資料ライブラリー

本会議質問

2012年2月定例会かみね代表質問

2012/02/22 更新
この記事は 53 分で読めます。

●2月定例府議会が2月13日に開会しました。2月17日にかみね史朗議員がおこなった代表質問と答弁の大要・他会派議員の代表質問項目をご紹介します。

かみね史朗代表質問 ・・・・・ 1
他会派議員の代表質問項目・・・15

2月定例会 代表質問
かみね 史朗(日本共産党、京都市右京区)2012年2月17日

【かみね】日本共産党のかみね史朗です。議員団を代表して知事並びに関係理事者に質問いたします。最初に、先日行われました京都市長選挙では、広範な市民、諸団体と日本共産党が推しました中村和雄さんが大健闘しました。「脱原発」「公契約条例で京都経済を底上げ」「消費税増税反対」、こうした政策に、市民から大きな支持と期待が寄せられました。当選には至りませんでしたが、中村さんの主張は、構造改革路線をつきすすむ国と一体の地方政治を刷新し、閉塞状況を打ち破る京都の新しい政治方向を示すものであったと確信いたします。中村さんの公約の実現に日本共産党も、市民のみなさんと力を合わせ全力で取り組むことをまずお誓いするものであります。

大雪被害にお見舞い 対策に全力を

【かみね】さて、今年の大雪被害は、舞鶴、京丹後市を中心に深刻となっています。被害をうけた住民のみなさんに心からお見舞いを申し上げますとともに、除雪作業や災害復旧などに昼夜を分かたず携わっておられる関係者のみなさんのご苦労に心から感謝と敬意を申し上げます。
さっそくわが議員団として舞鶴市の状況を調査しましたが、今後もまとまった降雪が予想されますので、本府として、人的物的被害への支援をはじめ、雪かきのできない高齢者世帯などへの除雪の人的支援や市町への財政支援、国道や府道の迅速な除雪作業などに全力を尽くすよう求めておきたいと思います。
それでは質問に入ります。今、社会経済の閉塞状況を打ち破っていく上で、京都府政がどうあるべきか、どういう役割を果たすべきかがきびしく問われています。私は、いくつかの重要問題について、わが議員団の見解を述べ質問したいと思います。

消費税大増税と社会保障の大改悪

消費税大増税に府民の怒りは沸騰

【かみね】第1に、府民の前途に大きな困難をもたらす国政上の問題です。まず民主党野田内閣が、消費税10%への大増税をしゃにむに押し切ろうとしている問題です。年間13兆円、年収300万円の4人世帯で12万6千円もの負担増となるこの大増税に、府民のみなさんの怒りは沸騰しています。
すでに12月府議会に京都の商店街や商工団体など51団体が「地域経済は大打撃を受ける」として消費税増税に反対する請願を出されました。京都民報には、四条繁栄会商店街振興組合や三条会商店街振興組合、三条名店街商店街振興組合などの代表が次々登場して「商店街の危機に拍車をかける」「消費税増税反対にイデオロギーの違いはない」「これだけ景気が悪い時に増税すべきでない」と訴えておられます。

三つの大問題 ムダづかいを続けたままの大増税

【かみね】今回の大増税計画は、こうした国民の圧倒的な反対の声を無視するものであります。同時に、3つの大問題があります。第一は、ムダづかいを続けたままの大増税であるという点です。群馬県八ツ場ダム再開の9000億円。再生可能エネルギー予算を削りながらの原発推進予算4200億円。戦闘機F35購入関連予算1兆6000億円。政党助成金320億円。大企業・大資産家への1兆7千億円の減税など、来年度の国の予算案はムダのオンパレードです。

社会保障切り捨てとの「一体改悪」 日本経済と京都経済をどん底に

【かみね】第二は、社会保障切り捨てとの「一体改悪」です。12年度から年金支給額を2.5%削減する。さらに支給開始年齢の68~70歳への繰り延べや医療費の窓口負担を増やすことが検討され、保育への公的責任を投げ捨てる「子ども・子育て新システム」を導入するなど社会保障のあらゆる分野で、負担増と給付削減という連続改悪をすすめる計画です。
第三は、大増税で日本経済と京都経済をどん底に突き落とすことです。消費税を5%に上げた1997年は、総額9兆円の負担増で景気はペチャンコになりました。今回は消費税だけで13兆円、年金支給額削減なども合わせれば負担増は16兆円であり、経済も暮らしも底が抜けて、結局税収も上がらず、財政再建も進まない結果になるのではないでしょうか。しかも、野田内閣は、今後の社会保障費をまかなうため10%以上の大増税が必要とまでいいだしています。このような消費税大増税は断じて認めることはできません。
知事は1月5日の記者会見で消費税増税について問われ、「財政の状況と高齢化の状況を見たときには、社会保障の財源を安定的につくらないといけないということについては、その通りだと思う」と述べ、注文として実施時期は地域経済の状況を見極めること、低所得者対策を講じること、国の行政改革を行うことをあげました。さらに知事は、消費税を5%増税した時の地方分を1.54%で合意した、合理的な数字だと述べました。
このやり取りを見ていますと、知事は、消費税の大増税はやむなしという態度と受け止めざるをえませんが、消費税を増税すれば日本と京都の経済や国民生活は破壊されることは明瞭です。そのことをよしとするのですか、どうお考えなのか、お答えください。

財源の確保は可能 日本共産党の提言

【かみね】日本共産党は、先日2月7日に消費税増税にストップをかけ、社会保障の充実と財政危機打開のための提言を発表しました。その財源対策は、第一に先に述べたようなムダと浪費を一掃すれば、3・5兆円程度の財源を確保することができます。第二に、財政危機のもとでも富裕層や大企業には減税が繰り返されました。この優遇と不公平をただす税制改革で、8兆~11兆円の財源を確保することができます。
例えば、トヨタ自動車の社長は、年収3億4083万円ですが、所得税と社会保険料の負担率は16%にすぎません。平均年収727万円のトヨタ自動車の従業員は30%です。また大企業の実際の税負担率は、様々な減税措置があるため、住友商事の実質税負担率は11.2%、三菱商事は12.1%、三井物産は12.4%などとなっています。このような不公正をただす必要があると思いませんか。オバマ米大統領も一般教書演説のなかで、「億万長者に少なくとも自分の秘書と同じ程度の税率で納税してもらう。ほとんどの米国人は、それを常識と呼ぶだろう」と述べました。
第三に、課税最低限を引き上げつつ、負担能力に応じた所得税の税制改革で6兆円程度の財源を確保することができます。このような財源対策を総合的に講じれば、消費税を増税しなくても社会保障を充実し、財政再建の見通しを切り開くことは可能であると考えるものであります。

社会保障の全面的な改悪について 知事はどう考えているのか

【かみね】あわせて一体改革で行われようとしている社会保障の全面的な改悪についてお聞きします。まず年金の削減についてです。お年寄りは年金控除の廃止縮小や介護保険・国民健康保険料の相次ぐ値上げで本当に厳しい生活を余儀なくされています。厚生労働省の調査でも、高齢者世帯の平均所得は10年前より32万円も減っています。それに追い打ちをかけるのが今回の年金削減です。年金を夫婦で月20万円もらっている高齢者世帯の場合、今年、過去も含めた物価下落分1.2%の削減で月2400円も年金が削られます。来年再来年と月1550円削減、3年後は月1750円削減されます。あまりに冷酷な仕打ちではありませんか。さらに年金支給年齢を68歳から70歳に引き上げることは到底認められません。知事、国に年金の削減をやめること、支給開始年齢引き上げの検討をやめるよう強く求めるべきだと思いますが、いかがですか、お答えください。
 今回の社会保障改革は全面的です。医療では、70歳から74歳の窓口負担増や外来受診の定額負担を検討する。長期入院患者の診療報酬を引き下げる。公費の削減を行う国民健康保険の都道府県単位の広域化をはかる。介護では、要支援から要介護1の軽度の人を保険から外す。介護労働者の賃金引き上げ目的の交付金を廃止する。要介護認定者を3%削減する。保育では、国や自治体の保育実施義務をなくす直接契約制を導入し、市場化・営利化を進める。生活保護では、保護水準の引き下げ、医療扶助の自己負担導入、保護期間の有期化を進めるなどです。
つまり社会保障全分野にわたり、給付削減と保険料・窓口負担の引き上げをおこない、国の負担を削減しようとするものです。さらに消費税の社会保障目的税化によって、社会保障の費用を消費税の増税でまかなう仕組みを作ろうとするものであります。こんなことが行われたら、安心な府民生活はとうてい望めません。
こうした社会保障の全面的な切り捨ての背景にあるのが、自助・共助・公助という考え方です。自分の面倒は自分でみろ、それができなければ保険でやれ、それでもできないごく限られたものだけ社会保障として面倒をみるということです。社会保障を19世紀の貧困対策に逆戻りさせる考え方です。そして、すべての国民は、健康で最低限度の生活を営む権利を有するとし、国に社会保障増進の義務を課した憲法25条の規定を否定するものであります。
もう一つの背景は、日本経団連など財界が一貫して社会保障に対する企業負担の軽減と公費支出の削減を求めており、社会保障経費に対する大企業の責任を逃れようとするものであります。このような社会保障の全面切り捨ては断じて認めることはできません。
知事は、今回の社会保障の全面的切り下げ計画についてどのように考えているのか、府民の前に明らかにすべきであります、いかがですか。

環太平洋連携協定(TPP)問題が重大な局面に

【かみね】もう一点国政上の大問題は、環太平洋連携協定(TPP)問題です。米下院歳入委員会貿易小委員会は昨年12月14日、TPPをめぐり公聴会を開きました。この中で「どんな産品や分野も除外しない包括的な協定を。米国の輸出業者が海外で新たな市場を獲得できる貿易障壁撤廃を」など業界や与野党議員から日本の"市場開放"を強く求める意見が相次ぎました。
2月7日、日本政府の代表団は、TPP交渉参加にむけてアメリカと初めての事前協議を行い、米を含む全品目を自由化交渉の対象とする考えを表明しました。いよいよ重大な局面を迎えています。
TPPは各国の平等を基礎にした地域協力とは逆に、米国を"盟主"とした経済圏づくりです。経済主権を失い、多国籍企業に奉仕する経済をつくることは、日本経済のゆがみを強め、格差をひどくするものといわなければなりません。
TPP参加によって、京都の農業や経済にも重大な影響が生まれることが明らかです。西陣織の命ともいうべき原産国表示が貿易障壁となる可能性があり、関税が撤廃されれば、西陣・友禅など和装産業に一層の打撃となります。地域貢献を基準として本府の仕事の発注を地元中小企業におこなう努力も貿易障壁とみなされれば、本府の中小企業対策に全面的な支障が出てくることになります。
こうした中で、すでに京都農業会議は、「『例外なき関税撤廃』の原則を持つTPPは、京都府農業と農村に壊滅的な打撃を及ぼすものと危惧し、交渉参加に反対」との談話を発表し反対署名運動にとりくんでおられます。京都を代表する中小企業団体のトップの方からも「果たしてTPPへの参加が正しい道なのか大いに疑問であり、むしろ国益を損なうことを危惧している。TPPは、すべての商品について例外なしに関税その他の貿易障壁を撤廃することを目指しており、まず自由化ありきという姿が伺われ、極端な市場原理主義とも重なって見える」と危惧を表明しておられます。
知事は、京都の経済界からTPPに賛成の声があることも理由に挙げながら明確な態度を表明することを避けてこられましたが、この中小企業団体トップの方のご意見をどのように受け止めますか、お伺いいたします。私は、この際、府民生活と京都経済に重大な影響をもたらすTPP参加に反対の態度を表明されるよう強く求めるものであります。まずここまでについて答弁を求めます。
【知事】消費税の引き上げ、社会保障、TPPのつながりでありますけれども、今回の社会保障と税の一体改革案というのは、消費税の大枠の枠内に社会保障の費用を押し込むというものではありません。これは地方の単独事業、私どもの単独事業も考慮されて、そうしたものの占める割合で地方分が決まって行ったということからも明らかであると思っております。
 そもそも、国と地方を通じて社会保障に関する費用は消費税収では全くまかなえておりませんので、これから少子高齢化の更なる進展を考えあわせれば社会保障の安定化の充実のための財源確保を高齢化時代においてどういう形でまかなうかということは、本当に大きな課題であるということは、みんな共通の認識だと思っています。
 しかし、そのためには社会保障の全体像をまず国民に示すことが不可欠である。私は、このことを国と地方の協議の場で主張してまいりまして、社会保障の現場の立場からしっかりとしたビジョンを示すべきではないかということをいっております。まだまだ十分ではないと思うが、最初の頃の案に比べたらそれは一定もりこまれているかなというふうに感じております。
 今後はこの点をふまえ、国はもとより地方においても地域の実情をふまえた社会保障の姿というものを具体的に示していくということが大切だというふうにこの前からも主張しているところです。
 同時に消費税率の引き上げについては、経済や国民生活にも影響を与えますので、実施する時期については、これは東日本大震災の影響や厳しい地域経済の状況等を十分考慮して判断すべきではないですかと。また、消費税については逆進性の問題が指摘されておりますので、低所得者に対する対策を十分にとる必要があると。そして更にその上において、国におきましては、地方の行革の取り組みをふまえ、地方分権改革を断行して徹底した行財政改革を行うことがなければ、これは国民の理解は得られませんよということを強く求めたところです。
 また、年金制度についても一義的には国の責務として設計運営すべきものでありますけれども、将来にわたって持続可能で安定的に運営される制度となるよう地方からも引き続き提案を行っていきたいと思っております。
 いずれにしろこれから10年、20年経ちますと、超がつく高齢化社会になってまいります。消費税に賛成か反対かというような単純な議論というのは、私はちょっとおかしいと思っております。これは、なぜならば冷たいとか温かいとかいう話ではなくて、受益と負担の問題をきちっと議論していかなければならない。消費税が20数%のデンマークというのは、世界の中で国民の満足度が一番高い国だという。どういう受益を与え、どういう負担を課すということの議論なくしてやっているという話というのは、私はそれは実際的な議論ではないと考えております。
 次に、TPPについてですが、TPP協定はこれはわが国の産業経済、国民生活全般に影響を及ぼすものでありますから、それについて農業関係者からは、TPP参加によって農業の自由化がすすむと、これは農業・農家への大きな影響を危惧する声が、また、経済関係者から資源に乏しい日本にとって世界に市場を開放することには意義があるとの声が、また、中小企業においては、この競争の激化の中で中小企業としての維持基盤についての問題がある。それぞれの立場について、それぞれの多様な意見があるのは、それは当然であります。
 こうした意見をまとめて、どういう形で一つの条約ということに持っていくのか。我々は鎖国をしているわけではありませんから、外交との関係で、こういう一つひとつの問題をつめて、そして相手との条件の数だけやっていく。
 前に、共産党の府議団のみなさんは、それは中国や韓国が入っていないのでTPPはおかしいじゃないかという主張をされましたけれども、TPPの参加にむけた協議の段に入った瞬間に中国がFTA交渉について前向きになっている。外交といえばこういうものだと私は思っておりまして、様々な条件をミックスしながら一番いい道をやっていかなければならない。
 ただ、問題としては、この段階において国民への十分な情報提供と国民的な議論がなされていくことで、最終的な判断に結びつくということが過程として、私は必要だと思っています。
 そして、その中において、例えばこういうことをやるのであれば農林水産業の再生強化に向けた対策については、こういう形でいってはどうなんだろうかという総合的な検討を経たうえでやるべきだということを全国知事会でも主張させていただいているところです。
 その中で、必ずしもまだ対策が十分に示されないまま、政府が交渉参加に向けた関係各協議に入ったことは問題があるという声明を私どもも、私の名前で知事会で出させていただいた。
 しかし、まだ参加に向けた協議の段階でありますので、今後とも国に対してコメをはじめ、農産物や自動車、保険等の調整に係る十分な情報開示と具体的な対応策を示すとともに、国民・各界・各層の意見にしっかりと耳を傾け、わが国の大きな国際戦略にむけた議論を行っていくよう引き続き強く求めてまいりたいと考えております。
【かみね・再質問】財源確保は当然でありまして、その点で消費税の引き上げによってではなくて、私どもが提案した方策も検討をしていただく必要があるのではないかと思っております。
今、日本では2%の富裕層が254兆円の金融資産をもち、日本の富が集中しています。そして資本金10億円以上の大企業の内部留保は、世界の危機が進むという中でも増え続けており、2010年には266兆円もある。そういう意味は、税金の無駄遣いをただすとともに、負担能力のある富裕層や大企業への減税のバラマキ案というのは少なくとも改める。こういう改革を検討していただきたいし、知事もぜひ勉強していただきたいと要望しておきます。
 それから、社会保障の全体像を示されなければならないというが、今、民主党野田内閣が示している全体像というものは、全て社会保障切捨てにつながる内容になっておりまして、これに対してどういう意見を発信するかということが問われているわけで、それに対しては問題点を指摘されないというのは、私は府民の立場からみていかがなものかというふうに思います。
 税率引き上げについては、実施時期など注文をつけたというが、消費税率の引き上げで13兆円も負担になるわけです。京都経済や府民生活にどういう影響がもたらされるのか、そのことについて十分に検討したような答弁ではなかった。本当に情報提供が必要で、検討が行われて行く必要があるということであれば、知事として京都の府民生活、京都経済にこれだけの影響が出るから、私だったらこう考えざるをえないと言わないと、これは府民に責任をもつ知事としては具合が悪いのではないかと思います。
 そういう意味では、私は「しんぶん赤旗」が消費税10%への増税で都道府県別にどれだけの増税額になるか試算していますが、京都府全体では2640億円も増税になります。これが行われたらどうなるか本府として、この影響について真剣に検討していただきたいと思うのですが、この点、再度質問をしたいと思います。
 TPP参加についても、これだけの自由化をすすめるということになれば、京都経済、府民生活に多大な影響が出てくる。情報提供というのであれば、京都の農業と京都の産業、府民生活にどういう影響が出されるか、まだ一向に明らかにしようとされていません。ここはしっかり情報提供として調査してその結果を府民に示すべきではありませんか。この点、再度お聞きしたいと思います。
【知事・再答弁】再質問についてですが、だからおかしいと言っているんですよ。14兆円の負担だけの話をしていて、14兆円が今度は受益としてきた時の経済効果を述べないというのは、全く変な経済議論なんですよ。そのために受益と負担の議論をきちっとやるべきだと言っているんで、こういうような片面的な議論というのは経済学上ありえませんよ。
 それから、交渉の過程を調査しろと言われてもねえ。これは、まさに国の話しなんで、共産党として、政党として国会にも議席を持たれているんだから調査される。我々はあくまで、きちっとそうした経緯を国に対して十分に情報開示を求めていくというのが、私どもの姿であると考えています。
【かみね・指摘要望】消費税増税、社会保障の切捨て、これは府民は、あるいは中小企業は全面的に悪影響を受けるのですね。そういう意味では、京都でどういう影響を受けるかということについて真剣に検討が必要だということを強く指摘をしておきたいと思う。
 こういう府民生活も京都経済も破壊するようなやり方に対して、やはり意見を言うのが京都府知事の本来とるべき姿勢だと思いますので、その点を強く指摘をしておきたいと思います。
 それでは次の質問に移ります。

京都経済の危機的状況をどう打開するのか

依然深刻な雇用問題 正規雇用の拡大を

【かみね】第2に、京都経済の危機的状況をどう打開するのかという問題です。一つは依然深刻な雇用問題です。京都府では、4割が非正規雇用で、全国ワースト2位です。大学を出ても就職できない、正社員になれないという深刻な状況が恒常化しています。このなかで、ワーキングプアが増え、貧困と格差が拡大し、将来のある青年が使い捨てにされ苦しんでいます。財界の要求に応えて自公政権が労働者派遣法を改悪して製造分野まで派遣労働を認めるなど政策的に不安定雇用を増やし、民主党政権が労働者派遣法の抜本改正を骨抜きにして不安定雇用を温存しているからであります。
 したがって、京都経済を打開する一つの柱は、低賃金で不安定な非正規の働き方を減らし、正規雇用を拡大することであります。そのために根本的な対策として大事なのは、やはり労働者派遣法の抜本改正をおこなって、派遣労働を原則禁止することであります。国に対し改めて強く求めるべきだと思いますが、いかがですか。
同時に、本府自身の正規労働拡大の取り組みは、不十分といわなければなりません。そもそも京都府の雇用創出・就業支援計画に正規雇用をどれだけ増やすのかの目標と計画がありません。目標は常用雇用、つまり1年以上働く見込みのある労働者で雇用保険に加入している人であればパートでも派遣でも非正規でも構わないという計画になっています。委員会審議の中でたびたびこの問題を取り上げて質問していますが、目標と計画を持つことをかたくなに拒んでいます。これでは正規雇用が増えず、非正規がどんどん増えていくのは当然です。なぜ正規雇用の目標と計画を持たないのか、その理由をはっきり答えてください。

企業立地条例の改正 企業立地にあたって正規雇用拡大の明記を

【かみね】今議会に雇用創出のための企業立地条例の改正案が提案されていますが、企業立地にあたって正規雇用を拡大する姿勢をいっそう明確にすべきであります。地元雇用創出に対して正規雇用、障害者雇用とともに非正規雇用にも補助金が出るしくみが継続されていますが、これでは企業立地に際して正規雇用を拡大する保障とはなりません。事実、ここ数年間に企業立地によって雇用が増えましたが、本府は正規雇用が何人増えたのかもつかんでいません。企業立地に対し補助金を出すのは、雇用創出のためであり、その雇用を正規雇用に高めていくようさらに誘導すべきであります。非正規雇用に補助金を出す制度はやめるよう求めますが、いかがですか。
企業立地による雇用という点で触れないわけにいかないのが、この間ジヤトコやトステム、日本写真印刷という大企業が雇用を守る社会的責任を踏みにじって労働者の解雇をすすめてきたという問題があります。正規雇用を拡大していく上でも、雇用創出の企業立地補助金の目的を達成するためにも、企業立地条例は雇用を守るためにいっそう発展させられるべきであります。具体的には、この間提起しているように条例に企業の雇用と地域経済を守る社会的責任を明記し強くその実行を求めること、仮に経済悪化などによりリストラせざるを得ない場合でも事前に京都府に報告し協議することを義務付けること、社会的責任を無視した労働者の削減が行われた場合には補助金の返還を求める規定を明確にすることが必要と考えます。いかがですか、お答えください。

今こそ中小企業基本条例を制定することが必要

【かみね】京都経済の危機を打開するもう一つの柱は、京都のすべての中小企業を支援し、底上げしていくことであります。しかし京都府の2009年度の税務統計を見ますと、法人企業49669事業所のうち、赤字決算を行った欠損法人は37163事業所。なんと74.8%にものぼります。京都府内の事業所は12万8660ありますが、5年前と比べて9.5%、13457も減っています。京都の中小企業の危機は深まっているのであります。 
その原因の一つは、本府の中小企業対策の基本である中小企業応援条例がすべての中小企業を育成支援するものになっていないことです。この条例で実際応援している中小企業は「新規性、成長性、経済波及効果等が認められる」と認定されたごく一部の企業です。中小企業研究開発等応援事業費補助金がそれで、対象となったのは40件にすぎません。今議会にその条例一部改正案が提案されていますが、一部の企業の成長を後押しするものに限られています。
また今回府内の1万社を対象に中小企業応援隊が訪問し、相談や支援を行う予算1億1千万円が提案されていますが、府内には12万8千事業所があるのです。その7割が赤字で苦しんでいるのであり、本府自らが市町村と連携して、すべての中小企業を対象に訪問や相談、支援をおこなう姿勢と取り組みが必要なのではありませんか。いかがですか。
私は、中小企業応援条例の改正を行うというのであれば、これまでの条例の成果や問題点、課題などについて全面的な検証と総括が必要であると考えます。いかがですか、お答えください。
 京都の中小企業は、京都経済を牽引する力であり、正規雇用を拡大する担い手となっています。京都府から企業立地補助金を受けるある中小企業は、地元高校工業科から高校生を毎年正社員として採用し、何年もかけて一人前に育てています。また宇治市内のある製造業の中小企業も、すべて正社員を採用して企業活動を発展させています。ジヤトコなど大企業の多くが非正規労働者を雇用し、景気が悪くなったら平気で首を切るやり方で地域経済に打撃を与えていることと大違いです。
すべての中小企業の底上げを図っていくためには、現在の中小企業応援条例では役割を果たせません。すべての中小企業を励まし、支え、中小企業を第一に考えた総合的な政策を実行することにより、京都経済の活性化と地域の持続的な発展をはかり、安定的で豊かな府民生活の実現するために、今こそ中小企業基本条例を制定することが必要であります。
この条例で本府は、中小企業の振興に関する施策を総合的に策定し、実施する責務をもち、中小企業者や経済団体、市町村、大学等と連携を図るよう努めなければなりません。そして中小企業者と団体の役割、大企業者の役割などを定め、経営基盤の強化や創造等への意欲的な取り組みの促進、共生社会の実現、受注機会の優先的確保、地域経済振興会議の設置などの事業をすすめなければなりません。このような中小企業基本条例の制定について改めて知事の考え方をお聞かせください。

公契約条例の制定で京都経済の底上げ、働く府民の所得の引き上げを

【かみね】京都の経済を底上げし、働く府民の所得を引き上げていくという点で公契約条例の制定がいよいよ求められます。本府では、これまで府立学校の地デジテレビを埼玉県に本社を持つ大手電機店に一括発注するとか、知恩院の修復工事を大手ゼネコンに全額発注するなどの問題が起き、京都の中小企業団体から改善を求める声が寄せられてきました。また、京都府の公共工事を赤字覚悟で請け負わなければならない事態が日常化しています。こうした中で、公契約条例で京都府の公共事業や物品の調達、仕事の発注を原則京都府内の地元中小企業に行い、一定の利益を保障する最低制限価格の引き上げを実施することは、事態を打開する大きな力となります。
さらに非正規ワースト2位でワーキングプアが増大する中で、京都府の仕事に携わるすべての民間労働者の賃金を時給1000円以上に引き上げる公契約条例を実施することは、京都全体の労働者の賃金を引き上げる波及効果をもたらします。先の市長選挙で門川市長も公契約基本条例の制定を公約に掲げました。新しい状況を迎えています。
知事は、賃金や労働条件の問題は公契約も私契約も統一的な見地でやっていく必要があるとしていますが、国がワーキングプア増大を放置している中で本府が全国に先駆けて公契約条例を制定して賃金の底上げをはかり、国に公契約法の制定と最低賃金の大幅引き上げを迫るべきではありませんか。いかがですか、お答えください。
【知事】雇用の問題についてでありますけれども、最近の経済社会の環境の大きな変化のなかで、非正規労働者の割合は確かに全国平均より高くなっております。京都の場合どうしても15万人の大学生がおります。若年を中心に非正規が多いというのは、大学生のアルバイトも全部非正規に数えられてしまうので仕方ない面もあるのですけれど、その中にあって派遣労働などの非正規雇用が賃金格差や不安定就労、キャリ形成など多くの問題を抱えているだけに、私も安定的な雇用の実現が必要であるということで、改正労働者派遣法の早期成立など、派遣労働者法の強化についてはこれまでから国に強く訴えてまいりました。現在国会において改正法案が継続審議となっておりますけれど、引き続き労働者のみなさんが安心して働ける労働環境の確保にむけた取り組みを国に求めていきたいと考えております。京都としてはジョブパークにおける総合的な就労支援など、これまでから全国トップレベルの安定雇用の確保に向けた取り組みを進めておりまして、雇用創出就業支援につきましても、安定雇用の拡大に向けて福祉人材の確保や戦略的な企業誘致、そして中小企業の振興などに取り組むなかで、正規雇用を中心として常用雇用4万人という目標をかかげている。このあたりは、やはり常用雇用というところから、まず始めていかなければなかなか進まない面があります。これで実際年間1万人を超える成果を生み出しておりますし、たとえば有効求人倍率をみましても、有効求人倍率自身は、かツては全国平均を大きく下回っていたんですけれど、みなさんのご協力も得て、平均をこえるところまできている。ただ、正社員の有効求人倍率につきましては、これは平成20年の8月に全国平均を超え、今では全国平均を大きく上回るところまでいっております。そうした点では、私どもの雇用創出計画、就労支援政策の成果がでていると私は考えている。もっと高くしていかなければならない部分もありますので、それは引き続き一生懸命取り組んでいくということであります。
次に企業誘致でありますけれど、地域経済の活性化を図るとともに府内雇用をふやしていくことの重要性、二つ目的であるわけですから、そうした点のバランスをとっていかなければならない。その中で、雇用の全体量を増やすとともに正規雇用、そして障害者雇用のいっそうの拡大を目指して平成19年度に補助金制度を拡充し、今後とも正規雇用の増加にむけて取り組んでいきたい。なお、円高が進行し国内の操業環境が非常に厳しいなかでありますので、全体的な対策を講じないとなかなか難しいと思います。その面で、円高対策というのは非常に大きな、私は立ち位置を占めてくる、企業の就業環境がよくならないとですね、いくら北風みたいなムチみたいことをやったって、それはみんな出て行くだけですよ、そうしたことを考えて行かないと、やはり資本主義の社会において難しい点があるということだと思います。それについて、私どもについてもこれからも立地企業に対して雇用確保を初め、社会的に責任を重視していくことを要請はしていきますし、速やかに情報収集をおこなって、できる限り的確に雇用対策を打てるように努力をして行きたいと思います。また、補助金の返還につきましては補助金の交付要綱にのっとって必要な対応をおこなっていきたいと思います。
 次に中小企業の支援についてでありますけれど、あまり、あのぅ何か、「総合的だ」「総合的だ」といろいろやっているようでも、とにかく現実に手を打っていかなければいけない、というのが我々というのが立場です。机上の空論みたいなことを言っていても仕方ないわけで、一つひとつの対策というものをどうやっておこなっていくか、どういう改善を求めるのかということが一番大切なんで、中小企業を訪問しても手がなければ何もないわけですね。どういう手を打つかってことが一番大切なことで、この中で私どもができる限りのことをやっていこうということで、年間1万社の訪問コンサルティングというものを実施しているわけです。すでに本年度は目標を超える1万6千社におよぶ中小企業を訪問しまして、基盤強化や各種基盤設備投資の補助金つけるなど、中小企業の経営改善にいま具体的かつ積極的に取り組んでいるところであります。来年度も基盤強化の助成は1000社に拡大をしていくということで、府内すべての中小企業を対象にいっそう経営安定の改善目指して積極的な応援に取り組んでまいりたいと考えています。現行の中小企業応援条例につきましては、その趣旨に基づき、平成19年の制定後これまで5年間で、中小企業サポートチームが21万回以上の訪問・相談などきめ細かな対策を講じる。また、府市協調で全国にも誇れる数字ですけれど8万2000件の総額1兆5000億円の制度融資を実行して、中小企業の経営安定に貢献をしてまいりました。さらに、イノベーション推進共同できめ細かな形で大きな成果を上げてきている、ただ時代の流れ、リーマンショックから東日本大震災、円高と厳しいなかで、私どもいっしょうけんめい頑張っているところで理解いただきたい。こうした中で更に一歩進めたいとうことで今回も改正案を提示させていただいているところです。これにつきましては、今言ったような中小企業が厳しい環境にある、それを具体的にかつ詳細に克服していかなければならないという立場から、中小企業の振興のための基本方針も定めていって、すべての中小企業対象とした形の条例のなかで、さらに各団体とは緊密な連携を計りながら個々の中小企業に対して強みを生かして、京都ならではの強みを生かしていくようなもの、経営の承継はどうしたらいいのか、さらには共同研究開発はどうしたらいいのか、知恵の経営というのをどうやって支援していくのか、そういったことについて具体的に規定することによって、すべての中小企業を励ましそして総合的に支援をすることを目指している、こういう条例改正であることをご理解いただきたいと思います。
 次に公契約条例についてでありますけれど、これまでも申しあげていますが、賃金や労働条件について、基本的には公契約のみならず私契約も含めて統一した見地からナショナルミニマムを作っていくのが私は基本ではないでしょうか。
公的な事業だけ賃金が高いというのは違和感があります。京都府としては公契約の発注者という立場においてすべての工事請負計画に、労働関係法令の遵守事項を盛り込むなど、契約関係を通じて下請けへのしわ寄せ防止や労働環境の確保を計っております。そしてその上で昨日の田中英夫議員にお答えしたように公契約のあり方につきましては、守るべき基本理念とともに、これは社会情勢に即応した具体的な取り組みを詳細に示していくことが、今私たちは発注者という立場ですから、発注者として私たちと契約を作ることができるわけですから、そういう立場から府民のみなさんに示したほうがわかりやすのかなっていう思いで、公契約大綱という形で取りまとめたいと思っております。大綱のなかには、下請けのしわ寄せ防止や適正な賃金水準が確保されるための具体的な取り組みとして、府内企業の発注の原則化というのを書く上でどうして守れるのかということで、たとえば府外に発注する場合には委員会にかけて具体的に検討していきましょう。最低制限価格制度の適用範囲の拡大をどうやるのかということとか、相談窓口の開設はこういうふうにやっていきましょう、というような具体的な対策を盛り込み、契約当事者の主体性を発揮して関係法令の遵守などの徹底あわせて取り組んでいきたいというふうに考えております。国に対しましてはこれからも労働者が安心して働ける労働環境を確保できるように最低賃金の引き上げやそれに伴う支援の強化、労働関係法令の周知啓発の強化など労働者の法制の充実について要望を行っているところであります。
【かみね・再質問】京都は大学生が多いから非正規雇用がおおいのは仕方がないと、そういう側面があるのはそのとおりなんですけれども、だからこそ非正規雇用がワースト2であっていいわけではないので、思い切った取り組みが必要なわけなんです。私はなぜ正規雇用の目標を計画を持たないのかという理由を聞かせてほしいと言ったのですが、どうもその理由を明確にお示しいただけなかった。努力はされてきてはいると思うのですが、正規雇用拡大目標を持たないということは、私は姿勢の弱さの表れでないかというふうに言わざるをえません。
今回企業立地条例の改正で府内の常用雇用者に改めるとありました。しかし、これでは正規雇用が増える保障にならないのですね。非正規ワースト2という汚名を変えていく、正していく、そういう決意がいるのではないか。そういう意味では正規雇用拡大の目標を持つという決断をすべきじゃないかと思うがもう一度お答えください。
中小企業の問題では空論を言っていてもだめじゃないか現実に手を打っていかないと、ということですが、私たちも具体的な要求を地元の業者のみなさんの声をもとにたびたび申し上げてきました。住宅リフォーム助成、機械のリース代は産業21だけが貸し出すものだけではなくてすべて対象にしていくべきではないかなど提案しているのですが、これについてはお答えにならない、ということでは現実的な提案を無視なさっているというふうに言わざるをえません。
中小企業の問題が大事なのは今、12万8000社の7割の企業が苦しんでいるわけです。そこに足を運んで話しも聞き支援策をどうするか、京都府職員も市町村の職員のみなさんもいっしょになって、いろんな中小企業団体とも協力しながらそこに足を運んで支援策を考えていく、こういう思い切った対策がいるんじゃないかということを今回提案したのであって、そういうダイナミックな取り組みをすることはどうなのか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
 公契約条例の問題ですけれど、ナショナルミニマムで国が考えることと確かにそういう面があるんですが、国がまったくやろうとしていません。ワーキングプアをまったく正そうとしていないなかで全国の地方自治体が頑張っているんですよ。千葉県野田市とか川崎市とか東京などで始まっています。現に野田市では1000円近い賃金の引き上げを中小企業団体も経済団体もやろうとなって引き上げができているんですね。それで波及効果がもたらされています。地方から変えていかないといけないと思いますので、そういう意味では公契約条例については条例として定めていかなければそういうところに踏み込めませんので、ぜひ検討していただきたい。要望をしておきます。
以上2点について再質問します。
【知事】雇用についてでありますけれども、正規と非正規があってその中でやっぱり、非常に不安定な就労形態というものを排除していかなければいけない、目標をたてていることはご理解いただきたいと思います。
そうした点で、ワースト二位については要因を分析しなければならない。その点では私が分析しましたところ20以降から25歳までこれは高い、京都府には大学生が15万人もいますのでその分野が大きく影響しているのは事実でありまして、その分野を取り除いて考えると全国平均をそう下回っているわけではありません。大学生は正規雇用とはいきませんから。
あと、気になっておりましたのは30代の女性の非正規雇用率が高いのですよ。この面についてはワークライフバランスとか、いま一生懸命進めておりますのはそういう立場からであります。ですからひとつひとつ要因分析をしてどういった手をうつのかというのは確実におこなっていくことは一番大切だと申し上げていて、正規とは何だと言っても片方では企業のほうで誘致を求めているところがありまして、常用雇用を確実にやっていくそれをまもっていくそういう体制をしっかり作っていくなかで全体のバランスをとりたいと思っております。12万8000社全部回れと、3万社でも大変と思うのですよね。現にそれを上回る1万6000社で4万8000社ベースで3年間で回ろうとしているわけですからね、全部回ればいいというわけではないので、耐久レースやっているわけではないので。それにふさわしい形で現場のことも踏まえた形でやっていく。たくさんまわればダイナミックというわけではないと思います。総合的な支援の体系をつくりながらしっかりと手当をしていき、そして企業の間で話しあいをしていくそういうプロセスをつくっていくことがダイナミック中小企業振興策になるんじゃないかと思います。
【かみね・指摘】京都でなぜ非正規が多いかとしっかり分析をしていただいて、正規雇用を増やす、この目標をしっかり持って取り組むことが基本になりますから、そこは正すようにしていただきたい。12万8000社、1年間で回れとはいいませんが、2年くらいで頑張って回るというような決意をぜひ持っていただきたい。そのことを求めて次の質問に入ります。

福島県に学び 知事は脱原発を決断せよ

【かみね】第3に京都府政に問われている大問題は、福井の14基の原発がこの2月にすべて停止するという新たな局面を迎えて、脱原発を決断するのかどうかということであります。
私はさる1月30日、福島市を訪問し、県庁から復興計画の説明を受けるとともに、日本共産党県会議員団と市民団体からお話を伺いました。大変驚いたことに、原発から60キロも離れた福島県庁の外で放射線を測ったところ毎時1.02マイクロシーベルトという高い線量を計測しました。これは年間に換算すると8.94ミリシーベルトです。一般の人が1年間にさらされてよい人工放射線の限度が年間1ミリシーベルトですから、その9倍もの高さです。国と県が除染のために福島市内で計測した資料でも、毎時2マイクロシーベルトをこえる地点がいたるところにあります。
こうしたもとで深刻な話をお聞きしました。今も子どもを外で遊ばせられないため、筋肉がつかず低体重の子が増えている、小学校2年生の女の子がお母さんに「私たちは長く生きられるの?」と話し、高校生が「他府県の人と結婚できないのでは」「子どもを産めないのでは」と深く心が傷ついていること、福島を離れる家庭が今も増え続いており、基準を満たした米が5分の1の価格でしか売れないなど産業再生の見通しも持てない状況です。私は、原発が事故を起こしたら本当に取り返しがつかないことを実感しました。
こうしたもと、福島県は、「復興計画」で「原発に依存しない安全安心で持続的に発展可能な社会づくり」を基本理念の第一に掲げ、「国及び原子力発電事業者に対し、県内の原子力発電についてはすべて廃炉とする」ことを求めました。私は県庁の担当課長に事故を起こした原発だけでなく、なぜすべての原発の廃炉を決断したのかと質問しました。課長は、「これまで福島は原発に多大な恩恵を受けてきたが、今回の事故でこれまでの恩恵の何倍もの被害を受け、これから何年もの間被害に苦しまなければならない。これから立ち直ろうとするときにもう二度と原発事故はあってはならない。この強い思いですべての原発の廃炉を12月に知事が決断した」と説明してくれました。
福島県は、野田内閣が福島原発の「収束宣言」を出したことに対して、「県民が故郷に帰って生活できるようになって初めて収束したと言える」と厳しく批判し、10基の原発すべての廃炉を野田内閣に強く要求しました。こうした福島県の決断について、知事はどのように受け止めておられますか、お答えください。
私は福島県に学び、京都府としても、今こそ脱原発を決断すべき時に来ていると考えます。福島原発事故による放射能被害の重大さが明らかになったもとで、福井で原発事故が万が一にも起きた場合は、府内の30キロ圏内はもちろん、60キロ離れたこの府庁と府議会も、そして80キロ圏内の京都府内すべての日常の安心安全な生活や経済活動が奪われ、子どもと府民の健康に深刻な被害がもたらされるからであります。だからこそどの世論調査でも原発をなくすことに賛成の声が圧倒的になっています。京都市長選挙でも脱原発の願いが大きく示されました。
しかし、本府の来年度予算案に京都エコ・エネルギー戦略推進会議開催の予算が提案されていますが、その検討項目に「京都府内におけるエネルギーのベストミックス実現のシナリオについて」をあげています。これまでから知事は縮原発、原発依存を減らすという立場を明らかにしてきましたが、再稼働を前提に原発を今後のエネルギー組み合わせの要素と位置付けているのではないかといわざるをえません。
知事、このような認識は改めるべきではありませんか。福井でも福島原発のような大事故が起きる可能性がある限り、今こそ原発からの撤退を決断すべきであり、そうしてこそ、今後のエネルギーを自然エネルギー中心に変えていくことができるのではないかと考えますが、いかがですか、お答えください。

原発の再稼働は認められない 態度を明確にせよ

【かみね】経済産業省原子力安全・保安院は2月8日、大飯原発3、4号機のストレステスト1次評価の結果について、「妥当」とする審査書の最終案を専門家の意見聴取会に報告しました。最終案では「福島第一原発事故と同様の過酷事故は起きない」としています。とんでもない話ではないでしょうか。福島原発の事故原因はいまだに解明されていません。大飯原発については、国から5キロ以上離れた活断層の連動性の再検証を求められているにもかかわらず、この再検証はまったく行われていません。これではストレステストの妥当性を判断することはできません。知事は、福島原発の事故原因の究明などを要望していると繰り返しておられますが、それなら事故原因が分からないままの原発の再稼働は認められないのではありませんか。さらに福井県並みの安全協定を関西電力に求め、本府に再稼働への許可権限を与えよと要求しているのであれば、なおさら再稼働への態度をはっきり国に言わければなりませんが、どうされるのか、明確にお答えください。
 今、放射能から子どもを守りたいという願いが強まっています。学校給食や保育園の給食を子どもたちに安心して食べさせられるように食材の放射能検査を徹底すべきです。乳児用食品は、1キログラム当たり50ベクレルと一般食品の2分の1となりました。この基準を確保するためにも、検査体制の確立が急務です。市町村と協力してゲルマニウム半導体測定器の増設をはじめ給食の放射能検査体制を強化すべきです。いかがですか、お伺いいたします。
【知事】原子力発電所の問題についてですが、福島県ではこの事故により、今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされており、昨年12月には第一次復興計画が策定され、これにむけて今懸命の取り組みが続けられており、京都府としても精いっぱいの支援をしたいと思っています。
その復興計画の中で原子力発電所の立地県として、今議員が述べられたようなことを表明されたことは、私は地震による大きなダメージを受け、多大な犠牲を強いられた人たちの強い思いであると受け止めております。
細野大臣もすでに福島にある原発の再稼働は全くありえないと表明されています。
昨日、荒巻議員の質問にお答えしたとおり、戦略推進会議の脱原発依存の流れの中で、一方で府民生活や産業・雇用をどういう形で守り発展させていかなければならないかということについて、総エネ、省エネ、既存エネルギーの供給力の増強という3つの柱が必要ではないかと申し上げて、その線にむかって、今年の予算も組んでいるわけです。
ベストミックスというのは、私は原子力発電所のことを言ったのではなく、舞鶴の火力発電所の石炭を止めろと言われたので、それは、石炭のベストミックスはいると申したわけで、そのことを述べずに、急に石炭の話をせずに原子力の話に振り替えられたら、ちょっとこれは意図的ではないかなぁー、と思います。
私どもは、舞鶴火力発電所は必要と思っていますし、宮津の火力発電所も再開に向けた動きをしていかなければいかけない、そういうミックスをしていかなければいけないということについて、反対なら反対とおっしゃるならわかるが、意見をすりちがえて勝手に解釈をされるというのは迷惑です。
再生可能エネルギーについては、現在そのものの規模や出力の安定性など、課題も大変多いので、これはいますぐメインのエネルギーになりえないということは、みんな承知の事実であります。しかしその普及に向けて着実に歩みを進めていかなければならないとうことも事実です。
今回、グリーンイノベーション事業として、メガソーラーの発電、推進、海藻バイオマスエネルギーなど、京都として何ができるかということを、今しっかりと突き詰めていきたいと思っています。当面は先ほど申しましたように、火力や水力などの既存エネルギーの活用、これも重要であると思っていて、エネルギーなどの発生源立地可能性調査についても今回実施することにしています。
運転再開には地元自治体の了解、地元とは福井県知事になっているが、福井県知事は原発再稼働の条件として、国が福島原発事故の知見を反映して、暫定的な安全基準を示すことが大前提ということですので、地元同意というものを持っている、福井県知事の考えに賛成であるということを、何度も表明して、支援しているところです。
次に学校給食等の放射能検査体制については、学校給食と食材については、これは設置者等が給食を行うものが安全に十分に気を配っているところです。
京都府とてしては府内に流通する食品の検査など、京都府としての役割に応じた体制を充実強化し、府民の食の安心確保に全力を挙げているところです
昨年11月には、本年4月から施工予定の新たな基準を見越しまして、それに対応できる食品検査専用のゲルマニューム半導体検出器や簡易検測機を導入するとともに、12月からは粉ミルクなどの乳児用食品をはじめ子供さんが口にする食品を中心に、検査対象品目を拡大し、保健体制も6倍に増加させるなど、今新たな基準値をしっかり守れるように検査を続けていますし、現在のところ基準値に対して大きく下回っているので、心配ありませんが、引き続き一層府民の安心安全確保に努めてまいります。
【かみね・指摘】勝手に解釈されている、というお話があったが、これまでから知事はエネルギーについては原子力、火力、水力、そういうベストミックスで、国が決めたものであるという説明をずっと言ってこられたので、その延長線上で私たちはそういう理解をさせてもらっています。
 福島の事態は明日の京都になる危険がある。その危険性を認識するのなら、福島がすべての原発の廃炉を決めたことを、京都自身の問題として受け止める必要があると思います。知事は、予算説明の中で初めて『原発に依存しない社会環境づくり』とのべました。『原発に依存しない社会環境づくり』というなら、本府が今こそ脱原発を決断し、国に福井の原発の廃炉を迫るべき時ではないかと思います。このことを強く指摘して次の質問に移ります。

子育て支援と教育の充実

子どもの医療費助成制度 小学校卒業まで自己負担なしにすべき

【かみね】第4に、子育て支援と教育の充実についてです。今定例会に子どもの医療費助成制度について、自己負担の上限はそのままで通院に係る対象年齢を小学校卒業まで拡大するための予算が提案されています。これは、子育て家庭や府民の運動に応えようとするものですが、自己負担の上限をそのままにしたことは再検討すべきであります。
 福祉医療検討会でも委員の方のから「通院も小学校卒業まで自己負担200円にすべきではないか」といった意見が出されています。現に子育て家庭からは、月3000円をこえる金額ではほとんど補助対象にならないという声がたくさん寄せられています。この声に応え、子育てしやすい京都府にしていくべきです。
知事は全国トップの制度だと胸を張っているようですが、群馬県では、県内どこに住んでいても子どもの医療が無料で受けられるよう、所得制限なしで入院も通院も対象範囲を中学校卒業まで引き上げています。本府においては、通院も入院も小学校卒業まで自己負担なしとすべきです。いかがですか、お答えください。

私学高校 府外通学者への独自補助を

【かみね】子どもの教育費を軽減することも重要な課題です。私学高校のあんしん就学支援制度について、京都府外に通う2000人以上の生徒が利用できない問題を解決するように、くり返し求めてきました。今回、奈良県と兵庫県に通う生徒については、一定助成を行う予算案が提案されました。しかし、助成額は二つの県の助成額に合わせるため3万円程度にとどまっています。京都市内に通う生徒は65万円まで保障されるのに、他府県に通っているがためにわずかな助成にとどまる。同じ府民としておかしいのではありませんか。再検討が必要だと思いますがいかがですか。
また、大阪との相互支援の協議が年末に断念され、来年度の無償化を見送ることになったことは非常に残念です。こうした中で、本府として来年度から独自にでも府の制度を適用するよう求めるものでありますが、いかがですか。また、くり返し求めている専修学校の高等家庭などについても、授業料無償化の対象とすることが求められていますが、いかがですか、お答えください。 

高校教育 単独選抜の導入は受験競争を激化させる

【かみね】次に、高校教育について質問いたします。第一に、単独選抜制度を導入した山城通学圏で起こっている問題です。毎年発表される学校基本数調査にもとづいて、山城通学圏の府立高校全日制普通科で入学した生徒が3年生まで進級できず、退学や転校、原級留置せざるをえなかった人数の割合を学校別に出してみました。グラフをご覧ください。単独選抜を導入したあくる年の2005年から2008年まで入学した生徒の4年間の平均でみますと、4%までの高校が6校なのに対し、あとの5校はすべて10%以上で17.9%の高校もありました。単独選抜を導入する10年前の4年間の平均は、最高でも10%以下でした。明らかに単独選抜導入によって進級できない生徒が増えています。
なぜこうなるのか。単独選抜制度では、高校入学の合格ラインが上位から下位まで序列化が強まり、成績の良い生徒は自由に選べますが、そうでない生徒は、自宅から遠くなっても合格ラインが下位の高校に入学せざるをえません。そして、成績でふりわけられたことに、挫折感や劣等感を経験し、自分の「行ける高校」に意欲をもって通学できない生徒が集まる状況が生まれています。
 このため、ある高校では、授業に集中できない困難な生徒が多く、授業が成り立たないクラスがあります。日々、生徒指導に追われていますが、広範囲の中学校から生徒が集まってくるため、これまでの経過をとても把握しきれず、どうつきあっていけばいいのか、対応しきれない、こうしたなかで進級できない生徒が増えているとお聞きします。
単独選抜制度の導入によって高校の序列化が強まり、結果として生徒指導の困難な高校がつくられ固定化しているのではないでしょうか。いかがですか、お答えください。
第二に、京都市・乙訓地域の公立高校の教育制度の今後の在り方と改善方策についてです。現在府教育委員会は、懇談会を立ち上げて検討を進めていますが、府議会では与党議員から単独選抜制度の導入を求める意見が出されています。
単独選抜になければ京都市・乙訓地域の高校教育はどうなるのか。ある塾が新聞に折り込み広告をだしていますが、ここで書かれているのは、「京都府公立高校入試の総合選抜方式が、新中学2年生の受験時から廃止される可能性があります。これは大阪府のように公立高校においても私立高校と同様に序列化が進むということです。これにより、今以上に受験競争が激化することは必至です」と書かれています。現場では、すでに単独選抜導入を見越した動きや混乱が起こっています。このチラシのように単独選抜が導入されれば、受験競争が激化せざるをえません。受験競争の低年齢化を加速させ、子どもたちに過度の負担を負わせることは、子どもたちの健全な成長を阻害する恐れがあります。府教育委員会は、このような方向をすすめようとしているのですか、明確にお答えください。
また単独選抜になれば、この地域のすべての高校が序列化され、先ほど指摘したように生徒指導の困難な高校をつくることにつながるのではありませんか、いかがですか、お答えください。
府教育委員会は、生徒の希望に応える高校づくりということを言われますが、いくつかの中学校の進路指導の先生に聞いても、子どもたちの多くは自宅から近い地元の普通科の高校で学び、クラブ活動に取り組みたいと願っています。例年、9月の高校希望調査では地元の高校を記入する子どもが多いですが、最終的には試験の成績で高校を選ばざるを得ないのが実態であります。単独選抜が導入された山城通学圏では、この傾向が顕著となり、宇治市内のある高校では、単独制導入前では地元宇治市の中学校から入学した生徒が97%を占めていましたが、一昨年には62%まで落ち込みました。単独選抜になれば、京都市・乙訓地域全域が通学範囲となって、地元の高校で学びたいという子どもたちの希望がますます切り捨てられることになるのではありませんか。いかがですか、お答えください。

総合選抜制度を残し、通学区域の拡大こそ見直すべき

【かみね】また単独選抜になれば、高校の地域性はどうなるのか。子どもたちは地域で育ってきた人間関係のなかで見守られて成長しています。学校自身も地域の高校であってこそ住民に支えられる高校として発展します。府教育委員会は、高校が地域性を持つ必要性についてどのように考えていますか。単独選抜になれば、高校の地域性はなくなるに等しいのではありませんか、明確にお答えください。
総合選抜制度は、地元の普通科の高校に入学したいという子どもたちの希望を実現し、高校の地域性を守るために重要な役割を果たしてきました。しかし、通学圏が拡大するにつれて、どの高校に入学できるかわかりにくくなっています。従って、総合選抜制度を残し、通学区域の拡大こそ見直すべきであります。いかがですか、お答えください。
【知事】子育て支援医療制度でありますが、保護者の経済的負担の軽減や子どもの健康保持、増進を進めるために、これまでから全国トップクラスの水準を保てるよう、制度の拡充に努めてまいりました。今回、そうした面から進めてまいりましたけれども、これは事業主体である市町村が不可欠でありますので、そうしたことを踏まえて、市町村にも参加していただく中で、有識者会議による検討会の提言も踏まえて、今回、現行制度を拡充し、通院医療の助成対象年齢を小学校卒業まで引き上げることとしたところであり、今議会で予算をお願いしているところです。
 今回の拡充により、本府の子育て支援医療助成は、確かに、群馬はトップだということは私も認めますが、その次くらいに来ているのです。あとは、鳥取がきているのですが、鳥取は入院のほうが、日1200円なのです。うちは、月200円ですから、そうした点ではうちのほうがいい部分があるということでありますので、本当に全国トップクラスであることは間違いないと思います。ただ、これはどこまでやるかというのは、正直いって全体の判断の問題と思いますし、例えば、我々は高校の無償化などは、これも全国トップクラスにしているわけですから、そうした全体のことを考えていただいても、結構、非常によくがんばっている形になっているなというふうに、私は考えております。
それから、私立高等学校のあんしん就学支援制度についてでありますが、本制度は、私学の理解と協力により実施しておりますので、また、他府県の私学に通学する高校生の修学については、諸学校は少子化で、生徒数が減っている中ですので、基本的には府県間の平等というものを維持する立場からの、私は相互支援が基本だと思っております。昨年から、近隣府県との協議を行なった結果、他府県に通う生徒に対して、支援を行なっている兵庫県と奈良県に京都府から通う生徒に関して、両県とのバランスを見る中で、これは兵庫県と奈良県のそれぞれ実施しているのと同様の支援を行なうことにしたものであります。大阪府に対しては、平成24年度からの相互支援の開始に向けて、最後の最後まで、昨年末含めて今年までやっておりましたので、申し入れておりましたが、大阪府から最終的には、平成25年度からの開始で近畿全体で協議したいという話を知事さんからいただいていたところでありますので、残念ではありますけれども、25年度に向けて、引き続き協議を続けることとしたいと考えております。
私立高等学校等、専修学校の話しがありましたが、私立高等学校や公立高等学校が、やはり学校教育法で公の性質をもち、社会に対してまた、国民全体のために行なわれる教育ということで、しっかりと位置付けられているという点を配慮して支援を行なっているところでありまして、私立専修学校の高等課程については、別途3年過程を対象に授業料軽減を実施しております。今後とも、こうした全国トップクラスのあんしん就学支援事業により、私学の生徒の皆さんの就学をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

【教育長】山城通学圏の生徒指導の状況についてでありますが、それぞれの高校の生徒指導件数や、中途退学、原級留置などの現在の状況につきましては、総合選抜を実施していた平成15年度以前と比べますと、むしろ改善しております。先ほどご指摘のあった数値については、各年度で変化の大きいものであり、比較する年度でも変わってきます。例えば、総合選抜を実施しておりました平成10年度では、進級率が一番高い学校と低い学校とでは、25.4%もの差がありましたが、単独選抜後、これを越えるような数字は出ておりません。こうしたことからも、単独選抜の導入によって、生徒指導の困難な高校がつくられ、固定化している状況はないものと考えております。
 次に京都市・乙訓地域における公立高校の教育制度についてでありますが、現在、制度のあり方を検討いただいている懇談会の第3回目が昨日開かれたばかりでありまして、幅広くご協議いただいているところであります。なお、単独選抜という仕組みは、生徒自らが、行きたい学校を選択できる制度として、京都市・乙訓地域以外ですでに広く導入しておりますが、過度な競争にならないよう、受験機会を複数回設けたり、希望校を複数選択できるようにするといったセーフティネットとしての制度を設けるなど、入試制度も工夫しており、必ずしも単独選抜化することで、受験競争の激化につながっているとはとらえておりません。
 次に、生徒の希望に応える選抜制度でありますが、今朝も報道されておりましたように、懇談会で実施された生徒や保護者を対象にしたアンケート調査によりますと、通学距離や時間だけでなく、高校の校風や教育方針、部活動、進路実績、友人関係など、さまざまな要因で高校を選択しているとの結果が出ております。また、志願先の高校を自由に選べることにつきましては、9割近くの方がよいことだと回答しておりますが、住んでいる場所で入学する高校が決定される現在の仕組みについては、8割もの方が否定的な回答をしていることから、これまで実施してまいりました通学区域の拡大や単独選抜制度の導入は、こうした声にしっかりとこたえているものと考えております。 
また、地域性の問題でありますが、高校段階での地域との関わりというのは、日常の教育活動の中で形成されていくものであり、これは私学の場合も同じことだと思います。必ずしもその地域の高校生でなければ、地域との結びつきが失われるというふうには考えておりません。
府教育委員会といたしましては、懇談会でのご協議や府議会でのご議論、ご意見を踏まえまして、生徒にとって何が大切なのかをしっかりと考えながら、今後とも検討を進めてまいります。
【かみね・指摘】子どもの医療費の助成については、よくなったといいますが、子どもをもつ、若いお父さん、お母さんは、喜んでおられないのです。引き上げていただいたことは、結構なのですが、月3000円のこの軽減をなんとかしてほしいというのが非常に強い声でした。その声にこたえることこそ子育て支援の対策を進める上で、大事なことなので、この点については、やはり、しっかりその願いを尊重して考えていただきたいということを求めておきたいと思います。
他府県の私学に通う生徒への助成の問題ですが、府県間の相互支援が基本とおっしゃいましたけれども、そうではなくて、私は、子どもの教育権を保障し、京都府民の平等をしっかり守るというのが基本だというふうに思いますので、やはりこのようなやり方は、改めていただくよう求めておきたいと思います。
それから、山城通学圏の現状については、明らかに格差が起こっていることは、先ほどのグラフでも明確であります。それは、序列化の中で起こっているとしか説明ができませんし、現にそういう声が教育関係者から起こっているということについては、しっかりと受け止めていただきたいと思います。
京都市・乙訓地域の入試制度の改善について、今朝、新聞に載ったアンケート結果が紹介をされましたけれども、私も見ました。よく見ますと、高校を決める上で何を重視しているのかということで書いてありましたけれども、それは、「校風」、第2番目が「通学距離」、3番目が「部活動」なのですね。圧倒的です、これが。あとはだいぶ少ないです。つまり、「校風」はもちろん、希望する上で大事な点ですけれども、校風とともに、通学距離ですよね。(自宅から)できるだけ近いところで、クラブ活動もできて、しっかり学びたい。地元に近い高校を求めているというのが、このアンケート調査の結果なのですよ。そこをちゃんと見ていただいて、やはり、地域性を守りつつやっていくということを考えるのが、このアンケート結果からも言えることだというふうに思いますので、そういう府民、保護者の皆さん、子どもたちの希望にこたえる、そういう教育制度の改善をぜひはかっていただくよう求めまして、私の質問を終わります。
ご静聴誠にありがとうございました。

≪他会派代表質問項目≫
【2月16日】
■山口 勝(公明・京都市伏見区)
1.平成24年度当初予算編成の基本姿勢について
2.雇用対策について
3.高齢者の住宅対策について
4.公会計制度について
5.防災教育の充実について
6.自転車の安全走行の推進について
■田中英夫(自民・亀岡市)
1.平成24年度当初予算案について
2.デフレ・円高対策のための国の財源確保について
3.府内市町村との連携について
4.入札制度改革について
5.教育問題について
■田渕五十生(民主・京都市伏見区)
1.平成24年度当初予算案と今後の府政運営について
2.道州制及び大都市問題について
3.雇用対策について
4.非行少年の立ち直り支援について
5.総合的な支援対策について
■荒巻隆三(自民・京都市東山区)
1.エネルギー問題について
2.商店街振興について
3.堀川団地の再生について
4.地域農業と農山村の振興について
5.世界遺産登録の推進について

【2月17日】
■二之湯真士(自民・京都市右京区)
1.京都における宗教者の役割について
2.森林・林業について
3.京都マラソンについて
4.大都市のあり方について
5.京都市との二重行政解消について
■中小路健吾(民主・長岡京市及び大山崎町)
1.本府の産業政策について
 (1)基本的な考え方について
 (2)総合特区の活用について
 (3)海外人材の活用について
2.特別支援教育の充実について