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議会を終えて(談話)

府政報告 2015 12年12月定例会を終えて

2013/01/15 更新
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●12月定例府議会が12月26日に閉会しました。「2012年12月定例議会を終えて」団長談話を紹介します。

2012年12月定例議会を終えて

2013年1月11日
日本共産党京都府会議員団
団長 前窪 義由紀

 昨年12月3日から開かれていた12月定例議会は、途中、解散・総選挙をはさみ12月26日に閉会した。
本議会は、急速に厳しくなる京都経済と府民生活に、どのように対応するのかが問われるとともに、総選挙により政権が自民党に戻るという状況の中、日本の進路のあり方そのものが問われた議会であった。
 我が党議員団は、11月22日に取り組まれた府市民総行動、翌23日の「TPP参加反対・京都府民集会」、12月6日の3万4千筆を超える教育要求署名提出と各会派要請をはじめ、広がる府民運動と連帯し、また11月22日に行った来年度予算要望を踏まえ、国政の重要問題や山田府政のあり方について、府民生活を守り、京都経済を再生する立場から積極的に論戦した。

1、本議会に提案された人事案件2件を含む議案36件のうち、9月定例会提案の第16号議案「平成23年度一般会計及び特別会計歳入歳出を認定する件」、第18号議案「平成23年度京都府水道会計決算を認定する件」、及び本定例会提案の第5号議案「京都府病院事業の設置に関する条例一部改正の件」、第12号議案「財産出資の件」、第13号議案「財産無償譲渡の件」、第14号議案「財産無償貸付けの件」、第15号議案「特定調停申立事件に係る調停合意の件」、第18号議案「京都府公立大学法人が徴収する料金の上限の変更の認可の件」、第19号議案「京都府公立大学法人中期目標変更の件」、第21号議案「京都府公立大学法人定款変更の件」、第26号議案「職員の退職手当に関する条例等の一部改正の件」の計11件に反対し、他の案件には賛成した。
9月議会提案の第16号議案「平成23年度一般会計及び特別会計歳入歳出決算」は、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に加え、デフレと急激な円高により、不況が深刻化したもとで、府民の厳しい現実に立ち向かい、その実態に心を寄せた対策となっていないばかりか、自治体の役割を後退させ、歪めてきたため反対した。
その理由の第一は、地域循環型の経済対策として与謝野町で大きな実績をあげている「住宅改修助成制度」等の経済振興策を実施せず、中小企業振興基本条例制定にも背を向け、更に、商工会議所や商工会連合会等の中小企業支援団体への補助金も減額し続ける一方、力のある企業への支援を軸に行うなど、景気対策、とりわけ中小企業支援の要望に応えていないためである。
第二は、雇用対策について、本府の工場立地補助金を受けている(株)日本写真印刷が、地域経済と雇用を守る社会的責任があるにもかかわらず、一方的理由で整理解雇を行い、職を失う事態が起こるもとで、企業の社会的責任を果たすよう厳しく求めることもせず、また正規雇用の拡大に本格的に取り組んでいないためである。
  第三に、他府県の私立高校に通う高校生への修学支援適用の先送り、すべての小中学校で30人学級実現のための支援策を講じないなど、社会保障や子育て、暮らしの施策の願いに応えていないためである。
第四に、 山田知事が消費税増税を「地方税財源の確保ができる」と推進し、TPP参加にも明確な態度を取らず、大飯原発再稼働を事実上容認し、さらに国民健康保険の一元化の検討を進め、課税自主権を奪い、強引なとりたてをすすめる地方税機構を積極的に推進するなど、国の悪い政治を容認・追随し、「地域主権改革」を推し進め、地方自治体の役割を後退させてきたためである。
第五に、出先機関の統合縮小など、災害などへの現場対応力を弱めるとともに、同和奨学金償還対策事業の継続や天ヶ瀬ダム再開発など、メスをいれるべきところを進めているためである。
第18号議案「平成23年度京都府水道会計決算を認定に付する件」は、過大な水需要予測による過大な設備投資の結果、市町に無駄な「カラ水」を押し付け、その金額は23年度決算でも約16億円に上り、府民に高すぎる水道料金を押し付けているため反対した。
なお、我が党議員団が求めていた昨年夏に府南部を襲った豪雨災害に対する、決壊した弥陀二郎川の抜本改修と計画の前倒しが進められることとなり、また、限定的ではあるものの中小企業への固定費補助の対象事業所を拡充することとなるなど、いくつかの重要な前進も実施されることとなった。

2、本議会は知事の「住民不在」「議会おきざり」「トップダウン」の手法が明瞭になった議会であった。
第1号議案「一般会計補正予算」のうち、府立総合資料館の82億円もの債務負担行為について、知事は提出議案説明でも全くふれず、その後の我が党の指摘に対しても、まともに議会で説明しなかった。その上、当初73億円程度と言われた建設費が今回82億円へと9億円も膨れ上がったにもかかわらず、その積算根拠や設計など、これまで一度も報告せず、債務負担行為の補正のみ提案したことは、議会に白紙委任を求める異常な対応であり、一旦撤回を強く求めた。
第10号議案「府立体育館改修工事請負契約変更」について、府立体育館リニューアルは必要であるが、今回の契約は、当初予算で「基本設計の発注の遅れと工期短縮」を理由に「設計つき工事」方式に変更したため、新たに空調設備の追加等により、工事費契約総額が12億2220万円から16億1059万5千円に膨らみ、工期も短縮されなかった。そもそも、公共工事発注の原則は設計・施工の分離が求められており、今後、設計・施工内容などを厳しくチェックし、議会への十分な説明責任を果たすことを求めた。
第15号議案「特定調停申立事件に係る調停合意の件」は、協同組合東舞鶴商店街連盟が平成5年4月28日、京都府との間において締結した貸借契約に基づく借入金の残額金4億1,897万7,425円、並びに違約金の支払債務について、申立人及び連帯保証人らが、京都府に対して1億9,500万円を支払う特定調停の合意に関するものだが、これまで京都府の経営指導及び監査時の指導・勧告においても、事態の改善に結びつくような適切な指導がなされたとは言えず、府の損金を減らすことだけでよしとすることは問題である。また、府民の前に明らかにせず行政の指導責任の解明も不十分なままである。
第26号議案 「職員の退職手当に関する条例等一部改正の件」は、衆議院の解散当日、民主、自民、公明などの多数でまともな審議もされず強行可決された国家公務員の退職手当の大幅削減法と同じ内容を年度途中に地方に押し付け、平均400万円を超える退職金削減するもので、デフレ不況にある地域経済へも大きな打撃を与えるものを、国そのままに提案する府の責任は重大である。
知事のトップダウンの手法が最も端的に現れたのが、府立与謝の海病院を府立医科大学附属病院化・法人化する件である。
この問題をめぐっては、昨年の8月31日に、「府立病院のあり方検討有識者会議」が開かれ、わずか3回の会議で「法人化・附属病院化」の提言を知事に提出し、「2013年4月に移行をめざす」と昨年2月に表明するなど、患者さんをはじめとする地域住民や現場職員、医療関係者への十分な説明と議論ぬきにすすめてきた。 また、独法化が住民の命と健康を守り、地域医療を担う京都府の公的責任を後退させるのではないか、附属病院に組み入れられることで、さらに採算性が最優先され、これまで担ってきた僻地医療などの不採算医療が縮小されるのではないかという危惧に対し明確な方針を示さないままであった。さらに、与謝の海病院を良くしてほしいという400通を超える住民アンケートが寄せられたにもかかわらず、ニーズ調査なども実施せず、まともに応えないばかりか、「中期計画」で「府北部の地域医療ニーズに応じた診療機能の充実を図る」「高度な医療を安定的に提供できる体制づくり」を進めると述べながら、審議を通じ、今後の充実方策について、脳外科医の確保や救急医療体制の充実、回復期リハビリの整備、精神科入院ベッドなど、切実な住民の医療ニーズに応える明確で具体的な答弁が全くないままであった。これらは「地域完結型の医療提供体制を実現する」としていた「丹後地域医療再生計画」に明記していたことからも極めて重大な後退である。  
このため、11月22日に取り組まれた府市民総行動では、宮津・与謝・丹後からバス一台で「府立与謝の海病院の充実を」「法人化ありき反対」などの声を携え、京都府や府立医科大学付属病院に申し入れを行ったが、こうした声や運動に全く耳を傾けず、「法人化ありき」で強行することは問題である。
そもそも、今回の独法化附属病院化の最大の狙いは「経営効率化」であり、国による「経営の効率化」「再編ネットワーク化」「経営形態の見直し」の三つの視点で強力に押し付けられた「病院改革」方針を、京都府政で忠実に実行している姿が浮き彫りとなった。
  さらに、議会終了後、突如知事から「全員協議会の開催」の申し入れがあり、その場でこの間検討されてきたサッカースタジアムの建設場所が報告された。本来、本会議でも議論となったもので、会期内に説明し論議すべきであるにもかかわらず、わざわざ議会を終えてから非公開の全員協議会で報告すること自身が問題である。しかも、その場の説明で山田知事が、政権が変わったもとで、公共事業の大きな風が吹くとして、新名神アクセス道路の整備や木津川右岸運動公園整備をはじめ、懸案事項を一気に解決したいと述べたことは、自公政権がすすめる「国土強靭化」を地方から強く推進を求めるものである。我が党議員団は、道州制問題も含め、今後、注視して論戦と運動を進めるものである。

3、本議会に公立高校の選抜制度について京都市・乙訓地域の2通学圏を1つに統合、総合選抜制を廃止して単独選抜制を導入し、現行の「推薦入学」「特色選抜」、専門学科などの2月の選抜を「前期選抜」として現在よりも拡大する、などとする「京都市・乙訓地域公立高校の新しい教育制度(案)」が示された。
すでに我が党議員団が昨年9月に提案した「府民へのよびかけ」で示した通り、この方向では学校間の学力格差と序列化をさらに拡大、受験競争は激化し、子どもたちと保護者の不安とストレスはいっそう増大させられてしまうことは明らかである。その上、わずか4回の「府民説明会」でも、「成績のよい子の先取りであり、実際は多くの子どもは入れる高校選びとなってしまう」「わざわざ前期選抜を拡大して『不合格体験』を多くの子どもに負わせるのか」「遠距離通学を強いられる」などの疑問と意見が相次ぎ、また多くの疑問に対して府教育委員会は「検討中」「調整する」などと繰り返すばかりで、到底、納得を得られるものではなかった。ところが、本会議で教育長は「大半の保護者や生徒の意見というのは、公立高校が選べるようにしてほしいというのが基本的な思い」などと事実を捻じ曲げた答弁に終始し、結論ありきですすめていることは極めて重大である。今後、広範な保護者や子ども、関係者と協力し、計画案の白紙撤回を求めるとともに、府民的な議論を尽くすもよう求めるものである。

4、議員提案条例として、「政策調整会議」で検討してきた「京都府歯と口の健康づくり推進条例」が制定された。また、地方自治法改正にともない、政務調査費が政務活動費に名称変更されたことにより、関係する条例3件を提案し成立した。我が党議員団は、「政務活動小委員会」で会派活動の保障をすべきと主張し、金額は減額したものの、包含する内容が若干広げられるものとなった。

5、我が党議員団は、提案された10意見書案と3決議案のうち、自民・民主・公明提案の「日本海国土軸の形成に関する意見書案」及び「2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の日本招致に関する決議案」の2件に反対し、他に賛成した。
今議会に提出された切実な要求にもとづく請願や陳情を踏まえ、我が党議員団は、消費税増税の中止や大飯原発の稼働中止と原発即時ゼロ、金融円滑化法の延長を求める意見書など9件を提案し、その実現を求めたが、自民・民主・公明らがすべて否決した。
我が党議員団は、34871人もの保護者や教職員、府民から集められた30人学級実現をはじめとする教育要望署名の提出行動に全員出席し、保護者や関係者と懇談し激励した。
 一方、自民・民主・公明が提案した「日本海国土軸の形成に関する意見案」は、「国土強靭化」の名による、総額3兆円を超える国費を投入する整備新幹線、9兆円を超えるリニア新幹線、八ッ場ダムの建設工事の再開など大型公共工事の復活計画をもくろみ、さらに府議会に突如、鳥取豊岡宮津自動車道の整備推進のための3府県議会議員の会を作ろうという計画が明らかにされたとおり、防災に名を借りた、破綻済みの大型公共工事の復活につながるもので反対した。

安倍自公政権が発足した。現行小選挙区制度により、少ない得票で300近い議席を占有するなど、自民党が国民から信任されたものでないことは明らかである。しかし、憲法改正や原発新増設、消費税増税等を、維新の会などとも連携し、進めようとしていることは危険である。7月に行われる参議院選挙に続き来年4月には知事選挙が予定されている。我が党議員団は、府民の皆さんの苦しみに心寄せ、苦難解決へ、安倍自公政権の暴走に歯止めをかけ、府民の暮らし守る共同の輪を大きく広げるために全力を挙げるものである。

以上