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本会議質問

2012年12月定例会一般質問 原田・かみね・成宮

2012/12/19 更新
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●12月定例府議会一般質問が12月7日、12月17日、12月18日におこなわれました。原田完議員、加味根史朗議員、成宮真理子議員の一般質問と答弁の大要、他会派議員の一般質問項目をご紹介します。

原田  完 一般質問 ・・・・・ 1
加味根史朗 一般質問 ・・・・・ 6
成宮真理子 一般質問 ・・・・・11
他会派議員の一般質問項目・・・・16

12月定例会 一般質問
原田完(日本共産党、京都市中京区)2012年12月7日

京都経済の実態と経済政策について

【原田】日本共産党の原田完です。知事並びに関係理事者に質問いたします。
まず、京都経済の実態と経済政策についてです。
いま、京都の経済は深刻な不況に落ち込んでいます。京都府が商工会議所等の協力で実施し、11月13日に発表した景況調査は、その深刻さを浮き彫りにいたしました。
私は改めて、デフレと長期にわたる消費不況に陥っている経済状況が、どのように進んだのかを振り返り、その原因と京都経済の対策を伺いたいと思います。
知事もご存知のように、バブル経済が崩壊した後、大企業は労働者の大幅リストラと下請けへの負担転嫁で大きく業績回復しました。中小企業は苦しみながら、経営を守り地域経済への貢献を行ってきました。その苦境に追い打ちをかけたのが2008年のリーマンショックです。アメリカのサブプライムローン債権を、複雑な証券にして世界にばら撒かれ、その破たんで金融危機を招き、世界経済の急激な衰退、金融不安となりました。日本はその影響を受け、輸出企業を中心に大幅な景気後退となり、さらに下請け中小企業はそのあおりを受けて、いっそう深刻な経営危機となりました。
このような動きの背景には、新自由主義に基づく小泉構造改革の行き過ぎた規制緩和と市場原理主義、大企業など強者の論理優先政治です。民主党政権も国民の期待を裏切り構造改革路線を踏襲し、労働法制の規制緩和で大企業では正規から非正規への置き換えが急速に進み、働く人々の収入は減り続け、平均年収はこの10年間で54万円の減少となり、消費は大きく落ち込みました。市場原理の徹底で、親企業から下請け企業への発注加工賃は切り下げられてきました。
さらに、円高対応で、いっそう下請けや現場労働者への痛みの押し付けが進んでいます。輸出企業は下請けへの転嫁にとどまらず、より労働力の安い海外へと生産拠点をシフトしています。
こうした結果、下請企業は仕事が減り、経営の維持さえ困難な状況となっているのが日本や京都経済の実態ではないでしょうか。知事として、今日の不況の原因・事態とその責任についてどのような認識でしょうか。お答えください。
デフレと急激な円高は、日本経済を疲弊させ輸出企業だけでなく、健全に経営している国内企業まで深刻な状態に追い込んでいます。
いま、家電メーカーが韓国企業との競争に負けて、売り上げが激減となっています。同じ製品作りでも、韓国はウォン安で0.75倍に、日本は円高で1.5倍と価格差が2倍となり、競争できる状況でないのが、現実ではありませんか。
シャープやパナソニック等の大リストラが問題の民間調査機関の発表では、京都でもシャープの下請け企業が390社、その従業員が約1万8千人、パナソニックの一時仕入れ先が365社と京都経済と雇用に重大な影響が予測されています。
先日、国内での価格決定のプライスリーダー、リーディングカンパニーの専務と懇談をした時に、為替レートが安定し生産費に見合う価格とならなければ、大手商社が円高を利用し、海外の安い商品を輸入販売することで、国内企業も円高外圧の影響を受け、厳しい経営になってしまうと危機感を言われていました。
デフレ克服と円高対策は焦眉の課題です。経済の回復と発展させるには、内需を活発にすることが基本です。自民党が「無制限の金融緩和」と言っています。しかし、内需が冷え込みで、いくら金融緩和しても、企業の国内での設備投資にはまわらず、余ったお金が海外投資や投機マネーとなり、生産拠点の海外移転、原油や穀物の高騰を引き起こしているではありませんか。実体経済が悪いときに、金融経済にテコ入れすれば、景気が良くなるなどというのは、まったく逆立ちした議論です。この10年の金融緩和のもとで景気回復をしていないことが証明しています。デフレ不況から抜け出すためには、国民の所得を増やし、内需を活発にする政策に転換することが最大のカギです。知事はこの転換が必要だと考えておられますか。お答えください。
中小企業は大企業の目先の利益確保の犠牲となり、急激な円高には、そのたびごとに下請け企業は工賃を切り下げられてきました。景気の後退はあっても、回復がないのが現在の状況です
金融円滑化法は、資金繰りに苦しむ中小企業の返済猶予、条件変更の求めに金融機関が応じ、資金繰りの救済措置がとられ、その後2回の延長が行われてきました。必死の思いで経営を維持し雇用を守ってきた中小零細企業の経営維持には、重要な役割を果たしてきたのです。
中小業者は善良です。1億円以上の大口借入先と1億円以下の協会保証付と思われる借り入れの事故率を見ても、中小零細企業の小口融資のほうが圧倒的に低く、苦しい中でも必死の思いで返済していることが統計数字上でも明らかとなっています。
民主党政権が厳しい景気後退局面のいま、金融円滑化法を打ち切ることは許されません。
政府は、円滑化法期限切れの「出口対策」として特別融資保証枠を創り、さらには企業再生機構・支援協議会による再生ファンドを2012年3月までに3000件の目標数を示しました。円滑化法の適用を受け条件変更を行なった企業全国約40万社に対し、活用実績がわずか165社、日本航空を先頭にほとんどが大企業であることを考えると、この事業再生ファンドの活用ができる中小企業は、ごく限定的です。
金融庁の銀行の検査指針では、再生計画作成で5年間の不良債権としない、実質的に継続というが、これまでのように金融庁への報告義務も罰則規定もなくなる。まさに足かせがなくなり、金融機関の一方的な基準での判断が優先し、条件変更の見直しで返済要求が強まり、条件変更や融資への要望を拒絶される事態が起きても、それを止めるための担保がありません。本当に厳しい中小企業が見捨てられないと保証できるでしょうか。
知事は金融機関と協議会を持って要請をしており、金融機関からも従前通りの対応となっていると言うが、現に府南部で条件変更をしている中小零細業者に、円滑化法期限切れ前に、利息だけでなく、元金返済要求をするという話が金融機関から言われています。京都府は金融機関と協議会で、貸し渋り貸し剥がしなどは起きないと言うが、現実は本店や本部と約束しても、府制度融資のいきいき経営支援融資の保証料軽減措置も、支店に行けば知らない支店があるのが実態です。儲け優先がすでに起きている。
現に条件変更内容と違う元金返済要求が起きている。この現実にどう応えるのかお答えください。これでは、不況の苦しみへの支援ではなく、中小業者切捨ての政策ではありませんか。知事はこの現状をどのように認識していますか。
さて、私が相談を受けた西陣の企業は、この不況下で売り上げ減少の経営打開に、新規販路開拓をおこない、新しい商品作りに運転資金が必要となりました。しかし、銀行プロパーも制度融資も利用しており厳しい状況にある。商工会議所の再生支援協議会に持ち込んだが、経過観察をして、再度相談となり融資実施になりませんでした。
業界組合との相談で、ようやく組合の特別融資で当面の資金手当ては出来ましたが、このような企業の支援こそが政治の役割、行政の役割ではありませんか。厳しい経営環境のもと、下請け企業や従業員の雇用を守るため、自分の給与を減らし、自社に個人貸付して経営を守っている、キャッシュフローが必要な業者が本当に救われることこそが必要ではありませんか。国の言うリレーションシップ・バンキングで貸借や損益だけでなく、人物評価、企業評価、事業評価が求められるが、実際は損益等が優先と実態との乖離をどう思うのか、こういう企業支援をどうしようとするのかお答えくさい。
また、今議会で、府は円滑化法が期限切れ後の対策として、中小企業経営あんてい融資を創設、5号認定外業種も100%保証を実施としています。これは、私達が9月議会での質問や円滑化法延長を求める意見書討論、決算特別委員会等で求めてきた対策ですが、より実効性のある融資制度として運用の充実が必要です。
先程紹介した西陣の企業のような場合、厳しい経営実態にあるが、それでも真水の資金が必要な事業者で、借り入れが金融公庫も限度いっぱい、制度融資もほぼ限度額、条件変更を受けているような業者への融資が実施されるのか。このような企業が本当に救われる制度になっているのかお答えくさい。
深刻な不況にある中小企業への支援策として、融資での対応だけでなく京都府の緊急経済対策、仕事起こし対策が必要です。この間の経済対策は応援条例での認定を受けた強い企業だけの支援となっており、地域全体の底上げ対策を講じなければ、地域経済の疲弊を回復させることは出来ません。
自然エネルギー、再生可能エネルギー、間伐材の活用など、地域に根ざした環境産業や耐震に効果のある住宅改修など、地域内循環経済政策で中小企業に経済効果の高い施策への転換が必要ではありませんか。例えば北近畿太陽光発電促進普及協会が遊休地等を活用して小口発電のように地元建設業者が簡便に設置で仕事つくりや、丹後でピコ水力発電など地域での仕事起こしに貢献する。また、公共事業でも、地元業者への発注となる生活密着型にし、災害時や豪雪時の除雪などで貢献する、地域内の業者の経営が安定的に継続できるように、北部での振興局単位での入札など制度の改善、最低制限価格の引き上げ改善が必要です。
地域循環経済での経済効果を生む経済政策に切り替えることが必要ですが、知事はどのように対応しようとするのでしょうかお答えください。
【知事】経済不況の要因とその中での経済振興というお話ですが、お話がありましたように、最近の景気というものの情勢の中で大きかったのは、リーマンショックですね。そしてその中で、今度は欧州にも波及していって、経済不安を与える。それが円高の状況を生み出してきている。本来であれば東日本の大震災を受けて、厳しい条件にある日本が円高になることはないわけですけれども、残念ながら、ギリシャとかスペインとかいろいろな国のほうの状況がもっと悪いために、相対的に日本がいいとなって円高になり、デフレになり、景気が後退してきているという現状があります。少し立ち直り始めたなと思ったら、領土問題というまた難しい点が出てきている。こうしたことがいま複雑に絡みあっておりますし、国内ではやはり少子高齢化の進行の中で、安定成長という言葉は良いが、成長力が失われてきているという状況の中で、なかなか国民生活が改善に結びつかないという事態があります。こうした要素が複雑に絡みあっていく。また、グローバリズムによる海外流出とともに、アジアの大きな諸国が競争力をつけてきた。日本が得意としてきた分野にどんどん入ってきて、いまや携帯でも、我々が使っている携帯自身が韓国やそういったところの携帯、アメリカのソフトのスマホになっているという事実があるわけであります。
こうした中で、本当に日本が活力ある地域として国としてしっかりと取り戻していくためには、今申し上げましたように、一つひとつの要因に対して、未来に向かって伸びる成長というものを認識した形で内需というもの、または、外需というものを起こしていかなければならないと思っております。内需というのが大切だと思うのですが、もともとバブルになったのは、ご存じのように日米構造協議でアメリカに内需を押し付けられたからではないですか。そのためにやってしまったらバブルになってしまって、とんでもないことになってしまった。ですから、いかに中身のある内需というものをつくっていくのかということが求められているのでありまして、私ども知事会のほうにおいても、こうした面から「日本再生の12カ条」や「グランドデザイン」の中でしっかりと地域自身が自立できるような、そういう外需というものを起こすべきだということをいま提案させていただいているところであります。そうでなければ、タコの足の上を歩くようなことをやっていれば、まさに共産主義国が陥ったように、国としては仲が良かったほうではないけれども、国としては存続ができなくなっちゃって、国が潰れてしまうということになって、壊れてしまうというような状況になってしまった。こういう轍を私たちは踏んではならないということは、申しあげておかなければならないと思います。
今後とも京都府としましては、しっかりと内需についても、中小企業応援隊による育成型の中小企業振興や、さらに例えば、高齢化社会を見据えた新しい内需の振興、こうしたものを外需とともにバランス良く展開をして、成長力ある未来に希望のある京都経済をつくるように努力してまいりたいと考えております。
【商工労働観光部長】中小企業対策についてでありますが、制度融資については、平成16年度から府の指定する金融機関の本支店を窓口として実施しているところであります。各機関においては、府の要綱に基づき、「いきいき割引」を含め、すべての制度について親切丁寧な対応をしているところであります。
 金融機関の個々の窓口において、担当者がいっそう十分な対応ができるよう、引き続き内容の徹底を図ってまいります。
条件変更については、企業と金融機関との契約でございますので、契約内容を守るのは当然であり、この契約を破るようことはないと金融機関に確認しております。
 厳しい状況に置かれている中小企業支援については、なにより重要なのは、企業それぞれの実情に応じた対応でございます。京都府においては、京都市や地元金融機関、保証協会等と連携し、あんしん借換融資、小規模企業おうえん融資、中小企業再生支援融資などの制度を活用し、金融支援だけでなく、経営改善等にむけての専門家派遣など、中小企業の状況に応じた育成型の伴走支援を行なっており、制度融資等の施策がまさにセーフティネットとしての役割を果たしているものと考えております。
 融資に関しましては、なにより必要なところに必要な資金が供給されることが重要であります。リレーションシップ・バンキングについては、地域金融機関で、以前から経営者のやる気や能力を評価するなど、中小企業に寄り添った対応をしていただいており、考え方のかい離はないと思っております。
 今後も京都金融支援連絡協議会等を活用し、京都府としてもそうしたリレーションシップ・バンキングの考え方をいっそう徹底してまいります。
 中小企業緊急経営あんてい融資については、これまで知事がお答えしておりますとおり、あんしん借換融資の対象からはずれる業種があっても、経営改善計画を作成していただくことによって、既存の100%保証をそのまま借り換えできるようにするものであります。
 当然ながら、個々の融資については、企業と金融機関の間で契約していただくものでございますが、府としましては、このあんてい融資だけでなく、制度融資全体と日本政策金融公庫、商工中金といった政府系金融機関が連携し、最も適切な支援を行なっていくこととしておりまして、これがまさに中小企業の経営を改善する力になるものと考えております。
 今後も資金を必要とされている企業に円滑な資金供給がされるよう、オール京都の力でしっかり支援をしてまいります。
 地域循環型経済については、知事から答弁がありましたとおり、育成型中小企業振興や内需型産業の誘致などの取り組みを進め、地域の中で需要を創出し、地域経済の発展を図っているところであります。
【原田・再質問】ご答弁いただきましたが、知事はいろいろといわれますが、今の構造改革路線、市場原理主義、究極の弱肉強食の経済の肯定です。さらに、地域循環経済への転換も、強い企業応援の域を出ない答弁に終始している。今こそ、経済政策の転換が必要であり、景気回復は望めないのは、この景気後退状況で明らかです。ぜひ多様性と新たな可能性に目を向け、地域循経済の転換を図るべきです。このことは指摘しておきます。
あんてい融資は歓迎しますが、しかし、帝国データーバンクの報告でも倒産件数は(11月に)18件も増加しています。円滑化法(の期限)が切れ、いっそう厳しくなると予測しています。先ほど紹介したような企業への支援の強化こそが必要であり、現に条件とは違う内容がいわれている事態がある、このことに対し、やっぱり、京都経済の下支えとなるように、さらなる検討が必要と思います。この融資制度のさらなる検討について、再度答弁を願います。
また、円滑化法の期限切れ以後、貸し渋り貸し剥がしが起きないように、協議会ではあくまでも善意での約束ごとであり、真に実効性のあるものになるよう府の努力を強く求めておきます。
【商工労働観光部長・再答弁】制度融資についてですが、先ほども答弁させていただいたとおり、あんてい融資だけではなく、あんしん借換融資、小規模企業おうえん融資、中小企業再生支援融資等の制度を総合的に活用いたしまして、さらにまた、政府系金融機関等の施策もしっかり活用しまして、京都全体でしっかり中小企業の支援に全力を挙げているところであります。
【原田・指摘要望】京都府の支援施策が絵にかいた餅とならないよう、具体的、実践的に事業者支援となるように、ひき続き努力を求めて次の質問に移ります。

文化財保護と文化財保護・修復技術の継承問題について

【原田】次に文化財保護と文化財保護・修復技術の継承問題についてです。
京都の文化財修復技術は、日本一と誇れるものです。京都は、国宝や重要文化財、府指定文化財、特別保存地区など文化財の宝庫であり、その修復・維持の仕事は連綿と続きます。その技術は伝統的な職人の技術の集大成であり、京都だからこそ受け継がれてきた技術です。
ところが残念ながら最近の文化財補修、修復及び関連工事に大企業志向が強まり、京都の技術者・職人の仕事の機会が奪われ、京都の蓄積された知識と技術の消失の危機に直面しています。
国宝や重文は府の直轄ですが、府指定や文化財関連施設の工事は京都府を窓口として、文化財所有者に文科省からの補助となります。また関連工事等は文化財所有者の発注ですが、税金が投入されます。
このように、文化財の関連工事は準公共事業であり、地元企業の育成に責任を持つ京都府が文化財関連工事のコンサルタント、設計管理でかかわる企業に公契約大綱の趣旨に沿った、京都の事業者を活用する事、京都の職人、企業の文化財修復技術、文化財関連施設・設備等の工事技術の継承ができるよう助言、援助を行うべきではありませんか。また、京都府の助言で積極的活用が行政の姿勢ではありませんか。お答えください。
例えば、八幡市の石清水八幡の防火防犯設備工事の指名は4社でしたが、そのうち2社は、セコムの設備関係企業で、能美は株の51%、ニッタンは100%子会社になっています。これでは大企業のセコムのための入札のようになっているではありませんか。最近、大手大企業が、株の取得で実質的経営権を握っている企業がふえています。法人としては別であっても、資本系列では1企業の事態がある。これで公正な入札と言えるのでしょうか。
実質的にセコムが落札して、地元業者が下請け工事し、使われている設備機材は殆どが韓国の安いサムスンの機械が使われています。そして警備はセコムが独占となっているのが実態ではありませんか。京都の地元業者は下請けとなり、厳しい経営状況で技術や知識の継承、後継者の育成も出来ない事態となっています。京都の財産である文化財を京都で守ること。京都の技術で連綿と守り続けて行く上でこれまで関わってきた地元業者育成こそが必要ではありませんか。いかがですかお答えください。
また、建設交通部や総務部入札課は、官公需適格組合に構成員内に応札する業者が居ると入札の二重入札と入札から排除してきました。法人は別人格であり、資本系列もないものには厳しく対応し、官公需適格組合入札参加を私は何度も改善を求めてきました。中小企業・官公需適格組合には厳しく、その一方で岩清水八幡の例は、もっと許されない同じ資本に実質支配されている2社が入っている。この点でどこに整合性があるのか。大企業支配には厳しい規制と京都の事業者育成する上でも適格組合の参加資格の改善が必要ではありませんか。お答えください。
文化財の修復、維持の仕事は公契約大綱で地元企業の育成と工事発注に努めることとなっている。この基本姿勢に立ち返って、京都の連綿と引き継がれてきた、文化財の補修技術を次の世代に引き継ぎ、発展こそ京都府が果たさなければならない重要な仕事ではありませんか。
さらに今年に入って、漆・塗装・装飾工事で東日本を中心に事業展開している東京の業者が、日光東照宮の仕事が終わった途端に、京都の仕事を狙って、小さな事務所を構えただけで、京都での指名業者となりました。京都の地元の業者から、京都府に指名業者としないようにと要望が出されています。京都の漆・塗装・装飾工事の指名業者は現在3社だけですが、現時点では実績が不足しているため、指名を受けられないが、京仏具等の塗装や漆の業者は、東本願寺の須弥壇など立派な工事実績を持っています。その京都文化の継承者として、伝統地場産業者を文化財の修復工事の技術者育成、地元企業の工事に参画出来るように支援をし、業者への支援と振興策が必要ではありませんか。いかがですか。地元企業の育成・活用で府税の涵養にも貢献をするものであり、その姿勢を明確し示すべきではありませんか。いかがですか。文化財修復工事にかかわって何点かお聞きしましたが教育委員会及び関係部局からお答えください。
【教育長】地元企業の活用についてでありますが、重要文化財、建造物修理などの京都の文化財保護技術は、地元京都の技術者や企業によって培われてきたものであります。このため、府教育委員会が実施する文化財修理工事につきましては、施工できる府内企業が極めて少ない桧皮葺(ひわだぶき)などの工事を除き、原則府内企業に発注しているところであります。
 更に、議員ご照会の石清水八幡宮の防災設備工事などの文化財関連工事については、所有者が独自に発注されるものではありますが、こうしたものを含めまして文化財所有者に対して公契約大綱の趣旨とするところを丁寧に説明し、文化財保護の観点から、修理技術の継承と地元企業の活用について、助言するなど配慮をしてきたところであります。
 こうした所有者が独自に発注される工事につきましては、国や地方公共団体が発注する工事等に適用される官公需適格組合の対象とされていないところでありますので、ご理解をいただきたいと思います。
 次に文化財の修復技術の継承についてでありますが、府内の伝統技能者が建具や金具の制作、瓦ぶきなど多くの分野で国の選定保存技術保持者に選定されていることからも、京都府の文化財保存技術は、わが国の最高水準にあります。わが国を代表する、府内の文化財を保存していくためには、技能者や企業が有するそれらの技術を次の世代に確実に伝えることが大変重要でありますので、文化財の保存、修理事業や後継者養成、原材料確保についての研修などに取り組んできたところであります。
 教育委員会といたしましては、今後とも世界に誇る本府の文化財保存と文化財保存技術の継承と共に、公契約大綱の趣旨を踏まえた地元企業の育成活用にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
【原田・再質問】指導しているといわれていますが、現実にはそうなっていないというのが実態であり、だからこそ私も質問させていただいているので、とくに防火設備工事では、ほとんどの落札を能美が独善状態になっている。こういうことも含め、京都の事業者をどう育成するのか、いうことが問われています。さらに、今度のいろいろな申請にあたっても、コンサル財団が対応していると、その時に教育委員会がしっかりとその趣旨と地元企業の活用することに取り組むかどうかいうことが必要であり、そこの再答弁を願いたいと思います。
【教育長・再答弁】府が発注する修理工事におきます、府内企業の落札は金額ベースで約9割を維持しています。いずれにいたしましても、さきほど申し上げましたように、文化財保存修理の事業にあたりましては、保存技術の継承と地元企業の活用という視点で今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
【原田・指摘要望】地元企業へのしっかりとした発注を行うこと。そしてそれが地域経済へ貢献する、何より文化財を守っていく上での京都の役割をしっかり認識して、引き続き要望していきたいと思います。これで質問を終わります。

加味根史朗(日本共産党、京都市右京区)2012年12月17日

再生可能エネルギーの飛躍的拡大を

【かみね】日本共産党のかみね史朗です。通告した諸点について知事並びに関係理事者に質問いたします。
最初に、昨日投開票されました総選挙について一言いたします。
今回の総選挙は、国民多数の声を無視して消費税増税や原発再稼働、オスプレイの配備などを強行した国民不在の政治を転換するのかどうか、また公約の裏切りや政党の離合集散が進む中で、政党のあり方がきびしく問われました。選挙の結果は、民主党の歴史的な敗北という形で、厳しい審判が下されました。
日本共産党は、国民不在の政治の根っこにある財界中心、アメリカいいなりの自民党型政治を大本からただし、国民が主人公の政治をつくるビジョンを示すとともに、企業・団体献金や政党助成金を受け取らず、ブレずにかんばる政党のあり方を訴えて奮闘し、比例代表選挙で8議席を獲得することができました。ご支援いただいたみなさんに心からお礼申し上げますともに、今後、選挙で訴えました公約の実現に向けて全力を尽くす決意を表明するものであります。
それでは、質問に入ります。まず再生可能エネルギーの拡大についてです。再生可能エネルギーについて知事は、原発や火力発電の代わりにならないとしていますが、本府自身が行なった再生可能エネルギーの可能性調査によっても、大きな可能性があるのではないでしょうか。例えば太陽光発電で言えば、すべての住宅や公共施設、学校、工場の屋根、耕作放棄地などに設置すれば最大430万kwhの発電出力、年間発電量で45億kwhの可能性がある。風力発電では、最大270万kwhの出力で、年間48億kwh、小水力で3億kwh、合計すると96億kwhの可能性があり、原発1基分を大きく超えます。府内の電力消費量は概ね180~190億kwhといわれていますので、その約50%の電気を再生可能エネルギーで賄う可能性があるということであります。知事、この可能性を排除しない姿勢に立ってこそ、再生可能エネルギーを飛躍的に伸ばせるのではありませんか。いかがですか。お答えください。 
再生可能エネルギーを拡大していくことは、現実的に可能であります。日本国内での再生可能エネルギー発電設備の導入状況をみると、今年4月から10月末までに運転開始した設備容量は、住宅での太陽光88.6万kwhをはじめ全部で115.5万kwh、2012年度末までの政府の導入予測では250万kwhになります。新聞報道によると、関西電力への再生可能エネルギーの買取申請は、10月末時点で96件、56万kwhの申し出が寄せられており、すでに買取枠の40万kwhを上回っています。これは、関電が稼動させている再生可能エネルギー発電所の総出力の52倍です。このように自然エネルギーの普及が急速に進む現実的な可能性があります。
知事が本府自身の再生可能エネルギーの可能性調査の結果を積極的に受け止めようとしないのは、あくまでも原発に依存する姿勢があるからではありませんか。本府のエコエネルギー戦略推進会議の議論では、原発を2030年代まで存続させることが前提になっています。こうした姿勢を改め、原発即時ゼロの政治決断を行うべきです。そして、再生可能エネルギーの可能性を現実のものにする決意を固め、具体的な計画をつくることが必要です。いかがですか、お答えください。
次に、再生可能エネルギーを飛躍的に拡大していく対策についてです。本府の可能性調査では、建設費の見込みも明らかにしています。太陽光発電を430万kwh建設すると、なんと約2兆円の事業規模になります。風力発電を270万kwh建設しますと、約8100億円の事業規模になります。再生可能エネルギーの建設は、新たな経済再生の起爆剤になるということです。問題は、これらの建設事業を他府県の大企業にもっていかれるのでなく、府内の中小企業に発注し、中小企業の仕事おこしと地域経済活性化に結びつけることが大切であります。
現在、府内の市町村で住宅用太陽光発電設備導入補助を行っているのは15市町です。例えば久御山町は、1kwhあたり3万円で15万円を限度に補助しています。すべての市町村で補助制度を確立し、府民すべてが補助を受けられるようにするとともに、京都府内の中小零細企業に工事を発注するものについては、本府独自の設置補助を行ってはいかがでしょうか。多くの住民が居住する分譲マンションや賃貸マンション、中小企業の建築物に太陽光発電設備を設置することに対しても、地元業者に発注するものは積極的に助成してはどうか。太陽光発電施設のメンテナンスについても支援を検討すべきです。いかがですか。
さらに、エネルギーの地産地消をすすめ、地域の街路灯などを太陽光発電でまかなおうという地域コミュニティの取り組みについても、積極的に支援すべきです。また中小企業が再生可能エネルギーの商品開発や事業家に積極的に援助していく仕組みも作る必要があると考えますが、いかがですか。本府自身のとりくみについては、公共施設での太陽光発電を最大限設置する計画を立てるべきです。あわせてお答えください。
次に、電力供給体制の改革についてです。再生可能エネルギーの普及を大規模に進めていくと、大中小の多様な発電所が各地に無数に誕生することになり、発送電分離などの電力供給体制の改革に直ちに着手する必要があると考えます。本府として国に要望すべきと考えますが、どうでしょうか。
「電力自由化」の名のもとに、すべてを規制緩和と市場原理・競争にゆだねるというやり方では、再生可能エネルギーの普及は進みません。固定買取制度や送電事業者への接続義務などのルールを強化する必要があると考えます。また、再生可能エネルギーによる発電事業に、官民問わず、大中小の幅広い事業者、市民が参入できるようにするとともに、公共性が高く、地域独占になる送電事業は、公的管理のもとに置く電力体制にする改革が必要であります。いかがお考えですか、お答えください。
次に電気料金の問題です。政府や電力業界は、「電力不足」という脅しが通用しなくなったら、「原発ゼロで電気料金が2倍になる」などと言い出しています。この原発擁護論は二重三重のごまかしです。
政府が公表した2030年の電気料金は、試算した機関によって大きく異なります。「2倍になる」というのは、地球環境産業技術研究機構の試算ですが、それも「現在月額1万円の家庭の電気料金が、2030年に原発ゼロだと2万円、原発20~25%だと1万8000円」というものですから、「原発ゼロ」でも全原発を稼働させても電気料金はあまり変わらないという試算です。国立環境研究所の試算では、原発ゼロでも、20~25%でも、2030年の料金は月額1万4000円と変わりません。
「再生可能エネルギーが高い」という議論も正しくありません。もちろん、初期投資には一定の費用がかかりますが、大規模な普及と技術開発が進めば、そのコストは大幅に低下していきます。ドイツでは、太陽光発電の価格は、2004~2012年の間に4割程度へと大幅に下り、風力でも継続的に引き下げられ10年間で8割程度になりました。
NEDOの再生可能エネルギー技術白書によると、日本でも2020年には風力発電コスト(陸上)が1kwh時当たり7~11円となり、現在の火力発電コストを下回る可能性があるとされています。
原発こそ本質的に「高コスト」であることは、今回の原発事故でも明らかになったことです。いったん大事故が起きれば、その賠償や除染、事故を起こした原発の管理などに莫大な費用がかかります。さらに、使用済み核燃料を長期間保管し続けることなど、将来の大きなコストがあります。
国民は、電気料金の問題も冷静に見ています。政府の行った「討論型世論調査」では、「コスト高になっても、再生エネルギーや省エネルギーを進めるべきだ」は、賛成が50.4%に対して、反対が9.6%。世論調査でも、「原発の割合をゼロ%にするために電気料金の追加負担」を容認する人が55%となっています(「朝日」8月28日)。当面のコスト増はあっても、再生可能エネルギーの大規模な普及をすすめるべきだという意見が多数であり、政府や財界の「値上げ」の脅しは通用していません。
知事は、再生可能エネルギーのコスト、原発のコストについてどのように考えておられますか。お伺いいたします。
ところで、関西電力は来年4月から電気料金を平均11.88%値上げすることを発表しました。私はいくつかの点で大きな問題があると考えます。ひとつは、福島原発の事故を契機として、全国の原発の安全性が大問題となり、大飯原発が津波の防潮堤や免震事務棟ができていないなど原発の安全対策が極めて不十分であることが明らかになったために、関西電力の原発が止められたのであります。原発が止まったことによる経費増や収入減の責任は、住民にあるのでなく、関西電力にあることは明白です。電気料金を値上げする理由は成り立ちません。関西電力には、1兆1835億円の純資産があるわけですから、今回の経常損益は会社の内部努力でまかなうべきであります。
ふたつには、電気料金が総括原価方式でかかった経費をすべて電気料金に転嫁できる仕組みそのものが問題です。電源三法に基づく地方への交付金が電気料金に含まれていることも問題です。三つには、そもそも、日本の火力発電のコストは高すぎます。天然ガスを高い価格で買い続けているからです。日本の電力会社は、天然ガス価格を日本向け原油平均価格にリンクする方式で契約しています。このため、国際的には天然ガス価格が、シェールガスの開発で低下する傾向にあるにもかかわらず、原油価格高騰のために、日本は不当に高い価格で天然ガスを買い取っているのです。東京電力でいえば、対米販売価格の9倍もの価格で購入しています。天然ガスの買い取り価格は、国際的な価格水準を反映する仕組みにするようあらためるべきです。
先の決算委員会でも関西電力の電気代値上げが問題となり、与党議員から中小企業の経営に大きな支障となるとの指摘が行われました。この際知事として、中小企業の経営と府民の暮らしを守るために、関西電力に対して、電気料金の値上げを行わないように要請するとともに、国に対し電気料金の総括原価方式や天然ガス買取価格の抜本的見直しを行うよう強く働きかけるべきであります。いかがですか、お答えください。
【知事】再生可能エネルギーについてですが、地球上のあらゆる生命とエネルギーの源は太陽エネルギーであり、そこから生まれる太陽光、風力、小水力などの再生可能エネルギーが持続可能エネルギーとして、大きな可能性を持っていることは言うまでもありません。しかし、これまで何度も答弁していますように、たとえば太陽光発電は夜間や悪天候のもとでは発電できない、風力発電も風況、気象により大きく左右されるなど、現在の技術力では再生可能エルギーは安定性に大きな課題を抱えています。発電量について、ただいまの質問では京都の再生可能エネルギーの導入可能性調査をもとにお話しをされたわけですが、この調査のやり方というのは、たとえば太陽光ですとありとあらゆる壁と屋根に耕作放棄地すべてに、太陽光を発電できる場合を想定して、しかしその中で実際は強度不足の住宅とか、うまく利用できない土地もたくさんありますよという前提をたてて、絞り込みをおこなって最終的な結論としましては、導入可能な年間の発電量をだいたい30億kwhというように見積っている。途中だけの結論では、専門家の方々も絞り込みをやっているわけですから、最終的な結論はそうなっているというのはご存知のとおりだと思います。これが導入可能性調査の結論でありまして、定格出力100万kwhの原子力発電1基の年間発電量のだいたい4割程度ということになります。
現在フル稼働している舞鶴火力発電所の180万kwhと比べましても、現時点ではまだ基幹的なエネルギーとするには問題があることは事実だと思っております。しかし、再生エネルギーの未来はこれからであります。京都府といたしましては、こうした導入可能性調査の結果や、それぞれの再生可能エネルギーの特性も踏まえ、またこれから技術力もどんどん上がってくるわけでありますから、エネルギーの地産地消、地域の活性化などの観点から、とにかくエネルギーソースの最大限の活用をはかっていくための、アクションプランとしての再生可能エネルギー戦略を作成しているところです。「けいはんな」のメガソーラーをはじめ、省エネ、創エネによる新たなビジネスモデルを支援するグリーンカンパニーの育成事業、さらには海藻からのメタンハイドレードまで、幅広く先駆的な取り組みをしっかりと進めていきたいと思っているところです。
 また、京都エコエネルギー戦略についてですが、国民生活や経済活動に不可欠なエネルギーの安定確保を図ると共に、多くの国民が望んでいる原発に依存しない社会をどういう形で実現していくのかを、このため京都府として何ができるのかということを念頭において、検討を進めているところです。エコエネルギー戦略の作成を通じて再生可能エネルギーの普及拡大による、創エネやエルギーの効率的利用による省エネ、更にはLNGなど既存エネルギー供給力の増強を3本柱として持続可能なエネルギー社会のモデルを京都から発信してまいりたいと考えているところです。
【文化環境部長】再生可能エネルギーについてでありますが、京都府では住宅用太陽光発電の普及を支援するため、スマートエコハウス低利融資や関西広域連合との連携によるエコポイント事業を実施しますと共に、中小企業等に対しても、中小企業者エコ経営促進補助事業や太陽光発電の設備を対象とした特別融資制度などにより、導入支援を実施しているところであります。このような施策に加えまして、今年の7月にスタートしました固定価格買い取り制度も強い追い風となりまして、太陽光発電の本年度上半期の設置数は、昨年同期比約1.6倍のペースで順調に伸びております。この固定価格買い取り制度なども合わせて活用しながら、家庭はもとより集合住宅や中小企業者の太陽光発電の導入拡大を図ることにより、地元の施行業者等の設置工事やメンテナンス業務の受注拡大につながるものと考えております。
 地域コミュニティの取り組み支援につきましては、京都府では平成21年度以降、おひさまエコタウン応援事業などにより、市町村役場や公民館、保育所等対象に、これまで府内21市町で23基の太陽光発電、346台の防犯用ソーラーライトの整備を支援してきたところであり、導入された設備などを利用して地域において地域環境学習や省エネ活動などの取り組みが進められております。
 また、再生可能エネルギーや省エネに関連する新たな商品開発や、ビジネスモデルづくりに取り組む中小企業等支援するため、京都産業エコエネルギー推進機構と連携しまして、本年度からグリーンカンパニー育成事業を実施しております。太陽光発電の普及拡大のための相談サポートや、人材育成などの事業を支援しており、また京都エコスタイル製品の認定などを通じましてエコエネルギーに貢献する商品開発を支援しているところであります。
 府の施設への再生可能エネルギー導入については、これまでから太鼓山風力発電施設、洛南浄化センターのバイオマス発電をはじめ、太陽光発電についても庁舎や府営水道の浄水場、府立学校等でも設置に取り組んでおりますが、さらに災害時の活動拠点施設への蓄電池の一体的な導入や府施設の屋根、土地を活用した民間による太陽光発電の設置など、様々な手法を盛り込んだ地球温暖化対策プラン、府庁の省エネ・創エネ実行プランで今年度策定しているところでありまして、これに基づき取り組みをすすめてまいりたいと考えております。
次に電力供給体制の改革についてですが、京都府ではこれまで関西広域連合の今後のエネルギー政策の確立に向けた声明、今年の8月でございます、国の予算編成等に対する提案11月でございますが、これなどを通じまして発送電分離を含みます電力制度全体にわたる抜本的見直しを国に要請してきたとこであります。
 国が9月に公表した革新的エネルギー環境戦略には、発送電分離により再生可能エネルギーやコージェネを含むあらゆる事業者に対して、送配電網を中立・公平に開放する方針などが盛り込まれておりますが、今後の国における電力抑制改革の具体化に向けた議論を十分注視し、再生可能エネルギーの普及拡大などの観点から必要な働きかけを国に対して行ってまいりたいと考えております。
 再生可能エネルギーのコストと原発のコストにつきましては、昨年12月の国のコスト等検証委員会報告によりますと、たとえば大規模太陽光発電は1kwhあたり0.1円から45.8円とされております。一方、原子力発電については8.9円以上で事故費用が不確定であり暫定的な数字とされているところであります。
 次に今回の関西電力の電気料金値上げについてでありますが、京都府として中小企業の経営や府民生活に深刻な影響を与えない上げ幅にするなど、さらなる努力を関西電力に対しまして機会あるごとに要請しているところであります。
 また、総括原価方式の見直しなどの電力システム改革や国際水準からみて、高いわが国の天然ガス買い取り価格の引き下げを図る仕組みの構築につきましても、国への要請、提案をおこなっているところであります。
【かみね・再質問】2点に絞って再質問します。知事が言われた本府の再生可能エネルギーの結論と言われる30億万kwhですが、この計算の前提が太陽光では昭和56年以前の建物を全部除いていますね。この建物というのは426966戸あるわけです。これはすべて太陽光発電は対象しないという前提の計算になっていますから、それこそ非現実的ではないか。耐震改修の取り組みを進めているところでありますから、合わせて設置をしていくという可能性は大いにあるわけで、最初からその可能性を閉ざしてしまう議論になっているのではないかと思います。風力でも京都府の最終結論の前提は平均風速毎秒5.5m以上、7.5mまでの場所をすべて排除しているのですね。これもすべての可能性を汲みつくすそういう姿勢が必要ではないか、もう一度お聞きをしたいと思います。
 もう一点は、太陽光発電補助の問題ですが、15の市町で補助をしているということで、京都府の可能性の結論をやるにしましても、56年以降の建物すべて対象にして太陽光発電設備を設置するとこういう前提ですから、それをやるにしても府民のみなさん個人個人の太陽光発電を設置しようという意欲を促進し、それを応援する施策がなければ進まないわけで、それを進めようというのが市町の設置補助金の取り組みです。そういう市町村を支援するということこそ京都府の役割ではないかと思います。太陽光発電を本当に取り組むということと、市町村への支援、同時に地元の企業に仕事を発注していくという角度から、融資だけでなく補助を改めて検討するべきではないか、再答弁求めます。
【知事・再答弁】可能性調査ですけど、逆に言うと56年以降の屋根とか壁、全部付けるという前提なのです。それはハッキリ言って無理な話でありますし、風力につきましても風向きの安定性や事業性とか希少生物の存在も全部考慮してない中で全部やりますよ、と言っている話なのです。そういう差引をすれば大体分かってくる話の中で、妥当な線を出しているというのが、多分可能性調査の結論でありましてそうした点からすると、無理のあるところまで広げて全部ということではなくて、しっかりと足を地に付けて、ひとつ一つ再生可能エネルギーについてすすめていくという調査の結論というのは尊重すべきだと思っています。
【文化環境部長・再答弁】太陽光発電の市町村への補助ですが、国において固定価格買い取り制度、あるいは補助金がございます。京都府では家庭エコポイントを実施していましたし、現在、関西広域連合と連携してエコポイント事業実施しています。また、スマートエコハウス低利融資等実施しているところです。
【かみね・指摘要望】知事の答弁ですが、再生可能エネルギーの可能性を最初から閉ざすということでは具合悪いわけで、現実の問題としてどこまでいけるかとありますが、すべてを視野に入れて計画をたてて取り組んでいくと、こういう姿勢が大切ではないかと思います。最初から可能性を小さく見て取り組むのは何故なのかという疑問が出てまいります。2030年代まで原発を続けていこうと、原発依存の姿勢がそこにあるからではないか。そこが府民のみなさんに対する太陽光発電の設置補助の取り組みなど消極的になっている背景にあるのかなという疑問を改めて持ったわけで、そういう姿勢を変えてこれからは再生可能エネルギーに変えていくのだと強い姿勢を示していただきたいと思います。

京都農業協同組合の不当労働行為について

【かみね】次に、本府が監督責任のある京都農業協同組合の不当労働行為について質問します。わが議員団は、府議会でこの問題をたびたび取り上げ、本府に解決への指導監督を求めてきましたが、本府はいっかんして放置し、事実上擁護する姿勢に終始してきました。しかし、さる11月30日、最高裁判所は、京都農業協同組合が、高裁判決を不服として行っていた上告申立の不受理を決定しました。京都農協会長中川泰宏氏が主導した、卑劣な労働組合つぶしは、違法な不当労働行為として5たび断罪され、判決が確定したのであります。私は、改めて事態の経過を振り返り、本府としての指導監督を求めたいと思います。
この裁判は、2005年4月の京都農協の京都丹後農協吸収合併を前後して、中川会長らが京都丹後農協労働組合に対し、労働組合つぶし、労組幹部への個人攻撃、団体交渉拒否、第2組合づくりなど、悪質な不当労働行為を重ねたことが発端でした。
2004年12月24日に労働組合が京都府労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行ったのに対し、京都府労働委員会は、2007年4月18日、「被申立人は誠実かつ速やかに団体交渉に応じなければならない。・・・被申立人は、京都農業協同組合労働組合に対して労働組合事務所を貸与しなければならない」。そして、「京都府労働委員会から不当労働行為であると認定された事態を重く受け止め、今後このような行為を繰り返さないことを誓約します」との内容を記載した文書を申立人に手渡さなければならないと命令しました。
この後も、中央労働委員会、東京地裁、東京高裁はいっかんして京都農協の不当労働行為を断罪し改善命令を発してきました。ところが、今に至るも京都農協は、この命令を誠実に履行しようとしていません。法令を順守すべき京都農協が判決や命令を無視し続けるという異常事態が8年にわたって続いているのであります。
中央労働委員会は、労働組合法第27条の20に基づいて、東京地裁に対し、京都農協が京都府労働委員会の命令を守るよう求める「緊急命令」の申し立てを行い、2010年5月28日、東京地裁は「緊急命令」を決定しました。その後、中央労働委員会は「緊急命令」の履行状況を調査しましたが、今年8月24日、緊急命令は不履行であるとの通知を京都地裁に行いました。この通知文では、団体交渉については緊急命令以降、計19回の団体交渉が実施されているが、履行義務者の対応の誠実性についてはいまだ疑問の余地があると指摘し、組合事務所の貸与については、「緊急命令の発令から2年を経過した現在もなお同事務所の貸与がなされるに至っていない」と緊急命令に従わない状況にあることが報告されました。
さらに、緊急命令不履行通知に対して、京都農協が反論する回答書を提出したことについても、11月9日、中央労働委員会は、「現在においてもこれを履行していないと判断する」と述べ、「本件緊急命令が履行されず、行政訴訟事件の判決が確定するまで現在の状態が継続することになれば、被審人によって侵害された労組の団結権及び組合員の被る経済的、精神的苦痛は顕著であって、回復することが困難になることは容易に推測しうるところであり、これは労働組合法の趣旨、目的にも反するものである」と厳しく批判する意見書を京都地裁に提出しました。
私は、この中央労働委員会の意見書は非常に重い判断を下したものであると考えます。さらに今回、最高裁判所の判決で不当労働行為を確定したわけですから、京都農協はただちに最高裁判決にもとづき労働組合に対し謝罪するとともに、労働組合との団体交渉や労組事務所の貸与を誠実に行い、労使関係を正常化しなければなりません。
本府として、今回の最高裁判決をどのように受け止めておられますか、京都農協に対して、最高裁判決を順守し、ただちに誠実に実行するよう厳しく指導監督すべきだと思いますが、いかがですか、明確にお答えください。
【農林水産部長】京都農業協同組合の不当労働行為についてですが、最高裁判所が上告申立ての受理を決定されたことから救済命令が確定されたということでございます。確定判決で指示された救済命令に使用者が従わない時には、中央労働委員会会長が検察官に遅滞なくその旨を通知することとされており、救済命令の履行を促すための罰則も設けられているところであり、京都農業協同組合において適切に対応されるものと考えておりますが、本府といたしましても、救済命令の履行について対応状況を把握し、農業協同組合法に基づき必要に応じた指導をしてまいりたいと考えております。

成宮真理子(日本共産党、京都市西京区)2012年12月18日

【成宮】日本共産党の成宮まり子です。通告している数点について、知事および関係理事者にうかがいます。

いじめ問題について
「いじめ」から子どもの命、心身を守る教育を

まず、「いじめ」問題についてです。
大津の中学校の事件をはじめ、「いじめ」事件が全国各地で起き、子どもたちの命まで失われる深刻な事態に、多くの方が胸を痛めておられます。
「いじめを何とかしなければ」と願うすべての方々と力を合わせ、「いじめ」を解決していくため、日本共産党は先日、「いじめのない学校と社会を~日本共産党の提案」を発表しました。その内容は、第1に、目の前の「いじめ」から、子どもたちの命と心身を守り抜くための緊急対策。第2は、根本的な対策として、「いじめ」が深刻になった原因を教育や社会のあり方の問題からとらえ、改革していくというものです。
「いじめ」をなくしたいと、この間、私自身も保護者や教職員に聞きとりを行なってきましたが、そのなかで大事だと考える点を、以下、具体的にうかがいます。
まず第1は、「いじめ」の実態把握をさらにしっかりとすすめ、子どもの命と安全を守り抜く対応を徹底することです。
文部科学省の緊急調査によれば、「いじめ」は全国で14万4千件。京都府では8748件、「深刻ないじめ」は29件とされました。京都府8748件というのは昨年度463件から大幅増ですが、それでも、児童へのアンケートなどを行わなかった学校や、市町教育委員会単位でも「0」との報告、アンケートで掴んだ  「いじめの兆候例」を含めなかったところもあるとのこと。この結果は、そもそもこれまでの調査でほとんどつかめていなかった「いじめ」の実態に、初めて正面から挑んだ段階なのではないでしょうか。
私が保護者らに聞きとったなかでも、まだまだ、「いじめ」の事実が隠されたり、対応が後回しにされる事例があるのではないかと感じます。
例えば、ある小学4年生の男の子は、クラスの女子から足を蹴られ続けていて、お母さんが足が腫れ上がっているのを見つけて学校長に訴えたそうです。けれど「落ち着いて下さい。公にはしないで」とばかり言われ、ちっとも「いじめ」や止まず、結局、男の子は半年間も暴力をがまんし続けなければならなかったとのこと。お母さんは「学校の対応は、子どもの暴力はたいしたことではないかのようで、半年後に、相手の子が謝りに来たけれど、謝罪の言葉もなかった」と言っておられました。
「いじめ」を訴えても、「いじめ」と認めず「軽いトラブル」と扱ったり、隠したり、表面的な「謝罪」で済ませるなどの対応では、子どもを守ることはできず、学校教育への信頼も失われてしまいます。こうしたことを繰り返してはなりません。
そこでうかがいますが、「いじめ」の兆候や訴えがあれば絶対に見逃さず、子どもの命と安全を守る対応を最優先にすることが求められます。そのためにも、今回の緊急調査をふまえ、府教育委員会として、とりわけ、「いじめ」の実態をさらにしっかりと機敏に把握するための対策はどうとるのか、お答え下さい。
2つめは、「いじめ」を解決してきた豊かな実践が現場にはあり、ここから学び、深く教訓をくみとることについてです。
この間、私は、教育研究集会や「いじめシンポジウム」にも参加し、「いじめ」の実際についてお話を聞いてきました。あるベテランの中学校教員は、担任のクラスで起きた「いじめ」の経過とその対応を詳しく話して下さいました。女子のAさんが周りから無視されたり、「死ね」と書いた紙が靴箱に入れられ、持ち物が捨てられるなどが連続した事件では、生徒一人ひとりに、誰がやっているのか、どうしてそうなったのかをていねいに聞きとるなかで、加害者らしい子に「何があったんや?」と本音を聞きだした。すると、Aさんと周りの数人とのちょっとしたトラブルがキッカケで、「Aさんって、イヤな人や」と、嫌がらせが始まり、集団的「いじめ」になったことがわかったそうです。そこで先生は、被害者と加害者の両方に了解を得て、クラスの全体でこの問題を考えるとりくみを連続して行ない、生徒たちは「相手にも自分にも、命や身体、自尊心があり、それを傷つけてはいけないのだ」ということを深くつかみ、人間的にも大きく成長したとのことです。
先生は「いじめを、子ども同士の関係性の問題、人間としての成長や集団づくりの契機として向き合うのが教師の仕事。いじめる子にもストレスや悩み、虐待・貧困などの背景がある」として、日常から一人ひとりの家庭背景や子どもグループの関係に目配りしておくこと、保護者の信頼と協力を得ることの重要性についても強調されました。
お話を聞いて、現場の教職員と子どもたちにこそ「いじめ」解決の力があるんだと、私自身が実感するとともに、一緒に話を聞いた若い先生方の感想からも、教職員にとっても、こうした実践が大きな励ましになることを感じました。教職員の「いじめ」対応について、府教委は「教職員ハンドブック」を配布して、対応のマニュアルを示しているとのことですが、同時に、「いじめ」の解決というのは単純・表面的なものではなく、だからこそ教職員は日々、大変、苦労しておられるのです。
そこで、「いじめ」解決のため、現場にある豊かな実践例を、成功・失敗も含めて蓄積、教訓化し、現場にいきるとりくみが必要です。府教委として、そうしたとりくみをすすめていただきたいと考えますが、いかがですか。
なお、「いじめ報告数」や「解決率」などを教員評価と結びつけるようなやり方が京都市教育委員会などで導入されようとしていますが、教職員への管理強化をいっそう推し進める、こうしたやり方はやめるべきです。つよく指摘しておきます。
さらに、「いじめ」加害者への対応についてですが、維新の会の橋下大阪市長が「いじめた子は転校させる」などとし、文科省は子どもの問題行動に対して「ゼロトレランス(寛容度ゼロ)」「規範意識の徹底」で押さえ込もうとしています。しかし、「いじめ」を本当になくすためには、加害者排除や厳罰主義、「規範意識」「道徳教育」の押し付けではなく、いじめた子どもにもていねいに対応し、子ども自身が反省・謝罪し、立ち直るまで支援することこそ必要と考えますが、府教委の考えをお聞かせ下さい。
3つめは、それらをやるためにも、「いじめ」解決にとりくむ条件整備を急いですすめることです。
新聞の調査でも、「いじめ対応の時間が足りない」と7割もの教員が答えているように、多くの教員が「忙しすぎて子どもと向き合う時間がない」状態の改善が不可欠です。また、先の実践例のように、「いじめ」のサインを見逃さず、「いじめ」解決に子ども自身の力を引き出し、クラス集団で解決をはかるためにも、1クラス40人という規模では大変な困難があるのではないでしょうか。
平野・前文部科学大臣も「教員が子どもに向き合う時間をもっと多くとることで、いじめの兆候を見抜けていく」「時間を確保できるような環境づくりを」し、文科省として来年度予算に小・中学校全学年で35人学級を実現できるよう教員数確保を要求しているところです。
京都府では「京都式少人数教育」が実施されていますが、市町教育委員会や学校の選択に任されており、現実には小学3年生以上で40人近い学級が少なからず残されています。「いじめ」問題を考えた時、3・4年生というのは身体も心も大きく飛躍するとともに授業内容が難しくなる時期です。さらに、小学校高学年から中学というのは思春期に入り、人間関係や容姿などに敏感になり、生まれ育ってくる自尊心・自尊感情との関係でも「いじめ」がエスカレートしたり、深刻な事態を招く事例も相次ぎ、生徒指導が難しい時期です。
私たちはこれまでから、小・中・高校すべての学年で30人学級を、と求めてきましたが、いま、「いじめ」が府内で9000件近くも認知されているもとで、教職員が一人ひとりの子どもに目を配り、「いじめ」を見過ごさず、「いじめ」の兆候があればすぐに対応して解決していくためにも、30人学級の必要性が明らかになったのではないでしょうか。府教委としてどう考えているのか、お聞かせ下さい。
そして、市町村や学校任せにせず、30人学級を実施するための予算措置を行なうこと、「臨時」でなく正規教員を増やす、専科教育の教員配置などは、「いじめ」解決のための条件整備として不可欠だと考えますが、いかがですか。
第4に、「いじめ」をなくすためにも、子どもたちにストレスとなっている過度の競争教育について、「子どもの権利条約」の立場から大きく見直すことが必要です。
この間、国連子どもの権利委員会は、「極度の競争教育を是正すべき」と繰り返し日本政府に勧告を行なっています。学校教育に過度の競争が持ち込まれ、受験競争は低年齢化し、子どもの塾通いの割合が増えています。新学習指導要領で教科書は分厚くなり、授業のスピードアップ、宿題が増え、子どもたちの遊びの時間や、運動会・文化祭などの時間が削られ、自主活動による成長の機会も減らされています。
そうしたなか、日本の子どもたちは、ユニセフの調査では、「孤独を感じる」が29.8%に達し、また「ありのままの自分でいい」という安心感が持てず、自己肯定感の低さが心配されています。さらに、自民党政治による「構造改革」で、貧困と格差が広げられ、貧困ライン以下の家庭で暮らす子どもの割合は15%と、先進国で9番目の高さです。本府でも、高校入試制度の度重なる改定で格差と序列化が激しくされ、小学校からの習熟度別授業や、府学力テストの実施と活用拡大など、競争をひどくする方向が推し進められてきたのではないでしょうか。
そこでうかがいます。国連子どもの権利委員会の2010年最終所見では、日本政府に対して「高度に競争的な学校環境が、就学年齢にある児童の間で、いじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があることを懸念する」とし、「極端に競争的な環境による悪影響を回避することを目的とし、学校および教育制度を見直すことを勧告する」。「同級生の間でのいじめと闘う努力を強化し、およびそのような措置の策定に児童の意見を反映するよう勧告する」としています。これを、府教委としてはどのように受けとめているのか、また、これらの指摘をどう生かす努力をするのか、お聞かせ下さい。
【教育長・答弁】いじめの実態把握についてでありますが、先に実施されました「いじめの緊急調査」では、新たに児童生徒への調査が位置付けられたことから、いじめにつながる可能性があるものも含めて、幅広く把握することができ、いじめの早期対応につながったと考えております。
 今後は、児童生徒へのアンケート調査や聞き取り調査を行なうとともに、教員一人ひとりのいじめに気付く力を高めるため、当事者への対応、関係機関との連携などを示した、いじめ問題ハンドブックを活用した教員研修を徹底し、いじめの実態をしっかり把握できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また、学校現場におけるいじめ対策を効果的に進めることが重要でありまして、校長会や生徒指導担当者会議などで、各学校のさまざまな取り組みや成果等を情報交換するとともに、先進的な取り組み事例などを府内の学校に広く周知してまいります。
 次に、子どもたちへの指導についてでありますが、あらゆる場面で子どもたちの人権意識を高め、いじめは決して許せない行為であることを教えることが重要でありますが、いじめが発生した場合に、いじめた子どもに対しては、毅然とした態度をとることが重要であると考えております。その上で、いじめられた子どものケアはもちろんでありますが、いじめた子どもに対しても事象を通じて何を学ばせるかという視点をもち、粘り強く指導していく必要があると考えております。
 次に教員配置等の学校体制についてでありますが、いじめを早期に発見し、対応するためにはきめ細かな指導ができる体制づくりを進めることが重要であります。このため、京都式少人数教育を推進し、30人程度で授業ができる教員を配置し、いじめや学力などの学校課題に応じて、複数教員による指導や、少人数学級などの実施方法を選択ができるよう取り組んできました。
 また、教員のみならず、専門的視点から、いじめなど児童生徒のさまざまな悩みや相談に対応できるよう、スクールカウンセラーなどの専門家を学校に配置してきました。
 次に、国連児童の権利委員会の勧告についてでありますが、いじめ防止には学校環境を整えたり、生徒自身の取り組みを進めることが重要であると考えており、また、本府の状況が過度な競争的環境になっているとは考えておりませんが、いずれにせよ落着いた教育環境をつくる必要があると認識しております。府教育委員会といたしましては、市町教育委員会や関係機関と連携し、いじめを見逃さず、許さない学校づくりに向け、全力で取り組んでまいります。
【成宮・再質問】いま、「いじめ」解決のために府教委がやるべきこととして、私から4点を質しました。お答えがありましたが、そのなかでも、教職員が子どもたちに向き合える条件づくりについて再度うかがいます。
11月18日の新聞に、PTA全国協議会、全国市町村教育委員会連合会、小学校・中学校の校長会、教職員組合など23の全国組織が連名で、「早期に教職員定数改善計画を策定し、小・中学校の全学年で35人以下学級実現を!」という全面広告を出されました。そのなかでも、「いま、学校現場でおきていること」の筆頭に「いじめ・不登校への対応が急務」とし、「正規教員の増員を」と求めておられます。
いまお答えがありましたけれども、京都式少人数学級をやっているとおっしゃいますけれども、現場では小学校3年生から40人近いクラスがたくさんあって、先生方本当に一人ひとりきめ細かく目が行き届かせるということが困難になっているとおっしゃっているのです。こういう声に応えて、国に教職員定数を増やすよう求めるとともに、府教委として、30人学級、正規教員を増やす、専科教員の配置などの条件整備をやってこそ、「いじめ」対策を実際に進める力となるのではないでしょうか。それとも、条件整備はもう十分だとお考えなのでしょうか、再度、お聞かせ下さい。
【教育長・再答弁】再質問にお答えします。先ほど京都式少人数教育のための教員や、あるいはスクールカウンセラーなどの配置などで、多様な手立てをしているとお答えを申し上げました。ただ、体制を整えると同時に、最も重要なのは、ご質問の中にもありましたけれども、教員の個々の対応力、それから学校としての組織力、こういうものを高めることが重要であります。数だけ増やせば良いというものではないというふうに考えております。
【成宮・指摘・要望】いまお答えいただきましたけれども、数だけ増やせば良いと言っているのではなくて、先にも申し述べましたように、現場の教員にはいじめを解決していく実践の力があるのだという、そういう実例もあるわけです。こういうものを若い教員の皆さんにも返しながらやっていけば、教員の子どもと向き合う、きめ細かな一人ひとりに目が届く体制にもなるわけで、府教委として、やっぱり条件整備を責任もって行うことが必要であると思います。
府教委が8月に「いじめ」問題の市町教育委員会教育長会議を開催されていますけれども、その中でも出席者から、「教員が子どもと向き合う時間が『物理的に』減少している」、こういう声があがっていました。そして、田原教育長もこの会議のまとめで、「いくらマニュアルなどがしっかりしていても、実際の教員の対応がなければまったく意味がない。教員の実践する力が大事」と言っておられるのですけれども、その実践する力を引き出すためにも、条件整備というのは府教委の責任なのだ、この点でぜひ、責任を果たしていただきますように、強く求めまして、次の質問に移ります。

文化芸術への支援について

ほんものの文化芸術をすべての子どもたちが体験できる事業を

【成宮】つぎに、文化芸術支援についてうかがいます。
昨年は、京都で国民文化祭が開催されましたが、「祭の後」こそ、文化行政の役割が重要です。本議会に「京都こころの文化・未来創造ビジョン」が提案され、「京都の文化をめぐる現状や課題を分析し、あるべき姿を展望し、基本的な理念および府の重点施策等について、総合的な指針として」策定するとされています。詳細は委員会でお聞きしますが、今日は3点にしぼってうかがいます。
1つは、基本的な理念と府の役割として、誰もが文化芸術に親しみ、自由に創作・発表活動に参加することは国民・府民の基本的な権利であり、それを保障するのが行政の役割だ、と明確に位置づけるべきではないかということです。府民の権利と行政の役割について、どう考えるのかお聞かせ下さい。
2つめは、文化の次世代継承、とりわけ、学校教育の場を通じた文化芸術鑑賞・体験についてです。先般、私の娘が通う小学校で関西フィルハーモニー・オーケストラの公演があり、子どもたちは「大きな楽器を持った人が大勢やってきて、体育館いっぱいに広がって、大きな音が体中に響いてきた」「友たちが指揮者をして、オーケストラと一緒に歌って、すごかった!」と、喜びと感動を全身で表現してくれました。文化庁の「次代を担う子どもの文化芸術体験事業」がたまたま当たったそうですが、「くじで当たったら」というのでなく、本来すべての子どもたちがこうした体験をできるようにすべきだと感じます。
学校での、プロなどによる高い水準の文化芸術鑑賞・体験について、私たちは、すべての学校でせめて年1回は実施を、と求めてきました。
先に紹介した文化庁の事業に「当選」した学校が、府内では今年度85校あり、また、本府として、今年度から小中学校などを対象にした「次世代文化継承・発展事業」などが始まりましたが、今年度の実施は小学校12、中学校3、府立学校23校とのこと。他にも、府立高校生の茶道・華道などの体験事業や、商工労働観光部や府民生活部の補助を使って、西陣・友禅の職人さんのNPOが、学校などで「ものづくり体験」をやっておられる例などもありますが、それらを集めても、全学校という規模には至ってはおりません。
学校公演を中心に活動している児童劇団などに聞きますと、とりわけ、小・中学校では文化芸術鑑賞を行なう学校が以前より激減しており、自治体による学校公演補助で大きな格差があるとのこと。私も直接、学校補助を行なっている自治体にお聞きしましたが、宇治田原町、京田辺市、城陽市、木津川市などでは、毎年の学校での文化鑑賞が子どもにも保護者にもたいへん喜ばれているそうですが、補助のない自治体もあります。
そこで、本府として、学校での子どもたちの文化芸術鑑賞・体験への支援の重要性について、どう認識しているのか、またこの際、府としても事業を思い切って拡充し、市町教育委員会とも連携しながら、すべての学校で年1回は文化芸術鑑賞・体験が実施できるよう、目標を明確にして推進すべきと考えますが、いかがですか。
3つめは、府民が文化を創造・発表できる場所や機会をしっかりと支えること、文化発信の拠点としての京都文化博物館、府立文化芸術会館、府民ホールなどの役割と管理についてです。
文化芸術会館や府民ホールなどの府民利用施設が指定管理者制度とされ、今回の指定管理者見直しにあたって、会館やホールを利用する演劇・音楽関係者から「ベテランの舞台技術者らが、アマチュアにも親身に相談にのり、的確なアドバイスなどしてきたことが京都の劇団を育てる役割を果たしてきた。技術の蓄積のあるスタッフを継続してほしい」「これまで、文化芸術会館、府民ホール職員の人的交流を通じ、双方の公演の質をアップしてきた経過があり、ばらばらの指定管理者にしては困る」など要望が寄せられました。今回の見直しでは、たまたま双方が同じ指定管理者となり、職員も継続雇用となりましたが、今後も指定管理者の見直しごとに、こうした問題が浮上するというのでは、関係者の心配は続くことになります。
そもそも、文化芸術施設は、府民による文化活動への参加を保障する場であり、財政・経営効率第一で指定管理者を決めることに大きな問題があると言わなければなりませんが、少なくとも、いま現に、文化芸術会館、府民ホールなどで、府民と文化をつなぐ重要な役割を担っている技術職員が継続して役割を発揮できるよう保証することが必要だと考えるものです。
そこでうかがいますが、府立文化芸術会館、府民ホールなどが3年ごとの指定管理者見直しとされるもとで、高い水準の表現を支え、劇団の育成にも役割を発揮してきた照明や舞台などの技術職員の身分保障が懸念されますが、彼らが現に果たしている役割について、府としてどのように認識し位置付けているのか、見解をお聞かせ下さい。これで質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
【知事】成宮議員のご質問にお答えします。文化芸術への支援についてですが、京都府文化力による京都府活性化条例では府民が等しく多様な文化に親しみ、参加し、これを創造することができる環境のもとに 文化に関する活動が活発に行われることを基本理念として定めております。その上で府の責務として、基本理念にのっとり、施策を総合的に達成しこれを実施するものとしているところでして、こうした京都府としての義務をしっかりと履行していくことが、一番現実的な進歩につながると考えております。
同条例に基づき作成しました京都心の文化・未来創造ビジョンが目指しているのは、自然への畏敬の念や人が自然の中で生かされている感謝の気持ち、人と人との絆を大切にするという、生活の知恵から生まれたいのち輝く心の文化を大切にすること、そしてその中で京都のもつ、ほんまもんの文化を次世代に継承し、心豊かな人材を育成すること、更に各地域の生活の中に根づいている文化をしっかりと認識して、それを生かすことという、まさに人間形成こそ、最大の文化事業という点にあります。そしてさらに子どもたちに自分の地域を誇りに思い、暮らしを大切にしてもらうために、全府域において都文化圏を展開し、未来に続く京都を作っていこうということであります。次代を担う子どもたちに、私たちの先人が守り伝え、魂が込められたほんまもんの文化を、次世代を育て、未来に伝えていくことこそ、行政の役割であり、京都府の使命と考えているところです。
文化芸術会館や府民ホールにつきましては、舞台芸術などの拠点であり、それを支えるスタッフや技術職員の役割は大変重要であります。施設の職員は管理運営にたって、様々な知識と経験を持っていて、こうしたソフト面でのノウハウも評価して指定管理者を選定しているところです。今後とも指定管理者との連携のもと、文化芸術の振興に努めてまいりたいと考えております。
【教育長】文化体験事業への支援についてでありますが、文化を実際に体験する機会を設けることは、子どもたちの豊かな人間性をはぐくむためにも大変重要であると考えております。
府内の小中学校では、これまでから京の学び教室や京発見、仕事・文化体験活動などの取り組みを活用し、児童生徒が地域の方々と共に、生け花やお茶摘み体験、和太鼓などを体験したり、能楽や演劇を鑑賞するといった取り組みが進められております。またすべての府立高校において、茶道や華道を通じて、伝統や文化への関心が高まるような体験的な取り組みが進められております。京都府教育振興プランにおきましても、すべての小中高校で、伝統や文化を体験する授業を実施することを目標として掲げており、今後も市町教育委員会や知事部局など関係機関と連携しながら、子どもたちが文化芸術に触れる機会の充実を図ってまいりたいと考えております。

≪他会派一般質問項目≫

【12月7日】

■北岡千はる(民主・京都市左京区)

1.男女共同参画社会の推進について

(1) 防災対策における女性の視点の尊重について

(2) ウーマノミクス(女性経済)について

(3) 市町村における男女共同参画社会の取り組みについて

2.子育て支援について

■多賀久雄(自民・宮津市及び与謝郡)

1.二元代表制について

2.日本海国土軸について

3.時代劇の復権について

4.政策によるリスクについて

■奥田敏晴(自民・城陽市)

1.大規模太陽光発電について

2.食育の推進について

3.土曜日を活用した教育について

4.交番・駐在所の整備について

■豊田貴志(民主・京都市山科区)

1.「都構想」と「特別自治市構想」について

2.京都動物愛護センター(仮称)について

3.警察署の再編整備について

【12月17日】

■田中健志(民主・京都市中京区)

1.帰宅困難者対策について

2.セーフスクールの取り組みについて

■渡辺邦子(自民・京都市伏見区)

1.臓器移植について

2.子どもの人権・暴力防止について

3.犯罪被害者支援について

【12月17日】

■安田守(自民・向日市)

1.府営水道について

2.認知症対策について

3.府道の整備について

4.府立高校について

■島内研(民主・京都市左京区)

1.中小企業緊急経営あんてい融資の創設につい

 て

2.水産業の振興と物流について

3.砂防堰堤について

【12月18日】

■桂川孝裕(自民・亀岡市)

1.芦生の森の国定公園指定について

2.国道9号Wルート(新丸太町線延伸)につい

 て

3.畜産振興について

4.京都丹波地域の高校への工業系の学科新設について

5.地元課題について

■兎本和久(自民・木津川市及び相楽郡)

1.雇用対策について

2.地元の道路整備について

3.警察と自治体との連携について

4.特色ある府立高校づくりについて

■山口勝(公明・京都市伏見区)

1.京都府の観光施策の今後の展開について

2.骨髄移植の推進について

3.学校図書館の充実強化について