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議会を終えて(談話)

府政報告 2020 13年2月定例会を終えて

2013/04/05 更新
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●2月定例府議会が3月26日に閉会しました。「2013年2月定例議会を終えて」団長談話を紹介します。

2013年2月定例議会を終えて

2013年4月5日
日本共産党京都府会議員団
団 長 前窪 義由紀

2月21日から開かれていた2月定例議会が、3月26日閉会した。
本議会は、安倍自公政権が打ち出した「アベノミクス」と称する、過去に破綻したことが明白な経済政策にかかわる予算が京都府における具体化がされるもとで、それらをどうとらえ、いかに対応するのかが問われるとともに、来春の京都府知事選挙を前にした、山田府政三期目最後となる本格予算を審議する、山田府政にたいする基本的な評価が問われる議会となった。さらに7月の参議院選挙を前に、TPP交渉参加表明や京都府域で初となる米軍Xバンドレーダー配備計画が明らかにされる一方、東日本大震災から2年となり、「バイバイ原発」が3500人集まり、原発即時ゼロを求める世論と運動の広がる中、日本と京都の進路とそのもとでの自治体とその首長の役割が問われる議会ともなった。
我が党議員団は開会日に「『生活再建・地域経済再生』をかかげる府民大運動をよびかけます~2月定例府議会を迎えるにあたって~」を発表し、アベノミクス予算に対応する府民運動を呼びかけるとともに、深刻となる京都経済と府民の皆さんの暮らしの実態を踏まえ、運動と結んだ議会論戦を行った。

1、昨年12月に行われた総選挙の結果、新たに自公政権が発足したことにより、例年に比べ開会が大幅に遅れることとなった。また、通常の年度末補正予算の前に政府の緊急経済対策として大規模な補正予算が提案され、その内容も補正予算だけで約479億円という異例の大型となり、2013年度当初一般会計予算は、はじめて9,000億円台となる9,006億円、このうち投資的経費が1279億円にものぼり、前年度の当初予算と比べ317億円増の133.1%となるなど、アベノミクスが実施されるもとで、予算関連の内容や規模も異例なものとなった。
本議会には、平成25年度当初予算や緊急経済対策にかかわる補正予算案、追加議案や人事案件を含め80議案が提案された。我が党議員団は第1号「平成25年度一般会計予算」、第13号「平成25年度水道事業会計予算」、第23号「手数料徴収条例一部改正」、第27号「京都府立体育館条例一部改正」、第40号「指定管理者指定の件」、第47号「一般会計補正予算(第7号)」第50号「一般会計補正予算(第8号)」の7件に反対し、人事案件も含め他の議案に賛成した。

2、第1号議案「平成25年度一般会計予算」には反対した。
その理由は第1に、政府による公共事業を中心とした見せかけの「景気浮揚策」に追随しているためである。
集中豪雨対策や道路・橋梁強靭化など250億円もの重点投資に加え、ミッシングリンクの解消を理由に、鳥取・豊岡・宮津道路につながる野田川大宮道路や新名神高速道路のインター設置と一体の八幡インター線の整備、天ヶ瀬ダム再開発、北陸新幹線促進、リニア新幹線の誘致費など、不要不急の大型事業が含まれていることは問題である。
第2は、ムダな大型事業につながる可能性のある事業が含まれていることである。
約580億円もの巨額を投じながら破綻した「私のしごと館」を、文化財保存修復センター等の拠点としての整備を計画し、また、「にぎわい」「活性化」と称してすすめる北山文化環境ゾーン整備は、府立植物園や府立資料館の本来の役割や魅力、それらを含めた北山地域の街のあり方をゆがめるものである。さらに新堀川魅力創造事業として、府営堀川団地住民や商店街にまともな説明もせず、事実上置き去りにしたまま、民間活力による堀川通りの新たな魅力づくりありきで進め、また、舞鶴港外航クルーズ船等受け入れ環境整備などの大型投資も狙われている。しかも、これらの事業を知事のトップダウンの手法で強引に進められていることは重大である。
第3は、今、抜本的に取り組むべき雇用・賃金確保対策、中小企業支援策が取られていないことである。
この間、各界から予算要求を柱とした京都府への申し入れがあいつぎ、その中で「公共事業がいくら降りてきても、地元企業がしごとを請け、下請け単価や賃金の引き上げがなければ、景気回復にはならない」などの声が寄せられているにもかかわらず、知事は答弁で「公契約、公的事業だけが賃金が保障されるというのは、どう考えてもおかしい」と述べるなど、公契約条例の制定に背を向け、さらに4年間で府内の商工会議所・商工会への補助金を8千万円も削減、25年度も約1400万円削減するなど、地道な活動を支える役割を弱めたことは重大である。
第4は、医療や社会保障における自治体の公的役割を後退させていることである。
福祉医療制度の母子家庭医療費助成制度について、所得制限額を引き下げることで児童扶養手当が適用されない一人親家庭に対して、医療費の助成からも排除するという重大な影響を与えようとしている。また、「京都式地域包括ケア」は、政府による公的支援の役割を弱め高齢者を施設から在宅へ誘導しようとしている方向と基本的には同じである。
第5は、本来の公教育のあり方を歪めていることである。
「京都市・乙訓地域の新しい高校教育制度」が、多くの生徒、保護者、教員などの不安と疑問の声を押し切って強行し、「特色化」の名目により学校間格差と序列化をすすめようとしている。さらに中学校で「3年以内に全国トップ10をめざす」として、学力診断テストを、3年生から2年生、そして今回1年生にまで拡大するなど、受験競争を低年齢化させ、いっそうひどくするものとなっている。
第6は、総額127億円の事業の休廃止を行うなど、職員削減や人件費削減に加え、「行財政改革」をいっそうすすめ、さらに地方公務員給与削減の押し付けを前提にした予算編成を行っているためである。
なお、当初予算と同様に、アベノミクス追随予算として二次にわたる追加補正予算にも反対した。
第13号「水道事業会計」は、過大な基本水量の受水市町への押し付けが、住民の高い水道料金と市町の水道会計悪化の大きな要因となっており、反対した。
第23号「手数料徴収条例一部改正等の件」及び第42号「関西広域連合規約変更に関する協議の件」は、いずれも関西広域連合の機能の拡充であり、反対した。
第27号「府立体育館条例一部改正の件」は、全面リニューアルを機に、使用料の見直し、値上げを行うもので、アマチュアスポーツの団体、利用者にとっても負担増となるものであり反対した。
第40号「指定管理者の指定の件」は、青少年の社会教育施設である「府立南山城少年自然の家」を11月末で廃止することを前提にしたものであり反対した。
なお、第28号「府立植物園条例及び府立陶板名画の庭条例一部改正の件」は、小中学生の入園料無料化等を行うもので賛成したが、規則の見直しで60歳から69歳の高齢者を有料化することについては、反対である。

3、今議会は山田知事の政治姿勢とこれまでの府政運営の問題点が浮き彫りとなった議会となった。
14か月の大型予算の執行を前に、「地元企業が仕事をうけ、下請け単価や賃金が引きあがらないと、景気回復にはならない」「地元業者がすでにない」などの深刻な声が出される中、地域循環型の景気対策への転換が求められた。しかし、豪雨災害に見舞われた山城北土木では、応援の職員を入れても追いつかず、残業、土・日出勤で何とかしのぎ、非常事態宣言を出している土木事務所もあること等、土木・保健所などの縮小再編と人員の削減等、京都府の果たす役割を後退させてきたツケが噴出していることが明らかとなった。
また、京都府域に初となる米軍基地のXバンドレーダーを京丹後市の自衛隊経ケ岬分屯地に配備する計画が明らかにされたが、防衛省が京丹後市や京都府知事にも説明に来るなど、頭ごなしにすすめられようとしている。このため知事総括質疑で「レーダー配備は日本国民を守るためではなく、アメリカ本土防衛のためのもの」と指摘し、「憲法が禁止している集団的自衛権の行使に道を開く」ことにつながるとして「受け入れるべきでない」と質した。知事は、住民の安心・安全・健康、風評被害の問題も含め「住民の不安がある」としつつも「北朝鮮の動きをどうやって防ぐのですか?」などと述べ、「これから調整に入っていく」として、配備ありきの姿勢を示したことは重大である。
さらに、道州制の動きが急激に進められる中、知事が本会議答弁で「国会議員の8割は道州制賛成。道州制は世論」と道州制への道を当然視し、「滋賀県との合併」にも言及した上、総括質疑で「府を守る気は私はありません」とまで述べるなど、道州制を推進する役割を担う知事の姿勢がいっそう浮き彫りとなった。
府立与謝の海病院の法人化や府営水道の問題点も明らかとなった。この4月から府立与謝の海病院が公立大学法人北部医療センターとして開設されることとなったが、地域住民から切実に要望されてきた脳外科医の確保についての保障はなく、事実上、丹後医療圏全体で医療を完結する方針も全く示されないままとされている。これに対し、本府主催で開催されたシンポジウムでも、与謝地区医師会長から「研究が重視され、臨床部門が軽視される懸念」を表明され、法人化・附属病院化が「地域にとっていいことばかりなのか、監視していきたい」と発言されたとおり、医療における公的責任の役割を後退させようとしていることは重大である。
府営水道では、概ね10年後を見通した「府営水道ビジョン」が策定された。これに対し、我が党議員団は「見解」を発表したが、人口減少などで受水市町の水需要は4,5%も減り続けるにもかかわらず、府営水を4%増やすとし、その結果、府営水比率が51%から55,6%に跳ね上がり、市町の自己水(地下水)をさらに減らし、もっと府営水を使うことが強いられる。これは、府営水道条例に基づく市町の水量申請権を奪い、災害や事故時にライフラインの確保に大きな役割を担う市町の自己水(地下水)を否定するものである。さらにビジョンによる将来方向は、受水市町の浄水場の廃止・統合等を伴う水道事業広域化の道であり、府の責任で運営すべき府営水道事業を「企業団方式」へと変質させるものであり、極めて重大である。

4、今議会はまた、知事選挙を見据え、府民の皆さんと手を携えて政治を動かす議員団の役割を発揮した議会でもあった。
深刻な京都経済の再生のためには、賃上げと正規雇用の拡大、地域循環型の景気対策が必要であることを、代表質問をはじめ一貫して論戦で明らかにした。本議会中に、昨年11月から議員団で取り組んできたハローワーク前での聞き取り調査の結果をまとめた「まともに働きたい 202人の叫び」を記者発表し、そこで明らかとなった雇用の深刻な実態を踏まえた論戦を行った。また代表質問でも取り上げた219人にものぼるロームのリストラやNECシステムテクノロジーの退職強要の事態に対し、議員団は、京都府委員会リストラ対策本部とともに、それぞれ退職強要の中止等を求める申し入れを直接行った。
こうした中、京都府が緊急に京都労働局、京都市と連名で、京都の経済団体に雇用の確保を求める申し入れを行い、さらに日本写真印刷の子会社であるナイテック・モールドエンジニアリング久美浜工場の閉鎖発表直後に、「事業の継続」を求める申し入れを京都府が行うことにつながった。
また、14か月予算に対し、開会日に発表した「府民のみなさんへのよびかけ」を踏まえ、各団体が京都府に要求書を相次いで提出された。また議会報告会(民主府政の会主催)を議会開会中に行い、本会議や予算委員会の審議を踏まえた予算の分析と運動について意見交換を行い、さらに150名が参加された「府民総行動」では「緊急経済対策を府民・地域経済に回させよう」と京都府に呼びかけるなど、取り組みをひろげた。今後も、地域別の市町村議員団と共同した議会報告会の開催や広域振興局交渉など具体化を図るものである。
さらに、Xバンドレーダー配備の問題では、2月26日に日米両政府が計画を発表した直後に、京都府委員会および京丹後市議団と連名で、配備計画反対の声明を発表し、同日に京都府知事に直接申し入れた。その後、現地調査に入り、地元の皆さんの不安や要望を踏まえ、予算委員会と総括質疑で論戦した。

5、意見書・決議については、「『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書」が、我が会派と民主が公明案に賛成し可決した。これまで我が党は実現に全力を挙げ、今回も「旧日本軍『慰安婦』問題の早期解決を求める意見書」を提案し、公明にも共同提案と意見書案の調整を申し入れたが、それには背を向け、さらに他党会派は、公明も含め、我が会派の意見書案には反対したものの、粘り強い住民運動が実り、都道府県で初めて可決することとなった。
TPP参加への重大な局面のもと、本議会には京都府保険医協会や農民連など24団体で構成される「TPP参加反対京都ネットワーク」のみなさんから、京都難病連をはじめ7団体、上京東部はじめ8地区医師会など147の医療機関、3人の農業委員の賛同署名をつけ「国に対しTPP参加の断念を求めることに関する陳情」が提出された。こうした世論の中、自民・民主・公明がTPP交渉参加を前提とした情報開示等を求める意見書を提案した。我が党はこれに反対するとともに「TPP交渉参加表明の撤回を求める意見書」を提案したが、我が党以外が否決したことは世論に背くものである。
「米軍によるXバンドレーダー配備計画の撤回を求める意見書案」「年金2.5%削減の中止」「生活保護基準引下げの撤回」等の意見書および「地域循環型景気対策を求める決議」の成立に全力をあげたが、我が党以外が否決した。
 
 来春の知事選挙を前にした最後の本格アベノミクス追随予算が執行されることとなる。我が党議員団は、地域循環型の景気対策を実現するために、いっそう府民の皆さんと力を合わせるとともに、Xバンドレーダー配備計画やTPP交渉参加、消費税増税、原発稼働、憲法改正の動きなどについて、7月の参議院選挙で国民的な審判を下すために全力を挙げるものである。

以上