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討論

2013年2月定例会一般質問 浜田・山内・島田、原田議案討論

2013/03/04 更新
[ 討論 ]
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●2月定例府議会一般質問が2月26日、2月27日、2月28日におこなわれました。浜田良之議員、山内よし子議員、島田けい子議員の一般質問と答弁の大要、他会派議員の一般質問項目をご紹介します。また、2月27日に原田完議員がおこなった議案討論をご紹介します。

浜田 良之 一般質問 ・・・・・ 1
山内よし子 一般質問 ・・・・・ 6
島田けい子 一般質問 ・・・・・11
他会派議員の一般質問項目・・・・17
原田  完 議案討論 ・・・・・18

2月定例会 一般質問
浜田良之(日本共産党、京都市北区)2013年2月26日

原子力防災計画の見直しと避難者への支援策について

【浜田】日本共産党の浜田よしゆきです。通告に基づき、知事ならびに関係理事者に質問します。
 まず第一に、原子力防災計画の見直しと避難者への支援策についてです。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からまもなく2年となりますが、被災地の復興はいまだ道半ば、原発事故による放射能汚染の除染はほとんどすすんでいません。2月10日のNHKスペシャル「核のゴミはどこへ」では、日本は原発を動かすことには熱心だったが、使用済み核燃料の処理は先送りしてきたため、全国の原発には1万7千トンもの核のゴミが溜まっており、再稼働すれば2年で満杯になる原発もあること、使用済み核燃料の貯蔵プールは、格納容器で守られていないので、メルトダウンが起これば、放射性物質が大量に放出され、福島第一原発事故では、住民の避難が必要になる地域が原発から250キロの範囲にまで及ぶと想定されていたことなど、背筋が凍るような事実が明らかにされていました。これ以上、核のゴミを増やさないためにも、原発の再稼働は絶対に許してはならない、原発ゼロの政治決断こそ求められている、ということを痛感しました。同時に、原発がある以上、過酷事故に対する備えが必要であり、本府においても、3月末までに、原子力防災計画の見直しが求められています。2月1日の京都府防災会議では、原子力災害重点区域の考え方や広域避難対策などについて議論されましたが、ここでは、京都府の責任が直接問われる二つの問題について、お聞きします。

被ばく医療体制と安定ヨウ素剤配備計画の改善を

【浜田】一つは、被ばく医療体制の整備についてです。本府では、初期被ばく医療機関を5機関から16機関に増やしましたが、京都府医療審議会では、初期被ばく医療機関では、放射線測定と簡単な除染を行い、それらで対応できない方々を二次被ばく医療機関(京都医療センター)、三次被ばく医療機関(広島大学病院)に搬送することを想定しているということで、初期被ばく医療機関に配備されたのは、線量計と防護服だけです。しかし、放射能事故が起こった場合に、最初に患者が運び込まれる初期被ばく医療機関に、汚染者を含む患者の救急医療処置や除染などに対応できる医療設備や資機材を配備すべきだと思いますが、いかがですか。
もう一つは、安定ヨウ素剤の配備についてです。昨年の12月議会に、「子どもと教育・文化を守る京都府民会議」の皆さんから、「学校教育に使用する食材の安全、府内全地域への安定ヨウ素剤の配備など、子どもを放射能被害から守るために、各自治体に働きかけるとともに、府としての施策を講じること」という請願が出され、安定ヨウ素剤の配備については、委員会審議の中で、理事者から「国の指針を待つ」と答弁がありました。緊急被ばく医療に関する検討チームによる検討課題では、「服用の指示及び配布については、引き続き検討を要する」「事前に住民に個別配布することは、現行法制上の整理が必要であるが、厚生労働省と調整しつつ適切な方法を検討していく」と述べられています。その後、原子力規制委員会は1月30日に、原子力災害対策指針の改定案を示し、予防的防護措置を準備する区域(原発から5キロ圏内=PAZ)の住民に対して安定ヨウ素剤を事前配布できるよう体制整備することなどが盛り込まれ、全面緊急事態では、5キロ圏内だけでなく、必要に応じて周辺の住民に対し、安定ヨウ素剤の服用を行うとされています。また、緊急時防護措置を準備する区域(5~30キロ圏=UPZ)での安定ヨウ素剤の服用や、UPZ外でのプルームに対する防護措置に関しては、今後の検討課題となりました。
本府は、今年度中に30キロ圏内の住民全員にあたる13万4千人分の安定ヨウ素剤を舞鶴市民病院に併設している緊急時被ばく検査施設と綾部市民病院の2ヶ所に備蓄することになっていますが、これで、いざという時に、直ちに住民のみなさんに届けられるのでしょうか。新潟県柏崎市では市内39カ所の小・中学校などに事前に配備し、副作用の検査なども行っているそうです。少なくとも、5キロ圏内では、こうした対応が必要ではありませんか。
また、福島第一原発事故では、プルームの対応が必要な区域が50キロ程度であったとされています。少なくとも50キロ圏内の人々のために、安定ヨウ素剤を国の責任で準備するよう、求めるべきだと思いますが、いかがですか。

自主避難者を含めて、すべての被災者への支援を

【浜田】昨年6月に成立した「原子力事故による子ども・被災者支援法」にもとづく支援の具体化がすすんでいません。衆議院本会議の代表質問での答弁で安倍首相は、「政府としては、真に支援を必要とされる方に、適切な支援が行われるよう、基本方針の策定を進めているところです」と述べました。しかし、基本方針が決まっていないことを理由に、来年度予算案には支援法具体化の予算は計上されていません。一刻も早く、法に基づく基本方針を策定するよう、国に強く求めるべきではありませんか。
京都府内に避難されている人は、現時点でも744人おられますが、母子避難をはじめ二重生活を余儀なくされている方が多数であり、避難生活が長期になり、精神的にもかなり疲れてきている方も少なくありません。避難者からは、「低線量でも被ばくしたすべての人に健康診断を実施してほしい」「母子避難の家庭に、母子家庭と同じ支援を」「二重生活で、生活費に加え被災地との往復交通費の負担がたいへん。支援がほしい」など、切実な要望が出されています。昨年10月にまとめられた、京都府災害支援対策本部が行った府内の避難者へのアンケート調査結果を読ませていただきましたが、切実な声がたくさん寄せられていました。調査結果では、特に不安なこと、困っていることのトップは住まいの問題、2位は健康問題でした。とりわけ切実な二つの要望について京都府の対応をお聞きします。
一つは、昨年12月に京都府にも陳情書が提出されていますが、来年3月から順次終了する公営住宅の無償入居期間の延長を検討すべきではありませんか。
もう一つは、署名活動も始まっていますが、福島県が福島県立医大に委託して始まった甲状腺検査の手続きを簡素にするとともに、福島県民だけになっている対象を、自主避難者も含めて、希望者全員に広げるよう、国に求めるべきではありませんか。
【知事】原子力防災対策についてですが、16の初期被ばく医療機関では、患者の汚染を計測するサーベイメーターですとか、医療従事者の被ばく線量を計測するポケット線量計、除染や治療等に必要な防護衣などの資機材を配備したところでして、そうした中で関係機関、自衛隊とも連携しながら、適切な除染ができるように努力していきたいと考えております。
なお、京都府の緊急時の放射線検査施設においては、サーベイメーター等の資機材をストックしておりまして、緊急時には速やかに追加配備できる体制をとっているところであります。
また、こうした機器等は医療機関だけではなく、UPZ圏内の公共施設等には、簡易型放射性測定器の配備、原子力災害発生時に即時避難が困難な要配慮者が一時的に避難できる施設を確保するためにはPAZ圏内に近接をして立地をするコンクリートづくりの福祉施設については、窓の二重化、空気清浄機などの放射線量の軽減設備、そして迅速にスクリーニングが行われるよう、ゲートを歩いて通過するだけで自動的に放射線が測定できる可搬型ゲートモニターの配備などの予算、合わせまして4億8600万円を今議会にお願いしているところです。
安定ヨウ素材の配備については、京都府では専門家の意見を踏まえ、昨年3月にUPZ30キロとします原子力発電所の防災対策暫定計画を策定し、これに基づく安定ヨウ素剤の整備をすでに終えたところであります。今後、災害時に迅速に対応するため、各市町で保管していただけるよう調整を進めているところであります。
 また、安定ヨウ素剤の副作用に関する見解、PAZの安定ヨウ素剤の事前配布、50キロ圏の拡大については、原子力規制委員会で検討されていますが、早急に結論を出していただくよう、国に働きかけを行ってきているところであります。
原子力事故による「子ども・被災者生活支援法」についてですが、同法の施行後、ただちに全国知事会から、東日本大震災からの復興を促進するための提言を行ない、原子力災害による避難者の避難先での安定した生活及び、雇用の確保など総合的に支援するための方策を明確にし、速やかに実行すること、避難先や自主避難かどうかを問わず、避難者が同様の支援措置を受けられるよう配慮することなどを要請したところであります。
また、京都府が避難者の皆様の要望を把握するため、24年7月に独自に実施したアンケート結果を国に提供し、その対応を求めているところであります。
府営住宅等の避難者受け入れ住宅の無償入居期間については、当初一年でありましたが、23年の10月に2年に延長し、24年の4月には現地の応急仮設住宅と同様に3年まで延長するとともに、同年7月に全国知事会から国に対して、必要に応じてさらに延長する措置を講じるよう提言しているところであります。
 また、現地の復興状況から、福島県においても国に応急仮設住宅の供用期間について、さらなる延長を申し入れております。今後、こうした取り扱いも踏まえた対応を検討していきたいと考えております。
 甲状腺検査については、福島県が事業主体として実施されているところでありますが、京都府としては、府内に避難されている避難者の方々が、円滑に適切に検査が受けられるよう、今後とも福島県に働きかけてまいります。
また、原発事故による放射線被害の対応については、全国知事会から対象地域を限定することなく、健康への影響調査を国の責任おいて確実に実施することを要請しているところであります。
 今後とも国に対し、東日本大震災による避難者への総合的な支援が速やかに実施されるよう求めていきたいと考えております。
【浜田・再質問】お答えいただきましたが、二つの点について再質問させていただきます。
 一つは初期被ばく医療機関の問題ですが、私は、新たに初期被ばく医療機関に指定された病院の事務長さんにお話をうかがいましたが、「府から、再三研修の案内が来るが、交通費も病院持ちで、体制も必要なので、遠い所の研修は行けない」、「院内で学習会を持ったが『被ばく患者を治療したら自らが被ばくするのではないか』、『実際に被ばく患者にどう対応したらいいのか』など不安の声がたくさん出た」と話されました。府として、初期被ばく医療機関にした以上、府の責任で、こうした現場の声じっくりと聴いてそれに対応すべきではないかと思いますが、お答えいただきたいと思います。
被災者支援の問題では、衆議院予算委員会で、わが党の高橋ちづ子議員がみなし仮説住宅の延長を求めたのに対して、田村厚労相が「前向きに検討する。自主避難者も同じような扱いで検討する」と述べています。新聞報道によりますと、厚生労働省は、復興住宅建設が遅れているため、仮設住宅入居期間を1年延長する方向で検討に入ったようです。国のこの方向に準じて、公営住宅の無償期間の延長をぜひとも検討すべきだと思います。
以上の点について再答弁をお願いいたします。
【知事・再答弁】まず、医療機関についてでありますが、先ほど申し上げましたように、今予算におきましても、きちっとした対応を支えるべく、いま設備のほう、または機材のほうの配備についてお願いしているところであります。これからも、研修等もしっかりと現地でも行えるようにしまして、不安の内容に取りはからっていきたいと考えております。
それから(公営住宅の入居期間については)国のほうで、先ほどお答えしたように、今後もこうした国の取り扱いを踏まえた形で、私どもも検討していきたいと考えております。
【浜田・指摘要望】被災者支援の問題で、ひとことだけ言わせていただきたいのですが、私は先日、茨城県水戸市から北区に母子避難されている方のお話を聞き、避難者の方がまとめられた「避難移住者たちの手記」というのを読ませていただきました。もっとも多かったのが、「福島だけでなく、関東でも初期被ばくを受けている人たちがいます。補償や支援を福島だけに限定するのはおかしい」という声でした。知事も国に要望されているようですけれども、国と東電の責任で、原発事故によって被害を受けたすべての被災者への補償と支援を行うよう、強く働きかけることを要望しておきます。

京都南部の医師・看護師不足の抜本的打開策を

【浜田】次に、京都府保健医療計画(案)をふまえ、京都南部の医療体制についてお聞きします。
府内の2次医療圏ごとの人口10万人当たりの医師数は、丹後医療圏152.6人、中丹医療圏209.2人、南丹医療圏170.2人、京都・乙訓医療圏359.2人、山城北医療圏164.9人、山城南医療圏129.2人となっています。京都・乙訓医療圏では、全国平均の1.6倍なのに対し、全府最低の山城南医療圏は、全国平均の0.6倍です。また、人口10万人当たりの看護師数は、山城北医療圏が817.3人、山城南医療圏が582.1人で、京都府の1090.7人を大きく下回っています。
先日お会いした公立山城病院の院長さんは、医師はもとより、看護師不足がいっそう深刻だとおっしゃっていました。京都南部の医師・看護師不足の実態は深刻です。そのことは、計画案を議論した医療審議会でも審議委員から、「京都府全体では、医師数は増えているが、京都・乙訓圏に集中している」「南部の医師確保対策はどうなのか」などと指摘されています。
京都南部も医師・看護師確保が困難な地域と位置づけるべきではありませんか。京都府は、南部は、隣接する京都・乙訓医療圏の医師数が足りているから良しと考えているかもしれませんが、京都・乙訓医療圏も、開業医は足りていても勤務医は足りないのが現状ですし、いざという時に、京都市内や他府県の病院に頼らなければならないようなことにならないように、医療は二次医療圏内で完結させるべきではありませんか。お答えください。

子どもの命にかかわる小児救急医療体制の改善を

【浜田】計画案では、小児救急体制を連日確保した医療圏を5圏域から全圏域に広げることが目標になっていますが、山城北医療圏や山城南医療圏のように広い圏域で2病院で対応している現状のままでは、改善になりません。私は、一昨年及び昨年の決算特別委員会で連続してこの問題を取り上げました。昨年の決算特別委員会では、山城北医療圏の小児救急医療の利用者は8639人で最大なのに、宇治徳州会病院と田辺中央病院の2病院で対応しており、無理があること、八幡市では、深夜に子どもが急病になると、田辺中央病院や枚方市民病院に連れていかなくてはならない状況が続いており、八幡市内に当番病院をという要望にこたえるべきではないか、とただしたところ、理事者からは、「八幡の男山病院の体制が整えば輪番に加わってもらえるようにと考えている」との答弁がありました。しかし、男山病院の現状をお聞きすると、小児科医不足のために、外来だけで、入院は受け入れていないとのことで、とても小児救急病院の輪番に手を上げる状況にありません。こうした、小児科医不足の現状を打開するための具体的な支援こそ求められているのではありませんか。いかがですか。
山城南医療圏でも、公立山城病院と学研都市病院の2病院で小児救急医療に対応していますが、土日祝日だけで、平日の夜は受け入れていません。公立山城病院の院長さんのお話では、学研地域では人口急増もあって、小児科の開業医が増えており、1次救急に対応してくれているそうです。しかし、計画案では、平日夜も含めた連日の輪番制にする目標になっており、また、地域が広大であり、現状で対応できるのでしょうか。輪番病院を増やすなど、具体的な対策は検討されていますか。

深刻な産科医不足への抜本的対策を

【浜田】次に周産期医療についてお聞きします。
中間案の段階では、産婦人科・産科医師数が全国平均値を上回る医療圏を2圏域から3圏域にするという目標でした。これでは、産科医不足が深刻な山城北医療圏や山城南医療圏は現状のままになるではないかと、12月の少子・高齢化対策特別委員会で、私がただしたところ、「できるところからすすめていく」との答弁でした。しかし、小児救急医療についても、周産期医療についても、子どもの命に関わる問題であり、できるところからではなく、すべての医療圏で直ちに改善が必要だと求めたところ、最終の報告案では、全医療圏を目標にすることに改善されました。
しかし問題は、この目標が実際に達成できるのかということです。京都南部の産科不足はほんとうに深刻です。とくに城陽市では、長年にわたって市内で分娩できる産婦人科がない状況が続いているもとで、市として、昨年の4月に「産婦人科医院開設事業費補助金交付要綱」をつくりました。これは、産婦人科医院を開設するために必要な経費の2分の1、上限6千万円を単費で補助するというものですが、現時点でも、まだ開設には結びついていないそうです。城陽市のように苦労されている現状に対して、府としてどういう認識をお持ちですか。具体的な支援策は検討されていませんか。
報告案では、「産科医の安定的、継続的な確保と地域偏在の解消が大きな課題」として、対策の方向として、「京都府地域医療支援センターや地域医療確保奨学金制度の活用」ということが示されていますが、これまでもこういう取り組みでも改善ができなかったわけで、これで現状が打開できるとお考えなのですか。お答えください。
【健康福祉部長】府保健医療計画を踏まえた府南部の医療体制についてでありますが、京都府はこれまでから府立医科大学や地域の拠点病院と連携して、全力をあげて医師確保等に取り組んできたところです、この結果、山城南医療圏の医師数は、平成22年には148名と約10年前の平成14年に比べて、1.48倍に増加しております。また、看護師も増加しております。
 今後とも京都府地域医療支援センター(KMCC)により医師確保等の取り組みをいっそう強化し、基本的な医療は2次医療圏内で完結できる体制の整備をめざしてまいりたいと考えております。
 また、全国的に小児科医師の確保が困難となる中、京都府では小児科への誘導を促進するため、地域医療確保奨学金制度の充実を図り、山城北医療圏の小児科医師数が増加しているところであります。
また、同医療圏の小児救急医療体制については、宇治徳州会病院と田辺中央病院の二病院の輪番制により、365日の受け入れ体制を確保しており、さらに平成24年3月に、徳州会病院を救命救急センターに指定し、小児救急を含む救急医療体制全般の強化が図られたところであります。
また、山城南医療圏の小児救急医療体制については、公立山城病院及び学研都市病院の輪番制により、土日、祝日の受け入れ体制を整備し、くわえて、昨年6月からは、相楽休日応急診療所小児科が設置され、地域診療体制のいっそうの充実が図られたところであります。
 平日夜間の受け入れ態勢については、引き続き府立医科大学に働きかけ、対応できる病院や医師の確保に努めていきたいと考えております。
 また、産婦人科医師が全国的に減少し、その確保が困難となるなか、城陽市の産科誘致助成制度など市町村でも独自の取り組みが進んでおりますが、京都府としては、こうした市町村の独自事業を積極的に情報提供するなど、しっかりと支援していきたいと考えております。
 また、これまでから、地域医療確保奨学金制度の充実を図るとともに、そして21年度から、分娩手当事業を実施するなど、産婦人科医師の確保に努めてきたところですが、来年度から新たに女性医師の離職者防止や再就職を支援する助成制度を設けることとし、今後とも全力をあげて、産婦人科医師の確保に取りくんでいきたいと考えております。
【浜田・指摘要望】ご答弁いただきましたが、医師数や看護師数が増えているというけれども、実際には人口10万人当たりの医師数も看護師数も京都南部は最低という状況は続いておりますし、先ほどの小児救急医療についても、二病院では本当に大変になっているというのが、現状だということを是非認識していただきたいと思います。
京都府の医療体制を考える時に、一番大事なことは、住んでいる地域によって命の格差があってはならない、ということだと思います。京都南部の小児救急医療と周産期医療については、子どもたちの命に関わる問題であり、いざという時に、京都市内や他府県に頼らざるをえず、手遅れになるような事態は絶対にあってはなりません。二次医療圏内で完結できるように、京都府として対策を具体化するように、強く求めます。

地域における小水力発電のとりくみに支援を

【浜田】最後に、地元北区における小水力発電のとりくみについてです。
柊野ダムに小水力発電装置を設置して、柊野公園周辺の照明に活用を、という運動が起こっています。1月20日には、関西広域小水力推進協議会主催の学習会も行われ、「柊野ダムに小水力発電を」と運動されているみなさんから、柊野ダム周辺の水路事情やとりくみの現状について報告があり、意見交換が行われました。
また、小野郷では、伏見工業高校のみなさんと住民のみなさんが連携して、農業用水を利用した発電の取組みが始まっています。農業用水を使った発電機を伏見工業の生徒たちが作成し、つくられた電気を鳥獣害対策の電気柵の電源に利用しようというものです。
国においては、農水省の補正予算で、農業水利施設の適正な維持管理を確保するため、用水路の落差等を活用した小水力発電の導入を促進するとして、「小水力等再生可能エネルギー導入推進事業」1億2000万円が計上され、経済産業省の来年度予算では、「小水力発電導入モデル事業費補助金」20億円が入っており、自治体や発電事業者等が試験設備を用い、実用化に向けて共同で行う実証事業を支援するとしています。これらも活用して、地元業者にも仕事がまわり、地域コミュニティづくりにもつながる、地域の小水力発電のとりくみを支援すべきではありませんか。
【文化環境部長】京都府内におきましては、さまざまな地域で住民の皆さんの主体的な活動により、小水力発電の取り組みが進んでいるところであります。
 小水力発電は、個々のエネルギー量は大きくはありませんが、地域コミュニティーの再生や活性化に役立つとともに、住民の皆さんが地域の資源を見直し、自らエネルギーをつくり出すという行動を起こしていただくことになります。事業者の側からの新しいエコエネルギー社会の構築につながることが期待されています。
 このため、京都府ではこれまでから、小水力発電を活用して獣害防止電気柵を設置したり、地域の名勝をライトアップする取り組みなどに支援を行なうほか、地域力再生プロジェクト支援事業を活用して、小水力発電を使った環境学習や地域おこし事業を支援しているところであります。
 今後とも、市町村やNPO等関係団体とも連携して、地域の特性に応じた小水力発電の取り組みを支援していきたいと考えております。
【浜田・要望】私の認識と一致していると思うのですが、是非、力強く支援していただきたいと思います。国では、一級河川においても指定区間内の水力発電の水利使用は都道府県知事の許可で行えるように、河川法施行令が一部改正される動きがあります。京都府がより積極的に小水力発電の促進にとりくむよう、強く要望します。
最後に、本日は、府民の命と暮らしに関わる問題について質問しました。今議会に提案されている補正予算及び来年度予算が、府民の命と暮らしを守る課題に、重点的に配分されることを強く求めて、私の質問を終わります。

山内よし子(日本共産党、京都市南区)2013年2月27日

生活保護制度における基準引き下げや人権侵害等をやめさせるよう、国に強く求めよ

【山内】日本共産党の山内よし子です。通告に基づいて、知事ならびに理事者に質問します。
最初に生活保護についてです。先日知事は生活保護基準の引き下げについて馬場議員の質問に対して国が責任を持ってナショナルミニマムとしての生活を保障すべきであること、また慎重な見直しをするよう求めていると答えられました。現在70歳以上の1人暮らしの方の生活保護基準は住宅扶助を除くと京都市内で約77,000円、町村部なら60,000円ほどで、しかも預貯金などもなくなってからの保護受給なのでぎりぎりの生活です。知事はこの金額について高すぎるとお思いですか。これ以下に引き下げて人間らしい生活が送れるとお思いですか。お答えください。
政府は生活保護については基準を引き下げるだけでなく、保護制度の改悪にも踏み出そうとしています。とりわけ就労指導を強化し、稼動年齢層を生活保護から締め出そうとしていることは重大です。
生活保護受給者にしめる「稼動年齢層」は17%に達しているとのことですが、こうした方々の中には障害者手帳は取得していなくても身体疾患や精神疾患、発達障害などを抱えている人も含まれており、さらに半数以上は50代から60代です。しかも京都府の有効求人倍率は昨年11月で0.8、正社員ではわずか0.58倍ですからそもそも雇用の空きがありません。
私どもが行ったハローワーク前の調査には生活保護を受給しながら求職活動をされている方々も何人かおられました。40代の独身男性は、7年間、長時間拘束の不規則な勤務につき、身体を壊して退職。治療中のためなかなか仕事に就けないと語ってくださいました。
 就労支援についてはあくまでも働く権利を保障する観点からの支援が必要であり、「期限を切った集中的な就労支援」を行うなど、保護受給者を追い込むような方法はとるべきではないと考えますがいかがですか。
また中間的就労の推進などについても議論されていますが、そこで社会的な居場所ができたり、働く喜びを感じることができるようになることは必要ですが、昨年9月に示された国の「生活支援戦略に関する主な論」、(案)は「低額・短時間であってもまず就労すること」と月5万円程度の収入をイメージして厳しい就労指導を行うとしています。低額短時間でもまず就労、と厳しい就労指導をしながらその一方で労働基準法の適用を受けない「中間的就労の場」を広げていけば、実態は雇用に近い形であっても、訓練や居場所、ボランティアの名目などで、実質的な労働を最低賃金以下で担わされる危険性があり、日本の雇用と労働の質の底まで抜けてしまうのではありませんか。知事の認識を伺います。
次に現に起きている申請権の侵害について伺います。
厚生労働省は1981年に暴力団の不正受給を防ぐという名目で、123号通知という課長通知を出しましたが、真の狙いは戦後の福祉国家を解体し、社会保障を抑制するために、当時増えつつあった生活保護をむりやり減少させることでした。申請時に白紙委任状を提出させ、金融機関や扶養義務者の調査を歯止めなく強化した結果、全国各地で「水際作戦」といわれる、申請にいたる前段階での追い払いが日常化し犠牲者が相次いだのです。
こうした中で被害者や遺族が裁判に訴えて次々と勝利し、当事者も含めた運動の中で、国も2006年に「申請権を侵害しないことはいうまでもなく、侵害していると疑われるような行為自体も現に慎むべきものである」とする手引きを出さざるを得なくなりました。
しかしその手引は「生活保護行政適正化の手引き」であり、その中には「調査指導の徹底」「指導指示から保護廃止へ至る手順マニュアル」など、いかにして生活保護を切り捨てるのかが示されています。法律自体は変わっていないのですが、運用によって保護の切り捨てが求められてきたのです。

舞鶴市の申請権を侵害する対応について、保護の開始時期を遡及するよう求めよ

 こうした中で、京都ではこの間宇治市や舞鶴市、など府内の福祉事務所で重大な生活保護の申請権の侵害が相次いで起こったのです。
50代のYさんは、8年前にC型肝炎に感染していることがわかり、病気と闘いながら働いていましたが、病状が悪化して2011年6月に会社を退職。雇用保険が切れてから1日2~3時間のアルバイトで生活をつないでいましたが生活に困窮し、昨年4月9日に「生活保護をお願いします」と福祉事務所にいかれました。しかし舞鶴市は、就労指導をして追い返し、その後「非代謝性C型肝硬変・食道静脈瘤により自宅療養と内服による継続的治療が必要」との医師の診断書も持って3回福祉事務所に行きましたが、そのたびに1時間でも2時間でも働けと言われ、申請用紙は交付されませんでした。5回目の昨年6月21日にやっと申請用紙が交付され、その日から保護が開始されましたが、この間病院の受診もできず、薬の服用も出来なかったのです。侵害された申請権と健康被害は回復していません。
Yさんは昨年8月に、保護申請の意思を最初に示した4月9日に申請日をさかのぼるよう求めて、京都府に審査請求を提出しましたが、今年1月22日に知事は請求を棄却されました。
私は先日Yさんにお会いしてお話を伺って来ました。Yさんは「働けといわれるばかりで、少しでも仕事をすることが生活保護を受ける条件なのかと思った。いくら仕事を探しても、腹水のたまった状況で雇ってくれるところなどなかった」とおっしゃいました。
 支援団体からの要請などに基づき、本府はこの間舞鶴市などに特別監査に入り、Yさんの件について「法制度に根拠のない対応を行い、重ねて申請権を侵害する対応」と厳しく指摘していますが、それならば、本来4月9日に口頭での申請があったと考えるべきですがいかがですか。また保護の開始時期について、当初の申請意志を示した4月9日に遡及するよう舞鶴市にもとめるべきではありませんか。
 Yさんのこうむった被害は保護の入り口での権利侵害であり、患者団体が連絡を取らなければ最悪の事態を招いていた可能性もあったのです。こうした事態を二度と起こしてはならないのです。
私は2011年の12月の委員会で、「生活保護を受給する稼動年齢層を中心に3年間で5000人を目標として個々に応じた自立を実現できるようにする」とした本府の数値目標について、こうした目標をたてることそのものが府内の市町村で申請権の侵害を生み出すことになると指摘してきました。京都生活就労一体型支援研究会の審議の中でも数値目標について懸念が示され、「外していただきたい」との委員の意見も出されていたものです。改めて本府の3年間で5000人という自立目標については撤回すべきです。いかがですか。
また本気で生活保護における人権侵害や申請権の侵害をやめさせようと思うのならば、国に対して123号通知を廃止し、生活保護行政の適正化の手引きについても、抜本的に改善するよう強く求めるべきと考えますがいかがですか。
【知事】ご質問にお答えします。生活保護の基準についてでありますが、これは現在国においても、客観的な検証の元、基準の見直しに努められているところです。それはこの制度自身が、国が責任をもって生活保障すべきものであり、ナショナルミニマムと言う問題であるからであります。ですから京都府としましては、今回の見直しに当たりましても、財政的観点だけでなく、国民最後のセーフティーネットとしての役割を果たすことができるものとなるよう、慎重な見直しを国に対して繰り返し要請しているところであります。
生活保護受給者の就労支援につきましては、働きたい、働けるのに仕事がない、と言う方がたを、これを就労に結び付けてゆくことは、これは本人にとっても、また私たち社会にとっても大変重要なことであると考えています。
国の制度見直しは、まさにこうした受給者が、主体的に就労活動に取り組む場合を前提に、より積極的な支援ができるようにするものでありますので、京都府と致しても、更にインセンティブを強化するなどの必要な制度改善を国に求めてまいりたいと考えております。
中間就労につきましては、直ちに就労が困難な方が、必要な支援のもとに、仕事や社会に少しずつ慣れてもらう、こうした取り組みが、現実的には今必要になっているところです。議員がおっしゃっているような安価な労働力を生み出すための制度ではございません。京都府ではこれまでから、民間企業と受給者が雇用契約を結び、きちんと賃金を得ながら働くことへの自信を取り戻す、ジョブトライ事業を実施するとともに、国に対して、一般就労に至るまでの受け皿として、中間的就労の仕組みを制度化するよう、要望してきたところです。
現在国の生活困窮者等の就労支援に関する検討会の場において、中間的就労に関わるガイドラインの策定の作業が進められておりますが、京都府としましても、適切かつ実効が上がる中間的就労となるよう、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
【健康福祉部長】生活保護についてでありますが、生活保護の審査請求の件については、生活保護法に照らし、違法又は不当な点がないか、慎重に審査を行い、裁決したものであります。
また、京都生活就労一体型支援政策研究会の提言を踏まえて掲げた5000人の目標につきましては、生活保護受給者等が抱える課題に応じて、一般社会とのつながりをとりもどす生活支援から就労支援に至るまで、幅広く支援してゆくために設定したものであります。
京都府としましては、京都就労自立サポートセンターを設置し、社会的な居場所づくりや、就労体験、ジョブトライ事業など個人の状態に応じて、きめ細やかな支援を行い、2年足らずで約3000人の方々を支援して参りましたが、今後とも目標達成に向けて、全力でとりくんで参りたいと考えています。
生活保護制度の適正化については、不正受給などの問題事例には、厳正に対処すると同時に、本当に生活保護が必要な方が受けられないと言ったことがないよう、引き続き適正な運用に努めてまいります。
【山内・再質問】生活保護基準引き下げの問題ですが、すでに国は予算案をしめして、引き下げの基準も示されています。府民生活にも非常に大きな影響を与える基準引き下げの問題ですから、明快に御答弁いただきたいと思います。子ども2人いる世帯で2万円もの保護費が削減されることも示されていますが、これでナショナルミニマムとしての役割を果たせると考えておられるのか。 もう一度ご答弁を。
もう一点は舞鶴の問題ですが、審査請求のことは何も聞いてないですよ。生活保護の申請の拒否事
案について、これまで京都府は特別監査を実施して、いろいろ指摘してきました。そこについて生活保護の申請が、4月9日に口頭であったと考えるべきと思うがどうなのか、そうであれば舞鶴市に対して、保護の開始日を遡及すべきだ、求めるべきではないかという質問ですから、もう一度ご答弁を。
【知事・再答弁】生活扶助の基準につきましては、これは総合的にきちんと調査をして決めるべきものでありまして、食事や什器費、水道・光熱費といった日常生活費の水準を含めて、しっかりした第三者委員会が検討して決めるべきものでして、知事が個人的にこれは高いとか低いとか言って考えるものではありません。これはそういったシステムになってしまえば、まさに独裁ですから、それは、私はおかしいと思います。ですから社会保障審議会の生活保護基準部会において第三者的な専門家の皆さんがしっかりと検討して、それに対して私たちは、慎重に審議していただきたいということを申し上げているわけです。
【健康福祉部長】舞鶴の審査請求の件につきましては、先ほどお答えしました通り、法に照らしまして、慎重に審査を行い適切に採決したものであります。
【山内・再質問】国の部会では基準を引き下げるという議論は全くなかったんです、極めて政治的な判断で生活保護の基準の引き下げが出てきたわけですから、知事としてはしっかりと意見を言っていただきたい。
あと、部長の答弁ですが、申請権侵害の問題ですが、私は通告でそんな通告はしていないですよ、審査請求については一切言ってないです。申請権の侵害について、舞鶴市はきちんと遡及するように、保護の申請日を遡及するように求めるべきと言っているんですよ。なぜお答えしないのですか。もう一度お答えください。
【健康福祉部長】舞鶴等につきましては、京都府に審査請求をいただいており、私どもは京都府と
して慎重に審査を行い、適切に採決したものであります。
 *「議長、議事進行」と加味根議員。
【加味根議員】ただ今の件ですが、山内議員は事前に質問通告によって答弁を求めているものです。
その質問にまったく答えないというのは異常ではありませんか。明確に答えていただきたいと思います。
【健康福祉部長】山内議員のご質問ですが、私どもは、申請者が提出された生活保護の開始時期に関わり、審査請求を京都府は拒否しているが、生活保護の意思を最初に示した4月9日に生活保護の申請があったと考えるべきであるというご質問ですから、私どもは審査請求を踏まえまして、慎重に審査した結果、適切に採決したものであります。
【山内・指摘】きちんと本当に答弁していただきたいと思います。申請権侵害の問題ですが、次々と起こるわけです。京都府がいろいろ監査に入ったり、指導に入ったりしても次々起こる、これ申請権の侵害を本気でなくそうと思っているのか。と指摘をしたいと思います。時間の問題もありますので、次の質問に移ります。

京都府の高齢者の介護保障と地域包括ケアは、給付費の抑制や施設から在宅へという国の改悪の流れに沿ったもの

【山内】さて国は生活保護の改悪を突破口にして、そのあと医療や介護の大改悪を狙っています。そこで次に高齢者の介護保障と地域包括ケアについて伺います。
これまで知事は、国の地域包括ケアは給付費の抑制だが京都はぜんぜん違うとおっしゃってきました。しかし本府の地域包括ケア構築の必要性を示す問題意識は厚労省の問題意識と同じです。
2025年には団塊の世代が後期高齢者になるために、在宅療養を支える資源の整備を急ぎ、医療・介護・福祉の連携体制を作るとしています。そしてその中身は施設から在宅へという国の流れに沿ったものになっているのではないでしょうか。
 本府の地域包括ケアの目玉としておられる、在宅療養あんしん病院登録システムは、在宅療養中の高齢者が体調を崩して在宅での対応が困難になったっときに、事前に病院に登録しておいて、スムーズに入院し、1週間程度で退院するというシステムです。しかしこれまで地域の開業医や診療所はすでに在宅療養を支え、病院とネットワークを構築し営々と努力をされてきたのです。しかも登録していてもベッドが空いていなければ入院できないのは当初からわかっていることです。私どもは何件かの登録病院に話をお聞きましたが「日常的にベッドは満床で、登録していただいたからといって、入院できるわけではない」との声も寄せられました。
昨年の4月からこのシステムが稼動していますが、地域包括ケア推進機構に伺いますと、昨年10月時点の登録者は約3000人で、そのうち400人が入院をされたとのことですが、この制度を利用しての入院かどうかは把握ができないとのことです。また、登録は3病院まで可能ですが、どこも満床であれば一体誰が責任を持って調整するのでしょうか。「登録すればすぐに入院できる」といいながら、結果として施設から在宅へと高齢者・病人を病院から追い出す出口としての仕組みを構築し、調整するのは医療機関や地域包括支援センターなどで、現場に責任と負担をおしつけるものではありませんか。お答えください。
国は医療だけでなく「できるだけ在宅で過ごしたい」というアンケート結果を利用し介護における施設整備も抑制しています。知事も昨年12月議会でわが党の西脇議員の質問に「在宅サービスの充実」を強調されました。しかし厚生労働省の考える在宅とは「住み慣れた自宅」ではありません。厚生労働省の委託を受けて2010年3月にまとめられた三菱UFJリサーチ&コンサルティングの地域包括ケア研究会の報告書では、2025年の高齢者の福祉サービス体制について、特養等の施設整備を抑制し、「高齢者向け住宅などを整備して必要かつ適切なケアを効率的に組み合わせて、サービスが外付けで提供される」イメージを示しています。要は、介護の必要な高齢者をワンルームマンションなどに集めて、そこで効率的に介護サービスを提供するというものです。ここには高齢者の生活保障や介護保障・住まいの保障といった概念はまったくありません。
そこでの高齢者向け住宅の中心は、サービス付き高齢者向け住宅ですが、京都市内のサービス付き高齢者向け住宅を調べてみますと、家賃と共益費で10万円をこえるのが一般的で、さらに安否確認などは1カ月3万円、食事の提供は4万円、介護サービスを利用するとさらに負担が生じるもので、資産や所得がないと入居できません。
 また施設も、さまざまな施設体系が作られてきましたが、負担が高くて利用できない人が多いのです。在宅も施設も高額の費用を負担できる人だけがサービスの提供を受けられるのです。昨年の決算委員会で、本府は特養の待機者6000人、京都市を除くと3080人のうち「特に入所が必要と思われる方が1400人」として、特養の申込者を線引きし、施設整備に真正面から向き合う姿勢を示されませんでした。
 一人暮らしで要介護5の寝たきりの方でも施設に入所できていません。しかし1日4回、30分ヘルパーが援助に入れば、それで介護保険の限度額はいっぱいになってしまうのです。 在宅・在宅と叫ばれながら在宅サービスも生活援助のヘルパーさんの時間短縮などで後退しています。これまでも何度も指摘しましたが在宅ではムリだからこそ、介護疲れによる殺人事件も後を絶たないのです。改めて特養の整備については待機者を線引きせず、市町村と協力して施設整備の努力をすべきです。いかがですか、お答えください。

現場への責任と負担の押し付けでなくしっかりとした恒久的な財源措置を

 また高齢者の在宅生活を支える要になるのが地域包括支援センターですが、そこでもすべて現場に負担がおしつけられ、大きな矛盾を抱えているのです。私はこの間何箇所かの地域包括支援センターを訪問し、お話を伺ってきました。「介護プランの作成で精一杯」「困難ケースが1件あれば丸1日その対応におわれる。」「ごみ屋敷などの苦情も寄せられ、時間がかかる」「休みも取れず、達成感も感じられない」など、本来自治体が担うべき高齢者福祉の責任を負わされ、しかも安い値段で委託されて現場からは悲鳴があがっています。地域包括支援センターの専門職員は自らを犠牲にしてがんばっていますが、この間民間委託の地域包括で少なくない職員が退職に追い込まれているのです。
本府は国の基金を利用して地域包括支援センターの機能強化費として23年度、24年度とそれぞれ予算を組み、センターに介護予防のマネージメントを担当する保健師等の専門職を配置するとしました。しかし緊急雇用対策の基金なので2年継続して雇用することはできません。しかも保健師さんは一人も配置されていません。
ある地域包括支援センターはこの予算を使って事務職1名を雇用されましたが、翌年度も継続されるかどうかわからない中で、人を増やして手をひろげれば、引き上げられたときに対応できないと半年で雇用を打ちきられたとのことでした。またとにかく大変なのでこのお金を使って雇用したが、利用者さんとの信頼関係があるので継続してきてほしいと思うがそういう使い方ができないという声も寄せられ、根本的な問題の解決にはなっていないことが明らかになっています。
京都府として府内の地域包括支援センターの実態を把握し、国に対してしっかりとした人員を配置できるように、恒久的な財政措置を行うよう求めるべきと考えますがいかがですか。
また本府として地域包括支援センターでこれまで雇用してこられた方々を、来年度以降も継続して雇用できるよう、支援すべきと考えますがいかがですか。
 またこれまで保健所や福祉事務所が、住民の生命と健康を守る中核として大きな役割を果たしていました。
ところがこの間、保健所が担ってきた高齢者の見守り機能や健康管理業務が次々と市町村や保険者に移管され、さらに介護保険制度が始まり、多くの自治体が高齢者福祉の業務を民間委託された地域包括支援センターに移管したのです。自治体の相談窓口の最前線で働いてきた保健師や医療専門職員も削減され、公的役割と責任が後退したのです。京都市が行った地域包括支援センターに行ったアンケート調査の中でも、「市の職員が直接支援する体制が必要」「福祉事務所の職員体制を厚くして巡回してほしい」などの声が寄せられています。
京都式地域包括ケアで示されているように、高齢者が中学校区ごとの日常生活圏域で介護や医療が必要になっても安心して暮らせるようにするためには、保健所や福祉事務所が公的機関として果たしてきた本来の役割を取り戻し、圏域ごとに介護や医療・福祉を必要とするすべての住民の要求を汲み取って制度利用につなげることのできる、専門性と権限をもった専門職を公務員として配置する必要があると考えますがいかがですか。
【健康福祉部長】介護保険と地域包括ケアについてでありますが、在宅療養あんしん病院登録システムは、在宅で療養される高齢者の視点にたって、医療福祉介護の各サービスを縦割りではなく、包括的計画的に支援を行う、京都式地域包括ケアシステムの基盤です。高齢者がいざという時に、速やかに入院でき、また、退院する際にもスムーズに在宅への復帰が可能となるよう、在宅療養中のご本人やご家族、また関係者の負担を軽減するなど、大変高い評価をいただいております。
京都府といたしましては、今後とも本登録システムの一層の充実を図るとともに、更なる制度の充実に努めてまいりたいと考えております。
特別養護老人ホームの整備につきましては、これまでから高齢者の方々の状態や意向を充分考慮し、市町村とも連携して、高齢者健康福祉計画にそって着実に整備してきたところであります。今後とも特別養護老人ホームの整備と併せて、認知症、グループホームなどの地域密着型施設につきましても、市町村と一緒に整備を進めるなど、高齢者のみなさまのニーズにしっかりと応えてまいりたいと考えております。
また、介護マネージメントを担う専門職の配置についてですが、今年度の緊急雇用対策基金を活用しまして41人の社会福祉士等の専門職等が配置されておりますが、本来は恒久的なものと考えており、必要な財源確保について、引き続き国に強く働きかけますとともに、当面は基金を活用して支援して参りたいと考えております。
高齢者がすみなれた日常生活圏域で、安心して暮らしてゆくためには、地域包括支援センターの機能強化が不可欠であり、そのため京都府では地域包括支援センターにおける、高齢者の総合相談窓口の強化や認知症対応力の向上、又関係機関のネットワーク化等の機能の機能強化等、必要な体制の整備が図られるよう、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
【山内・再質問】一点、再質問します。在宅療養あんしん病院についてですが、肺炎の疑いがある、あるいは脱水症の疑いがあるということで、少し入院をして検査をしてもらう、1週間程度で退院をする、そういうシステムだと思うんですが、実際に入院できないような場合は、一体最終的にどこが調整して、どこが責任を持つんですか。ここの答弁をお願いします。
【健康福祉部長】在宅療養あんしん登録システムについてお尋ねの件ですが、そういったご相談につきましては、京都府の地域包括ケア推進機構の方にご質問していただけましたら、職員がおりますので適切に対応していただける、いただきたいと思います。

国と自治体の公的役割と責任を果たすことこそ求められている

【山内・指摘】どこが最終的に責任を負うのかというのは不明瞭なわけで。在宅療養あんしん病院にしても、地域包括支援センターにしても、責任の所在がどこにあるのかと言うことが非常に不明瞭なわけですよね。包括支援センターの保健師さんは、在宅療養安心病院について「また地域包括支援センターが、私たちの知らない間に、概念図の中に勝手に位置づけられている。また仕事が増えるんじゃないか」ということを語っておられまして、「もうこれ以上仕事が増えてもできない」と悲鳴が上がっているのです。やはり、国の政策も非常に問題があると思いますが、国の公的責任を「公助」として自助・共助・互助の下に位置づけるのではなく、高齢者の介護保障について国と自治体の公的役割、公的責任をしっかり果たすということが求められている。このことを申し上げて私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

島田けい子(日本共産党、京都市右京区)2013年2月28日

府民のいのち守るため、知事は府社会保障制度の改悪中止を求めよ

【島田】日本共産党の島田けい子です。私は、先に通告しています数点について、知事並びに関係理事者に質問します。
1月20日、NHKが「衝撃・老人漂流社会」を放映しました。人生最後の時間を、住まいをなくし、病院や施設、シヨートステイを転々とするお年寄りたちの姿。安心して老後も過ごせず、安心して死ぬことも許されない社会。終の棲家はどこにあるのかと問いかけた衝撃の映像です。NHKの報道を待つまでもなく、私たちの周りでも介護心中や介護自殺など悲しいニュースがあとを立ちません。
私は、この間、訪問看護や介護の事業所にお訪ねし、お話をお聞きしてきました。どこに伺っても、同様に、「回復リハビリも療養病床も老人保健施設も特別養護老人ホームも満杯です。」「転々としている問に病状が悪くなり、入院の繰り返し」といった声や、「要介護認定4・5と介護度の重い方でも在宅で一人で暮らしておられる方がいまやあたりまえのようになっています。医療も介護も制限がり、利用料の負担で必要な介護が受けられない方がたくさんあります」とのことでした。
地域の老人福祉委員さんにお話を聞きますと、3つの町内で、平均30人もの一人暮らしの高齢者の見守り活動をおこなっておられ、最近でも、3人のお年寄りの孤独死に遭遇をしたとのことでした。ご遺体のそばでストーブが赤々と燃え、あわや大火事になるところだったとのことでした。「老人福祉委員の訪問対象ではないけど、老老介護の高齢世帯でも、気にかかるお宅があります。大変な世の中になったものです」と、強い不安を訴えられました。
歴代政権が医療福祉というと重荷のようにいって、必要な施設整備をおこたり、生きていくために必要な医療や介護を取り上げるなど、社会保障制度を貧弱なものにして格差と貧困を広げてきたのであり、その責任は重大です。
こうした中であるのに、政府は、お上には頼るな、家族で、地域で支え合いなさいとばかりに、国民の生存権を規定した憲法25条を事実上否定する「社会保障制度改革推進法」の具体化に躍起になっています。生活扶助費の削減等の生活保護の切り捨てを皮切りに、介護では、利用料の引き上げ、要介護度の低い高齢者のサービスを減らすなどの改悪や、医療では、風邪薬などの患者負担の引き上げ、患者追い出しにつながる入院日数の短縮、終末期医療の見直し等が矢継ぎ早に検討をされています。
1月21日、社会保障制度改革国民会議の場で、麻生太郎財務大臣が、「高齢者が、さっさと死ねるようにしてもらうなどいろいろ考えないと解決しない」等の暴言を吐き、国民の怒りをかっています。麻生氏の発言の意味するものが終末期医療を安上がりにするものであり、社会保障制度改革の本質、狙いが浮き彫りになりました。
70歳から74歳の医療費窓口負担の引き上げや、10月からは年金を3年間連続2.3%も削減することは7月の参議院選挙後に先おくりするなど姑息なやり方で批判をかわそうとしています。許すことはできません。
知事、京都府民の命を守る重大な責務を持つ知事として、こうした改革は中止をするよう発言すべきと考えますが。いかがですか。まず、お答えください。
【知事】社会保障制度改革について、少子高齢化の急速な進展、厳しい財政状況のもとで、これから安定的な財源確保と持続可能な社会保障制度の確立は大変重要な課題になっております。高齢化の時代にあっていかに社会を存続させるか、そして現役世代の割合が減るなかでどうやって福祉制度をしっかりと構成していくのか、この議論は避けて通れない大きな問題であります。
現在、具体策を検討するために昨年11月に社会保障制度改革国民会議が設置され、これまでに4回の会議が開催されました。その中で、知事経験のある元岩手県知事の増田委員など現場の状況を理解できる委員を通じ地方の意見を反映できるようお願いをしており、地方団体の意見をきちんと吸いあげた上で長い期間にわたって地域ごとに人口動態がどう変わっていくかをふまえた議論が必要といったような発言をしていただいたところです。こうした発言を受け、本日5回目の国民会議において全国知事会、全国市長会そして全国町村会との意見交換が行われることになっておりまして、全国知事会からは福田栃木県知事・社会保障常任委員会委員長が出席し発言をすることになっております。その中の発言の主な方向性としては「医療保険制度については、国民健康保険の構造的な問題を抜本的に解決し基盤強化を行うことが必要不可欠。それには一体改革による追加公費投入額では、これでは不十分であると申し上げておりますし、医療費の適正化、保険料の適正化、公費投入等をどのように組み合わせて持続可能な国民健康保険制度を実現するのか、国は方針を明確にすべきである。構造的な問題を解決したうえで国民健康保険の保険者のあり方についても検討すべきである。また、医療サービス提供体制については、より効果的かつ適切な医療提供のためには介護との連携が重要であり、地方と十分協議の上それぞれの主体が円滑に連携できるような制度構築に取り組むべきである。また、介護保険制度についても、地域包括ケアシステムをより有効的・効率的なものにするために中心的役割を果たすと考えられる市町村をはじめ関係機関と地域の実情を十分ふまえて推進することは不可欠である。」というような意見を述べる予定になっております。今後ともこの国民会議の議論に地方の意見を、現場の意見を十分に反映して安定した社会保障制度が構築されるように努力をしてまいりたいと考えています。
【島田・指摘要望】社会保障制度改革について、持続可能な制度と言いますけれども、地域が住民が持続不可能になる。医療難民、介護難民、漂流する高齢者がふえているのはなぜなのか、健康福祉計画とか介護事業計画とか様々に取り組んできたのに寝たきりの高齢者が増えているのはなぜなのか、分析が必要だと思うのです。自然現象ではありません。
2012年に診療報酬改定、介護報酬の改定がございました。一般病床も療養型病床も老人保健施設でも平均在院日数を削減をする圧力、そして患者追い出しが促進されております。特別養護老人ホームも軽度の入所者の報酬を引き下げ在宅へ追い出す患者追い出しや、介護が必要な方々、医療が必要な方々が追い出されているわけであります。在宅介護も介護報酬の大幅な削減が行われております。
今後、認知症患者もできるかぎり短い期間で退院をさせると、現在6カ月を2カ月に短縮する方向まで打ち出されております。
「地域の受け皿、自宅での介護支援が不足している現状でなし崩し的な退院促進は、医療難民、介護難民、認知症難民をさらに増やすものである」と医療関係団体も懸念を表明しています。
医療、介護の全面的な安上がり構想、これが麻生財務大臣の声に反映されているのではないかと思います。
今後もその方向を強化する大改悪を進めれば、犠牲になるのは府民、国民です。この改革のどこに、高齢者の自分の意志で選択可能な条件や、人として尊厳が尊重される保証があるのか。このように思います。
知事は、今も府民の苦しみの実態に心を寄せて、その立場から全国知事会長としても発言をしていただきたいと思います。要望をしておきたいと思います。

京都府保険医療計画(案)について

安心して入院治療できる医療の保障を
国に療養病床削減・廃止計画中止を求めよ

【島田】さて、改革の焦点は、医療・介護提供体制の抑制です。本府が策定した京都府保健医療計画案についてもそれが色濃く反映されています。
まず、必要病床数についてです。病床数の算定にあったて、国から、平均在院日数や病床利用率の係数が示され、今回は、介護施設で対応可能な数字は差し引きなさいとの通知がだされております。これらに基づいて策定された必要病床数は、5年後には療養・一般病床で、丹後で42床、中丹で403床など、合わせて1416床の減少、精神で340床も減少する設定となっています。今回の府の基準病床数の考え方について、まず、お聞かせください。
本府は、基準病床数は算定だけで、実際に減るわけではないとしていますが、国の医療費適正化計画や診療報酬や予算などで、政策的に誘導されてきたのが実際のところです。2006年の医療制度改革で、介護保険適応の療養病床を全廃し、医療保険適応の療養病床は25万床から15万に減らすとこが決定されましが、国民の怒りのもとに削減計画は凍結されていますが、撤回はされていません。
民間医療機関は診療報酬によって、公立病院は、財政健全化法に基づく、「公立病院改革ガイドライン」で、重点化・効率の名で病床削減が誘導をされてきました。本府は洛東病院を廃止し、舞鶴では病院再編で市民病院の大幅な病床削減が行われました。この10年間に6つの病院がなくなり、ベッド数も594床の減となっています。
政府は、今後、高齢化が一段と進む2025年をめざし、平均在院日数を現在の13日~14日を9日へ短縮し、医療・介護の連携と称して、地域へ在宅へと誘導し、医療・介護のベッドをあわせて60万床も減らす目標までしめされています。これらを具体化するのが今回の計画です。患者と家族に多大な苦しみを負わせる療養病床削減・廃止計画を中止し、診療報酬や負担増による患者追い出しをやめさせ、慢性期患者の医療も保障できるよう政策を転換することが求められていると考えます。こうした立場から国へ要請をしていただきたいと考えます。いかがですか。

二次医療圏ごとに地域完結の医療提供体制を

【島田】つぎに、具体的な中身のいくつかについて何点か伺います。
今回は、二次医療圏域は6圏域として変更はありませんでしたが、二次医療圏ごとに地域完結の医療提供体制が等しく構築されるという目標がありません。一例をあげれば、丹後医療圏では、脳卒中医療体制の急性期病院や心筋梗塞医療における回復期病院、急増するうつ病の専門的入院医療を行う精神科医療機関がありません。
また、医療、介護の人材確保をはじめとする医療提供体制の地域偏在、地域格差は府として解決が急がれる最も重要な課題ですが、これも、成果指標としてわかりやすい圏域毎の確保目標がありません。なぜ、目標がないのですか。その理由をお聞かせください。

北部医療センター与謝の海病院に脳卒中の救急医療、精神医療提供体制整備を

【島田】そして、この際、伺います。丹後医療圏で、現地では、脳外科医の確保で手術をできる体制を一刻も早く整備して欲しい。精神科も含めて舞鶴まで行かなくてもいい体制にして欲しいと切実な声が上がっています。脳卒中の救急医療や精神医療提供体制について4月から再出発する北部医療センター与謝の海病院に責任もって整備することが必要です。知事の決意をうかがいます。

京都市・乙訓医療圏の協議会を開催し、地域課題を明確にせよ

【島田】この間、二次医療圏域単位で保健所を中心に保健医療協議会が開催され、地域における主な課題がまとめられました。その内容について公開し、パブリックコメントなどで府民の声を聞くべきと考えます。さらに、今後も、日常的にこの協議会が開催され、住民ニーズの把握や地域課題の解決に向けて役割を発揮できるようすべきと考えますが、いかがですか。
その点で、京都・乙訓医療圏の地域保健医療協議会には、京都市や市内の医療関係者が参加しておりません。この理由はなんでしょうか。現在、京都市では、京都市身体障害者リハビリテーションセンターの機能業務縮小へ検討を進めています。180日を超えてリハビリが必要な人や京都市内で受け入れ先のない脊髄損傷の患者さんを受け入れるなど重要な役割を果たしている病院です。総合的なリハビリテーションセンターとしての機能を充実すべき施設です。こういう重大問題について、常任委員会でも、理事者は新聞報道で見た程度の認識でした。市内行政区間でも地域偏在がすすんでいるなど課題もあります。政令指定都市であっても、医療提供体制等に関わる責任は京都府にあると考えます。本府として、京都市・乙訓医療圏の協議会を開催し、地域課題を明確にすべきと考えます。いかがですか。
【健康福祉部長】京都府保険医療計画について、今回の基準病床については国が示した新たな算出基準に基づき地域医療の更なる充実を図る観点から、医療関係団体等の御意見も十分お聞きする中で府民の皆様に安心した医療提供体制が確保できるよう、基準病床数から差し引くこととされている介護施設での入所可能定員数を二分の一にとどめ必要な病床数の確保を図ったところです。
 また、療養病床については、京都府は医療療養病床よりも介護療養病床が多い等の特性を有しているため、まずは受け皿の整備を先行すべきとの立場から、この間、国に対して介護療養病床の廃止の撤回を強く申し入れてきたところです。この結果、昨年度の法改正により平成29年度まで6年間廃止の延長がなされたところでありますが、今後とも国に対して明確に廃止の中止の方針を打ち出すことが、併せて診療報酬や患者負担等の医療保障の制度設計にあたっては、必要な医療が確保され、また低所得者の医療費負担が過重なものにならないよう強く求めているところです。
 また、二次医療圏は一般的な入院医療の整備を図るため、人口や面積等の他、通勤・通学等の日常生活圏域など総合的に勘案し設定しており、医師や看護師等の医療従事者の確保が難しくなる中、各圏域ごとに医師数等の数値目標を設定することが困難でありますが、京都府としては京都府地域医療支援センターKMCCの医師確保等の取り組みを充実するとともに、本年4月に開設される北部医療センターの医師派遣機能の強化、さらにはナースセンター事業や各種の奨学金制度を積極的に活用し、各医療圏域で医療人材の確保や偏在の改善にむけて全力あげて取り組み、基本的な医療は二次医療圏で完結できる体制の整備を目指してまいりたいと考えています。
 丹後医療圏における脳卒中の救急医療体制や精神科医療体制について、府立与謝の海病院では、これまでから丹後地域の中核病院として脳卒中などの救急患者についてしっかり対応してきたところです。緊急の手術が必要な場合についても舞鶴医療センターとの緊密なネットワークにより、365日いつでもすみやかに対応できる診療体制を整えているところであります。
 附属病院化での北部医療センターでは、救急室の拡充や地域医療学センター等を設置するなど救急体制を一層充実し、これまで以上にさらに高度な医療を提供できる体制を整備してまいります。
 また、精神科医療体制については、府北部地域の精神科地域医療の充実を図るため、来年度から新たに舞鶴医療センター、もみじケ丘病院、東舞鶴医誠会病院の3病院の輪番制により夜間休日の精神科救急医療体制を整備することとし今議会に必要な予算をお願いしているところであります。
 京都府保健医療計画について、今回の計画は各圏域の地域保健医療協議会において議論された課題や対策もふまえて策定したものであり、本計画はすでにパブリックコメントを実施し広く府民の御意見お聞きしているところです。今後とも各圏域において地域保健医療協議会を定期的に開催し、地域の課題や対策について十分御意見をうかがいながら課題の解決にむけて取り組んでまいりたいと考えています。
 また、京都・乙訓医療圏の地域保健医療協議会は事務局の乙訓保健所管内の市長や医療関係者に交渉しておりますが、京都市域の課題や対策については計画策定をする際に、府市協議の場を設け十分に意見交換を行うとともに、精神疾患支援や肝炎対策等のワーキンググループには京都市からも参画いただき京都市内の課題も盛り込んだ計画を策定したところです。今後とも府市協調のもとで京都市とも十分に連携を図り、京都府保健医療計画をしっかり推進してまいりたいと考えています。
【島田・再質問】二次医療圏問題で、基本的な医療は完結できるようにとお答えがございました。与謝の海病院の脳神経外科体制について、2009年の定例会本会議場この場で、自民党の巽議員や我が党の梅木議員の質問に対して知事は、「一刻の猶予も許されない思いで、府立医科大学等と鋭意調整して外来診療を再開し、入院、手術等を含む本格的な脳外科診療が可能な体制をつくるよう全力を尽くす」とお答えになっております。この答弁の立場に、現在は立てないということですか。知事、この点は知事のお言葉をいただきたいと思います。
当時8439名の署名をもって丹後からおこしになられましたこの皆さんの願いは今でも痛切な願いであります。ぜひとも整備の方向をお聞かせいただきたいと思います。
【健康福祉部長・再答弁】丹後圏域におきます脳卒中の救急体制や精神科体制については先ほどご答弁させていただいたとおりです。

切実な現場の声にこたえる看護師確保対策を

【島田】次に、看護師確保対策について、伺います。
計画では、府内の看護職員の就業者が30467人で、全国平均を上回っている。地域偏在があるとしていますが、現在の深刻な看護師不足の現状認識が欠落しているのではないでしょうか。
日本看護協会が2011年病院看護実態調査を発表していますが、回答があった京都府内82の医療機関で常勤看護師の離職率は11.2%、新卒では8.3%にも上り、全国平均を上回っています。全国的にも通算経験3年、5年の離職率が12.8%、12.6%と全体よりも高く、1カ月以上の長期病気休暇取得の3分の1の方がメンタルヘルスの不調であり、20歳代が半数近くを占める事態になっています。
長時間過密労働や妊娠中でも夜勤に従事せざるを得ない職場がまだ残され、3人に1人の看護師が切迫流産を経験し、10人にひとりが流産するなど、命を支える現場で、尊い赤ちゃんの命が奪われ、若い世代の命と健康が脅かされているのです。
先日、現場のみなさんに話を聞きました。5歳と3歳のこども二人を育てながら働いている看護師さんは、「日勤を終えて、夕食をつくりこどもをお風呂に入れて、2時間の仮眠を取るか取らないかで、そのまま0時からの深夜勤務です。三交代なのに、日勤の残業は8時、9時までになることもあります。12月には、二人の子育て中の同僚がやめていきました」「みんな疲労困憊で余裕がありません。いつも医療事故がおこらないかヒヤヒヤしながら仕事をしています。」「妊婦が出たら夜勤免除のために、他の人の夜勤が増えるため、妊娠してもおめでとうと喜んでもらえない」「看護師が足りない。増やしてください」と痛切な声です。
また、「平均在院日数の短縮の中で、病気が治癒していない患者さんが10日やそこらで退院をさせられます。みんなが明るい笑顔で退院していかれることを願っているのに、看護師としての喜びややりがいを感じられず、次第に心が病んで、優しい気持ちがなくなっていくんです」と話されました。
看護職員は限界を超えた過密労働にさらされ、心身ともに疲れ果て、バーンアウト・健康被害が進行し、患者の安全が脅かされているのです。
こうした中、働いている看護師の8割が仕事をやめたいと考えたことがあり、現実に1年間に12万人5000人も離職しています。新卒看護師が5万人近く送り出され、潜在看護師が6万人復職していますが、追いつかない現状です。
看護師不足で、全国の医療機関で病床閉鎖や削減が進み、府内でも第一日赤では新しく整備した内科病床50床をこの3月1日から閉鎖するなど、公立、民間問わず、病棟閉鎖や病床削減に追い込まれています。訪問看護事業所や訪問看護ステーションが閉鎖される事態もあります。看護師不足による地域医療への深刻な影響が広がっています。

深刻化する看護師不足の実態調査を緊急に実施し、府の需給計画の見直せ

【島田】そこで、伺います。第一に、地域医療を崩壊させないために、いっそう、深刻化する看護師不足の実態を緊急に調査すべきです。また、在宅や介護の分野で高まる看護の必要性や、長時間過密労働の解消や夜勤回数の削減、労働基準法違反を一掃し、看護師が生き生きと働き続けられるためには、全国では200万人、京都府では46000人が必要との試算があります。こうした立場から、本府の第七次の需給見通しを見直すべきです。

看護師の労働条件を抜本的に改善し、子育てしながら働ける環境を整備せよ

【島田】第二に、看護師の労働条件を抜本的改善することです。「夜勤は複数で月8日以内」との人事院裁定が出されて半世紀近くになろうというのに、未だに9回以上夜勤に従事している看護師が3交代で24%あります。ILO157勧告の「8時間以内の労働」に反する2交代夜勤が2006年から急増し28%にもなるなど、時代を逆行する事態です。国に対し、診療報酬の算定基準が夜勤は月72時間以内、つまり9回夜勤を認めている問題や、外来や手術室、救急室の人員は何ら認められていない問題などの診療報酬の抜本改善を求めるべきです。そして、労働条件を改善し、夜勤は月8日以内という人事院裁定の早期実現を求めるべきと考えますがいかがですか。
第三に、子育てをしながら働ける環境の整備です。産休・育児休暇後、年度途中で育児休暇があけても、保育所に入れず、職場復帰できない看護師がたくさんおられます。保育所も学童保育所も足りません。市町村の待機児解消、病児保育の拡充とともに、院内保育所の整備・運営支援について予算を抜本的に増額する必要があります。

京都府看護師等修学資金貸与制度の改善、准看護師の看護師国家資格取得のための2年課程通信制学校養成所の早期設置を

【島田】第四に、京都府看護師等修学資金貸与制度の改善です。看護師不足は今や医療機関の大小にかかわらず、また、確保の困難は府域全体にわたっております。返還免除規定の対象を200床以上の病院にも拡大し、府南部へも地域を拡大すべきです。
第五に、北部地域の看護師確保にも有効な2年制通信課程の設置を早急に行うことです。
現在就業10年以上の准看護師が看護師としての国家資格を取得するための2年課程通信制学校養成所が京都府内にありません。2004年から始まったこの2年生通信制学校は、昨年度、全国では4270人、京都では57人が合格し、看護師として新たな-歩をすすまれています。高い交通費を使い、自分の休暇を使って、今年も他府県で188名の方が受講しています。その多くが府北部の方々です。府内の通信課程をもった大学や医療看護系大学等への協力を求め、早期に設置すべきです。検討状況についてお聞かせください。
いま、看護師確保があまりにも困難であることから、人材派遣業者による看護師派遣に頼らざるを得ない状況です。中には、悪徳な紹介業者の存在もあり大きな課題です。実態を把握し何らかの対策が必要です。いかがですか。また、ナースバンクの人員増など機能拡充と体制強化が必要です。いかがですか。
【健康福祉部長】看護師の実態調査について、京都府では将来に向けて計画的かつ攻勢的に看護師確保に取り組むため、定期的に実態調査を行い需給見通しを立てているところであります。現在の第七次看護職員の需給見通しは、平成23年から27年までの5年間の計画となっていますが、今後とも計画達成に向けて看護協会と一緒になって各病院を訪問し辞職防止の取り組み強化を要請するなどさらなる取り組みを推進してまいります。
また、これまでから看護職員の確保や勤務環境のさらなる改善を図るため国に対して大幅な財政的措置を講じるよう強く要望しているところです。
また、院内保育所の支援については、国の補助制度を活用し開所施設の拡大に努めるとともに府独自の助成制度により小規模の院内保育所に対しても積極的に支援しているところです。さらに来年度から新たにニーズ性の高い病児保育施設、病児保育の施設整備助成事業にも取り組むこととし、子育てと仕事を両立できる環境や待機児童の解消に向けた保育所整備を進めてまいりたいと考えています。
また、京都府看護師等修学資金貸与事業については、看護師確保が特に困難な200床未満の中小病院や北部地域の病院を対象に返還を免除しているところですが、今後、看護職員の需給状況をみていく必要がありますが当面は制度の維持に努めてまいりたいと考えております。
2年生通信課程の養成機関については、看護師の確保や看護師の資質向上につながる有効な支援であることから引き続き関係団体等へ働きかけてまいります。
看護師の人材派遣業者について、問題となっているような事例は聞いておりませんが、違法な実態があれば権限を有する京都労働局に速やかに通報するなど厳正に対処してまいります。
また、ナースバンク事業については、看護師確保が困難となる中、来年度から新たに就業アドバイザーを配置するなど体制の強化を図ることとし、今議会に必要な予算をお願いしているところでありますが、今後とも関係団体とも一層連携しナースバンク機能の強化に努め看護師確保の取り組みを一層推進してまいりたいと考えています。
【島田・再質問】看護師確保について、現状の厳しい認識、緊急課題であるという認識にたって全力を投じていただきたいと思います。いかがですか、お答えください。
【健康福祉部長・再答弁】(再答弁では丹後医療圏の医療体制についてしかふれず)
【島田・指摘要望】府民に対して真摯に向き合ってその願いに答えるように部長はご答弁をしていただきたいと思いますし、知事にご決意をうかがいたかったと思います。予算委員会で引き続き取り組んでまいりますけれども、かって、蜷川府政が全国に先駆けて老人医療費を無料にし、国の制度になりました。今でもこれを続けている長野の自治体では早期発見・早期治療で元気なお年寄りが増えて、医療費も安く済んでいるのですね。医療はいつでも、どこでも、誰でも必要な医療保障をすることが生きていくための最低限の保障であり、国と自治体は共同して、その責任を果たさなければならないのだと思います。厳しく指摘をして、質問を終わります。

【他会派一般質問項目】

【2月26日】

■菅谷 寛志(自民・京都市山科区)

1.中小企業支援策について

(1) 金融円滑化法終了に伴う支援について

(2) 事業承継について

2.子育て支援策について

3.看取りプロジェクトについて

■池田 正義(自民・舞鶴市)

1.京都北部の観光振興について

2.水産業の振興について

3.交通網の整備について

■酒井 常雄(民主・城陽市)

1.学校とスポーツと体罰について

(1) 不適切指導へのこれまでの対応について

(2) 体罰の実態と背景について

(3) 再発防止策について

■諸岡 美津(公明・京都市右京区)

1.介護支援について

2.がん対策の充実について

3.学校施設の耐震化について

【2月27日】

■平井 斉己(民主・京都市北区)

1.府北部地域の観光施策について

2.大学のまち・京都推進事業について

3.発達障がい児及び発達障がい者への支援について

 

【2月27日】

■四方 源太郎 (自民・綾部市)

1.農山村地域の過疎対策について

2.農村の基幹産業である農業の後継者育成について

3.介護保険料の抑制策について

■林 正樹(公明・京都市山科区)

1.社会的養護について

2.地域生活定着支援について

■石田 宗久(自民・京都市左京区)

1.津波対策について

2.都市計画の線引き制度について

3.障害児への医療支援について

4.心の健康対策について

【2月28日】

■尾形 賢(自民・京田辺市及び綴喜郡)

1.公共投資の正しい評価について

2.宇治茶の世界文化遺産登録について

■大橋 一夫(民主・福知山市)

1.地域医療を守るための課題について

2.リハビリテーション提供体制の充実について

■片山 誠治(自民・南丹市及び京丹波町)

1.木質バイオマスの利用推進について

2.がん検診の推進について

■松岡 保(民主・木津川市及び相楽郡)

1.天井川の整備と防災対策について

2.少年非行防止対策について

3.関西文化学術研究都市について

 

議案討論 第43号議案から第48号議案まで

原田 完(日本共産党、京都市中京区)2013年2月27日

 日本共産党の原田完です。
日本共産党府会議員団を代表して、ただいま議題となっております議案6件のうち、第43号議案「平成24年度京都府一般会計補正予算(第7号)」に反対し、他の議案に賛成の立場から討論します。
代表質問及び一般質問でも明らかにしてきましたが、京都経済の実態は大変深刻な事態にあります。和装伝統産業では京友禅、丹後ちりめんで生産高が最盛期の3~4%台、西陣でも8%台へと減産の一途となり、機械金属加工では丹後の地域経済の大きな支えとなっていたバイク部品等の企業が、舞鶴税関の統計ではタイのホンダへの輸出が34.5%と落ち込んでいる実態が明らかとなりました。機械金属の下請けは、円高時には海外や他府県での単価の切り下げ・低価格に合わせた単価設定が強いられてきましたが、アベノミクスの下、この一月から二月にかけ下請け工賃は下落し続けているのが実態です。府民所得も減り続け、回復の兆しはまったく見られず、サラリーマン給与は13%減少し続けていると知事も答弁されていたように大変厳しい状況下にあります。その上、年金の給付金額は減り続け、介護保険料も後期高齢者医療保険料も値上がりしているのです。
そもそも、日本経済は1997年を基準としてみても、この間のサラリーマンの給与は12%、68万円も減り、国民総生産・GDPは90%の落ち込み、その一方で大企業の所得はこの間160%と利益を伸ばし、その利益は内部留保として260兆円も溜め込んできました。さらに株主重視で株の配当は280%とその利益を分配しています。この14年間の事実が如実に証明しているように、企業の利益は増えても、国民所得は増えていません。こんな大企業野放しの経済運営は世界を見ても日本だけという「例外」な国となっているのです。
いま取るべき景気対策は、いかに府民個々人の所得を増やし、中小企業とっては仕事起こしと適正価格での取引環境の実現で、消費購買力を高め、地域循環型の景気対策を行い、経済を活性化させることです。また、安定した雇用で人間らしい暮らしを保証することです。そのことは、立場の違いを超えて共通した認識になっているのです。
 ところが、アベノミクスにより、国民所得・賃金を引き上げる手立てもなく、インフレターゲットを2%に設定すれは、消費はさらに冷え込み不況は一層深刻化することは明らかです。さらに、大きな補正予算は旧来の大企業支援策と国債増発による公共事業の復活そのものです。もちろん、公共事業には老朽化対策など当然のものもありますが、全体として景気回復にはつながらず、国民に巨額の負担を押しつけることになりかねません。
 本議会に提案されている補正予算案は、例えば、補正予算債は、すべて公共事業に投入されることになっており、また当初予算には80%交付税措置される元気臨時交付金を活用して、公共事業を増やすというやり方で、まさに政府に追随したものとなっています。地方公務員給与削減の問題など、今後地方交付税の削減が狙われている中で、かつて本府が「有利な起債」として借金に借金を重ね今日にいたっているという教訓にこそ学ぶべきです。
 しかも、予算全体は景気対策といいながら、繰り越しされている部分が大半で、そのうえ、これだけの巨額を単年度で生かせる計画や体制もない中、地域にも職員の方々にも無理な負担を強いることとなり、これでは景気対策に逆行してしまいます。さらに緊急雇用対策基金として将来にわたる生活福祉資金の貸付財源として56億円も積み立てる等、財源対策として使えるものなら何でも活用していいというものではありません。
 公共事業予算の中には老朽化した社会資本、橋梁や道路、河川改修等の社会的要請に応えるものもありますが、ミッシングリンクの解消を理由に鳥取・豊岡・宮津道路につながる野田川大宮道路や新名神高速道路の関連となる八幡インター線と一体の街路事業など不要不急の公共事業も少なからず含まれています。
また経済対策であるにもかかわらず、建設土木工事で設計単価の見直しや最低制限価格の是正、現場労働者の賃金引上げ等については全く触れず、しかも本会議の知事答弁では京都の建設業の実態に見向きもせず、公共工事の低価格路線を礼賛するかのような態度に終始していることは重大です。
緊急雇用対策の積立金については、深刻な雇用対策に今すぐ対策を取らなければならないにもかかわらず、積立だけにとどめています。また雇用拡大として29億9千万円予算で、創業や事業革新にチャレンジする企業に対し、府が雇用を委託し、給与分を委託料として支払い、さらに一年以上の雇用で30万円の補助金を出す制度が提案されています。しかし、創業十年未満の企業や大企業しか対応できないような別会社の設立が条件です。これでは、急がれる正規雇用につながらず、雇用の大きな受け皿として頑張っている圧倒的な既存の中小企業支援にはなりません。
国の創業十年以内の企業の想定は、既存のものづくり中小企業ではなく、成長産業偏重で新産業、ベンチャー等だけの支援とならざるを得ないような緊急雇用対策制度では、その実効性についても何の保証もありません。
実際、知事は本会議答弁で、家庭の主婦が働く場として短時間労働のパートやアルバイト形態での就労要求があると述べ、働き方の多様化を理由に、経済界の非正規雇用の拡大をしてきた根本問題を免罪するような答弁に終始しました。1年の事業で、雇用の受け皿となる多くの中小企業を置き去りにし、限定的な企業を対象にするような施策につながるものです。
農林の基盤整備事業では痛んだ農道の改修や用排水路、ため池の改修など、必要な予算も含んでいますが、一方で何年も放置し、必要かどうか現時点で精査が必要な広域農道を突如として事業化するなど、不要不急の工事も含まれています。地元の皆さんからは、今回、計上されている福知山市大江町の南域広域農道の整備より、大飯原発から30Km圏内の大江町で、福島のように地震津波発生で原発の過酷事故が起きた場合、津波で由良川が溢れ、孤立集落が生まれて避難もできない事態にるため、国道や府道のかさ上げ工事を急いでほしいとの強い声があります。事業の精査と地元住民の強い要望、必要性の勘案等、事業採択に当たって再検討の必要があります。
よって、43号議案には反対です。
以上で討論を終わります。ご静聴ありがとうございました。