資料ライブラリー

本会議質問

2012年6月定例会西脇・山内代表質問

2012/06/27 更新
この記事は 51 分で読めます。

●6月定例府議会が6月20日に開会しました。6月25日に西脇いく子議員、山内よし子議員がおこなった代表質問と答弁の大要・他会派議員の代表質問項目をご紹介します。

西脇いく子代表質問 ・・・・・ 1
山内よし子代表質問 ・・・・・ 7
他会派議員の代表質問項目・・・15

6月定例会 代表質問
西脇いく子(日本共産党、京都市下京区)2012年6月25日

消費税増税
民自公の密室協議に怒りを込めて抗議する

【西脇】日本共産党の西脇郁子です。議員団を代表して先の通告に基づき質問を行います。
はじめに消費税増税についてお聞きします。明日、衆議院で、消費税増税法案が採択されようとしています。国民の過半数が反対し、「増税法案を今決めるべきでない」というのが7割以上の状況のもとで、民主、自民、公明3党の修正協議という密室での協議で合意し、すぐに数の力で増税法案を決めようという民意に背くやり方は、極めて重大であり、わが党は心からの怒りを込めて抗議するものです。

なぜ、今、増税するのか

【西脇】景気も暮らしも大変な今、なぜ消費税増税をするのか。この圧倒的な府民のみなさんの声のもと、わが党は再三にわたり山田知事に、この声に耳を傾け、消費税増税に毅然と反対されるよう求めてまいりました。
私は、伏見区内で職人3人を雇い、年間3500万円の売り上げがあるという建築業者さんにお話をうかがいました。「人件費や設備投資など総経費は年間3650万円もかかる。150万円の赤字でそこに消費税は簡易課税ながら年間53万9000円も支払わなければならない。どう捻出するのか。これ以上税率が上がれば廃業もありうる、事業所をつぶして国が成り立っていくのか」と怒りをあらわにされ、私の地元下京区に工場をお持ちの板金工業組合の理事長さんも「請負価格は変わっていないのに業者の収入はどんどん減っていき、消費税増税ではやっていけない」と訴えておられます。知事はこの間、国と交渉して増税した時の地方の配分を1.54%に変えさせたということをしきりに自慢し、増税に賛成する態度をみせてこられました。しかし京都の中小零細業者の経営は、業種を問わず消費税5%の消費税を払うのに四苦八苦しているのに、これ以上税率が上がれば払えないと悲鳴をあげておられます。
知事、こういう業者をはじめ、府民が今回の増税で深刻な影響をうけることについてどうお考えですか。そもそもこれほど厳しい府内の業者のみなさんが、さらに消費税を増税されてまともに払えるとお考えですか。お答えください。

中小企業は転嫁できない

【西脇】消費税は、規模の小さい中小企業にとって、増税分を価格に転嫁できず、中小零細企業の経営がもたなくなるという声が地方公聴会でも出されました。府南部の機械加工業業者のAさんは、大手輸出企業から仕事を受注されていますが、注文の見積書を出すと、「見積額を2割カットした発注書が送られてくる。消費税分を請求なんてとてもできない、これが業界の常識」と言われました。昨年、日本商工会議所など経済関連4団体が、企業に97年の消費税率が3%から5%にあがった際、増税分を価格に転嫁できたかという調査をおこないました。売上高5000万円以下の中小企業の6割以上が「転嫁できなかった」と回答されました。
このように消費税が府民や中小零細業者に大変な負担となる一方、任天堂など府内の輸出大企業は、税金を還付される「輸出戻し税」で大きな利益を上げており、湖東京至関東学院大学教授の試算によれば、府内大手7社だけで、634億円、昨年の還付金は、府内全体の消費税収の21・7%にもなっています。先のAさんの事例のように大企業は、下請をたたく一方、消費税分は還付されているのです。
また、97年の消費税増税で国全体の消費税収は5兆円増えましたが、逆に、国と地方の税収は、14兆円も減ったことからも明らかです。京都府の事業税収入をみると、法人では、97年度985億7300万円から2010年度には433億円に、552億円も減っています。個人では、97年度63億4250万円から、2010年度には34億9000万円という落ち込みで、法人と個人あわせて600億円近くの減収となっています。

前回増税以上に暮らしと営業を破壊

【西脇】その一方、地方消費税収入は60億円増にとどまっています。民間の調査機関は、97年と違い、今回の円高下での増税では中小企業にさらに大きなダメージを与えると予想しています。今の府民の暮らしや税収の実態からみても、消費税は決して安定財源ではなく、暮らしと営業破壊税です。先日14日には、消費税増税に反対する国民の声に押され、国会内で「この次期の消費税増税採決に反対する超党派国民集会」が開かれましたが、主催者の清水全国スーパーマーケット協会会長をはじめ、「現在の日本はとても大増税をやる時期ではない」との批判の声が相次いでいました。また、京都でもわが党の懇談の際に、京都経営者協会の方も「今すぐ増税がよいのか迷う」と言われ、今年創設110年の京都府建築工業協同組合の方も、「景気がこれだけ悪い中で、増税の強行はさけてほしい」と訴えておられました。
既にこの間のわが党の国会論戦のなかで13.5兆円の新たな消費税増収分のうち、7兆円分は社会保障以外の予算に回されるということや、経済も財政も共倒れになることなどが次々に明らかにされてまいりました。
知事、私どもは、消費税増税をしなくても、社会保障の充実、財政危機が打開できる道を提言していますが、少なくとも、府民の暮らしや営業を守るために全国知事会会長として、増税に対して、これほどの国民の怒りが広がっているのですから、このような声に応えてこの時期に消費税増税を行うべきではないと国に対して、強く求めるべきではありませんか。」
【知事答弁】 消費税については、少子高齢化のさらに進展するなかで社会保障制度をどうやって持続可能なものにしていくか、これは政治にとって大きな責任で、そのための財源確保をどうやってやるか一番大きな問題。消費税率引き上げの議論は負担の問題だけではなくて、新たな財源確保による社会保障の安定化や拡充またそれによって生まれてくる内需など全体を総合的に検討していかなければならない。そのなかで全国知事会長として反対とか賛成とかの立場ではないと思っている。
要は基本的立場から懸念するということを申し上げ、これは国民的な議論踏まえて、国権の最高機関である国会でいままさに議論採決に至っているものだが、このなかで判断すべきものだと考えている。その場合、地方の住民の福祉を守る立場からこれまでから消費税率の引き上げに関しては、中小企業含めた企業経営や国民生活や地域経済に影響を与えるということから、実施時期については東日本大震災の影響や厳しい地域経済の状況を十分判断していただきたい。消費税については逆進性の問題から低所得者対策を十分に考慮していただきたい、さらに国は徹底した行財政改革をおこない無駄をなくしていくこと、などを国に申し入れてきた。ひきつづきあらゆる場面において申し入れていく。
【西脇再質問】確かないろいろな議論があるが、いま、はっきりわかっているのは国会のわが党の論戦のなかでも、社会保障にはほとんど消費税はあてられない、ということはさきほどの質問でも明らかにした。今回の社会保障制度推進改革法案、こちらのほうにも医療、介護、生活保護も水準を引き下げることが明らかになっている。今、強く言いたいのは、山田知事自身もこれまで消費税増税やむなしという立場、これは今でも変わらないが、それでも仮に増税するとして実施する時期は地域経済の状況を見極めると、すでに答弁されている。今の状況とは、まさに到底増税できないとなっていると思う。今、増税が押し切られようとしているときに、知事は今、何も言わないのか。そのことに答えてください。
【知事再答弁】まさに消費税法案、これを最終的に決定する権限は国会にあり、そのなかで議論されているわけであり、さきほどいったように経済状況を十分判断し、これは条項をしてもりこまれていると判断している。
【西脇・指摘】今、京都経済界のみなさんも、とにかく今は増税はだめだとはっきりいっている。中小業者の息の根を止めて府民の暮らしを壊していく消費税大増税には、府民の暮らしを守る知事の立場として、国会まかせではない、はっきり撤回すべきと求めていくよう指摘する。

府立与謝の海病院について
住民、職員の意見も聞かず推進

【西脇】次に府立与謝の海病院について伺います。   
府は、来年4月から府立与謝の海病院を地方独立行政法人である府立医科大学の附属病院にする方向で、早ければ、9月にも定款変更等の条例改正案が提案される見通しです。2011年8月31日、あり方検討有識者会議第一回が開催されて以後、わずか3回の検討会でしかも限られた場での議論のみで出された提言を受けた形で、知事は法人化・附属病院化を適当とする方針を決定しました。この間、議論を進める際に、現場職員の意見や住民の声を聞くことなく、結論だけを押し付け、未だに、現場職員に対する説明が一切されていません。北部地域の拠点医療機関の将来にわたる大問題をこのようなやり方ですすめることは断じて許されません。

府の支援姿勢に厳しい意見

【西脇】住民の皆さんは、バラ色にえがかれた附属病院化計画の新聞報道に対して、今の病院が良くなるならと期待があるのも事実ですが、裏を返せば、これまで病院運営や医療の内容に対して、これを支援すべき京都府に対して厳しい意見をお持ちなのです。
2009年3月27日 与謝の海病院の脳神経外科閉鎖が大問題となり、丹後与謝の皆さんが短期間に8000名を超える「脳神経外科再開を求める署名」をあつめ、京都府に提出されました。これを受けて、2010年4月の知事選挙後 脳外科医1名が日赤から派遣されたものの、半年で撤退。その後、現在に至っても脳外科の手術ができる体制がありません。「リハビリテーション医療や精神科入院ベッドなど数多い改善要望が出されているにも関わらず京都府は何も応えなかったのに、その京都府がどんなバラ色のビジョンを描いても騙されない、よくなる確証がどこにあるのか。京都府の責任はどうなるのか」と住民から強い批判が出されています。

貴重な人材流出の危険性明らかに

【西脇】さらに、職員からは、「全容がはっきりしない、今の状況と何が変わるのかはっきりしない、北部は置き去り」などの声が出されています。職員組合が4月に職員の75%の協力を得たアンケートでは、医師を含む23人が法人化と同時に退職や転職を考えていると答えられ、「様子を見て検討する」が123人にも登るなど、附属病院化が、医師看護師など地域医療を支える人材確保につながらず、むしろ人材を失う危険性があるということ、府立医大とのパイプが太くなるどころか貴重な人材の流出の危険さえ明らかになっていることです。

拙速な付属病院化方針撤回を

【西脇】医療の要は、「人」です。あり方有識者会議で、吉川學長が「附属病院化したからといって脳外科医を送れるものではない。病院や地域医療を本気でよくするには、行政と医療者と住民との共同が必要。若い医師が来たくなる病院を作るしかない」とおっしゃったように、病院と、地域医療を本気で立て直すために行政と医療者と住民との共同こそ必要です。
知事は、あまりに拙速な付属病院化方針は白紙撤回し、まず職員や住民に説明したうえで、十分に意見を聞かれるべきではありませんか。お答えください。
【知事答弁】 府立与謝の海病院の附属病院化についてですが、北部の府民の皆様にいかに高度な医療を安定的に供給できるかということを、わたしはずっと考えてきた。与謝の海病院をどうやったら中核病院としてしっかりとした形で作り上げることができるかとういうことは、大きな課題ではないかという観点から、学識経験者、そして医大及び医療団体などで構成いたしました「京都府立与謝の海病院あり方検討有識者会議」を設置いたしまして、そこで検討をしていただき、今年の2月に府立医科大学を附属病院化というご提言をいただいたところです。これは極めて緊急性の高い課題に対しまして、本当に真摯に議論をしていただき、京都の持つ医療資源を最大限に活用できる、未来に向かって展望の持てるものとして、私は有意義なものだという風に感じております。
 京都府といたしましては、これまで地元市町などの説明などおこないまして、地元から要望の強い救急医療の強化や医大と連携する高度医療など現況などに加えまして、地域活性化を生かした地域総合に医療講座を開設など、病院機能の充実について今議会に補正予算を4億4千万円お願いをしているわけで、十分な手当を講じながら、これを進めているということはご理解いただきたい。こうした附属病院化によりまして、教育研究として診療機能を踏まえた新しい拠点が北部にできること、これは全国から優秀な若い医師が集まる魅力ある病院にする第一歩であると考えておりまして、これからの地域医療にとりましても大きな前進になると考えております。
 また職員にはこれまで節目ごとに院内会議等を通じて説明を行ってきたところでありまして、京都府の北部医療にとって重要な施策であると理解いただけるよう、引き続き進めてまいりたいと思っている。
 今議会で必要な補正予算を可決いただきましたら、私どもはこれは猶予は許されない問題としまして、平成25年4月の附属病院化に向けてしっかりと取り組みを進めてまいりたい。
【西脇・指摘】府立与謝の海病院についてですが、医師派遣については、京大や民間も含め、オール京都で行う府の責任が問われている。その中で、法人化して京都府の責任が後退すれば、府立医大だけに医師派遣の責任を押し付けることになってしまい、結果的に地域の皆さんの病院充実の願いにそむくことになってしまいます。法人化ありきでなく、地域の病院や医療をどう充実させていくのか、住民や職員としっかり論議していくことを求めます。

南山城少年自然の家について
貴重な青少年社会教育施設

【西脇】次に府民利用施設の見直しのあり方について伺います。
これまで京都府は、府立洛東病院や、保健所、土木事務所、振興局、長岡京市の婦人会館など府民にとってかけがえのない拠点施設について、存続を願う府民の願いにそむいて、廃止や統合をすすめてこられましたが、さらに今回、府立南山城少年自然の家を廃止する方針を決められました。しかし、この施設は府内では、南丹市にある「るり渓」とあわせて2箇所しかない宿泊型体験施設で、これまで小学生などを中心に40年間で府内南部を中心に、約60万人が利用され、現在でも年間16000人以上の利用実績があり、近年は、隣接の夜間照明付きの村立グランドを利用しての中学校などのスポーツクラブなどの利用も増加しています。現在、近畿では、南山城少年自然の家のような青少年の社会教育施設は、大阪府の14箇所、兵庫県で11箇所などとなっていますが、京都府にはわずか4箇所しかありません。

財政の観点だけで切り捨てるな

【西脇】山城地域の小学校の先生からは「この施設がなくなれば、宇治に行くか、奈良の施設に行くしかなく、宿泊代もかさんでくる。そもそも他の施設を利用しようとしても、希望する時期に入れるかどうかわからず、学校のカリキュラムにも影響が出る」と心配の声があがっていました。私も先日、施設に伺いましたが、その日も城陽市内など3校の小学校の利用があり、施設近辺は、子どもたちの元気な声で大変にぎわっており、改めてこの施設は、体験型の社会教育施設として大変有意義な施設であり、また、過疎化が進む南山城村にとっても貴重な財産のひとつだと実感致しました。また、何より京都府自身も、府政運営の基本である「明日の京都」の「子育て・子育ちの安心」の中期計画の中で「現代の子どもは屋外で自然体験活動をすることが少なくなってきている」ことを指摘されておられます。にもかかわらず今回、施設の廃止方針が出されたことは、府の指摘ともまったく逆行するではありませんか。
京都府として、府民にとってかけがえのない財産であり、地域の拠点となってきた府民利用施設のあり方については、財政の観点だけで切り捨てるのではなく、拡充・充実する方向で検討すべきではありませんか。また南山城少年自然家については、廃止方針をいったん白紙撤回し、利用者や学校関係者、地元府民などの声をよく聞いて、社会教育活動をさらに推進する立場で、地元などとも相談して建て替えも含めて、積極的に施設を活用すべきだと考えますがいかがですか。」
【知事答弁】 次ぎに府民利用施設の見直しについてですが、基本的には府民サービスの向上、利用者の増加を図るため利用しやすい施設運営、企画・広報・ハード面での開始のあり方と共に、利用率の実績、利用者一人あたりの京都府の負担コスト、そして近隣の類似施設の状況や施設の老朽化による将来負担とを検証し、効果的、効率的な運営方法の改善案も含め、府民サービス等改革検討委員会からの提言をいただいたところで、廃止ありきの議論はしていない。
京都府といたしましては、ひとつひとつの施設について検証結果を受け、府民満足最大化という視点で今後のあり方について検討を行い、その元に順次適切に進めてまいりたい。
【教育長答弁】府立南山城少年自然の家についてですが、府民サービス等改革検討委員会の検証結果や、府監査委員からの瑠璃渓少年自然の家へ機能集約すべきとの意見を踏まえまして、京都府社会教育委員会議で議論いただき、昨年度今後の方向性についてまとめをいただいたところ。こうしたことを受けまして府教育委員会といたしましては児童生徒数の推移や近隣施設の状況等も踏まえ、総合的に判断し、南山城少年自然の家は廃止し、瑠璃渓少年自然の家に機能を集約することを決定したところ。この間、山城地域の市・町教育委員会からも廃止はやむを得ないと意見をいただいており、また本年2月に、両、少年自然の家を会場に開催した、府民説明会におきましても、地元の学校関係者を初めとする利用者から、廃止はやむを得ないが他の施設に関する情報が欲しい、などの意見をいただいたところです。更に土地所有者である、南山城村からは廃止後の施設の活用について要望も聞いております。今後は学校関係者を初め利用者に他の施設の情報を提供するなどていねいに対応すると共に、瑠璃渓少年自然の家の機能充実に向け、学識経験者や野外活動団体の代表者、大学生等からなる検討委員会を設けまして、魅力あるプログラム開発に取り組んでいるところであり、多くの府民が利用できる体験・交流の中核施設として活用されるようプログラムや設備の充実を図ってまいりたいと考えている。
【西脇・指摘】南山城少年自然の家については、古くなり、建て替えが必要な施設へお金をかけたくないというのが廃止の最大の理由ではありませんか。 児童生徒が教育長は、減っているとおっしゃいましたけど、それは少子化で当然なのです。ただ、学校利用数は減っていません。同じです。安易に、お金がかかるからと、今まで役に立ってきた青少年の教育施設を廃止して、府民の理解が得られるでしょうか。施設の廃止ありきではなく、まず子どもたちの全面発達を保障する教育的視点に立つべき。山城地域などの教育現場や近隣住民の皆さんなどからももっと声を聴いていただき、重ねて施設の廃止は、撤回されるよう強く求めて次の質問に移ります。

府立高校の教育のあり方
高校を学校ごとに序列化し、子どもたちを輪切りでランク付けするようなことは公教育の現場ではあってはならない

【西脇】最後に府立高校の教育問題の在り方について伺います。 
京都では、1983年に、これまでの小学区制・総合制・男女共学制を原則とした高校三原則が廃止されて以降、生徒や父母のニーズに合わせるとして総合選抜や類・類型制や、中高一貫教育、専門学科やⅡ類、特進コースなど難関大学や特定の部への進学実績を競うための「特別な学校づくり」が全ての高校で推奨されてきました。さらに、特色選抜の拡大によって入試制度が非常にわかりにくくなったうえに、山城通学圏では、5年前に現在の1通学圏に拡大され、普通科一括募集となり、京都・乙訓通学圏でも、3年前から4通学圏から南北2通学圏に変更されました。このように京都府の高校制度がめまぐるしく変わり、多くの生徒や保護者、中学校の進路担当者は、翻弄されてきただけでなく、偏差値による高校の輪切りと序列化がすすみました。その結果、「人気校」と「不人気校」が生まれ、「人気校」には学力の高い子どもが集まる一方で、「不人気校」は定員割れを起こし、多くの生徒たちは、不本意入学や遠距離通学を余儀なくされています。宇治市内の中学校の進路担当などの多くの教育現場からは「明らかに山城通学圏では学校間の序列が顕著になっている、現在の府立高校の入試制度がいったい誰のためのものなのか」と、疑問の声が上がっています。
そこでお伺いしますが、高校を学校ごとに序列化し、子どもたちを輪切りでランク付けするようなことは教育の現場ではあってはならないことだと考えますがいかがですか。

「国公立大学入学数を稼ぐための道具のよう」

【西脇】私は、今年、京都市内の府立高校を卒業した生徒からお話を伺いましたが、「勉強は夜の2時3時まで勉強しないとこなせず、ついていくのが本当にしんどかった。勉強するのがいやになった。実際に学校に来なくなった生徒もいる。まるで国公立大学入学者数を稼ぐための道具のように扱われていた。何のために勉強するのか意欲がわいてこなかった」と現在の府立高校への痛烈な批判の声を聞きました。この生徒の声は、生徒に競争を強いて、受験一辺倒に傾いている府立高校のあり方を考える上で、見過せない指摘ではないでしょうか。
また、現在、府教委と市教委は、昨年秋から現在まで「京都市・乙訓地域公立校と府立学校教育制度に係る懇談会」を開催され、来月の第6回懇談会では「まとめ」を発表し、それをもとに京都府と市教育委員会が実施計画を検討するとしています。

懇談会でも通学圏拡大に懸念

【西脇】懇談会の中では長岡京市の教育長は「21校を1つの通学圏でまとめれば、希望の少ない学校ができるし、希望の多い学校には入れない。そうなると中学の進路指導は振り分けにならざるを得ず、21のランクわけになる。普通科は今の学校数での通学圏がいい」「乙訓地域は南北の交通の便がない。通学圏の設定として東西に分けることも必要ではないか。身近な地域にいける、また、地域に支えられた学校にする必要がある」岡崎中学校の先生は「普通科の特色を21校がそれぞれ出せるのか。選ばれない不人気校になった場合の対策は考えているのか」また、「中学受験で失敗すると傷ついた経験が深く、同じ高校も受けないし、大学受験も推薦で行くという子がいた、十分な配慮が必要だ」など、通学圏を拡大によりいっそう拡大される問題点を懸念する意見が出されています。
府教委として、こういった高校生の声や懇談会での意見にどうこたえられるのですか。お答えください。
また、この懇談会では、いま述べたような意見があるにもかかわらず、京都・乙訓通学圏について、さらに通学圏を1つにし、総合選抜制度から単独選抜にする方向ありきでまとめられようとしています。しかも京都市・乙訓通学圏についてはわずか3年前にこれまでの4通学圏を2つに拡大したばかりではありませんか。
まず、これまでの施策遂行の当事者である府教育委員会として、京都・乙訓通学圏を2つに拡大したことについてきちんと検証すべきではありませんか。

中高生、保護者などと府民的議論をすべき

【西脇】懇談会ですら、さまざまな意見が出され、しかも委員からの疑問や意見についてまともに議論されず、極めて不十分にもかかわらず、今回の懇談会のまとめを受けて拙速に、次の高校教育等についてのあり方の方向性を出すのは極めて問題だと考えます。
まずは、高校入試制度の改革については、あくまでも拙速に行わず、当事者である中学生、高校生も含め、学校現場の職員や保護者、専門の教育者など府民的な議論をすすめることが極めて大事だと考えますがいかがですか。お答えください。
【教育長答弁】府立高校の教育制度のあり方についてでありますが、公立高校としての責務は、多様で魅力ある教育内容により、生徒一人ひとりの能力や個性を最大限にのばすことにあると考えております。とくに、府立高校では、その高校の校風や伝統、教育活動や生徒指導、部活動など多様な観点からの特色づくりに努めているところでありますが、こうしたことと学力という一つのものさしだけで学校を序列化するものの見方とは相いれないものであります。
なお、通学圏のあり方につきましては、現在、懇談会において議論いて抱いているところでありますが、ご指摘のような懸念が生じないよう、すべての学校が魅力ある学校づくりに取り組んでいるところであります。
次に、京都市・乙訓地域の通学区域についてでありますが、学校現場からは多くの高校から、「選べるようになってよかった」「さまざまな意欲をもった生徒が広い範囲から集まり、学校に活気が出ている」といった評価をいただいており、従来よりも希望する高校を幅広く選択できる制度になっていると考えております。
また、制度改革の今後の進め方についてでありますが、懇談会では生徒・保護者に対する意識調査を実施するなど、広く府民の声を聞きながら、5回に及ぶ協議でさまざまな角度から議論を深めていただいております。府教育委員会といたしましては、懇談会から「まとめ」をいただいたあとには、府民のご意見をお聞きする「パブリックコメント」や府民説明会を実施するなど、広く丁寧にご意見を伺いながら進めてまいります。
【西脇再質問】さきほどの教育長のご答弁ですけれども、全体の今の府内の子どもたちの実態を全くご存じない答弁だと思います。実際には過度な競争はやっぱり生まれているのです。過度な競争については、国連からも是正勧告が出されております。京都大学総長も様々なひずみがでているということで、先日の京都新聞でも指摘しておられました。
そして全国各地では、これまで、相次いで実施されてきた入試の多様化の結果、子どもたちを競争や輪切りで苦しめてきたという反省に立ちまして、行過ぎた推薦入試の多様化を是正し、再編整備を撤回する動きが起こっております。お隣の滋賀県や長野県では、高校再編整備計画を撤回させて、岡山県では過去3度にわたる高校再編整備を進めてまいりましたが、「再編整備で地域の高校がなくなり、地域そのものが疲弊した」と検討会でも意見が出され、「更なる再編整備は極力回避すべき」という提言も出されています。
これだけ全国では、子どもたちの競争と学校間の序列化を是正しようとする動きがあるにもかかわらず、今、京都の懇談会の議論のなかですすんでいるのは、さらに通学圏を拡大して、単独選抜にしまして、そして競争と序列をさらに悪化させようという、これは、そういうことではないかと思います。
このことは全国の今の流れからも逆行しているのではありませんか。教育長お答えください。
【教育長再答弁】かつての小学区制だとか、あるいは総合選抜というのは、一方的に近くの高校を割り当てるという制度だったのですね。問題の本質は、入試なのに学校が選べないというところにあると私は思っております。高校というものが小中学校と同じように地元の決められた学校に行くというそういうことで今の時代いいのだろうかと、こういう疑問があります。私どもは過度な競争主義を取ろうというのではなくて、多様なものの中から選択できるようにすると、そういう考え方が現在求められていると、いうふうに受け止めております。
【西脇指摘要望】教育長のご答弁は、結局「選ぶことができる」と、ニーズに合わせるということですけれども、今の実態というのは、一部の子どもしか選べないのです。行きたくても結局は、入試したくても中学校の進路の段階で、これは振り分けざるを得ないということをよく知っておいてください。結局は中学校で、「行ける高校探し」になるというわけなのです。
15歳の入り口で、多くの子どもたちを輪切りにして、競争で泣かせるようなことが公教育であっては絶対になりません。子どものことを最優先に考えていただくならば、まず、懇談会のまとめを錦の御旗にするのでなく、拙速に新たな高校通学圏の再編整備を行なうことがないように、これはくれぐれも府民的な議論を引き続きていねいに行なっていただくこと、これは重ねてお願い申しあげまして、私の質問を終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございました。

山内よし子(日本共産党、京都市南区)2012年6月25日

府民や議会を無視した大飯原発再稼働容認は許されない

【山内】日本共産党の山内佳子です。議員団を代表して質問いたします。
最初に原発問題についてです。
私は先日、いまだに16万人の方々が避難生活を送っておられる福島県の仮設住宅を訪問し、お話を伺ってまいりました。「家族がばらばらになってしまった。元の生活を返してほしい」と、ふるさとも、地域のつながりも失い、健康の不安に脅かされながら、先が見えない状況を語っておられました。そして異口同音に寄せられたのが「原発はおっかねえ」「早く廃炉にしてほしい」という声でした。 
復興庁の調べでは自殺も含めた「震災関連死」が、10都県で1618人ですが、福島県は764人と一番多いのです。原発さえなければと改めて痛感した福島の訪問でした。
野田内閣による大飯原発の再稼動は、福島原発事故の原因究明もなく、安全対策も講じられず、こうした被災地の声にもまったく耳も貸さない、無謀極まりないものであり、断固抗議するものです。
 我が党議員団は、6月6日、近畿各府県の党議員団とともに福井県知事にたいし、大飯原発の再稼働を認めないよう申し入れを行いましたが、22日に首相官邸前に4万5千人以上が参加するなど、連日のように抗議の集会やデモ行進が行われ、「原発をゼロに、大飯原発の再稼働ストップ」という声は全国でも、京都でも大きく広がっています。
ところがその声に逆行する事態も進んでいます。本府議会では慎重な判断を求める意見書が全会一致で採択され、5月22日の府議会全員協議会の場では、「緊急性と安全性を天秤にかけない」と危機管理監が答弁されました。ところがわずか9日後に再稼動を容認し、大飯原発再稼動への道を開いた知事の責任は重大です。
6月8日に開かれた府議会特別委員会では、自民党の議員らからも「失望した。」「声明は政府に政治利用され、再稼動の動きが一気に進んだ」との声が相次ぎました。
さらに、先日国会で成立した原子力規制委員会設置法案は40年廃炉の原則までみなおし、原子炉の半永久的稼動の容認につながるものです。細野環境相はわが党国会議員の質問に、原則40年の運転制限に対して電力会社からに資産価値が下がると強い抵抗があったことを認めました。
大飯原発再稼動についても、財界からさまざまな圧力がかけられていた様子が報道されました。知事は府民の立場にも立たず議会の意見書も踏みにじったうえで、原発を再び基幹電源としようとする財界の要望を最優先したのではありませんか。知事のおっしゃる30年先原子力ゼロ都市というのは、老朽原発も再稼動しようとする国と財界の姿勢と一体であると考えますがいかがですか。お答えください。
福島原発事故が示したものは、原発はそもそも危険で、いったん事故が起これば人間の力で制御できないエネルギーであるということです。そして地域も、暮らしも経済も健康もすべて壊してしまうということです。知事自らの姿勢を改め、その上で原発ゼロの政治決断を行うよう国に強く求めるべきと考えますがいかがですか。
また原発ゼロの立場にたってこそ再生可能エネルギーを飛躍的に普及するために本腰を入れたエネルギー政策への転換ができると考えますがいかがですか。

原発ゼロの立場にたち、再生可能エネルギーの飛躍的普及を

【山内】さて、再生可能エネルギー戦略会議では、本府の自然エネルギーの可能性を電力使用時のピーク時の3倍を上回る可能性があることを示しました。ところが京都府の自然エネルギー自給率も、太陽光発電の普及率も全国41位と最低クラスです。
この原因のひとつに、府が、国の基金の終了を理由に、住宅用太陽光発電設備に対する補助制度などを打ち切り、融資制度へ後退させるなど、府独自に普及推進の施策をとらずにきたことがあります。
また、昨年7月に議決された京都府地球温暖化対策推進計画では、2020年度に太陽光発電で10万戸、太陽熱利用設備は4万戸など、福島原発事故が起こる以前に掲げた目標のままとなっています。さらに10年後に家庭消費エネルギーの5%を再生可能エネルギーで創出するとなっていますが、きわめて不十分です。全国の都道府県のうち、設置が進んでいる愛知・埼玉・静岡県など上位10都府県の状況を見ると、7つの都県が独自の太陽光発電の補助制度を持っています。
再生可能エネルギーの固定価格買取制度がいよいよ始まります。原発に依存したくないと思う府民が増えています。本府として再生可能エネルギーの導入目標を抜本的に見直す必要があると考えますがいかがですか。また、いまこそ太陽光発電などの補助制度を改めて創設すべきと考えますがいかがですか。お答えください。
【知事答弁】大飯原発の再稼働ですが、先ほど渡辺、大野両議員に答弁したとおり、私は基本的に福島第一原発事故の知見をふまえた安全基準を策定して安全性の向上に全力をあげること。そして、脱原発依存に向けた中長期的なエネルギー対策の道筋を明らかにしていくこと。この二つが重要な課題であると考え、国に対して強く求めてきました。また、府議会のみなさんの意見書も拝見し、こうした折衝を重ねるなかで、安全基準については原子力安全規制庁のもとに、暫定的な今の基準であるからしっかり作ってバックフィットをしていく。また安心については、特別な監視体制をつくっていく。需給については検討委員会を作って検証していくといった形の一定の進展はあったところです。
 私どもは、こうしたことと、府民のみなさんのこの夏を乗り切れるかどうかという安心安全を総合的に判断して今回の判断に至ったわけであり、山内議員の、正直申しますとですね、財界とか大企業はこの夏くらい乗り切れる力はありますよ。つまり、自家発電も持っていますし、生産シフトもできるんです。問題なのは、これは山内議員の念頭には全くないようですが、一番、医師会を始め医療とか介護とか、こうした弱者のみなさんのところから、非常に不安が寄せられたということであり、こういった問題に対して私たちは、こうした支政策が寄せられる中でやってきた。
さらに、逃げることのできない中小企業や観光関係の零細事業者、これは山内議員の念頭には全くないようですが、こうした事を全体感じて総理の判断が迫る中で今回の表明をしたわけであり、このように安心安全を全体的総合的に考えるというのは、知事としては当然の役割であると私は考えております。
脱原発依存については、これはどういうプロセスで進めていくかということが重要であり、現実的な対応がとられているということを考えれば、これは老朽原発についても40年廃炉方針というものの実行と廃炉計画の速やかな提示、この2つは最低限でも私は改めて国に求めているところです。
今後ともこうした観点で国に対応を求めていきたいと思っております。
 次に、エネルギー問題についてですが、これは先ほどお答えしたように、原子力発電をめぐる安全性の確保や、使用済み核燃料の処理の問題を踏まえて、今後、脱原発依存の流れを明らかにしていくことが私は必要であると考えています。
 しかし、一方で太陽光や風力、小水力等は、現在、供給可能量や安定性の面で課題があるというのは、これはもう京都府として体験済みのことであります。今すぐメインのエネルギーに成り得ないことは、これは周知の事実です。当面は、再生可能エネルギーの普及やエネルギーの効率的利用による省エネと並行して安定的な電力供給のためには、宮津エネルギー研究所の再開要請やLNG等の発電施設立地調査等、火力の効率化にも目を向けていかなければ、これは府民生活と産業と雇用を守り、持続可能な社会の構築にはならないと考えております。
 次に、再生可能エネルギーの導入目標について、再生可能エネルギー特別措置法に基づきまして、この7月から始まる固定価格買取制度におきまして、これは発電事業者に相当有利な電力の買い取り価格が設定されました。そういったことから、発電事業者に対する立地規制も緩和されておりますので事業化の意欲が高まっておりまして、こうした状況をふまえて目標の改定を検討していきたいと考えています。
 家庭用の太陽光発電設備については、現在15市町が補助制度を設置し、これは関西広域連合でも関西スタイルのエコポイント事業を展開しておりますし、加えて京都府としても京都市と制度を協調しながら低利融資制度を実施しており、今、家庭用の太陽光発電設備の設置件数は順調に伸びてきているところであり、今回の大変有利な固定価格の買取制度もスタートしますので、こうした追い風になっていくというふうに思っておりますので、そういうものを十分に活かして促進を図っていきたいと考えています。
【山内再質問】(大飯原発再稼働について)色々進展があったとおっしゃいましたが、そんな事を思っているのはたぶん知事だけだと思います。府民は全然、この間の事業者の状況で進展があったなんて思っていないですよ。それから、弱者から不安が寄せられたとおっしゃいましたが、原発事故があってもう1年以上経ち、関西電力も京都府も国もですが、何の対策もとらずに見ていたではないですか。原発の再稼働を前提として、自然エネルギーの導入なんかも努力してこなかったではないですか。やっぱり、妥協したんですよ。知事は。
 福島県双葉町の町長が、大飯原発再稼動について京都府と滋賀県知事へ「提言」を出されました。その中で「住民の生命財産を守るのは、首長の責務。不安、不信に思ったら絶対に譲ってはいけない」「私たちのようになったら、全部置いて来なければならない。安全に勝るものは何もない。決して妥協してはいけない」とおっしゃいました。これが本当の被害地元の声です。この提言をどう受け止めておられますか。
【知事再答弁】まさに私たちは、原発の安全性を確保するために提言を行い、そしてこれからの脱原発依存を行うために再提言まで行っているところでありまして、こうした趣旨については理解頂けるものだと思っております。
私どもはまさに、電力を安定的に確保するために共産党の非常な反対を押し切って180万キロワットの舞鶴火電を動かしておいた。これは本当に良かったというふうに思っておりまして、この点はしっかりと強調させていただきたいと思います。この舞鶴火力発電所がなければ今頃、大飯が稼働しようがしまいが、これは大変なことになっていたのは間違いないというふうに考えております。
【山内指摘】被害地元の双葉町の町長の提言をどう受け止めておられるのですかと私は質問したのですが、一切それに答えていないじゃないですか。私はね、いろいろと知事は言い訳をされますけれども、どんなに言い訳をしようとも知事のやったことは、政府に助け舟を出し、再稼動を推進させた。私はこれは府民への裏切り、議会への裏切りとも思っています。これは厳しく指摘して次の質問に移ります。

社会保障に対する国の責任を投げ捨てる新法案の採決は前代未聞の暴挙

【山内】次に社会保障の建て直しについて伺います。  
先日、民主・自民・公明の3党が密室で合意した「社会保障制度改革推進法案」は「自立を家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援していく」と、社会保障に対する国の責任を投げ捨てるものになっています。 憲法25条の理念も否定し、自公政権時代の「構造改革」による社会保障の連続改悪路線をよりひどい形で復活させるものです。しかも会期末にいきなり提出し、審議も尽くさず採決することは、議会制民主主義を破壊する前代未聞の暴挙です。
いま、府民の命を守るため、自治体の長としての役割が問われています。「社会保障制度改革推進法案」について知事としてどのように受け止めていますか。
憲法25条の理念をも否定する本法案について知事として明確に反対の意思を表明すべきと考えますがいかがですか。

介護サービスを受けることができない深刻な事態。緊急に全高齢者の実態調査を!

【山内】法案では介護保険制度について、「適正化」による「効率化」と「重点化」をあげ、医療は急性期を重点として早期の退院を促進し、一方で在宅は、これまで医療が行っていたことを介護に、介護で行っていたことを「地域の力」や「ボランティア」で支えようとする方向性が明らかで、医療と介護にかかる費用を抑制するものとなっています。 
今年度介護報酬改定がされましたが、現場で起こっていることは生活援助時間の短縮による高齢者と介護ヘルパーの悲鳴です。また保険料も4月から府内の保険料の平均は月5280円と制度創設当初の2倍近いものとなり、負担の限界を超えています。知事はこれまで京都は国の抑制策とは違うとおっしゃってきましたが、利用者の負担を増やし、利用を抑制する方向性について、きっぱりと反対の意思を表明すべきです。
現在、利用料の負担ができずに、患者さんが十分に介護を受けることができない深刻な事態は府内でもおこっています。
 私がお話を伺ったAさんの父親は、徘徊や認知機能の低下などで、ひと時も目を離すことができません。病院も1ヶ月で退院せざるを得ず、Aさんがバイトをやめて父親の世話をし、一家の生計は母親のパート収入のみにかかっています。介護度は要介護3ですが、ヘルパー派遣はすべて断り、ショートステイも一度も利用せず、週2回通っていたデイサービスを1回にしていますがそれでも1ヶ月の利用料が1万円近くかかります。暑い時期、クーラーのない部屋で、お風呂も週に1回のデイサービスのときに入るだけ。介護認定を受けても1割の負担ができないからなのです。Aさんは「せめて週に2回お風呂に入れてあげたい」と切に願っていますがかないません。
知事はこうした深刻な事態が起こっていることをどのように受け止め、どのように解決しようとされているのですか。
緊急に全高齢者の実態調査を行い、保険料と利用料の負担や利用抑制の実態を把握して、本府として市町村と連携して特別対策をとる必要があると思いますがいかがですか。
同時に知事として「負担は能力に応じて、給付は必要に応じて」という立場に立って、国に対して根本的な見直しをするよう働きかけるべきと考えますがいかがですか。 
さて、在宅介護の重要な役割を担っているのが、地域包括支援センターですが、京都弁護士会の調査では「事業対象が広すぎる」という声が圧倒的で「職員の数が足りない」という声も51%となっています。
 本府の検討委員会の中でも同様のことが指摘されているところです。
本府では、昨年度から地域包括支援センターの機能強化のためにセンターにケアマネージャーなどを配置していますが、緊急雇用対策事業なので今年度で終了することへの不安や、経営が大変な中でも、以前から配置していた職員には適用されないなどの声が寄せられています。基金がなくなってもそれに変わる代替措置として、包括支援センターに配置されるケアマネ等が安心して働けるよう国に要望するとともに京都府としても支援策を講じることが必要と考えますがいかがですか。
また地域包括支援センターを日常生活圏域ごとに設置することになっていますが、京都の場合中学校区は174ありますが、地域包括支援センターは100箇所程度で圧倒的に不足しています。せめて中学校区ごとに設置できるよう、本府の計画に位置づけ市町村の支援を行うべきと考えますがいかがですか。

障がい者総合支援法は応能負担を課す仕組みがそのまま。知事は明確な反対の表明を!

【山内】障がい者をめぐる状況も深刻です。
 障がいが重いほど負担の重い障がい者自立支援法の廃止を求めて訴訟を起こした当事者と家族の方々は、2010年1月、障がい者自立支援法制定の総括と反省の上に立って、自立支援法を廃止し、応益負担の廃止、障がい程度区分の廃止など当事者の立場に立った新法を制定することなどの基本合意文書に署名をし、国と和解しました。ところが訴訟を取り下げてまで和解した約束が守られなかったのです。「誇りも期待も踏みにじられ、骨をも震える思いだ」「障がい者をどこまで悲しませるのか」と怒りの声が寄せられています。
わずかな審議で20日に成立した「障がい者総合支援法」は障がいを自己責任とし、家族収入を含めて応益負担を課す仕組みはそのままです。利用抑制の手段となっている障がい程度区分認定制度についても廃止は先送りされ、自立支援医療や報酬支払体系については検討事項にさえあげられていません。
 知事は2010年12月議会でわが党の西脇議員の質問に対して、新たな障がい者関連法案の制定に当たって「障がい当事者等関係者の意見を反映した、障がいのある方々にとって真に利用しやすい制度となるよう、引き続き国に求めていきたい」と答弁されましたが、新しい法律は障がい当事者の意見をまったく反映していないと考えますがいかがですか。
「障がい者総合支援法」に対して知事として明確な反対の立場を表明し、総合福祉部会の骨格提言に沿った見直しをおこなうよう強く求めるべきと考えますがいかがですか。お答えください。

本来の社会保障としての役割を果たせるよう生活保護制度の改善に努力せよ!

【山内】さて、今年1月に、札幌白石区で知的障がいの妹と姉の40代姉妹が、生活保護の申請権を侵害され亡くなりました。ところが政府はこうした生活保護の改善に向き合うのではなく、逆に改悪を一気に加速させようとしています。
厚生労働大臣は扶養義務の強化や保護基準の引き下げなど生活保護制度の改悪を検討すると発言しました。しかし今でも現場では保護申請の際に「扶養義務者からの扶養が優先する」「若いから仕事を見つけろ」といわれ、申請さえできずに違法に追い返され、住む家を失ったり、餓死や自死を生む事態が起こっているのです。わたしが相談に乗った男性も「兄弟の扶養が優先する」と申請権を侵害され、最後に残った10円玉で相談の電話をかけてこられましたが、そのときには何日も食事もとっておらず、福祉事務所まで歩いていくこともできないほど衰弱されていたのです。本来生活保護を受給できる人で生活保護を受けている世帯の割合は日本はわずか20%ですがドイツやイギリスでは85%以上です。日本で割合が低いのは扶養義務者に対する照会をはじめ、権利としての生活保護制度と逆行する様々な抑制策がとられていることが原因です。
また生活保護基準は国保料の減免や就学援助、住民税の非課税基準など多くの国民の暮らしの基準であり、保護基準の引き下げは国民生活の水準を引き下げることにつながります。
国に対して生活保護制度の改悪の検討を撤回し、生活保護制度が本来の社会保障としての役割を果たせるよう、国に強く求めるべきと考えますがいかがですか。 
【知事答弁】社会保障の充実についてですが、今回の社会保障制度改革推進法案は、与党の三党合意に基づき共同提案されておりまして、今後の高齢化の一層の進展により社会保障費が増大していく中で、安定的な財源確保と持続可能な社会保障制度の確立に向けて、国権の最高機関であります国会において議論されているものであります。私としてはこれまでから、国と地方との協議の場を通じて社会保障と税の一体改革にあたり、国と地方の社会保障サービスが一体であることを認識すべきこと、総合的な障がい者施策の充実や人口格差対策にしっかりと手をつけていただきたいということ、また地方分権による社会保障サービスの総合化および効果的に行う体制を確立すべきこと。さらに、地方の社会保障財源を安定的に確保すべきことを主張しており、こういう観点から今後も議論が進むことを求めていきたいと考えています。
 次に高齢者の介護についてですが、京都府における全病床の平均在院日数は、平成22年度では33.0日で、5年前と比べて2日程度短縮になっております。しかも、この背景には医療技術の飛躍的な進歩によりまして、例えば内視鏡手術など体への負担が少ない治療が可能となったことにより退院が早まったり、手術など集中的な治療を行う急性期の病床や主にリハビリなど回復期を担う病院等、医療機関等の機能分担が進んだ成果もありますので、医療費抑制の結果とは一概にこの2日間というのは言えないと思っております。
 一方、高齢者が中心を占める医療病床においては、平均在院日数は、こちらは逆に20日程度、昨年に174.81が193.4日へ増加をしており、こちらの方は長期化になっているわけです。こういった面では両方の面があるというふうに申し上げたいと思います。
 また、高齢者が必要なサービスを受けられないことがあってはならないとの立場から、低所得者への負担軽減措置であります社会福祉法人による利用料等の軽減制度等は全ての市町村で実施されているところであり、私どもは国に対しまして更なる軽減制度の拡充を繰り返し要望しているところです。
 介護サービスの利用実態については、今回の第6次の高齢者健康福祉計画の策定にあたり、既に府独自で実態調査を行っておりまして、この結果は、約85.1%の高齢者の皆様は今の介護サービスに満足されている一方で、保険料の負担が大きいと感じられる方が30.8%あるところであります。このため京都府としては、保険料の軽減を図るために財政安定化基金を取り崩し、平成24年度に総額10億円の市町村支援を行うとともに、保険料の設定についても対応してきており、全ての市町村で利用者の所得に応じ国基準以上に細かい区分が設定をされているところです。また、被保険者や自治体の負担の増大が見込まれる中で、国の財政負担の増加も含めた抜本的な見直しと保険料や利用者負担と介護給付のバランスがとれた安定した持続可能な保険制度となるよう今、国に求めているところです。
 介護予防ケアマネージメント業務を担う専門職等の配置については、今年度も緊急雇用対策基金を活用して44人の配置を予定しているところでありますが、これはやはり本来恒久的なものであると考えておりまして、今後必要な財源確保について、今も国に働きかけているところです。
 地域包括支援センターについては、現在府内には102箇所が市町村により設置されておりますが、今回の高齢者健康福祉計画でも記載しておりますとおり、府内に155箇所ある日常生活圏域内での配置が進むよう、市町村に要請するとともに、必要な財源の確保についても国に対して強く要望していきたいと考えています。
 次に、新たな障がい者関連法案について、去る6月20日に国会で採決されました障がい者総合支援法においては、共生社会の実現にむけた基本理念を追加するとか、障がい者の範囲の難病等の追加ですとか、重度訪問介護の対象を知的精神障がい者を拡大するなど障がいのある方の地域生活を支えるための制度見直しも一定盛り込まれているところでありますが、障がい支援区分の認定を含めた支給決定や、意思疎通を図ることに支障がある障がい者の皆さん等に係る支援のあり方等、総合福祉部会の骨格提言が十分に反映されておらず、法施行後3年を目途として検討に委ねられた部分も多いというふうに思います。
 このため京都府としては、今後、障がい者総合支援法の円滑な施行に努めるとともに、全国知事会とも連携して骨格提言の段階的計画的な実現を目指すなかで障がい者、障がい当事者等、関係者の意見を十分に聞きながら将来にわたって持続可能で利用しやすい制度となるよう国に提案をしていきたいと考えています。
 次に、生活保護制度については、最近マスコミ等で給付のあり方についての批判があり、問題事例があることは事実でありますけれども、私はその問題は問題として解決しなければなりませんけれども、本当に生活に困窮している全ての国民に国が責任をもってナショナルミニマムとしての生活を保障するべきという、その前提は変わるものではないと考えています。法基準については、現在、社会保障審議会生活保護基準部会で議論されていますが、一般低所得者世帯の消費実態の近況や受給者の実態も考慮して最低生活の保障という観点から検討されるべきものであり、最後のセーフティネットとしての役割を果たすことのできるものでなければならないと考えています。
 こうした立場で従来から健康で文化的な最低限度の生活を保障するものとなるよう、財政的観点だけでなく受給者の実情をふまえた慎重な見直しを行うよう国に要望しているところです。

「社会保障制度改革推進法案」は社会保障の抑制策

【山内再質問】障がい者総合支援法については、ぜひ骨格提言を活かした法律になるように積極的に発言をしていっていただきたいと思いますし、今ご答弁をいただいた中でいわゆるこれまでの社会保障制度を機能させるという点で生活保護の問題でも、高齢者介護の問題でもいろいろと課題があるというふうに思っています。 
ただ、この「社会保障制度改革推進法案」が通りましたら、本当に「自立」を家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援する、あるいは介護も効率化・重点化を図る抑制策が基本になってきますので、本当にこれは大変な法律だと思うのです。今、国会で議論をされているとおっしゃいましたが、自民党と公明党と民主党が密室で協議をしていきなり国会の会期末に出してきたということで、まともに議論もされていないわけです。そういう点では本当にこんなことはあってはならんという、議会制民主主義を破壊するようなやり方で物事が進んでいるわけです。私は、知事に今の答弁をいただいたが、家族相互、国民相互で助け合うというのが本当にこれが社会保障のあるべき姿かと思う。そこのところをもう一度答弁をお願いしたい。
【知事再答弁】家族相互で助け合うっていうことは、これは当たり前の話ですし、社会全体で国民相互で助け合うというのも当たり前の話です。そうした中でやはり、我々行政としてやっていかなければならないことは何かということをしっかりと突き詰めて、これはナショナルミニマムとかそうした観点からも社会保障を充実させていくことに私たちはしっかり取り組んでいくべきだと思っています。
【山内再々質問】もちろん家族相互で助け合う、お隣近所で助け合うことは当たり前のことです。けれども、本来の社会保障のあり方として、国の責任というものがあるわけです。国がしっかりと責任を果たすという点で、この社会保障制度改革推進法の基本がお互いに支え合いなさい、それを国は支援しますよということで、国の責任を後退させるもので、憲法25条を否定するような中身になっているわけです。これは本当に問題だというふうに思うのです。
一昨日、23日にも消費税増税と社会保障改悪反対、原発の再稼動許すなと24000人が明治公園で集会を行いました。一般紙は全く報道もしませんが、国民も府民も我慢ならないのです。こうした声に耳を傾けるべきです。社会保障改革推進法案が通ってしまったら本当にナショナルミニマムが崩れてしまいますので、そこは厳しく知事として意見を言っていただきたいと思います。次の質問に移ります。

財界の狙いは明らか。出先機関の丸ごと移管で府民の生活と安全は守れるのか!

【山内】次に関西広域連合と国の出先機関移管問題についてお聞きします。
関西広域連合は、国の出先機関の移転を国に求め、当面、経済産業局、地方整備局、地方環境事務所の3機関移管を要望、政府も特例移譲法案の準備を進めています。
5月7日、東京で関西広域連合の主催で「出先機関の丸ごと移管」を中心とした「地方分権シンポ」が開かれ、わが議員団も傍聴してきました。開会や閉会挨拶を日経連と関経連が行い、シンポジストには関西と九州の財界代表、語られた内容も財界の要望が露骨に表明されたものでした。
関経連の代表は「50年前から道州制を提案してきた。2003年、現行法の体制のなかでできる具体的な行動として関西広域連合を提案。」「関経連は関西から地方分権の突破口を開くことを目的に関西広域連合を提案した。国の出先機関の移管はその目的実現への第一歩」と発言。国の関与を極力へらし、道州で大企業のための政策を自由に推進。自治体の持つ人も金も吸い上げ投入できるようにする道州制の実現に向けた財界の狙いがあけすけに語られました。
このシンポのもう一つの特徴は、大阪など財界の狙う関西中心部の開発ばかり、京都中北部など市町村合併の強行で疲弊している周辺自治体の発展については全く語られなかったことでした。
6月6日、東京で開かれた全国市長会議は「業務を移せば済む問題ではない。大規模災害時や機動的危機管理体制は基礎自治体の意見を踏まえた議論が必要」と全810市の総意として、拙速に進めることのないよう政府に強く要請する決議を採択しました。また、福島県相馬市の市長らが、出先機関の拙速な廃止に反対する「地方を守る会」を設立。全市町村の3分の1近い502市町村が参加しています。
京都新聞のアンケートでも府内の26自治体のうち出先機関の移譲について賛成・どちらかというと賛成と答えた自治体は8自治体しかありません。京丹波町からも災害対応について「国の直接的な対応が必要」との声が出されています。 東日本大震災でも、災害支援や復旧に当たって、出先機関の調整のもと、全国から支援が集中し、4日間で被災地役割を果たしました。市町村は、今回の出先機関移管について、国が本来果たすべき役割が失われることに異論を唱え、地域間格差が一層拡大、いっそう疲弊が進むことを危惧しているのです。
知事はこうした地方自治体の声をどう受けとめていますか。 お答えください。
3機関が関西広域連合に移管されれば、3000人を超える人員、9000億円を超える予算となり、さらに府県の事務を持ち寄ることになれば、巨大な権限となり関西財界の思惑通り、実質的に道州制につながることは明白ではありませんか。
【知事答弁】国の出先機関の移管についてですが、これにつきましては確かにいろんな不安が出てきていることは事実であります。そうした点から私どもも、国と移管について話し合いを進めてきたところでして、国の出先機関の丸ごと移管というのは、関西広域連合がこの機関の事務を担う場合に、今の体制をきちっと維持しながら、ある程度維持しながら、さらに地域の自主性に応じ、より効果的な事業を推進してゆく形になっているところです。平成22年の12月に国出先機関の原則廃止にむけたアクションプランが閣議決定されて以降、その中で私たちも議論を進めてきていますが、したがって政府案ではかなり国の関与を明確に残したものになっていまして、本来分権の観点から言うと、少し問題もあるんですが、これは災害時等についての国としての役割が損なわれないような配慮が今なされているところです。市町村に対しましては京都府としましても、これは本年度設置しました京都府と府内市町村との情報共有、連携・協働の場で市町村にきめ細やかな説明を今行っているところですが、政府におきましても災害対応や事業計画の策定や制度決定にあたり、市町村の意見を法案に取り入れる等、市町村の皆さんの理解を得るための努力もされているところです。国の出先機関につきましては、府議会により広域連合規約の議決に当たり、国からの事務移譲にたいして、国に対して直接的に提起していくことの付帯決議も伝えており、京都府としても市町村とも丁寧に議論しながら移管実現にむけて取り組んでいきたいと考えております。
なお道州制につながるという指摘につきましては、これは広域連合という制度はもともと都道府県が前提の制度でありまして、都道府県なくして広域連合という制度はありえない訳で、これは制度的には全く道州制とは異なるものでありまして、その点についてはご指摘は当たらないと考えております。
【山内指摘】都道府県が関西広域連合の前提というのは当たり前なんですが、ただ関西財界の狙いというのは出先機関の移管をてこにして、道州制に持っていこうというところにあると思うんですね。国が責任放棄すれば一番顕著に影響を受けるのが災害対応だと思うんです。昨年の台風12号では奈良県と和歌山県の土砂ダムが問題になりました。降雨による土砂ダムは関西では初めての経験で、土砂ダムの経験があったのが中越地震のときの北陸地方整備局、岩手・宮城内陸地震のときの東北地方整備局です。だから国の機関として経験と特殊な技術の蓄積があり、こうした災害が起こった時にも全国組織の強みを生かして対応ができるのです。
 山形県新庄市の市長は「なぜ地方移管し命令系統を複雑にするのか理解できない。県自体が被災している状況の中で、誰がコントロールするのかを考えれば国がコントロールするのは必然だ、今回の災害での国の果たした役割をしっかり検証してからでも決して遅くないこと」と拙速な出先機関の丸ごと移管について不安の声をつづっておられます。
国は国土を守る責任を放棄し、関西広域連合に移管しても、そこは財界は狙っている、意図する大阪中心の開発を関西全体の財政で進めていこうとするところです。これで京都府民の暮らしと安全を守ることができるのかと思うわけです。京都でも市町村合併で学校や保育園が統廃合され、周辺部がさびれ、役場もなくなり若い人の働く場所も減っている中で、関西広域連合が国の機関を丸ごと移管を受けて、本当に地域を守ってくれるのだろうかという不安があると思うんです。
関西全体で見ると京都北部は周辺部ですよね。広域連合で国の出先機関をうけて、本当に京都北部の安全と発展が保障されるのか、保障されると言えないと思います。出先機関の丸ごと移管は断固やめるべきだし、知事としても丸ごと移管、拙速な丸ごと移管をやめろということは言ってほしいと思います。
最後に一言申し上げます。 
民自公3党が密室談合で社会保障の骨抜きと消費税の大増税で合意した6月15日、また野田首相が大飯原発の再稼動を決めた6月16日、もろ手を挙げて歓迎したのが日本経団連です。国の出先機関の丸ごと移管も財界の狙いは明らかです。
 財界中心、アメリカ言いなりという二つの政治の害悪を大本から断ち切ってこそ、希望ある未来が開けてきます。私たち日本共産党はそのために多くの国民・府民の方々と共同し、全力で奮闘することをお誓いして質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

≪他会派代表質問項目≫

【6月25日】

■渡辺邦子(自民・京都市伏見区)

1.大飯原子力発電所の再稼働について

2.東日本大震災からの復興支援について

3.交通安全対策について

4.京都舞鶴港の活用について

5.ソーシャル・ビジネスの普及について

6.「親学」と本当の子育て支援について

7.府立高校の充実に向けた制度改革について

 

■大野征次(民主・八幡市)

1.府政運営について知事大野征次

2.大飯原発の再稼働について関係理事者

3.補正予算案について

4.「日本でいちばん幸せな県民」について

5.貧困問題について

6.メンタルヘルスについて

【6月26日】

■桂川孝裕(自民・亀岡市)

1.本府の成長戦略について

2.今後の交通安全対策について関係理事者

3.府警の情報管理について

4.北陸新幹線整備について

5.今後の京都農業を担う人材育成について

6.海ごみサミットについて

7.地元課題について

 

■酒井常雄(民主・城陽市)

1.スポーツ振興について

(1)本府の振興策について関係理事者

(2)文化としての役割について

(3)教育現場での課題について

(4)地域活性化への有効利用について

 

■兎本和久(自民・木津川市及び相楽郡)

1.新名神高速道路について

2.JR奈良線の複線化について

3.学研都市の道路整備について

4.建築物の防災対策について

5.野生鳥獣被害対策について

6.府南部地域の医療充実について

7.府立高校の特色づくりについて

 

■諸岡美津(公明・京都市右京区)

1 防災・減災への取り組みについて

2 がん対策の強化について関係理事者

3 通学路の安全対策について

4 「Creative KYOTO」について