資料ライブラリー

討論

2012年9月定例会開会日前窪議案討論

2012/09/26 更新
[ 討論 ]
この記事は 9 分で読めます。

●9月定例府議会が9月19日に開会しました。開会日、京都府南部豪雨被害対策関連の補正予算案に関連する議案が全会一致で可決しました。採決に先立って前窪義由紀議員が行った議案討論をご紹介します。また、日本共産党京都府会議員団が行った南部豪雨災害に関する知事への申入れをご紹介します。

前窪義由紀 議案討論 ・・・・・ 1
南部の大雨被害による被災者支援、復旧についての緊急申し入れ(第一次)・・3
府南部豪雨災害による被災者支援、復旧についての申し入れ(第二次)・・・・4

9月定例会 議案討論

前窪義由紀(日本共産党、宇治市及び久御山町)2012年9月19日

日本共産党の前窪です。議員団を代表して、ただいま議題となっています第1号議案「一般会計補正予算第2号」及び第5号議案「大規模な災害の被災者にかかる手数料等の減免のための関係条例の整備に関する条例の制定の件」の2議案について、賛成の討論を行います。
8月13日から14日の未明にかけて府南部を襲った豪雨災害により1人が死亡、1人が行方不明となっておられます。心からお悔やみ申し上げますとともに、引き続き捜索に全力をあげていいただくようお願いします。そして、被災された皆さんに心から見舞いを申し上げます。
また、知事をはじめ府職員、関係行政機関、ボランティアの方々など、救援・復旧に関わっていただいた全ての皆さんに感謝申し上げます。
さて、宇治市を中心に京都南部で3,100戸以上の浸水など甚大な被害をもたらした豪雨から1カ月以上たちました。被災した各地域の皆さんからは、一日も早く日常生活が取り戻せるように、被災者の生活再建支援、河川や道路の復旧、山林崩落・土砂崩れ箇所の応急対策などを急ぐとともに、これから台風シーズンを迎えることから二次災害防止対策を急ぎ、本格的な復旧・復興に向けた取組みの強化が求められています。
この豪雨により、宇治市志津川地区では、川沿いの家屋が濁流に飲み込まれ、尊い命も奪われたほか、天井川となっている弥陀次郎川の堤防決壊で、広い範囲の住宅地に泥水や土砂が流れ込み、床上・床下浸水、大量の土砂の堆積をもたらしました。また、炭山地域など山間部では、大規模な山林崩落、土砂崩れなどが発生し、住宅の倒壊、河川の氾濫、道路の寸断、電線・通信ケーブルの切断による停電・通信機能の喪失、そして、集落が孤立など深刻な事態となりました。
その他、戦川、新田川では、府道、市道などに架かる橋に間伐材や生木などが大量に詰まり氾濫、溢水、住宅地に濁流が襲い、堂の川(木幡池)では、排水ポンプの能力が足りず木幡池が溢水するなど、多くが府管理河川での災害発生となりました。
城陽市では、東部コミセンの場所にある調整池が溢水し、南側の住宅街に流れ込み、また、この住宅街を流れる都市下水路が溢れたことや、下流の古川が溢れ多数の住宅が浸水、文化パルク城陽も大量の浸水で機械・電気設備など使用不能になり休館を余儀なくされています。
また、茶園や野菜など農作物の被害も広範囲に及んでいます。さらに、宇治田原町のくつわ池の決壊、国および府指定文化財の平等院、万福寺、石清水八幡宮など多くの文化財など、被害は多方面にわたり深刻です。
私ども議員団は、災害発生当日14日から直ちに被災地域に入り、被害実態の調査、被災者の皆さんの要望の聞き取り、ボランティアを組織するなど取り組んできました。そして2度にわたって知事に申し入れを行ってきました。
提案されている第1号議案は、府南部豪雨に関する24億円余の補正予算です。土木施設災害復旧費約13億円、天井川安全確保対策費約4億3千万円、地域再建被災者住宅等支援費約2億6千万円、その他、農林災害復旧費、農産物被害への支援対策費などで、いずれも、必要不可欠であり賛成です。とりわけ、国の制度が災害救助法適用の宇治市域に限定されている中で、被災者の生活再建に大きな役割を果たす住宅再建への府独自の補助金制度については、わが党も求めてきたもので被災者を激励するものです。
第5号議案は、大規模な災害で被災された住民の生活再建を支援するために、生活衛生関係の営業許可等の再取得及び証明書等の再交付のための手数料等について減免をするものであり賛成です。
尚、予算等の執行に当たっては、被災地、被災住民の立場に立って、迅速かつ柔軟に対応されることを求めておきます。その上で、数点について指摘・要望するものです。
第一に、河川・道路の復旧、安全対策です。
天井川である弥陀次郎川の決壊の原因究明、決壊箇所の抜本改修、未改修区域の総点検、河川改修計画の思い切った前倒しなどを行い、被災住民の不安を解消すること。また、全ての天井川の安全対策と河川改修を促進すること。
志津川など府管理河川の氾濫、溢水による被害も深刻です。河川・砂防ダムの堆積土砂の撤去、堤防・護岸・橋の損壊箇所の復旧を急ぐとともに、災害現場の実態、地元の要望を踏まえ、例えば、橋や堤防の嵩上げ、河道の拡幅など、現行基準にとらわれず柔軟に対応すること。
また、通行止めを繰り返している府道の二尾木幡線、いまだ通行止めの大津南郷宇治線、宇治木屋線など生活道路の復旧を急ぐこと。
第二に、山林崩落・土砂崩れの対策です。
各所で大規模な山林崩落、土砂崩れにより家屋・道路等が破損し、大量の土砂とともに間伐材、生木が流出したことで、河川の氾濫などの大きな被害を引き起こしました。今でも山裾の家屋や道路が引き続き危険な状況にあります。山崩れ箇所の点検、亀裂の入っている山腹の調査と対策、氾濫している谷筋の対策、土砂・倒木の撤去など、緊急対策を急ぎ二次災害防止に全力を上げること。
第三に、被災者の生活再建、農業、中小企業・業者等への支援です。
住宅再建など被災者の生活再建に向けた各種の支援制度について、十分な予算措置を講じ、迅速で柔軟な運用を図ること。小規模な災害であっても、全壊、大規模半壊など被災された住民にとって苦難は変わりませんにならなければ支援の対象とならない国制度の拡充、府独自措置の弾力的な運用を求めておきます。
農林関係の災害対策では、九条ねぎ、みず菜、宇治茶に限定されていますが、これ以外の農産物被害への支援、宇治茶では改埴をした苗木は、収穫まで5年程度かかることなど、被災実態に応じた柔軟な支援をすることが必要です。
中小企業・業者等への支援では、融資対策だけでなく、機械、設備、陶芸の窯等の被害への直接助成、リースなどを含め支援対策を講じること。
第四に、情報伝達の問題です。
道路も通行不能になり、停電、情報も途絶え孤立状態になった炭山地区、弥陀次郎川決壊の前後に河川の危険情報が何も通知されなかった五カ庄地域などから、災害時の情報伝達の在り方について厳しい意見、不安の声が噴出しています。この教訓を生かし、必要な地域に防災無線を各戸配布するなど、災害時の情報が住民に確実に伝わるシステムを確立すること。
第五は、土木事務所の体制、予算の問題です。
土木事務所の統廃合による広域化や職員削減が、初動の遅れ、現場対応力の弱体化を招いています。宇治に土木事務所を再設置するなど、現行の事務所配置を見直し、技術職員の増員等体制の強化を図ること。また、中小河川の改修、治山、砂防等の土木予算が激減、事業の遅れが重大な災害につながっていることから、特段の財政措置を行うこと。
以上、指摘・要望について、いずれも被災者からの聞き取りなどで切実な声として出されたものばかりです。実現に向けて最大限生の努力を求めておきます。
台風シーズンを前に、堤防復旧や土砂崩れに全く手がつけられていない個所も残り、被災地の皆さんの不安は募っています。重ねて、被災者の願いに寄り添って、生活再建、本格的な復旧・復興に全力を尽くすよう求めまして討論を終わります。

_006.jpg

_007.jpg