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本会議質問

2012年6月定例会一般質問迫・馬場・浜田

2012/07/04 更新
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●6月定例府議会一般質問が6月27日~29日におこなわれました。迫祐仁議員、馬場紘平議員、  浜田良之議員の一般質問と答弁の大要、他会派議員の一般質問項目をご紹介します。

迫   祐 仁一般質問 ・・・・・ 1
ばば こうへい一般質問 ・・・・・ 6
浜田  良 之一般質問 ・・・・・11
他会派議員の一般質問項目・・・・・16

6月定例会 一般質問
迫 祐仁(日本共産党、京都市上京区)2012年6月28日

消費税増税
消費税増税に反対し西陣を守れ

【迫】日本共産党のさこ祐仁です。先に通告しています数点について知事ならびに理事者にお聞きします。
26日、民主、自民、公明3党は、密室協議によって合意した消費税増税法案を、衆議院でほとんど審議もせずに強行採決しました。国民の7割が反対する世論に背き、議会制民主主義を破壊する言語道断の許すことのできない暴挙に、わが党は強く抗議し、消費税大増税法案の廃案へ全力あげます。知事にはこの消費税増税について、それがいかに京都経済を、府民の暮らしを破壊するものであるか、私の地元、西陣の実態を示してお尋ねします。
西陣は約500年の伝統を持つ日本最大の和装産地で、帯、金襴、ネクタイなどの事業所数、従業員数、出荷額はいまでも文字通り日本の和装産業の中心であり、京都の雇用と経済に大きな役割を果たしています。また、お茶やお花、神社や寺院の装飾物とも結びつき京都の文化・魅力をつくる大きな柱です。
 西陣織は20数工程を経て、あの美しい紋様の帯、着物が織りあげられますが、それぞれの工程は長年にわたる絶え間ない技術の研鑽と継承によって発展し、その技術は現在、ITなどの先端産業を支える技術に応用されています。
 またなによりも年間7000万人を超える京都への観光客にとって「西陣」は、金閣寺、清水寺とならぶ京都を代表する観光ブランドです。
しかし、和装ばなれ、バブル崩壊後の長引く景気低迷の状況に加え、まさに1989年の消費税導入、1997年の5%増税によって京都の伝統産業は大きな打撃を受けました。西陣織の出荷額の約6割を占める帯地業界を見ると、消費税導入2年目の平成2(1991)年、帯地の出荷金額は 1597億円でした、これをピークに急減し、3年後には 500億円減の1096 億円、さらに5%に増税後は、売上減に拍車がかかり、増税2年後の1999年にはピーク時の約3分の 1、506 億円にまで落ち込みました。昨年は約 170億円にまでなっております。消費税導入時には約850軒だった帯地の生産者も340軒に減りました。
 これに対し「消費税で西陣織は壊滅するのでは」という危機感のもと西陣あげた反対運動が取りくまれてきました。1980年に自民党・大平内閣が一般消費税導入をはかったとき、西陣の中心である京都市上京区では、西陣織工業組合や撚糸組合はじめ、賃織、労働組合、商店街などが協力して反対運動を組織し、当時の上京区の総人口と同じ 10万人の反対署名を集めました。
 私が聞いた西陣の業者の方は、「消費税は売り上げにかかるから得意先からもらえなくても納めなければならない。10 %になったら多くの西陣の仲間が廃業に追い込まれてしまうのでは」「分業で20以上の工程あり、その都度消費税がかかる。商品が売れるまでに消費税を立て替えられずにいまでも辞めていく業者がいる。10%になったら西陣はなくなってしまう」と不安や憤りをのべられました。
 消費税は西陣産業だけでなく京都経済に深刻な打撃を与え、府民の暮らしと営業を破壊し続けてきました。いまの経済状況は、消費税が5%に増税された97年当時66%の赤字企業がさらに、75.5%となり、事業所得は、97年に比べ個人事業者62.6%、法人事業者92.9%と落ち込んだままです。このうえに、2倍の消費税と医療や介護など、97年を大幅に上回る20兆円の負担増となればどうなるでしょう。
 ますます消費が冷え込み、消費税を価格に転嫁できず、自腹を切っている中小企業や小売商店などは、倒産、廃業においこまれることは明らかです。知事は増税で西陣はもとより多くの企業が倒産・廃業に追い込まれてもいいとお思いなのですか。今やることは消費税増税ではなく75%が赤字になっている府内企業が元気になり所得税や法人税が納入できるような支援策こそ行うべきではないでしょうか。

西陣の振興
西陣に仕事づくりの支援をせよ

【迫】さきほど帯地の出荷額が消費税導入、増税によって激減していることを示しました。それに加えて今、西陣の最大の問題は仕事がないということです。「仕事がほしい」という声が渦巻いています。 ある賃織は「仕事がなく織機は3日に1回しか動いていない。しかも低賃金で1日10時間織っても2000円から4000円しか収入がない。仕事がほしい」と窮状を訴えられています。仕事づくりは待ったなしです。
 平成21年から3年間、国の緊急雇用対策事業として、京都府は「匠の公共事業」という事業名で、手機織りや西陣ビロード、つづれ織り技法による「風神・雷神」画の織りあげなどの実演・販売などが西陣織会館やみやこめっせなどで実施されました。仕事のない職人や事業者が応募に殺到しました。 
この間、わたしのもとに「仕事がない中で昨年のあの実演の仕事は生活のたしになり助かった」という職人さんが訪ねてきました。「実演の仕事、今年はまだ始まりませんか」という問い合わせでした。同じような質問を何件も聞いています。それほど今の西陣は仕事がなく切実なのです。
 この「匠の公共事業」は、緊急雇用対策事業の終了にあわせて縮小されました。府は仕事のない職人や事業者が今年もやってほしいと待たれている実演などの仕事起こしの事業を積極的におこなうべきではありませんか。
 また、今年度から実施される実演販売や雇用を生み出す「京の職人さん」仕事づくり推進事業などは、グループや企業が実演・販売などの企画を府に提出し、審査を経て採用されたところが参加できるというものに変わりました。これでは、仕事のない職人さんだれもが応募して仕事を得るというのが難しくなります。若手育成などの積極的な面を活かしつつ、誰もが活用できるように改善をはかるべきではありませんか。京都府は伝統産業への仕事を起こしの対策を講じることが緊急に求められていますが、いかがですか。
仕事づくりに関連して、西陣織工業組合は4月1日から織物職人さんに産地内の織物業者の仕事などをあっせんする「無料職業紹介所」を西陣織会館内に開設しました。府としてもこれまで西工と西陣振興に協力されてきました。この取り組みを西陣の織屋や職人に広報などを通じて積極的にアピールすべきと思いますが、いかがですか。

織機のコントローラーの技術指導、産地内に相談体制整備を

【迫】こうした仕事づくりを支える上で、緊急に改善しなければならない課題として、織機などの高度化への援助や技術指導などの相談体制の整備があります。
 織物では経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を通して模様つくります。着物や帯の模様は、模様にあわせて細かい穴が開けられた紋紙、パンチカードのようなものですが、これをジャガードとよばれる織機にとりつけて織りあげます。30年ほど前に紋紙(パンチカード)の代わりにフロッピーディスクが用いられるようになりましたが、電子媒体技術の急速な進歩で、新たな媒体による機器・コントローラーと呼ばれていますが、その開発や購入が求められるようになっています。
 この購入・設置費用の高さが問題になっています。購入・設置に一台約30万円もかかり、仕事が激減し工賃が引き下げられている織物業者や賃織は、「高額すぎてとても購入できない」と悲鳴をあげています。西陣の織機関連業者に聞くと、「今の西陣の出機の安い工賃では、とても手が出ない」と言っています。
 丹後ちりめんの産地である府北部では、コントローラー購入の補助制度を設けています。丹後織物工業組合の要請に応え、与謝野町では織物業活性化支援策という補助制度をつくり、昨年度から3年間を期限に実施されています。織機設備の購入経費にたいし、1台につき上限9万円まで補助するというものです。その隣、京丹後市でもこの6月に補正予算を組み、上限が1台10万円までの補助が実施されます。
 しかし、和装産業の最大の産地である西陣を抱える京都市には、コントローラー購入の補助制度はありません。
 京都府は、コントローラーの普及を促進するために市町村任せでなく積極的な財政支援をおこなうべきと思いますが、いかがですか。
 これまで慣れ親しんで使用している織機をできるだけそのまま使えるようにするなどの改良もすすめられています。技術開発に積極的に協力すべきだと思いますがいかがですか。
 かつて西陣の織屋や出機の職人さんらは染や織物の技術開発や継承、織機・機械設備の不具合などを相談したり、お互いの技術や日々の仕事の悩みを交流する場がありました。仕事が終わり夜に講習会が開催されたり、多くの人が織物について学ぶなどの技術的な支援を担っていったのが京都市染織試験場で、人的交流の場は西陣労働セツルメントでした。これらの施設は、交流し、技術の継承と産地発展に大きな力を発揮してきました。
 しかし、2010年3月に旧西陣労働セツルメント・職業能力開発センターが廃止、京都市も染織試験場を3年前に下京区の京都市リサーチパーク地下の「京都市産業技術研究所」に統廃合しました。西陣産地から離れたため、多くの織屋や職人さんが、下駄ばきで「ちょっとそこまで来たのでのぞいてみた」と気軽に相談にのれる施設だっただけに、産地として大きな損失になっています。そのため西陣産地内に技術支援を求める業界の声が強く、京都市は西陣織会館7階の事務室の1室に京都市産業技術研究所の「西陣相談室」窓口を開設しました。しかし週1回火曜日・お昼しか開かれず、しかも西陣で中心的に使われている力織機が設置されておらず、技術相談にはとても答えらない状況で、具体的な相談はリサーチパークで再度おこなわなければならず、相談ごとの解決がすぐにできていません。こういう状況の中、産地では、相談所の施設、体制の拡充を至急取りくんでほしい、という要望がでています。
わが党は西陣織振興に、伝統産業に従事する人たちが、技術の習得・継承、試験・研究、成果発表ができる染・織の総合的センターを開設することが必要と考えておりますが、緊急に府は京都市と協力し、「西陣相談室」を技術相談、技術支援が行える施設に拡充・整備すべきと思いますが、いかがですか。
そして、織機などの修理への補助についてです。
西陣の賃織業者から「織機の不具合で修理に来てもらうだけで4000~5000円。部品交換するとすぐに1、2万円かかる。工賃が1カ月に10万円もない状態では、修理代は痛い。何とか行政が支援できないのか」と尋ねられました。しかし、これも京都市は修理代金の助成制度を実施していません。
 京丹後市では「丹後織物指導事業」補助制度を作り、織機の調整や修理代の負担軽減に利用されています。助成限度額は1回3,000円から6,000円で年間3万円までの支援です。23年度は、年間のべ3536人が利用、補助対象経費は1353万6千円。出機の人に話を聞くと、「工賃が少ないのでこの制度があって助かっている。この制度がなかったら廃業していた。京都府でもこの補助制度を実施して、上乗せをしてもらえたら助かる」と訴えられました。
 京丹後市の制度は西陣の賃織業者の中でも話題になっています。低賃金で苦しむ賃織業者の修理代金支援のために、府は京都市と協力して「織機の修理代補助」制度を創設し支援を行うべきだと思いますが、いかがですか。

漁業振興
「丹後とり貝」増産へ支援を

【迫】最後に府が力を入れている「丹後とり貝」の養殖についてお尋ねします。
私たち日本共産党議員団は、先日宮津市の京都府農林水産技術センター・海洋センターを訪ね、「丹後とり貝」の種苗技術開発の担当者からお話を伺いました。同センターはトリガイの種苗生産から養殖までを取り組んでおられ、これは全国でこのセンターだけ、「オンリーワンの試み」といわれています。センターで生産された種苗は1個20円で漁業者に配布され、漁業者は舞鶴、栗田、宮津、久美浜の4つの湾で10カ月間育成して「丹後とり貝」として出荷しています。種苗の年間生産数は約54万個、養殖生産額は平成25年度には1.5億円を目標にしているとされています。
担当者によると、トリガイの種苗生産は、種苗生産の技術を安定化し試験段階から事業レベルへと中間育成の技術も苦労して伸ばされたとのことです。さらに大型トリガイを育成する技術も開発し特許を取得したと言われました。
こうしたオンリーワンのブランドとしての「丹後とり貝」に漁業者の関心が寄せられています。久美浜湾では、現在、新たに30、40代の若い漁業者6人が「丹後とり貝」の生産に従事しています。漁業者からは種苗の増産の要望が出されています。海洋センターの技術者は、「要望に応えるには現状の中間育成のいかだの数や人員ではむずかしい」と言われています。
府は、このトリガイ養殖が早く地元の一大産業として定着することを期待すると、アピールされていますが、漁業者などの要望に応えるためにも中間育成用のいかだの増設、人員増をはかり増産出来る体制を作るなど、積極的な支援を行うべきではないですか。いかがですか。 
【知事・答弁】消費税問題だが、消費税自身で企業がどうといったらいろいろ負担の問題があるんですが、それいってしまいますとヨーロッパとか20%超えているわけですから、すべて商工業は全滅してしまうことになりますので、いかにして企業にたいする支援とそうした税の負担にたいするバランスを保っていくということ。これは一方では、今回の場合社会保障を充実させるための財源の確保なので。で、社会保障をどうしていくか、という問題を述べないで、そこばっかり述べて、これはまた均衡を害してしまうのでは、と思う。
そうした面では、両方の面からしっかり議論をしてバランスをとっていくために、今国権の最高機関である国会で総合的に判断するために審議をしているわけですから、その中においては、これまで何度もくりかえしているが、消費税率の引き上げに関しては、中小企業経営の影響をできるだけ少なくするような時期や期間をとるべきではないか、弱者対策にも十分な配慮をするべきではないか、ということを国に申し入れている。
府内中小企業の支援についてだが、中小企業応援隊で4万社訪問によるきめ細やかな経営指導とか小規模企業の補助やイノベーションにつながる設備投資、研究開発など当初予算において育成型の中小企業の振興対策として30億円かけて組んでいる。今定例会でも、これからの省エネという社会を見通したかたちで3億円を超える財源を投入して新しい中長期的視点にたった自立化対策など中小企業にたいするさまざまな支援を盛り込んだ予算をお願いしている。今後とも、府内中小企業のサポートに取り組んでいくと考えている。
【商工労働観光部長・答弁】西陣などの和装伝統産業の振興について、和装産業にとりまく状況について「京都府伝統と文化のものづくり産業振興条例」を策定し、「匠の公共事業」等において、職人さんの仕事づくりに直接つながる事業をすすめてきた。昨年実施した「京の伝統産業未来を担う人づくり推進事業」では、祇園祭の大船鉾のご神体人形の衣装の新調などを通じ、職人の仕事づくりをおこなうなかで、通常では経験できない高度の技術を身につけるとともに伝統ある祇園祭の新たな発展にも貢献してきたつもりだ。
 さらに今年度は職人工房の設置など若手職人育成のために、ものづくりから販路開拓までトータルにサポートを行う「伝統産業若手育成事業」を新たに実施するなど、府の単独事業でおこなっている「匠の公共事業」の推進・継続とあわせ、職人さんへの直接の支援に取り組んでいる。西陣織工業組合の「無料職業紹介事業」では、京都府も産地のみなさんと一緒に協議し策定した「第7次西陣産地振興対策ビジョン」にもとづく、今年度から実施されているもので、産地のなかでの雇用のマッチングシステムで、府としてはホームページのリンクなど必要なことを実施している。
 また織機の更新や支援等について、これまで答弁しているように事業の経営は融資などつけて事業者の手で行なうもの。府としては、コントローラーと設備支援については中小企業応援隊がしっかりと対応するなかで、中小企業ステップアップ事業等で対応するとともに小規模事業所向けの経営安定支援、設備化対応には京都市と協調しておこなっている制度融資など積極的な中小企業支援をおこなっている。
 さらに技術分野の支援については、丹後にある京都府の織物機械金属振興センターと京都市の産業技術研究所が役割分担して実施している。西陣織に関しても、たとえば帯の6割以上が丹後で織られているが、織物機械金属振興センターにおいて、昨年度丹後の事業者等を通じて150件を超える技術指導等も行なっており、今後とも京都市と役割分担しながら技術指導に努めたい。
【農林水産部長・答弁】丹後とり貝は他に例がない、大きさと肉厚で独特の甘みのある京都ならではブランド水産物で、その種苗生産や養殖の技術は、わが国で初めて京都府の海洋センターが開発したもので、養殖を事業化しているのも京都府だけとなっている。
 養殖は波静かな湾内で行われ、シケ等の影響を受けにくいうえに漁業者にとって収益性が高く、安定した経営が見込めることから、その生産額は平成18年の3400万円から平成23年には7700万円と倍増している。府として漁業者の所得向上に丹後トリ貝の生産拡大は重要と考えており、種苗生産の中間育成用いかだには、平成17年度と平成22年度の2度にわたって海洋センターに増設し生産体制を整備するなかで、漁業者に配布する種苗の数を増やしてきている。
 本年度は整備した、いかだをフル稼働させるとともに作業員を増やすなど昨年度より4万個以上多い54万個を超える種苗の配布体制を整え漁業者の要望にこたえるようにしている。このような種苗の供給量の確保とともに、現在のところ、漁業者が種苗を成長させ出荷できる率は4割前後にとどまっていて、増産には適正な飼育環境を維持する高度な技術が必要で海洋センターと水産事務所が連携して養殖技術の改良をすすめるとともに、技術指導をおこない収益性を高めながら、丹後とり貝の生産拡大に努めたい。
【迫・再質問】消費税の問題では外国の例を出されたが、外国では消費税が国の税収の比率は2割前後のところが多い。日本の5%で4分の1近い状況になっている。こういう中で10%になったら、国の税収の半分以上が、消費税でまかなっていくという状況になってしまうではないか。それがあるから、みなさんの反対の声があがっている。しかもそれが逆進性があるんだということで、大変大きな声になっているんではないか。そう意味でこの逆進性をなくしていくことが、今、大変重要になっている。とくに西陣のネクタイ業者は大変で、クールビズで1年のうち半分ものが売れなくなってきている、さらに昨年の東日本大震災の影響があって売り上げが激減し、回復していない。業者数も最盛期の100社から20社に減っている。実際に織っている生産者はその半分。資金繰りも苦しくて限界になっているという状況だ。消費税が10%になったら西陣つぶれる、という地場産業の中小業者を見捨てるのか、ということを答えていただきたい。
 さらに、経済状況を盛り込んでいくと言われるが、実際に国会の質問でも「経済状況を勘案」とあるだけで、増税にはなんの歯止めにもならないことがはっきりしている。経済状況を充分に勘案しろといわれるのであったら、明確に消費税増税反対という意思表示を知事がしてほしいと思う。
 さらに西陣について多くのことを行なってきた、とおっしゃるが、しかし現実にはこれまでの事業予算が、緊急雇用対策が廃止されたということで削減をされている。これでは地域経済を支えてきた地場産業の振興に逆行する、ということをしっかり考えてほしい。今、地場産業再生のために府として仕事づくりをおこなって、地域の暮らしを支えている業界の方々を励ましていってほしい、ということが必要だと思っている。西陣の相談室だが、恒常的な研究、相談事ができる施設というのは、西陣の産地内にあってこそ、役割・機能が発揮される、だから京都府伝統文化のものづくり産業振興条例で未来にわたっての伝統産業の役割と府の責務を位置付けている。条例にもとづいて研究開発と技術の継承などの役割を発揮させるように、京都市とも連携をとり最善をつくすべきではないか。以上、お答えください。
【知事・再答弁】まさに国会で議論されているわけだが、全国知事会を通じて、経済状況の判断、弱者対策を徹底するように国・地方協議の場を通じて申し入れしている。その点について明確に表明さしてもらっている。そのうえでまさに、社会保障の財源というものはこれからの高齢化社会を迎えるとき国民的議論が必要。その部分を除いてはいけない。中小企業の支援については、今、全力を尽くして、そうしたバランスのなかに、はじめて京都の未来があると考えている。
【商工観光労働部長・再答弁】西陣の職人さんの仕事づくりについて、「匠の公共事業」について、京都府の単独事業でしっかりと対応している。また、国の雇用基金についてはしっかりと地方自治体と連携して、自治体がしっかりと雇用が確保できるシステムについて支援を国に要望している。
 また技術支援については、丹後の織物機械金属振興センターと産業技術研究所が連携共同して役割分担して、その技術支援を京都市と協力しながら進めている。
【迫・指摘】消費税増税法案が衆議院で可決されてから、国民の怒りがいっそう大きくなって、増税反対だという声が広がっている。マスコミもそれまで「増税ありき」という姿勢を示していたが、今国民負担がどうなるかということまで報じるように変化していきている。知事はそういう府民の声にこたえて消費税増税反対の立場にたつよう指摘する。
 西陣では仕事が減少するなかで、新しい仕事づくり、また高度な技術が求められている。それに応えるために相談室を府の条例に基づいて、この西陣の産地内につくってほしい、この体制を京都市と相談して改善してほしい。仕事ができない方っていうのは、本当にね、今思い切って仕事をまわす緊急雇用対策事業を求めている。この声にしっかりこたえていただきたい、ことを指摘し終わる。

ばば こうへい(日本共産党、京都市伏見区)2012年6月28日

労働者の労働条件引き上げへ公契約条例の制定を

【馬場】日本共産党のばばこうへいです。通告に基づいて、知事並びに関係理事者に質問します。

まず、公契約条例についてです。
 長引く建設不況による地域の建設土木業の厳しい状況は、誰もが認めるところであると思います。厳しい状況の中で業界自身も、単価の切り下げ競争で、設計労務単価の下落にみられるように、先の見えない状況が広がっています。そういった中で、地域の住宅・社会資本整備を担い地域経済を支える基幹産業である建設業界において、次世代への継承や産業そのものの健全な発展が危惧されています。本府が実施する公契約大綱は、業界や労働者団体の運動や声に押され、その声を部分的に具体化する形で今回制定をされるに至りました。そのこと自身は一定の前進であると思います。
 しかし、全国を見渡すと公契約条例が、野田市、多摩市、川崎市、相模原市ではすでに制定をされ、それ以外でも長野県、鹿児島県など県レベルも含めて制定の動きが広がっています。これまで知事は、公契約条例の制定を求める我が党議員の質問に対して、「公契約と私契約を分けるべきでない」「ナショナルミニマムが必要」と答弁を繰り返してきました。しかし、フルタイムで働いても生活保護の基準に届かない労働者、いわゆるワーキングプアという言葉が珍しくなくなり、公契約の場でも広がっています。根本的な対策は当然国に求められます。しかし、野田市の条例では冒頭に、国の法律整備などの措置が必要としながら、労働者賃金の低下などの現状を見過ごすことはできないとして、条例の制定に踏み切った思いが明記されています。このように、国の対策がなされないからこそ、国に対策を求めると同時に、その対策を待って手をこまねいているのではなく、行政が率先をして労働条件の改善に全力を挙げることが求められています。
府民の代表である知事として、現状をどう改善をしてくおつもりなのか。併せて、全国に広がっている公契約条例制定の流れをどのように考えているのか。知事の考えをお聞かせください。
 せっかく制定をした公契約大綱ですが、最も求められてきた労働者賃金については、明記されていません。全国を見渡すと、低すぎる最低賃金によってワーキングプアが生み出される中で、公契約条例を制定している野田市では、公共工事での最低の労務単価を設計労務単価の8割としていますし、同じく川崎市では9割とするなど、下請け労働者の賃金確保の対策が盛り込まれています。設計労務単価が下がり続ける状況が続いていますので、賃金の低下を厳密には止めることはできませんが、行政が自らの仕事の中での、労働者の労働条件を守る一つの方向を示すものです。建設業というのは、まさに「人」が支えるものです。今その人のところで、低価格の入札によってしわ寄せが大きくなっているわけです。末端労働者の賃金についても、基準を定め、対策を講じるべきだと考えますが、いかがですか。
 大綱では、府内発注の徹底が挙げられています。これまでから議会でのやり取りの中でも、府内発注はできる限り行っていると答弁されてきました。しかし一方で、知恩院の素掛け工事での入札参加条件で、我が党原田議員からもその異常さが指摘をされてきました。公契約大綱が議論をされている最中にも、石清水八幡宮の防火設備工事の入札で、参加4社中、府内業者が事実上1社しか指名されないということも起こっています。確かに直接府が発注するものではありませんが、府が国からの補助金の窓口になるわけで、徹底はできなくても府内の業者への発注を依頼することは十分に可能だったはずです。このような解決されなければいけない問題が、大綱の実施で、解決されるのでしょうか。
「今回まとめられた大綱というのは、理念なのか、運用規則なのかなんなのかわからない」。これは、先日お話をする機会のあった、建設業協会の役員の方の意見です。
今求められているのは、現状を打開できる内容と、その内容がしっかりと実行されることが担保されることではないでしょうか。国がしっかりとした役割を果たさない中で、本府として地域全体の労働条件の改善を図り、地域経済の底上げに全力を挙げることが必要です。そのためにも改めて、公契約条例の制定をすべきと考えますがいかがですか。
【知事・答弁】公契約条例について、京都府として私どもは元請け下請け関係の適正化や、重層的な下請け構造の改善、府内企業への発注の徹底に至るまで条例では書けないような具体的できめ細やかな対策を公契約大綱、これは運用の規則ですね。こういう形で体系的にお示しをして、具体的な取り組みをすでに実施をしているところです。
 ただ、条例事項として今、馬場議員があげられた中で、例えば公共事業だけ最低賃金を上げるということになりますと、これはなぜ公共事業だけ最低賃金が上がるんだろうと、これはやっぱり私は違和感があります。最低賃金というものは国の公契約のみならず私契約、これは先ほど石清水の例をあげられましたが同じことだと思いますので、そういう点からするとそこだけ条例で最低賃金を上げるというのは、私は違和感があります。また、下請けの単価とか割合については、これは契約側の話しですから、契約側としてしっかりとした下請け関係の適正化を図るという運営の中でできる話なので、だから条例事項ではないというふうに思っております。
 だから、そういう点からすると、その条例事項は一体何なのかというのが、私は今大きな問題ではないかと思っており、その点から今は公契約大綱でまずやってみて、しかもきめ細かな具体策、例えば第三者委員会による理由の説明までしっかりとしたものを作り上げていく、そういう体制としての手立てを作り上げていくということが、京都府としては大切ではないかなということで、公契約大綱の制定をしたわけです。
 府内企業への発注の徹底については、これは府内に施工できる企業が無いか極めて少数場合のみ例外的に府外企業への入札参加を認めることとして、外部の専門家で構成された入札監視委員会でチェックするとともに、その内容をホームページで公表して、こうした手続きを通じて府外発注の適正を評価検証し、府民への説明責任を果たしていくのだというふうに考えています。ただ、民間企業の場合は多分、補助金適正化法の問題があると思います。この点で、補助金適正化法の条件以外のものを付けることができるのかというのは、またこれはかなり難しい問題があるので、これは検討していかなければならないと考えています。
 いずれにしましても、京都府としては契約が遵守されるように努め、結局、契約にすでに書いてあるもの、条例事項出ない場合は契約書に書いてあるわけですから、それはもう契約書によって担保されるので、担保はあるわけですので、そこがしっかりとできるようにしていきたいと考えています。
【馬場・再質問】私が求めているのは、公契約だけ良くしろということだけを求めているわけではないんです。私契約であっても労働者の労働条件を守る、これは知事として当然の責任だと思うんです。国が手を出さない、それどころか労働者派遣法の骨抜き改定で現場の声に反する動きが起こっている中で、地域経済全体の底上げを図って行く知事として当然の役割、この対策を尽くすことが必要だと考えますが、どのように考えていますか。
 また、昨年夏に京都市職員労働組合が取り組んだ公契約に関わる実態アンケートの中では、市内業者だけですが、回答した建設業145社のうち50社が赤字覚悟で入札をした。66%が赤字入札の経費削減のために人件費や下請け単価を引き下げたと答えています。これが公契約の実態です。このような実態が建設業界の技術継承、健全育成等の根本にあるわけですが、人件費、下請け単価の保障がどうしても必要だと思うが、このあたりをどのように進めるつもりなのか。もう一度答弁をお願いします。
【知事・再答弁】なんかちょっと、公契約条例のことをおっしゃっているのか、私契約も含めた契約条例のことをおっしゃっているのか、わけが解らなくなってきてしまったんですが、私契約のケースになると、これは労働関係法規とか、そうしたナショナルミニマムの話になってきて、そこの中できちっとやっていかなければならない話ですので、それを一定地域だけかさ上げをしていくということになるのは、非常にやはり条例上は難しい面があるのではないかと思います。
 公契約条例ですとまた公契約という発注者の立場で解るんですが、ちょっと今、馬場議員の質問はその点、どちらをおっしゃっているのかよく解らなくなっしまいましたので、そういう点で答えさせていただきたいと思います。
 公契約大綱の中では、これは下請負人へのしわ寄せ防止と適切な労働環境の確保につきまして、具体的な措置を講じて提示をさせていただいておりますので、正に公契約条例よりもさらにきちっとした形で政策・対策を示す形で発注者としての責任を全うする形で我々は大綱を策定させていただいたということです。
【馬場指摘・要望】ご答弁いただいたが、今の建設業界をとりまく状況は、公契約もそうですし、私契約の面でも非常に厳しい状況にあるわけです。こういったとこと、地域経済全体をどうやって底上げしていくのかというのは当然知事のお仕事の一つだと思います。そういった意味で言うと、本府には今、公契約条例の中で労働者の労働条件も含めてしっかりと示していく、このことで同じく厳しい状況にある私契約の現状も引き上げていく、こういったリーダーシップの役割が求められていると思うのです。そういった意味では、条例制定を強く求めさせていただきたいと思います。この点は指摘して次の質問に移ります。

住宅耐震化促進、経済活性化につながる住宅リフォーム助成制度の実施を

【馬場】次に、住宅リフォーム助成制度についてです。
東日本大震災以降、府民の皆さんの防災、特に耐震化への関心は非常に高まっています。そういった中で、なかなか進まない住宅の耐震化について、これまでからの耐震改修助成制度の拡充を求める声がありました。この声に応える形で、本府でも簡易な耐震改修への助成制度が創設されました。耐震化に資するものにとなっていますが、これまで以上に幅広い工事に適用できるものとなっています。なにより、耐震化への呼び水としての制度が創設されたことは、これまで私たちが住宅リフォーム助成制度がその大きな役割を果たすと訴えてきた面からも大きな一歩であると考えています。
府民の関心の高さはすでに制度利用の成果として表れています。京都市では簡易改修の受付当初から申し込みが殺到し、先日には500件という予定件数に達して受付を終了するという事態になっています。また、耐震改修の助成事業自身も例年1年間で数件程度の利用が続いていた中で、今年度は、先月の終わりには予定していた35件を使い切ってしまっています。このように、先日の答弁でもありましたが、耐震化69戸、簡易改修が39戸と制度の実施が一気に進んでいるわけですから、早急に各自治体の状況を改めて把握をし、補正予算を含めて対策が必要ではないかと思います。この点についてお答えをいただきたいと思います。
加えて、制度の利用が進む一方で、簡易改修の助成制度の府下の自治体の制度実施が予定も含めて、今明らかになっているのが5市町です。補正予算で実施する予定の自治体もあるとは聞いていますが、全市町が実施できていないのはどのような理由だと考えていますか。お答えください。
目標の期限を見ても、全面的に喜べないが、東日本大震災の影響の中で申し込みや相談の件数が増えているのは間違いありません。住宅の耐震化というのは府民の命に直結をする問題です。これまでから求めてきましたが、特に今回実施された簡易改修への助成制度は、いわば呼び水の意味合いも持つ制度ですから、各市町の後押しという意味でも府の直接制度とすべきと考えますがいかがですか。
東海・東南海・南海地震の30年以内の発生確率は60~70%ともいわれています。耐震化率の目標達成に向けてさらに耐震化をさらに進めていくうえでも、打てる手立てを打ち尽くす対策が求められています。簡易改修への助成制度の結果が示すように、住宅の改修を進めることが、耐震化の促進に大きな力を発揮することが数字の上でも明らかになりました。今こそ住宅リフォームの助成制度を実施すべきではないでしょうか。昨年から制度実施をした佐賀県でも、お話をうかがうと、「いつかやろうかな」と思っていたものを、この経済状況の中で前倒しさせることができている。」「7億の予算で100億近い経済効果が、実施から3カ月で上がっている」とその効果を語っておられました。耐震化の更なる促進としても、経済対策としても、経験として大きな期待ができるような状況が生まれています。危惧されている地域建設業の技術継承、社会資本としての住宅の維持・整備という重要な政策目的を担う制度でもあります。住宅リフォーム助成制度実施をすべき、この様な決断をすべきだと考えますがいかがですか。
【建設交通部長・答弁】住宅耐震改修助成について、今年度の実績については5月末までに69戸の助成申し込みを受け付けたところです。府内26市町村における助成状況は逐次把握しており、市町村と協調しながら助成制度の計画的な執行に努めてまいります。この耐震改修助成は、簡易耐震改修も含め、地域事情に詳しい市町村が国及び府の補助制度を活用してそれぞれの状況に応じた内容を設定し直接対象者へ助成しており、府は引き続き市町村のニーズに合うよう助成してまいります。
 なお、簡易耐震改修に対する助成を予算措置している市町村は当初予算で3市、6月の補正予算で9市町、合計12市町です。引き続き他の市町村に府の補助制度について周知してまいります。
 また、住宅のリフォームへの助成について、京都府では従来から政策目的を明確にして改修助成に取り組んできて、耐震改修助成は築30年以上の木造家屋が震度6の地震で倒壊の危険性があるという事態に対応するために取り組んでいるもので、今後とも東日本大震災の教訓等もふまえ、特定の政策目的を達成するための改修助成にしっかりと取り組んでまいります。
【馬場指摘・要望】政策目的を持ってということを言われたのですが、地域の建設業の技術継承、社会資本としての住宅の維持整備、これは非常に重要な政策目的です。こういった政策目的の中で私たちは住宅リフォーム助成制度の実施を求めています。耐震化の促進はすでに待ったなしのところまできています。先ほど紹介をした東海・東南海・南海地震はもちろんですが、府内各地には直下型の活断層が走っています。そういったなかで危険が指摘されている直下型の地震がいつ起きるかわからない。地震の中でもし、耐震化の遅れによって命が失われることがあってはならない。だからこそ今打てる手立てを尽くす知事の決意が必要ではないでしょうか。耐震化を進めるうえでも必要となるのは地元建設業の力です。そういったところが今非常に厳しい状況にある。住宅リフォーム助成制度を実施した与謝野町では2億6000万円の補助金で約15倍の39億円余りの工事が生み出されました。制度利用としては、町内の持ち家世帯の4分の1が制度を利用し、下請け業者も含めると約8割の地元企業が制度利用に伴う工事を受注したということが報告をされています。実施自治体の結果が示すように経済効果としても、また建設産業の技術継承、健全育成に向けた支援策としても極めて有効なこの制度をぜひ早期に実施していくことを強く求めておきます。

青年雇用の実態を調査し、府は正規雇用拡大へ本腰を入れよ

【馬場】次に青年の雇用問題についてです。
若者の完全失業率は全世代平均を大きく上回り、派遣やアルバイトなど不安定な働き方の非正規社員は24歳以下で2人に1人にまで達しており深刻な状況が続いています。
そういう中で、厚生労働省の人口動態調査では20歳から39歳の死因の第一位が自殺であって、青年の自殺死亡率は失業率と連動して増加傾向を示していると報告が出されています。
京都府では平成22年度の自殺者数は567人でそのうち20歳から39歳では165人と29%となっています。就職失敗による自殺が2007年と比べても2.5倍に増加をするなど、日本の若者の置かれる状況は極めて異常と言わざるを得ません。
「6カ月契約の更新が続いて7年目」「ダブルワークやトリプルワークで何とか生活している」「一人社員で店長。あとはバイトだけで、休めない」「人手が足りず休日出勤があたり前。」「残業代なしでは生活が苦しい。残業時間を記入する帳面がそもそもない。」
これは日本民主青年同盟の皆さんが全国で取り組んでいる、「仕事と生活の実態調査」に寄せられた声で、1か月間で635人から回答が寄せられています。
5月30日から6月14日までジュネーブで開かれたILO総会では若年雇用問題が主要議題のひとつとなり、ここに代表を派遣しこの実態調査における日本の若者の生の声が届けられました。
ILO総会では、世界中から集まった若手リーダーからの意見にも留意した上で、「活発な行動を取らない限り、地球社会は失われた世代という悲惨な遺産に直面することになる」と警告し、「若者の雇用危機に早急に対処する革新的な手法と政治的な公約を求める」とする決議が採択されました。
今、青年の雇用危機対策に本腰をいれる必要があります。まず、府内の青年労働者がどのような状況なのか、本府として聞き取り調査を行う必要があると思いますがいかがですか。
先ほど紹介したアンケートにも示されているような不安定・低賃金労働、長時間過密労働の横行など劣悪な働き方といった世界的にも異常な現状は、若者に責任があるのではありません。その背景には政府が、財界・大企業の要望にこたえ、「労働法制の規制緩和」をすすめ1999年には製造業まで派遣を原則自由化したことにより派遣労働が増え、正社員が非正規に置き換えられ、非正規雇用や派遣切りなど大きな社会問題となりました。労働者派遣法の抜本改正を公約にかかげた民主党ですが、自民・公明との3党密室協議で登録型派遣と製造業務への原則禁止規定を削除することに合意し、骨抜き改正に終わってしまっています。
この京都でも、自動車部品製造会社「ジヤトコ」京都工場を雇い止めされた元派遣労働者11人が、直接雇用を求めた裁判がたたかわれました。ようやくこの3月に勝利和解となりました。約3年ものあいだ厳しい生活と苦しい思いを余儀なくされたわけです。長年の偽装請負を続け、派遣法の改悪に伴い派遣へと契約だけを切り替える。あげく期間の途中で首を切る。こうした異常な雇用が問題となりました。直接雇用を求める労働者の声や、労働局の指導を無視する中で、労働者に対する無法をやめさせ、権利を守らせるには裁判という方法しかなかったことは極めて問題です。
このような、人間をモノのように「使い捨て」にする雇用のあり方を知事はどのように思われますか。「雇用は正社員が当たり前」の社会をつくること、労働者派遣法の抜本改正を国に強く求めるべきだと考えますがいかがですか。
また、青年労働者にとっては、労働基準法の内容を知らなかったり、自分が違法状態に置かれていても分からなかったり、ましてや告発することなど非常に難しいのが現実です。
労働法制について、青年が正しく法令を理解できるように、知事は冊子を作成し広く活用し周知すると過去にわが党の質問に答弁されたにもかかわらず、今はホームページの掲載だけとなっています。いまやメーデーも知らない青年がいる中で、自分の働き方を正しく理解するためにも改めて冊子を作成し、教育現場も含めて広く活用することが必要ではないでしょうか。
本府の今年度の雇用対策予算では1万6千人雇用創出事業とあり、総合就業支援、戦略的企業立地の推進、循環型雇用システムを構築するとなっています。これまでも緊急雇用対策事業を国からの交付金で基金を創設するなどし、数字上では平成23年度で雇用見込み数6840人、こういった大きな数がならんでいます。大きな予算が付けられ実績も大きな数字が並んでいますが正規雇用にどれだけつながったのか。実感として全く見えてきません。青年に話を聞くと雇用状況はさらに厳しいとの声も聞かれます。臨時雇用から常用雇用に、また正規雇用にどれくらいつながったのか数字をお答えください。
【商工労働観光部長・答弁】若い方々の雇用について、実態の把握についてはこれまでもお答えしているとおり、雇用情勢が大変厳しいもとで京都ジョブパークにおいては若い方々を中心に年間総計で5万人を超える方々のカウンセリングをおこなうなど直接に声をお聞きしていることをはじめ、こうした場や労働相談など様々な形で実態把握をするとともに、国の各種実態調査も活用して必要な政策を進めているところです。
 雇用のあり方について、労働者派遣法については、派遣労働等の非正規雇用は賃金格差や不安定就労、キャリア形成など多くの課題を抱えているため、これまでから国にその改正を要望してきたところです。今回、日雇い派遣の規制強化や労働契約申し込みの見直し制度等の導入が図られるようになったところです。まずは新しい制度を定着させるとともに引き続き、派遣労働者の生活・雇用の安定や保護を図るための対策を強化するよう国に求めているところです。
 労働法制の啓発については、若者への啓発効果が高いインターネットを活用して、京都府のホームページに働く上で知っておくべき労働法のポイントや労働法制の紹介などを掲載しており、順次、時点時点ごとに見直しを行いながら周知啓発に努めております。
 また、高校生や大学生等を対象に府内講座を昨年度は33回実施して2277名が受講していただくなかで、働く前に必要な基礎知識のテキストを配布して具体的な啓発も進めるとともに、労働局などの冊子も活用しながら啓発をおこなっております。
 このような取り組みを通じて労働局や教育機関とも連携しながら、若者や労働者など広く府民の方々に労働法制の理解が深まるよう努めてまいります。
 緊急雇用対策について、京都府と市町村で雇用基金を活用し緊急的な雇用創出に取り組んできたところですが、その中で安定した雇用、長期雇用につなげるための人づくり事業や、ふるさと雇用再生特別基金事業等を実施してきたところです。両事業をあわせ、平成21年度から23年度まで延べではなく、実人員で1700人の雇用実績があり、そのうち6割を超える約1100人が24年度以降も継続的に雇用され、うち9割の約1000名が正規・常用雇用となっております。引き続きこれら事業を通じ若者の雇用対策に全力で取り組んでいきたい。
【馬場指摘・要望】ジョブパークで把握をしているとおっしゃいますし、労働法制の徹底に関しても学校に出向いてやっていると。ただ、どうでしょうか。学校に出向いてやっているのは、本当に府がやっているのでしょうか。聞き取りをさせていただくとNPOがその中心を担っていると。配布をしている冊子に関しても、NPOが有償で学校に販売をしている。こういったお話も聞いています。このような姿勢で本当に青年雇用に本気で取り組んでいるということが言えるでしょうか。やはり、本府がしっかりと直接自分たちの問題として取り組んでいく事が必要ではないでしょうか。雇用の問題は、確かに入口部分での問題も大切です。しかし、どういった状況で働いているのか、これがしっかりとつかめなければ、本当の意味で青年雇用の問題を解決したということにはならないのではないでしょうか。大卒の就職率が改善した、雇用創出が何千人ということが言われる一方で、今でも非正規雇用や使い捨てが当たり前、こういった現状が一体何をうみだすのか。ある非正規の青年は「このままでは結婚なんか考えられない。」と言われました。先ほど紹介をしたILO総会の決議が示すようにまさしく未来の危機をうみだすそういったことになるのではないでしょうか。総会決議が示すように、今早急な対策が必要です。変わりはいくらでもいる、こういった使い捨てが当たり前の社会ではなく、正規社員が当たり前、どんな働き方でも夢が持てる社会をつくっていくために国の法改正はもちろん、本府としても役割が求められています。そのためにも、抜本的に正規雇用を増やす政策の実施が必要です。その大前提として青年の実情をデータなど数字ではなく府としてしっかりとつかむことが必要です。本腰を入れた対策を強く求めて質問を終わります。

6月定例会 一般質問
浜田 良之(日本共産党、京都市北区)2012年6月29日

大飯原発の再稼働 その引き金を引いたのは知事の対応
【浜田】日本共産党の浜田良之です。通告に基づき、知事ならびに関係理事者に質問します。
まず第一に、福井原発群の危険性と京都府の態度について質問します。
東京電力福島第一原発事故の原因究明はいまだに終わっておらず、放射能汚染への不安が続いています。もう危険な原発はいらない、放射能から子どもたちを守りたい、というのが国民多数の願いです。しかし、野田首相はその願いに反して、大飯原発の再稼働を決断し、「原発は重要な電源」として、今後も原発に固執する姿勢を示しています。その引き金を引いたのが山田知事の対応ではないでしょうか。
山田知事は、4月17日に、滋賀県知事と共同で「国民的理解のための原発政策への提言」を出しました。それに対する政府の回答は、知事自身が朝日新聞のインタビューで「電力需給検証の第三者委員会を作ったほかは、ひどいものだった」と述べるような内容なのに、6月6日の再提言では、政府に抗議するどころか、再稼働を容認しました。これは、府民の命と暮らしに責任を持つ知事として、府民への裏切り行為です。
野田首相は、大飯原発再稼働の判断を示した6月16日の記者会見で、「福島を襲ったような地震・津波が起こっても、事故を防止できる」と断言しましたが、これこそ、「安全神話」の復活そのものです。
国会に設置された原発事故調査委員でもある、地震学が専門の石橋克彦神戸大学名誉教授は、「大飯原発周辺のFO-A断層、FO-B断層、熊川断層の三つの活断層が連動すれば、地震の揺れは現在の想定を大きくこえる」「日本海側にはプレート境界はないから大津波は起こらないということは絶対にありえない。大規模な地震が起こり、海底の逆断層の地震が起これば、大津波は起こる」と指摘しています。
また、変動地形学が専門の渡辺満久東洋大教授は、「大飯原発の敷地直下を走るF6断層は典型的な活断層の構造だ」と断言しており、産業技術総合研究所の杉山雄一氏も「大飯原発直下の破砕帯はもう一度調査すべき」と述べています。
このように新たな知見が次々と出てきているもとで、大飯原発周辺の地震・津波の危険性について、知事はどう認識されていますか。
6日の「再提言」でも、「地震・津波による危険性が高い地域に立地する原発の安全性について大きな不安を抱いております」と述べながら、なぜ、大飯原発の再稼働を容認したのですか。安全性に不安があるなら、撤回すべきではありませんか。
わが党議員団は、全国最大14基の原発が集中立地する福井原発群を視察し、専門家の意見もお聞きし、福井原発群には、地震・津波の危険に加え、老朽化、核燃料サイクル、使用済み核燃料と、5つの危険があると考えています。
14基の原発の内、8基が運転開始から30年をこえ、敦賀1号機と美浜1号機がすでに40年を超えており、美浜2号機も来月には40年を超えます。老朽化した原子炉の危険性は、専門家が厳しく指摘しています。金属材料学が専門の井野博満東大名誉教授は、鋼は、ある温度より低い温度では、陶磁器のように小さな力でも割れてしまうが、この境界の温度である「脆性遷移温度」が高いと、炉心を急速に冷やした際に、熱衝撃で圧力容器全体が破壊してしまう危険が高くなる、と指摘しています。この脆性遷移温度が一番高いのは九州電力玄海1号機で98度ですが、高浜1号機95度、美浜1号機81度、美浜2号機78度、大飯2号機70度と福井原発群が続いています。
 高速増殖炉「もんじゅ」は、1995年にナトリウム漏れ事故が起こり、運転を停止したままですが、電気代などで15年間に2兆4千億円、1日5500万円もの税金が注ぎ込まれています。高速増殖炉は、技術的社会的に抱え込む困難があまりにも多く、他国は撤退しているのに、日本政府は「もんじゅ」に固執しています。また、ウランとプルトニウムを混合したMOX燃料を燃やす、危険なプルサーマル運転も高浜3号機で行われており、さらに4基で予定されています。
 使用済み核燃料は崩壊熱を出し続けるので、冷却し続けなければならず、原子炉建屋内の貯蔵プールに大量に保管されています。この使用済み核燃料が、福井原発群では、あと7~9年で満杯になります。
 こうした5つの危険を持つ福井県の原発群は、すべて廃炉にすべきだと考えますが、いかがですか
先ほどの井野教授は、「1970年代に運転を開始した原子炉の製造技術は未熟、鋼材の製造過程の欠陥も考えられ、耐久性も疑問だ」とも指摘しています。ところが、原子力安全・保安院は、この7月に40年を超える美浜原発2号機について、40年を超えて運転しても安全性を確保できるとした関電の評価を妥当としました。「再提言」では、「『40年廃炉方針』が例外なく実行され、政府の方針とされる『脱原発依存』社会へ向けて、廃炉計画が速やかに示されることを希望します」と述べています。この立場からすれば、美浜原発2号機の運転継続は認められないと思いますし、少なくとも、専門家がその危険性を厳しく指摘する老朽原発は、直ちに廃炉にすべきだと考えますが、いかがですか。

避難者の切実な声、要望にきめ細かな支援を

【浜田】関連して、福島原発事故の影響で、京都に避難している被災者の支援策について質問します。
私は昨年来、シャトルバスの延長、公営住宅などの入居期間の延長、就労支援などを求めてきました。公営住宅の入居期間については、当初の1年が2年に、2年が3年に、と延長され、被災者のみなさんから喜ばれています。シャトルバスについては、被災地と京都を往復する交通費の負担もたいへんであり、再開が求められています。原発事故によって避難せざるをえなかった人たちへの支援は、国と東電が責任を持って行うよう求めるべきです。同時に、その支援が行われないなら、夏休みに被災地の子どもたちを京都に招くNPOなどのとりくみや、お盆休みの帰省などの際に、府としてシャトルバスを運行すべきではありませんか。
就労については、ハローワークで就職を希望された人の4割足らずしか就労に結びついていません。先日、東京や郡山市から母子避難されている女性たちから、小さな子どもを抱えて、仕事を探したり、保育所を探すのが大変という切実な声をお聞きしました。
 5月13日付京都新聞には、「原発事故避難者 京滋でも息長い支援を」という社説が出ましたが、「就労支援で紹介された仕事は短期雇用で、年度変わりで職を失った」「母子避難の二重生活で、家計が苦しい」などの避難者の切実な声が紹介されています。
こういう状況のもとで、就職を希望する府内の避難者の要望を聞きながら、正規雇用を求める長期避難者にはハローワークと連携して就職支援していくなど、きめ細かい支援が必要だと思いますが、現状はどうなっていますか。
総合相談窓口はありますが、それにとどまらず、被災者の皆さんへの就労支援、保育所入所や学校の転校などについて、ワンストップで対応できる窓口が必要ではありませんか。
【知事・答弁】浜田議員のご質問にお答えします。大飯原発の再稼働等についてですが、代表質問でも答弁いたしました通り、私の立場というのは福島原発事故の知見を踏まえた安全基準を作成し、できるだけ安全性の向上に全力を挙げること。そして使用済み核燃料の処理を含め、脱原発依存に向けた中長期的なエネルギー対策の道筋を早急に明らかにしていくという立場でありまして、脱原発即廃止の浜田議員とはその立場は異なるところがありまして、その点から裏切りと言われても困ってしまうなという感じがいたします。
国におきましては、その中でメルトダウン対策について、安全対策が講じられてきたこと、再稼働は暫定的な判断基準に基づくものであることを認め、新設される原子力規制委員会におきましても、安全基準を作成し、稼働中の原発のバックフィットを行うとしたこと、大飯発電所再稼働に当たりまして特別な監視体制を設けたこと、そして今年夏の電力需給につきまして需給監視委員会を設置し、厳しい状況がある程度検証されたこと、国におきましても一定の進展が見られた。そして同時に私どもも厳しい電力需給におきまして関西連合のなかでもプロジェクトチームをつくり徹底的に検証を行っていく。先ほど四方議員からお話がありましたように、実はこうした中で、もしも電力になにかあった場合に大変な被害を受けられるのは弱い立場にある人々であり、中小企業である。そして医師会をはじめこうした方々から不安の声が寄せられる中で、私たちはこの夏をどう乗り切るのかといった観点から府民生活の安心安全を総合的に勘案して、今回の判断にいたったわけでありますので、これが私の判断であり、私の立場であることをもう一度申し上げておきたいと思います。
また安全につきましてはこれからもしっかりと高めていく必要がありますし、一つ一つに着実にこなしていく必要がある。この点で、これで十分ということはありえないというふうに思っております。活断層の連動性や破砕帯につきましても、これはいろんな意見があるのは事実であります。
私たちは、政府の方は連動性については考慮する必要がないとか、仮に連動しても耐震安全性等については、十分な余裕を取っているからこれは大丈夫だとか、破砕帯でないとか、保安院が判断していまして、これを福井県の原子力安全専門委員会が確認しているところですが、こうした問題についても改めて原子力規制委員会において、あらたな安全基準を定めて適切に対応されるということをしっかりと求めていきたいと思いますし、今回の政府提案の中でも、日本海断層についてもしっかり調査をするように求めているところであります。
また、脱原発依存についてはどういうプロセスで進めていくとかが重要でありますので、現実的な対応は問われていることから、私どもは最低限を下したところであり、老朽原発につきましても40年度廃止方針の実行と廃炉計画の速やかな提示を国に求めているところです。これからもこうした立場から行動してゆきたいと思います。

【危機管理監・答弁】東日本大震災による避難者の支援についてでございますが、交通費などの生活支援については、全国知事会から住宅雇用をはじめ生活全般にわたるきめの細かい支援を機動的に実施することなど、被災者に対する支援の充実強化を強く国に要請していまして、近く再要請も検討されてところでございます
京都府のシャトルバスにつきましては、交通手段が寸断されていた中で、職員派遣バスを活用して、全国で唯一運行していたものでございまして、現時点での運行は難しいと考えています。また京都府としてバスを運行し、現地の子供たちを夏休みに京都へ招待する、福島応援京体験プロジェクトを本年も予定しているところです。なお年末年始に引き続き、ボランティア団体と被災者が連携して、子どもたちの夢の夏プロジェクト実行委員会としてバスを運行し、7月下旬から8月に家族と同級生の再会を計画され、京都府としても後援の上、支援情報定期便を使って府内の避難者にその案内を行っているところでございます。
避難者の就労支援につきましては、昨年3月にいち早く、京都ジョブパークに東日本大震災関連就職支援等特別窓口を開設し、これまでに202件の利用がございました。また緊急雇用基金を活用して、これまで43名の就職を支援したところでございます。これらを含め府内の各ハローワークを通じ、これまでに183件の就職が決まっております。
窓口では、生活の本拠移転を見据えた正規雇用の希望のほか、母子だけが避難されていて、パート的な就業を希望される場合など、多様なケースもございますが、今後も関係機関と連携し、きめ細やかな支援に努めてまいりたいと考えております。
相談窓口につきましては、震災直後の昨年5月に、仕事と生活に係る、26の機関が参加するワンストップ相談会を開催しましたが、時間の経過とともにニーズが多様化してきていることから、京都府災害支援対策本部に設置している総合相談窓口におきまして、各種専門相談窓口を紹介するなど、今後とも避難者支援のためのプラットホームに参加している民間支援団体とも連携し、個々の事情に応じた対応に努めてまいりたいと考えております。

少々の危険には目をつむれとは、政府や財界と同じ立場でないか

【浜田・再質問】知事も四方議員も、中小零細企業や弱者の皆さんから電力不足への不安の声があると言われますが、政府の電力需給検証委員会の委員でもある京大の植田和弘教授は、日本記者クラブでの講演で、「原発再稼働なしの前提で、電力需給のギャップ解消は可能。それを詰める場をつくることが大事だ」と主張されました。また、「総合的判断」と言いますが、知事は、朝日新聞のインタビューで「最後は、安全性と電力需給を天秤にかけないといけなかった」と述べています。これでは結局、「電力の供給のためには、少々の危険には目をつむれ」という政府や財界と同じ立場ではありませんか。舞鶴市の多々見市長は「電力が足りなくなるから原発を動かすというのは本末転倒だ。信用できる安全基準を示すまでは容認できない、と言い続けるべきだった」と述べています。万が一、大事故が起こったら誰が責任を取るのですか。府民の安心・安全を守るべき知事として、安税を無視をして再稼働を容認したことの誤りを認めるべきです。
 また、脱原発依存ということに関して、知事は30年、40年かけて廃炉をと言っていますが、朝日新聞のインタビューで、知事は「反原発の姿勢を取ったことはない。30~40年先に向けて減らしていくだろうが、原子力とはまだ付き合わないといけない」と述べています。これは、老朽原発も動かし続けてもいいということなのか、すぐに廃炉にするにしても30~40年かかるということなのか、どちらですか。はっきりと答えてください。
被災者支援について、「ふくしまっ子応援 京・体験プロジェクト」のことを言われましたが、これは、小学生30人、中学生30人で、定員が少なすぎます。もっと増やすべきです。
私が先日お会いしました、山科の市営住宅に母子避難されている方は、「私たちのように二重生活をしていると交通費が大変で、被災地に残っているお父さんが、こちらに来る回数が減ってきている。文化行事などの招待もありがたいが、1回分でもいいから実家との往復の交通費を援助してほしい」と、涙ながらに訴えられました。せめて、お盆休みの帰省期間だけでも、シャトルバスを運行することはできないのでしょうか。
【知事・再答弁】お答えします。言葉の端端だけ切り出して、取り出すといろんな言い方ができるんですが、需給検討委員会の植田先生というのは、実は私ども関西広域連合のPTの座長さんなんですね。そのもとできちっと需給検討委員会をやって、そこで我々は報告を受けているんですから、そこで厳しいということをおっしゃっていて、その中で我々は判断をしたということでありますので、植田先生の一言だけとりあげてすね、そういうのはおかしいなと思います。
私たちは、安全というのは府民の安全というのは、両面から総合的に判断しなければいけない、その中で総合的な判断をしていくというのは、これは知事の責任でありますから私はその知事の責任におきまして総合的な判断から行っているということは理解していただきたいと思います。
また、私どもは京都市長さんや商工会議所の会頭さんとともに未来懇を開催して、30年後に原子力エネルギーゼロの都市をめざそう、その中で40年の廃炉方針については、しっかりと守ってくださいということ申し上げているということでございます。
【危機管理監・再答弁】先ほど申し上げましたボランティア被災者支援との実行委員会、ここでは    例えば家族再会は40名、同級生再会子供の方は98名の予定です。それと私どもがこれ以外で承知しているのは府内の大学関係者とボランティア関係の方が数件のこういう取り組みをしていただいています。私ども従来から申しあげていますように行政と民間団体がプラットホーム等を通じまして、いろんな連携を通じながら今後とも支援を府民的にしていきたいと考えております。

電力不足を理由に国民を脅すようなやり方は許せない

【浜田・指摘】大飯原発の再稼働に対しては、舞鶴市長だけでなく、京丹後の中山市長が「今のままでの再稼働には反対」、綾部の山崎市長は「再稼働決定は時期尚早」など、北部の市長さんはそろって批判されていることを指摘しておきます。
そもそも、電力需給問題は、政府と関西電力に責任があります。「全協」(府議会全員協議会)で出された資料では、揚水発電や水力発電は、昨年よりも減っていました。また、関西電力は先月、電気を使うほどポイントがたまるサービス制度を「一時中止する」と発表しました。このように、原発再稼働を前提に、抜本的な電力供給対策や省エネ対策にまともにとりくまず、夏が近づいたとたんに、電力不足を理由に国民を脅すようなやり方は絶対に許せません。そのことを指摘して、次の質問にうつります。

介護保険制度の改定問題 国に対して直ちに改善を求めよ

【浜田】介護保険制度の介護報酬改定について質問します。この4月から実施された介護報酬の改定は、介護現場にたいへんな混乱と矛盾をつくりだしています。
 訪問介護の生活援助時間短縮では、事業所やホームヘルパーさんから、「90分なら、買い物と掃除がやれたけど、60分では、二つともやるのはむつかしい」「利用者と話をする時間も惜しく、声をかけにくくなった」「元の時間通りやると、介護報酬額が引き下げられたので、事業所が持ち出しをせざるをえない」などの声が、利用者から、「バタバタとヘルパーさんが帰っていく。そばで見ているだけで落ち着かない」などの声が、寄せられています。
 ディサービスの時間変更では、事業者から、「6時間のままでは10万円の減収になるので、仕方なく7時間に変更したが、迎えも送りも忙しくなった」「ディサービスの送迎時間が変更されると、配食サービスの時間変更も必要になる」などの声が寄せられています。利用者から、「年金は減り、介護保険料は引き上げられ、その上利用料も増えて大変」などの声が寄せられています。
 厚生労働省は「介護報酬改定に関するQ&A」を出しています。3月16日付が251問、3月30日付けが43問、あわせて294問。これだけのQ&Aを出さなければならないほど、疑問と矛盾だらけの介護報酬の改定だということではないでしょうか。
本府でも5月31日に、市町村に通知を出して、実態の報告を求めておられますが、現時点で、どんな報告が届いていますか。
 次の介護報酬の改定は3年後ですから、現場の実態はとてもそれまで待ってられません。
すでにこれだけの問題が明らかになっているのですから、訪問介護の時間短縮と介護報酬切り下げの撤回など、国に対して直ちに改善を求めるべきではありませんか。

生活交通対策は暮らしを守るまちづくりの課題、制度の拡充を

【浜田】最後に、「府民の足」を守る、生活交通対策について質問します。 
昨年取り上げた、北区雲ケ畑の京都バスの路線廃止問題は、その後、地元の自治会がジャンボタクシーを1日2便運転するという方法で、何とか住民の足が確保されました。東山区今熊野では、昨年7月に「今熊野生活足の会」を設立し、月1回4便のコミュニティバスを走らせています。山科区の鏡山でも、昨年12月に「鏡山生活支援バス実行委員会」を立ち上げ、月1回7便のコミュニティバスを運行させています。このように、各地で生活交通確保の地域住民の努力が行われていますが、行政の支援がきわめて不十分です。
わが党議員団は、この3月に、二つの政令市をかかえる福岡県の生活交通対策を視察してきました。
 福岡県では、生活交通の将来にわたる安定的確保を図るため、県と市町村が連携し、広域的な観点から具体的な方策を立案し実施していくことを目的に、2年前の6月に、副知事及び全市町村長で構成する福岡県生活交通対策会議を設置し、生活交通対策を抜本的に強化していました。本府にも、生活交通対策協議会があり、ブロック協議会には市町村も参加していますが、バス路線の廃止などの動きがあった際に、代替策を協議・調整する程度の役割しか今は果たしていません。福岡県のような、副知事と市町村長で構成し、生活交通確保対策の立案・実施に責任を持つ体制にすべきではありませんか。
また、生活交通問題は、高齢者や車に乗れない人たちが、買い物や病院に行く手段がない、まさに日常生活を送る上で欠かせない問題です。したがって、生活交通対策の位置づけを、単なる交通対策でなく、住民の暮らしを守るまちづくりの課題に位置づけるべきではないでしょうか。
福岡県では、政令市も対象にした地域コミュニティバスの経費に対する県独自の補助金制度をつくっています。市町村や地域コミュニティ等地域住民が運行するコミュニティバスの車両の購入・買い換えに要する経費、市町村が運行するコミュニティバスにより生じた欠損額、市町村が路線バス維持のためにバス事業者に対して行う補助経費などに補助を行うものです。京都でも、地域住民が運行するコミュニティバス、久御山町や精華町など府内の市町村が運行するコミュニティバスへ府が支援を行うべきではありませんか。また、今は過疎地域だけが対象になっている国の支援制度の拡充を求めるべきです。以上をお答えください。
【健康福祉部長・答弁】訪問介護サービスの生活援助に係る時間区分の変更についてでありますが、国からは適切なケアマネージメントに基づき利用ニーズに応じたサービスを効率的に提供する観点から、今回見直しを行った旨の説明がございました。
京都府では変更後、速やかに市町村に対してサービスの利用実態について報告を求めたところであります。現時点におきまして、利用者等からの苦情や相談を受けた市町村は3市14件でありましたが、大半の市町村からは、概ね問題なしとの回答をいただいているところであります。今後とも適切な訪問介護サービスの利用促進を図る観点から、引き続き市町村を通じて、生活援助サービスに係る実態の把握に努めますとともに、問題が生じた場合には速やかに国に対して要請して参りたいと考えます。
【建設交通部長・答弁】生活交通対策についてでありますが、京都府生活交通対策地域協議会は市長会、町村会の代表、バス事業者の代表、国の地方機関等から構成されており、バス路線の休廃止や過疎地域等における不採算バス路線の支援計画等について協議をしております。一方、市町村単位に設置されております、地域公共交通会議は、自治体の長、交通事業者、地域住民の代表等から構成され、地域の交通の在り方を具体的に協議調整されており、府の協議会と市町村の交通会議は適切な役割分担の下、生活交通の確保対策の立案実施に責任を持つ体制を構築しております。
又、住民の生活の移動手段を確保し、町づくりの観点からも重要であるコミュニティーバスの事業者や助成する市町村に対し、府は補助金でその分担をしてきており、平成23年度に、府は10の市町へ、約1億7000万円の補助をしております。
なお昨年度から、国は新たに運行される生活バスへの補助制度を創設しており、京都府域では平成24年度に、3路線で約420万円の補助申請が国に対してなされております。こうした補助制度はいずれも、他に代替する交通手段がなく、又乗客が少ないため運行が困難な過疎地域等でのコミュニティーバスを対象に助成をしているところでありまして、助成の必要性の高い過疎地域等におけるコミュニティバスへ引き続き支援をしてまいります。
【浜田・指摘】本府の「国の施策及び予算に対する政策提案」では、「生活援助の利用に当たりサービス時間の切り下げ等により、必要な介護サービスが受けられなくなる懸念がある」と述べ、「次期介護報酬改定に当たっては、サービス事業者や利用者の意見を十分に踏まえた検証を行い、反映させていただきたい」と要望しています。しかし、すでに懸念が現実になっているのですから、直ちに改善を求めるべきです。
 「住民の足」である生活交通の確保のために運動されている皆さんは、「同じように税金を払っているのに、住んでいる地域によって行政サービスに差があるのはおかしい」と訴えておられます。この声に応えていただくよう強く求めます。

安全神話の復活は許せない。大飯原発再稼働の撤回を!

【浜田・指摘】最後に、一言申し上げます。私はこの間、今なお放射性物質の健康被害におびえながら、避難生活を強いられ、賠償を受けるめどすら立っていない被災者のみなさんの訴えを聞いてきました。その苦しみの根源は、「日本では大事故は起こらない」という「安全神話」にあります。それなのに、事故の教訓から最低限必要とされた防潮堤のかさ上げや免震棟の建設などを先送りしたまま再稼働を認めた野田首相や山田知事の態度は、「安全神話」の復活以外の何物でもありません。
先日の株主総会後の記者会見で、関電の八木社長は脱原発の経営転換は全くありえない。安全が確認されたプラントは再稼働させていく、と述べています。これはまさに被災者の皆さんへの挑戦ではありませんか。日本共産党は、大飯原発再稼働方針の撤回と原発ゼロの日本めざして全力を尽くすことをお約束して、質問を終わります。

≪他会派一般質問項目≫

【6月27日】

■能勢昌博(自民・長岡京市及び大山崎町)

1 高齢者福祉施策について

2 学校図書館の充実について

3 安心・安全なまちづくり、交番・駐在所

について

■岡本忠藏(創生・舞鶴市)

1 還幸について

2 防災対策について

3 防衛産業の維持・育成について

■山本正(民主・宇治市及び久御山町)

1 本府の政策形成のプロセス(審議会等)に

ついて

2 地域主権改革一括法による市町村への権限

移譲について

3 府営住宅における住環境整備について

■田中英夫(自民・亀岡市)

1 関西広域連合について

2 専用球技場について

3 府立高校の職業教育のあり方について

■豊田貴志(民主・京都市山科区)

1 二元代表制について

2 専用球技場の整備について

 

【6月28日】

■二之湯真士(自民・京都市右京区)

1 宗教者の叡智を生かす京都ならではの取り

組みについて

2 映画・映像産業の活性化について

3 本府と京都市の関係について

■松井陽子(民主・京都市伏見区)

1 若者の就労支援への取り組みについて

2 ワーク・ライフ・バランスへの取り組みに

ついて

【6月29日】

■岡本和德(民主・京都市右京区)

1 首都機能バックアップ体制の構築と御還幸

について

2 地方外交について(台湾との地方外交)

3 農林水産物のブランド対策について

■四方源太郎(自民・綾部市)

1 防災対策について

2 JR山陰本線について

■林正樹(公明・京都市山科区)

1 成年後見制度について

2 小児がん対策について

3 新型インフルエンザ対策について

4 情報モラル・リテラシー教育について