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議会を終えて(談話)

府政報告 2005 12年6月定例会を終えて

2012/07/13 更新
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●6月定例府議会が7月6日に閉会しました。「2012年6月定例議会を終えて」団長談話を紹介します。

2012年6月定例議会を終えて

2012年7月13日
日本共産党京都府会議員団
団長 前窪 義由紀

6月20日から開かれていた6月定例議会が7月6日閉会した。

 今議会は、大飯原発再稼働と消費税増税法案の民主・自民・公明の談合による衆議院での採決強行など、政治の暴走が際立つ一方、「再稼働反対」と官邸前に20万人が集まるなど、国民の怒りのうねりが全国に広がる中開かれた。
 我が党議員団は、原発や消費税をはじめ日本の進路にかかわる重大問題に対し打開策を提起し、その実現を迫るとともに、府民の切実な暮らしを守る立場から積極的に論戦した。
本議会に提案された人事案件を含む議案37件のうち、第4号議案「京都府病院事業会計補正予算案」、第31号議案「鳥取豊岡宮津自動車道野田川大宮道路建設工事委託契約の件」、第33号議案「関西広域連合規約変更に関する協議の件」、および「副知事選任の件」の4件に反対し、他の33議案には賛成した。

1、第1号議案「平成24年度 京都府一般会計補正予算案」中、与謝の海病院医科大学附属病院化推進費及び、第4号議案「京都府立病院事業会計補正予算案」については、府立与謝の海病院の公立大学法人・府立医科大学の附属病院化を推進するための予算であり、反対した。
府立与謝の海病院は、長年にわたり地域住民や自治体等から、脳外科医の確保と救急医療体制や回復期リハビリ、精神科入院ベッドの整備などの、充実が強く要望されてきた。その願いに応えるために、京都府は地域住民や医療関係者等から意見や要望を丁寧に聞き、充実策をすすめる責任がある。ところが、附属病院化すれば医師確保策等すべてがうまくいくかのように描き、あとは府立医大附属病院に責任を転嫁する「法人化ありき」で進めていることは重大である。すでに法人化した府立医大附属病院は、脳外科医師体制が厳しく、個室料の値上げ等患者負担が増すなどの事態がある。しかも、与謝の海病院職員アンケート結果では、医師や看護師など含む23人もの職員が、法人化と同時に退職や転職を考えていると答えるなど、貴重な人材の流出の危険性も指摘されている。これら重大な問題や不安がある中で、住民や議会、職員に説明ないまま、「法人化・附属病院化ありき」の方針は撤回し、職員、患者、地域住民、医療関係者へ説明すること、また、府民の叡智と声をあつめ、地域医療と与謝の海病院の充実方向について議論し再検討すること、オール京都で医師の確保と配置等、与謝の海病院の充実に本府が責任をもつことを強く求めた。
第1号議案については「停電時要配慮者支援事業」「電力不足緊急対策事業」等が含まれており賛成したが、政府も関西電力も、電力不足をいわば脅しに使い、再稼働を強行し、さらに「原発は重要な電源」であるとして、今後も原発に依存する立場を表明しており、原発に代わる電力を供給する責任を果たそうとしていないことを厳しく指摘した。
第6号議案から第25号議案および第28号議案は、地方分権改革一括法により、国で定めていた基準を都道府県単位で条例化し定めるものである。これは、国の責任を放棄し、地方交付税も削減して自治体にその責任を負わせるものであり、重大であるとともに、本府が条例を作る以上、「住民の福祉の増進を図る」という自治体本来の役割をはたす立場から、積極的な対応を求めた。本府の条例は、国の人員配置などの最低基準をほぼそのまま規定したもので、「最低基準を超えて常にその設備および運営を向上させなければならない」と条文にあるとおり、福祉サービスの質が向上しているかの検証と、基準の向上等の見直しを求めた。なお第14号および第17号議案で特別養護老人ホーム等の居室定員を4人まで認め、国基準を緩和するものとなっているが、高齢者の尊厳を保障するためにも、希望者がお金の心配なく個室ユニット型の特養に入居できるような制度改善こそ必要であることを指摘した。
第31号議案「鳥取豊岡宮津自動車道野田川大宮道路建設工事委託契約の件」は、対象となっている野田川―大宮部分は、森本から312号への接続道路整備等が必要となり、道路整備に大きな負担がかかること、水戸谷や二箇・五箇等の狭隘部分等、歩行者・自転車の安全対策も含む暮らしの道路である国道の改良工事こそ急ぐべきであり、反対した。
第33号議案「関西広域連合規約変更に関する件」については、京都市および神戸市の加入に伴うもので、広域連合の一層の強化に加え大都市偏重を加速させるもので反対した。

2、国政と日本の進路の重要問題で、居直り答弁に終始する、山田知事の政治姿勢が浮き彫りとなった。
党議員団は大飯原発再稼働を事実上容認したことを厳しく批判し、「府民の安全より、財界の要望を優先したのではないか」と追及すると、山田知事は「財界とか大企業はこの夏くらい乗り切れる力はありますよ。自家発電ももっていますし、生産シフトもできるんです。」と述べた上で、社会的弱者や零細事業者の例をあげ、「安心安全を全体的総合的に考えるというのは、知事としては当然の役割」と居直る答弁をした。さらに消費税増税法案の衆議院での強行という事態を前に、中小企業は価格転嫁できない一方、京都府内の府内大手7社だけで、昨年の還付金は634億円にのぼり、府内全体の消費税収の21.7%にも上ることを指摘し、「増税で中小企業が払えると考えるか」「増税法案は撤回するよう求めるべき」と質した。山田知事は「消費税率引き上げの議論は負担の問題だけではなくて、新たな財源確保による社会保障の安定化や拡充またそれによって生まれてくる内需など全体を総合的に検討していかなければならない。」と消費税増税を前提に「法案の最終的に決定する権限は国会」「経済状況を十分判断し、弱者対策は盛り込まれている」と居直ったことは極めて重大である。社会保障の在り方を根本的に歪める社会保障制度改革推進法案についても「安定的な財源確保と持続可能な社会保障制度の確立にむけて議論されている」と、受益と負担の立場を示す等、消費税をめぐる態度と同じ見解を表明した。

3、関西広域連合について、その狙いと矛盾が表面化した議会であった。
我が党議員団が参加した、東京で行われた「出先機関の丸ごと移管」を中心とした「地方分権シンポ」で、「関経連は関西から地方分権の突破口を開くことを目的に関西広域連合を提案した。国の出先機関の移管はその目的実現への第一歩」と関西財界が発言していることを紹介し、実質的な道州制につながると質した。また、京都府内をはじめ多くの市町村が、国の出先機関の丸ごと移管に不安を表明しているとの我が党の指摘に対し、山田知事は「確かにいろんな不安が出てきていることは事実」と認めつつ、「移管にむけて全力で取り組む」とトップダウンで押し切ろうとしており、市町村を事実上、関西広域連合の下請け機関にしていることは重大である。しかも「広域連合という制度はもともと都道府県が前提の制度でありまして、都道府県なくして広域連合という制度はありえない訳で、これは制度的には全く道州制とは異なる」と、まともに答えず制度論としての違いを述べた。しかし、山田知事は東北の地方紙「河北新報」で「広域連合には欠点がある。国と都道府県、そして市町村という三層性を残したままだ。これから試練がくるかもしれない。試練を恐れていたら何も出来ない」と発言し、関西経済界が道州制を提案してきたが一足飛びにはすすまないもとで広域連合設立に動いたことにも触れ、「小さく生んで大きく育てようと呼びかけた」と述べているとおり、山田知事自身が、関西広域連合を道州制の突破口であることをわかった上で提案していることは明らかである。
なお関西広域連合特別委員会で、自民党委員から大飯原発再稼働や節電をめぐって「関西広域連合の決定なのか、知事の連名の意見なのか、議員、市町村からはわかりにくい」と苦言が呈された。いよいよ広域連合を大きく育てるための本格的な動きが強められており、地方自治破壊を許さない闘いを急速に関西規模で広げることが重要となっている。

4、府立高校の在り方について、「京都市・乙訓地域公立校と府立学校教育制度に係る懇談会」が開かれ、7月の第6回懇談会をふまえ「まとめ」を発表し、それをもとに京都府・市教育委員会が実施計画を検討するという、切迫した状況となっている。これは、総合選抜方式を見直すとともに通学圏を拡大する方向であり、これまでの偏差値による高校の輪切りと序列化をすすめてきた方向をいっそう拡大・固定化するものである。我が党は懇談会で現場から「21校を1つの通学圏でまとめれば、希望の少ない学校ができるし、希望の多い学校には入れない。そうなると中学の進路指導は振り分けにならざるを得ず、21のランクわけになる。」「選ばれない不人気校になった場合の対策は考えているのか」など厳しい指摘がなされたことを示し、拙速に行わず、当事者である中学生、高校生も含め、学校現場の職員や保護者、専門の教育者など府民的な議論をすすめるよう求めた。しかし教育委員会は「従来よりも希望する高校を幅広く選択できる制度」等と居直り、結論ありきで進められていることは重大である。
 また、南山城少年自然の家について、府内に二つしかない府立の宿泊型の青少年社会教育施設の一つを老朽化を理由として廃止し、るり渓少年自然の家に統合強化するとされている。現場から切実な利用希望があり、財政的観点で廃止することは問題と追及したが、「廃止ありき」で進められていることは重大である。

5、欠員となっている副知事の選任について、「KTRやJR奈良線の複線電化など個別に重要な問題に取り組んでもらうため」として、国土交通省大臣官房参事官が三人目として提案された。我が党議員団は、国土交通省から派遣された「天下り」人事であること、副知事三人制は不必要であることから、反対した。岡西副知事は、これまで関西国際空港と大阪国際空港の株式会社一本化をになった人物であり、今後、「国土強靱化」の名目で北陸新幹線やリニア等、新たな無駄な公共投資に道を開く動きも予想されるだけに、注視が必要である。

6、本議会では、我が党議員団提案の「消費税増税法案の撤回を求める意見書案」「オスプレイ配備の中止を求める意見書案」「大飯原発再稼働の中止、原発ゼロを求める意見書案」「社会保障制度改革推進法案の撤回を求める意見書案」「介護保険・生活援助時間短縮の見直しに関する意見書案」に加え民主・自民・公明会派提案の3意見書案、計8意見書案すべてに賛成した。
 我が党提案の意見書案は、日本の進路にかかわる切実な重大問題であるにもかかわらず、民主・自民・公明会派が反対したことは府民の願いに反するもので、重大である。なお、「痛ましい交通事故の根絶に向けた立法措置と交通安全対策の強化を求める意見書案」については、亀岡市や祇園で発生した悲惨な交通事故は痛ましいもので、危険な運転を行い、尊い命を奪った加害者に憤りの念を禁じ得ず、交通事故の根絶に向けた亀岡の方々の署名活動に敬意を表するとともに、刑法による罰則の強化は法曹界などからの意見も踏まえて検討すべきと指摘した。

 流動的な政局のもとで、いつ総選挙が行われてもおかしくない緊迫した事態となっている。我が党議員団は、消費税増税法案や社会保障制度改革基本法を参議院で廃案にし、原発再稼働の中止・原発ゼロを目指し、多くの府民のみなさんと共同して奮闘するとともに、消費税増税にたよらない別の道を広く提案し、総選挙での躍進勝利にむけ全力を挙げるものである。

以上