2012年12月定例会意見書・決議・議案討論
●12月定例府議会が12月26日に閉会しました。閉会本会議での意見書・決議案討論(山内よし子議員)、議案討論(島田けい子議員)、意見書・決議の案文、意見書・決議案と議案の採決結果を紹介します。
山内よし子 意見書案討論・・・・1
島田けい子 議案討論 ・・・・・4
意見書・決議案文 ・・・・・・・7
意見書・決議案採決結果・・・・13
議案議決結果・・・・・・・・・14
12月定例会 意見書・決議案討論
山内よし子(日本共産党、京都市南区)2012年12月26日
日本共産党の山内よし子です。わが党議員団を代表してただいま議題となっている意見書案10件と決議案3件について、日本海国土軸の形成に関する意見書案と2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の日本招致に関する決議案の2件に反対し、他の意見書案・決議案について賛成の立場で討論します。
まずわが党提案の9件の意見書案についてです。
最初に消費税増税の中止を求める意見書案と社会保障制度改革推進法の廃止を求める意見書案についてです。
この2つの法律は第180通常国会において、民主党政権が消費税の増税法案の成立と引き換えに、自民党の対案であった「社会保障制度改革基本法案骨子」を全面的に受け入れるという、消費税の増税と社会保障の改悪の一体のものとして、民主・自民・公明3党の取引によって成立したものです。
経済状況の悪化の中で消費税を増税すれば、内需は一層冷え込み、地域経済や雇用に計り知れない悪影響を与えることも火を見るより明らかなことです。すでに1995年に消費税が3%から5%に引き上げられましたが、景気は一気に冷え込み、税収は90兆円規模から76兆円規模に減少しました。しかも今回の消費増税法は付則で「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」と、大型公共事業に重点配分するもので到底認められません。消費税の増税の中止を求める声は、老舗の店主や商店街の理事長など、京都でも日をおうごとに大きくなっています。
消費税を増税する一方で社会保障については、自助・共助・公助など国民や家族相互の助け合いとし、これまでの憲法25条に規定された国の責任を大きく後退させ、憲法の生存権保障の理念を否定するものになっています。すでに「社会保障制度改革国民会議」の初会合が11月末に開催され、来年8月21日までに社会保障改悪の具体的結論を出すとしていますが、国会での審議も行わず、首相が任命した国民会議の委員に白紙委任することは到底認められません。
社会保障解体路線をストップさせ、消費税増税に頼らず社会保障を充実させる道への転換が求められています。この意見書案は新しい国会で消費税増税の実施中止と社会保障制度改革推進法の廃止をもとめるためのものです。
次に大飯原発の稼働中止と原発即時ゼロを求める意見書案についてです。
大飯原発の敷地内に活断層がある可能性は、原子力規制委員会が実施した調査における専門家の共通した見解です。さらに今月に入ってから美浜原発や高速増殖炉もんじゅ、志賀原発の敷地内や原子炉建屋の直下に活断層がある可能性が指摘されており、東通原発、敦賀原発については活断層であることがはっきりしたのです。
12月7日には東北地方を中心に強い地震が起こったところですが、そもそも地震国日本で危険な原発を建設することが間違っています。さらに人類は原発をコントロールして安全に運転する技術も、使用済み核燃料を安全に処理する技術も持ち合わせていないのです。
自民党の安倍総裁は原発の新増設を認めないというこれまでの政府方針の見直しにも言及していますが、国民の声は「原発をなくしてほしい」という声が圧倒的なのです。今議会には大飯原発活断層の危険を考える京都市民有志の皆さんがたから陳情書も寄せられたところです。本意見書案はこうした陳情にも心を寄せたものです。
次に「TPP交渉に参加しないことを求める意見書案」についてです。
自民党は「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対、との公約を掲げていました。しかし「聖域なき関税撤廃」への反対が認められないのがTPPであり、後から参加したカナダ・メキシコも関税・非関税障壁の撤廃を受け入れることになっています。この聖域なき関税・非関税障壁の撤廃を前提とするTPPに参加すれば、日本の農林漁業はもちろん、医療・労働・ものづくり産業など、あらゆる分野が壊滅的な打撃を受けることは明らかです。残留農薬の基準もアメリカ並みに緩和され、食料品の表示義務も撤廃されれば、食の安全も著しく脅かされます。TPP交渉への参加は絶対に行うべきではありません。
次に「中小企業金融円滑化法の延長を求める意見書案」についてです。
長期にわたる不況に加え、円高やデフレにより、地域経済は冷え込み、中小企業は厳しい経営状況に置かれています。政府は中小企業円滑化法期限切れの「出口対策」として、特別融資保証枠を作り、企業再生機構・支援協議会による再生ファンド3千件という目標数を示しましたが、このファンドを活用できる中小企業はごく限られています。同法が失効すれば、中小企業の資金繰りが厳しくなり倒産する中小企業が増加するのは明らかで、雇用の喪失、国内産業の空洞化が予想されます。すでに府内で金融機関から条件変更を無視して元金返済を強く求められる事態も起こっているのです。中小企業を守り、地域経済を振興するためにも中小企業円滑化法の再延長と中小企業への抜本的な経営支援策の実施が必要です。
次に妊婦健診とワクチン接種の公費助成の確保に関する意見書案についてです。
2010年度の補正予算により造成された基金によって、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンの接種費用の約9割が公費助成の対象となり、接種率の向上と子どもの罹患率の減少に大きな役割を果たしてきました。妊婦健診についても基金事業の創設により公費助成事業が平均5.5回から14回と大幅に増加し、妊婦検診へのアクセスの改善に寄与してきたところです。
この基金事業は2012年度で終了しますが、2011年12月に内閣官房長官、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣の4大臣で合意された「平成24年度以降の子どものための手当等の取扱いについて」により、それぞれが2013年度から一般財源化されると言われています。
しかし、妊婦健診も3ワクチンも2013年度から一般財源化されれば、財政力の弱い市町村の負担が増え、公費助成や公費接種事業が後退することになりかねません。
次に早期にすべての中学校で給食を実施することを求める決議案についてです。
学校給食は、すべての子どもの心身の健やかな成長を図る上で有効であり、食育基本法制定においても学校給食は教育の一環だと位置づけられている通り教育的効果の高いものです。また、格差と貧困が広がる中で、府内の小学校などでも、一人親家庭など家庭の事情で食生活が乱れている子どもが、一日のうち唯一、給食で栄養価のある食事が保障されているなど、学校給食は子ども達にとって命と健康を守る大事な食事になっています。
全国的には市町村の独自努力の下で、中学校の給食の実施率は今では80%となっており、都道府県では岐阜県、富山県、沖縄県が100%、実施率9割を超える府県は、27道府県になっています。
しかし京都府においては、26.5%で、全国で神奈川、大阪府に次いで下から3番目という極めて低い率にとどまっています。本来、住んでいる地域によって、子ども達の食を支える給食が保障されることに格差があってはなりません。
本決議案は、早期に京都府内で全ての中学校で給食が実施できるよう財政措置などの必要な支援を行うことを求めるものです。
次に「京都市・乙訓地域公立高校の新しい教育制度(案)」の白紙撤回を求める決議案についてです。
京都府教育委員会は、京都市教育委員会とともに、「京都市・乙訓地域公立高校の新しい教育制度(案)」を示し、現在の中学2年生からの導入を強行しようとしています。
新制度(案)は、2通学圏を1つに統合、総合選抜制を廃止して単独選抜制を導入し、現行の「推薦入学」「特色選抜」、専門学科などの2月の選抜を「前期選抜」として現在よりも拡大する、などとしていますが、これでは、学校間の学力格差と序列化をさらに拡大し、受験競争は激化し、子どもたちと保護者の不安とストレスはいっそう増大させられてしまいます。
わずか4回の「府民説明会」でも、「成績のよい子の先取りであり、実際は多くの子どもは入れる高校選びとなってしまう」「わざわざ前期選抜を拡大して『不合格体験』を多くの子どもに負わせるのか」「遠距離通学を強いられる」などの疑問と意見が相次ぎ、また多くの疑問に対して府教委は「検討中」「調整する」などと繰り返すばかりで、到底、納得を得られるものではありませんでした。ところが、府教委は「もう十分時間をかけた」「説明会参加者やパブコメの大半は賛成意見」などと事実をねじまげ、結論ありきで推し進めようとしています。
そもそも、これまでから、類・類型制の導入や専門学科設置、「特色選抜」の導入と拡大、中高一貫校開設などにより、高校教育に次々と序列と格差をもちこみ、子どもと保護者を競争に駆り立てて不安とストレスを強いてきた上に、さらに格差と競争をひどくする新制度(案)を、子どもも保護者も置き去りにして強行するなど、絶対に認めるわけにはいきません。
よって、新制度(案)は、白紙撤回し、高校教育制度とそのあり方については、府民的議論を尽くすよう求め、決議案を提案するものです。
次に30人以下学級の早期実現と教育費負担の軽減等を求める意見書案についてです。
今年も12月議会には34871人もの保護者や教職員、府民から切実な要望署名が届けられました。
少人数学級は学級の規模を小さくすることで、学習指導や生徒指導両面にわたる全人的な教育に効果を上げてきました。子どもたちへのきめ細かな指導や授業中の発表の機会を増やすなど、より積極的な授業参加にもつながっています。現在は国の加配措置により小学校2年生についても「35人以下」学級となりましたが、3年生以上については府県の独自措置にゆだねられています。京都府教育委員会も「京都式少人数教育」で単費の教員を60人程度増員し、少しずつ少人数学級を選択する市町村教育委員会が増えていますが、本来国の措置で行うべきです。
また国民の運動の中で高校教育の無償化がスタートし、経済的な事情で高校を中退せざるを得ない生徒が減少しています。しかし授業料以外の負担も重く、費用の積み立てができずに修学旅行にもいけなかったり、通学定期を購入できないために学校に通えなかったり、また制服代や教材費などの父母負担も重いうえに年少扶養控除が廃止されたために、貧困と格差は一層広がっており、更なる負担軽減が求められています。本意見書案はこうした子どもたちの修学を保障するためにも負担軽減と合わせて国に対して給付型奨学金の創設を求めるものです。
以上わが党提案の意見書案7件と決議案2件への賛同を求めるものです。
次に3会派提案の2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の日本招致に関する決議案についてです。
今年の5月に、2020年夏季オリンピック開催候補地の第一次選考が行われ、正式立候補都市のひとつとして、東京都が選出されました。「しかし東日本大震災の被災地の復興は、いまだ入り口の段階であり、被災者・自治体が納得できる復興対策に国が総力をあげてとりくむことが求められていること、東京でも近い将来に、大地震が襲う可能性が高いことが指摘されていること、さらに意見書案には東京一極集中の解消という言葉が使用されていますが、東京に招致することでますます一極集中が進むのではないでしょうか。以上3点の理由で反対です。
次に3会派提案の「日本海国土軸の形成に関する意見書案」についてです。
昨日自民党と公明党は重点課題での合意文書に署名し、「防災・減災対策」と称して10年間で200兆円を投資する自民党の国土強靭化計画や100兆円を投資する公明党の「防災・減災ニューディール計画」など新たな公共投資を狙っています。総額3兆円を超える国費を投入する整備新幹線、9兆円を超えるリニア新幹線、八ッ場ダムの建設工事の再開など大型公共工事の復活計画が目白押しで、実際府議会においても突然鳥取豊岡宮津自動車道の整備推進のための3府県議会議員の会を作ろうという計画が明らかにされたばかりです。
しかし、かつて10年間で430兆円の「公共投資基本計画」によって、日本国中がムダな公共事業であふれましたが、こうした計画は景気対策には役に立たず、残ったのは借金の山だったという破たんが証明ずみの政策のむしかえしです。災害に強い国づくりなど防災対策は当然必要ですが、それならば荒れた山林を再生することや農業の振興、住宅の耐震化、河川の改修や笹子トンネル事故の教訓を受けての既存道路の維持管理の充実などやるべきことはたくさんあります。意見書案は防災に名を借りた、破綻済みの大型公共工事の復活につながるもので、反対です。
以上で討論を終わります。
12月定例会 議案討論
島田けい子(日本共産党、京都市右京区)2012年12月26日
日本共産党の島田敬子です。
議員団を代表して、ただいま、議題となっております議案34件のうち、9月定例会提案の第16号議案「平成23年度一般会計及び特別会計歳入歳出を認定する件」、第18号議案「平成23年度京都府水道会計決算を認定する件」、及び本定例会提案の第5号議案「京都府病院事業の設置に関する条例一部改正の件」、第12号議案「財産出資の件」、第13号議案「財産無償譲渡の件」、第14号議案「財産無償貸し付けの件」、第15号議案「特定調停申立事件に係る調停合意の件」、第18号議案「京都府公立大学法人が徴収する料金の上限の変更の認可の件」、第19号議案「京都府公立大学法人中期目標変更の件」、第21号議案「京都府公立大学法人定款変更の件」、第26号議案「職員の退職手当に関する条例等の一部改正の件」の計11件に反対し、他の案件に賛成の立場から討論します。
まず、9月議会提案の第16号議案「平成23年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算」についてです。
平成23年度はリーマンショックの後に発生した東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に加え、デフレと急激な円高により、不況が深刻化し、府民生活と京都経済に大きな影響を与えました。それだけに本府が、府民の暮らしと中小企業、地場産業を支え、安心、安全な京都をつくるために積極的な役割を果たさなければなりません。
ところが、府民の厳しい現実に立ち向かい、その実態に心を寄せた対策となっていないばかりか、府は自治体の役割を後退させ、歪めてきたのです。
それは、第1に景気対策、とりわけ中小企業支援の要望に応えていないことです。
京都経済は深刻な不況下であるからこそ、地域循環型の経済対策として与謝野町で大きな経済実績をあげている「住宅改修助成制度」等の経済振興策が求められましたが実施されず、さらに焦眉の課題である住宅耐震改修の推進や、中小企業への固定経費助成は極めて限定的にとどまったままとなり、中小企業振興基本条例制定にも背を向け続けています。力のある企業への支援だけでは、京都経済の振興発展につながらない事は明らかです。更に、商工会議所や商工会連合会等の中小企業支援団体への補助金も減額し続けていることです。
第2は、雇用対策への取り組み、中でも企業の社会的責任を果たしていないためです。
日本写真印刷等が本府の工場立地補助金を受け、地域経済と雇用を守る社会的責任があるにもかかわらず、企業の一方的理由で整理解雇が行われ、多くの人が職を失う事態は許されません。この点で本府の立地企業への社会的責任を強く求めていないことは重大です。さらに雇用対策では正規雇用確保に努める事が必要です。
第3は、社会保障や子育て、暮らしの施策の充実の願いに応えていないことです。
私学助成の府外生徒への適用は先送りし、すべての小中学校で30人学級実現のための支援策を講じず、市町村国保への支援や子どもの医療費助成制度拡充の願いにも応えられていません。
第4は、国の悪い政治を容認・追随し、地域主権改革を推し進め、地方自治体の役割を後退させてきたことです。
深刻な不況下で更に景気を悪化させる消費増税を「地方税財源の確保ができる」と推進し、農業、医療破壊など京都経済や府民生活のあらゆる分野に被害をもたらすTPP参加にも、いまだ「メリット・デメリットの説明を」としか述べられず、さらに福井原発群の隣接県でありながら、大飯原発再稼働を事実上容認したことなどは、極めて重大です。また、関西広域連合を成長させるとして、知事の協議だけで、事業を進めるような運営はとうてい許されません。
さらに国の責任をますます後退させる国民健康保険の一元化の検討を進め、課税自主権を奪い、強引なとりたてをすすめる地方税機構を積極的に推進してきたことは重大です。
第5に災害などへの現場対応力を弱め、本来メスをいれるべきところに入っていないことです。
これまで何度も指摘をしてきた、出先機関の統合縮小により、災害現場に府職員が行くことが出来ない、あるいは遅れる問題がこの夏の南部豪雨災害でも発生しました。府民目線で住民に寄り添った行政運営が求められる時に、過去の反省を教訓とせず、効率最優先の行政運営は許されません。また同和奨学金償還対策事業や天ケ瀬ダム再開発など不要不急、無駄な事業の見直しも不十分です。
以上の点から平成23年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算の認定には反対です。
次に第18号議案「平成23年度京都府水道会計決算を認定に付する件」ですが、過大な水需要予測による過大な設備投資の結果、市町に無駄な「カラ水」を押し付け、その金額は23年度決算でも約16億円に上っています。府民には高すぎる水道料金を押し付けることとなっており反対です。
次に、本定例会に提案された議案29件についてです。
まず、第1号議案「一般会計補正予算」には賛成するものですが、府立総合資料館の債務負担行為の補正について、一言申し上げます。
本件は、82億円という莫大な負担行為に関するものでありながら、知事の提出議案説明でも全くふれない等、議会に対する説明をまともにしようとする姿勢がありませんでした。
また、当初の建物本体建設工事費について、73億円程度から今回82億円に9億円も膨れ上がりましたが、これまで、議会には一度も報告がなく、債務負担行為の補正のみ提案することは異常です。工事費が膨れ上がるのにその積算根拠も明らかにしないで、全体枠だけを決めて予算を認めろというのでは議会に白紙委任しろというものでありこの案件は一旦撤回すべきと考えます。
次に第10号「府立体育館改修工事請負契約変更」について、府立体育館のリニューアルについては賛成ですが、今回の契約に関わる案件については重大な問題があり、指摘をします。昨年9月議会には、改修の基本設計・実施設計費として4200万円が提案・議決されたものの、契約では基本設計のみに変更しました。その後、24年度当初予算においては、「基本設計の発注の遅れと工期短縮」を理由に「設計つき工事」方式に変更して15億4300万円の予算を計上しました。ところが、6月の入札の予定価格は13億8300万円と減額されるなど、積算価格の根拠、精度が疑われる事態となっています。加えて、9月議会と今議会には、空調設備更新のために新たに3億8840万円の工事費増額が提案され、工事費契約総額は、12億2220万円から16億1059万5千円に膨むことになりました。しかも、理由とされた工期についても、結果として短縮されませんでした。そもそも、公共工事発注の原則は設計・施工の分離であり、「設計つき工事」は、費用や施工内容、工期などへのチェックが効きにくく、それらが大きく変動するなどの事態となるリスクが高いため、国土交通省も選択すべきではないとしてきた手法です。今回、この指摘のとおりになったと言わざるをえません。今後、府として、設計・施工内容などを厳しくチェックし、議会への十分な説明責任を果たされるよう強く求めておきます。
次に、府立与謝の海病院を先に独立法人化された府立医科大学の附属病院化に関連する第5号議案、第12号議案、第13号議案、第14号議案、第18号議案、第19号議案、第21号議案について、反対するものです。
反対の第一の理由は、患者さんをはじめとする地域住民や現場職員、医療関係者への十分な説明と議論ぬきにすすめられていることです。府立病院のあり方検討有識者会議が開始されたのは昨年の8月31日、その後わずか3回の会議のみで、今年2月8日には「府立与謝の海病院を京都府公立大学法人府立医科大学附属病院化」を求める提言を京都府に提出、それを受けた知事は、「2013年4月に移行をめざす」と表明しました。その間半年にもみたない期間です。与謝の海病院は住民の財産であり、命の砦です。その病院の経営形態を大きく変えることを住民抜きにすすめたことは許されません。
第二に、独法化が、住民の命と健康を守り、地域医療を担う京都府の公的責任を後退させるのではないか、附属病院に組み入れられることで、さらに採算性が最優先され、これまで担ってきた僻地医療などの不採算医療が縮小されるのではないかという危惧に対し明確な答えが示されていないことです。
第三に、住民の最も切実な願いにこたえる具体的方針が未だに明確にされていないことです。与謝の海病院を良くしてほしいと400通を超える住民アンケートが寄せられていますがこれに対して、ニーズ調査なども実施せず、まともに応えようとしていません。
知事ならびに理事者は、与謝の海病院を、丹後医療圏における急性期医療、高度専門医療及び、地域医療への支援を行う拠点施設にすると繰り返しました。また、今議会提案の「公立大学法人中期目標」でも、「府北部の地域医療ニーズに応じた診療機能の充実を図る」「高度な医療を安定的に提供できる体制づくり」を進めるとしています。ところが、これまでの審議を通じても、高度医療や政策医療の内容など今後の充実方策について、脳外科医の確保や救急医療体制の充実、回復期リハビリの整備、精神科入院ベッドなど、切実な住民の医療ニーズに応える明確で具体的な答弁もありませんでした。
それどころか、現在 検討中の京都府保健医療計画には、与謝の海病院を脳梗塞における急性期医療機関として位置づけないなど、府北部の中核、拠点といいながら、5疾病5事業における役割さえ果たそうとしていません。地域完結型の医療提供体制を実現するとの丹後地域医療再生計画にも明記していた事からも重大な後退です。
府立与謝の海病院は、昭和28年9月12日に結核療養所として開設され、その後、昭和36年に一般病院「与謝の海病院」と名称を変更、以来50年余の歴史を刻み、医療過疎の丹後地域の医療を担う中核としての使命を果たしてきました。
昭和45には病院全体で医師が2名という存亡の危機に直面する中、昭和46年6月には、京都府は、府立医科大学に「医療センター」を設置し、医師確保と地域医療体制の確立への取り組みを進めてきました。先の知事選挙ではオール京都の医師確保が大きな課題となり、その後、地域医療支援センターが開設されました。このように、これまでも様々な課題と困難を乗り越えて、地域医療を前進させてきたこうした公的な責任を果たすこと、とりわけ、丹後の中核的医療機関として与謝の海病院を充実することこそ、京都府に求められているのです。
今回の独法化附属病院化の最大の狙いは、「経営効率化」であり、そのルーツは、小泉「構造改革」です。医療・社会保障予算を削減しようと「官から民へ」の大合唱が始まり、「地方財政健全化法」並びに「公立病院改革ガイドライン」が策定され、総務省発で「経営の効率化」「再編ネットワーク化」「経営形態の見直し」の三つの視点で強力に「病院改革」が押し付けられました。全国各地で、地域医療の崩壊が加速されました。こうした国の方針を京都府政で忠実に実行しているのが山田知事です。2005年3月末日に100年の歴史をもつ府立洛東病院が閉鎖に追い込まれたのは記憶に止められているところですが、今回ガイドライン最終年限を間近にして与謝の海病院を法人化・附属病院化を急いだものであります。厳しく指摘をしておきます。
次に、第15号議案「特定調停申立事件に係る調停合意の件」についてです。
本件は、協同組合東舞鶴商店街連盟が平成5年4月28日、京都府との間において締結した貸借契約に基づく借入金の残額金4億1,897万7,425円、並びに違約金の支払債務について、申立人及び連帯保証人らが、京都府に対して1億9,500万円を支払う特定調停の合意に関するものです。もともと、事業計画及び採算性の指導が不十分なまま事業が実施されたとの疑問がぬぐえません。
また、その後、経営難を理由に返済額の繰り延べ変更があった際の京都府の経営指導及び監査時の指導・勧告においても、事態の改善に結びつくような適切な指導がなされたかという点についても、その後の経緯からみると全く疑問が残ります。
さらに、今回、この解決のために、舞鶴市が6,200万余の多額でマイコム立体駐車場を買い取ることが条件となっていますが、すでに、舞鶴市は事業開始時から多額の補助金を支出しており、不採算の駐車場の買い取りとその維持・管理などについて、さらなる負担を舞鶴市民にかけることは問題です。単に府の損金を減らすことだけでよしとすることは出来ません。
今回の事件の経緯の解明、また行政の指導監督の内容についても府民の前に明らかにされておらず、行政の指導責任の解明も不十分であります。よって、第15号議案については反対するものです。
第26号議案 「職員の退職手当に関する条例等一部改正」の件についてです。
この条例は、11月16日、衆議院の解散当日、民主、自民、公明などの多数でまともな審議もされず強行可決された国家公務員の退職手当の大幅削減法を地方に押し付けるものです。今回の提案は、年度途中の提案で、しかも平均で400万円を超える退職金減額であり、職員・教職員にとって退職後の生活設計を狂わせる重大な不利益変更をともない、到底受け入れられない内容です。また、デフレ不況にある地域経済へも大きな打撃を与えるものです。
国の言うままの提案をする府の責任は重大であり、提案そのものを撤回すべきものです。よって第26号議案に反対です。
衆議院選挙が終わり、安倍自公政権が発足をしました。有権者全体に対する絶対得票率で、自民党は小選挙区で24.67%、比例代表で15.99%に過ぎないもかかわらず、300議席近い議席を専有するなど、小選挙区制の弊害も明らかになり、見直し論が噴出しています。
厳しい経済、暮らしの下で、政治が国民の苦しみに追い討ちをかけるこんな不安な年末はありません。新しい年、我が党議員団は、国民の皆さんの苦しみに心寄せて、苦難解決へ、安倍自公政権の暴走に歯止めをかけ、府民の暮らし守る共同の輪を大きく広げ、頑張る決意をのべ、討論とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
意見書・決議案文
可決(提案:自民・民主・公明、賛成:全会派)
日本海メタンハイドレートの実用化に関する意見書(案)
我が国においては、石油、石炭、LNGといったエネルギー資源の大半を輸入に頼っており、原子力発電施設の停止に伴う火力発電施設のフル稼働は、産油国等の価格引き上げ圧力に屈せざるを得ない状況を引き起こし、調達コストは過大となった。また、調達経路周辺国における政情不安定や海賊の出没などもあり、調達コストにおいても、調達手段においても大きなリスクを抱えている。
そんな中、そうしたリスクを解消し、大きく国益に貢献できるメタンハイドレートは、太平洋側では実用化に向けての試験採掘が進められ、日本海東縁、日本海南西縁においても、本年10月29日に明治大学、北見工業大学及び東京大学のチームが、メタンハイドレートを採取又は存在を強く示唆する兆候が見られたと発表されたところである。
原子力発電施設の稼働に対する国民の不安、再生可能エネルギーやコジェネレーションによる発電力の拡大が進まない状況などを考えた時、メタンハイドレートの実用化は急務である。
ついては、国におかれては、メタンハイドレートの実用化に不可欠な次の事項について、早急に対応するよう、強く要望する。
1 日本海沖におけるメタンハイドレート等の開発に向けた本格的な資源調査を促進するため、来年度予算に積極的に調査費等を確保すること。
2 日本海沖でのメタンハイドレートの採掘技術の開発を促進すること。
3 日本海における海洋エネルギー資源の開発に伴って必要となるエネルギー供給基地や輸送パイプラインの整備を促進すること。
4 事業の安定性を図るため、採掘技術を中心とした人材の確保や産学連携、民間投資の促進を行うこと。
5 単なる開発・研究にとどまることなく、将来の経済成長や商業化を見通したマネジメント体制を構築すること。
6 開発技術と商用化の方途をモデル化し、他国の資源開発にも貢献できるよう、技術とノウハウの輸出も検討課題として推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(提案:自民・民主・公明、賛成:自民・民主・公明・創生、反対:日本共産党)
日本海国土軸の形成に関する意見書(案)
我が国の国土構造は、根拠法であった国土総合開発法に基づく「21世紀の国土のグランドデザイン」においては、一極一軸型から多軸型国土構造への転換を図るため、北東国土軸、日本海国土軸、太平洋新国土軸、西日本国土軸の四つの国土軸を形成するとされていたが、実現に至らず、後継法である国土形成計画法では、こうした概念は継承されていない。
そんな中、我が国戦後最大規模の巨大災害被害をもたらした東日本大震災を教訓に、また、近い将来の発生が懸念される南海、東南海、東海地震への備えとして、首都機能の代替機能の分散配置による災害に強い国土づくりや国土の強靱化が求められている。
一方、全国知事会においても、世界の成長セクターであるアジアとの地理的条件やリダンダンシーの観点から、日本海国土軸、太平洋新国土軸、北東国土軸等による国土軸の複線化を求めている。
ついては、国におかれては、日本海国土軸の形成に不可欠な次の事項について、早急に対応するよう、強く要望する。
1 全国的な自動車交通網を構成する道路の中で唯一のミッシングリンクとなっている山陰近畿自動車道の国による事業化を行うこと。
2 北陸圏及び北関東・信越圏と関西圏を結ぶ北陸新幹線のフル規格による敦賀以西ルートの整備方針を早急に明確化し、全線の早期整備を行うこと。
3 北陸新幹線から京都府北部、兵庫県、鳥取県及び島根県を経由して山陽新幹線へと結ぶ日本海側新幹線の国による事業化を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(提案:自民・民主・公明、賛成:全会派)
患者数が特に少ない希少疾病用医薬品(ウルトラ・オーファンドラッグ)の
開発促進・支援のための法整備等を求める意見書 (案)
患者数が特に少ない希少疾病用医薬品(ウルトラ・オーファンドラッグ)の 開発促進・支援のための法整備等を求める意見書難病と言われる疾病には有効な治療薬・治療法がなく、患者数が特に少ない希少疾病用医薬品(ウルトラ・オーファンドラッグ=患者数1000人未満)は医療上の必要性が高く、他の医薬品と同様、その開発を円滑に進めることが重要である。
そのため、希少疾患関係患者団体は、これまでに「特定疾患への指定、及び治療薬開発の推進」を求める署名活動や「ウルトラ・オーファンドラッグ開発支援と我が国の創薬・難病対策に関する要望」を提出するなど、政府・関係省庁への積極的な要請活動を行ってきた。その結果、厚生科学審議会医薬品等制度改正検討部会など政府・関係省庁からも前向きな検討が強化されたが、いまだ創薬実現に向けた明確な前進は見られない。
例えば、近年、独立行政法人国立精神・神経医療研究センターは、世界に先駆けて縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)治療における「シアル酸補充療法」の開発研究を進め、患者団体の要請に応えた製薬企業が独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業を活用して取り組み、医師主導によるDMRV治療薬の第Ⅰ相試験を終了した。その後も独立行政法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業(A-STEP)の助成を受けたが、第Ⅱ・第Ⅲ相試験を行うには10~20億円とも言われる巨額な資金が必要であり、財源不足のため開発が暗礁に乗り上げたままになっている。
難病と闘っている希少疾病患者は、日々進行する病状を抱え、もはや一刻も待てない深刻な状況であり、計り知れない不安を抱きながら一日も早い希少疾病の治療法の確立を待ち望んでいる。
ついては、国におかれては、次の事項について、早急に実現するよう、強く要望する。
1 患者数が特に少ない希少疾病用医薬品(ウルトラ・オーファンドラッグ)の開発を促進・支援するための法整備を行うこと。
2 遠位型ミオパチーをはじめとする希少疾病に関する研究事業の更なる充実強化と継続的な支援を行うこと。
3 希少疾病用医薬品の早期承認と医療費補助を含む患者負担軽減のための措置を講ずること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
消費税増税の中止を求める意見書(案)
民主、自民、公明3党は、国民多数の反対を押し切って、消費税増税と社会保障改悪の「一体改革」関連法を成立させた。社会保障のためと言いながら、医療費の窓口負担引き上げ、年金削減など、社会保障の切り下げと一体に、消費税を2014年に8%、2015年には10%まで引き上げるというものである。この大増税計画を、私たちは到底認めることができない。
この不況下で増税すれば、国民の消費は更に落ち込み、被災地をはじめ全国の地域経済は大打撃を受ける。とりわけ、価格に税金分を転嫁できない中小業者の経営を追い込み、消費税増税による倒産や廃業が増えることは必至であり、そこで働く人々の賃金抑制と雇用不安につながり、自治体財政にも深刻な打撃を与える。1997年に消費税を増税した時の経験から、国全体としても税収が減少するという悪循環は明らかである。
消費税は、そもそも「高齢者社会を支える福祉の財源にする」と言って導入されたが、年金制度改悪、医療費負担増など、社会保障は年々悪くなる一方である。低所得者ほど負担が重い、弱い者いじめの税金であり、社会保障の財源としてはふさわしくない。財政再建の財源としては、税金の使い方を国民のくらしと福祉優先に切り替え、法人税率の見直しや不要不急の大型公共事業の見直し、大企業、高額所得者、資産家に応分の負担を求めることなどが必要だと考える。
ついては、国におかれては、住民のくらし、地域経済、地方財政に深刻な影響を与える消費税増税を実施しないよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
社会保障制度改革推進法の廃止を求める意見書(案)
第180回国会で成立した「社会保障制度改革推進法」の具体化に向けて、「社会保障制度国民会議」が設置され議論が始まろうとしている。
これに対し、「社会保障の根幹を揺るがし、生きる権利と社会保障の向上・増進を国の責任と義務づけた憲法第25条に反するもの」との怒りが広がっている。 同法は、改革の基本的考え方を、自助・共助・公助や国民相互の助け合いとし、医療をはじめとする社会保障に対する国と地方自治体の責務を大きく後退させるものである。
これまで、営々と築き上げてきた「国民皆保険制度」を破壊するとともに、医療や介護の給付範囲を「適正化」の名によって保険給付対象の限定・削減を打ち出し、生活保護でも医療扶助の締めつけや生活扶助費の削減を打ち出すなど、憲法第25条をゆがめるものである。患者・国民の生きる権利を脅かす同法をこのまま実施することは到底認められない。
ついては、国におかれては、社会保障制度改革推進法を廃止するよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
妊婦健診とワクチン接種の公費助成の確保に関する意見書(案)
ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんワクチンの接種費用が基金による公費助成の対象となり、接種率の向上と子どもの罹患率の減少に大きな役割を果たしてきた。同様に妊婦健診についても公費助成事業が大幅に拡充し、妊婦健診へのアクセスの改善に寄与してきたところである。
ところが、基金事業は今年度に終了し、一般財源化されるとなっており、市町村をはじめ、保護者や医療関係者等からも不安の声が相次いでいる。お金のあるなしにかかわらず、いのちと健康に格差があってはならない。
ついては、国におかれては、妊婦健診とこれらのワクチン接種について引き続き今年度と同程度の公費助成が可能となるよう、実施主体である自治体に対し必要な財政措置を講じることを求める。
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。
否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
大飯原発の稼働中止と即時原発ゼロを求める意見書(案)
11月2日に行われた原子力規制委員会の大飯原発敷地内活断層調査後の評価会合で、台場浜のずれが「活断層である可能性は否定できない」との共通認識が出された。更に今月に入ってから美浜原発や高速増殖炉もんじゅをはじめ、志賀原発、東通原発、敦賀原発の敷地内や原子炉建屋の直下に活断層がある可能性が指摘され、過去の安全審査のずさんさも浮き彫りになった。
危険な原発を地震国日本に建設すること自体が大きな誤りであり、安全に原発を動かす技術もない中、更に福井の原発で事故が起きれば、京都でもその影響は極めて深刻となる。また、使用済み核燃料についても、安全に処理する技術が確立されておらず、現在は敷地内のプールに保管されているが、その保管もこのまま原発の運転が続けばあと6年で満杯になると言われている。
政府は電力不足を脅しに使い、多くの反対の声を押し切って大飯原発を再稼働させたが、この夏原発ゼロで乗り切れたことが明らかになっている。原発の即時ゼロを求める声は多くの国民の声である。
ついては、国におかれては、大飯原発の稼働を直ちに中止するとともに、即時原発ゼロの政治決断を行うよう求めるものである。
以上、地方自治法第99条により意見書を提出する。
否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
30人以下学級の早期実現と教育費負担の軽減等を求める意見書(案)
子どもたちに学力を保障し、「いじめ」や不登校などにきめ細かく対応するため、30人以下学級を早期に実現することが求められている。
昨年度、国の制度として「小学校1年生の35人以下学級」が始まり、今年度は加配措置により、小学2年生にも拡充された。全国で、自治体独自の努力により「少人数学級」の実施が広がっているが、そもそも国の責任において、「30人以下学級」が小・中学校、高校のすべての学年で実施できるようにすべきである。
また、貧困と格差が広がり、子どもや家庭の生活基盤が壊され、家庭での教育費負担はより深刻になっている。そうしたもとで、国においては、一昨年度から公立高校授業料不徴収、私学の修学支援金制度がスタートしたことは大きな意義がある。学校関係者や保護者をはじめ、国民的な運動と世論によって前進した「高校教育無償化」の流れを、途切れさせたり後退させてはならない。
ついては、国におかれては、すべての子どもたちの学ぶ権利を保障するため、以下の点を充実するよう求める。
1 小・中学校、高校のすべての学年で「30人以下学級」の早期実現、障がい児教育の拡充のため、教職員定数改善を行なうこと。
2 教育費の無償化を目指し、公立・私立ともに、就修学援助制度の拡充、入学金、修学旅行費、各種徴収金などの負担軽減を行ない、私立学校への助成金増額を行なうこと。
3 高校生・大学生に対する給付型奨学金制度を創設すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
TPP交渉に参加しないことを求める意見書(案)
12月16日投開票の総選挙の結果、自・公政権が復活することになった。自民党は総選挙で、「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対」との公約を掲げていた。しかし、安倍総裁は、17日の記者会見で、「交渉そのものがいいか悪いかでなく、国益を守れるかだ」「米側の要求がどういうものなのか、よくみていかなければならない」などと述べ、TPP交渉参加に前向きの発言をしている。「聖域なき関税撤廃」への反対が認められないのがTPPであり、後から参加したカナダ、メキシコも関税・非関税障壁の撤廃を受け入れることになっている。
この「聖域なき関税・非関税障壁撤廃」を前提とするTPPに参加すれば、日本の農林漁業は壊滅的な打撃を受け、安心で安全な農産品や魚の提供ができなくなり、医療の分野では、国民皆保険制度が破壊されるのは明白である。雇用・労働の分野では、これまでも引き下げ、改悪され続けてきた賃金・労働条件が、海外市場での競争力強化を理由に、さらにひどくなることは明らかである。産業の分野では、生産拠点の海外移転がいっそう進み、日本のものづくりの基盤が崩壊しかねない。そのため、農業や医療関係団体をはじめ、各界・各層の国民や団体が強い反対の声をあげているのである。
ついては、国におかれては、これらの国民多数の声をふまえて、TPP交渉への参加は行わないことを、強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
中小企業金融円滑化法の延長を求める意見書(案)
中小企業や住宅ローンの借り手が貸付条件の変更等を申し出た場合、金融機関に条件変更や返済猶予といった債務者の負担の軽減に応じる努力義務が課された中小企業金融円滑化法が、平成25年3月31日で失効する。
長期にわたる不況に加え、円高やデフレにより、地域経済は冷え込み、特に中小企業は厳しい経営状況におかれている。さらに同法が失効すれば、製造業等に深刻な影響を与え、特に中小企業の経営悪化や雇用の喪失、国内産業の空洞化が予測される。京都府が行った景況調査では、「影響がある」と回答した企業が17.2%、「影響が懸念される」と回答した企業が27.7%とあわせて44.9%にのぼり、同法の終了に対する中小企業の不安感が伺える結果となった。
政府は、同法期限切れの「出口対策」として特別融資保証枠を創り、さらには企業再生機構・支援協議会による再生ファンドを2012年3月までに3,000件の目標数を示した。しかし、同法の適用を受け条件変更を行なった企業約40万社に対し、活用実績は日本航空など大企業わずか165社であり、事業再生ファンドの活用ができる中小企業はごく限定的である。このまま同法が失効すると、資金繰りが厳しくなり、倒産する中小企業が増加するのは明らかである。
ついては、国におかれては、中小企業を守り地域経済を振興するために、中小企業金融円滑化法の失効期限の延長措置を講ずるとともに、中小企業の抜本的な経営支援策を実施するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
可決(提案:自民・民主・公明、賛成:自民・民主・公明・創生、反対:日本共産党)
2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の日本招致に関する決議(案)
オリンピック・パラリンピック競技大会は、世界最大のスポーツの祭典、平和の祭典であり、参加する人々の交流を通じて世界平和の実現に貢献してきた。
我が国はこれまで、1964年のオリンピック東京大会をはじめ、1972年の冬季オリンピック札幌大会、1998年の冬季オリンピック長野大会を開催し、世界中の人々に感動と喜びを与えるとともに、国際社会に対して、我が国の存在感を力強く示してきた。
現在、東京都は、再びオリンピック・パラリンピック競技大会を開催することを目指している。
東日本大震災からの復旧、復興に全力で取り組んでいる我が国にとって、オリンピック・パラリンピックを開催することは、国民に夢を与え、復興、再生のシンボルとなり、世界中から寄せられた支援に対する感謝の気持ちを表す好機ともなる。
加えて、世界に誇る歴史や文化、恵まれた自然を有する京都府にとっても、世界各国から数多く集うアスリートや大会関係者、報道関係者、観光客に対し、その魅力を発信する絶好の機会となる。
東京一極集中が進み、地域間格差が拡大する中、各地域では、特色ある地域の発展・活性化に向け懸命に取り組んでいる。大会の日本開催により、東京一極集中の解消に向けた政府の取組がより一層充実・強化され、開催地である東京都・首都圏のみならず、日本全体が輝くことができる大きな契機となることを期待する。
よって、京都府議会は、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の日本開催を強く求めるものである。
以上、決議する。
否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明・創生)
「京都市・乙訓地域公立高校の新しい教育制度(案)」の白紙撤回を求める決議(案)
京都府教育委員会と京都市教育委員会は、「京都市・乙訓地域公立高校の新しい教育制度(案)」を示し、現在の中学2年生からの導入を強行しようとしている。
新しい教育制度(案)は、2通学圏を1つに統合・拡大し、総合選抜制を廃止して単独選抜制を導入し、さらに、現行の「推薦入学」「特色選抜」や専門学科などの2月の選抜を、「前期選抜」として現在よりも拡大するなどとしている。しかし、こうした方向では、学校間の学力格差と序列化がさらに拡大し、受験競争がいっそう激化し、子どもたちと保護者の不安とストレスはいっそう増大せざるをえない。
まして、わずか4回の「府民説明会」でも、「選べると言うが、いったいどうやって選べというのか」「成績のよい子の先取りで、多くの子どもは実際は入れる高校選びとなってしまう」「遠距離通学を強いられる」など、疑問と意見が相次いだにもかかわらず、府教委は「おおむね賛成」「もう説明会はない」などと結論ありきで強行しようとしており、絶対に認められるものではない。
よって、「京都市・乙訓地域公立高校の新しい教育制度(案)」については、白紙撤回し、高校教育制度とそのあり方については、府民的議論を尽くすよう、求めるものである。
以上、決議する。
否決(提案:日本共産党、賛成:日本共産党、反対:自民・民主・公明、創生)
すべての中学校で給食を早期に実施することを求める決議(案)
学校給食は、学校給食法の改正により法制化された学校給食実施基準において、在学する全ての児童生徒に対して実施されるものとすると規定されており、食育基本法においても学校給食は教育の一環だと位置づけられている。そのような下で、今や全国の中学校での完全給食の実施率は80%になっている。しかしながら、京都府の中学校給食実施率は26.5%、全国で下から3番目という状況である。
格差と貧困が広がる中で、学校給食は子ども達にとって命と健康を守る大事な食事ともなっており、いっそう重要となっている。
よって、本府におかれては、すべての中学校で給食が早期に実施できるよう財政措置などの必要な支援を行うことを求める。
以上、決議する。