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本会議質問

2012年9月定例会一般質問前窪・島田・光永

2012/10/01 更新
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●9月定例府議会一般質問が9月26日~28日におこなわれました。前窪義由紀議員、島田けい子議員、光永敦彦議員の一般質問と答弁の大要、他会派議員の一般質問項目をご紹介します。

前窪義由紀 一般質問 ・・・・・ 1
島田けい子 一般質問 ・・・・・ 6
光永 敦彦 一般質問 ・・・・・11
他会派議員の一般質問項目・・・・17

9月定例会 一般質問

前窪義由紀(日本共産党、宇治市及び久御山町)2012年9月26日

京都府南部豪雨災害
生活再建と二次災害防止へ、迅速に対応を

【前窪】日本共産党の前窪です。数点について質問します。
まず、京都南部の豪雨災害についてです。
府南部豪雨から40日を過ぎ、甚大な被害を受けた宇治市など被災地では、罹災証明の発行などが本格化し、生活再建に向けた取り組みが始まっています。しかし、河川の堤防・護岸の破損箇所や上流の土砂崩れも応急対策にとどまり、山間部では、山林崩落等の二次災害の危険性などで、被災地域の皆さんは、不安を抱えたままの暮らしを強いられています。
私ども議員団の調査にも、切実な声が届けられました。弥陀次郎川の決壊で被災された方は、「濁流が家を突き破って、住宅街が川のようになっていた。信じられない状況だった」、「この家に住み続けられるのかも分からない。行政は、補償の問題など早く生活再建のめどがたてられるよう対応してほしい」と訴えられました。
志津川地区では、災害発生から直ちに、地域をあげて住民の避難、行方不明者の捜索、危険箇所の調査、要望の聞き取りなど、懸命の活動が続けられています。区長さんは、「地域の方が亡くなり、みんなショックを受けています。山や川が多い地域なので、崖崩れや地すべりが心配、増水による危険性も高いので、早く根本的な治山・治水対策を打ってほしい」と要望されました。
土砂崩れ、谷川の氾濫など多発した炭山地域では、今もなお被害の爪痕も生々しく残り、不安な状況が続いています。同地区では、住民自身が、炭山災害対策本部を立ち上げ、情報が途絶する中、「明日への一歩炭山通信」を連日発行し、道路の復旧状況、地区内ボランティアの募集、ごみ収集などの生活情報等を各戸に届け、区民を励ましてきました。また、行政を通じて連日50人以上のボランティアを受け入れてきました。区長さんは、「住宅や道路の近くに土砂が堆積しており、何も手がつけられていないので心配です。山崩れや谷川の氾濫は、規模が大きくボランティアでは限界があります。二次災害が起きないよう早く手を打ってほしい」と切望されました。

復旧のめどを示せ

そこでお聞きします。
第一に、復旧のめどについてです。
「一日も早く日常生活を取り戻せるようにしてほしい」これが住民の願いです。安心安全を取り戻すためには、当面、応急対策、二次災害防止に全力をあげることは当然ですが、被害が大規模かつ多地域に広がっていることから、「復旧には相当の期間を要するのではないか、せめてそのめどを示してもらいたい」というのも切実な願いです。復旧のめどについていかがお考えか、お答え下さい。

宇治川圏域河川整備計画を見直し、整備区間の延長、目標年次の短縮を

第二に、弥陀次郎川、戦川、新田川、堂の川など東宇治地域の府管理河川で災害が多発した問題です。
いずれの河川も、改修計画が進行中でした。淀川水系宇治川圏域河川整備計画(案)では、弥陀次郎川は、河道拡幅と河床掘削で天井川を切り下げ、流下能力を向上させる。戦川・新田川も、河道断面を広げ流下能力の向上を図る。堂の川は、治水機能を確保しつつ、親しめる自然豊かな水辺環境として整備を図る。とされています。
しかし、1990年に始まった弥陀次郎川の改修は、整備区間1,195mのうち実施できたのはわずか195mです。戦川は96年以降、新田川は98年以降改修工事が止まったままです。堂の川(木幡池)では、河道拡幅のため北池部分の浚渫など進められていましたが、流末の大島排水機場の対策がありませんでした。これらの河川整備計画は、いずれも概ね30年間を実施目標としていますが、「河川改修がもっと早く進んでいたら、これほど大きな被害は防げたのではないか」と、本府の河川事業に厳しい意見が出されています。  
氾濫や溢水原因の検証をすすめるとともに、宇治川圏域河川整備計画の見直しを視野に、戦川・新田川については、整備区間を延長することや目標年次を短縮すべきです。いかがですか。
また、木幡池の溢水を防止するために、北池の浚渫を進め、大島排水機場の排水能力増大へ、国との調整をはかることが必要です。お答え下さい。

弥陀次郎川の抜本改修と天井川の安全対策を

第三に、堤防が決壊した弥陀次郎川の抜本改修です。
9月補正予算で、改修のスピードアップが図られることとなっていますが、先に触れたように改修計画を抜本的に見直すべきです。天井川部分の堤防の護岸、河床を改めて見てみますと、コンクリートのひび割れや石積みの欠落、川底の掘削などが目立ち、相当老朽化していることが、素人の目でもわかります。
改修年次の短縮など思い切った見直しを住民に示し、洪水に対する不安の解消、今後の改修計画への理解を求めるべきと考えますが、いかがですか。また、全国で2番目に多い府内の天井川についても安全対策・改修計画を明らかにすべきです。お答え下さい。

森林開発と被害の関係を検証し今後に活かせ

第四に、災害を大きくした背景にある開発等の問題です。
弥陀次郎川など決壊、氾濫した河川上流の山間部・丘陵部は、かつては森林、田や茶園など、緑豊かな地域でしたが、2つのゴルフ場開発をはじめ、次々、宅地、マンションなどに変りました。地域の排水は旧来のままの河川、水路に接続され、弥陀次郎川のように、開発された上流域のほうが、河川の幅が大きくなっているところもあります。また、河川を横断する府道、市道、JR、京阪などの橋に間伐剤、生木などが大量に詰り、大きな氾濫、溢水被害を起こしました。
そこで、しっかり検証していただきたいのは、森林や水田が年ごとに減少してきた開発行政のあり方、ゴルフ場などの開発と被害の関係、森林の手入れが出来ず山が荒れ、間伐材などが放置されている問題などです。また、府道二尾木幡線松峠付近で、山中に産廃を積み上げた造成地で土砂崩れが発生し、産廃土石流が民家を押しつぶし、府道を通行不能にしたことも重大です。これらを徹底的に調査、検証し、今後の防災、減災対策に活かすことです。いかがですか。

危険箇所の緊急調査と迅速な対策を

第五に、更なる被害を出さないための緊急対策です。
志津川地区では、向山の中腹で長い亀裂が発生しています。炭山地区では、山裾の住宅の裏山が崩れ、ただ事でない状況になっていることや住宅のそばを流れる小さな谷川が氾濫していることも放置できません。その他の危険地域も含め、緊急調査と必要な対策を迅速に打っていただきたいと考えます。お答え下さい。

くつわ池自然公園の復旧へ支援を

第六に、くつわ池自然公園の復旧についてです。
宇治田原町にあるくつわ池が、今回の豪雨で決壊しました。くつわ池は、全国森林浴の森100選に選定されている自然公園で、宿泊施設、キャンプ場、テニスコート、つり池、森林浴などを兼ね備え、誰でも気軽に利用できる自然公園です。運営は宇治田原町から指定管理を受けた郷の口生産森林組合が行っています。
くつわ池自然公園には、2つの池があります。決壊した池はその内のひとつ「下の池」で、9100㎡の池から約3万トンが濁流となって流出しました。生産森林組合長さんは、「この池の堰堤は、160年ほど前にもさかのぼり江戸時代に作られたもので、近年一度も決壊したことはない。何とか復旧したいが、どうしたものか途方にくれている」と話されました。
町から本府に対し、復旧への支援の要望が出されていますが、本府の対策についてお答えください。
【知事】まず、復旧のめどについて、10月1日予定の大津南郷宇治線の通行開始で全ての道路、河川、林道などの応急復旧は一応完了いたします。次は本格復旧に向けて10月からの国の災害査定を受けなければなりませんので、災害査定を受けて本復旧の工法等を決定する予定になってまいります。その後、すみやかに本復旧工事を着手し、これはもう全力を挙げて早期に完成するよう推進してまいりますけれども、道路や農地の主な箇所はだいたい1年くらいかかるんじゃないかなと考えています。
しかしながら、私も先日ヘリコプターで見させていただきましたけれども、土砂災害箇所がかなり厳しい所がございまして、被害規模も大きいために本格的な対策をやっていくと2~3年を要する所が出てくるんじゃないかなと思っております。
また、志津川等の被害の大きかった場所は現状復旧では難しいのではないかと、つまり改良しながら復旧していくかたちをとらなければならないと考えておりますので、そうなってまいりますと2年程度を要することになるのではないかなというふうに思っておりまして、とにかく1日も早い復旧に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えているところです。
弥陀次郎川の改修ですが、両側に住宅がびっしりと立ち並んでいる地域であり、それを狭い幅の中で行わなければならないという状況にあります。しかも工事ができる期間というのは台風シーズンが終わった冬から梅雨が始まる前の春までくらいの半年間に限られてしまうというのが現状であり、こうした制約の中で、今年度はお認めいただきました補正予算で約65m追加して、約100mの区間の切下げ工事を地元の理解とご協力を受けて進めていきたいと考えています。この川の場合は、どうしても切下げをしていかないと最終的な安全は確保できない部分がありますので、残るのは約465mになりますので、これを少しでも早く完成していくために努力をしていきたいと思っておりますが、工事用の道路の設置や車両の出入り、工事期間等について、これはかなり地元のご理解とご協力を得る必要があると考えておりまして、そちらの方についてこれから大いに求めていきたいと思います。
国に対しては、事業費等を財政負担を分け合っている部分がありますので、事業費の増額を要望しているところであり、今後の工事計画をしっかりと地元で説明していく中でこの工事を進めていきたいと考えています。
天井川の安全対策について、改修と補強と監視の大きく3つの対策を講じてまいりたいと考えております。天井川の切下げを進めている防賀川や馬坂川そして弥陀次郎川の3河川の工事は、先ほど申し上げましたように早期に完成させるように追求をしてまいります。
それ以外の天井川については、道路や鉄道との立体工事をする部分ありまして、ここの切下げ工事が非常に難しい天井川がかなりありますので、天井川対策について検討をいただいている専門委員会の提言をこれからしっかりと受けて、護岸や川床、堤防及び水道橋等の補強工事を集中的に実施をしていきたいというふうに思っております。
また、今回の補正予算におきまして、全ての天井川に水位計を設置いたしますので、こういったハード対策と同時に、とにかく不意打ちにならないような、生命身体を守れるような形での避難体制をとるべく水位計を活用した監視体制を強化して集中豪雨の際に市町へ適切な情報がタイムリーに提供できるようにしていきたいと思っております。
今年は全国で経験のない豪雨が降り続いておりまして、つい先日も事故があったわけですが、非常に全国的にも大変な状況になっている。それだけに私どもとしましては、国においても思いきった財政措置を行っていただかなければならないのではないかということを求めていき、我々もそれに応じた形でしっかりと早期に復旧工事や補修工事ができるように全力を挙げてまいりたいと考えております。
【建設交通部長】 宇治川圏域の河川整備計画については、計画案を6月議会で報告申し上げ国土交通省の認可に向けた準備をしているところです。この計画案は、戦川、新田川についてJR奈良線橋りょう上流まで改修区間を延伸する計画ですが、今回の豪雨災害での溢水箇所と浸水範囲の調査等を行い、要因を解明して必要あれば計画案に反映させてまいります。
 木幡池の南池、中池周辺の浸水については、現在、国と連携して浸水状況の把握や内水状況の解析等を進めており、内水対策を含めた木幡池の対策方針を国や京都市及び宇治市と協議して臨みます。
 ゴルフ場など一定規模を超える開発については、「都市計画法」、「宅地造成等規制法」及び森林法や府独自に開発行為者と地域住民との合意形成に向けた手続きを義務付けた京都府林地開発の手続きに関する条例等の関連法令に基づき適切に指導しております。
 また、今回の豪雨により被害の発生した箇所について、速やかに現地調査を行ったところ、災害に強いとされる広葉樹林でも、地元同意の関係で保安林に指定されず、里山の手入れ不足も影響し、崩壊が発生したこと、崩壊した土砂は、周辺の立木を巻き込み土石流となって流出したこと等が確認されたことから、できるだけ早期に砂防ダム設置や保安林指定に基づく大量の土石や流木を補捉する、くし型状の治山ダムの設置など現地の状況に応じた効果的な措置を講じ、今後の防災、減災対策に活かしていきます。
 また、木幡北山地区の二尾木幡線に大量流入した土砂は府道から約100m離れた場所で埋め立てられた土砂が崩壊して流出したもので、現在、今回の集中豪雨と土砂崩落の関係等について調査しているところであり、他の土砂埋め立て箇所の崩壊防止等に活かしてまいります。
 緊急対策については、現地の調査を実施し、建物に影響を及ぼした土砂災害箇所を宇治市域で18箇所確認いたしました。それらの箇所について市と連携し、応急対策として土砂の撤去や大型土のうの設置などを進めております。本格的な対策はさらに詳細な調査を実施し、必要に応じて崩壊防止対策等を行っていきます。
 今回決壊したくつわ池の堤の上部には、林道末山線の一部として整備され、公園の散策道等としても利用されていることから、国の施設災害復旧事業により早期に林道機能を復旧させることは可能と考えています。自然公園の復旧については、国と協議し、池としての機能回復に必要な堤体は、災害復旧事業の対象外とのことでありますが、今後、池の機能を維持するという宇治田原町の要望があることから、府と町と共同して協議してまいります。

ゴルフ場の調整池などの検証

【前窪指摘要望】 南部災害について、知事から答弁がありました。私は、災害当日から現地に入りまして、その後も入らせてもらいましたが、知事とか太田副知事が現地に駆け付けて被災者を励ましていただきました。本当に志津川の区長さんなどは喜んでおられました。地元の皆さんが、知事や副知事に来ていただいたと、京都府に復旧対策など大きな期待を寄せておられますので、当該する市と国も含めて全力あげて復旧に取り組んでいただきますように改めて求めておきます。
 それから、ゴルフ場の関係は、相当ゴルフ場から濁流が流れてきたということがありますので、これは再検証していただいて、調整池などが小さすぎるのではないかという声もあるので、しっかりと検証していただきたいと思います。
 くつわ池は、二つの池があってこその「くつわ池」なんですね。馬具のくつわに似ているということでくつわ池になっていますので、早期に復旧していただきますように、京都府として最大限の努力をしていただきたい。このことも強く求めておきたいと思います。

生活交通対策
京阪宇治バス13路線の休・廃止問題について

【前窪】次に、生活交通対策について伺います。
宇治市内では、市民の通勤・通学・通院・買い物など日常生活に欠かせない公共交通として、京阪宇治バス(株)が51路線、京阪シティバス(株)が5路線、京阪バス(株)が3路線と、京阪グループ3社が59路線を運行しています。
昨年8月、京阪宇治バスから宇治市に申し入れが行われ、市内バス路線のうち明星、西小倉・伊勢田、槇島地域の13路線、平日103便、休日78便が、大幅な赤字だと報告されました。平成23年の料金の改定や、京都市敬老乗車証制度の交付金約226万円と徳州会病院運行負担金約342万円を算定しても、年間の赤字額は約6456万円に上り、このままでは路線の維持は困難で、補助金での支援がなければ、休・廃止せざるを得ないということでした。
宇治市は、今年5月やっとこの経過を市議会で明らかにし、まずは事業者とともに沿線地域・住民に説明に入ると報告しました。始まっている説明会で宇治市は、「乗客が少なく、赤字になっている。路線を存続させるためにもバスを利用してほしい」と説明。バス事業者からは「宇治市に補助金等の支援を要望したが、今年になって『補助金は出せない』、また、行政、利用者代表、事業者などによる協議会の設置も提案したが、『設置しない』との返事だった。これではとても運行できないので来年度から廃止するため、9月に運輸局に申請をする。良い方向が見出せたら廃止申請は取り下げる」と説明がありました。
これに対して住民は、「市は、申し入れを受けながら、なぜ、今まで利用者・住民に知らせなかったのか。今頃になって突然路線廃止の申請とはどういうことか」、「ただバスに乗って下さいと言われても利用者は増えない。ダイヤの見直しや増便するなど利用しやすいように改善が必要だ」、「高齢者も増え買い物や通院など、日常生活にバスは欠かせない。廃止は本当に困る」などと、行政に対する厳しい意見や事業者への要望等切実な声が次々出されました。
現在、関係する町内会、自治会では、住民へのアンケート調査の実施、利用者を増やすための独自の検討、住民への啓発などの取り組みが進められています。また、宇治市、バス事業者に対し、「9月のバス路線廃止申請の取りやめを求め、継続運行をめざした対応・対策を即実施すること」、「バス路線の継続や公共交通の在り方について、沿線住民を含めた協議会を立ち上げ、問題解決を図ること」、「路線の廃止を阻止し、補助金も含めた万全の対策を行うこと」などを内容とする要望書を提出されています。
このように、市街地域でもバス路線の休・廃止が相次ぎ、住民の足の確保が大きな問題となっています。府内の自治体でも、行政の支援なしでは路線維持が困難な路線もあり、デマンドバス、コミュ二ティバスを導入する自治体もありますが、多くは委託や補助金を交付して運行しています。

府は路線存続に積極的役割を果たせ

本府では、生活交通の対策について、京都府生活交通対策地域協議会を設置し、市長会、町村会の代表、バス事業者の代表、国の地方機関等で構成し、バス路線の休廃止や過疎地域等における不採算バス路線の支援計画等について協議することになっています。さらに、市町村単位では、地域公共交通会議を設置し、自治体の長、交通事業者、地域住民の代表などが構成員となって、地域交通の在り方を具体的に協議調整することとなっています。
そこでお聞きします。
第一に、宇治市内を走る京阪宇治バスの13路線の休・廃止の問題について、京都府生活交通対策地域協議会・京都南部ブロック協議会で、府として路線存続のために積極的に役割を果たすこと。また、南部ブロック協議会に、沿線の住民の参画をはかり意見をぜひ反映していただきたい。いかがですか。
第二に、宇治市域では、地域交通会議は設置されていないため、地域の生活交通の在り方などについて、住民意見を反映する仕組みが出来ていません。府域全体では設置が18自治体とすすんでいますが、この際、府からも働きかけを強めるなど、住民代表・行政・事業者などを構成とする協議の場、すなわち地域公共交通会議を立ち上げるべきではありませんか。お答えください。
第三に、国の補助制度の運用については、国へ柔軟な対応を求めると同時に、本府の制度の拡充を求めます。いかがですか。
【建設交通部長】宇治市のバス問題について、こうした地域の生活交通の問題は、市町村ごとに設置される地域公共交通会議で協議されることになっております。この会議は住民又は旅客も構成員に加わり、現在、府域の18の市町に設置されています。宇治市にはこの地域公共交通会議が設置されておりませんので、宇治市に対し、設置して今後協議するように求めてまいります。
なお、広域的な見地で調整するため府県単位で設置される生活交通対策地域協議会の、京都・南部ブロック協議会では、これまでまだご指摘の宇治市バス問題については議題となっておりませんが、今後この会議の中で議題となりましたら、適切に対応してまいりたいと考えております。
バス運行に対する支援は、国制度及び府の単独制度において過疎地域等を走行する路線等に限定して補助しており、平成23年度は、バス事業者やバスを運行する市町に対し、約2億7千万円を補助しました。補助金を有効に活用するため、引き続き過疎地域等を走行する路線へ重点的に補助してまいりたいと考えております。

宇治市に地域公共交通会議を

【前窪再質問】バス路線の確保についてですが、今答弁にありましたように、宇治市内にはこの地域公共交通会議というものがまだ結成されていないということなので、これはいち早く作っていただくように府からもぜひ働きかけを強めてほしいと思います。そして、これがまだ作られていないわけですから、現在は制度としては府生活交通対策地域協議会の南部ブロック協議会にこの案件は上がってくると思うのです。京阪宇治バスは、13路線を来年3月をもって休・廃止するということになっているが、これはこの協議会で協議を行い、それでよろしいかという採決をされるということだが、この協議会を経ない段階で京阪宇治バスの都合だけで撤退するということはあってはならないと思うのです。その点について見解をお示しいただきたい。
【建設交通部長再答弁】ご指摘の宇治のバス路線の詳細について、まだこちらのほうでは承知しているわけではありませんが、詳しく宇治市のほうからお聞きして必要があればこの協議会で議題として議論の対象とするよう指導してまいりたいと考えております。
【前窪指摘要望】この宇治市内で起こっている13路線の廃止問題を承知していないというのはちょっと問題だと思います。まちづくりの問題として第一義的には宇治市の責任が問われるわけですが、京都府は府域全体を見渡して、やはりしっかり踏み込む問題はあるということを把握して、適切な援助・指導等やって行く必要があるかと思います。京都府生活交通対策地域協議会、南部ブロックで協議される場合はやはりぜひ住民代表、利用者代表を入れていただきたいということを最後に要望して質問を終わりたいと思います。

島田けい子(日本共産党、京都市右京区)2012年9月27日

与謝の海病院問題
「法人化・附属病院化ありき」の撤回を

【島田】日本共産党の島田けい子です。私は府民の命を守る二つの課題について、知事、並びに関係理事者に質問します。
まず、府立与謝の海病院についてです。
6月定例議会で、私どもは「法人化・附属病院化ありき」の方針は撤回し、職員、患者、地域住民、医療関係者へ説明し、意見や要望を丁寧に聞くことを求めてまいりました。その後、本府は、矢継ぎ早に、地元医師会や市町村、職員団体に対して説明に行かれましたが、地元からは、期待の声より、むしろ、不安が広がっております。
9月23日には、地元社会保障推進協議会と府職員労働組合連合との共催で、「丹後・与謝の地域医療と与謝の海病院を考える懇談会」が宮津で開催されましたが、独立行政法人化や附属病院化への疑問と不安の声が出されるとともに、病院の充実を願う声がだされました。

丹後与謝地域の医療ビジョン示せ

私自身、地元医師会や住民の皆さんに直接お話を伺いました。また、現在、府職員労働組合や京都社会保障推進協議会の皆さんにより、住民アンケートや開業医、病院等の訪問調査が行われています。
地区医師会長さんは、個人の立場からの見解として、2月にまとめられた「提言」について、地域の事を知らない人たちが集まってわずか3回で結論を出すやり方はおかしい、本来、丹後与謝地域の医療をどうするのかビジョンを示すべきと苦言を呈されました。また、地元開業医や病院では、ほとんど、法人化問題が知らされておらず、一応に不安がだされています。住民の命を現に支え、京都府の医療・保健・福祉行政にも協力をいただいている開業医をはじめ医療関係者にほとんど説明もなく、そして合意も得られていないことがはっきりしました。
開業医訪問の中では、人工透析施設が足りず、兵庫にお世話になっている問題や糖尿病など専門医の確保、リハビリ体制の強化、精神科の入院ベッドの確保、療養病床の整備などの地域医療充実を望む声が多数出されています。京都府はこれら住民の医療ニーズを把握されていますか。調査をされましたか。やってないのであれば、しっかりと医療ニーズ調査をする必要があると考えますがいかがですか。その上で、地域保健医療協議会を開催し、今後の丹後地域や北部医療のありかたについて真剣な議論が必要ではありませんか。いかがですか。

【知事】丹後北部の医療圏については医療再生計画を作り基金を積んで、今着実に整備を進めているところ。そのなかで府立与謝の海病院については丹後医療圏の慢性的な医師不足や医療の高度化に十分対応できるか、という問題からやっているわけで、その点は理解をしてほしい。

「地域で助かる病院にして」にこたえるべき

【島田】また、ある病院では次のような意見が出されました。「丹後地域の医療課題は地域完結型になっていないことだ。脳外科など、家族のことを考えると、ドクターヘリで京都に送っても、家族の負担になる。医療機関が連携して丹後で、他の医療圏によらず、完結で行えるようにすることではないか。」「他の医療圏で助かる命が丹後では助からない命がある」と訴えられました。
さらに、住民アンケートでは、与謝の海病院で命を助けていただいたと感謝の声が多数ある一方、「脳梗塞で与謝の海病院に救急搬送されたが対応できず、豊岡病院に搬送された。」等の声もありました。
この点については、「あり方検討会提言」でも、丹後圏域は、がん、心疾患、脳血管疾患の死亡率が非常に高い状況であること。これら三大疾病全てにおいて、中丹医療圏や兵庫県へ患者が流出していること。丹後の救急搬送人員の増加率も非常に高いと、指摘しているところです。このような実態を、地域住民は身をもって経験しております。だからこそ、「地域で助かる病院にして欲しい」「もっと、良い病院にして欲しい」との切実な声が出されているのです。この声に本府がきちんと応える必要があります。知事は、これまで、議会や記者会見で、「しっかりと高度な医療の提供とか救急・緩和ケアなど丹後地域の医療の拠点として整備する。附属病院化することで医師を確保できる、与謝の海病院を府立医大とともに二大拠点にして医療バランスをとれるようにしたい」と発言されました。
しかし、提言では、与謝の海病院で全ての高度な医療が提供できる体制は困難であり、二重投資を避ける点からも、医大との連携によって高度医療を提供するとされています。

府は北部医療にたいする責任を果たせ

府民生活厚生常任委員会調査でも、理事者や病院長は「医大と与謝の海病院との二重投資は困難。府立医大に手術室など整備して受け入れ体制強化して、重篤な患者はヘリコプターで運ぶ。肝心の脳外科医の確保は附属病院化してもむつかしい」とのことでした。
また、地域社会保障推進協議会の求めに応じた開かれた住民への説明で、理事者は、法人化されれば、本府の手を離れるが、附属病院として判断すれば医師を増やすことができ、柔軟に対応できる。一方で、附属病院化がされた後のことはわからない旨のお話があったと聞いています。地域医療がこの先どうなるのかわからない。医師も増えるとは言えないでは何のための附属病院化かとの声が出るのも当然です。
2010年に府が策定した与謝の海病院改革プランは与謝の海病院が公立病院として今後果たすべき役割として「さらなる地域医療に貢献する」と明記されています。また、病院の理念には「患者中心の開かれた病院」を掲げ「地域医療支援病院、地域災害医療センター、へき地医療支援病院」等に指定され、北部の地域医療に深く責任を負ってきました。
住民要望にも応え、「法人化・附属病院化」ではなく、プランの実現を目指し、京都府が責任を果たすことが求められています。いかがですか。お答えください。
【知事】現在、与謝の海病院とは、いろんな意見を聞いたが、なかには「医大のキャリアパスにならない」と義務的に行かされている感をもっている人が多い。そのなかでけっこうお医者さんがどんどん変わったり、若いお医者さんがぜったい行かないという状況があり、しだいに優秀な医師を確保することのむずかしさを、私どもはみんな実感をしている。
そうしたなかでどうして解決を講じるかを考えているときに、逆転の発想で与謝の海病院にみんなが行って医療を行うことが地域医療を志す人にとって大きな励みになるような病院にしていく、ということを考え、私は附属病院化を目指していくということであります。こうした事情から府立与謝の海病院ありかた有識者会議の府立医大との連携による高度医療の提供をするために、医大の附属病院とするという提言をいただいているところであります。さらに附属病院化については、6月府議会においても必要な予算を認めていただき、議会のご理解のもと来年4月からの開設をめざし全力で取り組みを進めているところ。地元市町や病院、地区医師会、京都府および府立医科大学で構成する附属病院化推進会議において、しっかりとニーズを聞きながら地域医療の充実に向けて取り組んでまいりたい。
法人化については「不安がある」ということであるが、府立医科大学法人は法人化してすでに4年半近くたつが、基本的な変化は運営状況の透明化がはかられ、議会の関与が強化され、また府立大学と府立医大を一本の法人化にしたためにその協調関係が講じられており、あと実質はなにも変わっていない。昨年完成した外来診療棟や小児医療センター整備、そうしたものもわれわれ一緒に話し合ってやっている。これは法人化が住民に与える影響はございません。

経営効率が最優先されることに心配

【島田】全国各地で、地方独立行政法人化された病院では、経営効率が最優先され、不採算と言われる「地域医療」や「救急医療」への自治体の責任が弱まり、また、個室料や差額ベッド代などの患者負担がふえております。与謝の海病院の法人化も同様の心配が寄せられています。知事は、そのようなことはないといえますか。あわせて答えください。
【知事】個室の料金についても、府議会で料金の上限を決めてそれぞれやっているわけだから、議会の承認を得てやっているものですから、その点で問題はございません。こういう形で私どもはこれからも府立医大については、議会の承認をしっかりと計画段階で得て運営交付金で支えているわけですから、そうした点での御心配はないと私は考えている。
与謝の海病院の救急専門医の確保については、すでに昨年4月から進めている救急室の拡張に加えて救急医療に関する講座の設置など救急医療体制の充実などこれからも京都府の予算ではかることとしている。

救急搬送患者が転送される事態の解決を

【島田】また、住民の命に関わる緊急課題として、与謝の海に救急搬送された患者さんが他の病院へ転送を余儀なくされている事態を一刻も早く解決すべきです。前回知事選挙で大問題になり、知事は、日赤の協力で半年だけ脳外科医を派遣されました。地域医療支援センターもできたのですから府立医大任せでなく、オール京都の協力で、脳外科医と救急専門医の確保を強く要望します。本府の取り組みの現状と知事の決意を伺います。いかがですか。
【知事】脳神経科の対応については、外来・入院患者とも舞鶴医療センターと緊密なネットワークにより対応しているところであり、緊急の手術が必要な場合も365日いつでもすみやかに対応できる診療体制を整えたところであります。今後とも医大との連携を強化するとともにオール京都体制で京都府地域医療センターを核として引き続き京都府北部の医師確保、医療確保に努めてまいりたい。
【島田再質問】「大丈夫だ、大丈夫だ」とおっしゃたが、与謝の海病院が中途半端だったと、地元要望をしっかり聞いて、病院の機能を根本的に強化するとおっしゃいました。様々な医療ニーズに対応できる医療提供体制を構築することが重要だとの答弁もされました。ぜひ、そう願いたいと思いますが、問題は大きく二つ。住民の大切な財産であるのに、府民、とりわけ地元住民や現場への十分な説明がない。議論抜きで進められていることです。地元要望を聞くと言われるが、推進化会議は2回行っただけで結論をだす。ニーズに対応するというが、調査はやらないでは形式だけ。これでは口先だけと思うんですね。
二つめは、根本的機能強化の中身。病院の将来像は、今持って不透明である、という問題です。京都府の公的責任が大学病院に移行して果たせるかという点です。知事が、医大病院と与謝の海病院の二重投資の問題でお答えになりませんでしたが、「二重投資で困難」ということに私、驚きました。既に土俵は医大側に移っていると言わざるを得ません。独立した府立の病院であれば、二重投資などの言葉が出るはずがないと思うんです。また、先に独法化された府立医大では、診療科による医師の偏在がなお続いておりまして、医師派遣の余裕がないとお聞きしておりますし、看護師は年間通じて昨年度は二ケタの不足、患者負担増などの問題も出ています。その附属病院になって京都府の関与、議会の関与も薄くなりますが、それで大丈夫かという心配は当然だと思うんです。再度、明確な答弁をお願います。
【知事】この問題については提言を受けて、われわれはしっかり説明しながらやっていることでありますし、さらにこれからも、これから進めるにあたって各地域の人たちの意見も聞きながら進めていく。しかし、基本的に住民に影響を与えることはございません。これは断言させていただきます。そのうえでこれからの医療のあり方につきましても、やはり、与謝の海病院単独で高度医療をどれだけできるか。それは二重投資になってしまって府民の皆さんとしては、かえってよくないのではないか。府立医大との連携のもとにしっかりとした高度医療を構築するというのが、これは、やはり一番現実的で机上の空論でないしっかりとした丹後の医療を作る上で、私は必要であると確信をしております。

住民の財産破壊はゆるされない

【島田指摘】丹後の住民の方々が聞かれたら本当にお怒りになると私は思います。地域医療再生計画でも、そして与謝の海病院のこれまでのプランでも地域完結型の医療を目指す、と書いてあるんですね。本当に貴重な症例などは医大のほうに行かなければ無理ですよ。でも基本的に二大拠点にすると言っておられたのに、今、おっしゃりましたように二重投資はムダだと、いう発想でやられたら「大丈夫だ」といわれても信用できません。私、病院にうかがいまして職員のみなさんにお話をうかがいました。現場には、来年4月以降、いったいどういう病院になって、自分はどういう働き方をするのか、いっさいわからない。肝心のことが現場にも地域にも説明されていない。おきざりで地域住民の財産である府立病院をこのようなやり方で破壊することは認められません。そして医師確保をぜひとも全力をあげていただきたいと要望します。

国保一元化
国民を貧困と死に追いやる大問題

【島田】次に国民健康保険の都道府県一元化問題についてです。
国民保険は国民の35%が加入する国内最大規模の公的医療保険であり、国民皆保険の根幹をなす制度です。本来、国民の健康と生存権を保障するはずの制度が、国民を貧困や死に追いやっているのであり、この大問題を解決する改革が必要です。
今年度も府内自治体で国保料や介護保険料、住民税があがり、悲鳴の声が出されています。年金も給与収入も減り続けているのに保険料だけが上がり、払えない人が増え続け、お金がない人は病院にも行けない深刻な実態が広がっています。

根本原因は国庫負担を削減し続けたこと

これらの根本原因には、所得の少ない年金生活者や失業者が多く加入する国保はそもそも、適切な国庫負担なしには成り立たない制度であるのに、自公政権が、国保への国庫負担を減らし続けたこと、さらに、資格証明書の発行義務化で保険証を取り上げ、差し押さえを強化してきたことにあります。その結果、国保料は上がり、収納率は逆に低下の一途を辿り、国保財政は悪化し、低所得者を医療から排除するという悪循環をくり返しているのです。
民主党政権も、野党時代に掲げた「市町村国保への9000億円の国庫負担増」や「保険証の取り上げの是正」などの公約を投げ捨て、かわって、国保「広域化」路線を強力に推進しています。 2010年通常国会では、国保法を改訂し、都道府県知事に「広域化支援方針」を策定させるとともに、一般会計からの繰り入れによる赤字補填分の解消や、保険料の引き上げ、収納率向上、医療費適正化策をすすめるよう大号令をかけました。

財政運営の一元化狙った「改正国保法」

本年、4月5日成立した、「改正国保法」は、2018年に国保の都道府県単位化することを目指し、2015年度から、まずは、財政運営の都道府一元化を狙ったものですが、すでに、前回改訂で、レセプト一件あたり30万円超を対象にした保険財政共同安定化事業について、都道府県の判断で、対象医療費を1円超まで拡大できることとなっていますが、これまで、対象医療費を拡大したのは埼玉県など4県にとどまりました。都道府県の自主判断に任せておいては進まないと判断し、強制的にやらせようというのが、今回の法改訂のねらいではありませんか。
財政運営の都道府県一元化は何をもたらすでしょうか。全国に先駆け、12年度から、「保険財政共同安定化事業」の対象を一件10万円超に拡大した埼玉県では、市町村との拠出金調整に難航し、拠出超過になった5市長が連名で、対象医療費引き下げと所得割導入の見直しを求める要望書を県に提出しました。また、給付事業の共同化が進む中、「給付費が増えているのに、一般会計繰り入れで国保税を据え置いている自治体がある」「最も多い繰り入れを行っている自治体の国保税が県平均の約半分になっている」などの実情が浮かび上がり、県がそれらの自治体に説明を求め、「長期にわたる法定外繰り入れは好ましくない」と指導するなど、一般会計繰り入れの解消に向けた動きが加速しています。
こうした中で、全国知事会の中でも、国保財政共同安定化事業を1円まで拡大する案は「都道府県に責任転嫁する案で飲めない」と反発するなど、国庫負担なしの「都道府県一元化」は反対との声が多数を占める中、知事は、「信念をもってやる」と「都道府県一元化」を強力に進めてこられたのです。この責任は重大だと思います。

国保法の見直しを強力に国に求めよ

知事は、国に対し、これまで、市町村国保の財政基盤の確立に国は責任を果たし、国費投入を抜本的に拡充することを求めてこられましたが、結果は、定率国庫負担が34%から32%へ減らされ、都道府県調整交付金は2%増やしたというものの、その財源は年少扶養控除の廃止に伴なう地方税増収分であり、低所得者への国の支援も先送りされました。
国の目論見は、財政調整を強化し、国庫負担を増やすことなく、困窮する被保険者の負担で、国保の財政破綻を回避することにあります。国保の財政運営に「保険原理の徹底」をさせ、運営責任を放棄し、「重点化・効率化」で医療費適正化を競わせて抑制することです。
そこで伺います。あらためて、国に対し、国庫負担金を元に戻すことを求めるとともに、それがない以上、強制的な財政運営一元化をすすめる国保法は見直しをするよう強力に求めるべきです。いかがですか。
【健康福祉部長】知事が代表質問でお答えしたとおり、高齢者が多く医療費が高く、離職者や非正規雇用者が多く保険料負担力が弱く、しかも小規模保険者では財政運営が不安定、そういう恒常的な課題を抱えており抜本的な引き上げと一元化を実現化する制度設計をおこなうよう国に強く要望しますとともに、小規模保険者の財政安定化をはかるために、今般の国保法改正で導入が決定されました財政運営の都道府県単位化の円滑な実施に努めてまいりたいと考えている。
【島田】また、大阪府では橋下知事時代に策定された「広域化支援方針」の付則資料で、「国保事業の運営財源は原則として、保険料や法定負担の公費によって賄われるべき」「一般会計からの繰入金を財源として充てることは望ましくない」との立場を表明し、府の調整交付金配分にあたっては、市町村の「評価基準」を設定し、不適切な繰入や滞納処分の不徹底を理由に市町村にとって必要な交付金を削減し、市町村国保の財政難に拍車をかけています。本府は絶対にこのよう方法を採るべきではありません。調整交付金の配分基準についてどのような検討を行っていますか。お答えください。
【健康福祉部長】調整交付金については、これまでから配分の基準を明確にし、市町村国保の保険給付の規模等に応じて配布してきたところ。また、今回の調整交付金の増額分については、これも市町村と十分に意見交換をおこない理解を得る中で負担増となる市町村の支援策につながる激変緩和等の検討を進めていきたいと考えている。
【島田】知事はご存じでしょうか。長野県は全国一医療費が安く、国保料が安い県ですが、その長野県の人口7800人の原村では、65歳以上の高齢者、中学生以下、一人親家庭、障害者の医療費無料制度を継続し、住民検診も無料です。具合が悪くなったらすぐお医者さんにかかってしっかり治して元気に働かれ、病院へ行っている暇はない。高齢者の就業率は県下一だそうです。その結果、全国一医療費が少ない長野県のその平均より老人医療費が低く、結果、国保料も安いということです。
旧久美浜町でも、国保病院を中心に保健医療福祉の連携で国保料が府内で最も少ないところでした。合併して大きくなったら国保は連続値上げです。
「国民健康保険法」は、第一条で、国保を「社会保障及び国民保健」のための制度と規定し、第4条では国保の運営の責任は国が負っていることを明記しています。基礎自治体である市町村が、保健・福祉とも連携しながら住民に医療を給付することが本来の仕組みであり、これらの市町村国保の充実を支援するのが、都道府県の役割であり、国の責任であると考えます。いかがですか。
【健康福祉部長】国民健康保険は申すまでもなく、国民皆保険の最後のトリデであることから国に対して財政責任を果たすよう引き続き強く求めるとともに、府においても、大変厳しい財政状況ではあるが平成24年度当初予算において総額216億円の財政支援を行うなど全力で市町村国保の運営を支えているところであり、今後ともしっかり役割を果たしていきたいと考えている。
【島田指摘要望】国保の問題だが、小規模な市町村が本当に苦労されているというのはわかっております。
現時点で、最大の問題は、国庫負担を半分に減らして、京都府の独自支援もうち切って、財政難に喘ぐ、貧乏な国保を寄せあつめても解決にはならないということです。それに、事実上、手を貸した知事の責任は重大だと指摘しておきます。今のまま、一元化すれば、医療費が少ないところも、確実に保険料があがり、きめ細かな市町村の独自施策もできなくなります。一番の被害者は市町村であり、府民です。
 国庫負担増のめども立たない中で国保一元化はやめるべきです。さらに、現状でも市町村は大変な努力をされております。現在協議会等、ワーキンググループの会議なかでも京都府の独自の支援を求める市町村の声も強くだされている。小規模の市町村を助けたいというならぜひ京都府がしっかりとしたこうした市町村の声に応えて応援をしてあげていただきたいと思う。国民健康保険は最後のトリデ、このようなやり方をすればそのトリデである国民皆保険が解体する。代表質問で社会保障推進法について、知事は評価をしているのかな、という感じを受けたが、日本医師会も今回の社会保障推進法は皆保険制度を解体に導くものといっているわけで、知事の認識を改めていただきたい。ぜひ国民の命をまもるために、住民の命のトリデ、府立与謝の海病院とそして国保財政支援を、ぜひとも努力をされるよう求めて、質問を終わります。

光永敦彦(日本共産党、京都市左京区)2012年9月28日

関西広域連合と道州制について
将来構想も制度設計も不透明な関西広域連合で京都を守ることができるのか

【光永】日本共産党の光永敦彦です。通告により、知事並びに関係理事者に質問いたします。
はじめに関西広域連合についてです。私はこれまで何度も関西広域連合や道州制、「地域主権改革」にかかわる質問を行ってきましたが、「成長する広域連合」としていよいよ新たな段階にはいりつつあると考えています。
そこでまず、道州制の動きについて伺います。
日本経団連は「究極の構造改革」「民主導の経済社会」実現のために道州制導入を求めてきました。また今年二月に開かれた第50回関西財界セミナーではパナソニックの松下副会長が「道州制実現は難しいからといって理想を捨てないでほしい。広域連合という有力な手段を使って理想に近づけてほしい」と広域連合を早く育てて道州制へ、と強い期待を述べました。これほど財界が強く願うのは、関西では規制緩和や選択と集中による投資をよりフレキシブルにできる仕組みや体制、財源を求めているからです。今年6月27日には、日本経団連など財界団体で構成する「地域主権と道州制を実現する国民会議」が、「道州制にむけたリーダーシップを」とするアピールを採択し、その場に参加していた民主党前原氏は、「最終的に道州制が望ましく、その成功のカギは府県をなくす意識が持てるかどうか」とまで述べました。自民党は昨年の道州制推進本部の総会で、都道府県を廃止し10程度の道と州に再編する道州制基本法案の骨子を了承、公明党も道州制基本法を制定し、平成30年度をめどに道州制への移行をスタートさせたいとしています。先日発足した「日本維新の会」は「道州制が最終形」とする「地方分権型国家」づくりを目指し、結党大会では「東京一極集中を打ち破る」などと、地域主権改革による統治機構を変えることによって関西や全国があたかもよみがえるかのように描きました。これは自民党政権、民主党政権とこれまで幾度となく述べられてきた使い古された論議ですが、政局の混迷を打開するために、関西財界のよりストレートな代弁者としての役割をはたしているのです。
 そこで伺います。知事は、これまで「府県を構成団体とする広域連合と道州制は全く違う」と述べてこられました。そこで、今述べたとおり、道州制に向かう方向があいついで出されていますが、道州制にいかないために、関西広域連合の構成団体の長の一人として、どういった取り組みをされるのか、お答えください。
さて、地域主権改革の大きな柱の一つである出先機関の丸ごと移管をめぐっては、先の国会で閣議決定すらできず、関連法案を提出できなくなるなど、その先行きは極めて不透明となっています。
こうした事態に陥っているのは、市町村の「地方を守る会」への参加が全国507自治体にもふくれあがっていること、など地方や国民からの大きな不安や厳しい声があるからではないでしょうか。8月3日、「地方を守る会」は出先機関の廃止・縮小に反対する決議を採択しました。しかもこの会議には市町村長に加え、民主、自民、公明各党から59人の国会議員まで参加されたと報道されています。府南部の豪雨災害に見舞われた自治体からも「近畿地方整備局の移管反対」の声があがっているとお聞きしています。
しかし全国知事会は、出先機関の丸ごと移管を強くもとめています。山田知事は常々「成長する広域連合」として、出先機関の丸ごと移管を求め、一方で講演やインタビューでは、関西広域連合について「3層制を残したのが欠点で、今後試練がおこる。」とも述べられています。これまで知事は道州制について「首長によっても、政党によっても違う」として「政府自身も明確に示しているわけではない。だからビジョンを持つべき」と指摘されてきました。そこで伺います。知事として成長する関西広域連合の完成形とはどのようなものか、制度設計も含め、考えを明確にお示しください。またその際、基礎自治体や京都府がどうなるのかについても、合わせてお答えください。

関西広域連合の権限と事務の範囲について
権限と責任が不明確なまま出された大飯原発「再稼働」容認声明

【光永】次に関西広域連合の権限と事務の範囲についてです。
5月に発表した大飯原発再稼働を事実上容認した声明について、本会議でも特別委員会でも厳しい意見があいついで出されました。本会議で知事は「各首長が合意して出したもの」と答弁されたように、いったい声明が関西広域連合のものなのか、そうでないのか、どういう権限と責任で出されたのかが府民的にはわからないまま再稼働だけを認めるという最悪の事態をたどりました。広域連合が行うのは規約にもとづく7つの事務分野に加え「広域課題への取り組み」として、今後順次拡大されていく予定です。このため「原発問題は広域課題であるから、事務に含む」と理事者が答弁したとおり、事実上、なし崩し的になんでも含まれることとなっているのです。そこで伺います。関西広域連合の発足当初規定した広域的な防災、観光・文化振興など7分野以外に、どの分野まで広げるつもりなのか、何を所管するのか、知事の現時点での具体的なお考えをお聞かせください。
 さて、関西広域連合のメリットとして繰り返し述べられてきたのが、東日本大震災時のカウンターパート方式でした。しかし私は災害時の対応における国の役割と責任があること、および自治体による広域連携で対応できることを述べてきました。もともと2008年に発生した中国四川省の大地震の時に中国政府が各自治体に担当地域を示し、いち早い救援の力になったことからこれを参考に導入が検討されてきたものです。このカウンターパート方式は、その後各地で広がり、2004年に相互応援協定を結んでいた鳥取県と徳島県、いずれも関西広域連合に加入している県ですが、全国初めて県レベルで災害時相互応援協定を締結し、また昨年11月には中国四国9県で災害時カウンターパート方式を決め、各県の相互担当を決めた上に、広域支援本部を岡山県、徳島県に設置し相手県の防災訓練への職員派遣など、平時から相互交流を行うなどの協定が結ばれました。一方、ご承知のように、徳島県を含む四国は来年度にも「四国広域連合」の設立をめざしていると報道されています。
そこでお聞きします。私は中国四国地域の災害時カウンターパート方式と、関西広域連合のそれは、府県連携による事前協議が整っているならば、実行した時期がどちらが早いかどうかの違いであると考えますが、知事は広域連合でなければできなかったとお考えになりますか、そうであるならその根拠についてお答えください。
【知事答弁】関西広域連合についてでありますが、これはもう、論理的な問題なのですね。要するに、関西広域連合は、逆立ちしても道州制にはなりません。道州制というのは、構造的な法律に基づく改革であります。関西広域連合というのはいまある法律のなかで、都道府県が議会の議決を得ながら行動するものであります。したがいまして、道州制というのは、これを決めるのは都道府県でも知事でもなくて、国会と国民であります。したがいまして関西広域連合が道州制にいまのなかで移行するというのは、論理的にありえないのです。あとは、国会と国民がどう判断されるのか。ですから橋下市長さんもですね、選挙でやるしかないと、そして多数をとって国会で決めるのだとおっしゃっているのであって、それ以外のなんものでもないわけです。ですから、最終的には国会と国民のみなさんがこれは判断をするものであります。
 こういった点からすると、ただ一ついえるのは、要するに道州制というのは、府県制でいまのままでうまくいかなかったときに初めて機能するのですから、ある面で論理的にいうと、関西広域連合がうまく機能すると、そもそも道州制が必要かという議論にはなります。そういった点からすると、道州制に反対の兵庫県知事というほうは、まあ論理的には正しいのではないかというふうに私は感じております。
 その中で、広域連合の欠点とか、こういった話でしたけれども、これは何にでも欠点と利点はあるのです。それを片方だけ取り上げていうから、いつも皆さん方のいい方がそういうことになるのです。
今後、広域連合というのは、さっき言いましたようにみんな寄せ集めですから、その中で決めるのに時間がかかったり、そういう中で調整に実際まわったりという問題はありますよ。しかしながら民主的な手続きを経てこうやっていくことになりますよ。道州制は逆に、もう長が一人ですから、それで決まっちゃうけれども、それだけ大きなところで本当に民主的な手続きがうまくいきますか。そういう欠点もありますよということを、その利点と欠点を申し上げているので、広域連合の欠点を言ったからなんだとかいう言い方はですね、本当におかしな言い方だと思いますよ。それはちょっとやっぱり、きちっと文章を読んでいただき、話をしていただかないと、いくらなんでも、公正なやり方ではなんじゃないのかなと思っております。
 それから、出先機関の問題なのですが、どこを最終目標にしていくのか。最終目標というのは常に進化していくわけですから、我々は計画経済で動いていくわけではありませんので、そのたびにそれはきちっとやっていくのです。大きな到達の目的点としては、やはり都道府県がしっかり協力できる体制を関西広域連合というものを通してつくろうじゃないかということと、もう一つは、いま全くどういう形で決められているのかわからない、本当はブラックボックスになっている出先機関について民主的なガバナンスというものを導入しようじゃないか、この二点がやっぱり大きな到達点であり、私は目標であるというふうに感じているところであります。
 ですから7分野についても、これはしっかりやっていきますが、その中でやっぱり企画調整の分野がありますので、そういった調整の分野の中で広域連合が使われていく。ですから、関西広域連合の説明も、関西広域連合という形の中で行くと同時に、すべての知事がきちっと名前を明らかにして責任をもって行動することによって我々は態度表明をしたんだというふうに私は考えております。
それから、東日本の大震災の問題ですけれども、私はまずあの方式というのは、広域連合でなければ実現できなかったというふうに思います。そして、もしも実現したとしても、それはたぶんかなり時間がかかったと思います。なぜかと申しますと、いままでの協議会方式というのは、京都府が何ができるどうろうかとか、それぞれ大阪府が何ができるだろうかということをまず考えて、それを持ち寄って調整するというのが協議会です。それに対して関西広域連合は、関西として何ができるのだろうかということうを考えて、即役割分担に入れる。ですからあのスピードでできた。もしも関西広域連合がなかったら、カウンター方式が実現したとしても大変な時間がかかったというふうに思っておりますので、まさにあの時点であのタイミングでカウンター方式できたのは、関西広域連合があったからというふうに私は自分で行動していて実感をしております。
 机上で、出来る、出来ないなどの論評するのでなく、まさに広域連合が実際に果たした役割というのを見ていただけたらありがたいというふうに思います。
【光永再質問】再質問をさせていただきたいと思います。先ほどご答弁がありましたように、これはくり返し言われていますけれども、関西広域連合と道州制の制度が違うというのはあたりまえだし、決定するプロセスが違うというのはあたりまえの話ですね。それと、決めるのが誰かというのが違うというのも、これはあたりまえの話なのです。
しかし、私が聞いた「道州制にいかないための取り組みが必要ではないのか」ということについては、結局、関西広域連合を育てれば論理的には、いかないのではないかというような話がありましたけれども、それは論理で、手続きの話であって、結局は関西広域連合を育てていくということは、結果、道州制につながるということを私はくり返し言ってきたわけです。知事もそのことはわかっておられるはずなのです。
といいますのは、今年の5月の21世紀フォーラムというところで、知事がおっしゃっておられます。「市町村合併がすすむ中で都道府県が現状でよいわけはありません。ただ、道州制は百家争鳴ですすみません。そこで設けたのが関西広域連合。」ですよといわれております。そいう認識だから、知事会から新しい形を提案しなければいけないという認識に立たれたのだと思うのです。
それで出てきたのが日本のグランドデザイン構想会議だったと思いますし、その結果出されてきた「日本再生デザイン」中間とりまとめというのがありました。これも読ませていただきました。それを見ていますと、その中でね、今後の地方自治体の在り方について、いくつか書かれていますけれども、具体的な施策として「道州制や特定広域連合を含めた広域自治体のあり方等を幅広く検討する」と、確かにぼやかしていますが、知事自身は道州制もあるし、広域連合もあると、その中で広域連合を育てていくという姿勢があるということは、このことからも私は明確かと思います。この点は、知事がいくら、決め方や制度が違うからといって、その路線がレール上にあるのだということは、私は厳しくくり返し指摘しておきたいと思います。
それで、質問なのですが、先ほどのご答弁をお聞きしておりますと、結局育てながら考えるしかないという話があったと思うのです。自治体のあり方、あるいは権力のあり方が変わるということになっていくということがあるわけですから、これは進めながら考えるという話では絶対だめなのです。住民自治を本当に担保していく仕組みなのかどうかということをしっかりと決めて、住民に提示して論議していくということがどうしても必要です。個々の施策の話ではないと、それぐらい大きい話ですからね。
その点に対して意見が出されているのです。例えば、福島県の相馬市長でこれは「地方を守る会」の代表幹事の方が言われています。この方はですね、結局「推進派に制度設計がまったくないことに気付いた。とにかくやってみることが改革だと思っています。改革というのは手法であって、目的ではない。しかし、改革事態が目的化されていた。これは非常に危険なことだと思う」など厳しく言われています。
私もこの意見に共感しますし、全国的にも京都が走り続けていることが大事なのだと、先ほどの答弁もそういう話なのですね。いま紹介した意見について、知事はどういうふうにお考えかと、そのことが一点。
もう一点は、出先機関の移行がいま先行きが見えないですね。そういう中で、「成長する広域連合」などと述べてですね、事務がどこまでいくのかわからないけど、拡大し続けるというやり方がはたしていいのかと、このことについてはどう考えるのか。同時に、先ほど答弁がなかったのですが、こういう自治のあり方の制度変更をしていく上で、市町村や地域の疲弊が解決するのか、このことについて三点にお答えください。
【知事】まず出先機関の問題について、市町村の話なのですが、これは市町村側とのあれでも、かなり制度の問題についても誤解がある部分もありますし、理解を重ねなければならないことがあるのです。この前から我々も近畿の市長会のみなさんをはじめ、議論していて、だいぶそういう面では収束をしてきております。一致点はある。大きな方向性等については、「地方を守る会」というのはあるのですが、これが三分の一のところで。三分の二は、逆にいうと冷静にこれは議論しようじゃないかというふうにいっているのが現状なわけです。
 その中で一番大きなところは、やっぱり京都の皆さんの意見をどうやって取り入れていくか。それはいまの一番大きな問題なのです。その次の拡大の問題もあるのですが、結局、中央集権的に出先機関でどうやって決まったのかがわからない状況で、ずっときている。まあ、光永さんが中央集権的な考え方が好きなのかもしれませんが、私どもはあくまでこうして議会を設けて、住民のみなさんの議論をして、どういう議論を公にして、どういうふうに決まったかということを明らかにしていかなければいけない。そのときに、それでみなさんが、我々の意見が閉ざされてしまうのでは困るのですよという話をされるので、ではそれをいま協議の場をどうやってつくるかとか、市町村の意見をどうやって反映するかという議論を一生懸命しているのです。
いずれにしてもそういった、まさにみんなで民主的につくっていくガバナンスを透明化しようじゃないかという議論と、それから中央集権的に、何かやってくれたからありがたいみたいな話をこの前もする方がいらっしゃいましたけれども、そうではなくて、自分たちがやっぱり自分たちの地域をやるときに、どれだけ説明責任を果たし、どうしてそういうことをやったのかということをきちっとやっていくということがいま求められているのではないのかな。私はやっぱり地方分権、地方自治を押し進めてきた人間として、一番やっぱり民主主義の根幹である、これがやはり強靭な日本をつくっていく、また、国民みなさんが同じ方向を向いていく、大きな一番いいところではないかなと思っていますので、この点については、我々は主張を変える気はありません。
それから、市町村とかそういった地域の疲弊について、これは広域連合というのは、市町村とか都道府県を残したままの話なので、市町村について具体的に何か影響を与えたということはないですね。それと今度は道州制とは根本的に違う話をするわけですので、地域の問題がどうか、町村の問題はというのは、全く筋の違う話を私は述べているとしか思えないので、正直、質問がよく理解できませんでした。
そういった点では、はっきりいえるのは、市町村や都道府県については、既存の制度を持っている。その中でいまやっているのは、都道府県として共同できる事業は共同しようというじゃないかということと、そして、どうもよくガバナンスがわからない出先機関については、この機会にみんなでガバナンスがわかるようにフォーメーションしようじゃないかというこの二点を大きな目標としてやっているわけです。
ですから、最終とはいくらなんでもわかりませんけれども、こうした大きな目標をまず達成するということでいまおはかりをし、しっかりとビジョンをつくり、いま各方面で協議を重ねているというむねご理解をいただきたい。
【光永】関西広域連合や道州制をめぐる問題は、制度論としてはいろんな論議があるかと思います。しかし、我々が責任を持たなければいけないのは、この改革が誰のためのものなのかということだと思うのです。いまの話だったら手続きの話、仕組みの話ばかりで、住民、とくに府民に責任を持つ我々として、府民のくらしが良くなるのか、ならないのかということは、いっさい出て来ないわけです。こんな話は、ダメなのですね。結局、仕組みを変え続けることに意義を見出している。さらには、私はこの間くり返して来ましたが、この改革は財界の要求なのだと、そういうふうに改めて思います。
紹介しておきますが、大阪湾のベイエリアを開発するための推進機構というのはいまもあるし、京都府が役員としていまも入っておられますが、このベイエリアの開発の推進機構ができたそのいきさつを追ってみますと、平成16年に関経連の会長と山田知事らが連名で「大阪湾ベイエリア開発整備の提言」まで出されて、これを受けて、推進機構ができて、いまもずっと進んできて、さらに規制緩和、再開発などの提言が出されてきているわけですよね。
そこへお金を集中する権限も集中するとなったら、京都府の地方はどうなるのですか。そのことについては何も答えられないそのままで、とにかく関西広域連合を進め、さらにその先に道州制に進むということは絶対にそんなことは許せないわけです。これはどうしてもストップさせるため、私もがんばりますし、知事も少しは府民のくらしのことや地域の疲弊のことを考えて、ものごとを考えていただきたい。そのことを厳しく指摘して次の質問に移ります。

福島原発事故の避難者への支援策について
放射能被ばくの様々な情報提供、全ての人の健診を

【光永】次に、東日本大震災と東京電力福島原発事故により、避難されている方への支援策について、とりわけ放射能の影響から子どもたちをどう守るのかについて伺います。
本年6月に、我が党議員も提案者の一人となった略称、「原発事故こども・被災者支援法」が成立しました。
これは、東京電力福島第1原発事故で被災した子供や妊婦への支援策を盛り込んだもので、対象地域は福島県内に限定せず、放射線量の基準は地元との協議で定めることとされています。また子どもや妊婦の医療費は、国の財源で免除または減額し、また被曝の可能性がある子どもの健康診断を生涯にわたって実施すること、等が盛り込まれました。この法律も活用して、原発事故による被害からの救済が速やかにすすむことを強く願うものです。
私はこの夏に東京電力福島第一原発から30キロ圏に当たる福島県南相馬市にボランティアに行き、今年四月まで警戒区域、現在も避難指示解除準備区域の小高区にも入りました。また、福島市にも私は伺いましたが、避難勧奨地点になる可能性が高かった渡利地区では、ある方の庭の放射線の空間線量が庭では1,8マイクロシーベルト、室内は0.8マイクロシーベルト。自然放射線による空間線量が関西ではおおむね0,05マイクロシーベルトと言われているため、その値は36倍にも上ります。
 除染は対象戸数が福島県全体で60万戸、今年度の目標は9万3000戸に対し、現在、3403戸にとどまるなどほとんど進んでいません。仮置き場が市内一カ所のみで足りないため、削り取った土を、お隣に影響がでないように庭の真ん中に埋めたり、積み上げるなど、先の見えない日々を強いられておられます。
 こうした中、放射能の影響の大きい子どもと妊婦の方には、できるだけ早くその影響を低減するとともに、正確な放射能の影響を把握し続けることが求められています。
 このため、福島県と福島県立医科大学が、全県民を対象とする県民健康管理調査を実施し、また子どもたちの健康を長期に見守り、チェルノブイリ原発事故の経験を踏まえ放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺ガンの対策のため、甲状腺超音波検査を実施しています。福島県にはおおむね震災当時0歳から18歳であった方が36万人おられ、その方を対象に、2014年3月までに県内を一巡し、その後、本格的な検査を20歳まで二年ごと、それ以降は5年ごとに生涯にわたり検査し続けるのです。
 福島県のとりまとめによりますと、今年8月までに実施した8万174人のうち、3万2003人、約40%に結節や嚢胞などしこりがあり、そのうち甲状腺学会の基準で5ミリ以上の腫瘤が発見された二次検査を必要とするB判定の子どもが425人であったことが報告されました。この健康管理調査の情報は福島県立医大に一元管理されることとされており、本人や保護者には判定結果のみが通知されるだけで、しこりが発見されても、しこりの大きさや超音波画像データなどは、本人がわざわざ個人情報の開示請求をしないと入手できない、など抜本的な改善が必要な状況が続いているのです。
 その上、いまだ福島県内ですら検診が進まず、福島県以外の放射能の高い地域は対象外、また福島をはじめ京都に避難してこられた方たちには、まったく対応ができていないのが実情です。
そこでまず伺います。「早期発見、早期治療」が健康管理調査を続けるにあたり大前提であると考えますが、知事の認識を伺います。またその立場にたつなら、本来、国が責任をもって、福島県内はもちろん、それ以外の地域や避難者も対象として迅速に甲状腺検査を含む検診を行うべきと考えますが、この点について、多くの避難者がおられ、福島県をカウンターパートとして支援してきた京都府として、これまで国への働きかけはどのようにされたのでしょうか。今後はどう対応されますか、お答えください。
こうした中、9月5日に、ようやく福島県以外の71の指定医療機関により今年10月から順次検査が開始されることが発表されました。しかし、京都府の場合は「調整中」とされています。
現在、本府に登録し避難されている方は福島県内からだけでも1053人、全体で1381人の方がおられます。その中には、お父さんを残し、子どもの安全を守るために母子避難されている方も少なくありません。こうした方々の不安に応えるため、すでに京都民主医療機関連合会が、被ばく対策委員会を立ち上げ、今年無料で2回の検診を実施されました。今年3月に実施された検診には50名、2回目には63名の子どもが受けられました。また検査結果の見方や今後のフォローについて検診結果の説明会を開催し、また個別の相談にも応じておられます。その検診を通してB判定となった子どもも見られ、その子どもは医師のつながりで専門的に対応できる医療機関につなぐなどの取り組みも自主的に進められています。
私は先日、避難されてきたお母さんたちからお話を伺いましたが、そこでは「福島に帰って検診するにも心配で、しかも、お金も時間もかかり帰れない」「避難したことを、御近所にも自分の地元にも言えない」などなど、溢れるような思いがせきを切ったように語られました。
そこで伺います。京都府の医療機関の指定について、京都府はどう対応し、いつから検診が開始できるのでしょうか、お答えください。
また、福島県が行う検診には、血液検査がありません。このため福島の保護者の方々はすでに「超音波検査だけでなく血液検査を含む多様な検査を実施してほしい」と県と県立医大に申し入れをされています。私がお聞きした避難されてきた方も「せめて、京都で実施する際には、オプションでもいい、有料でもいいから、血液検査も受けたい」と語られました。本府内で検診を実施する際には、法の精神にのっとり血液検査も対象とできるようにするなど、追加検診やセカンドオピニオンについても認めるべきと考えますがいかがですか。
そのためにも、この間自主的に行われてきた検診結果も含め指定医療機関との連携が速やかに行われるようにすべきです。本府はどう対応されますか。
さて、福島第一原発事故のその後も、放射能被害の実態についても、京都をはじめ関西ではほとんど報道されなくなり、また情報が極めて少ないのが実態です。このため避難されてきた方は、見えない放射能に苦しみ、子どもを守るため情報収集に必死になっておられます。また、ある方は「放射線を気にする私は神経質な母と写ったでしょう。夫婦や家族、学校や親、消費者と生産者など、考え方や認識の違いで対立がおこされている」と述べ「東電や国は、被ばくから子どもや大人を守ることこそ真剣に考えるべきです」と語られました。今後、検診が始められる際には、放射線被害について、しきい値のない確率的影響や確定的影響などについて、福島県立医大の見解のみでなく、様々な見解があることや、その内容について子どもや保護者に知らせるべきと考えますが、いかがですか。
以上、質問をして私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【健康福祉部長答弁】放射線被害の対策でありますが、健康問題は非常に重要なことであることから、京都府ではこれまでから、健康への影響調査について対象地域を限定することなく、確実に実施すること、また、とくに子どもの健康に及ぼす影響が極めて大きいことから、子どもの将来の安全性を確実に保証できるよう、必要な健康対策を講じることを全国知事会を通じ国に求めているところです。
 こうした中、福島県では、県民の健康を長期にわたって見守るため、専門家からなる検討委員会を立ち上げ、調査の項目やその内容、また、指定医療機関の基準等を定められ、国の交付金を活用した基金事業により、健康審査や甲状腺検査等を行なう福島県県民健康管理調査を実施されているところであります。
 検査を行なう医療機関の指定については、現在、福島県から調査の委託を受けた福島県立医科大学が、基準に該当する京都府内の病院と調整を進められております。京都府としましては、年内にも指定がされるよう、引き続き福島県に強く働きかけてまいります。
 今回実施される調査は、専門家からなる検討委員会で議論され、法に基づく事業であることから、今後とも実施主体であります福島県が適切に行なわれているものと考えております。京都府といたしましては、府内に避難されております被災者の方々が円滑かつ適切に検査等を受けられるよう、今後とも福島県と連携、協力してまいります。
 また、府内での実施にあたりましては、被災者の方々に十分な説明がなされるよう、引き続き福島県に働きかけますとともに被災者からのご相談がありましたら、丁寧にお話をお聞きし、適切に対応してまいりたいと考えております。

≪他会派一般質問項目≫

【9月26日】

■巽昭(自民・京丹後市)

1.府立与謝の海病院の医大附属病院化に

ついて

2.府立医科大学附属病院について

3.公契約大綱について

4.入札制度改革について

■安田守(自民・向日市)

1.京都府立高校の入学者選抜制度と募集定員

について

2.小児の在宅医療について

3.専用球技場について

4.府営向日台団地の建替え要望

5.物集女街道の拡幅要望 等

■中川貴由(自民・八幡市及び綴喜郡)

1.石清水八幡宮の復旧について

2.男山団地の再生について

3.中小企業金融円滑化法の期限切れによる影響について

■松岡保(民主・城陽市)

1.京都府営水道について

2.府南部の鉄道網整備について

3.府と市町村の今後のあり方について

 

【6月27日】

■中小路健吾(民主・長岡京市及び大山崎町)

1.家庭支援総合センターについて

2.障がい者の雇用促進について

3.今後の消費者行政のあり方について

■島内研(民主・京都市左京区)

1.林業税制と「京都・文化の森」について

2.農地法改正と土地規制緩和について

3.防犯カメラの設置について

■池田正義(自民・舞鶴市)

1. 京都舞鶴港国際フェリートライアル事業に

ついて

2.LNG基地について

3.防災行政無線について

4.原子力防災について

5.主要地方道小倉西舞鶴線について

【6月28日】

■荒巻隆三(自民・京都市東山区)

1.文化財防災対策について

2.文化度を基調とした観光誘客策について

3.繁華街における交通事故防止対策と祇園における夜間の違法駐車対策について

4.がん対策について

■村井弘(公明・宇治市及び久御山町)

1.府南部地域豪雨について

2.内水氾濫対策について

3.宇治川の洪水対策の必要性について

4.防災意識の啓発について

■大橋一夫(民主・福知山市)

1.有害鳥獣対策等について