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討論

2012年6月定例会意見書・決議・議案討論

2012/07/10 更新
[ 討論 ]
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●6月定例府議会が7月6日に閉会しました。閉会本会議での意見書・決議案討論(かみね史朗議員)、議案討論(島田けい子議員)、意見書・決議案文、意見書・決議案の採決結果を紹介します。

かみね 史朗 意見書案討論・・・・ 1
島田 けい子 議案討論 ・・・・・ 3
意見書案文 ・・・・・・・・・・・ 6
意見書案採決結果・・・・・・・・・ 9
議案採決結果・・・・・・・・・・・10

6月定例会 意見書案討論

かみね史朗(日本共産党、京都市右京区)2012年7月6日

日本共産党議員団を代表してただ今議題となっております意見書案8件に賛成する討論を行います。まず、わが党議員団の大飯原発の再稼働の中止、原発ゼロを求める意見書案です。大飯原発の再稼働の中止を求める声は、国民多数の声であり、再稼働を強行した野田内閣に対して、国民の怒りは空前の規模で広がっています。6月29日夜には、主催者発表で20万人もの市民が首相官邸を取り巻き、大飯原発の再稼働やめよの大合唱が響き渡りました。仕事帰りの仲間がそろって参加し、小さな子ども連れのお母さんや家族連れ、全国からツイッターやインターネットでの呼びかけに応えて駆けつけた人であふれました。京都でも関西電力京都支店前での抗議行動への参加が回数を重ねるたびに増えています。
 なぜこのような変化が起きているのか。それは、福島原発の大事故による悲惨な放射能被害の恐ろしさを国民みんなが体験し、安全神話こそ原発事故の最大の原因であり、原発が人類の生存と両立できない存在であることを認識しはじめているからだと思います。それにもかかわらず、野田内閣は、再び安全神話で大飯原発の再稼働を強行し、原発をあくまでエネルギーの基幹電力に据え、国民の安全よりも原発利益共同体の利益を優先させようとしています。国民の怒りが爆発するのは当然であります。
 昨日発表された福島原発事故にかんする国会の事故調査委員会の報告書は、原発再稼働の根拠を崩す重要な指摘がおこなわれました。一つは、原発事故は自然災害ではなく、明らかに人災だと断言したことです。大津波による電源喪失の危険がたびたび指摘されてきたにもかかわらず、東京電力と政府が何の対策も講じなかったことが根本的な事故原因であると明確にされました。二つ目は、規制する側と規制される側の力関係が逆転していたということ。三つ目は地震による原子炉の損壊について、ないとは確定的には言えず、引き続き第三者による検証が行われるよう求めました。
 これらは、大飯原発3・4号機の再稼働の根拠が崩れたことを示すものであり、再稼働には全く道理がないといわなければなりません。
こうした中で、本府議会が行うべきは、二度と原発事故を繰り返さないために、府民多数の怒りに応え、原発再稼働の中止を実現し、原発ゼロの社会にむけてしっかりと役割を果たすことであると確信するものであります。その点で、府民の命と安全を守るべき知事が再稼働を容認し、府民多数の願いに背を向けていることは重大であり、改めて厳しく批判するものであります。
 関連して、自民、民主、公明三党提案の再生可能エネルギーの導入促進に向けた環境整備を求める意見書案についてです。賛成するものでありますが、原発を基幹電力に位置づけるのではなく、「原発ゼロ」を決断してこそ、再生可能エネルギーを飛躍的に拡大することができるということを強く指摘しておきたいと思います。
 次に、わが党提案の消費税増税法案の撤回を求める意見書案と社会保障制度改革推進法案の撤回を求める意見書案についてです。衆議院で民主、自民、公明三党の談合でこれらの法案が可決されましたが、国民の反対の声は高まるばかりです。直後の毎日新聞の世論調査では、増税法案の成立を望まないとする国民は63%であり、三党の修正合意を評価しないは55%に達するのであります。
 それはなぜか。消費税大増税と社会保障の切り捨てが行われたら、一世帯平均年間40数万円という大幅負担増が国民と中小企業を襲い、府民生活も京都の経済も国の財政も大変なことになるということを肌身に感じているからです。国民感情から大きくかけ離れた政治に、今きびしい批判の目が注がれていることを認識する必要があります。
 わが党は、消費税に頼らない別の道があることを本府議会でも、国会でも堂々と提案し、府民のみなさんから共感の声を頂いているところです。大金持ちや大企業ほど安い税金を正し、大型公共事業や軍事増強予算など不要不急の税金の使い方を改めれば、年間12兆円もの財源をつくり、社会保障を充実させていくことは可能です。そのためにも、財界中心、アメリカいいなりの政治をただすべきであることを強調したいと思います。
 社会保障制度改革推進法案について知事は、「家族相互、国民相互の助け合いは当然。それを行政がどう支援するか突き詰める必要がある」と述べましたが、社会保障を生存権の保障から、自立と自助を基本としたものに変質させる知事の姿勢をはっきり示した答弁であります。知事は、憲法25条の規定を再認識すべきであります。
 消費税増税法案と社会保障制度改革推進法案は、多くの府民が反対しており、府民生活と京都経済をどん底に突き落とすものであり、撤回すべきであります。
 あわせて、わが党提案の介護保険・生活援助時間短縮の見直しに関する意見書案についてです。4月の介護報酬改定による訪問介護での生活援助時間短縮に抗議する声が広がっています。それにこたえて名古屋市や、川崎、大阪、広島の4政令市が事業者に、一律の時間短縮や不当な時間制限は「指導」「監査」の対象になると通知を出しています。
 訪問介護の現場を無視した生活援助の時間短縮には、厚労省も「国民の苦情、声がたくさん届いている」と認めています。「見直し以前に提供されていた60分程度のサービスや90分程度のサービスを45分以上の生活援助として位置付け、見直し後も継続して提供することは可能」と言わざるを得なくなりました。
 しかし政府は生活援助の介護報酬の上限を「60分以上」2910円から、「45分以上」2350円へ引き下げたままです。これでは「90分程度のサービス」提供は、事業者の持ち出しになります。
 訪問介護は援助の総体を通し、介護を必要とするお年寄りが「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」(介護保険法第1条)支援することが目的です。こうした介護保険法の目的・理念にも反し、生活援助の時間短縮を進めることは、在宅のお年寄りの命綱である訪問介護を奪うことにもつながりかねません。したがって、国に時間短縮・介護報酬切り下げの撤回を求めるべきであります。
 次に、わが党提案のオスプレイ配備の中止を求める意見書案についてです。森本敏(さとし)防衛相が沖縄、山口両県を訪れ、事故が相次ぐ危険な米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイを山口県の岩国基地経由で沖縄県の普天間基地に配備するとの米政府の通告を伝えたことに、米国の「使い走りか」と怒りの声が噴きあがっています。
 仲井真弘多(なかいまひろかず)沖縄県知事は「事故を起こして安全性に疑問が持たれているものを押し込んでくることには断然拒否するしかない」と怒りをあらわにしました。二井関成(にいせきなり)山口県知事も先行搬入を拒否しています。和歌山県の仁坂吉伸知事も県議会で、「本県の上空を飛ぶ必然性が説明されていないなか、大変危険性を伴い県民に不安を与えるものであるため訓練には反対である」と明言しました。
 オスプレイは4月にアフリカ北部のモロッコで、6月には米国のフロリダで墜落事故をおこしたばかりです。エンジンが停止したさいに安全に着陸する機能をもたず、構造的欠陥が濃厚なオスプレイの配備は、住民を危険にさらすだけです。
 問題なのは、藤村修官房長官がオスプレイの配備は米国の「安保条約上の権利」だとのべたことです。安保条約6条は米軍が日本にある基地を「使用することを許される」と規定しているだけです。「許される」とは、米軍に基地使用を「『許す』も『許さない』も、日本国の自由」というのが専門家の見解です。
 「法的権限がない」といって米軍の運用を野放しにするなど、安保条約に照らしても許されることではありません。仲井真知事が森本防衛相に、安保条約にもとづき米軍駐留を定めている地位協定をもちだすなら、「全基地即時閉鎖という動きにいかざるをえない」と述べたのは沖縄県民の総意であります。
オスプレイは沖縄県内を飛行するだけでなく、本土の東北地方や北信越、近畿・四国、九州などで夜間も含めた低空飛行訓練をおこないます。危険は日本全土を覆います。国民の命を守るため沖縄県民と本土の住民が一体になって配備に反対することが必要であります。以上、わが会派提案の意見書案への賛同をお願いするものであります。
次に、三会派提案の痛ましい交通事故の根絶に向けた立法措置と交通安全対策の強化を求める意見書案についてです。亀岡市や祇園で発生した悲惨な交通事故は、誠に痛ましく、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、今なお傷の癒えない方々に心からお見舞い申し上げるものです。危険な運転を行い、尊い命を奪った加害者に憤りの念を禁じ得ません。亀岡の被害者家族のみなさんが、こうした危険運転を根絶すべく大きな運動を展開され、21万人もの賛同署名を集められたことに敬意を表するものであります。こうした痛ましい交通事故の根絶に向けた意見書案の趣旨には賛同するものでありますが、刑法による罰則の強化は法曹界などからの意見も踏まえて検討すべきであることを指摘しておきたいと思います。
最後に、三会派提案の防災・減災に資する安心安全の社会資本整備を求める意見書案についてです。東海・東南海・南海の巨大地震や府内の直下型地震に備え、社会資本や公共施設などの防災・減災対策を講じることは必要であり、意見書案に賛同するものであります。しかし、「国土強靭(きょうじん)化」「防災・減災」などと銘打って自民党が10年間で200兆円、公明党が10年間で100兆円の大型公共投資を競い合っていることは重大です。日経新聞社説でも、「その内容をみると旧来型の公共事業が並んでいる。こんなありさまでいいのか」と"注文"をつけています。防災・減災の名のもとに無駄な大型公共事業の復活になってはならないことを強く指摘しておきたいと思います。
以上で私の討論を終わります。ご清聴ありがどうございました。

6月定例会 議案討論

島田けい子(日本共産党、京都市右京区)2012年7月6日

日本共産党の島田けい子です。党府会議員団を代表して、ただいま議案となっております議案33件のうち、第4号議案「京都府病院事業会計補正予算案」、第31号議案「鳥取豊岡宮津自動車道野田川大宮道路建設工事委託契約の件」、第33号議案「関西広域連合規約変更に関する協議の件」の議案3件に反対し、他の30議案に賛成の立場から討論します。
まず、第1号議案「平成24年度 京都府一般会計補正予算案」中、与謝の海病院医科大学附属病院化推進費及び、第4号議案「京都府立病院事業会計補正予算案」についてです。   
当予算案は、府立与謝の海病院を独立行政法人化した府立医科大学の附属病院化を推進するための予算です。与謝の海病院の充実は地域住民や医療関係者、地元自治体の切なる願いです。
特に、脳外科医の確保によって手術が可能となる体制を一日も早く作ることなど救急医療体制の充実や回復期リハビリの整備、精神科入院ベッドなど、長年にわたって病院の機能強化と充実の要望が出されてきました。それらの願いに、今回の計画が応えるものであるのかどうかが、そこに府が責任を持って対応出来るかどうかが、住民の一番の関心ごとであります。
ですから、その改革の方向について、結論を出す前に、本来、地域住民や医療関係者と膝をまじえてその声を聞くことが重要です。
有識者会議の中でも、委員から、「本来、病院の将来のあり方に関わる問題、地域医療の将来に関わる問題であり、患者地域住民に意見を聞くことが必要でないのか。地元の医療機関の声をひろいあげながら、地域医療支援病院として機能を発揮すべきかについてしっかりと言及すべき」との意見が出されているとおりです。
府立医科大学と公立病院の果たす役割はおのずと違うと私は考えます。行政として果たしてきた役割と責任、北部地域の地域医療と支援に直接責任を果たす役割が大学病院付属病化ではたせるのかという大問題について、京都府としての責任ある説明が議会にもありませんでした。とにかく法人化附属病院化して、あとのことはこれから検討というのが実際のところです。
住民の期待と不安はなにか、附属病院化すれば、脳外科医の確保ができるのかという問題があります。有識者会議で吉川学長は「附属病院化したからといって脳外科医をおくれるものではない」と述べておられます。現実に大学病院医局に脳外科医が不足している実態は医師確保対策のあり方が問われている問題であり、附属病院化で解決するような幻想を振りまくことは許されません。現在の医師の体制について、医科大学が附属病院化すれば、医科大学の研修病院になって、現在でも2年3年でコロコロ変わる体制が、三カ月毎に医師が交代する懸念も出されています。
また、独立行政法人化された医科大学附属病院では、個室料の値上げ等、患者負担が増えましたが、同じように負担が増やされるのではないかとの心配も出されています。
また、独法化で経営効率や採算性が最優先され、これまで病院が担ってきた僻地医療など不採算部門が縮小されるのではないかとの危惧も出されています。
さらに、地域医療を支えて懸命にがんばっている職員に対する説明がほとんどない中で結論が押し付けられている点です。
職員アンケート調査結果によって、医師や看護師など含む23人もの人が、法人化と同時に退職や転職を考えていると答えるなど、貴重な人材の流出の危険性も指摘されています。経営形態の変更により、職員は一旦京都府からの退職を余儀なくされることになり、公務員としての身分を奪われます。職員の身分、勤務条件に重大な影響を及ぼす問題を説明もなく見切り発車することは許されません。
医師確保について、医大に責任を転嫁するのでなく、いま、やるべきは、京都府が責任を持って、オール京都で医師の確保と配置、与謝の海病院の充実に取り組むことです。
この間、私たちが調査してきた中で感じたことは、過疎地域をはじめ地方の病院であっても若い医師が集まってくる病院というのは、常に、患者地域住民の声に耳を傾け、真に地域のニーズを把握し、これに応えようと努力をしている病院でした。「医師は、患者さんや地域の中で育てられるものだ」と、地域に飛び込み実践をする情熱溢れた医師の存在、そして、これらの取り組みを理解し支援する自治体のリーダーの存在でした。経営効率最優先では決してありませんでした。こうした中で、若い医師たちが、地域医療にやりがいを感じ、モチベーションを高め、立派に成長されて地域に定着されているのです。
以上のことから、既成事実として進められている独法化、附属病院化方針は撤回し、職員、患者、地域住民、医療関係者へ説明すること、また、府民の叡智と声をあつめ、地域医療と与謝の海病院の充実方向について議論し、再検討することを求めるものです。

次に、第1号議案の、「停電時要配慮者支援事業」「電力不足緊急対策事業」等について必要なことと考えますが、一言申し上げます。
関西電力から計画停電の通知が届いております。本来、電力需給の責任は国と電力会社にあります。政府は電力不足になったらたいへんと「脅し」を繰り返しています。
関西電力は、住民団体が再稼働中止を申し入れた際にも、「電力不足が再稼働の理由ではない」としています。結局、政府も、関西電力も、「原発は重要な電源」であるとして、今後も原発に依存する立場であるので、本気で原発に変わる電力を供給する責任を果たそうとしていないということを指摘しなければなりません。

次に、第6号議案から第25号議案、および第28号議案についてです。
 これまで福祉サービスなどの質を担保するために、不十分ながら国が基準を策定していましたが、地方分権一括法により、自治体が条例で基準を定めることになりました。
これは、国が社会保障の責任を放棄し、地方交付税も削減して自治体にその責任を負わせるもので、国が財源を保障すべきと考えます。
また、本府が条例を作る以上、「住民の福祉の増進を図る」という自治体本来の役割をはたしていくため、積極的な対応が必要と考えます。
 まず第14号議案と第17号議案ですが特別養護老人ホーム等の居室定員を4人まで認めるものとなっており、国の基準を緩和するものとなっています。
 現在個室ユニット型のホテルコストは1カ月で9万円を負担されている方もおられ、それ以外に食費や利用料負担がかかります。そのために低年金の高齢者や生活保護利用者は入居できない実態があり、そもそもこうした負担を課していることが問題です。
高齢者の尊厳を保障するためにも、希望者がお金の心配なく個室ユニット型の特養に入居できるような補助制度が必要であることを指摘しておきます。
 また他の条例案については国の人員配置などの最低基準をそのまま本府の条例に規定していますが、現在多くの施設では独自の努力により、国の基準を上回って人員等を配置しています。
それぞれの条例には「最低基準を超えて常にその設備および運営を向上させなければならない」とありますが、本府においても常に福祉サービスの質が向上しているか検証が必要であり、さらに基準の向上などの見直しも必要であることを指摘し、賛成します。

次に、第31号議案「鳥取豊岡宮津自動車道野田川大宮道路建設工事委託契約の件」についてです。今回の契約案件である野田川大宮部分については、地元からも森本から312号への接続道路整備などが必要になるもので道路整備に大きな負担がかかること、高速道路優先でなく、歩行者や自転車の安全対策も含めて、水戸谷や二箇・五箇等の狭隘部分など国道の改良工事こそ急いで欲しいとの声も上がっています。まずやるべきは暮らしの道路の整備であり、反対です。

次に、第33号議案「関西広域連合規約変更に関する件」についてです。
関西広域連合が大飯原発再稼働を容認したことは、再稼働に反対する多くの府民、関西の住民の願いに背を向けたものであり断じて容認できません。
また、京都府内をはじめ多くの市町村が、国の出先機関の丸ごと移管に不安を表明しているにも関わらず、押し切ろうとしており、市町村を事実上、関西広域連合の下請け機関にしていることも重大です。
このように関西広域連合とそのトップダウンの運営が、地方自治と住民自治を侵害するものとなっています。さらに、関西広域連合を道州制に持っていこうとする動きが強まっていることも見過ごせません。
京都市と神戸市の加入は、このような 関西広域連合の一層の強化をすすめ、しかも、大都市偏重の広域行政を加速させるもであり反対です。
この際、関西広域連合のこの間の動きについて 一言、申し上げます。
広域連合委員会・広域連合議会は、9月まで延長された国会で、「国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案」を通そうと躍起になっております。
6月30日の広域連合委員会では、「法律案は6月15日閣議決定予定だったが、なかなか進まない。前原政調会長が持論を展開し、「国の出先機関の移譲は道州制が前提、連合ではガバナンスが働かない」と述べているなど与党の中でもまとまらず、当面、意見の集約はむつかしいとの意見がだされています。和歌山県知事は、「法案には欠陥がある」と指摘する一方、「和歌山では市長会も町村長会も地元国会議員も全部反対している」と発言しています。一番重要な基礎自治体の合意がないということです。京都府内自治体にも同様です。このように、与党の中でもまとまらず、欠陥と指摘をされる法案を、基礎自治体の合意もない中で強引に進めることは絶対にあってはならないと考えます。
道州制との関係では、6月27日、日本経団連などが主催した「地域主権と道州制を推進する国民会議」の場で、民主党前原議員は「広域連合より道州の方がはっきり受け皿になる。広域連合だと、国と府県の二重行政解消につながらず、三重行政になるとの懸念も示し、「行政単位として府や県はなくすんだという意識を持っていけるかが、道州制が成功する大きなポイントだ」とも述べたと京都新聞が報じています。
山田知事もいろいろなところで、「広域連合には欠点がある。国と都道府県、そして市町村という三層性を残したままだ。これから試練がくるかもしれない。試練を恐れていたら何も出来ない」と発言しておられます。三層性をのり越えるということは、道州制へすすむということではありませんか。
知事は、国が広域連合を制度化したときの担当理事官であり、関西経済界が道州制を提案してきたが一足飛びにはすすまないので広域連合設立に動いたことにも触れ、「小さく生んで大きく育てようと呼びかけた」と語っているのはまさにそのことです。
関経連代表が「関経連は関西から地方分権の突破口を開くことを目的に、関西広域連合を提案した。国の出先機関の移管はその第一歩」と表明していることとまさに一致するわけであります。
知事は、出先機関の丸ごと移管および道州制につながるこれらの動きを直ちにやめるよう強く要望して、討論をおわります。 

意見書案文

可決(提案:自民・民主・公明、賛成:全会派)

再生可能エネルギーの導入促進に向けた環境整備を求める意見書(案)

昨年8月に成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が、本年7月1日に施行された。これにより、再生可能エネルギーの固定価格買取制度がスタートし、政府は、この3年間で集中的に利用拡大を図るとしているが、導入促進に向けての環境整備は不十分である。
導入に当たっての課題として、風力発電では送電網整備の強化が急務であり、太陽光発電ではメガソーラーの円滑な設置が可能となるよう、農地法の問題などの環境整備、更に家庭用パネルの設置で発生する初期費用の問題が挙げられる。また、小水力発電導入時の手続の簡素化・迅速化なども求められている。
日本の再生可能エネルギーの利用は、水力発電を除いた実績(2005年環境省)で、電力消費全体に対する使用割合が0.9%と他国と比べて遅れており、消費電力に対するエネルギー源の多様化が急務となっている。
ついては、国におかれては、再生可能エネルギーの導入促進と実効性ある買取制度に向け、次の事項について、十分な環境整備を図るよう、強く要望する。
1投資促進減税、省エネ・代替エネルギー減税などの拡充を実施し、再生可能エネルギーの導入を促進すること。
2買取価格・期間の設定において、設定ルールを明確化し、長期的な将来の見通しを示し、制度の予見可能性を高めること。
3再生可能エネルギー発電事業に係る規制改革を確実に実施するとともに、進捗状況の管理のための独立機関等を設置すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

可決(提案:自民・民主・公明、賛成:全会派)

防災・減災に資する安心安全の社会資本整備を求める意見書(案)

現在、長引くデフレと急激な円高によって、景気・雇用など、国民を取り巻く環境は大変厳しい状況にあり、本府においても北部地域を中心に閉塞感に満ちている。
この閉塞感を打破し、地域や産業の活性化を図り国民の安心安全を確保するために、政府におかれては、防災減災に資するとともに内需の創出につながる公共投資を積極的に行うべきである。
なかでも特に、1960年代の高度経済成長期から道路や橋梁、上下水道など社会資本の整備が急速に進んだ。しかしながら、現在、建設後50年を迎え、老朽化が進んでいる。国土交通省の「道路橋の予防保全に向けた有識者会議」は、提言(平成20年5月)の中で、「2015年には6万橋が橋齢40年超」となり、建設後50年以上の橋梁が2016年には全体の20%、2026年には同47%と約半数にも上る現状を提示し、経年劣化により「劣化損傷が多発する危険」を指摘している。今後、首都直下型地震や3連動(東海・東南海・南海)地震の発生が懸念される中で、防災性の向上の観点からも、社会資本の老朽化対策は急務の課題と言える。
災害が起きる前に、老朽化した社会資本への公共投資を短期間で集中的に行うことによって、全国で防災機能の向上を図ることができる。それと同時に、社会全体に需要を生み出すこともできる。つまり、防災・減災と経済活性化をリンクさせた諸施策の実施が可能である。
ついては、国におかれては、国民と日本の国土を守り、安全・安心な社会基盤を再構築するため、防災・減災対策としての公共事業を緊急かつ集中的に行い、経済の活性化や雇用創出に資する防災対策を実施されるよう、次の事項について、強く要望する。
1道路や橋梁、上下水道、河川、港湾など、老朽化が進み更新時期が近づいている社会資本を早急に点検・特定し、維持・更新のための公共投資を積極的かつ集中的に行うこと。
2電気、ガス、水道、通信などのライフラインの共同溝化・無電柱化を促進し、都市の防災機能の向上を図ること。
3地域の安全・安心のために、学校等の公共施設や病院・介護施設等の社会福祉施設など地域の防災拠点の耐震化及び防災機能の強化を推進すること。
4エコ、グリーンという新たな視点によるインフラ整備を積極的に推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

可決(提案:自民・民主・公明、賛成:全会派)

痛ましい交通事故の根絶に向けた立法措置と交通安全対策の強化を求める意見書案

本年4月、京都市東山区祇園で死傷者19人、亀岡市で死傷者10人を出す交通事故が、相次いで発生した。これらは、一定の病気を有する運転者や無免許の運転者の行為により、観光客や通学中の児童など、何ら責任のない人々が犠牲となった非常に痛ましい交通事故であり、被害に遭われた方々の無念さはいかばかりかと思うとともに、その御家族の心中を察するに余りあるところである。
特に、亀岡市の事案では、無免許暴走運転であることから刑法上の危険運転致死傷罪の適用を求める遺族の活動により、21万人もの署名がなされたものの、同罪の適用がなされなかったところであり、遺族や署名者はもとより、多くの人々にとって、素直に納得できるところではなく、運転免許制度への信頼を揺るがしかねない。
同様の非常に痛ましい交通事故であった平成11年発生の東名高速飲酒事故は、その悪質性から平成13年の刑法改正による危険運転致死傷罪創設等の契機となり、道路交通法改正による取締りの強化や啓発・広報活動の充実による安全意識の向上と相まって、飲酒運転の抑制に効果が上がっている。
現在、亀岡市の事案を契機に、法改正を視野に入れた超党派の国会議員による「危険運転致死傷罪を考える超党派の会」が結成され、また、平成23年の栃木県鹿沼市のクレーン車事故を契機に、警察庁で一定の病気等に係る運転免許制度の在り方の検討がなされるなど、痛ましい交通事故の再発防止、根絶に向けた法制度の見直しへの動きとなっている。 これらの法制度の見直しに加え、さまざまな機会を通じた交通安全教育の実施、交通安全に関する啓発活動の充実による交通安全意識の徹底や、危険運転を許さない交通取締りの強化などの施策を進めることが求められる。
ついては、国におかれては、痛ましい交通事故の根絶を目指し、歩行者はもとより、道路を利用する全ての者にとって、安心・安全で、信頼できる道路交通社会の確立に向け、次の施策を推進されるよう、強く要望する。
1 危険運転行為による非常に痛ましい交通事故の処罰に関する立法措置の検討
亀岡市の事案を踏まえ、同種の交通事故の再発抑止に資するとともに、事案の実態に即した相当な罰条の適用を求める国民意識に合致する立法措置を検討すること。
2 規範意識を徹底する交通安全教育の強化
各都道府県警察が行う交通安全教育に対する必要な支援とともに、国民に向けた広報・啓発を充実させるなど、特に青少年への規範意識を徹底する交通安全教育の強化に取り組むこと。
3 運転免許制度の信頼維持に向けた取組の強化
無免許運転者や免許不正取得者に対する取締りの強化など、全ての道路利用者の信頼の根幹を揺るがすことがない運転免許制度の維持に向けた取組を強化すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明)

消費税増税法案の撤回を求める意見書(案)

野田内閣は、「社会保障と税の一体改革」と称し、消費税増税法案の衆議院採決を、民主・自民・公明の3党で強行し、2014年4月に消費税8%、さらに2015年10月には10%に引き上げるとしている。
国民の過半数が反対をしているもとで、3党の「密室協議」による修正に合意し、数の力で民意に背くやり方は、断じて許されるものではなく、国民の怒りは益々高まっている。
そもそも消費税は逆進性の強い税で、生活費に税金をかけ、低所得者ほど重い負担を強いるものである。長引く景気の低迷のなか、中小業者は消費税の転嫁がままならず、また、東日本大震災の被災者にとっても、これ以上の増税はいっそう生活を脅かすものである。
1997年に5%に消費税増税された際は、増税と医療費値上げなど総額9兆円の負担増となり、当時、回復の途上にあった景気をどん底に突き落とした。今回、消費税が10%になれば13兆円の増税となり、年金、医療負担などをあわせると、更なる大幅負担増となる。国民の消費は落ち込み、地域経済は大きな打撃を受けることは目に見えている。消費税の増税は、財界が、法人税を減税するとともに社会保障を切り捨てる「一体改革」として、長年にわたり求めてきたことである。
いまやるべきことは、富裕層と大企業に応分の負担を求め、国民の所得を増やすことによって社会保障の充実と財政危機打開を進めることである。
ついては、国におかれては、消費税増税法案の撤回をするよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明)

オスプレイ配備の中止を求める意見書(案)

米国政府は6月29日に、MV―22オスプレイの配備を日本政府に正式に通告した。この7月下旬にも岩国基地に陸揚げされ、飛行訓練を行い、10月初旬に普天間基地で本格的運用をしようとしている。
米軍の「環境審査報告書」では、普天間基地に配備されるオスプレイが岩国基地やキャンプ富士で飛行訓練することや、夜間も含め設定した飛行ルートで、低空飛行を日本各地で行う計画を明らかにしている。
オスプレイは、離着陸時にはヘリとして、水平飛行時にはプロペラ機として飛ぶ軍用機であるが、試作段階から墜落事故を起こしており、構造的な欠陥が指摘されている。
このように危険な欠陥機を「世界一危険」な普天間基地に配備しようとすることは、沖縄だけでなく日本全域をも危険にさらすものである。
沖縄県議会をはじめ県内41の全市町村議会が反対決議を、岩国市議会では反対の意見書をあげている。
ついては、国におかれては、「日本政府に条約上のマンデート(権限)はない」と正当化するのではなく、危険なオスプレイの配備の中止を行うよう、強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明)

大飯原発再稼働の中止、原発ゼロを求める意見書(案)

全国各地で「再稼働反対」の国民的怒りの声が広がる中で、7月1日関西電力大飯原発3号機を再稼働させたことは、断じて容認できない。
福島原発事故は、いまだに収束せず、原因究明も尽くされないまま、被害が拡大し続けている。全国最大14基の原発が集中する福井原発群は、地震・津波の危険に加え、8基が30年を超えて老朽化、事故で運転停止したままの高速増殖炉、使用済み核燃料の蓄積など危険が集中している。
野田首相は、福島原発と同程度の地震津波が襲っても事故は起きないとして、再稼働の政治的判断を行った。まさに「安全神話」そのものである。いまこそ、原発からの撤退を決断し、再生可能エネルギーの飛躍的普及を行うべきである。
原発はいったん事故が起きれば人類にとって取り返しのつかない事態を招く。
ついては、国におかれては、真に国民の生活を守るため、大飯原発の再稼働は直ちに中止し、原発ゼロを決断することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明)

社会保障制度改革推進法案の撤回を求める意見書(案)

民主・自民・公明の3党が密室協議で提案した社会保障制度改革推進法案は、国会でまともに審議もせずに強行採決されたもので、数の力で社会保障の理念も否定する新法を作ることは断じて許されるものではない。

法案は、社会保障の「基本的考え方」として「自助」「自立」を基本に据え、社会保障の公費投入を縮減し、国の責任で社会保障の増進を図ることを義務づけた憲法25条を真っ向から否定するものとなっている。
しかも、公費の財源については「消費税収を主要な財源とする」と明記するなど、「消費税増税か、社会保障削減か」の選択に国民を追い込むものとなっている。
さらに医療、介護、年金をはじめとする社会保障制度の今後の在り方について、首相が任命するわずか20名の委員からなる、「社会保障制度改革国民会議」の議論に委ねることとしているが、これは、3党協議と有識者の会議の結論を国会に押し付けるものであり、国会審議の形骸化を招き、民主主義も踏みにじるものである。
ついては、国におかれては、社会保障制度改革推進法案を撤回するよう、強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明)

介護保険・生活援助時間短縮の見直しに関する意見書(案)

今年4月からの介護報酬の改定により、生活援助における時間短縮が実施され、必要な介護を受けられない事態が広がり、利用者からも介護ヘルパーからも大きな悲鳴が上がっている。
そもそも訪問介護は援助の総体を通し、介護を必要とするお年寄りが「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」支援することが目的である。
生活援助は、ヘルパーが一緒に調理をすることなどで、利用者の自立支援と要介護度の悪化防止の効果などがある重要なサービスである。
政府はこれまでも介護報酬改定で短時間化を促進し、その結果ヘルパーの業務は会話する余裕もなく、時間内にサービスが終わらないほど多忙となり、2006年改定を前後して2万数千人が離職している。
今年度の報酬改定による更なる時間短縮がいっそうの多忙化と離職に拍車をかけるのは明らかで、そのことは在宅の高齢者の命綱である訪問介護を奪うことにもつながりかねない。
ついては、国におかれては、生活援助時間短縮と介護報酬引下げを撤回するよう、強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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