグリッドの活用やメガソーラーの整備など、京都府の特徴を生かした新たな方向についても検討を進めている。今後は国の買い取り価格が決まれば、ここはもめそうだが、決まれば、そのことも踏まえ、本格的に再生可能エネルギーが動き出すことになるので、そうした点を踏まえて動いていきたいと思います。もうすでに、京都府では、デンマークの機構を見本にエコ産業推進機構というものをオール京都で作っているわけです。学研を中心に、具体的な新しい時代の省エネゼロエネミッションの事業を進めているところでありますので、さらに強化してゆきたいと思います。
また、6都道府県による再生可能エネルギーの地域間連携、これは東京都が他の地域からグリーン電力証書でクレジットを買うというシステムなんですが、これは今、広域的活用について関西広域連合で検討を進めているところです。
それから、原発からの脱却ということだが、そのためにはプロセスということが大切なんです。私たちは、冬でもこれから多くの我慢を府民の皆さんに求めてゆかなければならない。そうした我慢は必ず弱いところに行くということに気を付ける必要がある。そうした一つひとつを積み重ねてゆくときに、安定的な電力の供給を考えていかなければ、なかなか依存を下げることは難しい現状がある。だからこそ、昨日の答弁で宮津の発電所、火力になるかLNGになるのか、再開を求めてゆこうと思っていますが、今度はまさか舞鶴のように反対はしないと思っていますので、その点はよろしくお願いしたい。

地域包括ケア

【知事】次に地域包括ケアと介護保険についてですが、国とどこが違うか、ということだが、全然違うと思う。つまり、国の方は、おっしゃっているように非常にこの間給付費を抑制、障害者の面でも、療養病床の面でも非常に強く出ていますし、そうした面が出ているというのを、私はこの議場でも何回も批判して参りました。それに対して、私どもは、現場から地域包括ケアをやるときに、京都府の役割を増やしている、これが京都のやり方であるので、全然、国と全然違う。全くその点よく見てほしいんですね。どうも現状を見ずに、先ほどの企業の件でも、融資からいよいよ100億円の中小企業やってこうやっている、すでにエコ産業推進機構をつくっている、こちらについては交付金を作って支えているじゃないかということを言っているわけで、まず事業の評価をしていただいて、そこから質問をしていただければ、そうすれば私もちゃんとしたお答えができる。紋切り型の質問だけでは困ってしまう。
地域包括支援センターについては、京都府で現在99カ所を設置している。これは基本的に市町村が役割を担っている話なので、我々はそうしたものを第6次の京都府高齢者健康福祉計画にしたがってうまくいくように広域的な行政の見地から支えてゆきたいと考えています。
介護予防マネージメント業務を行う保健師の派遣については、本来は恒久的なものでやるべきと思っていて、国に求めているところです。今後とも、必要な財源確保を求めてゆきます。
コミュニティーソーシャルワーカーについては、すでに市町村が総合交付金を活用して暮らしのサポートコーディネーターの設置を進めているところで、こうしたとりくみが、更に充実されるように、市町村に働きかけたいと考えています。
【再質問・光永】知事には間違っていただきたくないのですが、われわれは、かなり具体的で積極的な提案をしています。良いものは良いから、もっと府民的に役立つものはもっとやるべき、と言ってきた。そこは間違えないでいただきたい。先ほどの入札制度改革などは、今後も引き続きやっていただきたいわけですから、そういう意味で府民に必要なことは積極的にやるべきと、そこはお間違いにならないようにしていただきたい。
そこで、被災者支援については、本当に深刻な事態になっていて、確かに交通網が再建されたわけですが、帰るためには費用がかかる、もちろん、そこは東電や国が責任を持つべきことは当然のことです。しかし、混乱している中でシャトルバスをわれわれは提供していると、先ほど知事が自慢していたが、京都だけと言ったわけだから、それだったら年末年始、京都にたくさん来られているなかで、その方が帰れないというのであれば、そんなにお金もかからないわけですから、それくらいはバスを出すとか、年末支援を本当に御苦労していて京都に来ているわけだから、それらの方に応えようではないかと、気持ちを示すというのも、知事の懐、うつわの大きさを示すものとして、決断していただきたい。これは要望しておきます。
再生可能エネルギーについては、事業としてやっていきたいという話もありましたが、私が求めているのは、地球温暖化対策プランが野心的な目標になるように、本格的に論議をしていただきたいと求めておきたい。同時に、先ほど、学研都市のことを例に挙げられましたが、自治体が飛躍的に再生可能エネルギーを普及させるための個々の施策でなく、事業としてやってゆくことが必要な段階に来ていると考えています。
紹介したドイツなどもそういう例があるかと思います。交付金を使ってでもという話もしましたが、ドイツの例にも習いながら、ぜひ事業を推進していただきたいと求めておきます。
再質問は、原発問題です。福島の復興計画は知事も仄聞していると思いますが、佐藤知事が今後は県内の原子炉10基をすべて廃炉を求めると言っている。先ほどは福井の知事の4点と同じという話がありました。こうした福島県の知事の立場にならって、もんじゅは廃炉を求めるべきとあらためて感じますが、明確な答弁がありませんでした。大飯原発3号機と4号機の再稼働についても、どうするのか問われますが、どうするのか、この点は具体的に明確にご答弁をお願いしたい。
地域包括ケアについては、要望にとどめますが、保健師の配置予算の継続、包括支援センターの増設等も目標に入れていただきたいし、保健予防活動の充実が一体的に進むように求めたいと思います。
【再答弁・知事】あんまり懐具合は暖かくないですよ。ちょっと申し上げておきますが、皆さん方だって、国保の時にわれわれが役割を増すと言ったら、国の責任をないがしろにするからだめと言ったが、まさに国の責任、東電の責任なんですよ。そこをきちっとやらなければいけない。臨時応急的なときの問題と補償に入っているときの問題とは違うと申し上げたい。
「もんじゅ」については、私は福島原発事故の原因の検証を行い、特にその中で高年化対策、高経年対策とか、「もんじゅ」の状況について、しっかりと踏まえた形で行っていかないとなかなか難しいですよ、と福井知事も言っているので私も賛成と言っているわけですよ。あとは科学的知見とか科学的検証を経ていかなればならない。京都府は残念ながら、その点では福井県が長年の知見の中で職員も養成し検討してきた。我々はようやく原子力の委員さんはお聞きしてやっていますが、「もんじゅ」自身についてすぐにやってゆくのは、科学的には難しいわけです。
その中でまず情報開示をしていただき、それを私どもの原子力の委員のみなさんにお示ししてやってゆくという手順を取らなければ、そう簡単に、感覚的な問題で判断は避けるべきだと私は思っている。いまそういうことをこれからしていかなければならないと考えています。
【指摘・要望、光永】「もんじゅ」については、もちろん安全性の問題は大問題だ、だから廃炉すべきと思っていますが、知事もよくおっしゃる費用対効果の問題もある。先ほども言いましたが、ずっと1兆円以上のお金をつぎ込んで250日しか稼働していない、しかも安全性も保てないと、ずっと続けていいのか、まして福島の原発事故が起こって続けることがいいのか、まさに府民の安心安全を守る、府民の財産を守る立場から、知事としてはっきりと問題だと言うべき時、と思いますのでそのことを求めておきます。

 学校間格差や序列を広げてきた公立高校学校教育制度、
「京都市・乙訓通学圏」の見直しは競争と管理の教育を改めよ

【光永】次に、公立高校学校教育制度についてお伺いします。
 10月31日、「第一回京都市・乙訓地域公立高等学校教育制度に係る懇談会」が開催されました。
 この間、高校制度は猫の目のようにかわり、「専門学科」やⅡ類、特進コースの生徒が難関大学に合格できる特色あるコースを増やし、いわゆる普通科が募集定員の増減を調整するための役割を担い、学校間格差や序列が広がるなど、競争と管理の教育が進められてきました。さらに入試制度そのものが特色選抜の拡大など非常に複雑でわかりにくく、子どもや中学校での進路指導が翻弄されることとなっています。こうした中、山城通学圏においては、類・類系制が廃止され「普通科」一括募集とされ、また来年度から口丹以北の通学圏でもⅠ類・Ⅱ類の区分をなくし「普通科」として募集するとされています。
この類・類型制度は、1985年に「小学区制・総合性・男女共学制」の高校三原則を廃止して導入されたものですが、大学進学に特化した「専門学科」が増え、7限授業などが強制される2類を敬遠し「定員割れ」がおこるなど、「大学進学」を旗印にした格差や序列の仕組みが破綻したことを象徴する制度です。
ところが、類・類型制度の矛盾を解決するどころか、競争・格差をさらに強める方向が行われていることが極めて問題です。
山城通学圏では「国公立大学・難関私立大学への入試に対応」など、予備校用語が高校の学校案内などに使われ、大手予備校などでも偏差値ランクを公開するなど、学力による高校の序列化が進んでいます。その結果、どこの高校でも、近くから通う生徒の割合が減り、いくつかの高校ではクラブ活動加入率が明確に減り、また中退率の傾向を見ても、学校間に学力の格差が生まれており、これらは「希望する高校」でなく、偏差値による「行ける高校探し」となっているのではないでしょうか。府教育委員会は、こうした序列化を進めながら、「選ばれる高校」として「特色づくり」を現場に押し付けているのです。しかも類・類型制度がなくなったといっても、入学が決まって以降学力テストを実施し、その結果によって入学後に、いわゆる「できるクラス」「普通クラス」に分けられるなど、学校間のみならず学校内の格差まですすんでいます。
決算委員会でわが党の西脇議員の質問に対し、教育委員会は「希望する高校に99.6%が進学できた」と言われましたが、今述べたとおり、それは「希望する高校」ではなく「行ける高校探し」の結果であることは明らかです。これでも山城通学圏で、希望どおり進学できたとお考えか、お答えください。
こうした格差と序列の教育の総括ないままに、京都市・乙訓通学圏の見直しをするなら、新たな学校間と個人の競争と管理の教育を進めることになってしまいます。「京都市・乙訓地域」の高校入試制度は、2009年度から通学圏を4から南北2通学圏に変更したばかりです。その際も結論先にありきで進められ、生徒と保護者に不安と矛盾と混乱をもたらしました。制度を見直すというのなら、先の見直しのように結論ありきで進めた轍を決して踏んではなりません。当事者・保護者の意見にじっくり耳を傾けるべきですが、いかがですか。
東日本大震災をうけ、地域や人どうしの絆が大切と言われています。その点で、部活と学業が両立できる高校、自転車で無理なく通える高校、保護者も子どもも地域でつながっている学校、これらが多くの子どもたちの願いであると私は考えます。つまり、競争による格差と序列化から、連帯と共生の教育への転換こそ必要なのです。見直しにあたり、学校の序列化や格差がおこらないようにすべきと考えますが、府教育委員会の基本姿勢について御所見をお聞きいたします。

中学卒業予定者に見合う募集定員枠を

【光永】第二に、来年度入試の募集定員についてです。来年度の中学3年生は975人増えるのに、募集定員は80人しか増やされず、公立高校の収容率は全日制では前年度から2.8ポイント減の66.2%となっています。それも、全日制普通科では、京都市北通学圏と南通学圏でⅠ類各40人の増だけで、専門学科、定時制の定員も変更はありません。2010年度は約1000人卒業生が増えたことに対し、約760人定員を確保しました。来年度のように1000名近く卒業生が増えるにもかかわらず、わずかの増員のみでは、中学生と保護者の願いに背くではありませんか。このため普通科の募集定員を増やすこと、希望する子どもが多ければ定員を超えてでも超過合格させるべきではありませんか。お答えください。

関西広域連合について、カジノ構想はやめるべき

【光永】次に、地域主権改革と関西広域連合ついて伺います。
第一にカジノを含む統合リゾートについてです。
 カジノ構想を最も熱心に進めてきたのが大阪市長となった橋下氏です。同氏はかねてより道州制を提唱してきた人物でもあります。今回、大阪都をつくる理由について「大阪の国際競争力を高めるため」と述べています。今年5月に関西経済同友会が出した報告書でも「グローバルな都市間競争」を勝ち抜くための「安定し得た財政基盤の確立」を求めるなど、関西財界の狙いとまさに同じとなっており、観光と財源のためのカジノの位置付けも明白です。その上、大阪はカジノ特区を申請する一方、サラ金特区も申請しています。都市間競争で負ける都市がある、カジノで負ける人がいる、大王製紙の御曹司の例を述べるまでもなく、実業でなく虚業が何をもたらすかは明らかではないでしょうか。こうした中、本府では「観光・文化振興計画中間案」にカジノを含む統合型リゾート・IR建設が盛り込まれ、さらに「KANSAI統合型リゾート研究会」まで設置し論議され、来年1月の広域連合委員会で方向性を出すとされています。しかし、滋賀の嘉田知事も兵庫の井戸知事も反対しており、研究会でも「何のためにやっているのか」との声が上がっているのです。
そこで伺います。カジノを含む統合型リゾートが京都観光にどう役立つとお考えか、御所見を伺います。また、この際、「研究会」は解散し検討の中止を求めます。いかがですか。

国の出先機関の権限委譲、国の責任と地域間格差について

【光永】第二に、国の出先機関の権限委譲についてです。
 今年10月5日、関西広域連合が「地域主権改革における国出先機関の移管推進に関する要請」として国に対し①「国出先機関は原則廃止する」との基本姿勢をとること、②関西広域連合を受け皿とすること、③26年度中に事務・権限委譲が行われることを目指す、ことを要請しました。さらに二重行政による無駄や住民・地域ニーズに柔軟に対応できない、住民ガバナンスの欠如などをあげ、当面は経済産業局、地方整備局、地方環境事務所の3機関移管を求めています。
 今年9月に開催された内外情勢調査会で山田知事は「ハイパー地方自治の時代」として、「意欲と責任ある自治体が権限委譲を求める」「国の出先機関のまるごと移管」等に取り組むと述べられています。権限委譲を、あたかも無駄や二重行政の解消など仕組み論として述べられておられますが、知事は、経済政策や地方整備、環境などにおける国の責任をどう考えておられますか。また何よりも、地域間格差が深刻となるもとで住民の暮らしにとってどうなるのか、そのことが問われているのです。出先機関の廃止と移管により地域間格差が是正されるとでもお考えでしょうか。お答えください。

左京区北泉通りの架橋計画より重要橋梁の耐震化を

【光永】質問の最後に、私の地元・左京区にかかわって伺います。
現在、左京区では全国的に有名な岡崎地域の再開発や京都会館の高さ制限の見直し、さらに区役所移転に伴う街づくりなど、大きな問題が山積しています。今年5月から新しい区役所が、京都大学近くにあった吉田学区から工芸繊維大学隣の松ヶ崎学区に移転し、残された旧区役所は売却する計画とされています。私は7年前から「地域分散型の区役所を」と区役所移転にかかわる運動に住民の皆さんとともに取り組んできました。一方、新区役所につながる住宅連たん地・北泉通りの拡幅と、その通りをつなぐため高野川に8億円投じて橋を架ける計画が京都市により強行されようとしています。
これは昭和2年の都市計画に基づくものですが、既に80年余りも経過し、これまで何も着手しないまま、新区役所開設を契機に過去の都市計画決定を盾に計画が息を吹き返したのです。
架橋による大量の車の流入は、閑静な住宅街に大きな危険と環境悪化をもたらします。しかも、新区役所につながる災害時に重要な役割を果たす重要橋梁について、幹線道路である北山通の松ヶ崎橋、北大路通の北大路橋、今出川通の賀茂大橋、花園橋など未整備のままなのです。いま橋の建設に8億円以上かけるより、防災の観点からも重要橋梁の改修こそいそがれるべきです。地元住民の方々も、先日知事に「地元住民の合意ないまま架橋の許可がされないように」と要望書を提出されました。
 こうした声にも応え、河川法にもとづく河川占用許可申請は、京都市と協議し、住民合意なきまま受理しないよう、また課題がある以上、許可を出さないよう求めます。さらに河川管理者として、京都市と重要橋梁の耐震化こそ急ぐべきと協議すべきです。いかがですか。
【知事】カジノを含む統合型リゾート研究会についてでありますが、この研究会の意味がよく分からないという人のことが私は分からないのですが、いま、関西観光にとって「マイス」というのが非常に重要になっている。そのときに統合型リゾートについて、みんな意見は一緒なんですが、カジノについては大きな意見の食い違いがあります。ご指摘ありましたように、推進をしようとしている方が今度は市長になりましたけれど、こんどは市長と知事が両方推進することになる。それに対して反対する方がいる。これから大きな議論のときに、関西全体に影響を及ぼす議論ですから、お互い論点の整理をおこなって、議論というものの内容をしっかりと府民のみなさまにわかるようにしていく。それによって最終的な判断を府民のみなさん、市民のみなさんができるようにしていく。これが民主主義ですよ。何か意見の食い違いがあって、自分の意見がとおらなければ議論をやめてしまえというのは単なる独裁ですよ。そういうことではなくて、私はイメージだけではなくてしっかりとカジノの利点、デメリット、これを議論していく中で、府民のみなさん市民のみなさんが、判断できるよう、これはなかなかまとまらないと思います。まとまらなくてもいいから論点を整理して示すことこそ、私たちは最終的に住民説明を果たすとものだという風に考えています。
 国の出先機関についてですが、光永議員の発言は国土交通省のお役人と同じ発言なんですよ。国土交通省のお役人はそういうことを我々に投げかけてきているんですよ。地域間格差について、正直言ってそういうことはあるので、京都府で受けるということ、関西広域連合で受ける、ということはやむを得ないのかな。本当はそれぞれ自治体で受けるべきだと思っています。しかし、そういった問題で関西広域連合で受けるのはやむをえないなと思っています。この前、知事会で同じような話しがありまして、前田国土交通大臣はこういうふうに答えているのです。「東北震災における福島の作戦というのも、地方整備局のあの統合力がなければ、ああいう対応はできなかっただろうと思います。そういったものを本当に地方自治として生かしてもらえば、地方自治は経営としてやっていくわけでありますから、今度は住民自治になれば大いに次の日本の時代の担い手として地方が力を発揮してくれるのではないか。そういう観点から積極的に議論をしていきたい。」というふうにおっしゃいました。私は自治体を預かる責任者として、国土交通大臣の意見に賛成です。
 次に北泉通りの整備ですけど、これは河川許可の法律からいってむりだと思います。橋を架けるかどうかというのは、市の住民のみなさんが最終的に決める話ですよね。市長が提案し、市会が可決し、それについて市民が判断する話ですから、府会で、というのは地方自治という観点からいえばどうでしょうか。どうも先ほどから光永議員の話しは地方自治の原理というよりは、上から、上から目線で物事を運んでいく。国の責任だから国がやらなきゃいけない、国がすべてやる、 私はどうかなという感じがします。私どもは河川の使用許可という観点からそれぞれ適切な判断をさせていただきます。橋をかける住民合意とかそういった話しとは違うんじゃないかなと思います。
【教育長】山城通学圏の入学者選抜についてでありますが、中学生が自分の能力・適正や進路希望などに応じまして、これまで以上に希望する高校を主体的に選択できるよう、平成16年度から見直したところであり、もはや定着してきたところであると考えている。中学生は学力だけでなく、その高校の校風や教育活動の雰囲気、あるいは部活動など様々な特色に魅了を感じ、中学校の進路指導の元、主体的に希望校を決定しているものと考えています。
 また、教育行政の責務は生徒や保護者の多様なニーズに対応するため府立高校全体として、多様で魅力ある教育内容を用意し、子どもたちの能力や個性を最大限伸ばすことにあると考えております。そうしたことからも、制度の見直しにあたりましては、これまでから懇談会を設置するなどして広くご意見をお聞きしながら検討を進めてきたところであります。
 次に募集定員につきましては、これまでから中学3年生の生徒数や前年度までの進学実績などを総合的に検討しながら策定しているところであります。また、定員を超えて合格者を出すことにつきましては中学生が希望する高校への入学に向けてそれぞれの目標をもって学習活動や部活動に取り組み、努力することが何より大切であることから、希望者数に応じて単に合格させればよいといったものではないと考えております。
 府教育委員会といたしましては、私立高校や京都市教育委員会ともしっかり連携しながら今後とも中学生の高校進学の希望が実現できるよう取り組んでまいります。
【再質問・光永】高野川の架橋のはなしですが、住民と京都市と決めて、それに基づいて申請されるのですけれど、知事はご存知ないかもしれませんが、地元の左京区北白川の半鐘山の再開発計画の問題が起こった時に、そこに進入する時に白川を架橋して渡らなければいけないということから、この架橋問題をどうするのかということが問題になったことがありました。そのときに結局、京都府の現場の方々と京都市と住民とが話し合いをする中で、本来でしたら、京都市が申請を出せば受理されて許可に移っていくこういう手続きをされるのですけれども、そこは住民との協議が必要だということで、現場の努力でおよそ1年間、許可自身が伸びていくという経過をたどったわけです。私が述べているのは手続き上でいえば知事の話しかもしれません。しかし、やっぱりいま住民のみなさんがこれだけ反対し、いろんな不安を掲げておられるわけで、実際に問題が起こるということもあるわけですから、許可権者として京都市とも協議をすべきだし、しかも、新区役所開設に伴ってこういう事態がおきているわけです。本来、重要橋梁を先に改修すべきだいうことを提案していく、街づくりという観点からも賀茂川、高野川守るという観点からも必要だと思います。そういうことを求めておきたいと思います。
 広域連合にかかわってですが、国土交通省のお役人と同じだと言われるのは心外ですけれど、わたしが言っているのは憲法に基づいて地方自治のあり方はどうかと、国のあり方はどうかということを一貫して論じているわけで、そこは誤解なきようしていただきたい。再度、質問しますが、いま述べられた大臣が地方自治としてというような話しがあったと私も承知しておりますけれど、その結果、震災の時の国の責任とは何なのか。これは環境問題、地域限定でできません。全国的に起こった問題について国の責任をどう果たすのか、というようなことはどうなのか、経済問題もそうです。これらについて、国の責任はどうなのか。憲法でも言われているわけで、その観点で知事はこの部分についてどう考えるかお答えください。
カジノについては、メリット・デメリットが必要だとおっしゃいましたが、これデメリットが多いから他の知事は反対だという風にいっているわけです。教育委員会から抗議が上がる話だと私は思います。ですから、大阪市や大阪府が勝手に話しをすればいいわけで、京都まで巻き込まないでと思うわけですが、広域連合で論議すべきじゃないと考えますが、その点いかがでしょうか。再答弁を求めます。
 高校制度については、経済的にしんどい家庭が学力に影響を与える傾向というのは全国的に共通する課題だと考えます。山城通学圏を見た場合に、経済的に困難な家庭の子どもたちが、遠方から1万円以上の交通費をかけて、あるいは自転車で長時間かけて通わなければならない、こうした事態を現状は生み出しているとお聞きしています。その結果、クラブにも入れない、学校に定着する率がいくつかの高校では低くなっている傾向が出ているのではないかと考えております。教育委員会もかつて言われていたと思います。教育の機会均等からあまりにも広く通うのはどうかとおっしゃっていましたけど、実際広い区域からなおかつ学校生活、また学業にも影響が出ているというのは明らかだと思いますが、この是正こそ必要ではないかと考えるのです。この点認識をもう一度お聞かせください。
 同時に京都市・乙訓通学圏の見直しをするというときには、やっぱり山城であったことはどうだったのか、これまでの類・類系制の京都市・乙訓通学圏はどうだったのか、このことの総括が必要ではないか。この点についてはどうかお答えいただきたい。
あと、中学校の来年度の募集定員については、2010年度と同じような人数の卒業生がいるのに、今年は定員を同じように増やさない。これはおかしいのじゃないか、その理由をお聞かせいただきたいのと、あわせて975人のうち660名は京都市内です。これはどうされるのかお聞かせください。
【再答弁・知事】まさに国土交通省の役人はこういう主張をしてきたわけですよ。それに対して私どもは、どういう形で、国土交通大臣がどう言ったのか、非常時と平時と一緒にして国の責任というのはおかしいだろうと。非常時について国の責任は十分ある、でもやり方次第です。たとえば、消防は市町村で、警察は都道府県で、じゃあそれが全部国の責任でなければいけないんでしょうか。非常時のときに警察は動かなかったんでしょうか。消防は動かなかったんでしょうか。それはそれぞれ災害対策本部を中心としてきちっと国の系列でやっているわけです。そういった問題と平常時の管理・建設の問題を分けて議論すべきだ。そしてそれについては自治体の方にまかせたほうがいいということが、今言われているわけで、それに対して国土交通省の役人が、「いや国の責任だから」がんばっているのが今の現状です。
関西の統合型リゾート研究会ですが、大阪のことだから放っておけというのは、わずか25分で京都から行けるところに、「リゾートのカジノができても京都は放っておけとおっしゃったように私は理解するんですけれど、それはすごい無責任な話しです。我々はやっぱり関西として影響力のあるものについては少なくとも議論はすべきだ。これが責任あるものの態度だと思います。
【再答弁・教育長】山城通学圏で大変広い区域から通学をしていると、こういう指摘でありますけれど、大半が希望をして遠くの学校に行っている。こういう状況はございますけれど、強いられて遠くの学校に行っている、こういうようなご指摘のような状況はございません。
 類・類系制度などの問題でありますが、この制度につきましては、今日の生徒数の減少だとかあるいは生徒のニーズの変化、こういうものに適切な対応していくということで見直してきたものであります。
 募集定員の問題につきましては、先ほど申しあげましたように、私立学校の状況、京都市教育委員会、等十分協議をしたうえで進学率がきちんと確保されるように、そういう目標でもって策定をしているところでございます。
【指摘・要望、光永】高校の教育制度について、この間起こっている事態というのは、高校ごとが進学を基準にした序列化が進んでいて、高校入試が大学入試化になっているのではないか。これで本当に将来を見渡して高校を選べるかという問題がある。先ごろ開催された「懇談会」でもそういう傾向の意見が出てたわけで、すべての子どもの目線に立った、見直しを求めたいと思います。
広域連合については、広域連合で国の機関を受けるというのは、実際に広域連合が本当に自治体として機能しているのか。ガバナンスが効いているかという問題も含めて見直さないといけないと思いますし、国の責任だって非常時も平常時もあるわけで、そういうのを曖昧にしたまま、仕組みだけ受け止めますよという話しでは、これは本末転倒だと言わざるをえません。カジノについても、結局知事はカジノ推進派なのかと、私は疑わざるを得ない、言わざるを得ないと思います。この厳しいくらしが広がっているときに、京都府がこんな虚業の話しをしている場合じゃないのですよ。暮らしを守ることこそ自治体の役割、知事の役割、そのことを厳しく指摘して質問を終わります。

≪他会派議員の質問項目≫

■石田 宗久(自民・京都市左京区)

1 今後の府政運営について

2 高速道路網の整備促進について

3 自殺対策の推進について

4 今冬の節電対策について

5 農山村地域の過疎・高齢化対策について

■村井 弘(公明・宇治市及び久世郡)

1 経済対策について 

2 観光振興について

3 再生可能エネルギーについて

4 淀川水系の安全対策について

5 JR奈良線の複線化について

6 特別支援教育について

■安田 守(自民・向日市)

1 広域振興局について

2 教育問題について

3 受動喫煙防止対策について

4 地元課題について

5 向日町競輪について

■松岡 保(民主・木津川市及び相楽郡)

1 危機管理について

2 府営水道ビジョンについて

3 関西文化学術研究都市について

4 防災教育について

5 警察における危機管理体制について

6 サイバー犯罪対策について

■田中健志(民主・京都市中京区)

1 改正NPO法等への対応について

2 京都式地域包括ケアの進捗状況について

3 専用球技場の検討状況について

■中川 貴由(自民・八幡市)

1 経済政策と雇用の確保について

2 新名神高速道路の建設促進と周辺整備について

3 地籍整備について

4 食の安心・安全の確保について