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本会議質問

2011年12月定例会原田・山内・島田一般質問質問

2011/12/12 更新
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●2011年12月定例議会一般質問に原田完議員、山内よし子議員、島田けい子議員が立ちました。
質疑の大要と他会派議員の一般質問項目をご紹介します。

原田 完 一般質問 ・・・・・ 1
山内よし子一般質問 ・・・・・ 7
島田けい子一般質問 ・・・・・13
他会派議員の一般質問項目・・・19

12月定例会 一般質問

原田 完(日本共産党、京都市中京区)2011年12月7日

建設・土木業の振興について

【原田】日本共産党の原田完です。通告にそって知事ならびに関係理事者に質問いたします。

最初に低入札問題や建設・土木業の振興について伺います。
建設・土木業界は長引く不況のもとで、仕事が激減し、京都府内の建設産業は大変厳しい経営環境におかれています。
公共事業予算が大幅に減少し、平成22年度の公共事業請負金額は、ピーク時の約4割に減っています。発注方式の多様化や、従来は建築・設備を分離発注していた工事が一括発注されることで大規模工事となり、大手ゼネコン対象工事として、地元中小建設業者や専門工事業者への発注の機会が奪われており、この改善は急務です。
東日本大震災では、地元の建設土木業界が最初に、がれきの処理や道路の復旧をおこない、改めて地元建設土木業者が復興の力となることが明らかになりました。
京都府においても冬季の除雪作業は地元業者が居なければ、北部では孤立集落が生まれます。深夜の2時3時から出動し、まさに府民の安心・安全を守ってきたのが地元建設土木業者です。
そこで知事にお聞きします。京都における建設産業の現状と果たしている役割についてどの様に認識されていますかお答えください。

TPP参加にきっぱり反対せよ

本府は、地元建設土木業界が厳しい経営環境にある下で、入札制度の改善、元請け・下請け関係の改善にむけ、入札制度等評価検討委員会を設置されました。しかし、民主党野田政権は、国民の強い反対の声を無視してAPECでTPPへの参加を表明しました。TPPに参加することになれば、現在、本府が検討している地元への貢献度を反映する改善策も非関税障壁として全て違反だと言われ、地元中小業者の仕事が奪われる事は必至です。
知事はこの件でどのような認識なのかお答えください。京都府知事として、きっぱりと反対を表明し、国へ参加しないよう強く求めるべきです。いかがですか。

低入札問題など入札制度の改善について

【原田】次に、入札制度の改善について具体的に伺います。
本府の平成21年度の競争入札平均落札率は、82.4%と低く、47都道府県のうち下から2番目の低入札となっています。さらに一般競争入札では最低制限価格の上下1%以内に74%の業者が張り付き、22年度は「くじ引き」による落札決定率が31%となっています。
建設業者からは「公共事業は、かつてはシンボルだったが、今は利益の出ない工事」と言われています。京都建設業協会資料では、平成10年は、高かった建設労働者の平均年間給与水準は、21年には製造業より78万円低く、落ち込んでいます。
低入札の下で、下請け業者は、「工賃をねぎられた」、「追加工事代金が支払われなかった」「元請け企業の倒産で代金が未払い」等、深刻な実態が府の元請け・下請けアンケート調査等に寄せられています。適正な下請け工賃を確保してこそ、労働者の適正な賃金を保証でき、工事の品質確保や安全対策ができるのです。また、建築職人の技術の向上、後継者育成の取り組みは、地域に貢献する人づくり、地域経済の発展に直結する問題です。
9月議会で「早急に最低制限価格の引上げを実施すべき」との私の求めに対して、建設交通部長も「改善を検討する」と答弁されましたが、最低制限価格を引き上げ、適正な利益が確保できるようにするべきではありませんか。
 また、公表される予定価格から最低制限価格を予測できることから、最低制限価格付近に74%の入札が集中し、過当競争化で低入札を招いています。このような状況を改善を図るためにもふみ込んだ検討を求めますが、いかがですか。
公平性・透明性確保のためとして、電子入札での広域入札が実施されています。結果として、30社を超える入札参加があり、地元業者が落札できなくなっています。北部からは、仕事がとれないもとで、機材の維持・更新ができず「除雪を辞退したい」「他府県のゼネコンにではなく、地元業者へ仕事が回るようにしてほしい」と切実な声が上がっています。
丹後土木事務所では、発注する工事に中丹東西土木事務所管内の業者が殺到し、丹後の業者に仕事がまわらない状況などの改善が求められています。規模・内容によっては、入札参加資格要件で土木事務所管内の業者に地域限定する等して、地元企業へ仕事がまわるよう検討するべきです。お考えをお聞かせください。

生活関連公共事業中心へ転換を

【原田】我が党議員団は、公共事業のあり方について、無駄な大型事業にお金をかけるのではなく、「地元業者への仕事おこしを」と一貫して求めてきましたが、府はいまだに天ケ瀬ダムの再開発をすすめ、凍結している京都市内の高速道路3路線の建設や丹生ダム・大戸川ダムなど不要不急の大型公共事業を中止していません。
知事は、府民公募型公共事業が府内業者の仕事受注につながっていると言われますが、入札制度等検討委員会が行った北部、南部の建設企業へのヒアリングでは、多くの業者から共通して、「経営が厳しく展望が持てない状況のもとで、京都府はいろいろやっているけれど、今、どこへ向かっているのかが判らない」「府は、どういう立場に立つのかはっきりと示してほしい」という声が出されていることは、知事も御承知だと思います。京都府内の建設企業、建設労働者のくらしを守る立場をはっきりと示し、公共事業の発注が大きく減少するもとで、本来府が府民の安全への責任を果たすための、生活道路の改善や老朽化した橋梁、河川改修、会館や学校、病院等公共施設の耐震補強維持・補修・改修工事に本格的に取り組むべきです。
そのためにも、国に対してダム、高速道路中心の公共事業から生活関連、安全・安心等の公共事業へシフトし、思いきって耐震工事等をすすめるよう求めるべきではありませんか。お答えください。
さらに、発注方法については、かつて実施していたように、工事種類ごとに分離・分割発注することで、地元業者へ仕事が回る仕組作りを行うべきだと思います。いかがでしょうか。

建設設計管理についても最低制限価格を設定せよ

【原田】現在の入札制度では建設設計管理については、最低制限価格の設定がありません。中には40%を切りダンピングと思えるような低入札での落札が目立ってきています。低入札の結果、思い起こすのが、偽装構造計算のアネハ事件です。適正な利益確保を保障することで、安心安全な公共事業となるのではないでしょうか。
府民の安心安全確保のためにも、建設設計管理についても最低制限価格の設定をするべきだと思いますがいかがでしょうか。

技術職員を育成し、職員体制の強化を

【原田】次に京都府の職員体制強化についてうかがいます。例えば、府民公募型事業を担当されているところでは、この時期は審査会への事前調査、報告準備、そして入札、発注などが集中し、超過勤務をして対応されています。分離分割発注、部分発注を推進する上でも、技術職員の育成と職員体制の強化を行うべきではありませんか。
【知事】建設業の果たしている役割について、言うまでもなく建設業は、道路・河川・砂防・公園等の社会資本の整備から維持・管理、さらには災害時の初期対応の担い手として、また、地域経済面では雇用吸収力が高いだけに、雇用確保に大きな役割を果たしており、私は非常に重要な産業であるというふうに認識しています。
 ただ、問題なのは開発がずっと進んできた時代からアセットの時代、管理の時代にあたって、どうやって技術者を雇用して建設機械を保有するなど安定して地域に貢献できる優良な建設企業を維持し、育成することが、これが一番大きな課題ではないかと考えています。
 そうした面から、これからも公共事業の場合は業者の維持・育成という部分もあるんですが、それ以上にやはり府民のためにどういう事業をすれば一番いいのかということでありますので、そうした点との両立・調和というものをメインにこれからも建設業の発展について考えていかねばならないと思っています。
 次に、TPPの協定についてですが、仮に調達基準額が引き下げられる場合、その内容によっては大企業の受注機会の減少も懸念されます。まあ、果たして海外事業者との契約締結の可能性自身は、これは現状をみても著しく低い現状でありますので、そういうところに各国が主張してくるかというのは、私はちょっと正直言って疑問ですが、事務負担の面もありますので、全国知事会を通じてどのような対応を考えるのか、まずは国に説明を求めるとともに、それをふまえた形で行動していかなければならないと思っています。
 TPPの協定交渉については、昨日も答弁したように右か左かというものではなくて、それぞれの状況をふまえながらやっていかなければならない。これは単にアメリカとの関係だけではなく、中国・韓国からヨーロッパを見通した、大きな日本の行く末を見つめた中で、どうやって国内産業を維持していくのかという対策を政府が示しながら、それに対して全体として議論をしていかなければならない、大変複雑な問題だと考えており、そうした観点からも、これからも国に国民的な合意が得られるよう慎重な対応を行うことを申し入れているところです。
【総務部長】入札制度の改善について、10月に設置した入札制度等評価検討委員会において集中的にご審議を頂いているところです。昨日、知事から答弁したとおり、去る11月30日に開催された第3回委員会において、更なる最低制限価格の引き上げ、住民生活に身近な工事について受注企業がきめ細かく迅速に対応できるような地域要件の設定等についてすでにご意見を取りまとめていただいたところです。これをふまえて早急に対応していきたいと考えています。
 予定価格の公表時期については、事後公表にした場合には入札の非公開情報に関わる受注者・発注者双方のコンプライアンスが極めて重要な課題となるため、その対応策と併せて検討をしていきます。
 次に、公共工事の発注方法については、これまでも工事の種類ごとに可能な限り分離するとともに、分割発注にも努めているところであり、また1,000万円未満の小規模で地元対応可能な工事については地元業者を対象とした指名競争入札等をしているところです。今後とも地域経済に適切に配慮しつつ対応してまいります。
 建設工事の設計管理等の業務については、完成物により品質の確認ができることから最低制限額は設定していませんが、これらの業務の入札状況をみると業務の内容によって落札率にばらつきがあり、建設工事とは異なり、必ずしも低価格に集中していない状況でありますし、また制度を導入することによって逆にダンピングを助長してしまう可能性もございます。現に制度を導入している府県においても応札が最低制限価格付近にはりついてくじ引きが頻発するといった弊害も見受けられることから慎重に対応していく必要があると考えています。
【建設交通部長】公共事業についてですが、京都府では、従来から国庫補助事業を活用しながら幹線道路整備や治水対策など比較的規模の大きな事業から交通安全対策や維持・修繕など、身近で小さな規模の事業までバランスよく実施することに努めており、平成21年度からは府民公募型安心安全整備事業を実施し、生活道路の改善等なお一層きめ細やかな事業も行っております。耐震対策についても、橋りょうの耐震点検を全て終え、現在、対策工事を着実に推進しています。
 次に、職員体制についてですが、業務の増加に対応するため、新規採用職員を増員し、社会人経験者を採用するとともに、技術力を向上させるため体系的な研修をおこなっており、本年度は86名が受講し、また国土交通大学校等、外部機関の研修に57名を派遣しています。
 さらに、外部委託で対応できる業務について、設計コンサルタントや現場技術業務の活用等により、効率的に業務を遂行できるよう努めています。
【原田】ご答弁いただいたが、知事は、非常に厳しい経営環境のもとで、国際入札適用基準がWTO基準では現在23億だが、TPPでは7億6500万円にまで基準が引き下がる事態が生じているにも関わらずTPP反対を示さないという姿勢は、今、苦しんでいる業者に対して非常に冷たい姿勢だと指摘しておく。
 さらに、今、入札制度の問題は喫緊の課題です。丹後の振興局管内で言えば、今年の入札151件の内、地元業者の応札が80件。その内、落札できたのは40件。一般競争入札での70件が抽選となっている。こういう状況のもとで、しっかりと地元の業者に分割発注することや、振興局単位での地元業者の入札などへ制度の改善を図るべきです。この点については再答弁をお願いします。
 設計管理等の最低制限価格について、低すぎるから問題が起きるということであり、今の入札の状況をみれば、現に40%を切る、50%以下での入札が横行している。業者の声を聞いても「これでは対応できない」というような状況も生まれています。最低制限価格を適正な価格で設定を図るべきだと思います。再答弁をお願いします。
【総務部長】先ほども答弁しましたが、工事の発注方法については、工事の種類ごとに可能な限り分離をし、分割発注に努めているとことですので、今後とも地域経済に適切に配慮しながら対応していきたいと考えています。
 また、最低制限価格の引き上げ等についても、ただいま申し上げた通り、評価検討委員会の方で一定とりまとめをいただいておりますし、そういったこともふまえて早急に対応していきたいと考えています。
【原田】再答弁をいただいたが、設計に対する最低制限価格についてはお答えいただけませんでした。残念な答弁です。しっかりと業者の実態を把握して、そのことに応えるようにお願いしたいと思います。

京都府の文化財保護、修繕について

【原田】次に、京都府の文化財保護、修繕をめぐる課題について伺います。
 京都府内には国宝が60件、重要文化財が542件、登録文化財が376件、重要伝統建築群7件と多数の文化財が存在しています。この府民の誇りであり、国民的宝である国宝や重要文化財を守ってきたのは、京都の1200年の歴史と伝統に鍛えられた高度な技術を持った技術者・職人集団が技術を継承し発展させてきたからです。だからこそ京都に重要文化財があり、これが京都の観光産業を支える役割を果たしているのです。これらの保存は、私たちが受け継ぎ後世に引き継いでいかなければならない重要な仕事です。
 今年2月に設立された「NPO日本国際文化遺産協会」の設立趣意書は「経済効率を優先させる社会的状況は、古いものの無秩序な排除や文化の保全に努力し、文化遺産を守ろうとする私たちの心の崩壊さえ招きかねない状況を生んでいる」と指摘しています。
 京都の西本願寺の御影堂の平成の大修復工事が1999年から10年半かけて実施され、この工事をNHKが10年間の長期にわたる取材行い放映されました。私は大変感銘を受けました。
この取材を通じて、プロデューサーの武野氏は「御影堂は木と土と紙とが調和し、よく組み合わされて、わが国特有な建築文化・住宅文化の伝統的な匠の技と知恵とが組み合わされている、生活の香りがする」と言われていました。
 この工事は文化財修復・保存、防災の総合的工事で1万人を超える、職人の技術が支えていますが、伝統的な「和の文化」の基礎にある匠の技術者が各分野において一人二人しか居ない状況です。西本願寺のかわら11万5千枚を葺くため、杉板23万枚を打ち付ける、竹の釘を作る職人は丹波で一人だけとなっています。まさに『我が国の伝統的文化とその伝承の困難と迫りくる危機』を深く感じる事業だったといわれています。
京都は文化財の宝庫です。それらの修復工事は連綿と続きます。しかし、この間、京都府の文化財工事は指名入札に当たって、企業の評価を点数評価し1000点以上の企業とし、京都で対象となる企業はごく一部です。圧倒的な地場の企業が指名から外される事態が続いています。
東山の知恩院の山門、境内全域の防火防犯設備の工事では、京都府から設計管理の財団法人建築研究協会に1000点以上の企業にすべきと意見が付けられたため、大企業が指名され京都の事業者は下請けとして関らざるをえない事態となりました。
 私の厳しい指摘の中で、「今後は配慮した発注に心がける」としながら、今度は京都府教育委員会が主体の知恩院の本堂の大屋根修理の素掛け工事で、JVで1400点以上の企業を指名の条件としたため、スーパーゼネコンに建設一式全で発注し、地元事業者はカヤの外という事態が生じています。
これでは、文化財に関わる工事を行ってきた京都の企業が、厳しい経営状況のもとで、技術を継承し、後継者を育てることはできません。
 京都府は文化財の修復に関わり、直接技術者・職人を雇い工事に関わってきました。京都の宮大工や左官業、瓦屋、鳶職、建具、防災設備、電気、庭師等々匠の技術が京都の文化財の修復工事を行うもとで、伝統的技法や技術を発展させ、継承してこられました。今その技術継承が危惧される事態となっているのです。
 中京区の二条陣屋や清水寺や両本願寺、東寺、万福寺を初め、まさに文化財の宝庫である京都でこそ、技術者・職人を育成する立場に京都府が立つべきではありませんか。
知事は、これら京都の文化財保護の技術を有する事業者とその技術をどのように評価し位置付けておられますか。
また、文化財は、国民的財産であるからこそ、国や府が補助金を出して修復を支援しているのです。
貴重な技術の伝承が危機的な事態となっているもとで、京都府の文化財工事で、地元企業が指名入札に入れないような事態を作っている状況を、知事はどのように考えているのかお聞かせください。
発注に当たっては、一括発注でなく、分野・工事種類等を考慮して部分発注すれば、地元の多くの業者が事業参入できるのです。改善を求めますがいかがですか。また、指名入札に当たっての評価点の在り方について、京都府内での文化財関係工事額実績で評価するなど、評価方式の検討を求めます。いかがですか、お答えください。
【教育長】本府におきます文化財保護の技術について、重要文化財建造物修理など京都の文化財保護技術は、大変長い間の歴史と伝統を受け継いで地元京都の技術者によって培われてきたものです。このような文化財保存修理技術について、特に高い技術を持つものを国が選定する制度があります。府内の伝統技術者が建具や金具の制作、あるいは瓦葺など多くの分野で国の選定保存技術者に選定されていることからも、わが国の最高水準にあると考えます。日本を代表する府内の文化財を保存していくためには、それらの技術を次の世代に確実に伝えることが大変重要です。このため、文化財の保存修理事業や後継者養成、原材料確保についての研修等に取り組んできたところであり、引き続き熟練した技術者の育成にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、文化財の修理工事の入札について、重要文化財建造物保存修理工事競争入札参加資格者名簿に登載している企業を対象としていますが、文化財の修理には、それぞれの分野ごとに高い修理技術が必要となることから、入札参加資格の評価にあたっては、工事種別ごとに文化財修理工事の額だけでなく、仕上がり実績などを加えているところであり、約9割が京都府内の業者となっています。
 また、修理には高い技術が必要となることから、屋根工事・塗装工事・金具工事等の工事種別ごとに分割し、先ほどの入札参加資格者名簿に登載されている業者を対象に発注しているところです。
 なお、非常に大規模な仮設工事、先ほどご紹介がありました西本願寺の素屋根の工事等ですが、文化財の修理に至る前の一般的な工事として大手企業が受注した例がありますが、多くの文化財修理工事については府内の業者が受注している状況にあります。
 府教育委員会としては、今後とも世界に誇る本府の文化財の保存と次世代への継承にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

四条通り2車線化問題について

【原田】次に、四条通りの2車線化問題について伺います。
 京都市は、四条通の烏丸-川端間について車道を2車線化することを検討しています。しかし、周辺の地域住民からは、「平成19年に四条通で一般車両の規制をして社会化実験をしたが、周辺の細い通りに車があふれ、渋滞がおこった」「影響について具体的な調査もせず、住民へ何も説明もされていない」、「配達業務にも支障をきたすのではないか」等、不安と不満の声が私のもとに寄せられています。
 計画地区の中京区は商業地区で、運送車両、荷捌き問題、繁華街のためバス利用客やタクシーの乗降客も多い地域です。2車線化になれば道路負荷となり、渋滞で救急車等の緊急自動車がスムーズに通行できなくなる等の疑問も寄せられています。
京都市は、周辺道路の車両通行量の減少計画や自動車迂回策を講じるなど、流入車両等に対する事前の対策を地元住民に示し合意形成をする努力をすべきですが、地元の意見を聞かないまま、拙速にも1月の京都市都市計画審議会で都市計画決定を強引に推進しようとしています。
周辺交通環境が整わないもとで、住民合意もないまま2車線化には賛成できません。
 そこで府警本部長にお伺いします。
 平成19年の社会化実験ではどのような状況となったのか。京都府警として、渋滞混乱の状況をどのように把握されているのでしょうか。お聞かせください。
 円滑な交通行政を担う京都府警として、京都市内の交通環境整備をおこない、混乱の生じない万全の交通体制こそが必要です。
四条通りの2車線化により、烏丸通りや川端通りから流入してくる自動車の流れが狭まり、四条通り周辺の渋滞が予想されます。周辺に渋滞が起きないよう、京都府警として、検討委員会及び京都市都市計画審議会に対してしっかりと意見をいうべきではありませんか。お答えください。
【警察本部長】京都市に於いて計画されている、四条通りの2車線化について、京都市による平成19年秋の社会実験は、四条通りの烏丸交差点から河原町交差点までの間、仮歩道を設置し、車道の2車線化及びマイカー規制による周辺への交通影響を検証したものです。
 実験の結果、四条烏丸交差点や四条河原町交差点をはじめ、一部の周辺道路において通常時を若干超える渋滞が発生したものと承知しています。
 四条通りにおいては、1日に約1700台の路線バスの発着やタクシー乗客の乗降、また荷さばき等による駐停車が常態化しています。4車線道路としては、他の道路と比べて交通の流れがゆるやかというか、進みにくいというのが実態です。
 警察としては、京都市に対して2車線化を実施した場合においても、バス停の配置やバスの正着性を高めるための道路形状、タクシーや荷さばき車両の駐停車スペースの確保、緊急自動車の通行の確保等の対策を講じることによって、四条通り及びその周辺道路で交通の流れに大きな支障が生しるものではないことについて、地元商店・住民・関係機関・団体について丁寧な説明を行うよう指導するとともに、調査・分析に基づいた合理的な説明を求めているところです。
 今後、交通管理者である警察としては、参画している『歩いて楽しいまち中戦略推進会議』や『京都市都市計画審議会』においても必要な助言や調整を行うとともに、良好な交通環境確立にむけて意見の反映に努めてまいりたいと考えています。
【原田】ご答弁を頂きましたが、文化財の工事で実際に東山の山門の防災工事の1000点以上という京都府教育委員会からの指摘があって、結局業者は一人も指名にあたらなかった。さらに、JVで今やられている工事は1400点です。なぜ、1400点にしなければならないのか。地元の建設業者も総合請負の業者も沢山いるが、ほとんどのところがそれでは参加できない。JVへ参加をしている企業では、寺社仏閣の工事にはこれまで関わったことがない企業が落札されている。こういう状況で本当に京都の重要文化財を守って行く技術が伝承できるのか。しっかり地元の企業に発注を図ることこそが何よりも必要であり、文化財を守る上で連綿と築き上げてきた修復に関わる技術伝承が正に喫緊の課題になっているもとで、指名競争入札に当たって、何故大企業や規模が大きければ安心とする姿勢に固執するのか全く理解できません。スーパーゼネコンが受注してもスーパーゼネコンが全て施工するわけではなく、結局、実際の工事は京都の業者が低価格で仕事をやらされる。こういう状況が生まれるのは明らかであり、しっかりと地元業者がスキルアップや技術の伝承を含めて行えるように指導を図るべきだと指摘して終わります。

12月定例会 一般質問

山内よし子(日本共産党、京都市南区)2011年12月8日

生活保護について
生活保護基準の引き下げに反対し、老齢加算の復活こそ国に求めるべき

【山内】日本共産党の山内よし子です。通告に従い、質問致します。
まず生活保護についてです。
年々、生活保護を利用する人が増え続け、その数は205万人を突破。戦後の混乱期にならぶ水準になっています。その原因は派遣労働の原則自由化や、低い年金でも医療費や保険料などの様々な負担が増加したことなど、不況に加えて、庶民と労働者をまもるべきセーフティネットが、その機能を充分に果たせないような事態になっていることにあります。
いま必要なことは、労働者派遣法の抜本改正をすること、最低賃金の引き上げや、最低保障年金を実現して、国民のくらしを底上げし、同時に保険料や医療費などの負担を軽減することです。ところが国は、財政悪化と生活保護の利用者が増えたことを口実に、制度の改悪を検討しています。
第1は、生活保護基準の引き下げです。国民年金より保護費が高いことや、最低賃金で働いても保護基準以下であることを理由に、保護の基準を引き下げようというのです。しかし生活保護基準は、現在でも人間らしいくらしを営むためには低すぎる基準になっています。最低賃金や年金が生活保護基準より低いことをもって、保護基準を引き下げることは、歯止めのない引き下げ競争に国民を駆り立て、国民全体の生活水準を引き下げることにつながると考えますがいかがですか。
また、高齢者の加算も削減されたままで、近所のつきあいができなくなったり、栄養のある食事をとることができないなど、人間らしいくらしができなくなっています。生活保護基準の引き下げに反対し、老齢加算の復活こそ国に求めるべきと考えますがいかがですか。

「集中的かつ強力な就労支援制度」について
「強力な就労支援」の名による生活保護切り捨ては許されない

就労支援は本人の希望にそって
【山内】第2は、「集中的かつ強力な就労支援制度」についてです。
昨年の12月議会で知事は「(仮称)トランポリン型福祉研究会」を立ち上げると答弁され、その後すぐに、生活・就労一体型支援政策研究会が設置され、今年7月に報告書が提出されました。
知事はマニフェストの中でも「働く場所がなくなってもすぐに仕事に就けるよう、トランポリン型福祉を導入する」とうたっておられますが、研究会の中では「生活保護を受給し続けざるをえない状態の方々に、就労にむけて尻をたたくような・・誤ったメッセージとならないような保証が必要。就労支援を最終目標にせず、貧困率の減少などを目標に設定するなら、誤ったメッセージとならない」など、全体として、貧困に至る根本問題を解消する中で、生活と就労を一体的に支援しようとする方向で、真摯な議論がなされていました。
ところが、本府が11月に政府に提出した「平成24年度政府予算に関する重点要望書」の要望項目は、こうした研究会の議論の方向性と全く相反するものになっています。とりわけ、「期間を設定した集中的かつ強力な就労支援・就労指導ができる仕組みを構築すること」を要望しているのは大問題です。
すでに昨年10月、指定都市市長会が稼動年齢層を対象にして、「集中的かつ強力な就労支援」の仕組みを提案していますが、その中身は、1年間をめやすとして、生活訓練や就労体験などの自立支援を行い、その後生活保護から就労自立できない場合、「プログラムへ真摯な態度で参加し、自立にむけて最大限の努力を行ったか」、「生活保護から自立できないことについて、客観的に正当と認めうる理由があるか」といったことを、3年あるいは5年ごとに判断するとなっています。
しかし、「真摯な態度」とは大変主観的ですし、正当な理由には「重度障害」などがあげられていますが、軽度の障害等が正当な理由になるのかも不明で、結局かぎりなく有期保護に近いものです。知事が国に求める「集中的かつ強力な就労支援・就労指導」の仕組みとは、こうした指定都市市長会が求める有期保護に近い仕組みを導入しようとするものであり、研究会の議論とも全く相反するものです。
このような就労指導の仕組みを、国に求めるべきではないと考えますがいかがですか。お答え下さい。
さて、私がお話を伺った、京都市内の40代の男性Aさんは、長年事務系の仕事に就いてきましたが、一度失業してからはなかなか就職できず、家賃も払えなくなったために生活保護を受給しました。これまでの経験を生かした仕事を探しましたが、全くありません。ハローワークで紹介された仕事も、14件連続で、書類選考で落とされました。今年2月上旬の求職活動申告書をみると、16日間のうち9日間求職活動をされていましたが、福祉事務所からは「あなたは働く気がない」と言われ、今年の3月末いっぱいで、保護を廃止する通知が届きました。
Aさんは気持ちばかり焦り、気力も失い、「このまま死のう」と考えたそうですが、私たちも相談にのり、本人も、保護の廃止撤回を求めた結果保護が継続されました。その後Aさんは、希望していた経験を生かせる正規の仕事につくことができ、生活保護を利用しなくてもよくなりましたが、生活保護を利用してから仕事が見つかるまで2年もかかったのです。Aさんは、「いくら仕事を探していても、面接までこぎつけなければ求職活動と見てもらえない。厳しい就労指導は自信を失わせ、外に出ることもできないほど追いつめ、逆効果です」と語ってくれました。
就労支援については、あくまでも本人の希望に添った寄り添い型の支援に徹して、働く権利保障の観点から支援すべきと考えますが、いかがですか。
さらに、研究会の報告書には、稼動年齢層を中心に3年間で5000人を目標として、個々人に応じた自立を実現できるよう、と数値目標が示されています。しかし、集中的かつ強力な就労支援・就労指導の仕組みを国に求める京都府が、数値目標を掲げれば、府内の自治体で就労自立にむけて、大変厳しい事態が起こるのは目に見えています。数値目標は撤回すべきと考えますが、いかがですか。

緊急対策として、生活保護における家具什器費の改善が必要

【山内】次に、緊急対策として生活保護における家具什器費の改善などについて伺います。
さて、昨年夏の熱中症による救急搬送は、京都府下で1411人と、猛暑の中で急増しましたが、今年の夏も1020人が、熱中症で救急搬送されています。こうした中で、生活保護を受けている方で、年金などの収入のある方なら実質的な負担をせずにクーラーを設置できるようになりましたが、この制度は、生活保護以外に収入のない人は使えない制度になっています。多くの生活保護利用者が、風通しの悪い劣悪な居住環境の中で生活しています。
ある町で生活保護を受けている60台の女性は、クーラーのない部屋しかも両側が道路のためにも窓を開けられず、蒸し風呂状態の中で休まなければならず、この夏2回熱中症にかかりました。
クーラーをつけることは命を守ることにつながります。生活保護を受けている世帯で、必要な世帯にクーラーを設置するための支援を行うよう、国に求めるべきと考えますがいかがですか。
また同じ町に住む70代の夫婦の家は、冷蔵庫が昨年末に故障したままで、修理費も高くつくために未だに放置しています。買い置きができず、余ったものもすぐに腐ってしまいます。憲法で保障されている最低限度の文化的な生活が、保障されているとは到底思えません。
生活保護の臨時的な扶助として認められている家具什器費は、最高でも4万円少しです。鍋や食器、炊飯器を購入すれば底をついてしまい、全く不足しています。家具什器費の金額を引き上げ、さらに、生活必需品の修繕等にも使徒を広げるよう国に要望すべきと考えますがいかがですか。お答えください。
【知事】生活保護制度については、生活に困る、困窮するすべての国民に、国が責任を持つナショナルミニマムとしての生活を保障すべきものであります。
保護基準については、現在、社会保障審議会の生活保護の基準部会で、議論されておりますが、何よりもやはり、受給者の実情を考慮し、老齢加算の問題も含め、最低生活の保障という観点から検討されるべきものであります。
最低賃金につきましても、本来その観点から議論すべきものであり、どちらの優劣ということではなくて、体系的に整合性がとれているということが重要であります。セーフティネットとしての役割を果たすことができるものでなければならないと考えておりますので、こうした立場から私どもも従来から、国に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障するものとなるよう、慎重に見直しを行なうよう要望しているところであります。
またあわせて、せっかく働いて得た収入が生活保護費と比べれば、受給者の手元には残らないような状況になれば、これはがんばって働いている人、または、働きたい人の気力を奪うことにもなりかねません。就労インセンティブが働く仕組みとなるように、国に対しても要望しておりまして、働ける世帯や働きたい世帯がしっかりとその望みをかなえることができるようにしていくということが、私は大切ではないかと考えております。こうした観点から、いまも国に対して要望をしているところであります。
【健康福祉部長】生活保護世帯の就労支援についてですが、昨今の生活保護の受給者を見ますと働く能力があると考えられる稼働年齢層、いわゆるその他世帯が急増し、働ける方や働きたい方がおいでになっても、就労に結びついていないのではないかということが非常に大きな問題となっていると考えております。
京都府としては、こうした方が少しでも早く就職できるように、との思いから勤労意欲の向上につながるよう、生活保護制度を改善するとともに、期間を設定して効果を検証しながら、集中的かつ強力な就労支援、就労者ができる仕組みを構築するよう国に求めたものでありまして、議員ご指摘の有期保護の考え方とは全く別ものと考えております。
また、こうした課題に対応するため、今年度6月補正において所要の予算を計上し、軽作業などの企業実習により仕事への不安を解消し、常用雇用へつなげるジョブトライ事業のほか、今すぐ就労による自立が容易でない方には、社会との接点や就労意欲を取り戻すところからスタートできるよう、パーソナルサポーターが寄り添って個別支援を実施しているところであり、生活保護受給者のかかえるさまざまな課題や実態に応じた施策をきめ細かく講じているところです。
なお、5000人の数値目標については、生活保護のその他世帯や生活福祉資金の利用状況から推計したものでありますが、こういった目標設定は、日常生活や社会生活を含む自立意欲を高めたり、就労に向けた条件を整えるために必要なマンパワーや、予算を具体的に検討するため当然のことであり、これらの方々に対して引き続き必要な施策を講じてまいりたいと考えております。
生活保護費の拡充についてですが、クーラー設置費や家具什器費の基準額については、生活保護受給世帯が最低限度の生活水準を確保できるよう、冷房機器の購入・設置費の一時扶助での支給や基準額の引き上げなどについて、すでに国に要望しており、必要な制度改善に向けて引き続き求めていきたいと考えております。
【山内】保護基準の問題で整合性ということを言われましたけれども、国は最低賃金だとか、それから国民年金が生活保護基準よりも低いということで、そこの整合性を取るために保護基準の引き下げを検討しているわけですから、単に整合性を取れば良いという問題ではないと思います。まさに、最低生活を保障する観点、最低限度の文化的な生活を保障する観点で見直しを求めていただきたいと思います。
それから、就労指導についてですが、「有期制」ではないと言われたのですが、指定都市市長会の就労支援の提案を質問で紹介しましたけれども、本府の求める強力な就労支援というのは、では市長会の案とは違うのか、それとも同じものなのか、もう一度答弁をお願いいたします。
【健康福祉部長】本府の考えている就労指導ですが、先ほども申しあげたように、期間を設定して効果を検証しながら、集中的にやっていきたいというものであり、政令指定都市の求める有期保護の考え方とは、全く別ものであると考えております。
【山内】平成19年の3月に全国知事会が生活保護制度の見直しに関する提言ということで、就労自立を促進するための体制強化とその実効性を担保するための有期保護制度を検討することということで、提言を行なっているのですが、その中に期間を限定して、強力な就労支援を集中的に実施する仕組みを導入することを検討しということで、提案を行なっているのです。そういう点では、期間を設定した強力な就労支援を国に求めるということは、これまでの生活保護行政のあり方を根底から否定するものになります。働きたくても仕事がない人を生活保護から排除すれば、ほかにセーフティネットのない日本で、憲法で定められた最低生活の保障どころか、生存権さえ侵害されかねないような、そういう状況がおこります。そういう点では、こうしたことを国に求めるということはやめていただきたい。このことを厳しく指摘して、次の質問に移ります。 

 

特別支援学校について

経験豊かな教員を適正に配置し、正規教員の定数を増やせ
肢体不自由児の機能訓練は、今すぐ改善すべき

【山内】次に本府の特別支援学校について伺います。
宇治に待望の支援学校が開校して、8カ月が経過しました。ところが多くの方々の期待とは裏腹に、教育条件の不十分さによる見過ごせない問題が起きています。
一つは、教員配置の問題です。
本府の教員配置については、本来、正規の教員をおかなければならないのに、臨時任用を行っている、いわゆる定数内講師が年々増えてきており、大きな問題を抱えていますが、とりわけ、支援学校の定数内講師の比率が12.3%と極めて高くなっています。
そして、宇治支援学校においては、定数内講師の数は31.3%、また非常勤講師も含めると、半数近くが臨時の教職員となっており、小学部では6割が臨時教職員です。定数内講師をおいている数は、城陽と南山城支援学校ではゼロ、八幡は3名、向日が丘は5名ですが、宇治では42名にものぼっています。
また、多くの学校で新規採用の教員は、1校につき3名程度とのことですが、宇治の場合12名に達しています。
また、重度の子ども、医療的ケアの必要な児童生徒が多いにもかかわらず、教員1人あたりの児童生徒数も、府内の支援学校の中では一番多く、新規採用や臨時教職員の先生方は、大変努力をしておられますが、多くの困難が起こっており、以前いた学校に戻りたいといった保護者の声も伺っています。また、肢体障害の児童生徒には、筋肉や関節がこわばったり固まったりしないように、日々の機能訓練が不可欠です。
向日が丘支援学校では、肢体不自由の児童生徒が21名在籍しており、全員が授業とは別途、機能訓練を受けています。機能訓練の担当教員は4名と実習助手が1名で、計5名です。週に1~2回、多い子どもは週に4回機能訓練を受けています。ところが宇治支援学校では、肢体不自由の児童生徒は40名と向日が丘の倍近く在籍していますが、機能訓練の担当教員はたった2人しかいません。そのため、子どもたちが十分 な訓練を受けることができず、主治医から「身体の変形がすすみ固くなり、筋肉が落ちてきていると指摘された」との声も寄せられているのです。学校もこうしたことを認め、スーパーサポートセンターに週1回理学療法士を配置するそうですが、まったく不十分です。
肢体障害の子どもにとって機能訓練は、空気と同じように不可欠のものです。「宇治市に養護学校をつくる会」の保護者の皆さんの要望書には、開校当初から220名という大規模の支援学校になることや、重度重複障害、医療的ケアの必要な児童生徒の数が府内で一番多い学校となることへの問題点が指摘されていました。そして、「我々の子どもたちはこれまで桃山、向日が丘、南山城の各支援学校で本当に大切に、適切に指導して頂きました。保護者といたしましては、これまでの教育内容・環境を継続した上での新しい教育であってほしいと願っています。」として、教員配置についても、「桃山、向日が丘、南山城の各養護学校の教職員でバランスよく配置してほしい」と要望されていたのです。
そして、向日が丘や南山城支援学校で働いていた多くのベテラン教員も、児童生徒の健康と安全、教育の継承と発展のために、宇治支援学校に異動を希望しましたが、多数は実現しなかったのです。
現在、宇治支援学校で起こっている事態は、準備段階から再三指摘されていたことであり、府教委の責任は重大です。重度重複障害や医療的ケアの必要な児童生徒が多いにもかかわらず、教員数が少ない現状を改善し、定数を増やす必要があると考えますがいかがですか。さらに、来年度こうしたことが絶対に起こらないようにするためにも正規教員を増やすこと、また、これまでの豊かな障害児教育の実践が継承されるように、経験豊かな教員を適正に配置し、若い教員の育成を図るべきと考えますが、いかがですか。
また、肢体不自由の児童生徒の機能訓練については、来年度の改善では間に合いません。今すぐに改善すべきと考えますが、いかがですか。

 

盲学校の教員体制について

保護者の願いにそって専門スタッフの支援を継続し、体制を拡充せよ

【山内】また、このような問題は、盲学校においても起こっています。 
府立盲学校では、平成9年には48名いた教諭全員が正規の教員でしたが、年々定数内講師の数が増え、現在では49名中7名が定数内講師になっています。しかもその7名の内、5名が幼小学部に集中しています。しかも、今年4月の人事異動で、幼小学部ではベテランの教員や視覚障害の専門免許を持つ教員が他校に異動になり、その結果、盲学校の教員に求められる専門性が継承されず、盲学校に在籍する幼児や児童が、十分な視覚障害教育が受けられなくなっています。
 あるお母さんは、「盲学校での教育の様子を参観し、将来のこと、就職のことなど考えれば、点字の習得と白杖を使った独歩を身につけ、自分で生活する力や生きる力をつけることが必要と考え、盲学校への進学を決めた」と語ってくれました。現場の先生方は慣れない中で必死にがんばっておられますが、簡単に多くの教員が専門性を身につけるのは容易ではありません。
府教委は委員会の中で、大学の視覚障害の専門教員を要請する課程が京都にはないとおっしゃっていましたが、だからこそ専門の教員を大切にして、定数内講師を増やす方向ではなく、正規採用を行っていく。その中で、きちんと視覚障害教育の専門性を継承していくことが大切なのではありませんか。
現在、専門のスタッフが週に1回、盲学校に支援に入っておられますが、週に1回では不十分ですし、12月以降も支援に入っていただきたいというのが保護者の願いです。
 保護者の願いにそって専門スタッフの支援を継続し、さらに緊急に拡充すべきと考えますがいかがですか。
 今後、こうしたことが起こらないように、盲学校における正規の教員を増やし視覚障害教育の専門家を育成していくことが必要と考えますが、いかがですか。
 さて、本府の定数内講師の数は5年前には474名でした。府教委はこれまで、「定数内講師の数は減らしていく」と言い続けながら、今年度は637名にものぼっています。5年前には49名だった盲ろう養護学校の定数内講師が、今年度は118名になり、わずか5年間で2.4倍も増えています。
 府教委の教員採用計画をみますと、今後10年間、毎年400名から500名の教員が退職しますが、計画では退職をした教員分しか採用しない、そういう計画になっていますが、これでは、いつまでたっても定数内講師が減るわけがありません。「定数内講師を減らして正規教員を増やしていく」と言いながら全く改善されていないのは、こうした府教委の姿勢にあります。退職教員をうわまわる採用計画を立てる必要があると考えますが、いかがですか。また、来年度の採用については540名程度と伺っていますが、これで定数内講師の数は減少するのですか。答弁をお願いします。
【教育長】宇治支援学校における教職員の配置についてですが、いわゆる国の標準法に定められた定数を満たす教員を配置した上で、さらにきめ細かい指導ができるよう複数の非常勤講師を配置しております。とくに、宇治支援学校が目指す、卒業後の自立と社会参加するための力を育む教育活動が展開できるように、若手を中心に将来の京都府の特別支援教育を担う教員を配置し、多くの保護者からも、大変がんばってもらっているという評価をいただいているところであり、今後も学校体制の充実に努めてまいります。
 また、肢体不自由の児童生徒の機能訓練についてですが、現行の学習指導要領では、障害による学習児の生活上の困難を主体的に改善克服するため取り組む自立活動として位置付けられております。この自立活動の実施にあたっては、専任教員だけで行なうのではなくて、主治医など専門家と連携しながら、全教員が専任教員の支援の下、学校教育活動すべて時間を通じて子どもたちの力を引き出す基盤づくりを意識して取り組んでいるところであります。 
次に、盲学校についてですが、現在、同校には教員の専門性をよりいっそう向上させることを目指して、スーパーサポートセンターから視覚障害潜伏教育専門のスタッフを、指導的な立場として臨時的に派遣しておりますが、今後の体制については、学校の状況をよく見ながら適切に判断していきたいと考えております。
また、教職員の配置については、標準校の定数を満たした上で、児童生徒の指導、および安全面を考慮した手厚い配置をするとともに、視覚障害教育の専門家を育成するため、若手教員を配置し、校内等における研修の充実に努めているところです。
次に、定数内講師については、可能な限り抑制していくことが望ましいと考えておりまして、500名を超える大量採用を予定しているところでありますが、来年度の講師数については、児童生徒数に変動に伴う学級数の増減や退職者の動向も未定であることから、次の年度に必要な教員定数が定まらない状況にあるため、現時点ではなお確定出来ないものであります。
今後とも児童生徒数の推移や退職者の動向、少人数教育の充実や国における定数改善の動き等も見据えて、長期的展望に立った教員採用に努めて行きたいと考えております。
【山内】複数の非常員講師が宇治支援学校に配置されているということですけれども、臨時教員の先生方は本当にがんばっているのですね。ただ、がんばっているのだけれども、非常に忙しくてうまくいかない、うまく回っていないというのが、先日、府教委が高い評価を得ているというようなアンケートを取り寄せてみましたけれども、うまく回っていないというのは、そのアンケートの中にも保護者の声として出ているわけですね。そういう点では、そこで働いている先生が、もう教員をやめたいというようなそういう事態にもなっているわけです。
この間、宇治支援学校の保護者からは、6月と12月と2度も府教委に要望書が提出される、今までになかったようなことが起こっているわけですから、これは、「関節が曲がりにくくなったり、筋肉が落ちたり、変形がすすんだり子どもたちの状態は明らかに悪くなっている」と、保護者が言っているわけです。病院でも指摘をされていると言われているわけです。「変形のために装具を作り替えなければならなくなった」ということで、障害児教育の現場で絶対に起こってはいけないことが起こっているわけです。
それから、スーパーサポートセンターに非常勤の職員を配置するということですが、全然間に合わない事態が起こっているのですから、これは緊急に改善すべきではないですか。改善する気があるのかないのか、お答えいただきたいです。
それから、あと一点ですが、専任教員だけでやっているのではないということで、別にそれはみんなで取り組んだら良いことなのです。けれども、実態として回っていないわけでしょう。その訓練ができる教員は、向日が丘では肢体不自由児が21名いて、5名の先生がおられるのに、40名の肢体不自由児がいる宇治支援学校で2人しか先生がおられないから指導しようにも回らないわけですから、そういう事態をどう改善されるのかということ。それから、教員採用計画ですが、来年度の講師の数がどのくらいになるのかわからないといって、結局ギリギリのところで講師を正規教員を増やさず減らさずというところで計画を立てているから、いつまでたっても正規教員が増えないし、定数内講師がどんどん増えていくわけです。そこのところの改善を、根本的にやるべきだということを求めますが、答弁をお願いします。
【教育長】学校の組織体制については、今後ともそれぞれの教員の力量のバランスというものをよく考えて、校長の意見をよく聞いて、充実に努めていきたいと思っております。
宇治支援学校については、新設校でもありますし、定着するまではなかなか大変な取り組みが続いております。一方で保護者の皆さまからは、先ほど申し上げたように高い評価をいただいておりますので、こうした教職員が一丸となって取り組んでいる状況をもう少し、長期的な目で見守っていただきたいなというふうに思っております。
定数内講師の問題ですが、先ほど申し上げましたように今後の退職者数の動向だとか、あるいは特別支援学校の場合は、入学者がどれだけあるのかというのはなかなか把握しにくいという要素もあります。そういう流動的な要素がある中で、来年度の採用については、当初採用予定を60名にしておりましたが、こうした状況も含めまして検討した上で、71名を採用候補の名簿登載をいたしました。
したがって、今後とも採用数については、こうした状況をよく把握しながら、可能な限り減少に努めていきたいと思っております。
【山内】時間がありませんので、1点のみ指摘、要望したします。校長の意見をよく聞いてということを言われましたが、保護者の意見を本当によく聞いていただきたいと思います。
宇治に養護学校をつくる会の保護者の声を、もう一度、紹介させていただきます。「肢体障害児童生徒にとって、7才から18才という年齢は、体が変化し、バランスを崩してしまう時期に当たります。その後の人生を考える時、もっとも専門的で永続した訓練が必要な時期で、最低でも機能の現状維持をさせることが必要な時期なのです。」と述べておられます。長期的なことでは間に合わないのです。ところが週に3回、4回と今まで受けていた専門教員による機能訓練がなくなったために、機能がいま後退をしているのです。長期的なことでは間に合わない、今すぐこれは改善すべきだ、教委はそのことを真正面から受け止めて、緊急に専門の教員や理学療法士を配置すべきです。このことを強く求めて私の質問を終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

12月定例会 一般質問

島田けい子(日本共産党、京都市右京区)2011年12月9日

中丹地域医療再生と地域包括医療・ケアについて

【島田】日本共産党の島田けいこです。先に通告しています数点について、知事並びに関係理事者に質問します。       
まず、中丹地域医療再生と地域包括医療・ケアについてです。
私は、先日、岩手県南部、宮城県との県境にある一関市立藤沢病院、旧藤沢町民病院をお訪ねし、病院と福祉医療センターを核にした保健、医療、福祉を総合的にとらえた包括医療ケアの実践をお聞きしてきました。藤沢病院は、「長く良い医療をするためには、患者を大事にするだけでなく住民を尊重する医療機関になることだ」として、積極的に地域へ出て住民と対話し、病院運営に生かしてこられました。佐藤院長は、「地域医療は、総合的医療と包括医療という二つの軸で考えなければならない。包括的医療とは、医療の前後を考えるということで、健康な時にも関心を持ち、治療が終わっても症状が安定した時も責任をもって一人ひとりの人間を見ていくこと。一方、総合的医療というのは頭の先から足の先まで肉体を一つのものとして理解し、できるだけ患者のリクエストに応えていくことだ」といいます。住民も医師も研修医も参加する「藤沢地域医療セミナー」で、患者さんや地域住民の医療に対する理解が深まるとともに、地域医療を志す医師や医学生が住民の手によって育てられていました。藤沢病院の実践と高い理念にあこがれ、研修医が次々に来られるようです。
それらの取り組みにより、住民の健康増進、医療費の低減、国保税まで安くなり、病院経営も黒字です。地域で育てられた若い研修医がいよいよ着任されるそうです。そして、何より、震災の時にはこれらの実践によってつくられたネットワークが活かされ、一人の犠牲者もなく住民の命が支えられたとのことです。
さて、こうした実践が京都にもあります。京丹後市の久美浜病院の取り組みです。旧久美浜町でも、病院を核として保健センター、特別養護老人ホーム、デイサービスセンターなど保健、医療、福祉のゾーンを整備し、「断らない救急」、病気の診断治療はもとより、疾病予防活動、さらに介護の支援など、地域包括医療・ケアを営々と取り組んでこられました。地域包括医療をやることによって、住民が健康で長生きし、医療費が安くなり、国保税も安くなる。医師のモチベーションもあがり、定着しているとのことです。
合併時、京丹後市に「二つの市民病院はいらない」と統廃合、民営化の危機にさらされた久美浜病院でしたが、住民の粘り強い運動で、現在、市立病院としてりっぱに発展しているのです。この3月末退官された、奥田院長は公設公営でこそ行政との連携も取れて地域包括医療が展開できると強調され、行政の担当者も自治体病院の果たしている役割に誇りを持っておられます。この際、このような地域包括医療、包括ケアの取り組みと自治体病院の役割をどのように認識されていますか。お聞かせください。
さて、こうした観点で、現在、検討中の中丹地域医療再生計画を見ますと、事態は全くさかさまです。11月8日の第2回関係者会議で了承された「中丹地域医療再生計画に関する京都府の修正案」は、舞鶴市長の提案をほぼ丸のみにした内容で、「選択と集中」「分担と連携」による地域医療の再生、東西のバランスに留意しつつ、個々の病院の特色ある分野の機能充実による疾患別のセンター化、公的4病院の再編・連携を推進する。舞鶴市民病院は療養病床に特化し、日赤の横に移転、新築するとしています。地域医療再生の要である医師確保の展望や中長期的な具体的計画もなく、明瞭になったのは、病床数の削減と25億円の基金の配分だけです。
修正案の第一の問題は、市民病院の役割を療養型病床に特化し、救急医療や住民健診やリハビリや過疎地域の支援等、これまで市民病院が果たしてきた役割をなくしていいのかということです。公的3病院が疾患別のセンター化になるならなおさらのこと、本来、市民病院は総合医療を提供し、保健・医療・介護の分野の支援まで包括的に支援することが求められていると考えますが、いかがですか。見解をうかがいます。
回復期リハビリ病床や療養病床は不足しており、東舞鶴にも必要です。さらに、第一次救急医療施設については西舞鶴も強化しなければなりません。人工透析の施設が西舞鶴に必要という声もあります。東西バランスを考えるなら、地域全体の住民ニーズに照らして何が必要か検討されなければならないはずです。
さらに、中丹地域は、京都府保健医療計画の基準病床数2546床に対し257床の不足と、府内6医療圏域で最大の不足数となっています。ここで200床の削減では計画との整合性がとれないではありませんか。いかがですか。
第二の問題は、本府がこれまで舞鶴の地域医療の現状と課題について指摘した、産婦人科医師の不足により困難を極めている周産期サブセンターの再構築や整形外科医がいないため交通事故等の多重外傷に対応できていない問題の解決、呼吸器外科、リハビリテーション科、麻酔科、病理に常勤医師が不在であり、小児科、放射線科、産婦人科についても十分な体制が構築できていないこと、一人診療科の解決を一刻も早く行うことがもとめられていますが、修正案にはその肝心かなめの解決策がありません。
市長は、説明会で、「美術館やデパートがない。子どもの教育環境も整っていない田舎には、医師は来たがらない。現状維持で行くしかない。基金25億円を原資に4つの病院が100億円をかけて、リニューアルすれば、若い医師にとって魅力ある病院になる。」と言っています。「医師確保などをふくめ、病院間の連携は舞鶴地域医療連携機構が役割を果たす」としながら、舞鶴市に権限はないと発言し、具体的な構想も明らかでありません。京都府も大学も、8日の関係者会議の場で、「舞鶴市が地域医療確保のために努力を。府立医大は医師派遣は厳しい」と半ば、突き放した対応であると聞いています。
本府は、この3月に「京都府における今後の医師確保対策」についての提言をまとめ、中丹医療圏ではあと75人の医師が必要であること、医師のキャリア形成支援や大学における地域貢献の取り組みを強化して、医師の勤務環境の改善をすすめるとされました。6月には、地域医療支援センターを開設し、22年度からは府立医大に地域医療を担う総合医を養成することを目的に「総合医療・医学教育講座」を開設されました。修正案は、これらの取り組みや計画との整合性も取れていません。舞鶴の地域医療の再建と住民の命を守るために、医師確保の本府の責任を果たすべきと考えますがいかがですか。お答えください。
第三の問題は、府立舞鶴子ども療育センターの病床を60床から30床に半減をして、舞鶴医療センター敷地内への移設が突如盛り込まれたことです。施設職員も舞鶴支援学校北吸分校職員も保護者も、圧倒的多数は新聞報道で知らされる中、大きな不安を寄せておられます。舞鶴こども療育センターは府でただ一つの肢体不自由児施設です。9月定例会で、全会一致で採択された「重度障害児に対する施策の充実に関する請願」の審議の中で、重度障害児者の短期的入所に対応できる医療型ショートステイが不足している実態、また、舞鶴子ども療育センターでは受け入れてもらえず、亀岡の花の木医療福祉センターへいかなければならない現状が明らかになりました。子ども療育センターに実情を聞きますと、入所児童生徒の重度化に伴って、医師や看護師、理学療法士等が不足しており、受け入れたくてもできないのが現状とのことです。必要なマンパワーを確保してニーズに応える体制こそ整備すべきではありませんか。また、当施設は児童福祉法に規定する施設でもあります。医療と教育、福祉との連携が必要な施設の重大な変更を関係者との具体的な協議や合意なしにすすめることは許されません。
本府は現場が10年来要望してきた屋根の防水工事や給湯の排水管が破れるなど老朽化した施設設備の改善要望にもこたえず放置してきました。ですから、施設がよくなることは現場も望んでいます。しかし、ベッド数が減らされることにより、職員が減らされるようなことでは困るとおっしゃっています。また、軽度発達障害児や家庭崩壊、虐待等で児童相談所が介入した事例への対応等、今日的課題に対応できる体制へ拡充することも望まれています。小児医療の充実に留まらないさまざまな課題があります。病床削減は撤回し、子ども療育センターのあり方、整備方向について十分な検討を求めます。いかがですか。
修正案は、これから国の承認をうけるところにも関わらず、舞鶴市は、早々に療養病床のみの新病院設計予算を編成する等、あまりにも拙速です。本府も「医療審議会」に対し、修正部分のみしか提案されておりません。当初計画との整合性が取れないからではありませんか。このままの修正案を国へ提出されるおつもりでしょうか。このようなやり方を知事は認めるのですか。修正案について根本的に見直すべきです。いかがですか。

原子力防災計画の見直しについて

【島田】次に、原子力防災計画の見直しと食の安全問題で伺います。
私は、先日、党京都府議団を代表して、国会議員団、福井県及び、近畿各府県議団とともに、経済産業省、環境省、文部科学省へ、「世界一の集中立地点、福井原発からの撤退と原子力行政の抜本的転換を求める要望書」を提出し、懇談を行ってまいりました。原発の再稼働問題で、経済産業省の担当者は、「いままさに、福島原発事故の原因究明の途上である。現段階で新たな知見はない」と繰り返し発言しました。地震の影響、耐震性の見直し、過酷事故が起きた場合の対応、放射能汚染の流れ、原子力防災等の肝心の点はほとんどこれからです。こうした中、2日には東京電力が福島第一原発事故に関する中間報告を発表しましたが、「想定外」を繰り返すなど、まったく、反省がありません。知事は、関西電力に対し、立地県並みの安全協定を求めておられますが、「福井県知事と同じ」というのでは、立地県並みの責任ある発言とはいえません。大飯原発の「再稼働」はするなと関西電力へ強力に求めていただきたいと考えますが、いかがですか。
さて、立地県並みの責任ある判断をするには情報・伝達網の強化や、府の監視体制の強化が求められます。モニタリング体制については30キロ圏を中心に拡充されましたが、放射能プルーム防護措置対応も含めて、リアルタイムで観測データ―が伝送されるテレメーターシステムを府域全体で整備するなど体制を強化すべきと考えます。また、長岡京市、井手町が独自で放射能測定機器を整備されますが、その他の市町村とも連携して整備すべきと考えます。いかがですか。
現在の放射線監視体制、環境影響監視業務について、これまで、温排水検査等高浜原発を中心に監視をされていますが、大飯原発にも対象を広げる必要があると考えます。さらに、土壌調査や水源地のモニタリングも拡充すべきです。いかがですか。
また、琵琶湖の放射能汚染対策が課題となっております。本府の暫定計画の見直しの中でも水源問題を検討すべきとの意見も出されました。琵琶湖のモニタリング体制も整備する必要がありますが、先日の環境省の交渉で、竹生島にモニタリングポストを設置するよう求めたことに対し明確な答弁がありませんでした。府民の命の水源でもあります。琵琶湖の水のモニタリングの実施を国へ要望すべきと考えますが、いかがですか。
次に、緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク・スピーディの活用についてです。福島までは、情報がないために、南相馬市から飯館村へ逆に高濃度の放射能汚染地域へ避難する事態になりました。地域防災計画の見直しをしている今こそ、福島原発事故のデータ―を参考にして、シュミレーションを行い、ハザードマップを作成して、その想定に基づいた避難計画等を防災計画に盛り込むべきと考えます。また、福井県でも本府でも現在は10キロの狭いエリアしか予測されていません。文部科学省交渉では、スピーディは92キロ四方の計算ができるそうです。府内全域をカバーできるシステムに改善し、公表すべきです。また、被ばく医療機関は拡充されたものの、被ばく医療の専門医が大変不足している実態も政策常任委員会で明らかになりました、今後の養成・確保計画について、お聞かせください。
これらの推進のために京都府の職員体制についても、原子力工学や、放射線防護等の技術や知識を有する専門家を配置するなど、立地県並みの体制を整備すべきと考えますが、いかがですか。
最後に、食品の放射能検査体制についてです。先日NHKのETV特集番組で、沿岸部の放射能汚染の高濃度の海域が、福島県沖よりも、茨木県沖など南下しており海のホットスポットとも言うべき海域があること、さらに、お米についても連日報道があるように高濃度のセシウムが検出される等の事態、さらに、粉ミルクまで汚染されていることが大問題になっています。安全な食べ物を子どもたちに安心して食べてもらえるよう、あらためて学校給食食材の検査体制の強化を求めるものです。国の補正予算で、学校給食の放射能検査機器の整備費が予算化されましたが、その対象は17県にとどまり京都府は配分なしとされました。食材は全国規模で流通しているのです。あらためて、国に対し、予算の拡充と対象地域の拡大を要望すべきと考えますが、いかがですか。また、地方消費者行政活性化交付金を活用した食品の放射能測定機器の購入が可能となっています。京都府基金を活用し、市町村で活用できるよう周知すべきです。いかがですか。 
【知事】中丹地域医療再生と地域包括医療・ケアについて、私どもは地域包括ケアを推進していますが、これはやはり、公的病院はもとより、民間病院、さらには、かかりつけ医も含めて多くの医療関係者等が連携して、そして、それに加えて介護福祉サービスとも一体となって取り組む必要があると考えています。そうでなければ、私は、こうした地域包括ケアというのが、単に点で終わってしまう。面的な広がりというものをもてないのではないかと思っており、そこに包括ケアに対する私ども広域行政組織としての都道府県の役割があるのではないかと考えている。とりわけ、かかりつけ医と地域の病院が連携し、入院が必要となった場合には迅速に対応するなど安心して地域で生活を続けることができる環境を整備していくということが重要であり、ドクターズネットや在宅療養安心病院など、京都オリジナルの包括的なケアについて今、私どもは話を進めている。
 その中において公設公営病院の役割としては、これはいろいろなものがあると思うが、医療資源が厳しい地域において安定した医療を提供していくことや、高度な医療を提供する拠点病院として役割を果たすなど、様々な役割があると思っている。ただ、地域においてはもちろん、私立の病院が本当に大きな役割を果たして頑張って頂いているところであり、こうした地域の歴史とか経緯とかをふまえて、私どもは考えていく必要があるとおもっている。しかも、こうした公設公営は市町村立に限られることでなく舞鶴市域においては、舞鶴市民病院に加えて国立の舞鶴医療センター、舞鶴赤十字病院、国家公務員共済組合連合立の舞鶴共済病院の4つの公的病院が併存しています。医療資源というものが限られている中で、診療科の重複や一人診療科が多い、やはり地域全体として、まとまった形で出来るだけ包括的なケアをしていく観点からすると、こうした公的病院間の役割についてしっかりと連携をすすめていくことが必要だということだ。
こうした観点から、国の方も地域医療再生計画のモデル的な例として私どもに対して基金の交付をいただいたわけだ。今回策定した中丹地域医療再生計画については、各公的病院間の支え合い、共生しあう形を評価していくことにより、安定的で持続可能な医療提供体制を確立することを目指したものだ。こうした中で、舞鶴市民病院については、舞鶴赤十字病院の隣地へ移転し、連携して運営することにより、西舞鶴地域の医療提供体制の充実を図ろうとするものであり、これは舞鶴市をはじめ、舞鶴市民のみなさんの意向もふまえ計画の見直しを今回行ったものだ。今後、こうした内容で関係者の合意が得られているので、関係各団体間の相互の連携により着実に計画を進めていきたいと考えている。
【危機管理監】原子力防災対策について、大飯発電所の再稼働については代表質問で光永議員に対して知事からお答えしたとおり、福井県知事が再稼働の条件として国に4項目の回答を求めており、京都府としても同じ立場で対応していきたい。
 スピーディを活用したシュミレーションについては、原子力災害時に迅速かつ的確な避難を実施するために有効であると考えている。福島第一原子力発電所の事故をふまえた放射性物質の拡散予測については、現在も国において事故の検証が行われており、予測に必要な放射性物質の放出量、放出継続時間、放出各種の組成などのデータが確定していない状況にある。このため、具体的な事故の想定やそれに基づく放射性物質の拡散予測については、国においてこうした検証結果をもとに実施されるべきものと考えている。
 地域防災計画の運営においても、同心円の距離ありきで決めつけることなく、状況に応じた柔軟な対応が重要であると考えている。
 次に、被曝医療機関の医師等の養成について、暫定計画によりEPZを拡大ことにともない、本年6月に11病院の初期被曝医療機関を新たに追加指定したところだ。
 指定と併せて、原子力災害に適切に対応するためには、被曝医療の特殊性に対する専門知識と技能が必要となることから、現在までの間に計4回にわたり、医師をはじめとする医療従事者等を対象として、被曝医療に特化した専門知識の習得のための研修会などを実施しており、引き続き、専門的な知識を有する医師などを養成していきたいと考えている。
 原子力災害に対応するための専門的知識・技術を有する職員の配置については、9月議会で池田議員にお答えしたとおり、これまでから、原子力防災の専門家に専門委員としてご就任いただいているが、この5月には被曝医療に関する、有識者も加わった、防災会議の専門部会を設置しており、今後とも専門委員から助言・指導をうけるとともに専門職員の配置についても検討を進めているところだ。
また、消費者行政活性化基金を活用した食品の放射性物質検査機器の整備について、本年7月29日付で消費者庁から検査機器の整備等に基金を充当することが可能との通知があり、直ちに市町村に対して周知したところだ。要望があれば、基金全体の状況をふまえて検討したいと考えている。
【文化環境部長】モニタリング体制の強化について、京都府では国の見直しに先行して府北部及び京都市域の7局のモニタリングポストを府内全域を網羅する15カ所に拡充し、府独自の放射線監視テレメンタルシステムならびに府のホームページにより府民のみなさまに情報提供しているところだ。さらに、原子力防災対策として環境放射線監視の一層の強化を図るため、モニタリングポストを9局増設することとし、9月議会でご議決いただいたところであり、監視体制をさらに強化することとしている。
 市町村におけるモニタリングについては、独自に携帯型のサーベイメータを整備されているところだが、整備や測定にあたり技術的支援を行っているところだ。
 食品の放射性物質の検査について、暫定規制値を超えた食品が流通しないように、まずは国が検査計画をつくり、国と福島県および周辺16都県が連携して総合的に検査が行われている。その上で、京都府においても府内に流通する食品について放射性物質検査を独自に実施しており、11月には新たに食品検査専用のゲルマニウム半導体検出器や簡易迅速検査機器を導入し検査体制を強化している。
 また、風評被害を防止するため、府内産農産物等の検査を実施しており、すべて不検出だが、さらに簡易迅速検査機器を導入し、品目や検査点数を増加させるなど府民の一層の食の安心・安全の確保に努めている。
なお、府内15カ所で測定している環境放射線量は、現在に至るまで通常の値であり、保健環境研究所で測定している定時降下物も含め変化は認められず水源への影響はないと考えている。
琵琶湖の水のモニタリングに係る国への要望について、琵琶湖への放射能の影響は広範囲に及ぶことが考えられるため、関西広域連合の原子力災害対策専門部会において今後、琵琶湖への放射能の影響について広く検討される予定であり、その議論もふまえて適切に対応していきたい。
【健康福祉部長】中丹医療再生計画の修正案について、現在の京都府保険医療計画の基準病床数は平成14年時点の人口等により算定されているが、中丹医療圏ではその当時と比較すると、現在では1万人以上の人口が減少するなど状況が大きく変化していることから、その後の人口動態などをふまえ、現在既に見直す作業を進めているところであり、24年度中に次期計画を策定することとしている。
 こうした中、平成23年4月現在の中丹医療圏の病床数は、人口10万人あたりで府内最多となっており、特に舞鶴市域は府平均が882床であるのに対して1215床と突出しているなど、病床過剰傾向であることが明らかなため、今回の修正案では将来の医療需要動向などをにらみ、各病院の協力のもと府全域の平均レベルに近づけようとしている。
本計画における医師確保対策については、舞鶴市が設置する舞鶴地域医療連携機構がその役割を担うこととしており、本年3月の医療対策協議会の提言に基づき本年6月に設立した京都府地域医療支援センターによる京都府全域における医師確保対策の取り組みとも連携して取り組む。
舞鶴子ども療育センターの病床数については、ここ数年間の入所児童数が30人前後で推移しており、少子化や在宅療育の進展等を考慮すると適切な水準だと考えている。
なお、同センターの整備にあたっては、現在、発達障害や重度障害のショートステイ等、新たなニーズに対応するため機能の充実等について関係者間で検討している。
舞鶴市民病院の移転改築に係る補正予算については、先の関係者会議の修正案の合意が得られたことから、地域医療再生基金の執行期限が平成25年度末までとなっている事等を勘案して舞鶴市の責任と判断のもとで行われたものと考えている。
【教育長】学校給食用食材の放射線検査機器の整備について、整備に必要となる経費を補助する「安全・安心のための学校給食環境整備事業」が国の第三次補正予算において措置されたところだ。
 今回の三次補正では東日本大震災をふまえて、東日本の17都県に限定して実施されるものと承知している。
一方で、国において食品の暫定規制値自体の見直し作業が進められているが、検査機器に関連して文部科学省の対応で混乱しているとの報道もある。教育委員会としては、こうした状況の正確な情報の把握につとめるとともに、市町教育委員会とも連携しながら必要な場合は国に働きかけるなど適切に対応していきたい。
【島田・再質問】ご答弁いただきましたが、まず、地域防災計画・原子力防災計画の見直しについて、スピーディの活用について、国において検討中ということですが、先ほども申し上げたように福島の現実のリアルなデータで本府の検討をするくらいの主体性がないと、国任せでは実際に計画をつくっても、机上の空論になるわけです。滋賀県では、独自にシュミレーションを用いて具体的に防災計画に活かしておられます。そういう姿勢こそ今必要ではないかと思っています。
 職員体制について検討を進めているということですので、これも滋賀県では既に非常勤2人配置されたようですし、ぜひ、立地県並の体制をということですから強力に進めていただきたい。
 学校給食等、食の安全にかかわる問題ですが、消費者庁の行政活性化基金の活用は、現在2自治体にとどまっておりますので、引き続き周知をお願いをしたいと思います。学校給食についても、今、お米も大問題になっています。国の検査自身が穴だらけで、民間人が調べて告発してオタオタするということになっていますので、2重にも3重にも検査体制の拡充が必要ですし、保育所の食材等もそうですが、現場際で検査をして安全な食材を子どもたちにということで、ぜひ、ご努力をお願いしたいと思います。要望しておきます。
 中丹地域医療再生と地域包括医療ケアについて、京都式包括ケアは動き出しました。確かに、民間医療機関も公的病院も福祉も連携してやる必要があると思いますが、北部の開業医は高齢化しておりますし、医療機関自身が少ないわけです。その中で自治体病院の役割、そして併設された訪問看護ステーションが、すでに地域包括ケアを必死で展開をされておりますので、ここを応援することこそ必要だと思います。指摘しておきます。
修正案発表後に実施された市民アンケートでは、「死ぬほど重症でないと病院に来るな。救急車は呼ぶなと電話で断られた」「8カ月の孫が入院して3日目に手術が必要だったが麻酔科医師がいないため福知山市民病院まで搬送され夜中に手術した」「救急車で運ばれ、心臓を診てもらい、どうもないと言われ待たされること一時間、その後、次の病院へ搬送され、2日後に亡くなった。二つの病院でお互いの責任問題はうやむやです」、こういう告発、悲鳴に近い声が出されています。
こういう問題について、今回の修正案は解決できると確証が得られていないので、市民が不安を寄せているのです。「市民病院を専門特化するようなことだけでは駄目だ」「基金の配分だけではあかん」と言っているのです。自治体の責任放棄ではないかと指摘したのですが、どこに充実する確証があるのか、再度お聞かせ下さい。
子ども療育センターについて、喫緊の課題について要望しておきます。北部の障害児療育の拠点施設ですから、地域医療再生計画からはずして、関係者の声を聞いて進めるべきですし、計画を待つまでもなく、雨漏りなどの老朽施設の設備については緊急な改善を求めます。以上で質問を終わります。
【健康福祉部長・再答弁】中丹地域医療再生計画の修正案について、充実する確証はどこにあるのかというご質問ですが、基本的にはこれから現場で各関係者がよく連携して実現へ向かうものというふうに考えている。計画そのものも、先ほどから申しているように、各病院の特色を活かした分担機能を明らかにしたこと、さらにはその間をつなぐ舞鶴地域医療連携機構というものを明らかにしたこと、さらには第一次救急の診療所をつくるということも明記しているので、そうした枠組みを定めていることから、今後その中で関係機関の協力の中で実現していったらいいものになるのではないかと思っている。

≪他会派議員の質問項目≫

12月7日

■豊田貴志(民主・京都市山科区)

1 地方分権について

■北岡千はる(民主・京都市左京区)

1 これからの防災対策について 

(1) 男女共同参画の視点からの防災対策

(2) 地域の防災力の向上

2 北山文化環境ゾーンの整備について

3 骨髄バンク事業の推進・強化について

■四方源太郎 (自民・綾部市)

1 南北の人口バランスについて

2 森林環境税での林業雇用拡大について

 

12月8日

■林正樹(公明・京都市山科区)

1 高齢社会対策について

2 不育症について

3 ひきこもり対策について

■能勢昌博(自民・長岡京市及び大山崎町)

1 教育について

 (1)京都府教育振興プランについて

(2)児童生徒の問題行動について

(3)子どもの体力と熱中症について

2 水道について

 (1)三浄水場の料金平準化について

 (2)地下水の維持・保全について

  (3)府営水道施設・設備の抜本的見直しについて

  (4)耐震化事業に対する支援制度の創設について

■岡本和徳(民主・京都市右京区)

1 農業政策について

2 スポーツ振興について

12月9日

■兎本 和久(自民・木津川市及び相楽郡)

1 自然災害を踏まえた道路整備の状況について

2 耐震補強工事の推進について

 (1)府立学校の耐震対策について

 (2)住宅の耐震対策について

 (3)橋りょうの耐震対策について

3 野生鳥獣被害対策について

■松井陽子(民主・京都市伏見区)

1 公共交通政策について 

2 生活支援・就労支援のあり方について

■桂川孝裕(自民・亀岡市)

1 専用球技場の整備について

2 国道423号の整備促進について

3 農業教育のあり方について